(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763957
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】スプレー缶用の入れ子式柄を有するキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 83/40 20060101AFI20200917BHJP
B65D 83/28 20060101ALI20200917BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
B65D83/40
B65D83/28
B05B9/04
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-538541(P2018-538541)
(86)(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公表番号】特表2018-535159(P2018-535159A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】US2016057633
(87)【国際公開番号】WO2017074756
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】62/246,771
(32)【優先日】2015年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アール・シュレーヤ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エス・ブラック
(72)【発明者】
【氏名】チャド・ヴイ・シュエット
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェイ・シラー
【審査官】
米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−099984(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3176652(JP,U)
【文献】
実開昭58−119866(JP,U)
【文献】
特開2009−249026(JP,A)
【文献】
米国特許第04858792(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0255958(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0192910(US,A1)
【文献】
特開平02−004465(JP,A)
【文献】
特表2010−522671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/20−83/40
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ(10)及び缶(100)を備える物品であって、前記缶が、頂部(110)、及び前記缶の前記頂部から延びるバルブステム(120)を備え、前記キャップが、(a)第1の区分(20)であって、前記缶の前記頂部のまわりに少なくとも部分的に嵌合し、前記缶に取り付けられる、第1の区分、ならびに(b)第2の区分(30)であって、第2の区分(30)が前記缶の前記頂部の上にあり、前記缶の前記バルブステムの側面のまわりに延びおよび前記バルブステムを被覆する閉鎖位置から、第2の区分(30)の少なくとも一部分が前記第1の区分の横にあることで、前記キャップが開放位置にあるとき、前記缶の前記バルブステムが前記キャップの前記第1の区分の上を延び、かつ前記キャップの前記第1の区分上及びその外周のまわり全体で障壁のないアクセスによって前記キャップの上でアクセス可能となる、前記開放位置へと移動可能であるように、前記第1の区分に移動可能に取り付けられる、第2の区分を備え、
前記キャップの前記第1の区分及び第2の区分が、前記開放位置にあるとき、前記第2の区分が前記第1の区分に対して定位置に保持されることを可能にする保持機構(36)を有し、前記第2の区分(30)が缶を保持するための柄としての役割を果たす、前記物品。
【請求項2】
前記第2の区分が、(i)前記第2の区分が前記閉鎖位置から前記開放位置へと蝶番で動くことを可能にする蝶番(40)、ならびに(ii)前記第2の区分が前記第1の区分の前記頂部に沿って摺動し、その後、前記第1の区分の横を下に摺動することを可能にする噛合溝(24)及び隆起(34)からなる群から選択される手段によって、前記第1の区分に取り付けられる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記物品が、前記キャップが前記開放位置にあるとき、前記缶の前記バルブステムに取り付け可能である分注ストロー(200)を更に備え、前記第1及び第2の区分のうちの少なくとも1つの中に画定され、前記キャップが前記閉鎖位置にあるとき、前記分注ストローが保管のために中に存在し得るホルダー(22)が存在する、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記分注ストローが、前記分注ストローに対して45度〜135度の角度で延びる引き金(210)、及び前記分注ストローの側面の指パッド(220)のうちの少なくとも1つを更に備える、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記ストローが前記バルブステムに取り付けられていないとき、前記バルブステムに取り付けられる引き金が不在である、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記分注ストローが前記バルブステムに取り付けられるとき、前記分注ストローのレバー及び/または指パッドのまわりの障壁が不在である、請求項4または請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記キャップの前記第1の区分及び第2の区分が、前記閉鎖位置にあるとき、前記第2の区分が前記第1の区分に対して定位置に保持されることを可能にする保定機構(26)を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレー缶用の柄を組み込むキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォーム密封材、発泡ラテックスフォーム密封材、及びフォーム状デザートトッピングのものなどの加圧缶からの分注材料は、バルブステムを傾けて、バルブステムを通して缶から内容物を放出する間、しばしばぎこちない角度での缶の保持を必要とする。加圧缶とともに使用して、より快適な分注を容易にするための柄を有するキャップが入手可能である。
【0003】
US7,000,805は、ポリウレタンフォームラバー流体塗布器を開示する。フォームラバー組成物の缶は、塗布器内に上下逆さまに嵌合する。塗布器は、缶の保持を容易にする柄、及び缶からフォームラバー配合物の分注を開始するための引き金を備える。分注時には、引き金を引き、缶上のバルブを缶に向かって上に移動させて、缶からフォーム配合物を放出する。塗布器は付加型塗布器であり、これは、缶から分注する目的で缶に取り付けられることを意味する。缶は、缶に塗布器が取り付けられた状態で輸送される可能性は低く、これは、缶から延びる柄がコンパクトかつ効率的な包装及び保管を妨げ、曝露された引き金には缶の不慮の分注のリスクがあり、損傷または不慮の分注を予防するための缶バルブステムの保護がある場合でも最小でしか存在しないためである。
【0004】
US2013/0334260(‘260)は、缶の頂部の上を垂直に(一般に缶の長さに対して縦方向に)延びる柄、及び缶の長さ沿いから上に出て、それを通して内容物の分注が生じ得る分注ストローを有する、塗布器を提供する。‘260の設計は、一般に人の前腕に対して垂直に缶を保持することを必要とし、これは時間とともに不快である傾向にあり、かつ缶の操作性をきつくて到達が困難な位置へと著しく制限する。
【0005】
缶上にキャップが付いた状態で、保管及び輸送中の缶の密接かつ効率的な梱包を可能にしながらも、缶の内容物の分注時には一般に人の前腕に対して縦方向に缶を快適に保持するための柄になる、加圧缶用のキャップを開発することが望ましい。そのようなキャップは、別個のキャップ及び缶の塗布器に対する必要性を不要にするだろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、缶上にキャップが付いた状態で、保管及び輸送中の缶の密接かつ効率的な梱包を可能にしながらも、缶の内容物の分注時には一般に人の前腕に対して縦方向での缶の快適な保持を提供する、加圧缶用のキャップを提供する。
【0007】
本発明は、缶上に嵌合し、非使用時には缶の上でコンパクトなままであるが、それを缶から取り外すことなく、缶の分注中には人の前腕に対して一般に縦方向に缶を保持するための柄を提供する配向へと開くことができる、キャップを提供することによって、この課題に対する解決策を提供する。
【0008】
本発明は、柄を加圧缶のキャップに組み込み、それにより非使用時の缶のバルブステムの保護、及び使用時の缶の保持の両方を提供する単一の特徴を可能にすることによって、当該技術分野を更に前進させる。専用キャップ及び別個の柄に対する必要性は、両方の特徴が単一の変形可能な特徴に組み込まれることによって、簡略化される。
【0009】
第1の態様において、本発明は、キャップ(10)及び缶(100)を備える物品であって、缶が、頂部(110)、及び缶の頂部から延びるバルブステム(120)を備え、キャップが、(a)第1の区分(20)であって、缶の頂部のまわりに少なくとも部分的に嵌合し、缶に取り付けられる、第1の区分、ならびに(b)第2の区分(30)であって、それが、一般に缶の頂部の上にあり、缶のバルブステムを被覆する閉鎖位置から、一般に第1の区分の横にあることで、キャップが開放位置にあるとき、缶のバルブステムがキャップの第1の区分の上を延び、かつキャップの第1の区分上及びその外周のまわり全体で障壁のないアクセスによってキャップの上でアクセス可能となる、開放位置へと移動可能であるように、第1の区分に移動可能に取り付けられる、第2の区分を備える、物品である。
【0010】
本発明の物品は、輸輸送及び保管中の缶のバルブステムの保護に有用でありながら、フォーム密封材(ポリウレタンフォーム密封材及び発泡ラテックスフォーム密封材など)ならびにフォーム状デザートトッピングを含む、缶の内容物の分注中の缶の保持にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1(a)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、蝶番によって取り付けられる。
【
図1(b)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、蝶番によって取り付けられる。
【
図1(c)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、蝶番によって取り付けられる。
【
図1(d)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、蝶番によって取り付けられる。
【
図1(e)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、蝶番によって取り付けられる。
【
図1(f)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、蝶番によって取り付けられる。
【
図2(a)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、他方の区分の溝へと摺動する一方の区分内の隆起によって取り付けられる。
【
図2(b)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、他方の区分の溝へと摺動する一方の区分内の隆起によって取り付けられる。
【
図2(c)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、他方の区分の溝へと摺動する一方の区分内の隆起によって取り付けられる。
【
図2(d)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、他方の区分の溝へと摺動する一方の区分内の隆起によって取り付けられる。
【
図2(e)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、他方の区分の溝へと摺動する一方の区分内の隆起によって取り付けられる。
【
図2(f)】本発明のキャップを図示し、キャップの第1及び第2の区分は、他方の区分の溝へと摺動する一方の区分内の隆起によって取り付けられる。
【
図3】本発明とともに使用するのに好適な缶を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「及び/または」は、「及び、またはあるいは」を意味する。別段述べられない限り、全ての範囲は終点を含む。
【0013】
「一般に」は、特徴が正確である必要がなく、当業者に対して合理的な寛容性を許容することを意味する。例えば、ある基準に対して「一般に垂直」に延びるある要素は、その要素がその基準から90度延び得ることを意味するが、その基準から正確に90度延びるよりも幅広い理解もまた許容する。最も幅広い合理的な解釈において、「一般に垂直」は、ある基準に対して垂直の方向のベクトル成分を有する方向に延びること、好ましくはその基準に対して少なくとも45度延びること、及びより好ましくはその基準から少なくとも60度延びることを意味し、ある基準から90度延びることを意味し得る。「一般に上」及び「一般に上方」は、ある基準の上方に少なくとも一部分が存在すること、好ましくはある基準の上方に50体積パーセント(体積%)超が存在すること、より好ましくはある基準の上方に少なくとも75体積%が存在することを意味し、ある基準の上方に90体積%以上が存在することを意味し得る。
【0014】
本発明の物品は、缶用のキャップを備える。望ましくは、缶は、加圧材料、一般に加圧液体材料を保持し得る容器である。缶は、頂部、及び典型的には対向する底部を有する。缶の頂部と底部との間の寸法は、缶の長さである。缶は、缶の頂部から延び、それを通して缶から材料が分注され得るバルブステムを備え得る。バルブステムが、缶へと押下されることによって作動されるか、または缶に対して傾けられると、それはバルブを開き、缶の中の材料が放出されて、バルブステムを通して分注される。缶用のキャップを有することの1つの理由は、輸送及び保管中にバルブステムを保護して、缶からの材料の意図しない分注を予防することである。キャップは、缶が材料を分注するために意図的に使用されていないとき、バルブステムを被覆する役割を果たす。
【0015】
キャップは、第1の区分及び第2の区分を備える。第1の区分は、少なくとも部分的に嵌合し、一般に完全に缶の頂部のまわりにあり、缶に取り付けられる。第1の区分は、缶の頂部の上方に嵌合し得る。典型的には、缶の頂部はそのまわりに縁部を有し、それに、またはそのまわりに、例えば、縁部をキャップの第1の区分内の溝に嵌め込むことによって、キャップの第1の区分が取り付けられ得る。第1の区分は、缶の頂部のまわりの縁部をキャップの第1の区分内の溝に嵌め込むことによって、または別の例として、定位置に保持するのに十分な摩擦力をもって、缶の頂部の上方及び缶の側面に沿ってスリーブのようにキャップを単に摺動させることによってなどの摩擦力によって、缶に取り付けられ得る。第1の区分は、接着剤を使用して缶に固定され得る。
【0016】
キャップの第1の区分は、缶のバルブステムをアクセス可能にしておく。キャップが以下に記載される開放位置にあるとき、缶のバルブステムは、キャップの第1の区分の上を延び得、かつキャップの第1の区分上及びその外周のまわり全体で障壁のないアクセスによってキャップの上でアクセス可能である。キャップの第1の区分は、缶のバルブステムの高さの少なくとも一部分、上に延び得る。しかしながら、バルブステムは、缶からキャップの第1の区分を取り外す必要なく缶から材料を分注することを可能にするために、キャップの第1の区分の上方でアクセス可能である。
【0017】
キャップの第2の区分は、キャップの第1の区分に移動可能に取り付けられる。「移動可能に取り付けられる」は、第2の区分が、第1の区分に取り付けられたまま、第1の区分に対して移動し得ることを意味する。例えば、第2の区分は、蝶番の手段によって第1の区分に取り付けられ得る。あるいは、第2の区分は、一方の区分の隆起が他方の区分の溝に摺動し得るように、それぞれ第1の区分の隆起または溝のいずれかに噛合する溝または隆起のいずれかを有し得る。そのような「代替的な」一実施形態において、第2の区分は、第1の区分から完全に離れて摺動する(それから切り離される)ことが可能であり、異なる位置で第1の区分に移動可能に取り付けられるように第1の区分上に摺動され得る。あるいは、第2の区分は、第1の区分から外れることなく、第1の区分の側面の上方、及びその後その下を摺動することが可能であり得る。
【0018】
第2の区分は、閉鎖位置と開放位置との間を第1の区分に対して移動、望ましくは可逆的に移動することができる。閉鎖位置にあるとき、第2の区分は一般に第1の区分の頂部の上に存在し、これは、第1の区分の少なくとも一部分がキャップの第2の区分と第1の区分が置かれる缶との間に存在するように、第2の区分がキャップの第1の区分の上方に存在することを意味する。第2の区分が閉鎖位置にあり、かつキャップが缶上にあるとき、第2の区分は、缶のバルブステムの側面のまわりに延び、望ましくは缶のバルブステムを被覆し、それによりバルブステムを不慮の作動または損傷から保護する。第1及び第2の区分は、ユーザが第2の区分を開放位置に積極的に移動させるまで、第1及び第2の区分を閉鎖位置に保持する嵌め込み閉鎖部などの保定機構を含み得る。好適な保定機構の一例は、他方の区分の溝もしくはスロットに嵌め込まれる一方の区分から延びる柔軟なタブ、または他方の区分上の孔に嵌め込まれる一方の区分上のピンである。別の許容可能な保定機構は、それらが蝶番で接続されている場合、蝶番接合部などの2つの区分間の摩擦、及び/または第2の区分が、第2の区分を第1の区分の上方で定位置に保持するのに十分な摩擦をもって、第1の区分の一部分の中もしくはその上方に摺動することによるものである。
【0019】
第2の区分は、閉鎖位置から、缶のバルブステムを曝露し、缶の内容物の分注のためにバルブステムアクセスをアクセス可能にする開放位置へと移動可能である。キャップが開放位置にあるとき、缶のバルブステムはキャップの第1の区分の上を延び得、かつキャップの第1の区分上及びその外周のまわり全体で障壁のないアクセスによってキャップの上でアクセス可能であり、キャップの第1の区分が缶上にありながら、バルブステムをアクセス可能にする。キャップの第2の区分は、開放位置にあるとき、キャップの第1の区分に隣接して位置するように、キャップの第1の区分に対して移動する。例えば、第2の区分は、蝶番接合部を介して第1の区分を反転させ、第1の区分の隣に整列し得る。代替的な一実施形態として、第2の区分は第1の区分にわたって摺動し、その後、一方の区分の隆起が他方の区分の溝に摺動する手段によって、第1の区分の隣へと下に摺動し得る。第2の区分は第1の区分全体から離れて摺動し、その後、新たな配向で第1の区分上に摺動し戻されても、またはあるいは、第2の区分は第1の区分の端部まで摺動し、第1の区分から完全には転位せずに、第1の区分の側面上の溝を新たな位置へと下に摺動してもよい。第2の区分が、一般に閉鎖位置にあるときの第1の区分の上から、一般に開放位置にあるときの第1の区分の隣へと移動することが望ましい。キャップが缶上にあるときにそのような様式で移動する場合、第2の区分は、一般に缶の上にある状態から、一般に缶の隣にあり、缶の長さに対して一般に垂直に延びる状態へと移動する。
【0020】
望ましくは、キャップの第2の区分が開放位置にあるとき、キャップは、キャップの第1及び第2の区分を開放位置に保持する保持機構を有する。保持機構は、機械クリップ、他方の区分内もしくはその上に嵌め込まれる一方の区分上のタブ、または任意の他の保持機構であり得る。
【0021】
本発明の利点は、キャップの第2の区分が、キャップが開放位置にあるときに缶の内容物を分注しながら、缶を保持するための柄としての役割を果たし、キャップが閉鎖位置にあるときにバルブステムを被覆する役割を更に果たすことである。開放位置にあるとき、第2の区分の柄としての使用は、缶から分注をする人の前腕に一般に整列した缶の保持を可能にし、これは、缶から分注をする人の前腕に対して缶を一般に垂直に保持するよりも快適な配向である。缶を前腕の隣かつそれに沿って整列することは、到達が困難な(例えば、きつい装着または込み入った状態)位置への改善された操作性及びアクセスを可能にする。更に、本発明のキャップは、閉鎖位置にあるときにキャップが缶の一般に上方に整列されるため、このキャップを備える缶のコンパクトな包装及び保管を可能にする。しかし、缶の使用時、キャップは缶の長さに対して一般に垂直に延びて、一般にユーザの前腕に沿って整列した快適な配向に缶を保持する、好都合な柄になる。
【0022】
本発明の物品は、分注ストローを更に備え得る。一般に、分注ストローは、缶のバルブステムに取り付けられ、それを通して缶の内容物が定方向様式で分注される。そのような分注ストローは、通常缶のバルブステムに取り付けられる分注ストローの一方の末端上の接続部の手段によって、缶のバルブステムに取り付け可能である。分注ストローはまた、望ましくは缶の内容物の分注を容易にするためのレバーもしくは引き金及び/または指パッドを備える。レバーまたは引き金は、典型的にはストローに対して一般に垂直に延びる一方で、指パッドは、一般に分注ストロー上の平坦なプラットフォームの形態であり、それに対して指を押下することができる。分注ストローが缶のバルブステムに取り付けられる場合、バルブステムは、引き金もしくはレバーを引くか、もしくは押下することによって、及び/または分注ストロー上の指パッドを押下することによって、作動させることができる。
【0023】
本発明のキャップは、キャップ及び分注ストローを備える缶の効率的な特殊梱包及び保管、ならびに分注ストローの紛失を回避するための非使用時の分注ストローの保管を可能にするために、非使用時に、一般に缶の長さに沿って延びる分注ストローを空間効率的な様式で好都合に保持する、分注ストローホルダーを更に備え得る。キャップの第1及び/または第2の区分は、例えば、クリップ、またはキャップの第1及び/もしくは第2の区分内に画定された孔もしくは溝の形態であり得る、分注ストローホルダーを備え得、その中に分注ストローが一般に缶の長さに沿って配向された状態で置かれ得る。更に、キャップは一般に第2の区分内にあり、分注ストローがキャップの分注ストローホルダー内に保管されるときに、分注ストローの引き金またはレバーがキャップ内に嵌合することを可能にする、凹部を備え得る。
【0024】
分注ストローホルダーは、分注ストローが分注ストローホルダー内に位置するときに分注ストローが缶の長さに沿って延びるように、キャップが缶の頂部の位置にあるとき、典型的には缶の頂部の側面に延びる。
【0025】
図1(a)〜1(f)は、キャップ10の一実施形態を図示する。
図3は、キャップ10とともに使用するのが好適な缶100を図示する。キャップ10は、第1の区分20及び第2の区分30を備える。第2の区分30は、蝶番40の手段によって第1の区分20に取り付けられる。
図1(a)〜1(c)は、異なる視点からのキャップ10の閉鎖位置を図示する。
図1(a)は側面図であり、1(b)は上面図であり、1(c)は端面図である。
図1(d)は、開放位置にあるキャップ10を図示する。
図1(e)及び1(f)は、缶100上のキャップ10を図示する。キャップ10は、缶100の頂部110(
図3を参照されたい)の上方に取り付けられる。缶100の頂部110を通して延びるのは、バルブステム120である(
図3を参照されたい。
図1(e)ではキャップ10によって隠れており、
図1(f)ではストロー200によって被覆されている)。
図1(e)は閉鎖位置にあるキャップ10を図示し、
図1(f)は開放位置にあるキャップ10を図示する。キャップ10が閉鎖位置にあるとき、バルブステム120はキャップ10の第2の区分30によって保護される。キャップ10が開放位置にあるとき、バルブステム120は露出され、分注ストロー200の取り付けのためにアクセス可能である。分注ストロー200は、レバーまたは引き金210及び指パッド220を備える。キャップ10が閉鎖しているとき、分注ストロー200は、キャップ10の第1の区分20内に画定され、それを通して延びる溝の形態のホルダー22内に保管され得、その中にストロー200が定位置に嵌め込まれ得、レバーまたは引き金210がキャップ10の第2の区分30の凹部32へと延び得る。保定機構26は、第2の区分30を閉鎖位置へと掛け留めるクリップの形態である。保持機構36は、第1の区分20に取り付けられた突出部、及びキャップ10が開放位置にあるときに突出部が挿入されて、キャップ10を開放位置に保持する孔を備える。
【0026】
図2(a)〜2(f)は、キャップ10の別の実施例を図示する。
図2(a)〜1(c)は、異なる視点からのキャップ10の閉鎖位置を図示する。
図2(a)は側面図であり、2(b)は上面図であり、2(c)は端面図である。
図2(d)は、開放位置にあるキャップ10を図示する。
図2(e)及び2(f)は、缶100上のキャップ10を図示する。
図2(a)〜2(f)のキャップ10は、それが蝶番40を有さない代わりに、キャップ10の第2の区分30が、第1の区分20の溝24に摺動する第2の区分30の隆起34(不可視)の手段によって、キャップ10の第1の区分20に取り付けられることを除いて、
図1(a)〜1(f)のものと同様である。キャップ10を
図2(a)の閉鎖位置から2(d)の開放位置へと移動するためには、第2の区分30を第1の区分20の頂部から離れて摺動させ、その後、第2の区分30の側面上の隆起34を第1の区分20の側面上の溝24に摺動させる(
図2(b)及び2(c)を参照されたい)。キャップ10を閉鎖位置に戻すためには、第2の区分30を第1の区分20の側面から離れて摺動させ、その後、第2の区分30の底部の隆起34(不可視)を第1の区分20の頂部の溝24に摺動させる(
図2(d)を参照されたい)。
【0027】
いずれの実施例のキャップ10についても、キャップ10を閉鎖位置から開放位置へと移動させるとき、分注ストロー200がホルダー22内にないことを確実にし、キャップ10を開放位置から閉鎖位置へと移動させるとき、分注ストロー200がバルブステム120に取り付けられていないことを確実にする。
(態様)
(態様1)
キャップ(10)及び缶(100)を備える物品であって、前記缶が、頂部(110)、及び前記缶の前記頂部から延びるバルブステム(120)を備え、前記キャップが、(a)第1の区分(20)であって、前記缶の前記頂部のまわりに少なくとも部分的に嵌合し、前記缶に取り付けられる、第1の区分、ならびに(b)第2の区分(30)であって、それが、一般に前記缶の前記頂部の上にあり、前記缶の前記バルブステムを被覆する閉鎖位置から、一般に前記第1の区分の横にあることで、前記キャップが開放位置にあるとき、前記缶の前記バルブステムが前記キャップの前記第1の区分の上を延び、かつ前記キャップの前記第1の区分上及びその外周のまわり全体で障壁のないアクセスによって前記キャップの上でアクセス可能となる、前記開放位置へと移動可能であるように、前記第1の区分に移動可能に取り付けられる、第2の区分を備える、前記物品。
(態様2)
前記第2の区分が、(i)前記第2の区分が前記閉鎖位置から前記開放位置へと蝶番で動くことを可能にする蝶番(40)、ならびに(ii)前記第2の区分が前記第1の区分の前記頂部に沿って摺動し、その後、前記第1の区分の横を下に摺動することを可能にする噛合溝(24)及び隆起(34)からなる群から選択される手段によって、前記第1の区分に取り付けられる、態様1に記載の物品。
(態様3)
前記物品が、前記キャップが前記開放位置にあるとき、前記缶の前記バルブステムに取り付け可能である分注ストロー(200)を更に備え、前記第1及び第2の区分のうちの少なくとも1つの中に画定され、前記キャップが前記閉鎖位置にあるとき、前記分注ストローが保管のために中に存在し得るホルダー(22)が存在する、態様1または2に記載の物品。
(態様4)
前記分注ストローが、一般に前記分注ストローに対して垂直に延びる引き金(210)、及び前記分注ストローの側面の指パッド(220)のうちの少なくとも1つを更に備える、態様3に記載の物品。
(態様5)
前記ストローが前記バルブステムに取り付けられていないとき、前記バルブステムに取り付けられる引き金が不在である、態様4に記載の物品。
(態様6)
前記分注ストローが前記バルブステムに取り付けられるとき、前記分注ストローの前記レバー及び/または指パッドのまわりの障壁が不在である、態様4または態様5に記載の物品。
(態様7)
前記キャップの前記第1の区分及び第2の区分が、前記開放位置にあるとき、前記第2の区分が前記第1の区分に対して定位置に保持されることを可能にする保持機構(34)を有する、態様1〜6のいずれかに記載の物品。
(態様8)
前記キャップの前記第1の区分及び第2の区分が、前記閉鎖位置にあるとき、前記第2の区分が前記第1の区分に対して定位置に保持されることを可能にする保定機構(26)を有する、態様1〜7のいずれかに記載の物品。