特許第6763971号(P6763971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763971光学距離センサを較正するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763971
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】光学距離センサを較正するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/00 20060101AFI20200917BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   G01C3/00 120
   G01J1/02 P
【請求項の数】30
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-559175(P2018-559175)
(86)(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公表番号】特表2019-504331(P2019-504331A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】US2017015683
(87)【国際公開番号】WO2017132691
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/289,004
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518268525
【氏名又は名称】アウスター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】パカラ アンガス
(72)【発明者】
【氏名】フリクトル マーク
【審査官】 川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−128122(JP,A)
【文献】 特開2015−137987(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0260830(US,A1)
【文献】 特開平07−318325(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0038459(US,A1)
【文献】 特表2016−534346(JP,A)
【文献】 特開2013−181912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00−3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、該光学システムは、
バルク受信光学要素と、複数の感知開口を含む開口層と、複数の感知レンズを含むレンズ層と、複数の感知ピクセルを含むピクセル層とを含む受信器モジュールを含み、該開口層、該レンズ層、及び該ピクセル層は、複数の感知回路を形成するように配置され、該複数の感知回路における各感知回路は、前記光学システムに対して外部の領域内に閾値距離を超えて離散非重複視野を定め、並びに開口層内の感知開口、該レンズ層内の感知レンズ、及び該ピクセル層内の感知ピクセルを含む、
光学システム。
【請求項2】
各感知ピクセルは、単一サンプリング期間内に該感知ピクセル上に入射した光子の計数値に対応する信号又は信号のストリームを出力するように構成され、
前記光学システムは、プロセッサ及びコンピュータ可読媒体を更に含み、該プロセッサは、各感知ピクセルに対する前記視野の既知の位置を用いて入射光子計数値及び光子タイミング情報を前記光学システムに対して外部の領域の仮想3次元表現に変換する該コンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記光学システムに対して外部の領域内の空間又は容積の2次元又は3次元距離データを収集する静的画像センサとして機能するように構成される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記バルク受信光学要素は、焦点面を有し、前記複数の感知開口は、該焦点面と一致し、前記複数の感知回路における各感知回路は、前記バルク受信光学要素の光学的に背後であり、前記バルク受信光学要素からの光を受け取る、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記複数の感知回路の各々における前記感知ピクセルは、同じ波長を検出するように構成され、前記感知回路において受け取られる光を、該光が前記感知ピクセルに到達する前に、乱雑にする拡散器を更に含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
感知開口の列に平行な軸線の周りに回転されたときに、前記光学システムによって占有される容積の3次元距離データを収集する画像センサとして機能するように構成される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
各感知回路における前記感知ピクセルは、複数の単一光子アバランシェダイオード検出器(SPAD)を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項8】
前記光学システムは、バルク送信光学要素と光源とを含む発光器モジュールを更に含み、
前記光源は、複数の発光器を含み、該複数の発光器における各発光器は、作動波長での離散照明ビームを、前記バルク送信光学要素を通して前記光学システムに対して外部の領域の中に投影するように構成され、
各感知回路は、前記バルク受信光学要素と前記感知ピクセルの間に配置された光学フィルタを更に含み、該光学フィルタは、前記作動波長を含む光の波長の帯域を通過させる一方で該帯域の外側の光を遮断するように構成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項9】
前記複数の感知回路における各感知回路における前記光学フィルタは、前記複数の感知回路にわたるフィルタ層の一部であり、前記複数の感知回路の各々を通して同じ光の波長の帯域を通過させるように構成される、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記光源は、複数のレーザを含む、請求項8に記載の光学システム。
【請求項11】
前記複数のレーザは、単一チップ上に製作され、かつ温度の関数として実質的に類似の出力波長特性を示す、請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
前記複数のレーザは、感知開口ピッチ距離と実質的に同一の発光器ピッチ距離によって特徴付けられるアレイに配置される、請求項10に記載の光学システム。
【請求項13】
前記光源は、光学発光器のモノリシック垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む、請求項8に記載の光学システム。
【請求項14】
前記バルク受信光学要素及び前記バルク送信光学要素は、平面内にかつ互いから横方向にオフセットされて配置される、請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項15】
前記光源に熱的に結合された温度センサを更に含む、請求項14に記載の光学システム。
【請求項16】
前記光源に作動的に結合され、かつ該光源のパラメータを修正するように構成された調整器を更に含む、請求項8から請求項15のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項17】
前記調整器は、前記光源の温度を修正するように構成された温度調整器を含む、請求項16に記載の光学システム。
【請求項18】
前記受信器モジュールは、前記開口層からの較正開口と、該較正開口に整合された較正レンズと、該較正レンズに実質的に整合された較正ピクセルと、光学フィルタとを含む較正チャネルを更に含み、
前記光源は、前記光学システムの前にある領域の中に光の第1の部分を投影し、かつ前記較正チャネルにおける前記較正ピクセルの上に光の第2の部分を投影するように構成され、
前記調整器は、前記較正チャネルにおける前記較正ピクセルによって検出された光パワーに基づいて前記複数の発光器の温度を修正するように構成される、
請求項16に記載の光学システム。
【請求項19】
各感知回路は、前記バルク受信光学要素と前記感知ピクセルの間に配置された光学フィルタを更に含み、該光学フィルタは、光の狭い波長帯域を通過させる一方で該帯域の外側の光を遮断するように構成され、前記バルク受信光学要素、感知開口、感知レンズ、光学フィルタ、及び前記感知ピクセルは、光を収集し、光を平行化し、狭い波長帯域の外側のすべての光を阻止し、及び前記感知ピクセルに到達する光を検出するように協働する、請求項1から7のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項20】
距離測定を実行するための光学システムであって、該光学システムは、
バルク送信光学要素と光源とを含む発光器モジュールであって、該光源は、複数のレーザを含み、該複数のレーザにおける各レーザは、作動波長での離散照明ビームを該バルク送信光学要素を通して前記光学システムに対して外部の領域の中に投影するように構成される、発光器モジュールと、
バルク受信光学要素と、複数の感知開口を含む開口層と、複数の感知レンズを含むレンズ層と、複数の感知ピクセルを含むピクセル層と、該バルク受信光学要素と該複数の感知ピクセルの間に配置され、前記作動波長を含む光の波長の帯域を通過させる一方で該帯域の外側の光を遮断するように構成された光学フィルタ層とを含む受信器モジュールと、
を含み、
前記開口層、前記レンズ層、前記フィルタ層、及び前記ピクセル層は、複数の感知回路を形成するように配置され、該複数の感知回路における各感知回路は、前記光学システムに対して外部の領域内に閾値距離を超えて離散非重複視野を定め、並びに開口層内の感知開口、該レンズ層内の感知レンズ、該フィルタ層内の光学フィルタ、及び該ピクセル層内の感知ピクセルを含む、
光学システム。
【請求項21】
前記光源に作動的に結合され、かつ該光源の温度を修正するように構成された温度調整器を更に含む、請求項20に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項22】
前記受信器モジュールは、前記開口層からの較正開口と、該較正開口に整合された較正レンズと、該較正レンズに実質的に整合された較正ピクセルと、前記フィルタ層からの光学フィルタとを含む較正チャネルを更に含み、
前記光源は、前記光学システムの前にある領域の中に光の第1の部分を投影し、かつ前記較正チャネルにおける前記較正ピクセルの上に光の第2の部分を投影するように構成され、
前記温度調整器は、前記較正チャネルにおける前記較正ピクセルによって検出された光パワーに基づいて前記複数のレーザの温度を修正するように構成される、
請求項21に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項23】
各感知ピクセルは、単一サンプリング期間内に該感知ピクセル上に入射した光子の計数値に対応する信号又は信号のストリームを出力するように構成され、
前記光学システムは、プロセッサ及びコンピュータ可読媒体を更に含み、該プロセッサは、各感知ピクセルに対する前記視野の既知の位置を用いて入射光子計数値及び光子タイミング情報を前記光学システムに対して外部の領域の仮想3次元表現に変換する該コンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成される、請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項24】
前記複数のレーザは、単一チップ上に製作され、かつ温度の関数として実質的に類似の出力波長特性を示す、請求項23に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項25】
各感知回路における前記感知ピクセルは、複数の単一光子アバランシェダイオード検出器(SPAD)を含み、前記光源は、光学発光器のモノリシック垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む、請求項20から請求項24のいずれか1項に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項26】
距離測定を実行するための光学システムであって、該光学システムは、
バルク受信光学要素と、複数の開口を含む開口層と、複数のレンズを含むレンズ層と、複数のピクセルを含むピクセル層と、該バルク受信光学要素と該ピクセル層の間に配置された光学フィルタ層とを含み、複数の感知回路と少なくとも1つの較正チャネルとを更に含む受信器モジュールであって、該複数の感知回路における各感知回路は、前記光学システムに対して外部の領域内に閾値距離を超えて離散非重複視野を定め、該複数の感知回路における各感知回路及び該少なくとも1つの較正チャネルは、該開口層内の開口、該レンズ層内のレンズ、該フィルタ層内のフィルタ、及び該ピクセル層内のピクセルを含む、受信器モジュールと、
バルク送信光学要素と、作動波長での光をパラメータの関数として出力し、該バルク送信光学要素を通して前記光学システムの前にある領域の中に該光の第1の部分を投影し、かつ前記少なくとも1つの較正チャネルにおける前記ピクセルの上に該光の第2の部分を投影するように構成された複数の光学発光器を含む光源とを含む発光器モジュールと、
前記較正チャネルにおける前記ピクセルによって検出された光パワーに基づいて前記複数の光学発光器の前記パラメータを修正するように構成された調整器と、
を含む、光学システム。
【請求項27】
前記調整器は、前記少なくとも1つの較正チャネルにおける前記ピクセルによって検出された前記光パワーに基づいて前記光源の温度を修正するように構成された温度調整器を含む、請求項26に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項28】
前記調整器は、前記光源の負荷サイクルを修正する、請求項26に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項29】
前記複数の感知回路における各感知回路に対して、該感知回路における前記レンズは、該感知回路における前記開口に整合され、該感知回路における前記ピクセルは、該感知回路における該レンズに実質的に整合され、
前記複数の感知回路における各感知回路は、前記光学システムに対して外部の領域内に閾値距離を超えて離散非重複視野を定める、請求項26に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【請求項30】
前記光源から前記少なくとも1つの較正チャネルにおけるピクセルまで延びる光学バイパスを更に含む、請求項26から請求項29のいずれか1項に記載の距離測定を実行するための光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2016年1月29日出願の米国仮特許出願第62/289,004号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、一般的に光学センサの分野に関し、より具体的には、光学センサの分野における光学距離センサを較正するための新規で有用なシステム及び方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本明細書の第1の実施形態によるシステムの概略図である。
図2A】本明細書の第2の実施形態による概略図である。
図2B】本明細書の第2の実施形態のグラフ表現の図である。
図2C】本明細書の第2の実施形態のグラフ表現の図である。
図2D】本明細書の第2の実施形態のグラフ表現の図である。
図3A】本明細書の第3の実施形態による概略図である。
図3B】本明細書の第3の実施形態による概略図である。
図4】本明細書の第4の実施形態による概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の本発明の実施形態の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することではなく、当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするように意図したものである。本明細書に説明する変形、構成、実施、例示的実施、及び実施例は任意的であり、それらが説明する変形、構成、実施、例示的実施、及び実施例に限定されない。本明細書に説明する本発明は、これらの変形、構成、実施、例示的実施、及び実施例のいずれか及び全ての置換を含むことができる。
【0005】
1.システム
図1に示すように、一実施形態では、較正システム100(例えば、光学距離センサを較正するための)は、バルク送信光学要素(光学系(bulk transmitting optic)101とバルク受信光学要素(光学系(bulk receiving optic)102を含む。システム100はまた、バルク送信光学要素の背後でオフセットされ、かつ光の波長を温度の関数として出力するように構成された光源103と、バルク受信光学要素の背後に配置され、かつ感知開口120及び較正開口125を定める開口層104と、バルク送信光学要素の背後の光源から較正開口まで延びる光学バイパス105と、感知開口に実質的に軸線方向に整合された(aligned with)感知レンズ107を含み、かつ較正開口に実質的に軸線方向に整合された較正レンズ108を含み、バルク受信光学要素と反対側で開口層に隣接するレンズ層106と、開口層と反対側でレンズ層に隣接する光学フィルタ109と、感知レンズに実質的に軸線方向に整合された感知ピクセル111を含み、かつ較正レンズに実質的に軸線方向に整合された較正ピクセル112を含み、レンズ層と反対側で光学フィルタに隣接するピクセル層110と、光源に結合され、かつ較正ピクセルによって検出された光パワーに基づいて光源の温度を修正するように構成された温度調整器113とを含むことができる。図1の実施形態では、システム100はまた、光を光検出器の上に案内するように構成された拡散器170を含むことができる。一実施形態では、拡散器は、光を光検出器の上に収束させるように配置された光学収束レンズ層に含めることができる。収束レンズ層は、光学フィルタと光検出器の間に配置することができる。収束レンズ層はまた、マイクロレンズ、複数のマイクロレンズ、拡散器、又は光を光検出器の上に案内することができるいずれかの他の要素を含むことができる。これに加えて、図1の実施形態では、システム100は、ハウジング135に収容することができる。上述の実施形態では、様々な層が別の層に隣接するように説明したが、より少ない又は追加の層を含めることができることは認められるであろう。例えば、追加の開口層をいずれか2つの層の間に含めることができることは理解されるであろう。
【0006】
図3Aに示すように、システム300は、システム100の変形の実施形態であり、システム300は、バルク送信光学要素301と、バルク受信光学要素302と、バルク送信光学要素の背後でオフセットされ、かつ光の波長を温度の関数として出力するように構成された光源と、第1の較正開口と第2の較正開口とを定める開口層304と、バルク送信光学要素の背後の光源から第1の較正開口及び第2の較正開口まで延びる光学バイパス305と、第1の較正開口に実質的に軸線方向に整合された第1の較正レンズを含み、かつ第2の較正開口から軸線方向にオフセットされた第2の較正レンズを含み、光学バイパスと反対側で開口層に隣接するレンズ層306と、レンズ層に開口層と反対側で隣接する光学フィルタ309と、第1の較正レンズに実質的に軸線方向に整合された第1の較正ピクセルを含み、かつ第2の開口及び第2の較正レンズを通って延びる光線に整合された第2の較正ピクセルを含み、レンズ層と反対側で光学フィルタに隣接するピクセル層と、光源に結合され、かつ第1の較正ピクセル及び第2の較正ピクセルによって検出された光パワーに基づいて光源の温度を修正するように構成された温度調整器313とを含むことができる。システム300はまた、光源303に加えて第2の光源350を含むことができる。
【0007】
2.応用
一実施形態では、システム100は、感知開口の列と平行な軸線の周りに回転された時にシステム100によって占有される容積の3次元距離データを収集する画像センサとして機能する。同様に、システム100は、システム100の視野内の空間又は容積の2次元又は3次元の距離データを収集する静的画像センサとして機能することができる。一般的に、システム100は、3次元距離データを収集するために容積を走査することができ、データは、次に、光源からの照明ビームの伝送と感知ピクセル上に入射する光源から発した可能性が高い光子の検出との間で記録された時間に基づき、位相ベースの測定技術に基づき、又は別の距離測定技術等に基づくなどで容積の仮想3次元表現に再構成することができる。
【0008】
一実施形態では、システム100は、光源と、較正回路130と、感知回路とを含む。感知回路は、比較的狭い波長帯域(例えば、単一ターゲット波長±0.25ナノメートル)の光のみを対応する感知ピクセルに通過させるように協働する感知開口と、感知レンズと、光学フィルタとを含む。感知回路は、比較的狭い波長帯域内の光のみを検出するように構成されるので、システム100は、この比較的狭い波長帯域の範囲の光を出力するように光源を調整することができる。光源は、狭い波長帯域の光をある波長を中心とする分布パターンで出力することができる。光源の中心周波数は、光源の温度を変化させることによって変更することができるが(好ましいモード)、これに代えて、圧電効果又はいずれかの他の利用可能手段を使用することで光源の負荷サイクルを変化させることによって行うことができる。光源によって出力される光の中心波長を管理するために、較正回路は、光源に熱的に結合された調整器によって光源温度を能動的に制御することができる。特に、システム100のようないずれかの受器システムのエネルギ効率(すなわち、光源によって出力される光に対する感知回路によって読み取られる光の比)を実質的に最大にするために、較正回路は、光源によって出力される光の中心波長を感知回路によって通されて検出される中心波長に適合させることができる。
【0009】
感知回路内の光学フィルタは、光を入射角の関数として通過及び阻止することができ、製造欠陥は、感知開口と感知レンズが軸線方向に整合せず、感知レンズから出力された光が光学フィルタに対して垂直ではない他の角度で光学フィルタに到達するような開口層とレンズ層の間の横方向及び/又は長手方向のオフセットをもたらす場合がある。従って、製造中の開口層とレンズ層の不整合(misalignment)は、図2Bに示すように、光学フィルタが通過させるように構成される公称波長(すなわち、90°で光学フィルタ上に入射する光に対して光学フィルタが通過させる中心波長)以外の中心波長の光を通過させて検出する感知回路をもたらす場合がある。更に、開口層とレンズ層の間のそのような不整合は、システム100のユニット毎で不均一である場合があり、かつシステム100の単一ユニット内で周囲温度及び/又は周囲圧力等に起因して時間と共に変化する場合がある。同様に、光源(例えば、バーダイオードレーザ)は、光源の単一バッチ内であっても製造欠陥に起因して様々な出力特性(例えば、特定の作動温度での中心出力波長又は主出力波長の変化)を示す場合がある。
【0010】
従って、光源特定の中心出力波長対温度のモデルと、開口層及びレンズ層スタックに対して経験的に決定されるターゲット中心波長とを実施するのではなく、システム100は、感知回路に類似の較正回路を組み込むことができ、較正回路によって検出された光に基づいて温度調整器の出力を能動的に修正することができる。特に、較正回路は、同じ開口層内に感知開口として組み込まれた較正開口を含むことができ、同じレンズ層内に感知レンズとして組み込まれた較正レンズを含むことができ、光学フィルタ(例えば、光学フィルタ層)を感知回路と共有することができ、かつ同じピクセル層内に感知回路として組み込まれた較正ピクセルを含むことができる。従って、較正回路は、ピーク入射光に到達するように較正回路によって光源を調整することが同じく光源を感知回路に同調させるように、感知回路内で発生する製造欠陥をシミュレートすることができる。特に、システム100のユニットは、較正ピクセルおいて単位時間毎のピーク入射光子計数値(peak incident photon count)を作動を通して維持し、それによって較正回路と感知回路の両方への照明光学要素の出力を適合させ、システム100のユニット内の製造欠陥の実質的に固有のスタックをシステム100の多数のユニットに共通の閉ループフィードバックモデルを用いて自動的に補償するように温度調整器を能動的に操作することができる。
【0011】
一般的に、較正ピクセルによって記録されるピーク入射光子計数値は、光源の出力波長が較正回路のバルクピークパワー波長に適合した時に発生する。較正回路と感知回路は、共通の光学フィルタを共有し、共通の開口層によって定められた開口を含み、共通のレンズ層内にレンズを含み、開口とレンズの間に共通の横方向及び長手方向オフセットを受ける。従って、感知回路のバルクピークパワー波長は、較正回路のバルクピークパワー波長に実質的に等しい。作動中のシステム100の効率を高める(又は実質的に最大にする)ために、システム100は、較正ピクセルにおいて単位時間毎のピーク入射光子計数値に到達するように光源の出力波長を一意的に較正することができる。例えば、光源は、その温度に比例して変化する中心波長で光を出力することができ、システム100は、光源に結合された温度調整器の熱流束を能動的に操作することによって光源の中心出力波長を制御することができる。作動を通して、システム100は、内部温度、周囲温度、周囲圧力などの変化にも関わらず、長期間にわたって光源が感知回路に同調されたままに留まるように、較正ピクセルから読み取られた入射光子計数値に基づいて温度調整器の出力及び従って光源の中心出力波長を能動的に制御するための閉ループフィードバック技術を実施することができる。
【0012】
図2Aに示すように、一実施形態では、システム200は複数の較正回路を含むことができる。システム200は、バルク送信光学要素201と、バルク受信光学要素202と、光学フィルタ209と、感知開口220と、感知レンズ207と、感知ピクセル211と、光源203及び250と、光学バイパス205とを含むことができる。これらの構成要素は、図1に関して上述した構成要素と同じく構造化することができる。この変形では、各較正開口及び較正レンズ(例えば、較正開口225及び較正レンズ208又は個々に較正開口225−1、225−2、225−3、225−4及び較正レンズ208−1、208−2、208−3、208−4として)は、較正レンズが、このセット内で一意の公称角度(例えば、角度α0、α1、α2、α3のような)で光学フィルタに向けて光を出力するように、このセット内で一意の距離(例えば、距離d0、d1、d2、d3のような)だけオフセットさせることができる。例えば、システム100は、図2A及び図2Cに示すように、第1、第2、第3、及び第4の較正レンズがそれぞれ光学フィルタに対して0°、1°、2°、及び3°で光学フィルタに向う光を出力するように、一意のオフセット距離で組み付けられた第1の較正開口と較正レンズとのセット、第2の較正開口と較正レンズとのセット、第3の較正開口と較正レンズとのセット、及び第4の較正開口と較正レンズとのセットを含むことができる。従って、一実施形態では、較正開口は、較正レンズからオフセットさせることができる。当然ながら他の実施形態では、あらゆる個数の較正回路(例えば、較正開口、較正レンズ、較正ピクセルのセット)をシステムに含めることができる。この変形では、システム200は、サンプリング期間中に較正ピクセルの各々から(個々に較正ピクセル212−1、212−2、212−3、212−4から)の入射光子計数値(又は連続する入射光子間の時間のような)を読み取り、光源の中心出力波長がサンプリング期間中に較正回路によって読み取られた(従って、感知回路によって読み取られた)中心波長よりも長いか又は短いかをこの入射光子計数値セットに基づいて決定し、次に、それに則して光源の温度を温度調整器によって上昇又は低下させて光源によって出力される中心波長と較正回路によって読み取られる中心波長との整合を改善する。
【0013】
3.感知回路
図1及び図4に示すように、一部の実施形態では、システム100(及びシステム400)の感知回路は、バルク受信光学要素(例えば、102及び402)と、バルク受信光学要素の背後に配置されて感知開口及び較正開口を定める開口層と、バルク受信光学要素と反対側で開口層に隣接し、感知開口に実質的に軸線方向に整合された感知レンズを定めるレンズ層(例えば、107及び407)と、開口層と反対側でレンズ層に隣接する光学フィルタ(例えば、109及び409)と、レンズ層と反対側で光学フィルタに隣接し、感知レンズに実質的に軸線方向に整合されたピクセル層(例えば、111及び411)とを含むことができる。一般的に、バルク受信光学要素と、感知開口と、感知レンズと、光学フィルタと、感知ピクセルとは、光(例えば、周囲光及び光源によって出力された光)を収集し、光を平行化し、光源の中心出力波長を含む狭い波長帯域の外側にある全ての光を阻止し、かつ感知ピクセルに到達する光を検出するように協働する。こうしてシステム100(例えば、システム100内のプロセッサ)は、入射光子計数値、入射光子間の時間、照明ビーム出力時間に対する光子入射時間などを感知回路の視野内の面の位置に変換することができる。図4に示すように、システム100と同じくシステム400も、バルク送信光学要素401と、光源403及び450と、光学バイパス405と、調整器413と、較正回路430とを含むことができる。これらの構成要素は、図1のシステム100に関して説明したものと同じく構造化することができる。図4に更に示すように、システム400は、開口ピッチ距離440を含むことができる。
【0014】
一実施では、バルク受信光学要素は、システム100の外側からの入射光線をシステム100内の焦点面に向けて投影するように機能する。例えば、バルク受信光学要素は、収束レンズを定めることができ、光学フィルタが通過させる垂直光線の中心波長(すなわち、システム100の公称作動波長)で又はその近くで全バルク焦点距離をもたらすように協働する複数のレンズ、例えば、1又は2以上の両凸レンズ(図1及び図4に示す)を含むことができる。開口層は、焦点面と一致し(すなわち、バルク焦点距離の背後でバルク受信光学要素からオフセットされ)、感知開口とその周りの絞り領域とを定める比較的薄い不透明な構造体を含む。開口層の絞り領域は、入射光線を阻止(例えば、遮断、吸収、反射)し、感知開口は、入射光線を感知レンズに向けて通過させる。例えば、開口層は、感知回路の視野の幾何学的選択性を最大にするために回折限界直径に近い直径の感知開口を定めることができる。
【0015】
この実施では、感知レンズは、感知焦点距離によって特徴付けられ、焦点面から感知焦点距離だけオフセットされ、感知開口が通過させた光線を平行化し、平行化した光線を光学フィルタ内に通し入れる。例えば、感知レンズは、バルク受信光学要素の光線円錐に実質的に適合する光線円錐によって特徴付けられた収束レンズを含むことができ、バルク受信光学要素の開口を維持し、感知開口が通過させた光を平行化するためにバルク受信光学要素の焦点面から比較的短い感知焦点距離だけオフセットさせることができる。光学フィルタは、感知レンズから波長スペクトル内の平行光を受し、比較的狭い波長帯域(例えば、作動波長±0.25ナノメートル)の光を感知ピクセルに通過させ、この狭波長帯域の外側の光を遮断する。例えば、光学フィルタは、狭い光帯域通過フィルタを含むことができる。
【0016】
例えば、光源は、(主として)900nmの公称波長の光を出力することができ、光学フィルタは、899.95nmと900.05nmの間の光(光学フィルタ上に90°の角度で入射した)を通過させるように構成され、かつこの帯域の外側の実質的に全ての光(光学フィルタ上に90°の角度で入射した)を遮断するように構成された平面光学帯域通過フィルタを定めることができる。感知ピクセルは、光学フィルタが通過させた光(すなわち、「光子」)を受け取り、これらの入射光子を検出し、検出した光子の個数又は割合に対応する信号を出力するように機能する。例えば、感知ピクセルは、単一光子アバランシェダイオード検出器(「SPAD」)のアレイを含むことができ、所要時間が数ピコ秒、数ナノ秒、数マイクロ秒、又は数ミリ秒である1回のサンプリング期間中にピクセル上に入射する光子の計数値に対応する単一信号又は信号のストリームを出力することができる。
【0017】
一変形では、システム300は、図3A及び図3Bに示すように、感知開口と感知レンズと感知ピクセルとの複数のセットを含む複数の感知回路340(又は個々に340−1、340−2、340−3、及び340−4を)を含む。例えば、システム300は、単一バルク受信光学要素の背後に配置され、バルク受信光学要素の前の領域内に離散した(すなわち、システム100からの閾値距離を超えて重なることのない)視野を定めるオフセット感知開口320の列(個々に320−1、320−2のような)を含むことができる。一実施形態では、感知開口320の各々は、対応する感知レンズとそれぞれ整合される。システム300は、作動波長の離散照明ビームを各感知開口によって定められた視野内に投影する光源と、対応する感知開口が通過させた光線を平行化する感知レンズ列と、感知レンズ列にわたって比較的狭い波長帯域の光を選択的に通過させる光学フィルタと、入射光子を計数すること又は連続する入射光子間の時間を記録することなどによって入射光子を検出する感知ピクセルセットとを更に含むことができる。この例では、システム100は、そこからのある距離範囲にわたってサイズ及び幾何学形状が感知開口の視野に実質的に適合する照明パターンに従ってシステム100の前の領域内に照明ビームを選択的に投影することができる。特に、光源は、システム100が光源によって出力したパワーの微小量しか感知ピクセルを遮蔽する領域内の面を照明することによって浪費されることがないように、対応する感知ピクセルの視野内のシステム100の前の領域内の面を実質的に限定的に照明することができる。従って、システム100は、特に光源の中心出力波長が、感知回路によって読み取られる中心波長に適合する時に、入力信号(すなわち、ピクセルアレイ上に入射するように通された光子)に対する出力信号(すなわち、照明ビームパワー)の比較的高い比を達成することができる。
【0018】
別の変形では、システム100は、感知回路(すなわち、感知開口と感知レンズと感知ピクセルとのセット)の2次元格子アレイを含み、システム100によって占有される容積をサンプリング期間毎に2次元で撮像するように構成される。この変形では、システム100は、1次元距離データ(例えば、サンプリング期間中の入射光子の計数値及び/又は領域内の既知の視野に対応する感知ピクセル上に連続して入射する光子間の時間)を2次元感知ピクセル格子にわたって収集することができ、かつシステム100の前の領域の仮想3次元表現を再構成するためにこれらの1次元距離データを各感知ピクセルに対する視野の既知の位置と融合することができる。例えば、開口層は、300μmの開口ピッチ距離だけ垂直方向及び横方向にオフセットされた200μm径感知開口の24×24格子アレイを定めることができ、レンズ層は、300μmのレンズピッチ距離だけ垂直方向及び横方向にオフセットされた感知レンズの24×24格子アレイを含むことができる。この例では、ピクセル層は、300μm正方形感知ピクセルの24×24格子アレイを含むことができ、各感知ピクセルは、9つの100μm正方形SPADの3×3正方形アレイを含む。
【0019】
一実施では、バルク受信光学要素、開口層、レンズ層、光学フィルタ、及び拡散器は、製造され、次に整合され、ピクセル層上に装着される。一例では、光学フィルタは、溶融シリカ基板を被覆することによって製造される。次に、光学フィルタの上に光活性光学ポリマーが堆積され、光活性光学ポリマーの上にレンズ形態のアレイを定めるレンズモールドが配置され、光活性光学ポリマーを光学フィルタにわたるパターンのレンズに硬化させるためにUV光源が起動される。同じく光学フィルタにわたってスタンドオフがフォトリソグラフィ技術によってモールド成形又は形成される。開口層は、ガラスウェーハを選択的に金属化し、この金属層内に開口をエッチングすることによって別個に製造され、次に、ガラスウェーハは、これらのスタンドオフに接合又は他に装着される。この例では、次に、このアセンブリが逆さにされ、レンズ層の反対側で同じく光学フィルタにわたって第2のスタンドオフセットが製造される。ピクセル層(例えば、離散画像センサ)が第2のスタンドオフセットに整合されてそこに接合され、バルク受信光学要素も同じく開口層の上に装着されて感知回路スタックが完成する。
【0020】
これに代えて、バルク受信光学要素、開口層、レンズ層、及び光学フィルタは、フォトリソグラフィ技術及びウェーハレベル接合技術によって感知ピクセルを含む非ダイスカット半導体ウェーハ上に直接製造することができる。しかし、バルク受信光学要素、開口層、レンズ層、光学フィルタ、及びピクセル層は、いずれかの他の方式でいずれかの他の方法又は技術を用いて製造して組み立てることができる。
【0021】
4.出力回路
図1に示すように、システム100は、バルク送信光学要素と光源とを含む出力回路を含む。一実施では、バルク送信光学要素は、材料、幾何学形状(例えば、焦点距離)、断熱等においてバルク受信光学要素に実質的に等しく、バルク受信光学要素に隣接し、そこから横方向及び/又は垂直方向にオフセットされる。この実施では、光源は、バルク送信光学要素の背後に配置された発光器のモノリシックVCSELアレイを含む。一例では、光源は、感知開口ピッチ距離に実質的に等しい発光器ピッチ距離によって特徴付けられる発光器の列を定めるバーダイオードレーザを含むことができ、バーダイオードレーザは、同じチップ上に製造された発光器を含むので、これらの発光器は、温度の関数として実質的に類似の出力波長特性を示すことができる。この例では、各発光器は、開口層内の対応する感知開口の直径に実質的に等しい(又はそれよりも若干大きい)初期直径の照明ビームを出力することができ、光源は、図4に示すように、バルク送信光学要素から領域内に投影される各照明ビームが、システム400(例えば、システム100の変形)からのいずれかの距離で交差し、対応する感知回路の視野と実質的に同じサイズ及び幾何学形状のものであるように、バルク送信光学要素の焦点面に沿って配置することができる。従って、光源とバルク送信光学要素とは、感知回路の視野の外側の空間内の面を照明して浪費されるパワーを比較的殆ど伴わずに実質的に全ての出力パワーを感知回路の視野内に投影するように協働することができる。
【0022】
5.較正回路
図1に示すように、システム100は、光学バイパス105と、開口層104内に定められた較正開口125と、レンズ層106内に組み込まれた較正レンズ108と、感知回路(例えば、感知開口120、感知レンズ107、感知ピクセル111)と共有される光学フィルタ109と、ピクセル層110内に組み込まれた較正ピクセル112とを含む較正回路を更に含む。一般的に光学バイパス105は、光源103によって出力された一部の光線を較正開口125に送り込み、感知回路内の感知開口120、感知レンズ107、及び光学フィルタ109と同様に、較正回路内の較正開口125、較正レンズ108、及び光学フィルタ109が、光学バイパスから受け取った実質的に狭い波長帯域の光を較正ピクセルに通過させる。サンプリング期間中に較正ピクセルによって検出された入射光子の個数、入射光子の周波数、又は入射光パワー等に基づいて、システム100は、光源103の中心(又は主)出力波長が較正回路130の有効中心(又は主)作動波長に適合しているか否か、及び/又はどの程度適合しているかを決定することができ、従って、温度調整器の出力を光源の出力波長が較正回路130の有効作動波長にシフトされるように修正することができる。
【0023】
較正開口125、較正レンズ108、及び較正ピクセル112は、感知開口120、感知レンズ107、及び感知ピクセル111と同じ開口層104、レンズ層106、及びピクセル層110内に組み込まれ、更に較正回路130と感知回路(例えば、感知開口120、感知レンズ107、感知ピクセル111)とは同じ光フィルタ109を共有するので、較正回路130は、実質的に等しい製造欠陥(例えば、整合欠陥)を共有することができ、従って、実質的に等しい有効作動波長を示すことができる。更に、光学バイパスは、感知チャネルの視野を照明するものと同じ光源からの同じ光を通過させるので、光源の出力波長を較正回路の有効作動波長に適合させる温度調整器の操作は、光源の出力波長を感知回路の有効作動波長にも適合させ、それによってシステム100のパワー効率を増大させる。
【0024】
従って、上述した方法及び技術に従って較正開口を感知開口と実質的に同時に実質的に同じ位置精度で開口層内に形成することができ、較正レンズを感知レンズと実質的に同時に実質的に同じ位置精度でレンズ層内に形成することができ、較正ピクセルを感知ピクセルと実質的に同時に実質的に同じ位置精度でピクセル層内に形成することができる。光学フィルタは、較正回路と感知回路とにわたる単一又は単体の構造体を定めることができ、較正回路と感知回路の両方を含む開口層と、レンズ層と、光学フィルタと、ピクセル層とを上述のように組み立てることができる。
【0025】
一実施では、バルク送信光学要素は、バルク受信光学要素と同一平面にそこから横方向にオフセットされた状態で配置され、光学バイパスは、図1及び図4に示すように、バルク送信光学要素の背後にある光源の一端からバルク受信光学要素の背後の隣接領域へ、更に較正開口内に光を「吸い上げる」。例えば、光源が、複数の発光器を有するバーダイオードレーザを含む上述した実施では、光学バイパスは、バーダイオードレーザ上の一端の発光器から延び、バルク受信光学要素の背後にある較正開口の上に終端する光パイプ又は光学導波管を含むことができる。しかし、光学バイパスは、いずれかの他の構造体を含むことができ、光源からの光を較正回路内に伝達するいずれかの他の方式で機能することができる。
【0026】
6.較正
図2Aの実施形態では、システム200は、光源に結合されて較正ピクセルによって検出された光パワーに基づいて光源の温度を修正するように構成された温度調整器213を更に含む。一般的に、始動時及び/又は作動中に、システム200は、サンプリング期間中に較正ピクセルによって検出された入射光子の個数、入射光子の周波数、又は入射光パワーなどを読み取ることができ、較正ピクセルの出力に基づいて温度調整器の出力及び従って光源の温度及び中心(又は主)出力波長を修正する閉ループフィードバック技術を実施することができる。
【0027】
一実施では、システム200は、光源に熱的に結合された温度センサ230を更に含む。この実施では、始動時に、システム200は、温度調整器の負荷サイクル(例えば、熱出力)を立ち上げて光源を低い作動温度(例えば、80℃)に保持するための閉ループフィードバック制御を実施し、更に光源が低作動温度に保持される間にサンプリング期間にわたって較正ピクセルによって記録された入射光子計数値(又は入射光子の周波数のような)を格納する。次に、システム200は、光源において低作動温度から高作動温度(例えば、85℃)までの離散温度段階(例えば、0.5℃間隔)を達成するために温度調整器の負荷サイクルを漸増し、サンプリング期間にわたって作動温度範囲の各温度段階で較正ピクセルによって記録された入射光子計数値を格納する(システム200は、温度段階毎に複数のサンプリング期間にわたって較正ピクセルからの入射光子計数値を読み取り、当該温度段階に関する中央又は平均の光子計数値を記録することができる)。この実施では、システム200は、次に、温度段階セットにわたって較正ピクセルから読み取られたピーク入射光子計数値を識別し、対応する光源温度を初期ターゲット作動温度として設定し、この初期ターゲット作動温度に到達するように温度調整器の負荷サイクルを調節することができる。
【0028】
上述の実施では、連続作動を通して、システムは、較正ピクセルから入射光子計数値を読み取り、閾分散値(例えば、5%)よりも大きいもののような較正ピクセルによって読み取られた入射光子計数値の変化を検出し、それに則して温度調整器の出力を修正することができる。システムは、対応するサンプリング期間において温度センサから光源の温度を読み取り、較正ピクセル上の入射光子計数値の変化に応答して温度調整器の負荷サイクルを増大させるべきか又は低減すべきかを照明光学要素の温度変化に基づいて決定することができる。例えば、較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が2又は3以上のサンプリング期間にわたって下がり、温度センサが、光源の温度が同じく下がったことを示す場合に、システムは、温度調整器の熱出力を上げて、構成ピクセルによって記録された入射光子計数値が増加する時の光源の温度を格納する。入射光子計数値がピーク値に達し、次に、光源の温度増大と共に減少し始めると、システムは、温度の立ち上げ中に較正ピクセルによって記録されたピーク入射光子計数値に対応する光源の新しいターゲット作動温度を識別し、次に、この新しいターゲット作動温度に到達するように温度調整器の出力を下げることができる。
【0029】
別の例では、較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が2又は3以上のサンプリング期間にわたって下がり、温度センサが、光源の温度が同じサンプリング期間にわたって増大したことを示す場合に、システムは、温度調整器の熱出力を下げて、較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が増加する時の光源の温度を格納することができる。記録入射光子計数値がピーク値に達し、次に、光源の温度低下と共に減少し始めると、システムは、温度降下中に較正ピクセルによって記録されたピーク入射光子計数値に対応する新しいターゲット作動温度を識別し、この新しいターゲット作動温度に到達するように温度調整器の出力を上げることができる。
【0030】
更に別の例では、較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が2又は3以上のサンプリング期間にわたって閾変化値を超えて減少したが、これらのサンプリング期間にわたって光源において実質的な温度変化が検出されなかった場合に、システムは、光源の温度の1段階増大が提供されるように温度調整器の熱出力を立ち上げることができる。較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が光源の温度増大に応答して増加した場合に、システムは、入射光子が減少し始めるまで温度調整器の出力を上げ続け、この温度の立ち上げ中に較正ピクセルによって記録された新しいピーク入射光子計数値に対応する新しい(より高い)ターゲット作動温度を決定し、上述の例の場合と同様に、この新しいターゲット作動温度に到達するように温度調整器の出力を下げることができる。しかし、較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が光源の温度増大に応答して減少した場合に、システムは、温度調整器の熱出力を漸減させることができる。入射光子計数値が増加し、次に、光源の温度低下と共に減少し始めた場合に、システムは、この温度降下中に較正ピクセルによって記録されたピーク入射光子計数値に対応する新しい(より低い)ターゲット作動温度を決定し、上述の例の場合と同様に、この新しいターゲット作動温度に到達するように温度調整器の出力を上げることができる。
【0031】
従って、システムは、単一較正ピクセルによって検出された光子の個数(又は光子の周波数、連続する光子間の時間のような)に基づいて感知回路の有効作動波長に実質的に適合する光源の中心(又は主)出力波長に対応する温度に光源を維持する温度調整器の出力を達成するための閉ループフィードバック技術を実施することができる。
【0032】
他の実施では、システムは、レーザ内の内部ファブリー・ペロー空洞厚をMEMSアクチュエータ又は空洞内の圧電膜等によって能動的に調整し、垂直外部共振器面発光レーザ(「VECSEL」)の外部空洞長をMEMSアクチュエータなどを用いて能動的に調整することによって光源の出力波長を変化させることができる。更に他の実施では、システムは、MEMSジンバルアクチュエータを用いてフィルタを回転させることなどによる角度調整によって受器回路(receiver circuit)内のフィルタの中心波長を能動的に調整することなどによって受器回路の伝達波長(例えば、通過帯域中心波長)を変化させることができる。当然ながら、一部の実施形態では、システムは、受器回路の伝達波長を変化させるのに加えて、上述のように光源の出力波長を変化させることができる。上述の実施では、システムは、本明細書に説明するように光源及び/又は受器回路の出力波長を能動的かつ動的に調整するために閉ループの方法及び技術を実施することができる。
【0033】
7.拡張1次元較正回路
システムの一変形を図3A及び図3Bにシステム300として例示している。この実施形態では、システム300は、照明光学要素毎に330−0、330−1、330−2、330−3のような(例えば、4つの)較正回路のセットを含む。この変形では、上述した方法及び技術等に従って較正回路セット内の較正開口(例えば、325−0、325−1のような)を感知開口と実質的に同時に実質的に同じ位置精度で開口層内に形成することができ、較正回路セット内の較正レンズを感知レンズと実質的に同時に実質的に同じ位置精度でレンズ層内に形成することができ、更に較正回路セット内の較正ピクセルを感知ピクセルと実質的に同時に実質的に同じ位置精度でピクセル層内に組み込むことができる。光学フィルタも、較正回路セットと感知回路とにわたる単一又は単体の構造体を定めることができ、較正回路と感知回路の両方を含む開口層と、レンズ層と、光学フィルタと、ピクセル層とを上述のように組み立てることができる。更に、この変形では、図3A及び図3Bに示すように、光学バイパスは、光源から較正回路セット内の各較正開口内に光を送り込むことができる。
【0034】
この変形では、開口層がレンズ層の上に組み立てられる時に、選択される較正開口と較正レンズとの対が横方向及び/又は長手方向にオフセットされるように較正レンズをレンズ層に配置することができる。それによって較正回路セット内の特定の較正レンズが、アセンブリ内でそれに対にされた較正開口から意図的にオフセットされ、この特定の較正レンズは、開口から受け取った光を光学フィルタに向けて対応する軸外角度で通過させることができる。4つの較正回路を含む公称アセンブリ(すなわち、第1の較正開口と第1の較正レンズとが軸線方向に整合されたアセンブリ)の一例では、図2A及び図2Cに示すように、光学フィルタに対する法線から0°の角度で光を光学フィルタに向けて出力するように第1の較正レンズを第1の開口と軸線方向に整合させることができ、光学フィルタに対する法線から0°の角度で光を光学フィルタに向けて出力するために第2の較正レンズを第2の開口から第1の距離だけ横方向にオフセットすることができ、光学フィルタに対する法線から2°の角度で光を光学フィルタに向けて出力するために第3の較正レンズを第3の開口から第2の距離だけ横方向にオフセットすることができ、光学フィルタに対する法線から3°の角度で光を光学フィルタに向けて出力するために第4の較正レンズを第4の開口から第3の距離だけ横方向にオフセットすることができる。
【0035】
この変形では、システムは、第1の較正開口に軸線方向に整合された第1の較正レンズに軸線方向に整合された第1の較正ピクセルによって検出された光子の第1の光子計数値を計算する段階と、第2の較正開口から第1のオフセット距離だけオフセットされた第2の較正レンズから軸線方向にオフセットされた第2の較正ピクセルによって検出された光子の第2の光子計数値を計算する段階と、第1の光子計数値及び第2の光子計数値を光源でのターゲット温度変化に変換する段階と、光源に結合された温度調整器をこのターゲット温度変化に則して起動する段階とを含む光距離センサを較正する方法を実行することができる。
【0036】
特に、作動中に、システムは、図2Cに示すように、各較正ピクセルから入射光子計数値(又は連続する入射光子間の時間のような)を読み取り、サンプリング期間中の較正回路の有効作動波長と光源の中心(又は主)出力波長の間の差を較正ピクセルから読み取った入射光子計数値のパターンに基づいて特徴付け、次に、それに則して温度調整器の出力を維持する、上げる、又は下げることができる。一実施では、第1の較正回路が、システム内の他の較正回路によって記録された入射光子計数値よりも大きい入射光子計数値を記録した場合に、システムは、光源の中心出力波長が第1の較正回路の有効作動波長に適合しているか又はそれよりも長いかを決定することができる。システムは、次に、第1の較正ピクセルによって記録された入射光子計数値(又は入射光子周波数のような)が現在の閾値よりも小さい場合、第4の較正ピクセルによって記録された入射光子計数値が現在の閾値よりも小さい場合、又は第1の較正ピクセルによって読み取られた入射光子計数値と第2の較正ピクセルによって読み取られた入射光子計数値の間の差又は比が現在の閾値よりも小さい場合などに、光源の出力波長が過度に短いと決定し、それに則して温度調整器の熱出力を下げることができ、それによって光源の出力波長を短くする。しかし、この実施では、第2の較正回路が、第1の較正回路を含むシステム内の他の較正回路によって記録された入射光子計数値よりも大きい入射光子計数値を記録した場合に、システムは、光源の中心出力波長が第1の較正回路の有効作動波長よりも短いと決定し、それに則して温度調整器の熱出力を第1の速度で上げ、それによって光源の出力波長を長くする。更に、この実施では、第3の較正回路が、第1及び第2の較正回路を含むシステム内の他の較正回路によって記録された入射光子計数値よりも大きい場合に、システムは、ここでもまた光源の中心出力波長が較正回路の有効出力波長よりも長いと決定し、それに則して温度調整器の熱出力を第1の速度よりも高い第2の速度で上げ、それによって光源の出力波長をより急速に長くする。従って、システムは、作動を通して、較正ピクセルによって記録された入射光子計数値に基づいて温度調整器の出力を実質的に実時間で能動的に調節することができる。
【0037】
これに代えて、システムは、光子計数値テンプレートセット(又はルックアップテーブルのような)をローカルに格納することができ、各光子計数値テンプレートは、感知回路の有効作動波長と光源の中心(又は主)出力波長の間の特定の絶対差又は相対差での較正回路セットに関する絶対的又は相対的な入射光子計数値を含む。この場合システムは、サンプリング期間中に較正ピクセルセットによって記録された入射光子計数値セットを光子計数値テンプレートセット内の特定の光子計数値テンプレートと適合させるテンプレート適合技術を実施し、次に、それに則して、光源の熱出力を適合した光子計数値テンプレートに関連付けられた熱出力変化ターゲット等に基づいて修正することができる。しかし、システムは、サンプリング期間中に較正回路セットによって読み取られた入射光子計数値を光源に対する新しい熱出力ターゲットに変換するいずれかの他の方法又は技術を実施することができる。システムは、作動を通して光源の中心出力波長と感知回路の有効作動波長の間の整合を維持するために各サンプリング期間(又は連続するサンプリング期間の各セット)に対してこの処理を繰り返すことができる。
【0038】
8.拡張較正回路での欠陥補償
光学フィルタにおいて異なる光出力角度をもたらす4つの較正回路を含むシステムの別の例において、製造欠陥又は製造限界に起因して、図2Dに示すように、第1の較正レンズが第1の開口から第1の距離だけオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から−1°の角度で光が光学フィルタに向けて出力され、第2の較正レンズが第2の開口と実質的に軸線方向に整合されており、従って、光学フィルタに対する法線から0°の角度で光が光学フィルタに向けて出力され、第3の較正レンズが第3の開口から第1の距離だけ横方向にオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から1°の角度で光が光学フィルタに向けて出力され、第4の較正レンズが第4の開口から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ横方向にオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から2°の角度で光が光学フィルタに向けて出力されるようにレンズ層が開口層と不整合状態にある場合がある。この例では、システムは、単位時間毎に第1の較正ピクセルによって記録される入射光子計数値(又は入射光子周波数のような)を実質的に最大にするために光源の熱出力を調節する上述した方法及び技術を実施することができる。上記で記載して図2Dに示すように、第1の較正回路と第3の較正回路が、第2及び第4の較正回路によって記録された入射光子計数値よりも大きいものでもある実質的に類似の入射光子計数値を記録した場合に、システムは、光源の中心出力波長が第1の較正回路の有効作動波長に適合するか又はそれよりも長いかを決定することができる。更に、システムは、第1の較正ピクセルによって記録された入射光子計数値(又は入射光子周波数のような)が現在の閾値よりも小さい場合、又は第1の較正ピクセルによって読み取られた入射光子計数値と第2の較正ピクセルによって読み取られた入射光子計数値の間の差(又は比)が現在の閾値よりも小さい場合などに、光源の出力波長が過度に短いと決定し、それに則して温度調整器の熱出力を下げることができ、それによって光源の出力波長を短くする。しかし、この実施では、図2Dに示すように、第2の較正回路が、システム内の他の較正回路によって記録された入射光子計数値よりも大きい入射光子計数値を記録した場合に、システムは、光源の中心出力波長が第1の較正回路の有効作動波長よりも短いと決定することができ、それに則して温度調整器の熱出力を上げ、それによって光源の出力波長を長くする。これに代えて、上述のように、システムは、サンプリング期間中に較正ピクセルセットによって記録された入射光子計数値を光子計数値テンプレートに適合させ、それに則して温度調整器の熱出力を修正することができる。
【0039】
レンズ層が開口層と不整合状態にある類似の例において、第1の較正レンズは第1の開口から第1の距離だけオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から−0.5°の角度で光が光学フィルタに向けて出力され、第2の較正レンズは第2の開口から第1の距離だけオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から0.5°の角度で光が光学フィルタに向けて出力され、第3の較正レンズは第3の開口から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ横方向にオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から1.5°の角度で光が光学フィルタに向けて出力され、第4の較正レンズは第4の開口から第2の距離よりも大きい第3の距離だけ横方向にオフセットされており、従って、光学フィルタに対する法線から2.5°の角度で光を光学フィルタに向けて出力する。
【0040】
別の例において、システムは、光源を出力波長領域にわたって走査し(例えば、作動範囲にわたって光源の温度を変化させることにより)、走査中の光源の様々な出力波長に関して(又は走査中の光源の各離散温度で)較正テンプレート内の較正ピクセルセットにわたる単位時間毎の入射光子計数値を記録し、走査中の光源の様々な出力波長に関して感知ピクセルにわたる単位時間毎の入射光子計数値を記録し、感知ピクセルにわたる単位時間毎の最も高い入射光子計数値をもたらす特定の光源波長(又は温度)を識別し、走査からの特定の光源波長に対応する特定の較正テンプレートをターゲット較正テンプレートとして設定することによって初期較正を実施する。その後に、作動中に、システムは、較正ピクセルセットにわたる単位時間毎の入射光子計数値をターゲット較正テンプレートに適合させるように光源の出力波長を変化させることができる(例えば、光源の温度を変化させることにより)。
【0041】
しかし、較正開口と較正レンズは、いずれかの他のスキーマに則して名目上オフセットされたものとすることができ、かつ製造欠陥、製造限界等に起因していずれかの他の方式でオフセットされたものとすることができる。システムは、較正回路の有効作動波長及び従って感知回路の有効作動波長と光源の間の整合を特徴付け、それに則して温度調整器の熱出力を修正するいずれかの他の方法又は技術を実施することができる。
【0042】
9.拡張2次元較正回路
別の実施において、システムは、複数の軸線に沿って配置された較正回路を含む。例えば、システムは、原点位置に配置され、公称システムアセンブリ内で光を0°の角度で光学フィルタに向けて通過させるように構成された第1の較正回路と、第1の較正回路から横方向にオフセットされ(例えば、X軸に沿ってオフセットされ)、公称システムアセンブリ内で光を1°の角度で光学フィルタに向けて通過させるように構成された第2の較正回路と、第2の較正回路から横方向にオフセットされ、公称システムアセンブリ内で光を2°の角度で光学フィルタに向けて通過させるように構成された第3の較正回路と、第1の較正回路から長手方向にオフセットされ(例えば、Y軸に沿ってオフセットされ)、公称システムアセンブリ内で光を1°の角度で学フィルタに向けて通過させるように構成された第4の較正回路と、第3の較正回路から長手方向にオフセットされ、公称システムアセンブリ内で光を2°の角度で光学フィルタに向けて通過させるように構成された第5の較正回路とを含むことができる。従って、この2次元較正回路アレイは、開口層に対するレンズ層の横方向オフセットと長手方向オフセットの両方を表す入射光子データを収集することができ、システムは、光源の中心出力波長を感知回路の有効作動波長に整合させるために、上述した方法及び技術等に従ってこれら5つの較正ピクセルにわたって記録された入射光子計数値の間の絶対差又は相対差に基づいて温度調整器の熱出力を修正することができ、それによって開口層に対するレンズ層の横方向オフセットと長手方向オフセットの両方を補償する。
【0043】
10.複数の光源
一変形では、システムは、複数の離散光源を更に含む。この変形では、各光源は、1つの離散バルク送信光学要素と対にされ、開口層、レンズ層、光学フィルタ、及びピクセル層内に組み込まれた較正回路(又は較正回路セット)と対にされ、かつ光源と対応する較正回路の較正開口の間に挿入された光学バイパスと対にされる。例えば、システムは、バルク受信光学要素の反対長辺上にある第1のバルク送信光学要素及び第2のバルク送信光学要素と、第1のバルク送信光学要素の背後にある第1の照明光学要素と、第2のバルク送信光学要素の背後にある第2の照明光学要素とを含むことができる。この例では、各光源及びそれに対応するバルク送信光学要素は、照明ビームセットをシステム内の対応する感知回路の視野内に投影することができ、それによって単一類似の光源のみを有するシステムと比較して感知回路の視野毎に2倍の照明パワーが得られる。
【0044】
しかし、この変形では、システム内の様々な光源は、作動中の出力において特定の作動温度に対して異なる中心出力波長及び/又は作動温度変化毎に異なる中心出力波長変化のような差を示す場合がある。従って、システムは、光源毎に離散光学バイパス及び較正回路を含むことができる。特に、上述の例では、システムは、第1の光源から第1の較正開口まで開口層の第1の長辺の上に延びる第1の光学バイパスと、第2の光源から第2の較正開口まで開口層の第1の辺とは反対の第2の長辺の上に延びる第2の光学バイパスと、第1の光源に熱的に結合された第1の温度調整器と、第2の光源に熱的に結合され、第1の温度調整器とは独立して制御される第2の温度調整器とを含むことができる。従って、システムは、第1の光源の中心出力波長をそれに対応する較正回路の有効作動波長に第2の光源とは独立して適合させ、第2の光源に関しても同じく適合させるために上述の方法及び技術を実施することができる。
【0045】
しかし、この変形では、システムは、感知回路によって定められた視野を照明し、かつ各光源の出力波長を感知回路の有効作動波長に適合させるために、あらゆる他の個数及び構成の光源、バルク送信光学要素、光学バイパス、温度調整器、及び較正回路を含むことができる。
【0046】
本明細書に説明するシステム及び方法は、少なくとも部分的には、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成された機械として具現化及び/又は実施することができる。命令は、アプリケーション、アプレット、ホスト、サーバ、ネットワーク、ウェブサイト、通信サービス、通信インタフェース、ユーザコンピュータ又はモバイルデバイスのハードウエア/ファームウエア/ソフトウエア要素、リストバンド、スマート電話、又はこれらのいずれかの適切な組合せに統合されたコンピュータ実行可能構成要素によって実行することができる。この実施形態の他のシステム及び方法は、少なくとも部分的には、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成された機械として具現化及び/又は実施することができる。命令は、上述したタイプの装置及びネットワークに統合されたコンピュータ実行可能構成要素によって統合されたコンピュータ実行可能構成要素によって実行することができる。コンピュータ可読命令は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CD又はDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、又はあらゆる適切なデバイスのようなあらゆる適切なコンピュータ可読媒体上に格納することができる。コンピュータ実行可能構成要素は、プロセッサとすることができるが、あらゆる適切な専用ハードウエアデバイスが(これに代えて又はこれに加えて)命令を実行することができる。
【0047】
当業者が上記の詳細説明から及び図面及び特許請求の範囲から認識するであろうように、以下の特許請求の範囲に定めるような本発明の範囲から逸脱することなく本発明の実施形態に対して修正及び変更を加えることができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4