特許第6763977号(P6763977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763977情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763977
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20200917BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20200917BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20200917BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20200917BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20200917BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/0969
   B60W30/10
   B60W50/10
   B60W50/14
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-565585(P2018-565585)
(86)(22)【出願日】2018年1月31日
(86)【国際出願番号】JP2018003111
(87)【国際公開番号】WO2018143238
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年7月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-16008(P2017-16008)
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】永田 宏
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】後藤田 明
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/111507(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/129366(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
B60W 30/10
B60W 50/10
B60W 50/14
G08G 1/0969
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得するルート取得部と、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する自動運転区間決定部と、
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する設定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記計算要素には時間情報、天候情報、車種情報、センサ情報の少なくともいずれか一つの情報が紐付けられており、
前記設定部は、前記適合係数を前記情報に基づく分類別に設定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記適合係数記憶部を備えている外部装置と、前記移動体の外部ネットワークを介して通信し、前記適合係数を取得する適合係数取得部を更に備える、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記適合係数記憶部を更に備える、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記自動運転区間決定部は、前記移動体の特性を特定可能な情報に基づいて前記適合係数を補正する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記自動運転区間決定部により決定された前記移動体の自動運転区間を識別可能な状態で、前記移動ルートを表示装置に表示させる表示処理部を更に備える、
請求項1〜のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示処理部は、前記移動ルートの表示において、前記自動運転区間に含まれる各区間に対してそれぞれ設定されている適合係数に基づいて、前記各区間の表示態様を変える、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数を統計処理した統計処理値を算出する算出部を更に備え、
前記表示処理部は、前記算出部により算出された前記移動ルートの統計処理値を、当該移動ルートと共に表示装置に表示させる、
請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ルート取得部により複数の移動ルートが取得された場合に、前記算出部により算出された前記複数の移動ルートそれぞれの統計処理値に基づいて、前記複数の移動ルートのうちの1つを選択するルート選択部を更に備える、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記移動ルートの走行中に、前記移動ルートに含まれる各区間に対して設定されている適合係数に基づいて、前記移動体内で出力する情報を制御する情報出力部を更に備える、
請求項1〜のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報出力部は、前記移動ルートに含まれる各区間に対して設定されている適合係数が基準以下となる地点から所定距離内の位置に前記移動体が近づいた場合、所定のメッセージを出力する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記情報出力部は、前記所定のメッセージと共に、前記地点に続く区間において注意すべき内容に関する情報を出力する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得する工程と、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する工程と、
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得する手段
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する手段、及び、
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転機能を搭載する車両が身近なものになってきており、車両の自動運転に関連する様々な技術が開発されている。例えば、下記特許文献1には、探索したルートに含まれる区間が自動運転区間か非自動運転区間かに応じたコストと、ある区間において次の区間が運転区間か非自動運転区間かに応じたコストとの総和を算出し、探索したルートを決定する際の指標として用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−133328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行区間における雷雨や霧、西日などの影響や、自車両の幅や搭載しているセンサの性能などの車両の特性といった様々な要因が、その走行区間において安定した自動運転が可能か否かに影響を与え得る。すなわち、実際の道路では、自動運転可能とされている区間で必ずしも自動運転ができるという訳ではない。特許文献1に記載の技術では、探索したルートに含まれる自動運転区間および非自動運転区間に応じたコストを算出するのみであり、このような要因を考慮して自動運転区間を決定することまではできていない。そのため、例えば本来は自動運転区間であるにも関わらず、実際には運転手が手動運転で対応しなければならない区間を頻繁に含むルートを選択してしまうなどして、自動運転機能を有効的に活用できない可能性がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、自動運転機能を有効的に活用可能とする技術を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得するルート取得部と、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する自動運転区間決定部と、
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する設定部と、
を備える情報処理装置である。
【0007】
請求項13に記載の発明は、
コンピュータが、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得する工程と、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する工程と、
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する工程と、
を含む情報処理方法である。
【0008】
請求項14に記載の発明は、
コンピュータを、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得する手段、及び、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する手段、及び、
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する手段、
として機能させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】第1実施形態における機能構成を概念的に示すブロック図である。
図2】複数の区間で構成される道路の一例を示す図である。
図3】適合係数記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図4】情報処理装置のハードウエア構成を例示する図である。
図5】第1実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
図6】車両の出発地と目的地、並びに、車両の移動ルートを例示する図である。
図7】第1実施形態の第1の変形例における機能構成を概念的に示すブロック図である。
図8】第1実施形態の第2の変形例における機能構成を概念的に示すブロック図である。
図9】第2実施形態における情報処理装置の機能構成を概念的に示すブロック図である。
図10】計算要素記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図11】第2実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
図12】第2実施形態の変形例における機能構成を概念的に示すブロック図である。
図13】第3実施形態における情報処理装置の機能構成を概念的に示すブロック図である。
図14】第3実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
図15】第4実施形態における情報処理装置の機能構成を概念的に示すブロック図である。
図16】第4実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
図17】第4実施形態の表示処理部によってディスプレイ装置に表示される情報の一例を示す図である。
図18】第5実施形態における情報処理装置の機能構成を概念的に示すブロック図である。
図19】第5実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
図20】第5実施形態の表示処理部によってディスプレイ装置に表示される情報の一例を示す図である。
図21】第6実施形態における情報処理装置の機能構成を概念的に示すブロック図である。
図22】情報処理装置のハードウエア構成を例示する図である。
図23】第6実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、特に説明する場合を除き、ブロック図における各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。
【0012】
[第1実施形態]
〔機能構成〕
図1は、第1実施形態における機能構成を概念的に示すブロック図である。図1に示される情報処理装置20は、例えば車両に搭載される装置である。ここで「車両に搭載」とは、車両の部品として当該車両に組み込まれることのみならず、別途組み立てられた単体の装置が車両室内または車両室外に設置されることを含む。すなわち、情報処理装置20は、例えば車両のインスツルメントパネル内に埋め込まれたナビゲーション装置であっても、運転者により携帯され車両に持ち込まれた携帯端末やコンピュータであってもよい。以下、図1に示される情報処理装置20の各処理部について説明する。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態の情報処理装置20は、ルート取得部202、及び、自動運転区間決定部204を少なくとも備える。また、本図の例では、情報処理装置20は適合係数記憶部206を更に備えている。後述するが、適合係数記憶部206は、情報処理装置20と通信可能に接続された外部装置(図示せず)に備えられていてもよい。
【0014】
ルート取得部202は、移動体(例えば、車両)の移動ルートを示すルート情報を取得する。ルート情報は、例えば、ダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを実装したプログラムを利用して生成される。ルート取得部202は、経路探索アルゴリズムを実装したプログラムがインストールされた外部装置と通信(例えば、出発地と目的地の位置情報を当該外部装置に送信)して、当該外部装置からルート情報を取得することができる。また、経路探索アルゴリズムを実装したプログラムが情報処理装置20にインストールされている場合、ルート取得部202は、当該プログラムの入力情報として出発地および目的地の位置情報を与えることによって、当該プログラムからルート情報を取得することができる。
【0015】
自動運転区間決定部204は、区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部206を参照し、ルート取得部202により取得されたルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の適合係数に基づいて、当該移動ルートにおける自車両の自動運転区間を決定する。
【0016】
ここで、例えば図2に示すような形状の道路が存在するものとして、自動運転区間決定部204の動作を説明する。図2は、複数の区間で構成される道路の一例を示す図である。図2中において、黒丸は区間の始点または終点を示す。また、図2中において、二重実線の区間(図中S2からS10)は、例えば国や自治体などによって制定された、自動運転が許可された区間(以下、「自動運転可能区間」とも表記)を示す。また、図2中において、二重点線の区間(図中S1およびS11)は、上記自動運転可能区間以外の、自動運転が認められていない区間(以下、「自動運転不可区間」とも表記)を示す。
【0017】
この場合、適合係数記憶部206は、図3に示すような情報を記憶することができる。図3は、適合係数記憶部206に記憶される情報の一例を示す図である。図3に示すように、適合係数記憶部206は、自動運転が可能か否かを示す情報(図中「自動運転可否」の列に格納される「自動運転可能区間」か「自動運転不可区間」か、を示す情報)と共に、その区間で安定した自動運転走行が可能かどうかを示す指標として、自動運転の適合係数を記憶する。図3の例では、適合係数の数値が高いほど安定した自動運転が可能な区間であることを示す。なお、図3に示される内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に制限されない。例えば、適合係数記憶部206は、自動運転の可否を示す情報を記憶していなくてもよい。
【0018】
自動運転区間決定部204は、ルート取得部202が取得したルート情報が示す移動ルートを基に当該移動ルートに含まれる区間を特定し、特定した区間に紐付けられた適合係数を取得することができる。ここで、例えば安定した自動運転が可能と判断できる基準閾値を予め定めておくことにより、自動運転区間決定部204は、適合係数が当該基準閾値を超える区間を自車両の自動運転区間として決定することができる。そして、自動運転区間決定部204は、決定された自車両の自動運転区間を示す情報を生成することができる。
【0019】
以上、本実施形態では、自車両の移動ルートを示すルート情報と、区間別に設定された自動運転に対する適合係数とを用いて、自車両の自動運転区間を決定並びに制御することが可能となる。これにより、自動運転機能を有効的に活用できる。
【0020】
また、自動運転区間決定部204により決定された自車両の自動運転区間を、様々な処理の入力として活用することができる。例えば、ナビゲーション機能を備える装置に、自動運転区間決定部204によって決定された自動運転可能区間における自車両の自動運転区間を示す情報を出力することができる。当該装置は、自動運転区間決定部204によって決定された自動運転区間を示す情報を用いて、自車両の自動運転区間を識別可能な状態で目的地までのルートを表示させることが可能となる。また、当該装置は、位置推定アルゴリズムを用いて推定した自車両の位置と、自動運転区間決定部204により決定された自動運転区間とを比較し、自車両の位置が自動運転区間の始点や終点に所定の閾値以上近づいた場合などに、メッセージ等を出力することが可能となる。また、自動運転区間決定部204は、自動運転制御を行う処理部を含むECU(Electronic Control Unit)に自車両の自動運転区間を示す情報を出力することができる。この場合、ECUは、位置推定アルゴリズムを用いて推定した自車両の位置と、自動運転区間決定部204により決定された自動運転区間とを比較し、自車両が自動運転区間にいる間は自動運転を行い、それ以外の区間にいる間は運転手に手動運転を行わせるように制御することが可能となる。
【0021】
以下、第1実施形態をより詳細に説明する。
【0022】
〔ハードウエア構成〕
情報処理装置20の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、情報処理装置20の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0023】
図4は、情報処理装置20のハードウエア構成を例示する図である。計算機10は、情報処理装置20を実現する計算機である。計算機10は、情報処理装置20を実現するために専用に設計された計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。
【0024】
計算機10は、バス102、プロセッサ104、メモリ106、ストレージデバイス108、入出力インタフェース110、及びネットワークインタフェース112を有する。バス102は、プロセッサ104、メモリ106、ストレージデバイス108、入出力インタフェース110、及びネットワークインタフェース112が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ104などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ104は、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリ106は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス108は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現される補助記憶装置である。
【0025】
入出力インタフェース110は、計算機10を周辺機器15と接続するためのインタフェースである。例えば、入出力インタフェース110には、衛星からのGPS信号を受信してGPS情報を生成するためのGPSモジュール1101や、車両の角速度および加速度を示す情報を生成するための慣性計測装置1102などが接続される。なお、慣性計測装置1102は、例えばジャイロセンサなどを用いて車両の角速度および加速度を示す情報を生成することができる。また、入出力インタフェース110には、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置1103、ディスプレイ装置1104、又は、それらが一体となったタッチパネルなどが更に接続されてもよい。
【0026】
ネットワークインタフェース112は、計算機10を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えばWAN(Wide Area Network)通信網である。ネットワークインタフェース112が通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。例えば計算機10は、ネットワークインタフェース112を介して、外部の装置(例えば、サーバ装置など)と通信することができる。外部のサーバ装置が適合係数記憶部206を備えている場合、情報処理装置20は、ネットワークインタフェース112を介してサーバ装置と通信し、適合係数を取得することができる。
【0027】
ストレージデバイス108は、情報処理装置20の各機能構成部を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ104は、このプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、情報処理装置20の機能を実現する。ストレージデバイス108は、例えば、図3に示すような情報を更に記憶していてもよい。この場合、ストレージデバイス108は、適合係数記憶部206としての役割を果たす。
【0028】
〔動作例〕
図5を用いて、本実施形態の情報処理装置20の動作の一例を説明する。図5は、第1実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
【0029】
ルート取得部202は、出発地および目的地の位置情報を基に、これらの2地点を結ぶ移動ルートを示すルート情報を取得する(S102)。ルート取得部202は、例えば、入出力インタフェース110に接続された入力装置(タッチパネルなど)を介して、出発地および目的地の位置情報を取得する。ルート取得部202は、出発地の位置情報を、入出力インタフェース110に接続されたGPSモジュールから取得してもよい。また、ルート取得部202は、最適な移動ルートのルート情報のみを取得してもよいし、複数の移動ルート(例えば、最適経路の計算において得られた、上位所定数の移動ルート)それぞれのルート情報を取得してもよい。
【0030】
ここで、図2に例示される形状の道路において、区間S1の左端を出発地、区間S11の上端を目的地として定めたと仮定する。この場合、車両の移動ルートとしては、図6に示すようなルート(ルートAおよびルートB)が想定される。図6は、車両の出発地と目的地、並びに、車両の移動ルートを例示する図である。ルート取得部202は、ルートAを示すルート情報およびルートBを示すルート情報の少なくともいずれか一方を取得することができる。以下では、ルートAを示すルート情報とルートBを示すルート情報の双方を取得したものとして説明する。
【0031】
自動運転区間決定部204は、S102の処理においてルート取得部202が取得したルート情報の1つを選択する(S104)。例えば、自動運転区間決定部204は、ルートAを示すルート情報およびルートBを示すルート情報のいずれか1つを選択することができる。
【0032】
そして、自動運転区間決定部204は、S104の処理で選択したルート情報が示す移動ルートに含まれる区間を1つ選択する(S106)。例えば、S104の処理でルートAを示すルート情報が選択された場合、自動運転区間決定部204は、ルートAに含まれる区間(S1、S2、S5、S7、S9、S10、S11)の中のいずれか1つを選択することができる。ここで、自動運転区間決定部204は、移動ルートに含まれる区間を任意に選択することができる。例えば、自動運転区間決定部204は、ルート情報の出発地に近い区間から順に選択することができる。
【0033】
自動運転区間決定部204は、適合係数記憶部206を参照して、S106の処理で選択した区間に対応する適合係数を取得する(S108)。例えば、自動運転区間決定部204は、S106の処理において区間S1を選択した場合、図3に示すような適合係数記憶部206を参照して、区間S1に対応する適合係数(この場合は「−(適合係数なし)」)を取得することができる。また、自動運転区間決定部204は、S106の処理において区間S2を選択した場合、図3に示すような適合係数記憶部206を参照して、区間S2に対応する適合係数(この場合は「50」)を取得することができる。
【0034】
自動運転区間決定部204は、S104で選択したルート情報が示す移動ルートに含まれる全ての区間が選択されるまで、上述のS106およびS108の処理を繰り返す。
【0035】
自動運転区間決定部204は、S104で選択したルート情報が示す移動ルートに含まれる全ての区間を選択して全ての区間の適合係数を取得した後、各区間の適合係数を用いて、S104で選択したルート情報が示す移動ルートにおける自動運転区間を決定する(S110)。以下、自動運転区間決定部204の処理を具体的に説明する。
【0036】
自動運転区間決定部204は、例えば、適合係数が閾値以上である区間を自車両の自動運転区間(自動運転を行う区間)として設定することができる。ここでは、自動運転区間決定部204は、適合係数が35以上の区間を自車両の自動運転区間と判断し、適合係数が35未満である区間(本例では、適合係数が設定されていない区間も含む)を自車両の手動運転区間と判断するものとする。また、自動運転区間決定部204は、自車両の自動運転区間のうち適合係数が50以上の区間を、安定した自動運転が可能な区間と判断するものとする。また、自動運転区間決定部204は、自車両の自動運転区間のうち適合係数が35以上50未満である区間を、自動運転が何らかの理由により妨げられる可能性のある区間(以下、「準自動運転区間」とも表記)と判断するものとする。なお、ここで挙げている具体的な数値や、「自動運転区間」、「準自動運転区間」、「手動運転区間」といった区間の分類の名称や数はあくまで例示であって、本発明はここで挙げた例に制限されない。
【0037】
ルートAでは、区間S2、区間S5、区間S7、区間S9、および、区間S10には、50以上の適合係数が設定されている。また、その他の区間(区間S1および区間S11)は自動運転不可区間であり、これらの区間には適合係数が設定されていない。ここから、自動運転区間決定部204は、区間S2、区間S5、区間S7、区間S9、および、区間S10を「自動運転区間」に決定する。また、自動運転区間決定部204は、区間S1および区間S11を「手動運転区間」に決定する。
【0038】
ルートBでは、区間S2、区間S3、および、区間S4には、50以上の適合係数が設定されている。また、区間S6には、35以上50未満の適合係数が設定されている。また、区間S8には、35未満の適合係数が設定されている。また、その他の区間(区間S1およびの区間S11)は自動運転不可区間であり、これらの区間には適合係数が設定されていない。ここから、自動運転区間決定部204は、区間S2、区間S3、および、区間S4を「自動運転区間」に決定する。また、自動運転区間決定部204は、区間S6を「準自動運転区間」に決定する。また、自動運転区間決定部204は、区間S1、区間S8、および、区間S11を「手動運転区間」に決定する。
【0039】
自動運転区間決定部204は、S102で取得した全てのルート情報が選択されるまで、上述のS104以降の処理を繰り返す。
【0040】
〔第1の変形例〕
なお、図1では、情報処理装置20が適合係数記憶部206を備える例を示したが、図7に示されるような構成も考えられ得る。図7は、第1実施形態の第1の変形例における機能構成を概念的に示すブロック図である。図7の例において、情報処理装置20は、適合係数記憶部206を備えていない。その代りとして、外部装置30が適合係数記憶部306を備え、情報処理装置20は適合係数取得部208を更に備える。外部装置30は、例えば、専用のサーバ装置などであり、情報処理装置20とネットワークを介して通信可能に接続されている。外部装置30の適合係数記憶部306は、上述の適合係数記憶部206と同様である。
【0041】
適合係数取得部208は、適合係数記憶部306を備えている外部装置30と、LTE(Long Term Evolution)回線や3G回線などといった、車両の外部ネットワークを介して通信し、適合係数を取得する。この場合、外部装置30の宛先情報(例えば、IP(Internet Protocol)アドレスなど)が、例えば、情報処理装置20のメモリ106やストレージデバイス108などの記憶領域に事前に登録されている。適合係数取得部208は当該記憶領域に記憶されている宛先情報を用いて外部装置30と通信し、外部装置30にルート情報を送信する。
【0042】
外部装置30は、情報処理装置20から受信したルート情報を基に、当該ルート情報が示す移動ルートに含まれる各区間の適合係数を適合係数記憶部306から読み出す。そして、外部装置30は、読み出した各区間の適合係数を情報処理装置20に送信する。
【0043】
このようにして、適合係数取得部208は、ルート情報に含まれる各区間の適合係数を外部装置30から取得することができる。本変形例においても、第1実施形態の効果を得ることができる。
【0044】
本変形例において、適合係数取得部208は、外部装置30の適合係数記憶部306に記憶される情報を、情報処理装置20の記憶領域(メモリ106やストレージデバイス108)にコピーするように構成されていてもよい。この場合において、適合係数取得部208は、プッシュ型通信またはプル型通信によって、外部装置30に備えられている適合係数記憶部306から情報を受け取ることができる。
【0045】
〔第2の変形例〕
また、図8に示すような構成を有する変形例も考えられ得る。図8は、第1実施形態の第2の変形例における機能構成を概念的に示すブロック図である。図8の例において、情報処理装置20は、自動運転区間決定部204および適合係数記憶部206を備えていない。その代わりとして、外部装置30は、自動運転区間決定部304及び適合係数記憶部306を備える。自動運転区間決定部304及び適合係数記憶部306は、上述の自動運転区間決定部204および適合係数記憶部206と同様である。
【0046】
本変形例において、ルート取得部202は、適合係数記憶部306を備えている外部装置30と、LTE回線や3G回線などといった、車両の外部ネットワークを介して通信可能に構成される。この場合、情報処理装置20の記憶領域(メモリやストレージデバイスなど)には外部装置30の宛先情報(例えば、IP(Internet Protocol)アドレスなど)が事前に登録されている。ルート取得部202は当該記憶領域に記憶されている宛先情報を用いて外部装置30と通信し、外部装置30にルート情報を送信する。
【0047】
外部装置30の自動運転区間決定部304は、情報処理装置20から受信したルート情報を基に、当該ルート情報が示す移動ルートに含まれる各区間の適合係数を適合係数記憶部306から読み出す。そして、外部装置30の自動運転区間決定部304は、読み出した各区間の適合係数を基に、上記で説明したように情報処理装置20が搭載される車両の自動運転区間を決定する。そして、外部装置30の自動運転区間決定部304は、決定した自動運転区間を示す情報を情報処理装置20に送信する。
【0048】
本変形例においても、第1実施形態の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、各車両に搭載する情報処理装置20に要求される演算能力を抑えて、情報処理装置20の製造コストを削減する効果が見込める。
【0049】
[第2実施形態]
本実施形態は、以下の点を除き、その他の実施形態と同様の構成を有する。
【0050】
〔機能構成〕
図9は、第2実施形態における情報処理装置20の機能構成を概念的に示すブロック図である。図9に示されるように、本実施形態の情報処理装置20は、第1実施形態の構成に加えて、設定部210を更に備える。
【0051】
設定部210は、適合係数を計算するための要素(以下、「計算要素」とも表記)に基づいて、区間別の適合係数を設定する。ここで、適合係数は自動運転の安定度の指標とも呼べる数値である。そして、自動運転の適合係数に影響を与える因子は過去のデータや将来の予測に基づいて設定され、例えば、自動運転中に運転手に操舵権限が移る頻度、車両の外部(例えば、歩行者や他車両)とのコミュニケーションの発生頻度、または、区間内での自車両もしくは、自車両と同等のセンシング機能を有する車両の位置推定の確度などが考えられる。「自動運転中に運転手に操舵権限が移る」ケースとしては、例えば、自動運転システムがシステムの限界などを理由として操舵権限の移譲要求を出力した場合、または、運転手の意図的なオーバーライド操作が行われた場合などがある。「歩行者や他車両とのコミュニケーション」とは、例えば、歩行者や他車両に道を譲る意志の伝達、歩行者や他車両の運転手への感謝の意志の伝達などである。
【0052】
本実施形態において、設定部210が用いる計算要素は、(a)自動運転中のオーバーライドの発生頻度、(b)車両または車両の運転手と当該車両の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、(c)自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、(d)車両の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度、の少なくともいずれか1つを含む。なお、設定部210は、ここで挙げた計算要素に限らず、雷雨や霧、西日など自動運転の適合係数に直接的あるいは間接的に影響を与え得る様々な計算要素を用いることができる。
【0053】
具体的には、設定部210は、計算要素に関する情報を記憶する計算要素記憶部212を参照して、各区間の適合係数を算出することができる。計算要素記憶部212は、区間を識別する情報と対応付けて上述の計算要素を記憶している。これにより、設定部210は、区間毎の適合係数を算出することができる。例えば、上述の(a)〜(d)の頻度が高いほど、自動運転中に人の介入が必要となる可能性が高くなる。そのため、上述の(a)〜(d)の頻度が高いほど、自動運転の安定性が低くなると言える。設定部210は、上述の計算要素の頻度をパラメータとして用いる所定の関数や、上述の計算要素の頻度と適合係数とを対応付けたテーブルなどを用いて、各区間の適合係数を算出することができる。なお(a)〜(d)が示す事象のうち、その事象が発生した場合に運転者への影響が大きい事象が発生する区間については、その発生頻度がたとえ高くなかったとしても自動運転に不適な区間であると考えられる。よって、適合係数を算出するための上記の関数、テーブルについては、同じ発生頻度であっても運転者への影響が大きい事象ほど適合係数が低く算出されるように設定してもよい。
【0054】
なお、計算要素記憶部212が、計算要素に対応する事象が発生した際の、時刻を示す時刻情報、天候を示す天候情報、発生車両の車種等を示す車種情報、および発生車両の搭載するセンサの種別等を示すセンサ情報の少なくともいずれかを更に記憶している場合、設定部210は、時間情報、天候情報、車種情報、センサ情報を基に各区間の適合係数を細分化して設定することができる。ここで、天候情報は、該事象が発生した際の、風向風速、降水量、降雪量、積雪量などの情報を含む。また、車種情報は、該事象が発生した車両の車種、車幅、などの情報を含む。また、センサ情報は、該事象が発生した車両が搭載するセンサの種別や性能などの情報を含む。例えば、設定部210は、時間帯別(朝、昼、夜など)、曜日別、季節別、天候別、車種別、センサ別など、或いは、これらの少なくとも一部の組み合わせ別に、各区間の適合係数を設定することができる。
【0055】
計算要素記憶部212は、例えば、図10に示されるような情報を記憶する。図10は、計算要素記憶部212が記憶する情報の一例を示す図である。計算要素記憶部212は、各車両が検出した計算要素に対応する事象の種類を示す情報を、少なくとも、その事象の検出位置を示す位置情報と共に記憶している。位置情報は、区間それぞれに一意に割り当てられた識別情報であってもよいし、区間に変換可能な位置座標の情報であってもよい。図10の例では、計算要素記憶部212は、各車両が検出した計算要素に対応する事象の種類を示す情報に、その事象の検出時刻を示す時刻情報、天候情報、車種情報、センサ情報を更に紐付けて記憶している。なお、本図はあくまで一例であり、計算要素記憶部212が記憶する情報は本図の例に制限されない。例えば、計算要素記憶部212に記憶される計算要素の種類は、更に細分化されていてもよい。具体的な例として、計算要素記憶部212に記憶される計算要素の種類は、オーバーライドの詳細(例:危機回避によるものか、ユーザの好みによるものか)、コミュニケーションの内容(例:道を譲る意志の伝達か、感謝の意志の伝達か)、位置推定確度の低下度合(例:低/中/高)、権限移譲の原因(システムの限界と判断された主原因)などで分類されていてもよい。
【0056】
計算要素記憶部212に記憶される情報は、車両に搭載される装置によって生成される。例えば、車両に搭載される装置が、各計算要素に該当する事象が発生したことを検知すると、事象の種類と事象を検出した位置とを少なくとも含む情報を、サーバ装置に送信する。このとき、車両に搭載される装置は、その事象を検出した際の時刻、天候、および自車両の車種、センサを示す情報を、サーバ装置に送信する情報に更に含めてもよい。このようにして、サーバ装置が備える記憶装置またはサーバ装置に接続された記憶装置に、計算要素記憶部212用の情報が蓄積されていく。なお、上述の機能を備える装置を搭載する車両は1台でもよいが、複数の車両が当該装置を搭載していれば、広い範囲に亘る情報を容易に収集することが可能となる。また、各図において具体的な処理部は図示されてはいないが、情報処理装置20が上述の機能を備えていてもよい。
【0057】
なお、図9に例示される構成においては、情報処理装置20が計算要素記憶部212を備えている。この場合、情報処理装置20は、例えば、プッシュ型通信またはプル型通信によって、外部のサーバ装置により蓄積された計算要素記憶部212用の情報を取得し、当該情報処理装置20に備えられる計算要素記憶部212に記憶することができる。この時、外部のサーバ装置に計算要素記憶部212用の情報として図10に示されるような情報が蓄積されており、当該情報の中に、情報処理装置20が搭載される自車両の車種およびセンサに合致しない情報が存在する場合は、この情報を取得しないようにしてもよい。
【0058】
〔ハードウエア構成〕
本実施形態の情報処理装置20は、第1実施形態と同様に、図4に示されるようなハードウエア構成を有する。本実施形態において、ストレージデバイス108は、設定部210の機能を実現するためのプログラムモジュールを更に記憶している。プロセッサ104は、このプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、設定部210の機能を実現する。ストレージデバイス108は、例えば、図10に示すような情報を更に記憶していてもよい。この場合、ストレージデバイス108は、計算要素記憶部212としての役割を果たす。
【0059】
〔動作例〕
図11を用いて、本実施形態の情報処理装置20の動作の一例を説明する。図11は、第2実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。後述の処理は、例えば、ユーザの実行指示に応じて実行される。また、後述の処理は、予めスケジュールされたタイミング(例えば、エンジン起動時など)に応じて実行されてもよい。
【0060】
設定部210は、計算要素記憶部212を参照し、計算要素を読み出す(S202)。この時、計算要素記憶部212に記憶された情報のうち、情報処理装置20が搭載されている自車両の車種およびセンサに合致する情報のみを、計算要素として読み出すようにする。さらに、自車両周辺の現在の天候に類似する情報のみを、計算要素として読み出すようにしてもよい。そして、設定部210は、読み出した計算要素を基に、各区間の適合係数を算出する(S204)。設定部210は、各計算要素に対応付けて記憶されている位置情報を基に、読み出した計算要素がどの区間に対応する情報かを判別することができる。設定部210は、判別した区間別の計算要素に基づいて、統計値(例えば、各計算要素の頻度など)を算出することができる。そして、設定部210は、統計値をパラメータとして用いて適合係数を導出する所定の関数や、統計値と適合係数とを対応付けたテーブルなどを用いて、各区間の適合係数を算出することができる。そして、設定部210は、S204で算出された各区間の適合係数を用いて、計算要素記憶部212に記憶される情報を更新する(S206)。
【0061】
以上、本実施形態では、走行中に各車両から集められた、自動運転の適合係数に影響を与える事象に関する情報のうち、自車両の現在の状況に適合する情報に基づいて、各区間の適合係数が更新される。これにより、各区間の適合係数の信頼度を保つことができる。また、本実施形態では、時間情報に基づいて、時間帯、曜日、季節などに細分化された適合係数を所定の記憶部に記憶させることができる。これにより、走行する時間帯、曜日、季節、天候、および車両の車種別、センサ別などに応じた自動運転区間を設定することが可能となる。
【0062】
〔変形例〕
なお、図9では、情報処理装置20が設定部210を備える例を示したが、図12に示されるような構成も考えられ得る。図12は、第2実施形態の変形例における機能構成を概念的に示すブロック図である。図12の例において、情報処理装置20は、設定部210および計算要素記憶部212を備えていない。その代わりとして、外部装置30は、適合係数記憶部306、設定部310、計算要素記憶部312を備え、情報処理装置20は適合係数取得部208を更に備える。外部装置30の設定部310および計算要素記憶部312は、それぞれ、上述の設定部210、および計算要素記憶部212と同様である。外部装置30の適合係数記憶部306は、外部装置30の設定部310により設定された、各区間の適合係数を記憶する。情報処理装置20の適合係数取得部208は、外部装置30の適合係数記憶部306と同期して、設定部310により設定された各区間の適合係数を取得して、適合係数記憶部206に記憶することができる。
【0063】
本変形例においても、第2実施形態の効果を得ることができる。
【0064】
[第3実施形態]
本実施形態は、以下の点を除き、その他の実施形態と同様の構成を有する。なお、以下では第1実施形態の構成をベースとして説明するが、本実施形態の情報処理装置20は、第2実施形態で説明した構成を更に備えていてもよい。
【0065】
〔機能構成〕
図13は、第3実施形態における情報処理装置20の機能構成を概念的に示すブロック図である。図13に示すように、本実施形態の自動運転区間決定部204は、車種情報取得部2062および適合係数補正部2064を更に備える。
【0066】
車種情報取得部2062は、自車両の特性を示す情報を取得する。車両の特性とは、例えば、内輪差や外輪差の大きさ、取り付けられたセンサ類のセンシング領域の広さなどを含む。車種情報取得部2062は、具体的には、車種、車名、車両の形状やサイズ(例えば、全長、全高、全幅、ホイールベース長など)、走行性能(直進安定性、加速性、走行速度別の回転半径など)といった情報を取得する。これらの情報は、例えば、メモリ106やストレージデバイス108に事前に登録されている。また、車種情報取得部2062は、これらの情報を、ネットワークインタフェース112を介してネットワーク上から取得するように構成されていてもよい。後者の場合、例えば自車両の車種や車名といった、自車両の特性を示す情報を検索可能な情報が、メモリ106やストレージデバイス108に予め記憶される。車種情報取得部2062は、メモリ106やストレージデバイス108に記憶された情報を用いて、ネットワーク上から自車両の特性を示す情報を取得することが可能となる。
【0067】
適合係数補正部2064は、自車両の特性を示す情報に基づいて適合係数を補正する。具体的な例として、適合係数補正部2064は、例えば地図データ等から移動ルート中の区間における走行車線の幅員を示す情報を取得し、当該走行車線の幅員に対する車両の占有率が所定の閾値を超える場合には、その区間の適合係数を下げることができる。またこの場合において、適合係数補正部2064は、占有率が大きくなるほど適合係数の減少値を増やすようにしてもよい。また、適合係数補正部2064は、カーブを含む区間において、地図データ等から当該カーブの曲率半径を取得し、当該カーブの曲率半径と車両の速度別の回転半径とを基に、安定したコーナリングが可能な否かを判定することもできる。この場合、適合係数補正部2064は、カーブの曲率半径と車両の速度別の回転半径とを基にコーナリングの指標値を算出する関数やテーブルを用いて、当該指標値が安定したコーナリングが可能と判断できる基準値を下回る場合に、その区間の適合係数を下げることができる。またこの場合において、指標値と基準値との差が大きくなるほど適合係数の減少値を増やすようにしてもよい。なお、ここで例示した適合係数補正部2064の処理はあくまで一例であり、適合係数補正部2064はこれ以外の処理を行って、適合係数を補正することができる。
【0068】
〔ハードウエア構成〕
本実施形態の情報処理装置20は、第1実施形態と同様に、図4に示されるようなハードウエア構成を有する。本実施形態において、ストレージデバイス108は、車種情報取得部2062および適合係数補正部2064の機能を実現するためのプログラムモジュールを更に記憶している。プロセッサ104は、これらのプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、車種情報取得部2062および適合係数補正部2064の機能を実現する。また、本実施形態のメモリ106またはストレージデバイス108は、自車両の特性を示す情報、或いは、自車両の特性を示す情報を検索可能な情報を記憶している。
【0069】
〔動作例〕
図14を用いて、本実施形態の情報処理装置20の動作の一例を説明する。図14は、第3実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。以下の処理は、図5のS110の前に実行される。
【0070】
まず、車種情報取得部2062は、自車両の特性を示す情報を取得する(S302)。メモリ106やストレージデバイス108に自車両の特性を示す情報が記憶されている場合、車種情報取得部2062は、メモリ106またはストレージデバイス108から当該情報を読み出す。また、メモリ106やストレージデバイス108に自車両の特性を示す情報を検索可能な情報記憶されている場合、車種情報取得部2062は、メモリ106またはストレージデバイス108から当該情報を読み出し、その情報を基にネットワーク上から自車両の特性を示す情報を検索して取得する。
【0071】
適合係数補正部2064は、S302で取得された自車両の特性を示す情報を基に、図5のS108で取得された各区間の適合係数を補正する(S304)。適合係数補正部2064は、例えば上述したように、走行車線の幅員と自車両のサイズとの比較結果やカーブ区間の曲率半径と自車両の回転半径との比較結果などに基づいて、各区間の適合係数を補正することができる。
【0072】
適合係数記憶部206は、適合係数補正部2064により補正された適合係数を基に、図5のS104で選択したルート情報が示す移動ルートにおける自動運転区間を決定する(図5のS110)。
【0073】
以上、本実施形態では、各区間に設定された自動運転に対する適合係数が、自車両の特性(例えば、サイズや走行性能など)によって補正される。これにより、自車両に適した自動運転区間を決定することが可能となる。
【0074】
[第4実施形態]
本実施形態は、以下の点を除き、その他の実施形態と同様の構成を有する。なお、以下では第1実施形態の構成をベースとして説明するが、本実施形態の情報処理装置20は、第2または第3の実施形態で説明した構成を更に備えていてもよい。
【0075】
〔機能構成〕
図15は、第4実施形態における情報処理装置20の機能構成を概念的に示すブロック図である。図15に示されるように、本実施形態の情報処理装置20は、第1実施形態の構成に加えて、表示処理部214および算出部216を備える。
【0076】
表示処理部214は、車両の移動ルートをディスプレイ装置1104に表示させる。このとき、表示処理部214は、当該移動ルートにおいて、自動運転区間決定部204により決定された車両の自動運転区間を識別可能な状態で表示させる。
【0077】
算出部216は、ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の適合係数を統計処理した統計処理値を算出する。表示処理部214は、算出部216により算出された移動ルートの統計処理値を、当該移動ルートと共に表示装置に表示させることができる。
【0078】
〔ハードウエア構成〕
本実施形態の情報処理装置20は、第1実施形態と同様に、図4に示されるようなハードウエア構成を有する。本実施形態において、ストレージデバイス108は、表示処理部214および算出部216の機能を実現するためのプログラムモジュールを更に記憶している。プロセッサ104は、これらのプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、表示処理部214および算出部216の機能を実現する。
【0079】
〔動作例〕
図16を用いて、本実施形態の情報処理装置20の動作の一例を説明する。図16は、第4実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。以下の処理は、例えば図5のS110の後に実行される。
【0080】
算出部216は、図5のS108で取得された各区間の適合係数を統計処理して、当該各区間を含む移動ルートにおける統計処理値を算出する(S402)。例えば、算出部216は、各区間の適合係数の総和を、統計処理値として算出することができる。なお、算出部216は総和以外の統計処理値を算出してもよい。
【0081】
表示処理部214は、図5のS102で取得されたルート情報と、図5のS110で決定された自動運転区間を示す情報と、を用いて、自動運転区間を識別可能な移動ルートの表示データを生成する(S404)。このとき、表示処理部214は、S402で算出された統計処理値を、移動ルートと共に表示する表示データを生成することができる。
【0082】
そして、表示処理部214は、S404で生成した表示データを、ディスプレイ装置1104などに表示させる(S406)。表示処理部214による表示の一例を図17に示す。図17は、第4実施形態の表示処理部214によってディスプレイ装置1104に表示される情報の一例を示す図である。図17の(A)には、ルートAに関する情報の表示例が示されている。また、図17の(B)には、ルートBに関する情報の表示例が示されている。本例において、実線は、第1実施形態で説明した「自動運転区間」を示す。また本例において、点線は、第1実施形態で説明した「手動運転区間」を示す。また本例において、波線は、第1実施形態で説明した「準自動運転区間」を示す。
【0083】
表示処理部214は、図17の符号Tおよび符号Tに示されるように、算出部216により算出された統計処理値を移動ルートと共に表示することができる。図17では、算出部216が適合係数の総和を統計処理値として算出する例を示しているが、算出部216は総和以外の統計処理値を算出してもよい。また、表示処理部214は、算出部216が算出した統計処理値を他の指標(例えば、統計処理値に対応するおすすめ度など)に変換して表示してもよい。また、この場合に、表示処理部214は、当該指標に応じて移動ルートの表示色などを変えてもよい。
【0084】
また、表示処理部214は、移動ルートを表示する際、当該移動ルートに含まれる各区間に対して設定された適合係数(或いは補正後の適合係数)に応じて、表示態様を変更するように構成されていてもよい。具体的には、表示処理部214は、移動ルートの表示において、各区間に対応する表示部分の色や形状を、各区間の適合係数(適合度合)に応じて変化させてもよい。具体的な例として、色の変化を用いる場合、表示処理部214は、適合係数の高低を色の濃淡で表すことができる。またその他にも、表示処理部214は、適合係数の高低を第1の色(例えば、赤)と第2の色(例えば、青)との間の色相の変化で表すことができる。また、これらの例に限らず、表示処理部214は、各区間の適合係数の違いを見て把握できるような表示を行うことができる。あるいは、適合係数に基づいて決定した自動運転区間、準自動運転区間、手動運転区間等の区別ごとに、各区間に対応する表示部分の色や形状を変化させるようにしてもよい。あるいは、各区間の適合係数の算出の基となった計算要素に対応する事象(オーバーライド、権限移譲など)の発生地点を、事象の種別を識別可能な表示態様で地図データ上に重畳して表示するようにしてもよい。このようにすることで、移動ルートを確認したユーザが、各区間の自動運転に対する適合度合を把握し易くなる。
【0085】
以上、本実施形態によれば、運転者が、移動ルートにおける自動運転区間を一目で把握することが可能となる。また、本実施形態では、移動ルートと共に、その移動ルートに含まれる区間の適合係数を統計処理した統計処理値が表示される。これにより、運転手は、自分の好みに合うルートを把握しやすくなる。
【0086】
[第5実施形態]
本実施形態は、以下の点を除き、第4の実施形態と同様の構成を有する。
【0087】
〔機能構成〕
図18は、第5実施形態における情報処理装置20の機能構成を概念的に示すブロック図である。図18に示されるように、本実施形態の情報処理装置20は、第4実施形態の構成に加えて、ルート選択部218を備える。
【0088】
ルート選択部218は、ルート取得部202により複数の移動ルートが取得された場合に、算出部216により算出された複数の移動ルートそれぞれの統計処理値に基づいて複数の移動ルートのうちの1つを選択する。
【0089】
〔ハードウエア構成〕
本実施形態の情報処理装置20は、図4に示されるようなハードウエア構成を有する。本実施形態において、ストレージデバイス108は、ルート選択部218の機能を実現するためのプログラムモジュールを更に記憶している。プロセッサ104は、これらのプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、ルート選択部218の機能を実現する。
【0090】
〔動作例〕
図19を用いて、本実施形態の情報処理装置20の動作の一例を説明する。図19は、第5実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。以下の処理は、ルート取得部202が取得した全てのルートについて、算出部216が統計処理値を算出した後に実行される。
【0091】
まず、ルート選択部218は、複数の移動ルートそれぞれについて算出された統計処理値を比較して、複数の移動ルートの中から1つの移動ルートを選択する(S502)。例えば、統計処理値が適合係数の総和である場合、ルート選択部218は、その総和が最も大きい移動ルートを選択することができる。
【0092】
そして、表示処理部214は、ルート選択部218により選択された移動ルートを優先的に表示させる(S504)。ここで言う「優先的に表示させる」とは、例えば、S502で選択した移動ルートのみを地図データに重畳表示させる、S502で選択された移動ルートを他の移動ルートと区別可能に(例えば、色を変えるなど)表示するなどである。前者の場合、表示処理部214は、例えば図20に示すような画面を表示させてもよい。図20は、第5実施形態の表示処理部214によってディスプレイ装置1104に表示される情報の一例を示す図である。表示処理部214は、現在画面上で表示中の移動ルートとは異なるその他の移動ルートに切り替えることができるように、その他の移動ルートを選択可能な画面要素(図20中の符号S)を含む画面を表示させることができる。
【0093】
以上、本実施形態では、移動ルートに含まれる各区間の適合係数を統計処理した統計処理値に基づいて、1つの移動ルートが選択される。これにより、運転者は、目的地までの複数の移動ルートの中で、自動運転に適した移動ルートを即座に知ることができる。
【0094】
[第6実施形態]
本実施形態は、以下の点を除き、その他の実施形態と同様の構成を有する。なお、以下では第1実施形態の構成をベースとして説明するが、本実施形態の情報処理装置20は、第2乃至第5の実施形態で説明した構成を更に備えていてもよい。
【0095】
〔機能構成〕
図21は、第6実施形態における情報処理装置20の機能構成を概念的に示すブロック図である。図21に示されるように、本実施形態の情報処理装置20は、第1実施形態の構成に加えて、情報出力部220を備える。
【0096】
情報出力部220は、移動ルートの走行中に、当該移動ルートに含まれる各区間に対して設定されている適合係数に基づいて、車両内で出力する情報を制御する。ここで、適合係数が低くなる区間は運転手が操舵しなければならなくなる可能性がある。そのため、特に限定されないが、情報出力部220は、移動ルートに含まれる各区間に対して設定されている適合係数が基準以下となる地点から所定距離内の位置に車両が近づいた場合、所定のメッセージを出力するように構成されていると好ましい。
【0097】
具体的な例として、車両が、自動運転区間(適合係数が「50」以上である区間)または手動運転区間(適合係数が「35」未満の区間)を走行中に、準自動運転区間(適合係数が「35」以上「50」未満の区間)から所定の距離まで近づいた場合を考える。なお、情報出力部220は、例えば各区間の始点の位置情報と、自車位置推定処理で推定した自車両の位置情報とから算出される2点間の距離(直線距離、又は、ルート上での距離)に基づいて、当該区間から所定距離以内に車両が近づいたか否かを判定することができる。適合係数が「50」以上である自動運転区間や適合係数が「35」未満の手動運転区間を走行中に、適合係数が「35」以上「50」未満である区間から所定の距離まで近づいた場合、情報出力部220は、例えば「まもなく、準自動運転区間です」といったメッセージを、ディスプレイ装置1104や図示しないスピーカー装置に出力することができる。この時、次の区間が準自動運転区間である理由を、同区間の適合係数の算出の基となった計算要素の頻度などに基づいて特定し、上記メッセージと共に出力するようにしてもよい。すなわち、情報出力部220は、例えば「オーバーライドの発生頻度の高い区間です」といったメッセージを付加して出力する。これにより運転者は、同区間で注意すべき内容を事前に把握することができる。また、「手動運転区間」や「準自動運転区間」から「自動運転区間」に近づいた場合や、「自動運転区間」や「準自動運転区間」から「手動運転区間」に近づいた場合において、情報出力部220は同様に所定のメッセージを出力することができる。
【0098】
〔ハードウエア構成〕
本実施形態の情報処理装置20は、図22に示されるような計算機10によって実現される。図22に示される計算機10は、図4に示される計算機10の構成に加え、情報出力部220からの音声出力指示に従って所定のメッセージを出力するスピーカー装置1105を有する。本実施形態において、ストレージデバイス108は、情報出力部220の機能を実現するためのプログラムモジュールを更に記憶している。プロセッサ104は、これらのプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、情報出力部220の機能を実現する。また、情報出力部220は、例えば入出力インタフェース110やネットワークインタフェース112を介して接続される、図示しない車載スピーカーから所定のメッセージを出力するように構成されていてもよい。この場合、スピーカー装置1105はなくてもよい。
【0099】
〔動作例〕
図23を用いて、本実施形態の情報処理装置20の動作の一例を説明する。図23は、第6実施形態における処理の流れを例示するフローチャートである。
【0100】
まず、情報出力部220は、自車両の位置情報を取得する(S602)。情報出力部220は、例えばカルマンフィルタやパーティクルフィルタなどを用いる自己位置推定手法を用いて、自車両の位置情報を推定可能に構成される。また、図示しない他の処理部から自車両の位置情報を取得可能に構成されていてもよい。
【0101】
情報出力部220は、現在走行している区間の次の走行区間の始点の位置情報と、S602で取得した自車両の位置情報とを比較して、次の区間までの距離を算出する(S604)。なお、現在走行している区間を示す情報は、例えばメモリ106などに格納されている。当該情報の初期値は、移動ルートの出発地点の区間であり、自車両の位置情報に基づいて更新されていく。
【0102】
そして、情報出力部220は、S604で算出された距離が所定の閾値以下かを判定する(S606)。この閾値はメモリ106等に予め記憶されている。S604で算出された距離が所定の閾値以下である場合(S606:YES)、次の走行区間の種別が現在の走行区間の種別と異なっているか否かを更に判定する(S608)。
【0103】
次の走行区間の種別が現在の走行区間の種別と異なっている場合(S608:YES)、情報出力部220は、次の走行区間の種別に応じたメッセージをディスプレイ装置1104やスピーカー装置1105に出力する(S610)。このメッセージは、テキストファイルや音声ファイルとして、区間の種別を識別する情報に紐付けてストレージデバイス108などに記憶されている。
【0104】
なお、S606またはS608の判定がNOである場合、情報出力部220は、所定のメッセージを出力せずに処理を終了する。
【0105】
以上、本実施形態によれば、出力されるメッセージによって、運転手に次の区間に関する情報を知らせることができる。運転手は、当該メッセージを踏まえ適切な行動をとることが可能となる。
【0106】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記各実施形態の組み合わせ、又は上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に、参考形態の例を付記する。
1.
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得するルート取得部と、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する自動運転区間決定部と、
を備える情報処理装置。
2.
自動運転中のオーバーライドの発生頻度、前記移動体または前記移動体の運転手と前記移動体の外部との間におけるコミュニケーションの発生頻度、自動運転から手動運転への権限移譲の発生頻度、及び、前記移動体の位置推定の確度が所定の閾値以下となる頻度の少なくともいずれか1つを含む計算要素に基づいて、前記適合係数を設定する設定部を更に備える、
1.に記載の情報処理装置。
3.
前記計算要素には時間情報、天候情報、車種情報、センサ情報の少なくともいずれか一つの情報が紐付けられており、
前記設定部は、前記適合係数を前記情報に基づく分類別に設定する、
2.に記載の情報処理装置。
4.
前記適合係数記憶部を備えている外部装置と、前記移動体の外部ネットワークを介して通信し、前記適合係数を取得する適合係数取得部を更に備える、
1.〜3.のいずれか1つに記載の情報処理装置。
5.
前記適合係数記憶部を更に備える、
1.〜3.のいずれか1つに記載の情報処理装置。
6.
前記自動運転区間決定部は、前記移動体の特性を特定可能な情報に基づいて前記適合係数を補正する、
1.〜5.のいずれか1つに記載の情報処理装置。
7.
前記自動運転区間決定部により決定された前記移動体の自動運転区間を識別可能な状態で、前記移動ルートを表示装置に表示させる表示処理部を更に備える、
1.〜6.のいずれか1つに記載の情報処理装置。
8.
前記表示処理部は、前記移動ルートの表示において、前記自動運転区間に含まれる各区間に対してそれぞれ設定されている適合係数に基づいて、前記各区間の表示態様を変える、
7.に記載の情報処理装置。
9.
前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数を統計処理した統計処理値を算出する算出部を更に備え、
前記表示処理部は、前記算出部により算出された前記移動ルートの統計処理値を、当該移動ルートと共に表示装置に表示させる、
7.または8.に記載の情報処理装置。
10.
前記ルート取得部により複数の移動ルートが取得された場合に、前記算出部により算出された前記複数の移動ルートそれぞれの統計処理値に基づいて、前記複数の移動ルートのうちの1つを選択するルート選択部を更に備える、
9.に記載の情報処理装置。
11.
前記移動ルートの走行中に、前記移動ルートに含まれる各区間に対して設定されている適合係数に基づいて、前記移動体内で出力する情報を制御する情報出力部を更に備える、
1.〜10.のいずれか1つに記載の情報処理装置。
12.
前記情報出力部は、前記移動ルートに含まれる各区間に対して設定されている適合係数が基準以下となる地点から所定距離内の位置に前記移動体が近づいた場合、所定のメッセージを出力する、
11.に記載の情報処理装置。
13.
前記情報出力部は、前記所定のメッセージと共に、前記地点に続く区間において注意すべき内容に関する情報を出力する、
12.に記載の情報処理装置。
14.
コンピュータが、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得する工程と、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する工程と、
を含む情報処理方法。
15.
コンピュータを、
移動体の移動ルートを示すルート情報を取得する手段、及び、
区間別に設定された自動運転の適合係数を記憶する適合係数記憶部を参照し、前記ルート情報が示す移動ルートに含まれる複数の区間の前記適合係数に基づいて、前記移動ルートにおける前記移動体の自動運転区間を決定する手段、
として機能させるためのプログラム。
【0107】
この出願は、2017年1月31日に出願された日本出願特願2017−016008号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
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図22
図23