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特許67639933Dプリンタのオブジェクト境界を検出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763993
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】3Dプリンタのオブジェクト境界を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20200917BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20200917BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20200917BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20200917BHJP
【FI】
   B29C64/386
   B29C64/124
   B29C64/118
   B33Y50/00
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-76872(P2019-76872)
(22)【出願日】2019年4月15日
(65)【公開番号】特開2020-44833(P2020-44833A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2019年4月15日
(31)【優先権主張番号】201811118707.7
(32)【優先日】2018年9月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511067204
【氏名又は名称】金▲宝▼電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 仲康
【審査官】 松田 成正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−264222(JP,A)
【文献】 特開2012−101445(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/013240(WO,A1)
【文献】 特開2018−039262(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104890238(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B28B 1/30
B22F 3/105
B22F 3/16
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタに適用されるオブジェクト境界検出方法であって、
(a)3Dプリンタの円形の印刷テーブルの基準位置決め点を取得するステップと、
(b)インポートされた3Dオブジェクトを2D平面に投影して前記3Dオブジェクトの複数の2D座標点を取得するステップと、
(c)前記複数の2D座標点に基づいて2D凸包を算出するステップと、
(d)前記2D凸包の全ての頂点を取得するステップと、
(e)前記基準位置決め点及び前記複数の頂点に基づいて、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲内に収まるか否かを判定するか、又は、前記印刷テーブルの中心位置、半径及び前記複数の頂点に基づいて、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲内に収まるか否かを判定するステップと、
(f)前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲内に完全に収まると判定した場合、前記3Dプリンタが前記3Dオブジェクトを印刷することを許可するステップと、を含み、
前記ステップ(e)は、更に、
(e11)前記印刷テーブルの前記中心位置を取得するステップと、
(e12)前記印刷テーブルの前記半径を取得するステップと、
(e13)前記2D凸包の各前記頂点から前記中心位置までの第1の距離をそれぞれ算出するステップと、
(e14)各前記第1の距離が前記半径より大きいか否かを判定するステップと、
(e15)前記第1の距離のいずれかが前記半径より大きい場合、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲を超えると判定するステップと、
(e16)各前記第1の距離が前記半径以下である場合、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲を超えないと判定するステップと、を含むことを特徴とするオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項2】
(g)前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲内に完全に収まらないと判定した場合、警告信号を発するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項3】
前記ステップ(e11)において、前記基準位置決め点及び前記印刷テーブルの配置位置に基づいて前記中心位置の座標点を算出することを特徴とする請求項に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項4】
前記ステップ(e12)は、前記基準位置決め点及び前記印刷テーブルの配置位置とサイズに基づいて前記印刷テーブルの各エッジ位置の座標点を算出し、前記中心位置及びいずれかの前記エッジ位置に基づいて前記半径を算出することを特徴とする請求項に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項5】
前記ステップ(e)は、更に、
(e21)前記印刷テーブルに対応する円形方程式を取得するステップと、
(e22)前記2D凸包の各前記頂点から前記基準位置決め点までの第1の接続線をそれぞれ算出するステップと、
(e23)前記第1の接続線と前記円形方程式との交点情報をそれぞれ算出するステップと、
(e24)各前記第1の接続線と前記円形方程式とが1つの交点のみを有するか否かを判定するステップと、
(e25)各前記第1の接続線と前記円形方程式とが1つの交点のみを有する場合、各前記頂点及び前記基準位置決め点を通過する複数の直線をそれぞれ生成し、各前記直線上の前記基準位置決め点と前記円形方程式との交点の最大距離を取得し、各前記第1の接続線がいずれも対応する各前記最大距離以下である場合、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲を超えないと判断するステップと、
(e26)いずれかの前記第1の接続線と前記円形方程式とが複数の交点を有する場合、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブルの範囲を超えると判定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項6】
前記3Dプリンタは、前記3Dオブジェクトがインポートされた後、前記ステップ(a)〜前記ステップ(f)を自動的に実行する処理ユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項7】
前記3Dプリンタは、SLA(Stereolithography)方式の3Dプリンタであり、前記印刷テーブルは、光硬化性成形液を収容するための収容槽であることを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項8】
前記3Dプリンタは、FDM(Fused Deposition Modeling)方式の3Dプリンタであり、前記印刷テーブルは、載置ステージであることを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)において、インポートされた前記3Dオブジェクトを前記印刷テーブルの2D平面に投影して、前記3Dオブジェクトの複数の2D座標点を取得することを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト境界を検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタに関し、特に、3Dプリンタのオブジェクト境界を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンタは、インポートされた3Dオブジェクトに基づいて、印刷ノズルを制御して印刷ステージの対応する位置に成形材料を印刷することにより、3Dオブジェクトと同じ形状及び外観を有する3Dソリッドモデルを形成する。3Dプリンタは、印刷を開始する前に、印刷エラーを避けるために、ユーザがインポートした3Dオブジェクトの配置位置を検出して、3Dオブジェクトが印刷ステージの範囲内にあることを確認する必要がある。
【0003】
上述した検出処理を迅速に完了するために、一般的に、3Dプリンタは、境界ボックス(bounding box)を用いて3Dオブジェクトの配置位置を大まかに判定するようにしている。
【0004】
図1A及び図1Bは、それぞれ、関連技術によるオブジェクト境界を示す第1の概略図及び第2の概略図である。図1Aの実施形態において、ユーザがインポートする3Dオブジェクト2は1つの三角錐である。3Dプリンタは、この3Dオブジェクト2が印刷ステージ1の範囲内に完全に収まるか否かを検出する場合、まず3Dオブジェクト2を2D平面上に投影して複数の2D座標点(図1Aには、3点の座標点(X1、Y1)、座標点(X1、Y2)及び座標点(X2、Y1)を例として示されている)を生成する。
【0005】
次に、3Dプリンタは、図1Bに示すように、この3Dオブジェクト2のX軸上の最小座標点(X1)、X軸上の最大座標点(X2)、Y軸上の最小座標点(Y1)及びY軸上の最大座標点(Y2)を取得し、これら4つの座標点に基づいて1つの仮想的な境界ボックス21を生成する。図1Bの実施形態において、境界ボックス21は、矩形の境界ボックスである。境界ボックス21が印刷ステージ1の範囲内にある場合、3Dプリンタは、インポートされた3Dオブジェクト2が印刷ステージ1の範囲内に完全に収まり、印刷条件に合致することを確定することができる。
上記の方法により、3Dプリンタは、インポートされた3Dオブジェクト2の4つの座標点を取得すれば、印刷ステージ1上の3Dオブジェクト2の位置を確認することができ、非常に高速である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、印刷ステージ1の形状が矩形でない場合、上記の方法で3Dオブジェクト2の位置を検出すると、エラーが発生する可能性がある。
【0007】
図2は、関連技術によるオブジェクト境界を示す第3の概略図である。図2の実施形態において、3Dプリンタは、1つの円形の印刷ステージ3を含む。図2からわかるように、上記の方法により3Dオブジェクト2の位置を検出すると、境界ボックス21が印刷ステージ3の範囲を超えているので、3Dプリンタは、ユーザがこの位置で3Dオブジェクト2を直接印刷することを許可しない。しかし、実際に、3Dオブジェクト2は、印刷条件に合致して全に印刷ステージ3の範囲内に収まる。つまり、3Dプリンタは、境界ボックス21が適用されないため、判定ミスを引き起こすことになる。
【0008】
以上より、3D印刷分野の実務者は、異なる形状の印刷ステージを備えた3Dプリンタに対応して使用するために、3Dオブジェクトを迅速に位置決めするための方法を開発する必要がある。
【0009】
本発明の主な目的は、印刷テーブル上に配置される3Dオブジェクトの位置を迅速かつ正確に検出することができる3Dプリンタのオブジェクト境界検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態において、上記検出方法は、3Dプリンタの印刷テーブルの基準位置決め点を取得するステップと、インポートされた3Dオブジェクトを2D平面に投影して複数の2D座標点を取得するステップと、前記複数の2D座標点に基づいて2D凸包を算出するステップと、前記2D凸包の全ての頂点を取得するステップと、前記基準位置決め点及び前記2D凸包の全ての頂点に基づいて、前記3Dオブジェクトの位置を判定するステップと、前記3Dオブジェクトが前記印刷テーブル内に完全に収まると判定した場合、前記3Dプリンタが印刷処理を起動することを許可ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、3Dプリンタの備える印刷テーブルが矩形の印刷テーブルでなくても、印刷対象の3Dオブジェクトが印刷テーブルの範囲内に収まるか否かを迅速かつ正確に検出することができる。本発明は、従来技術と比較して、より利便性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】関連技術によるオブジェクト境界を示す第1の概略図である。
図1B】関連技術によるオブジェクト境界を示す第2の概略図である。
図2】関連技術によるオブジェクト境界を示す第3の概略図である。
図3】本発明による3Dプリンタの第1の実施形態を示すブロック図である。
図4】本発明による検出方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。
図5】本発明によるオブジェクト境界の第1の実施形態を示す概略図である。
図6】本発明による判定メカニズムの第1の実施形態を示すフローチャートである。
図7】本発明によるオブジェクト境界の第2の実施形態を示す概略図である。
図8】本発明によるオブジェクト境界の第3の実施形態を示す概略図である。
図9】本発明による判定メカニズムの第2の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態については、図面を参照しつつ、詳しく説明する。
【0014】
図3及び図4を併せて参照する。図3は、本発明による3Dプリンタの第1の実施形態を示すブロック図である。図4は、本発明による検出方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。本発明に係る3Dプリンタの物体境界を検出する方法(以下、「検出方法」という)は、主に、図3に示す3Dプリンタ4及び/又はコンピュータ装置5に適用される。
【0015】
図3に示すように、本発明の3Dプリンタ4は、有線又は無線によりコンピュータ装置5に接続されて、印刷に必要な印刷データをコンピュータ装置5から受信する。一実施形態において、3Dプリンタ4は、コンピュータ装置5からスライス処理が行われたスライスデータを受信し、スライスデータに基づいて印刷処理を直接実行する。他の実施形態において、3Dプリンタ4は、コンピュータ装置5から元の3D画像を受信し、内部の処理ユニット41により3D画像に対してスライス処理を行った後、印刷処理を実行する。上記のスライス処理は、本発明の技術分野における共通の技術手段であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0016】
3Dプリンタ4は、上記の処理ユニット41と、処理ユニット41に電気的に接続された印刷テーブル42と、印刷ユニット43と、表示ユニット44と、送信ユニット45とを含む。一実施形態において、検出方法は、3Dプリンタ4の処理ユニット41により実行される。他の実施形態において、検出方法は、コンピュータ装置5により実行されてもよく、コンピュータ装置5は、検出結果に基づいて3Dプリンタ4に対して印刷処理の制御を行うが、これに限定されない。
【0017】
一実施形態において、3Dプリンタ4は、SLA(Stereolithography)方式の3Dプリンタであり、印刷テーブル42は、光硬化性成形液(例えば、液状感光性樹脂)を収容するための収容槽であり、より詳しくはこの収容槽の底面である。本実施形態において、印刷ユニット43は、例えば、印刷テーブル42における光硬化性成形液に対して照射を行って、光硬化性成形液を硬化させて3Dオブジェクトに変換するレーザ光源であってもよい。
【0018】
他の実施形態において、3Dプリンタ4は、FDM(Fused Deposition Modeling)方式の3Dプリンタであり、印刷テーブル42は、載置ステージである。本実施形態において、印刷ユニット43は、例えば、印刷テーブル42上に成形材料を押し出し、成形材料により載置ステージ上に3D物体を形成する成形ノズルであってもよい。
【0019】
理解を容易にするために、以下の説明ではFDM方式の3Dプリンタを例に説明するが、これに限定されない。
【0020】
本実施形態において、3Dプリンタ4の印刷テーブル42は、処理ユニット41の制御により、昇降したり回転したりして制御され、印刷処理を行う。しかしながら、他の実施形態において、印刷テーブル42は、3Dプリンタ4内の特定の場所に直接固定されてもよい。本実施形態において、印刷テーブル42は、必ずしも処理ユニット41に電気的に接続される必要がない。
【0021】
印刷ユニット43は、印刷テーブル42上に3Dソリッドモデルを印刷するために、処理ユニット41により2次元又は3次元方向に移動するように制御される。本実施形態において、3Dプリンタ4は、FDM方式の3Dプリンタであり、印刷ユニット43は、成形材料を押し出すための3Dノズルである。他の実施形態において、印刷ユニット43は、成形材料を押し出すための3Dノズルと、カラーインクを噴出するための2Dノズルとを含む。なお、3Dプリンタ4が上述したSLA方式の3Dプリンタである場合、印刷ユニット43は、成形材料(例えば液状感光性樹脂)を固化させる点光源又は面光源を提供する照明ユニットであってもよい。
【0022】
表示ユニット44は、ユーザが3Dプリンタ4の現在の状態を迅速に把握することができるように、3Dプリンタ4の関連情報を表示するために用いられる。一実施形態において、表示ユニット44は、検出方法の検出結果をさらに表示するように用いられる(例えば、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲内に完全に収まるか否か、3Dオブジェクトに対する更なる編集が必要か否か、印刷処理が起動可能であるか否かなど)。
【0023】
3Dプリンタ4は、送信ユニット45を介してコンピュータ装置5に接続され、コンピュータ装置5からデータを受信する(例えば、スライスデータ、3D画像又は検出結果など)。本発明において、送信ユニット45は、有線送信ユニット(例えば、接続ポート)であってもよいし、無線送信ユニット(例えば、Wi−Fi(登録商標)モジュールやBluetooth(登録商標)モジュールなど)であってもよい。
【0024】
本発明に係る検出方法の技術的効果の1つは、3Dプリンタ4及び/又はコンピュータ装置5が、印刷対象の3Dオブジェクトの印刷テーブル42上の位置を迅速かつ正確に判定できることである。これにより、3D画像を編集する際に3Dオブジェクトを不適切な位置に配置して印刷失敗のリスクを回避することができる。
【0025】
一実施形態において、検出方法の各ステップは、3Dプリンタ4の処理ユニット41により実行される。他の実施形態において、検出方法の各ステップは、3Dプリンタ4に接続されたコンピュータ装置5により実行される。理解を容易にするために、処理ユニット41による検出方法を例に説明するが、全ての説明は、コンピュータ装置5にも適用される。
【0026】
1つの3Dオブジェクト(スライス処理されたスライスデータとスライス処理されていない3D画像とを含む)が3Dプリンタ4に入力されると、ユーザに印刷意図があることを意味する。このとき、処理ユニット41は、この3Dオブジェクトの配置位置が印刷条件を満たすか否かを検出して判定するように、本発明の検出方法を自動的に実行する。この検出方法により、3Dオブジェクトが実際に印刷テーブル42の範囲内に収まるが、3Dオブジェクトの一部が印刷テーブル42の範囲外にあると誤って判定することを回避することができる。また、処理ユニット41は、本発明の検出方法を自動的に実行した後、3Dオブジェクトを自動的に印刷に適した位置に調整することができる。これにより、3Dオブジェクトの一部が印刷テーブル42の範囲外にあり、印刷できないという問題を回避又は解決することができる。
【0027】
図4に示すように、本発明の検出方法を実行する際に、処理ユニット41は、まず、3Dプリンタ4の印刷テーブル42の1つの基準位置決め点を取得する(ステップS10)。基準位置決め点は、印刷テーブル42上の各位置の座標点を決定するために用いられる。
【0028】
次に、処理ユニット41は、ユーザによってインポートされた3Dオブジェクト(即ち、3Dプリンタ4上のX−Y平面)を2D平面に投影することで、3Dオブジェクトの複数の2D座標点を取得する(ステップS12)。具体的に、3Dオブジェクトは、1つの3次元仮想オブジェクトである。ステップS12では、3Dオブジェクトの各3D座標点(X,Y,Z)のZ軸値を0に設定することで、複数の3D座標点を複数の2D座標点(X,Y)に変換する。
【0029】
ステップS12の後、処理ユニット41は、3Dオブジェクトの複数の2D座標点に基づいて、1つの2D凸包(2D convex hull)を算出して生成する(ステップS14)。2D凸包とは、3Dオブジェクトの全ての2D座標点を囲むことができる1つの最小の凸多角形を指す。そして、処理ユニット41は、2D凸包上の全ての頂点の座標点を取得する(ステップS16)。本実施形態において、2D凸包の頂点の数は、3Dオブジェクトの複数の2D座標点の数以下である。
【0030】
次に、処理ユニット41は、基準位置決め点及び頂点に基づいて、3Dオブジェクトの位置を確定し(ステップS18)、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS20)。処理ユニット41は、ステップS20において、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲内に完全に収まると判定した場合、3Dプリンタ4が更なる印刷処理を実行することを許可して、3Dオブジェクトを印刷する(ステップS22)。処理ユニット41は、ステップS20において、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲内に完全に収まらないと判定した場合、表示ユニット44から警告信号を発し(ステップS24)、3Dオブジェクトの位置を調整するようにユーザに要求する(例えば、コンピュータ装置5の描画ソフトウェアにより3D画像を編集する)。
【0031】
本発明に係る検出方法によれば、3Dオブジェクトが不適切な位置(即ち、印刷テーブル42の範囲外)に配置されるようにユーザが描画ソフトウェアを用いて3D画像を誤って編集してしまう場合、3Dプリンタ4及び/又はコンピュータ装置5は、このエラーを能動的に検出することができ、エラーが解消される前に3Dプリンタ4により印刷処理が起動されることを禁止するので、印刷エラーを効果的に回避することができる。
【0032】
図5は、本発明によるオブジェクト境界の第1の実施形態を示す概略図である。図5の実施形態において、印刷テーブル42は、円形の印刷テーブルである。
【0033】
図5に示すように、処理ユニット41により1つの3Dオブジェクトを2D平面上に投影すると、複数の2D座標点を得られる。処理ユニット41は、これらの2D座標点に基づいて1つの2D凸包60を算出して生成し、この2D凸包60の全ての頂点601をさらに取得することができる。具体的に、頂点601は、全て複数の2D座標点の一部である。本発明の第1の実施形態において、処理ユニット41は、これらの頂点601から印刷テーブル42の中心位置421までの距離をそれぞれ算出し、これらの距離と印刷テーブル42の半径とをそれぞれ比較して、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲内に収まるか否かを判定する。
【0034】
図6は、本発明による判定メカニズムの第1の実施形態を示すフローチャートである。図6は、主に、図4のステップS18をさらに説明するための図である。
【0035】
処理ユニット41は、図4のステップS16において、2D凸包60の全ての頂点601の座標を取得した後、印刷テーブル42の中心位置を取得し(ステップS30)、印刷テーブル42の半径を取得する(ステップS32)。具体的に、処理ユニット41は、図4のステップS10において印刷テーブル42の基準位置決め点420(例えば、図5に示す座標点(0,0))を取得する。ステップS30において、処理ユニット41は、基準位置決め点420及び3Dプリンタ4における印刷テーブル42の配置位置に基づいて、中心位置421の座標点(例えば、図5に示す座標点(x,y))を算出する。
【0036】
本実施形態において、基準位置決め点420は、3Dプリンタ4の左下隅に位置する。ただし、他の実施形態において、基準位置決め点420は、3Dプリンタ4の左上隅、右下隅、右上隅、又は真ん中であってもよいが、これらに限定されない。
【0037】
ステップS32において、処理ユニット41は、基準位置決め点420及び印刷テーブル42の配置位置とサイズに基づいて、印刷テーブル42上の各エッジ位置の座標点を算出し、中心位置421及びいずれかのエッジ位置(例えば、図5の座標点(0,y))に基づいて、印刷テーブル42の半径を算出する。
【0038】
他の実施形態において、3Dプリンタ4は、製造が完了したときに、中心位置421及び半径を記憶ユニット(図示せず)に直接記録してもよい。これにより、ステップS30及びステップS32において、処理ユニット41は、リアルタイムで算出することが必要なく、記憶ユニットから中心位置421及び半径を直接取得することができる。
【0039】
ステップS32の後、処理ユニット41は、2D凸包60の各頂点601から中心位置421までの距離をそれぞれ算出する(ステップS34)。そして、これらの距離のいずれかが印刷テーブル42の半径より大きいか否かを判定する(ステップS36)。本実施形態において、上記距離のいずれかが印刷テーブル42の半径より大きい場合、処理ユニット41は、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲を超えると判定する(ステップS38)。一方、上記距離が全て印刷テーブル42の半径以下である場合、処理ユニット41は、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲を超えないと判定する(ステップS40)。ステップS38又はステップS40の後、処理ユニット41は、図4に示すステップS20をさらに実行して、3Dプリンタ4が印刷処理を実行することを許可するか否かを判定する。
【0040】
図7は、本発明によるオブジェクト境界の第2の実施形態を示す概略図である。図7の実施形態において、印刷テーブル42は、円形の印刷テーブルである。
【0041】
図7に示すように、処理ユニット41により1つの3Dオブジェクトを2D平面上に投影すると、複数の2D座標点が得られる。処理ユニット41は、これらの2D座標点に基づいて2D凸包60を算出して生成し、2D凸包60の全ての頂点601をさらに取得することができる。本発明の第2の実施形態において、処理ユニット41は、これらの頂点601と基準位置決め点420とをそれぞれ接続することで、複数の接続線を生成する。そして、これらの接続線と印刷テーブル42との交点に基づいて、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲内に収まるか否かを判定する。
【0042】
図9は、本発明による判定メカニズムの第2の実施形態を示すフローチャートである。図9は、主に、図4に示すステップS18をさらに説明するための図である。
【0043】
処理ユニット41は、図4のステップS16において、2D凸包60の全ての頂点601の座標を取得した後、印刷テーブル42に対応する1つの円形方程式を取得し(ステップS50)、2D凸包60の各頂点601と基準位置決め点420との接続線をそれぞれ算出して生成する(ステップS52)。本実施形態において、円形方程式は、印刷テーブル42の配置位置と形状に一致する。即ち、印刷テーブル42の任意のエッジ位置の座標点を円形方程式に代入すると、円形方程式を解くことができる。
【0044】
ステップS52の後、処理ユニット41は、各接続線と円形方程式との交点情報を算出し(ステップS54)、各接続線と円形方程式とが1つの交点602のみを有するか否かを判定する(ステップS56)。
【0045】
具体的に、基準位置決め点420は、主として印刷テーブル42の外側に配置される。1つの頂点601と基準位置決め点420との接続線と、円形方程式とが1つの交点602のみを有する場合(即ち、印刷テーブル42との交点602が1つだけであることを意味する)、この頂点601が印刷テーブル42内に位置することを意味する。2D凸包60上の全ての頂点601と基準位置決め点420との接続線と、印刷テーブル42とが1つの交点602のみを有する場合、2D凸包60の全ての頂点601が印刷テーブル42内に収まることを意味する。つまり、3Dオブジェクトは、印刷テーブル42の範囲内に完全に収まっている。
【0046】
しかし、1つの頂点601が基準位置決め点420と印刷テーブル42との接線上に位置する場合、頂点601と基準位置決め点420との接続線と、印刷テーブル42とが1つの交点602のみを有するが、この頂点601は印刷テーブル42の外側に位置する。したがって、本発明は、上記の例外を排除するためのフィルタリングメカニズムをさらに提供する。
【0047】
図8は、本発明によるオブジェクト境界の第3の実施形態を示す概略図である。一実施形態において、処理ユニット41は、各頂点601と基準位置決め点420とを通過する直線をそれぞれ生成し、各直線上の基準位置決め点420と円形方程式との交点の最大距離Lmaxを取得し、各頂点601から基準位置決め点420までの接続距離が対応する各最大距離Lmax以下であるか否かを判定する(ステップS58)。上述したように、ステップS58は、各頂点601が上記の例外に属するか否かをさらに確認するためのものであるが、必ずしもステップS58を実行する必要はない。
【0048】
処理ユニット41は、ステップS56においてはいと判定した(ステップS58が存在する場合、ステップS58においてもはいと判定した)場合、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲を超えないと判定することができる(ステップS60)。一方、処理ユニット41は、ステップS56においていいえと判定した(又は、ステップS58においていいえと判定した)場合、3Dオブジェクトが印刷テーブル42の範囲を超えると判定することができる(ステップS62)。ステップS60又はステップS62の後、処理ユニット41は、図4に示すステップS20をさらに実行して、3Dプリンタ4が印刷処理を実行することを許可するか否かを判定する。
【0049】
本発明の検出方法によれば、3Dプリンタ4の備える印刷テーブル42が矩形の印刷テーブルでなくても、処理ユニット41又はコンピュータ装置5は、印刷対象の3Dオブジェクトが完全に印刷テーブル42の範囲内に収まるか否かを迅速に検出することができる、非常に便利である。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明にあっては種々の変形が可能であって、かかる変形は、特許請求の範囲内に含まれる変形である限り本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1、3…印刷ステージ
2…3Dオブジェクト
21…境界ボックス
4…3Dプリンタ
41…処理ユニット
42…印刷テーブル
420…基準位置決め点
421…中心位置
43…印刷ユニット
44…表示ユニット
45…送信ユニット
5…コンピュータ装置
60…凸包
601…頂点
602…交点
Lmax…最大距離
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9