【実施例1】
【0016】
図1及び
図2に、本発明を適用した実施例であるスイッチギヤ全体構成の概略を示す。本実施例では、開閉器の一例として遮断器を用いて説明する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本実施例のスイッチギヤは、筐体30と、この筐体30の内部に配置されている上段遮断器室31a及び下段遮断器室31b内に収納されて電流の投入及び遮断を行い、それぞれが台車23上に搭載されている遮断器15a及び15bと、上段遮断器室31a及び下段遮断器室31bの奥側に配置され、遮断器15a及び15bの断路部端子17a及び17b(
図14参照)と断路部ブッシング7a及び7b(
図14参照)を介して接続されている母線室32に収納された母線33と、母線室32の奥側に配置され、接続端子(図示せず)を介して接続されているケーブル室34に収納されたケーブル(図示せず)と、遮断器15a及び15bを上段遮断器室31a及び下段遮断器室31bに出し入れする際に開閉される正面扉1(
図3参照)とを備えて概略構成されている。
【0018】
上述した遮断器15a及び15bは真空遮断器等から成ると共に、電磁操作器25で開閉操作され、断路部端子17a及び17bが断路部ブッシング7a及び7bを介して母線室32内の母線33に接続される(
図14は、断路部端子17a及び17bと断路部ブッシング7a及び7bが未接続の状態である)。
【0019】
なお、上記した上段遮断器室31a、下段遮断器室31b、ケーブル室34、及び母線室32のそれぞれは、隔壁により隔離されている。
【0020】
また、本実施例のスイッチギヤは、
図3に示すように、上段遮断器室31a(下段遮断器室31bは上段遮断器室31aと同様な構成なので、以下では、代表して上段遮断器室31aについて説明する)には、断路部ブッシング7a及び7bの充電部をカバーするシャッター3a及び3bが設けられている。
【0021】
このシャッター3a及び3bは、シャッター操作ロッド用ガイド8a及び8bと、このシャッター操作ロッド用ガイド8a及び8b内を移動するシャッター操作ロッド4a及び4bと、このシャッター操作ロッド4a及び4bを操作するシャッター操作レバー5a及び5bとから成り、遮断器15aが上段遮断器室31a内に未挿入の状態では、シャッター3a及び3bは自重で下がり、断路部ブッシング7a及び7bの充電部をカバーしている。
【0022】
また、シャッター操作レバー5a及び5bには、シャッター3a及び3bの誤開閉を防止するための南京錠6a及び6bが取り付けられている。
【0023】
また、本実施例のスイッチギヤは、
図5乃至
図7、
図10、
図11に示すように、上段遮断器室31a内の内壁に固定ピン13を介して回転可能に係合レバー12が設置され、この係合レバー12と係合する係合ピン14が正面扉1の内側に設けられている。
【0024】
また、上段遮断器室31a内の内壁にストッパー金具9c及びストッパー操作金具9aが設けられ、一端が可動連結ピン11bを介してストッパー金具9cに、他端が可動連結ピン11aを介してストッパー操作金具9aにクランク状のストッパー操作レバー9bが回転可能に接続されている。遮断器15aにはストッパーピン16が設けられ、正面扉1の内側に突出するように扉固定金具20が設けられている。
【0025】
更に、上段遮断器室31aを出し入れするためのハンドル21と、正面扉1に設けられハンドル21が挿入される筒状部材24と、この筒状部材24に挿入されたハンドル21が係合される遮断器出し入れ機構18と、ハンドル21が挿入されていない時には筒状部材24の挿入口を塞ぐハンドル挿入口カバー2とを備えている。また、遮断器出し入れ機構18と接触して遮断器15aを固定するフレーム固定板19を備えている。
【0026】
次に、本実施例のスイッチギヤの動作について、
図3乃至
図13を用いて説明する。
【0027】
まず、
図3に示すように、遮断器15aが上段遮断器室31aに未挿入の状態では、シャッター3a及び3bは自重で下がり、断路部ブッシング7a及び7bの充電部をカバーしている。この時のストッパー操作金具9a、ストッパー操作レバー9b及びストッパー金具9cと係合レバー12の関係は、
図4に示すようになっている。即ち、ストッパー操作金具9a、ストッパー操作レバー9b及びストッパー金具9cは未動作(
図4の状態)で、係合レバー12は、先端に設けられたU字状の溝12a側が固定ピン13を中心に下方に下がり、反対側(溝12aが形成されていない側)が上方に上がって傾斜している。
【0028】
次に、試験位置では、
図5に示すように、遮断器15aが上段遮断器室31a内に格納されると、遮断器15aに設けられているストッパーピン16により係合レバー12が固定ピン13を中心に回転して水平状態に保たれる。このため、係合レバー12と正面扉1に設けられている係合ピン14とは干渉しないことから正面扉1は開閉可能である。
【0029】
正面扉1が開の状態で、かつ、遮断器15aが断路位置では、
図6に示すように、遮断器15aを断路位置まで押込むと、ストッパー金具9cと遮断器15aに設けられているストッパーピン16とが干渉して、遮断器15aは断路位置で停止する。遮断器15aが断路位置まで押込まれると、遮断器出し入れ操作機構18と上段遮断器室31aに設けられているフレーム固定板19が接触して両者が固定される。
【0030】
図7乃至
図9を用いて、正面扉1が閉の状態で、かつ、遮断器15aを断路位置より奥に進める動作について説明する。
【0031】
該図において、正面扉1を閉めると、扉固定金具20がストッパー操作金具9aを押し込むことでストッパー操作レバー9bを固定ピン10bを中心に反時計方向に回転させる。これにより、ストッパー操作レバー9bがストッパー金具9cを持ち上げることで、ストッパー金具9cとストッパーピン16の干渉が解かれ遮断器15aが出し入れ可能状態となる。
【0032】
この状態で正面扉1に設けられているスライド穴1bに沿ってつまみ2bを左へスライドさせる。するとハンドル挿入口カバー2が左へスライドし、正面扉1側のハンドル挿入口1aとハンドル挿入口カバー2側のハンドル挿入口2aが一致し、ハンドル21が挿入可能となる。このとき筒状部材24と遮断器出し入れ機構18が係合するため、ハンドル挿入口カバー2が開いている場合は、正面扉1の開閉操作ができなくなる。
【0033】
更に、安全性を向上させるためには、正面扉1の開閉操作ができなくなるとき、ハンドル挿入口カバー2の動きによってON/OFFするスイッチを設けても良い。例えば、正面扉1の裏に、ハンドル挿入口カバー2が最も左に位置した時に、ハンドル挿入口カバー2自体によって押されてONになるスイッチを設ける。このスイッチがONの場合、遮断器の操作機構を制御する制御回路が電気的に切断される構成としておく。こうすることで、ハンドル挿入口カバー2が空いている時に誤って遮断器内の接点が操作され、アークが発生する虞を低減することができる。
【0034】
シャッター3a及び3bが開放位置では、
図10に示すように、ハンドル21を操作して遮断器15aが上段遮断器室31aの奥側に移動し、ストッパーピン16の位置に従って係合レバー12が固定ピン13を中心に反時計方向に回転移動する。このとき、係合レバー12の先端に設けられたU字状の溝12aと正面扉1に設けられた係合ピン14が係合することによって、遮断器15aが断路位置よりも奥側にいる間は正面扉1の開閉を制御(開閉操作できないように)する。
【0035】
また、遮断器15aに固定されたシャッター操作ピン22が、シャッター操作レバー5a及び5bと干渉することで回転駆動し、シャッター操作ロッド4a及び4bを介してシャッター3a及び3bを持ち上げる。
【0036】
遮断器15aの運転位置では、
図11乃至
図13に示すように、ハンドル21を操作して遮断器15aが上段遮断器室31aの更に奥側へ押し込むことで、遮断器15aと接続される断路部端子17a及び17bが断路部ブッシング7a及び7b内の導体と接続されてハンドル21を取り外し、ハンドル挿入口カバー2で筒状部材24の挿入口を閉めることで遮断器15aが運転可能になる。
【0037】
この時(遮断器15aが運転可能な時)は、係合ピン14と係合レバー12が係合しており、正面扉1の開閉は制御されたまま(開閉操作ない状態が維持されまま)である。
【0038】
この状態(正面扉1の開閉操作ができない状態)においても、係合ピン14をスライドさせることで、係合レバー12との係合が外れ緊急時の正面扉1の強制開放も可能である。
【0039】
従って、本実施例によれば、正面扉1が開の状態の断路位置では遮断器15aの移動が阻止され、正面扉1が閉の状態で断路位置から運転位置に遮断器15aを移動させる間は、正面扉1の開閉操作を不可能にすることで、作業員が訓練を受けているか否かに関係なく誤操作を防止することが可能となり、スイッチギヤの安全性を向上させることが可能となる。
【0040】
また、最もアークが発生する虞のある遮断器15aの位置で正面扉1を物理的に開けられないようにすることで、万が一、アークによる爆風が発生しても、作業者に深刻な被害を与える虞はない。
【0041】
なお、本実施例は、遮断器を上下2段に配置した例にについて説明したが、遮断器は1段のみの配置であっても良いし、多段に遮断器を配置した場合でもいずれか1段のみの遮断器に適用することでも、上述した本実施例と同様な効果を得ることができる。
[変形例]
例えば、本実施例を適用した別の例として、
図15のように構成されたスイッチギヤについて説明する。
【0042】
図15は、スイッチギヤを奥行き方向に沿って切断した断面図である。
図15の左側に1段の開閉器室35を有し、右側(スチイギヤの奥方向)に母線室32とケーブル室34を有する。
【0043】
開閉器室35内のイントーロック構造については、実施例1と同様のため説明を省略する。
【0044】
このように、本発明は開閉器室35が1段であっても複数段であっても適用可能であり、開閉器が移動機構のついた引出型であれば遮断器でも断路器でも適用可能である。
【0045】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。