特許第6764295号(P6764295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立産機システムの特許一覧

<>
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000002
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000003
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000004
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000005
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000006
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000007
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000008
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000009
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000010
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000011
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000012
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000013
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000014
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000015
  • 特許6764295-スイッチギヤ 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6764295
(24)【登録日】2020年9月15日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/38 20060101AFI20200917BHJP
   H02B 1/36 20060101ALI20200917BHJP
   H02B 11/133 20060101ALI20200917BHJP
   H02B 11/127 20060101ALI20200917BHJP
   H02B 11/24 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   H02B1/38 D
   H02B1/36
   H02B11/133
   H02B11/127 B
   H02B11/133 B
   H02B11/133 C
   H02B11/24 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-186712(P2016-186712)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-57062(P2018-57062A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 雅詞
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直也
(72)【発明者】
【氏名】本間 正宏
(72)【発明者】
【氏名】堀井 千裕
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−049509(JP,A)
【文献】 特開2009−011070(JP,A)
【文献】 実開昭63−127207(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/38
H02B 1/36
H02B 11/127
H02B 11/133
H02B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の内部に配置されている開閉器室と、前記開閉器室内に配置され台車上に搭載される開閉器と、前記開閉器を開閉器室に出し入れする際に開閉される扉とを備えたスイッチギヤであって、
前記開閉器室の内壁に設置するストッパー金具及びストッパー操作金具と、一端が前記ストッパー金具に、他端が前記ストッパー操作金具に接続され回転可能なストッパー操作レバーと、前記開閉器に設けられているストッパーピンと、前記扉の内側に突出している扉固定金具と、前記開閉器を出し入れするためのハンドルと、前記扉に設けられ前記ハンドルが挿入される筒状部材と、前記筒状部材に挿入された前記ハンドルが係合される開閉器出し入れ機構と、前記ハンドルが挿入されていない時には前記筒状部材の挿入口を塞ぐハンドル挿入口カバーとを備え、
前記扉が開の状態で、かつ、前記開閉器が断路位置では、前記ストッパー金具と前記ストッパーピンとが干渉して前記開閉器は断路位置で停止し、前記扉が閉の状態で、かつ、前記開閉器が断路位置から運転位置に移動する間は、前記扉固定金具が前記ストッパー操作金具を押し込んで前記ストッパー操作レバーを回転させ、前記ストッパー金具が持ち上げられることで前記開閉器が出し入れ可能になると共に、前記ハンドル挿入口カバーを開くと前記ハンドルが挿入可能となり、前記筒状部材と前記開閉器出し入れ機構が係合することを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチギヤにおいて、
前記扉が開の状態で、かつ、前記開閉器が断路位置では、前記開閉器が断路位置まで押込まれると、前記開閉器出し入れ操作機構と前記開閉器室に設けられているフレーム固定板が接触して両者が固定されることを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項3】
請求項1に記載のスイッチギヤにおいて、
前記開閉器室内の内壁に固定ピンを介して回転可能に設置されている係合レバーと、前記扉の内側に設けられ前記係合レバーと係合する係合ピンとを備え、
前記開閉器が前記開閉器室内に格納されると、前記ストッパーピンにより前記係合レバーは前記固定ピンを中心に回転して水平状態に保たれ、前記係合レバーと前記係合ピンとは干渉しないことを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチギヤにおいて、
前記ハンドルを操作して前記開閉器が前記開閉器室の奥側に移動すると前記ストッパーピンの位置に従って前記係合レバーが回転移動し、前記係合レバーの先端に設けた溝と前記係合ピンが係合することを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチギヤにおいて、
前記ハンドル挿入口カバーの動きと連動するスイッチをさらに有し、
前記スイッチがONの場合、前記開閉器室内の操作機構を制御回路が電気的に切断されることを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチギヤにおいて、
前記開閉器と接続される断路部端子が断路部ブッシング内の導体と接続されると共に、前記ハンドルを取り外し、かつ、前記ハンドル挿入口カバーで前記筒状部材の挿入口を閉めることで前記挿入口が締められたとき、前記係合ピンと前記係合レバーが係合されることを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチギヤにおいて、
前記扉の開閉操作ができない状態が維持されている際に、前記係合ピンをスライドさせることで前記係合レバーとの係合が外れることを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項8】
請求項1に記載のスイッチギヤにおいて、
前記開閉器室に、シャッターが設けられ、前記開閉器が前記開閉器室内に未挿入の状態では、前記シャッターは自重で下がり前記断路部ブッシングの充電部をカバーすることを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチギヤにおいて、
前記シャッターは、シャッター操作ロッド用ガイドと、該シャッター操作ロッド用ガイド内を移動するシャッター操作ロッドと、該シャッター操作ロッドを操作するシャッター操作レバーとから成り、
前記開閉器に固定されたシャッター操作ピンが前記シャッター操作レバーと干渉することで前記シャッター操作レバーが回転駆動し、前記シャッター操作ロッドを介して前記シャッターを持ち上げ、前記断路部ブッシングの充電部が開放されることを特徴とするスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチギヤに係り、特に、開閉器に引出し操作のインターロック装置を備えているものに好適なスイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スイッチギヤの開閉器室に収納されている引出型の開閉器は、開閉器室内における運転位置及び試験位置があり、運転位置において、主回路断路部が自動的に連結され、その状態で開閉器を投入することにより運転状態となる。また、試験位置では、開閉器の投入及び遮断の試験を行う。
【0003】
試験位置で開閉器を投入し、その状態で運転位置へ開閉器を移動したとすると、主回路断路部が接続した瞬間、電流が開閉器に流れ、特に事故等により短絡電流が流れた場合、例えば、主回路断路部において電磁力により、開閉器を引き出す方向に力が働くため、操作者に対し異常に大きな力が作用し、或いはアークに晒され非常に危険である。
【0004】
そのため、引出型の開閉器は、必ず引出操作のインターロック装置を備えている。即ち、このインターロック装置は、試験位置又は運転位置で開閉器が投入状態にある場合には、開閉器が引出しできないように、運転と試験の途中の位置では、機械的及び電気的に開閉器が投入できないようするものである。
【0005】
このようなスイッチギヤのインターロック装置に関連する先行技術文献としては、特許文献1乃至3を挙げることができる。
【0006】
この特許文献1には、遮断器室から引出型遮断器を引き出したり挿入したりする際、主回路断路部に置かれたシャッターを開け閉めするシャッター駆動レバーの端部に連結した搖動リンクを、引出型遮断器のローラで駆動することが記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、盤外引出型の閉鎖配電盤等に装着する開閉装置を引き出す際に、正面扉が開放状態にあるときは開閉装置の移動ができないようにレバーの動きを妨げるロック装置を開閉装置に取り付けたことが記載されている。
【0008】
更に、特許文献3には、引出型開閉機器の移動台車にインターロックレバーを開閉軸レバーと連動して取り付けることにより、開閉機器の投入状態では引き出し操作ができないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−16717号公報
【特許文献2】特開平2−119507号公報
【特許文献3】特開昭60−204204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1乃至3には、主回路断路部をシャッターで開け閉めすること、或いは扉が開放状態にあるときは開閉装置が移動できないようにレバーの動きを妨げるロック装置を設けること、更には引出型開閉機器の投入状態では引出操作ができないようにすることが記載されているが、扉が開の状態の断路位置では、遮断器の移動が阻止され、扉が閉の状態で断路位置から運転位置に開閉機器を移動させる間は、扉の開閉操作ができなくするような対策については記載されておらず、例えば、作業員が誤って操作してしまう(操作訓練を受けていない作業員が扉を開けてしまう)際の対策については考慮されておらず、作業員の安全性に配慮しているとは言い難い。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、扉が開の状態の断路位置では開閉器の移動が阻止され、扉が閉の状態で断路位置から運転位置に開閉器を移動させる間は、扉の開閉操作をできなくして作業員の安全性を向上させるスイッチギヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のスイッチギヤは、上記目的を達成するために、筐体と、前記筐体の内部に配置されている開閉器室と、前記開閉器室内に配置され台車上に搭載される開閉器と、前記開閉器を開閉器室に出し入れする際に開閉される扉とを備えたスイッチギヤであって、前記開閉器室の内壁に設置するストッパー金具及びストッパー操作金具と、一端が前記ストッパー金具に、他端が前記ストッパー操作金具に接続され回転可能なストッパー操作レバーと、前記開閉器に設けられているストッパーピンと、前記扉の内側に突出している扉固定金具と、前記開閉器を出し入れするためのハンドルと、前記扉に設けられ前記ハンドルが挿入される筒状部材と、前記筒状部材に挿入された前記ハンドルが係合される開閉器出し入れ機構と、前記ハンドルが挿入されていない時には前記筒状部材の挿入口を塞ぐハンドル挿入口カバーとを備え、前記扉が開の状態で、かつ、前記開閉器が断路位置では、前記ストッパー金具と前記ストッパーピンとが干渉して前記開閉器は断路位置で停止し、前記扉が閉の状態で、かつ、前記開閉器が断路位置から運転位置に移動する間は、前記扉固定金具が前記ストッパー操作金具を押し込んで前記ストッパー操作レバーを回転させ、前記ストッパー金具が持ち上げられることで前記開閉器が出し入れ可能になると共に、前記ハンドル挿入口カバーを開くと前記ハンドルが挿入可能となり、前記筒状部材と前記開閉器出し入れ機構が係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、扉が開の状態の断路位置では開閉器の移動が阻止され、扉が閉の状態で断路位置から運転位置に開閉器を移動させる間は、扉の開閉操作をできなくして作業員の安全性を向上させることが可能なスイッチギヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤにおける全体構成の斜視図である。
図2】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤにおける全体構成の一部を破断して内部構造を示す斜視図である。
図3】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤにおける遮断器未挿入で扉開状態の遮断器室を示す概略斜視図である。
図4図3の状態におけるストッパー金具、ストッパー操作金具、ストッパー操作レバーと及び係合レバーとの関係を示す図である。
図5】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤの試験位置における遮断器室に遮断器が格納された状態を示す側面図である。
図6】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤの扉開で断路位置における遮断器室に遮断器が挿入された状態を示す側面図である。
図7】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤの扉閉で断路位置における遮断器室に遮断器が挿入された状態を示す側面図である。
図8図7において、ハンドル挿入口カバーでハンドル挿入口が塞がれている状態を示す部分斜視図である。
図9図7において、ハンドル挿入口カバーでのハンドル挿入口の塞ぎが開放されハンドルが挿入口に挿入される状態を示す部分斜視図である。
図10】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤの扉閉でシャッター開放位置における遮断器室に遮断器が挿入された状態を示す側面図である。
図11】本発明を適用した実施例1のスイッチギヤの扉閉で遮断器運転位置における遮断器室に遮断器が挿入された状態を示す側面図である。
図12図11において、係合レバーの溝と扉の係合ピンが係合している状態を示す部分斜視図である。
図13図11において、係合レバーの溝と扉の係合ピンの係合が解かれた状態を示す部分斜視図である。
図14】本発明を適用したスイッチギヤに採用される遮断器を示す図である。
図15】本発明を適用したスイッチギヤの変形例であり、スイッチギヤの奥行き方向に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のスイッチギヤを説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0016】
図1及び図2に、本発明を適用した実施例であるスイッチギヤ全体構成の概略を示す。本実施例では、開閉器の一例として遮断器を用いて説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施例のスイッチギヤは、筐体30と、この筐体30の内部に配置されている上段遮断器室31a及び下段遮断器室31b内に収納されて電流の投入及び遮断を行い、それぞれが台車23上に搭載されている遮断器15a及び15bと、上段遮断器室31a及び下段遮断器室31bの奥側に配置され、遮断器15a及び15bの断路部端子17a及び17b(図14参照)と断路部ブッシング7a及び7b(図14参照)を介して接続されている母線室32に収納された母線33と、母線室32の奥側に配置され、接続端子(図示せず)を介して接続されているケーブル室34に収納されたケーブル(図示せず)と、遮断器15a及び15bを上段遮断器室31a及び下段遮断器室31bに出し入れする際に開閉される正面扉1(図3参照)とを備えて概略構成されている。
【0018】
上述した遮断器15a及び15bは真空遮断器等から成ると共に、電磁操作器25で開閉操作され、断路部端子17a及び17bが断路部ブッシング7a及び7bを介して母線室32内の母線33に接続される(図14は、断路部端子17a及び17bと断路部ブッシング7a及び7bが未接続の状態である)。
【0019】
なお、上記した上段遮断器室31a、下段遮断器室31b、ケーブル室34、及び母線室32のそれぞれは、隔壁により隔離されている。
【0020】
また、本実施例のスイッチギヤは、図3に示すように、上段遮断器室31a(下段遮断器室31bは上段遮断器室31aと同様な構成なので、以下では、代表して上段遮断器室31aについて説明する)には、断路部ブッシング7a及び7bの充電部をカバーするシャッター3a及び3bが設けられている。
【0021】
このシャッター3a及び3bは、シャッター操作ロッド用ガイド8a及び8bと、このシャッター操作ロッド用ガイド8a及び8b内を移動するシャッター操作ロッド4a及び4bと、このシャッター操作ロッド4a及び4bを操作するシャッター操作レバー5a及び5bとから成り、遮断器15aが上段遮断器室31a内に未挿入の状態では、シャッター3a及び3bは自重で下がり、断路部ブッシング7a及び7bの充電部をカバーしている。
【0022】
また、シャッター操作レバー5a及び5bには、シャッター3a及び3bの誤開閉を防止するための南京錠6a及び6bが取り付けられている。
【0023】
また、本実施例のスイッチギヤは、図5乃至図7図10図11に示すように、上段遮断器室31a内の内壁に固定ピン13を介して回転可能に係合レバー12が設置され、この係合レバー12と係合する係合ピン14が正面扉1の内側に設けられている。
【0024】
また、上段遮断器室31a内の内壁にストッパー金具9c及びストッパー操作金具9aが設けられ、一端が可動連結ピン11bを介してストッパー金具9cに、他端が可動連結ピン11aを介してストッパー操作金具9aにクランク状のストッパー操作レバー9bが回転可能に接続されている。遮断器15aにはストッパーピン16が設けられ、正面扉1の内側に突出するように扉固定金具20が設けられている。
【0025】
更に、上段遮断器室31aを出し入れするためのハンドル21と、正面扉1に設けられハンドル21が挿入される筒状部材24と、この筒状部材24に挿入されたハンドル21が係合される遮断器出し入れ機構18と、ハンドル21が挿入されていない時には筒状部材24の挿入口を塞ぐハンドル挿入口カバー2とを備えている。また、遮断器出し入れ機構18と接触して遮断器15aを固定するフレーム固定板19を備えている。
【0026】
次に、本実施例のスイッチギヤの動作について、図3乃至図13を用いて説明する。
【0027】
まず、図3に示すように、遮断器15aが上段遮断器室31aに未挿入の状態では、シャッター3a及び3bは自重で下がり、断路部ブッシング7a及び7bの充電部をカバーしている。この時のストッパー操作金具9a、ストッパー操作レバー9b及びストッパー金具9cと係合レバー12の関係は、図4に示すようになっている。即ち、ストッパー操作金具9a、ストッパー操作レバー9b及びストッパー金具9cは未動作(図4の状態)で、係合レバー12は、先端に設けられたU字状の溝12a側が固定ピン13を中心に下方に下がり、反対側(溝12aが形成されていない側)が上方に上がって傾斜している。
【0028】
次に、試験位置では、図5に示すように、遮断器15aが上段遮断器室31a内に格納されると、遮断器15aに設けられているストッパーピン16により係合レバー12が固定ピン13を中心に回転して水平状態に保たれる。このため、係合レバー12と正面扉1に設けられている係合ピン14とは干渉しないことから正面扉1は開閉可能である。
【0029】
正面扉1が開の状態で、かつ、遮断器15aが断路位置では、図6に示すように、遮断器15aを断路位置まで押込むと、ストッパー金具9cと遮断器15aに設けられているストッパーピン16とが干渉して、遮断器15aは断路位置で停止する。遮断器15aが断路位置まで押込まれると、遮断器出し入れ操作機構18と上段遮断器室31aに設けられているフレーム固定板19が接触して両者が固定される。
【0030】
図7乃至図9を用いて、正面扉1が閉の状態で、かつ、遮断器15aを断路位置より奥に進める動作について説明する。
【0031】
該図において、正面扉1を閉めると、扉固定金具20がストッパー操作金具9aを押し込むことでストッパー操作レバー9bを固定ピン10bを中心に反時計方向に回転させる。これにより、ストッパー操作レバー9bがストッパー金具9cを持ち上げることで、ストッパー金具9cとストッパーピン16の干渉が解かれ遮断器15aが出し入れ可能状態となる。
【0032】
この状態で正面扉1に設けられているスライド穴1bに沿ってつまみ2bを左へスライドさせる。するとハンドル挿入口カバー2が左へスライドし、正面扉1側のハンドル挿入口1aとハンドル挿入口カバー2側のハンドル挿入口2aが一致し、ハンドル21が挿入可能となる。このとき筒状部材24と遮断器出し入れ機構18が係合するため、ハンドル挿入口カバー2が開いている場合は、正面扉1の開閉操作ができなくなる。
【0033】
更に、安全性を向上させるためには、正面扉1の開閉操作ができなくなるとき、ハンドル挿入口カバー2の動きによってON/OFFするスイッチを設けても良い。例えば、正面扉1の裏に、ハンドル挿入口カバー2が最も左に位置した時に、ハンドル挿入口カバー2自体によって押されてONになるスイッチを設ける。このスイッチがONの場合、遮断器の操作機構を制御する制御回路が電気的に切断される構成としておく。こうすることで、ハンドル挿入口カバー2が空いている時に誤って遮断器内の接点が操作され、アークが発生する虞を低減することができる。
【0034】
シャッター3a及び3bが開放位置では、図10に示すように、ハンドル21を操作して遮断器15aが上段遮断器室31aの奥側に移動し、ストッパーピン16の位置に従って係合レバー12が固定ピン13を中心に反時計方向に回転移動する。このとき、係合レバー12の先端に設けられたU字状の溝12aと正面扉1に設けられた係合ピン14が係合することによって、遮断器15aが断路位置よりも奥側にいる間は正面扉1の開閉を制御(開閉操作できないように)する。
【0035】
また、遮断器15aに固定されたシャッター操作ピン22が、シャッター操作レバー5a及び5bと干渉することで回転駆動し、シャッター操作ロッド4a及び4bを介してシャッター3a及び3bを持ち上げる。
【0036】
遮断器15aの運転位置では、図11乃至図13に示すように、ハンドル21を操作して遮断器15aが上段遮断器室31aの更に奥側へ押し込むことで、遮断器15aと接続される断路部端子17a及び17bが断路部ブッシング7a及び7b内の導体と接続されてハンドル21を取り外し、ハンドル挿入口カバー2で筒状部材24の挿入口を閉めることで遮断器15aが運転可能になる。
【0037】
この時(遮断器15aが運転可能な時)は、係合ピン14と係合レバー12が係合しており、正面扉1の開閉は制御されたまま(開閉操作ない状態が維持されまま)である。
【0038】
この状態(正面扉1の開閉操作ができない状態)においても、係合ピン14をスライドさせることで、係合レバー12との係合が外れ緊急時の正面扉1の強制開放も可能である。
【0039】
従って、本実施例によれば、正面扉1が開の状態の断路位置では遮断器15aの移動が阻止され、正面扉1が閉の状態で断路位置から運転位置に遮断器15aを移動させる間は、正面扉1の開閉操作を不可能にすることで、作業員が訓練を受けているか否かに関係なく誤操作を防止することが可能となり、スイッチギヤの安全性を向上させることが可能となる。
【0040】
また、最もアークが発生する虞のある遮断器15aの位置で正面扉1を物理的に開けられないようにすることで、万が一、アークによる爆風が発生しても、作業者に深刻な被害を与える虞はない。
【0041】
なお、本実施例は、遮断器を上下2段に配置した例にについて説明したが、遮断器は1段のみの配置であっても良いし、多段に遮断器を配置した場合でもいずれか1段のみの遮断器に適用することでも、上述した本実施例と同様な効果を得ることができる。
[変形例]
例えば、本実施例を適用した別の例として、図15のように構成されたスイッチギヤについて説明する。
【0042】
図15は、スイッチギヤを奥行き方向に沿って切断した断面図である。図15の左側に1段の開閉器室35を有し、右側(スチイギヤの奥方向)に母線室32とケーブル室34を有する。
【0043】
開閉器室35内のイントーロック構造については、実施例1と同様のため説明を省略する。
【0044】
このように、本発明は開閉器室35が1段であっても複数段であっても適用可能であり、開閉器が移動機構のついた引出型であれば遮断器でも断路器でも適用可能である。
【0045】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…正面扉、1a…正面扉側のハンドル挿入口、1b…スライド穴、2…ハンドル挿入口カバー、2a…ハンドル挿入口カバー側のハンドル挿入口、2b…つまみ、3a、3b…シャッター、4a、4b…シャッター操作ロッド、5a、5b…シャッター操作レバー、6a、6b…南京錠、7a、7b…断路部ブッシング、8a、8b…シャッター操作ロッド用ガイド、9a…ストッパー操作金具、9b…ストッパー操作レバー、9c…ストッパー金具、10a、10b、10c、13…固定ピン、11a、11b…可動連結ピン、12…係合レバー、12a…係合レバーの溝、14…係合ピン、15a、15b…遮断器、16…ストッパーピン、17a、17b…断路部端子、18…遮断器出し入れ機構、19…フレーム固定板、20…扉固定金具、21…ハンドル、22…シャッター操作ピン、23…台車、24…筒状部材、25…電磁操作器、30…筐体、31a…上段遮断器室、31b…下段遮断器室、32…母線室、33…母線、34…ケーブル室、35…開閉器室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15