(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図13は、従来の移送器具に、重量物である門型側溝ブロックを載置するときの概略斜視図である。
【0003】
図を参照して、従来の一対の移送器具101a及び101bは、断面視逆Uの字形状を有し、上面4にインサート6a〜6dが形成された重量物1である門型側溝ブロック2を移送するために用いられるものである。
【0004】
移送器具101aは、断面視Uの字形状を有し、鋼板から形成された本体103aと、本体103aの内方側で対向する位置に固定された固定部材106a及び106bと、本体103aの内方側で固定部材106aと固定部材106bとの間に嵌め込まれる角材109aとから構成される。尚、移送器具101bは、移送器具101aと同様に構成される。
【0005】
図14は、
図13で示した従来の移送器具を用いて、重量物である門型側溝ブロックを移送する概略工程図の一部であり、
図15は、
図14で示した概略工程図に続き、従来の移送器具を用いて、重量物である門型側溝ブロックを移送する概略工程図の他の一部であり、
図16は、
図15の“W”部分の拡大図である。
【0006】
図14の(1)を参照して、レール130は、断面視L字形状を有する不等辺山形鋼のような鋼材からなり、図示しない基面上に打設された均しコンクリート135の上面に固定して設置される。尚、レール130は、基面上に打設された均しコンクリート135へ打ち込んだ差筋又はインサート等に対して、溶接等で固定しても良い。
【0007】
ここで、レール130(均しコンクリート135)は、上方側に向って昇るように、傾斜角θを有して傾斜している。門型側溝ブロック2は、設置後に内方側に水路が形成され、傾斜角θによって、水が下方側(下流側)へと流れる。尚、傾斜角θは、負の値、即ち、上方側に向って降るように形成されても良い。又は、傾斜角θは、0の値、即ち、水平に形成されても良い。
【0008】
レール130の上面に、多数の鋼球121を配置する。尚、このとき、鋼球121の不用意な転動を抑えるために、レール130の上に専用の図示しない粘着剤を散布しても良い。これにより、傾斜角θを有するレール130においても鋼球121が自重により移動しにくくなり、所望の位置に留まり、偏りなく、鋼球121同士の間隔を保持することができる。又、移送器具101a及び101bの移動量を調整できることにもなる。
【0009】
レール130の上面に、鋼球121を介して、
図13で示したように移送器具101a及び101bを平行に配置する。
【0010】
次に、クレーン91が直接入れないような場所であっても、移送器具101a及び101bを用いて、門型側溝ブロック2を所望の位置に設置することができるようにする。
【0011】
まず、
図13で示した門型側溝ブロック2の上面4に形成されたインサート6a〜6dに、フック部材95a及び95b等を取り付ける。門型側溝ブロック2のフック部材95a及び95b等に、ワイヤー93a及び93bを通す。そして、クレーン91によって、ワイヤー93a及び93bを介して、門型側溝ブロック2を吊り上げ、
図13の実線の矢印で示した方向へ、門型側溝ブロック2を移送器具101a及び101bに載置する。このとき、門型側溝ブロック2の下面3aは、移送器具101aの角材109aの上面110aに当接した状態となる。又、門型側溝ブロック2の下面3bは、移送器具101bの角材109bの上面110bに当接した状態となる。
【0012】
そして、門型側溝ブロック2からフック部材95a及び95b等を取り外した後、移送器具101a及び101bによって、門型側溝ブロック2を実線の矢印の方向へと移動して仮配置する。このとき、鋼球121があるため、レール130の上面に沿った方向へ移動し易い。
【0013】
図14の(2)を参照して、仮配置された門型側溝ブロック2の下面3aに、油圧ジャッキ151a及び151bを配置する。尚、門型側溝ブロック2の下面3bに対しても同様に、油圧ジャッキを配置する。門型側溝ブロック2は左右対称に形成され、移送器具101a及び101bの各々は対称に位置しており、同様の工程のため、以後は、門型側溝ブロック2の下面3aのある側及び移送器具101aを中心に説明する。
【0014】
油圧ジャッキ151a及び151bによって、実線の矢印の方向へ門型側溝ブロック2を持ち上げる。
【0015】
図14の(3)を参照して、油圧ジャッキ151a及び151bで門型側溝ブロック2を持ち上げた状態で、門型側溝ブロック2の下面3aとレール130(鋼球121)との間から、移送器具101aを実線の矢印の方向へと移動させて取り除く。
【0016】
図15の(1)を参照して、移送器具101aを取り除いた状態で、油圧ジャッキ151a及び151bの各々の近辺において、門型側溝ブロック2の下面3aとレール130との間に、高さ調整具111a及び111bを配置する。そして、後述するように、高さ調整具111aのナット115a及び高さ調整具111bのナット115bを順方向へ回転させ、高さ調整具111a及び111bの高さを高くすることで、門型側溝ブロック2を支持する。そして、門型側溝ブロック2の下面3aとレール130との間から、油圧ジャッキ151a及び151bを取り除く。
【0017】
ここで、高さ調整具111bは、
図16を参照して、門型側溝ブロック2を載置することができ、鋼板からなる上部材112と、上部材112の下方に配置され、鋼板からなる下部材120と、上部材112の下面に固定された第1のボルト114と、下部材120の上面に固定され、第1のボルト114とは逆ネジの第2のボルト118と、その上部116が第1のボルト114とその下部117が第2のボルト118との各々に螺合するナット115bとから構成される。このように構成することで、高さ調整具111bのナット115bを、順方向へ回転させることで、高さ調整具111bの高さが高くなり、一方、逆方向へ回転させることで、高さ調整具111bの高さが低くなる。尚、高さ調整具111aは、高さ調整具111bと同様に構成される。
【0018】
図15の(2)を参照して、高さ調整具111a及び111bで門型側溝ブロック2を支持した状態から、高さ調整具111aのナット115a及び高さ調整具111bのナット115bを逆方向へ回転させ、高さ調整具111a及び111bの高さを低くする。これにより、既に設置されている門型側溝ブロックとの高さを調整する。
【0019】
図15の(3)を参照して、上記と同様の工程を経て、他の門型側溝ブロックを配置した後に、門型側溝ブロック2の下面3aと均しコンクリート135(レール130)との間に、生コンクリート160を流し込んで養生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のような従来の移送器具101a及び101bでは、
図14の(3)で示したように、仮配置された門型側溝ブロック2に、油圧ジャッキ151a及び151bを配置する手間に加えて、門型側溝ブロック2の下面3aとレール130(鋼球121)との間から、移送器具101aを取り除いた後に、
図15の(1)で示したように、高さ調整具111a及び111bを配置する手間を要していた。
【0021】
ところで、仮に、門型側溝ブロック2を載置した状態の高さ調整具111a及び111bを用いて、門型側溝ブロック2をレール130に沿って移動させたとしても、移動時に門型側溝ブロック2の荷重により高さ調整具111a及び111bが倒れる虞があった。そのため、高さ調整具111a及び111bは、移送器具101a及び101bの代りとして使用できるものではなかった。
【0022】
よって、移動時に倒れる虞がない移送器具であり、又、それを用いることで上記のような手間を要しない移送方法が望まれていた。
【0023】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、移送時の全体強度が向上すると共に、使用勝手が向上する移送器具、及び、移送時の移送器具の強度が向上する移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、重量物を移送するための移送器具であって、重量物を載置することができる上部材と、上部材の下方に配置される下部材と、上部材と下部材との間隔を所定範囲に調整できる間隔調整手段と、上部材と下部材とのスペースに脱着自在に配置されると共に、間隔調整手段による調整によって上部材の下面と下部材の上面とに当接状態に固定される連結体とを備えたものである。
【0025】
このように構成すると、上部材と下部材とが連結体を介して一体化する。
【0026】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、連結体の高さは、所定範囲の上限未満且つ所定範囲の下限を超えるように設定されるものである。
【0027】
このように構成すると、連結体の取り付け及び取り外しが確実となる。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、間隔調整手段は、上部材に固定された第1のボルトと、下部材に固定され、第1のボルトとは逆ネジの第2のボルトと、その上部が第1のボルトと、その下部が第2のボルトとの各々に螺合するナットとからなり、連結体は、その開放端の水平方向の幅がナットの外径よりも大きい平面視コの字形状に形成されると共に、ナットを囲うように配置されるものである。
【0029】
このように構成すると、連結体の開放端を介して、ナットを操作できる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、連結体は、少なくとも一方にナットの操作用開口が形成された対向する一対の側壁部と、側壁部の各々に接続された連結壁部とからなるものである。
【0031】
このように構成すると、側壁部の操作用開口を介して、間隔調整手段のナットを操作できる。
【0032】
請求項5記載の発明は、重量物を移送するための移送器具であって、重量物を載置することができる第1の上部材と、重量物を載置することができる第2の上部材と、第1の上部材の下方及び第2の上部材の下方に配置される下部材と、第1の上部材と下部材との間隔を第1の所定範囲に調整できる第1の間隔調整手段と、第2の上部材と下部材との間隔を第2の所定範囲に調整できる第2の間隔調整手段と、第1の上部材と下部材との第1のスペースに脱着自在に配置されると共に、第1の間隔調整手段による調整によって第1の上部材の下面と下部材の上面とに当接状態に固定される第1の連結体と、第2の上部材と下部材との第2のスペースに脱着自在に配置されると共に、第2の間隔調整手段による調整によって第2の上部材の下面と下部材の上面とに当接状態に固定される第2の連結体とを備えたものである。
【0033】
このように構成すると、第1の上部材と下部材とが第1の連結体を介して一体化すると共に、第2の上部材と下部材とが第2の連結体を介して一体化する。
【0034】
請求項6記載の発明は、重量物を移送するための移送方法であって、移送器具の上部材と下部材との間隔を広げる工程と、上部材と下部材との間に連結体を配置する工程と、上部材と下部材との間隔を狭めて連結体を固定する工程と、上部材に重量物を載置する工程と、重量物が載置された移送器具を、下部材を介して移動させる工程と、移動した移送器具の上部材と下部材との間隔を広げる工程と、連結体を取り外し、上部材と下部材との間隔を所定の値に調整する工程とを備えたものである。
【0035】
このように構成すると、移動時には、連結体は上部材及び下部材と一体化する。
【0036】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、更に、取り外された連結体を、次の移送器具まで移動させる工程を備え、以下、次以降の重量物の移送に対して上記各工程を繰り返すものである。
【0037】
このように構成すると、各移送器具に対して連結体を共用できる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、上部材と下部材とが連結体を介して一体化するため、移送時の全体強度が向上する。
【0039】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、連結体の取り付け及び取り外しが確実となるため、使用勝手が向上する。
【0040】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、連結体の開放端を介して、ナットを操作できるため、間隔調整時の作業効率が向上する。
【0041】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、側壁部の操作用開口を介して、間隔調整手段のナットを操作できるため、使用勝手が向上する。
【0042】
請求項5記載の発明は、第1の上部材と下部材とが第1の連結体を介して一体化すると共に、第2の上部材と下部材とが第2の連結体を介して一体化するため、移送時の全体強度が向上する。
【0043】
請求項6記載の発明は、移動時には、連結体は上部材及び下部材と一体化するため、移動時の移送器具の強度が向上する。
【0044】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、各移送器具に対して連結体を共用できるため、コスト的に有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、この発明の第1の実施の形態による移送器具に、重量物である門型側溝ブロックを載置するときの概略斜視図であって、
図13に対応した図である。
【0047】
尚、この第1の実施の形態による移送器具11a〜11dを用いて移送する重量物1である門型側溝ブロック2は、
図13で示した門型側溝ブロック2と同一である。そのため、ここでは、説明を繰り返さない。
【0048】
図を参照して、移送器具11a〜11dは、重量物1である門型側溝ブロック2を移送するために用いられるものである。
【0049】
移送器具11aは、重量物1である門型側溝ブロック2を載置することができ、鋼板から形成された上部材16と、上部材16の下方に配置され、鋼板から形成された下部材21と、上部材16と下部材21との間隔を後述するように所定範囲に調整できる間隔調整手段31と、上部材16と下部材21とのスペースに脱着自在に配置されると共に、間隔調整手段31による調整によって上部材16の下面17と下部材21の上面22とに当接状態に固定される連結体46とから構成される。このように構成することにより、上部材16と下部材21とが連結体46を介して一体化するため、移送時の全体強度が向上する。
【0050】
移送器具11aの下部材21は、平坦部24と、平坦部24の正面側(移送器具11aの進行方向側:
図1においては左上の方向)の先端部において上方へ湾曲した形状の湾曲部25とから構成される。
【0051】
移送器具11aの上部材16は、門型側溝ブロック2の下面3aと当接する平坦部18aと、平坦部18aの一方側縁に接続され、門型側溝ブロック2の内方側の側面5aよりも内方側に位置することになる側壁部19aとから構成される。
【0052】
尚、移送器具11bは、移送器具11aと同様に構成される。又、移送器具11cは、移送器具11aと基本的な構成は同一であるものの、上部材16cの側壁部19cが、平坦部18cの他方側縁に接続され、門型側溝ブロック2の内方側の側面5bよりも内方側に位置するように形成されている点のみ異なっている。移送器具11dは、移送器具11cと同様に構成される。
【0053】
図2は、
図1で示した移送器具の連結体を正面側から見た概略斜視図であり、
図3は、
図2で示した連結体を背面側から見た概略斜視図である。
【0054】
これらの図を参照して、移送器具11aの連結体46は、開放端48を有する平面視コの字形状に形成されると共に、
図1で示したように間隔調整手段31を囲うように配置される。
【0055】
連結体46は、
図1で示した間隔調整手段31の後述するナット42の操作用開口52a及び52bの各々が形成され、矩形形状を有し、鋼板からなる対向する一対の側壁部51a及び51bと、側壁部51a及び51bの各々に接続され、矩形形状を有し、鋼板からなる連結壁部55とから構成される。
【0056】
ここでは、操作用開口52a及び52bの各々は、側面視八角形に形成されている。尚、操作用開口52a及び52bの各々は、後述するナット42を操作することができる大きさであれば、それ以外の形状であっても良い。
【0057】
図4は、
図1で示した移送器具の概略右側面図であって、移送器具による間隔調整について説明する図である。
【0058】
図4の(1)を参照して、移送器具11aの間隔調整手段31は、上部材16の平坦部18aの下面17に固定された第1のボルト34と、下部材21の上面22に固定され、第1のボルト34とは逆ネジの第2のボルト38と、その上部43が第1のボルト34とその下部44が第2のボルト38との各々に螺合するナット42とから構成される。このように構成することで、間隔調整手段31のナット42を、順方向へ回転させることで、上部材16の位置が高くなり、移送器具11a全体の高さが高くなる。一方、間隔調整手段31のナット42を、逆方向へ回転させることで、上部材16の位置が低くなり、移送器具11a全体の高さが低くなる。このようにして、間隔調整手段31によって、上部材16と下部材21との間隔を所定範囲に調整できる。
【0059】
図4の(1)で示した移送器具11aは、間隔調整手段31のナット42を順方向へ回転させて、移送器具11a全体の高さを最大限まで高くした状態である。このように最大限まで高くした移送器具11aにおける下部材21の上面22から上部材16の下面17までの高さ(所定範囲の上限)を、H
αとする。
【0060】
ここで、二点鎖線で示した連結体46は、上部材16と下部材21とのスペースに配置された状態を示している。連結体46の高さHは、所定範囲の上限であるH
α未満に設定される。
【0061】
図4の(2)を参照して、この移送器具11aは、第1のボルト34の下面35と、第2のボルト38の上面39とが当接した状態にある。即ち、間隔調整手段31のナット42を逆方向へ回転させて、移送器具11a全体の高さを最小限まで低くした状態である。このように最小限まで低くした移送器具11aにおける下部材21の上面22から上部材16の下面17までの高さ(所定範囲の下限)を、H
βとする。
【0062】
所定範囲の下限であるH
βは、
図4の(2)で示した状態以外に、次に示すような状態も考えられる。
【0063】
図4の(3)を参照して、この移送器具11aは、第1のボルト34の頭部36の下面と、ナット42の上面とが当接した状態であると共に、第2のボルト38の頭部40の上面と、ナット42の下面とが当接した状態である。即ち、間隔調整手段31のナット42を逆方向へ回転させて、移送器具11a全体の高さを最小限まで低くした状態である。この状態は、
図4の(2)とは異なり、第1のボルト34の下面35と、第2のボルト38の上面39とが当接していない。このように最小限まで低くした移送器具11aにおける下部材21の上面22から上部材16の下面17までの高さ(所定範囲の下限)を、H
βとする。
【0064】
これらより、連結体46の高さHは、
図4の(2)及び(3)で示したような所定範囲の下限であるH
βを超えるように設定される。
【0065】
従って、連結体46の高さHを、所定範囲の上限H
α未満且つ所定範囲の下限H
βを超えるように設定することで、移送器具11aに対して連結体46の取り付け及び取り外しが確実となるため、使用勝手が向上する。
【0066】
図5は、
図1で示した移送器具に、連結体を取り付ける工程を示す概略工程図であり、
図6は、
図5の(2)で示したVI−VIラインから見た概略断面図である。
【0067】
尚、ここでは、
図1で示した重量物1である門型側溝ブロック2を移送器具11aに載置するに先立ち、まず移送器具11aに連結体46を取り付ける工程を説明する。
【0068】
図5の(1)を参照して、移送器具11aの間隔調整手段31のナット42を順方向へ回転させて、移送器具11a全体の高さを高くする。そして、移送器具11aにおける下部材21の上面22から上部材16の下面17までの高さを、
図4の(1)で示した連結体46の高さHよりも高くして、連結体46が配置できるように、上部材16と下部材21との間隔を広げる。
【0069】
そして、実線の矢印の方向へ、上部材16と下部材21との間に連結体46を配置する。その際、連結体46を、間隔調整手段31のナット42を囲うように配置する。又、破線の矢印の方向へ連結体46を回転させ、連結壁部55が正面側(進行方向側)に位置するように配置する。連結体46の開放端48は、背面側(進行方向の逆側)に位置する。
【0070】
図5の(2)及び
図6を参照して、連結体46は、連結壁部55が正面側に位置した状態で、移送器具11aの下部材21の上面22に配置されている。先の工程で、上部材16の高さを高くしたので、連結体46の上面と上部材16の下面17との間の高さはH
1となっている。
【0071】
又、連結体46は、
図6で示したように、その開放端48の幅Wが間隔調整手段31のナット42の外径Rよりも大きい平面視コの字形状に形成されると共に、ナット42を囲うように配置されている。これにより、連結体46の開放端48を介して、スパナ等を用いてナット42を操作できるので、間隔調整時の作業効率が向上する。
【0072】
更に、連結体46の側壁部51a及び51bの各々には、操作用開口52a及び52bの各々が形成されている。よって、側壁部51a及び51bの操作用開口52a及び52bを介して、スパナ等を用いて間隔調整手段31のナット42を操作できるため、使用勝手が向上している。尚、連結体46の両方の側壁部に操作用開口が形成されているため、どちらの側壁部の方向からもナット42を操作できるので、使用勝手がより向上したものとなっている。又、
図1で示した移送器具11a〜11dのいずれにも、連結体46を同様に使用することができる。
【0073】
図5の(2)の状態から、移送器具11aの間隔調整手段31のナット42を逆方向へ回転させて、実線の矢印の方向へ移送器具11a全体の高さを低くし、上部材16と下部材21との間隔を狭めて連結体46を移送器具11aに固定する。即ち、高さH
1の値を0(ゼロ)にする。
【0074】
図5の(3)を参照して、移送器具11aにおいて、連結体46は、上部材16と下部材21とにより挟まれて、連結体46は固定された状態である。即ち、連結体46の上面と、上部材16の下面17とは当接している。又、連結体46の下面と、下部材21の上面22とは当接し、全体が一体化する。
【0075】
図7は、
図1で示した移送器具を用いて、重量物である門型側溝ブロックを移送する概略工程図の一部であり、
図8は、
図7で示した概略工程図に対応する図であって、(1)は
図7の“X”部分、(2)は
図7の“Y”部分、(3)は
図7の“Z”部分の拡大図であり、
図9は、
図7で示した概略工程図に続き、移送器具を用いて、重量物である門型側溝ブロックを移送する概略工程図の他の一部であり、
図10は、
図7で示したX−Xラインから見た概略断面図であり、
図11は、
図9で示したXI−XIラインから見た概略断面図であって、
図10に対応した図である。
【0076】
図7の(1)及び
図8の(1)を参照して、この第1の実施の形態による移送器具11a〜11dを配置する設置環境(レール130、均しコンクリート135及び鋼球121)及び重量物1である門型側溝ブロック2は、
図14の(1)で示した従来の移送器具101a及び101bを配置する設置環境及び門型側溝ブロック2と同一である。そのため、ここでは、説明を繰り返さない。
【0077】
レール130の上面に、鋼球121を介して、
図5において連結体46を固定した移送器具11a及び11bと、移送器具11c及び11dとをそれぞれ、
図1で示したように平行に配置する。ここでは、移送器具11aの後方に、移送器具11bが配置される。又、移送器具11cの後方に、移送器具11dが配置されている。
【0078】
図14の(1)の工程と同様にして、クレーン91によって、ワイヤー93a及び93bを介して、重量物1である門型側溝ブロック2を吊り上げ、
図1の実線の矢印で示した方向へ、移送器具11a〜11dの上部材(移送器具11aにおいては上部材16の平坦部18aの上面、移送器具11cにおいては上部材16cの平坦部18cの上面)に、重量物1である門型側溝ブロック2を載置する。
【0079】
このとき、
図1で示したように、移送器具11aの上部材16の側壁部19aは、門型側溝ブロック2の内方側の側面5aよりも内方側に位置するように、門型側溝ブロック2を載置する。又、移送器具11cの上部材16cの側壁部19cは、門型側溝ブロック2の内方側の側面5bよりも内方側に位置するように、門型側溝ブロック2を載置する。即ち、側壁部19a及び19cは、門型側溝ブロック2を載置する際の位置決めとなる。又、移動時には、側壁部19a及び19cは、側壁部19a及び19cに直交する方向に門型側溝ブロック2がずれるのを防ぐ役割を果たす。
【0080】
載置し終えると、門型側溝ブロック2の下面3aは、移送器具11aの上部材16の平坦部18aの上面に当接した状態となる。又、門型側溝ブロック2の下面3bは、移送器具11cの上部材16cの平坦部18cの上面に当接した状態となる。
【0081】
尚、門型側溝ブロック2は左右対称に形成され、移送器具11a及び11bと移送器具11c及び11dの各々は対称に位置しており、同様の工程のため、以後は、門型側溝ブロック2の下面3aのある側及び移送器具11a及び11bを中心に説明する。
【0082】
そして、門型側溝ブロック2からワイヤー93a及び93b等を取り外した後、実線の矢印の方向へ、重量物1である門型側溝ブロック2が載置された移送器具11a及び11bを、下部材21を介して移動させる。このとき、鋼球121があるため、レール130の上面に沿った方向へ移動し易い。尚、移動する際に、門型側溝ブロック2や移送器具11a及び11bを、人の手で押すことに代えて、ウインチ等で牽引したり、バックホウのブレード(排土板)等で押したりして、移動しても良い。
【0083】
又、移送器具11aの下部材21には、平坦部24の正面側(移送器具11aの進行方向側)の先端部において上方へ湾曲した形状の湾曲部25が形成されている。このように形成することで、移動時に、進行方向側にある鋼球121が下部材21の先端部で押しのけられることなく、円滑に移動することが可能となる。
【0084】
更に、
図5の工程において、連結体46は移送器具11aに固定されている。そのため、移動時には、連結体46は上部材16及び下部材21と一体化するため、移動時の移送器具11aの強度が向上する。
【0085】
更に、移送器具11aにおける連結体46の連結壁部55は、正面側(進行方向側)に位置するように配置されている。そのため、移動時に、門型側溝ブロック2の荷重が、移送器具11aの前方にかかっても、連結体46の連結壁部55並びに側壁部51a及び51bにより門型側溝ブロック2を保持することができるため、移送器具11aが倒れにくくなっている。
【0086】
移動した後で、
図8の(1)で示した破線の矢印の方向へ、間隔調整手段31のナット42を、順方向へ回転させて、上部材16の位置を高くし、移動した移送器具11aの上部材16と下部材21との間隔を広げる。
【0087】
図7の(2)、
図8の(2)及び
図10を参照して、移送器具11aから連結体46を取り外し、
図7の(2)で示した破線の矢印の方向へ、間隔調整手段31のナット42を、逆方向へ回転させて、上部材16の位置を低くする。これにより、隣接する門型側溝ブロックの位置に合わせ、上部材16と下部材21との間隔を所定の値に調整する。
【0088】
図7の(2)で示したように、取り外した連結体46を、次の移送器具11eまで移動させる。即ち、各移送器具に対して、連結体46を共用できるようになるため、コスト的に有利となる。
【0089】
図7の(3)及び
図8の(3)を参照して、移送器具11a及び11bにより支持された門型側溝ブロック2は、既に設置されている門型側溝ブロックの高さに合わせて設置された状態である。尚、移送器具11aにおいては、連結体46は取り外された状態にある。取り外された連結体46は、
図5で示した工程を同様に経て、移送器具11eに取り付けられている。
【0090】
図9の(1)を参照して、連結体46が取り付けられた移送器具11e及び11fを用いて、
図7の(1)と同様の工程にて、門型側溝ブロック2aを載置してから移動させる。
【0091】
図9の(2)を参照して、移送器具11e及び11fにより支持された門型側溝ブロック2aは、
図7の(2)及び(3)と同様の工程を経て、既に設置されている門型側溝ブロック2の高さに合わせて設置された状態である。
【0092】
図9の(3)及び
図11を参照して、上記と同様の工程を経て、他の門型側溝ブロックを配置した後に、
図15の(3)と同様に、門型側溝ブロック2の下面3aと均しコンクリート135(レール130)との間に、生コンクリート160を流し込んで養生する。
【0093】
このようにすることで、
図7の(1)で示したクレーン91が直接入れないような場所であっても、移送器具11a及び11b等を用いて、門型側溝ブロック2を所望の位置に設置することができる。
【0094】
図12は、この発明の第2の実施の形態による移送器具に、重量物である門型側溝ブロックを載置するときの概略斜視図であって、
図1に対応した図である。
【0095】
尚、この第2の実施の形態による移送器具12a及び12bを用いて移送する重量物1である門型側溝ブロック2は、
図1で示した門型側溝ブロック2と同一である。そのため、ここでは、説明を繰り返さない。
【0096】
図を参照して、この第2の実施の形態による移送器具12aは、
図1で示した移送器具11aと移送器具11bとにおいて下部材21を共通にしたものである。又、移送器具12bは、
図1で示した移送器具11cと移送器具11dとにおいて下部材を共通にしたものである。このこと以外の移送器具12a及び12bの構成は、移送器具11a〜11dの基本的な構成と同一である。
【0097】
ここでは、移送器具12aの構成について説明する。
【0098】
移送器具12aは、重量物1である門型側溝ブロック2を移送するために用いられ、重量物1である門型側溝ブロック2を載置することができる第1の上部材61と、重量物1である門型側溝ブロック2を載置することができる第2の上部材64と、第1の上部材61の下方及び第2の上部材64の下方に配置される下部材68と、第1の上部材61と下部材68との間隔を第1の所定範囲に調整できる第1の間隔調整手段71と、第2の上部材64と下部材68との間隔を第2の所定範囲に調整できる第2の間隔調整手段74と、第1の上部材61と下部材68との第1のスペースに脱着自在に配置されると共に、第1の間隔調整手段71による調整によって第1の上部材61の下面62と下部材68の上面69とに当接状態に固定される第1の連結体80と、第2の上部材64と下部材68との第2のスペースに脱着自在に配置されると共に、第2の間隔調整手段74による調整によって第2の上部材64の下面65と下部材68の上面69とに当接状態に固定される第2の連結体85とから構成される。
【0099】
このように構成することで、第1の上部材61と下部材68とが第1の連結体80を介して一体化すると共に、第2の上部材64と下部材68とが第2の連結体85を介して一体化するため、移送時の全体強度が向上する。
【0100】
尚、上記の各実施の形態では、重量物は、門型側溝ブロックであったが、その他の重量物であっても良い。
【0101】
又、上記の各実施の形態では、移送器具は、特定数を用いるものであったが、重量物の形状や大きさ、重量に応じて、それ以外の個数であっても良い。
【0102】
更に、上記の各実施の形態では、連結体の側壁部の各々は、操作用開口を有するものであったが、一対の側壁部のうち少なくとも一方にナットの操作用開口が形成されていれば良い。又は、操作用開口は形成されていなくても良い。
【0103】
更に、上記の各実施の形態では、上部材は、平坦部と側壁部とから構成されたものであったが、重量物を載置することができるものであれば、それ以外のものから構成されても良い。
【0104】
更に、上記の各実施の形態では、下部材は、平坦部と湾曲部とから構成されたものであったが、上部材の下方に配置されるものであれば、それ以外のものから構成されても良い。
【0105】
更に、上記の各実施の形態では、間隔調整手段は、特定のものから形成されたものであったが、上部材と下部材との間隔を所定範囲に調整できるものであれば、それ以外のものから形成されても良い。
【0106】
更に、上記の各実施の形態では、連結体は、特定形状に形成されたものであったが、上部材と下部材とのスペースに脱着自在に配置されると共に、間隔調整手段による調整によって上部材の下面と下部材の上面とに当接状態に固定されるものであれば、それ以外の形状から形成されても良い。
【0107】
更に、上記の各実施の形態では、上部材は、特定素材から形成されたものであったが、その他の素材から形成されても良い。
【0108】
更に、上記の各実施の形態では、下部材は、特定素材から形成されたものであったが、その他の素材から形成されても良い。
【0109】
更に、上記の各実施の形態では、連結体は、特定素材から形成されたものであったが、その他の素材から形成されても良い。
【0110】
更に、上記の各実施の形態では、移送器具は、鋼球を介して移動するものであったが、移送器具を移動させるものであれば、鋼球には限らない。例えば、レールの上面に潤滑剤を塗布するようにして、鋼球を設置しなくても良い。又は、レールの上面に直接、移送器具を配置しても良い。
【0111】
更に、上記の各実施の形態では、連結壁部は、操作用開口が形成されていなかったが、操作用開口が形成されても良い。
【0112】
更に、上記の各実施の形態では、間隔調整手段のナットは、順方向へ回転させることで上部材の位置が高くなるものであったが、順方向へ回転させることで上部材の位置が逆に低くなるものであっても良い。
【0113】
更に、上記の各実施の形態では、連結体は、開放端が背面側(進行方向の逆側)に位置するように移送器具に配置されたものであったが、どの方向に位置するように移送器具に配置されても良い。特に、開放端が右側面側又は左側面側(重量物の外方側又は内方側)に位置するように配置された場合、開放端を介してスパナ等を用いてナットを操作し易く、間隔調整時の作業効率が向上する。このとき、正面側(進行方向側)に位置する連結体の側壁部には、操作用開口が形成されていなくても良い。
【0114】
更に、上記の各実施の形態では、重量物は、上面にインサートが形成されたものであったが、インサートの代りに上面に開口を設けても良い。この場合、開口の下方、且つ、重量物の内方側に、角材又はフック等の吊り金具を取り付けた鋼材を設置し、それを介して、クレーンにより重量物を吊り上げても良い。又、移送器具を用いて重量物を所望位置に設置した後に、重量物の開口を介して、生コンクリートを流し込んでも良い。