【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のアクチュエータ制御装置は、
車両1の左右の車輪を左右一対のアクチュエータ14L,14によりそれぞれ独立して転舵させる装置12における前記一対のアクチュエータ14L,14Rを制御するアクチュエータ制御装置であって、
前記各アクチュエータ14L,14Rは、モータ25L,25Rと、このモータ25L,25Rの回転角を検出する回転角検出器26L,26Rと、前記モータ25L,25Rで駆動されるアクチュエータ14L,14Rの出力部の絶対位置の検出が可能な絶対位置検出器27L,27Rとを有し、
前記アクチュエータ制御装置は、前記一対のアクチュエータ14L,14Rをそれぞれ制御する一対の電子制御装置13L,13Rを有し、かつ前記一対のアクチュエータ14L,14Rを各々構成する前記モータ25L,25R、回転角検出器26L,26R、および絶対位置検出器27L,27Rと、前記一対の電子制御装置13L,13Rとの接続を交互に切り替える接続切替部31と、
前記一対の電子制御装置13L,13Rのうちのいずれか一方の電子制御装置13L,13Rに前記アクチュエータ14L,14Rを正常に駆動できなくなる異常が発生したことを検出する異常判定部32と、
この異常判定部32によりいずれか一方の前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されると、その異常が検出された電子制御装置13L,13Rに通常接続されているアクチュエータ14L,14Rにおける前記モータ25L,25R、回転角検出器26L,26R、および絶対位置検出器27L,27Rが他方の電子制御装置13L,13Rと接続されるように前記接続切替部31に切り替え動作を行わせる異常対応制御部33とを備え、
前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31への切り替え動作の指令および前記各アクチュエータ14L,14Rへの指令を、定められた規則に従って行うものであり、
前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31へ所定の切り替え動作を行わせる指令を与え、いずれか一方のアクチュエータ14L(14R)のモータ25L(25R)を
、このモータ25L(25R)で転舵させる車輪の転舵角が固定されるように制御し、他方のアクチュエータ14R(14L)のモータ25R(25L)のモータを、このモータで転舵させる車輪を目標舵角へ転舵させるように制御
し、
異常発生初期では、前記異常対応制御部33は、前記接続切替部31により前記電子制御装置13L,13Rと前記アクチュエータ14L,14Rとの接続を所定の時間毎に切替えながら左右の車輪を少しずつ目標舵角へ転舵させるように制御する。
前記アクチュエータ制御装置は、例えば、車両の後輪10,11の転舵角とトー角をそれぞれ制御可能な後輪転舵装置12を制御する後輪転舵制御装置13に
適用されるものであって、
前記後輪転舵装置12は、左右の後輪10,11を独立して転舵させる一対のアクチュエータ14L,14Rを備え、前記各アクチュエータ14L,14Rは、転舵モータ25L,25Rと、この転舵モータ25L,25Rの回転角を検出する回転角検出器26L,26Rと、前記転舵モータ25L,25Rで駆動されるアクチュエータ14L,14Rの出力部の絶対位置の検出が可能な絶対位置検出器27L,27Rとを有し、
前記後輪転舵制御装置13は、前記一対のアクチュエータ14L,14Rをそれぞれ制御する一対の電子制御装置13L,13Rを有し、かつ
前記一対のアクチュエータ14L,14Rを各々構成する前記転舵モータ25L,25R、回転角検出器26L,26R、および絶対位置検出器27L,27Rと、前記一対の電子制御装置13L,13Rとの接続を交互に切り替える接続切替部31と、
前記一対の電子制御装置13L,13Rのうちのいずれか一方の電子制御装置13L,13Rに前記アクチュエータ14L,14Rを正常に駆動できなくなる異常が発生したことを検出する異常判定部32と、
この異常判定部32によりいずれか一方の前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されると、その異常が検出された電子制御装置13L,13Rに通常接続されているアクチュエータ14L,14Rにおける前記転舵モータ25L,25R、回転角検出器26L,26R、および絶対位置検出器27L,27Rが他方の電子制御装置13L,13Rと接続されるように前記接続切替部31に切り替え動作を行わせる異常対応制御部33とを備える。
【0008】
この構成によると、アクチュエータ14L,14Rを制御する電子制御装置13L,13Rの異常により、左右どちらか一方が転舵制御不能になった場合、もう一方の電子制御装置13L,13Rと左右のアクチュエータ14L,14Rとが接続されるように切替える。そのため、転舵制御不能になったアクチュエータ14L,14Rについても転舵の制御が行え、車両の挙動が不安定に陥ることを防止することができる。
【0009】
前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31への切り替え動作の指令および前記各アクチュエータ14L,14Rへの転舵の指令を、定められた規則に従って行う。
異常発生時に、単にもう一方の電子制御装置13L,13Rと左右のアクチュエータ14L,14Rとが接続されるように切替えた場合、左右の後輪10,11が同じ転舵動作を行うことになるが、接続の切替えを行った場合に、定められた転舵の指令を与えるようにすることで、適切な後輪10,11の転舵が行え、車両の挙動が不安定に陥ることを、より一層良好に防止することができる。
【0010】
参考提案例として、前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31へ所定の切り替え動作の指令を行い、両側のアクチュエータ14L,14Rを転舵の中立位置へ戻すように駆動する指令を与えるようにしても良い。
電子制御装置13L,13Rのいずれかの異常により、左右どちらか一方が転舵制御不能になった場合、もう一方の電子制御装置13L,13Rと左右のアクチュエータ14L,14Rとが接続されるように切り替えると、転舵制御不能になったアクチュエータ14L,14Rについても転舵の制御が行えるが、電子制御装置13L,13Rと接続される時間が限られるので、十分な後輪転舵の制御が行えない場合がある。左右の転舵のアクチュエータ14L,14Rを中立位置へ転舵させるようにすると、自由な後輪転舵は行えないが、車両の挙動が不安定に陥ることを無難に防止することができる。
なおこの明細書において「所定の切り替え動作の指令」とは、任意に定めた切り替え動作の指令で良く、例えば、一定時間毎に交互に切り替えるようにしても良く、また一時的に切り替えを行い、その後は元の接続状態に戻すようにしても良い。
【0011】
前記前提構成において、前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31への切り替え動作の指令および前記各アクチュエータ14L,14Rへの転舵の指令を、定められた規則に従って行うものであり、前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31へ所定の切り替え動作を行わせる指令を与え、前記車両の旋回走行の内輪側となる後輪10,11は中立位置に固定したままとし、外輪側の後輪10,11のみ転舵させるように駆動する指令を与えてもよい。
このように、内輪側の後輪10,11は中立位置に固定したまま、外輪側の後輪10,11のみ転舵させる場合、車両の挙動が不安定に陥ることを良好に防止しながら、一方の電子制御装置13L,13Rに異常が生じたと言う条件下で、できるだけ後輪転舵の機能を残すことができる。特に、後輪外輪側を転舵させることで、後輪が中立位置の場合と比べて車両挙動安定性を高めることができる。このように、車両の挙動が不安定になることを未然に防止し、さらに車両挙動安定性を高めることができる。
【0012】
前記前提構成において、前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、前記接続切替部31への切り替え動作の指令および前記各アクチュエータ14L,14Rへの転舵の指令を、定められた規則に従って行うものであり、前記異常対応制御部33は、前記異常判定部32によりいずれかの前記電子制御装置13L,13Rに前記異常が発生したことが検出されたときに、異常発生初期は、前記接続切替部31により前記アクチュエータ14L,14Rと前記電子制御装置13L,13Rとの接続を所定の時間毎に切替えながら内輪側を徐々に中立位置へ移動させ、同時に旋回走行の外輪側となる後輪を所定の角度へ移動させる制御を行ってもよい。
このように、アクチュエータ14L,14Rと電子制御装置13L,13Rとの接続を所定の時間毎に切替えながら内輪側を徐々に中立位置へ移動させ、同時に外輪側を所定の角度へ移動させる制御をする場合も、車両の挙動が不安定に陥ることを防止しながら、一方の電子制御装置13L,13Rに異常が生じたと言う条件下で、できるだけ安全に後輪転舵の機能を残すことができる。この場合も、特に、後輪外輪側を転舵させることで、後輪が中立位置の場合と比べて車両挙動安定性を高めることができる。このように、車両の挙動が不安定になることを未然に防止し、さらに車両挙動安定性を高めることができる。