【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の開閉式車輪止めによれば、立ったままの姿勢で車輪止めを設置することができる。しかしながら、車輪止めの開いた姿勢と閉じた姿勢において各一対の外側開閉部と内側開閉部が相対的に移動し、車輪止め部も同様に回動するように構成されていることから、車輪止めの構成が極めて複雑になっており、従来の一組のブロックとこれらを繋ぐロープからなる車輪止めに対して部品点数も大幅に増加している。そのため、立ったままの姿勢で車輪止めを設置できる、といった効果を享受することの代償として、車輪止めの構成が極めて複雑になり、その製作費用が増加することは否めない。
【0006】
本発明は、立ったままの姿勢で車輪止めの設置と取り外しができ、かつ構造が可及的にシンプルな車輪止め具を提供することを目的としている。
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明による車輪止め具の一態様は、
二本の棒材がそれぞれの一端をヒンジを介して回動自在に取り付けられ、
前記棒材の他端において、二本の該棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロックが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、相互に回動自在に取り付けられている二本の棒材と、二本の棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロックと、を構成要素とする、極めてシンプルな構成の車輪止め具であり、かつ、長さのある二本の棒材の所定位置を把持してハンドリングすることにより、立ったままの姿勢で車輪ブロックを車輪と接地面の間に設置し、また取り外すことができる。二本の棒材は、可及的に軽量であることが好ましく、例えば中空で細長の円筒体や角筒体などの棒材が適用できる。また、棒材の素材としては、ステンレスやアルミニウム等の軽量で耐食性に優れた金属、比較的硬質の樹脂等が挙げられる。また、棒材の長さは、運転手等が立ったままの姿勢でハンドリングするのに好適な、1m乃至1.5m程度の長さが好ましい。
【0009】
二本の棒材は、それぞれの一端がヒンジを介して回動自在に取り付けられていることから、歯止め対象の車輪の径に応じた角度に二本の棒材を開いた際に、自ずとこの開いた姿勢が保持され、そのまま二本の棒材の他端に取り付けられている車輪ブロックを車輪の前後と接地面の間にそれぞれ挿入することができる。ここで、「二本の棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向」とは、二本の棒材が回動した際に形成される仮想の平面に対して、車輪ブロックの長手方向(車輪の幅方向に平行な方向)が所定の角度で交差して、棒材の長手方向と車輪ブロックの長手方向が平行でないことを意味している。例えば、この交差角度が90度の場合は、車輪ブロックを車輪と接地面の間に設置した際に、棒材は鉛直に立設し、車両の側方に棒材が大きくはみ出ることが抑制される。また、例えば交差角度が70度乃至80度程度の場合は、棒材が鉛直方向から若干傾斜していることにより、交差角度が90度の場合に比べて車輪ブロックを設置し易い(ハンドリング性の向上)。
【0010】
また、本発明による車輪止め具の他の態様は、前記車輪ブロックの長手方向に直交する断面の外形が円形であることを特徴とする。
本態様によれば、車輪ブロックが、その長手方向に直交する断面の外径が円形である、円柱体もしくは円筒体を呈していることにより、歯止めの対象となる車輪の径に関わらず、当該車輪と接地面の間に車輪ブロックを設置した際に、車輪と接地面の双方と車輪ブロックを当接させることができ、十分な歯止め効果を奏することができる。
ここで、車輪ブロックは、前記棒材に対して回転自在に取り付けられていてもよい。例えば従来の三角柱体もしくは台形柱体の車輪ブロックのように、鋭角部を車輪と接地面の間に噛み込ませようとすると、車輪ブロックと接地面の間の摩擦力により、車輪ブロックが接地面上において移動し難く、鋭角部を車輪と接地面の間に噛み込ませるまでに手間を要するが、車輪ブロックが円柱状もしくは円筒状でかつ棒材に対して回転自在に取り付けられていることにより、車輪ブロックを接地面上において回転させながら設置位置までスムーズに移動させることができ、設置時の手間が解消される。
【0011】
また、本発明による車輪止め具の他の態様は、前記車輪ブロックの長手方向に直交する断面の外形が台形であり、
前記棒材の前記他端に回動軸を介して前記車輪ブロックが回動自在に取り付けられており、
前記台形の図心に前記回動軸の軸心があることを特徴とする。
本態様によれば、長手方向に直交する断面の外形が台形である、台形柱状の車輪ブロックが、台形の図心と回動軸の軸心が一致した状態で棒材の他端に回動自在に取り付けられていることにより、車輪ブロックが接地面に設置される前の空中に浮いた状態において、常に台形の下底が接地面に対向するように車輪ブロックの姿勢が保持され、車輪ブロックを車輪と接地面の間にスムーズに設置することができる。
【0012】
また、本発明による車輪止め具の他の態様において、前記ヒンジはボルトとナットにより形成され、
一方の前記棒材の一端にナットが取り付けられており、他方の前記棒材の一端からボルトが螺合され、二本の該棒材が所定の回動角度の際に該ボルトが締め付けられるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、二本の棒材を所定の回動角度に開いた際に、ヒンジを構成するボルトナットを締め付けることにより、二本の棒材の回動姿勢を保持することができる。
【0013】
また、本発明による車輪止め具の他の態様は、前記棒材に対して前記車輪ブロックの長手方向が直交していることを特徴とする。
本態様によれば、棒材に対して車輪ブロックの長手方向が直交していることにより、車輪ブロックを車輪と接地面の間に設置した際に、棒材が車両の側方に大きくはみ出すことが抑制され、棒材が車両の側方における歩行者の通行の妨げになることを解消できる。