特許第6764515号(P6764515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6764515
(24)【登録日】2020年9月15日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】車輪止め具
(51)【国際特許分類】
   B60T 3/00 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   B60T3/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-192166(P2019-192166)
(22)【出願日】2019年10月21日
【審査請求日】2019年10月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 学
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠嗣
(72)【発明者】
【氏名】岡村 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】萩原 純一
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕泰
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 恵二
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−051577(JP,A)
【文献】 特開2010−052658(JP,A)
【文献】 米国特許第02720285(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の棒材がそれぞれの一端をヒンジを介して回動自在に取り付けられ、
前記棒材の他端において、二本の該棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロックが取り付けられており、
前記車輪ブロックの長手方向に直交する断面の外形が台形であり、
前記棒材の前記他端に回動軸を介して前記車輪ブロックが回動自在に取り付けられており、
前記台形の図心に前記回動軸の軸心があることを特徴とする、車輪止め具。
【請求項2】
前記棒材の長さが1m乃至1.5mであることを特徴とする、請求項1に記載の車輪止め具。
【請求項3】
前記ヒンジはボルトとナットにより形成され、
一方の前記棒材の一端にナットが取り付けられており、他方の前記棒材の一端からボルトが螺合され、二本の該棒材が所定の回動角度の際に該ボルトが締め付けられるようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車輪止め具。
【請求項4】
前記棒材に対して前記車輪ブロックの長手方向が直交していることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の車輪止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やトラック等の車両を一定時間停止する場合に、車輪(もしくはタイヤ)に対して車輪止めを当接させて歯止めすることにより、意図しない車両の移動を防止することができる。特に、勾配のある場所において車両を停車する際に、車輪止めによる歯止めの効果は大きい。
従来、車輪止めとして、樹脂製や木製で三角柱状もしくは台形柱状のブロックが用いられ、車輪と接地面の間にブロックの鋭角部を噛み込ませることにより、車輪止めの設置が行われている。より詳細には、二つのブロックがロープ等により繋がれて一組の車輪止めが形成され、一方のブロックを車輪の前方と接地面の間に噛み込ませ、他方のブロックを車輪の後方と接地面の間に噛み込ませることにより、車輪の前後を一組のブロックにより接地面に対して移動不可に固定している。
上記する車輪止めを構成するブロックの設置や取り外しにおいては、車両の運転手等が車両の停止のたびに屈んでブロックを設置し、また、取り外しを行っており、運転手等の足腰への負担が課題となっている。
また、ブロックの離散を防止する目的でブロック同士を繋いでいるロープに関し、車輪の大きな大型車両の車輪止めにも対応するべく、ロープの長さは一般に長めに設定されているが、長めのロープを備えた車輪止めを一般の車両(自動車等)に適用すると、ロープが車両の外側にはみ出て横たわり、歩行者の歩行の障害となり得る。そこで、車両の運転手等は、車両の規模に応じて、ロープが車両の外側にはみ出ないようにロープの長さを調整したり、ロープの余剰分を車両の下に移載するといった措置を講じており、このロープの長さ対策に手間を要している。
【0003】
そこで、立ったままの姿勢で設置することのできる、開閉式車輪止めが提案されている。この開閉式車輪止めは、先端側に弾性体を備えた開閉操作部と、両端に回動軸を備えた開閉基部と、開閉基部の両端から回動自在に延伸した外側開閉部と、外側開閉部の先端側と連結された車輪止め部と、内側開閉部とを備えている。内側開閉部の回動中心は開閉操作部に連結し、内側開閉部の二方向は外側開閉部に回動自在に連結され、内側開閉部の残りの二方向は車輪止め部に連結されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3211048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の開閉式車輪止めによれば、立ったままの姿勢で車輪止めを設置することができる。しかしながら、車輪止めの開いた姿勢と閉じた姿勢において各一対の外側開閉部と内側開閉部が相対的に移動し、車輪止め部も同様に回動するように構成されていることから、車輪止めの構成が極めて複雑になっており、従来の一組のブロックとこれらを繋ぐロープからなる車輪止めに対して部品点数も大幅に増加している。そのため、立ったままの姿勢で車輪止めを設置できる、といった効果を享受することの代償として、車輪止めの構成が極めて複雑になり、その製作費用が増加することは否めない。
【0006】
本発明は、立ったままの姿勢で車輪止めの設置と取り外しができ、かつ構造が可及的にシンプルな車輪止め具を提供することを目的としている。
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明による車輪止め具の一態様は、
二本の棒材がそれぞれの一端をヒンジを介して回動自在に取り付けられ、
前記棒材の他端において、二本の該棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロックが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、相互に回動自在に取り付けられている二本の棒材と、二本の棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロックと、を構成要素とする、極めてシンプルな構成の車輪止め具であり、かつ、長さのある二本の棒材の所定位置を把持してハンドリングすることにより、立ったままの姿勢で車輪ブロックを車輪と接地面の間に設置し、また取り外すことができる。二本の棒材は、可及的に軽量であることが好ましく、例えば中空で細長の円筒体や角筒体などの棒材が適用できる。また、棒材の素材としては、ステンレスやアルミニウム等の軽量で耐食性に優れた金属、比較的硬質の樹脂等が挙げられる。また、棒材の長さは、運転手等が立ったままの姿勢でハンドリングするのに好適な、1m乃至1.5m程度の長さが好ましい。
【0009】
二本の棒材は、それぞれの一端がヒンジを介して回動自在に取り付けられていることから、歯止め対象の車輪の径に応じた角度に二本の棒材を開いた際に、自ずとこの開いた姿勢が保持され、そのまま二本の棒材の他端に取り付けられている車輪ブロックを車輪の前後と接地面の間にそれぞれ挿入することができる。ここで、「二本の棒材が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向」とは、二本の棒材が回動した際に形成される仮想の平面に対して、車輪ブロックの長手方向(車輪の幅方向に平行な方向)が所定の角度で交差して、棒材の長手方向と車輪ブロックの長手方向が平行でないことを意味している。例えば、この交差角度が90度の場合は、車輪ブロックを車輪と接地面の間に設置した際に、棒材は鉛直に立設し、車両の側方に棒材が大きくはみ出ることが抑制される。また、例えば交差角度が70度乃至80度程度の場合は、棒材が鉛直方向から若干傾斜していることにより、交差角度が90度の場合に比べて車輪ブロックを設置し易い(ハンドリング性の向上)。
【0010】
また、本発明による車輪止め具の他の態様は、前記車輪ブロックの長手方向に直交する断面の外形が円形であることを特徴とする。
本態様によれば、車輪ブロックが、その長手方向に直交する断面の外径が円形である、円柱体もしくは円筒体を呈していることにより、歯止めの対象となる車輪の径に関わらず、当該車輪と接地面の間に車輪ブロックを設置した際に、車輪と接地面の双方と車輪ブロックを当接させることができ、十分な歯止め効果を奏することができる。
ここで、車輪ブロックは、前記棒材に対して回転自在に取り付けられていてもよい。例えば従来の三角柱体もしくは台形柱体の車輪ブロックのように、鋭角部を車輪と接地面の間に噛み込ませようとすると、車輪ブロックと接地面の間の摩擦力により、車輪ブロックが接地面上において移動し難く、鋭角部を車輪と接地面の間に噛み込ませるまでに手間を要するが、車輪ブロックが円柱状もしくは円筒状でかつ棒材に対して回転自在に取り付けられていることにより、車輪ブロックを接地面上において回転させながら設置位置までスムーズに移動させることができ、設置時の手間が解消される。
【0011】
また、本発明による車輪止め具の他の態様は、前記車輪ブロックの長手方向に直交する断面の外形が台形であり、
前記棒材の前記他端に回動軸を介して前記車輪ブロックが回動自在に取り付けられており、
前記台形の図心に前記回動軸の軸心があることを特徴とする。
本態様によれば、長手方向に直交する断面の外形が台形である、台形柱状の車輪ブロックが、台形の図心と回動軸の軸心が一致した状態で棒材の他端に回動自在に取り付けられていることにより、車輪ブロックが接地面に設置される前の空中に浮いた状態において、常に台形の下底が接地面に対向するように車輪ブロックの姿勢が保持され、車輪ブロックを車輪と接地面の間にスムーズに設置することができる。
【0012】
また、本発明による車輪止め具の他の態様において、前記ヒンジはボルトとナットにより形成され、
一方の前記棒材の一端にナットが取り付けられており、他方の前記棒材の一端からボルトが螺合され、二本の該棒材が所定の回動角度の際に該ボルトが締め付けられるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、二本の棒材を所定の回動角度に開いた際に、ヒンジを構成するボルトナットを締め付けることにより、二本の棒材の回動姿勢を保持することができる。
【0013】
また、本発明による車輪止め具の他の態様は、前記棒材に対して前記車輪ブロックの長手方向が直交していることを特徴とする。
本態様によれば、棒材に対して車輪ブロックの長手方向が直交していることにより、車輪ブロックを車輪と接地面の間に設置した際に、棒材が車両の側方に大きくはみ出すことが抑制され、棒材が車両の側方における歩行者の通行の妨げになることを解消できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車輪止め具によれば、可及的にシンプルな構成を有し、立ったままの姿勢で車輪止めの設置と取り外しができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る車輪止め具の一例を斜め上方から見た斜視図である。
図2】車輪止め具を車両の車輪と接地面の間に設置している状態を示す斜視図である。
図3】車輪止め具が車両の車輪と接地面の間に設置されている状態を示す斜視図である。
図4】大きさの異なる複数の車輪と接地面の間に、車輪止め具の車輪ブロックが設置されている状態を示す正面図である。
図5】第2の実施形態に係る車輪止め具の一例を斜め上方から見た斜視図である。
図6】第3の実施形態に係る車輪止め具の一例を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、各実施形態に係る車輪止め具について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0017】
[第1の実施形態に係る車輪止め具]
はじめに、図1乃至図4を参照して、第1の実施形態に係る車輪止め具の一例について説明する。ここで、図1は、第1の実施形態に係る車輪止め具の一例を斜め上方から見た斜視図である。また、図2は、車輪止め具を車両の車輪と接地面の間に設置している状態を示す斜視図であり、図3は、車輪止め具が車両の車輪と接地面の間に設置されている状態を示す斜視図である。
【0018】
図示する車輪止め具40は、二本の棒材10がそれぞれの一端11をヒンジ20を介してX1方向に回動自在に取り付けられ、各棒材10の他端12において、二本の棒材10が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロック30が取り付けられて構成される。
【0019】
ここで、棒材10は、中空で細長の角筒状を呈しており、ステンレスやアルミニウム等の軽量で耐食性に優れた金属、もしくは、比較的硬質の樹脂により形成される。尚、棒材が細長の円筒状の部材であってもよいし、中空でなくて密実な棒部材であってもよいが、ハンドリング性の観点から中空で軽量な部材であるのが好ましい。
【0020】
棒材10は、外側の断面寸法が20mm乃至30mm×10mm乃至20mm程度であり、長さは、作業員が立ったままの姿勢でハンドリングできる1m乃至1.5m程度に設定されている。
【0021】
ヒンジ20はボルトナットにより形成され、二本の棒材10がヒンジ20を中心に所望する角度に開かれて車輪の前後に載置され、二本の棒材10を若干閉じて車輪を挟んだ後、ボルトナット20が締め付けられることにより、二本の棒材10の開いた姿勢を保持することができる。尚、ヒンジ20の構造は図示例のボルトナットに限られるものでなく、二本の棒材10が回動する際のヒンジとしての機能と、二本の棒材10の開いた姿勢を保持する機能の双方を有する様々な形態のヒンジが適用できる。
【0022】
車輪ブロック30は、棒材10の他端12の側面において、その長手方向(軸心方向)であるL方向が棒材10(もしくは二本の棒材10が回動した際に形成される仮想面)に対して直交する態様で、固定ピン15を介して固定されている。尚、この固定ピン15としては、ステンレス製の皿木ねじ等が挙げられる。
【0023】
ここで、車輪ブロック30は、円柱状のロータリー丸太や樹脂製の円柱体等により形成される。また、車輪ブロック30の長手方向の長さは、適用対象となる車輪の幅以上の長さを有し、例えば300mm乃至400mm程度に設定される。
【0024】
図1からも明らかなように、車輪止め具40は、相互に回動自在に取り付けられている二本の棒材10と、二本の棒材10が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロック30とを構成要素とする、極めてシンプルな構成であり、重量も可及的に軽量であり、ハンドリング性に優れている。
【0025】
尚、図示を省略するが、棒材10が断面寸法の異なる複数本の角筒体により形成され、相対的に断面寸法の大きな角筒体から断面寸法の小さな角筒体が突没自在に接続されている形態であってもよい。この形態では、断面寸法の大きな角筒体から断面寸法の小さな角筒体を突出させることにより、棒材の長さを所望する長さに伸長させることができ、車輪止め具の使用が終了した際には棒材の長さを短縮することにより、可及的に小寸法にして車両内に収納することができる。
【0026】
次に、図2及び図3を参照して、車輪止め具40を車両の車輪と接地面の間に設置する方法について説明する。
【0027】
図2に示すように、例えばトラック等の車両Vの運転手Pは、車両Vを停車した後、車両Vに搭載されている車輪止め具40を取り出す。車両Vに搭載されている際には、車輪止め具40を構成する二本の棒材10は例えば相互に閉じた状態とされている。
【0028】
運転手Pが車内から車輪止め具40を取り出し、二本の棒材10を把持してヒンジ20を中心に相互に開き、車輪Wの前方と後方において、車両Vの内側へX2方向に車輪ブロック30を移載する。
【0029】
次に、運転手Pが二本の棒材10をヒンジ20を中心にX3方向に閉じていくことにより、車輪Wの前方と接地面Gの間に前方の車輪ブロック30を設置し、車輪Wの後方と接地面Gの間に後方の車輪ブロック30を設置する。
【0030】
この際、棒材10の長さが、運転手Pが立ったままの姿勢でハンドリングできる長さに設定されていることにより、運転手Pが屈んで車輪ブロック30を設置する場合に課題となる、足腰への負担が解消される。
【0031】
図3に示すように、車輪Wの前後と接地面Gの間に二つの車輪ブロック30が設置された状態の車輪止め具40は、各車輪ブロック30に対して棒材10が鉛直方向に立設していることから、車両Vの側方に配設されている棒材10が車両Vの側方を通行する歩行者や自転車等の通行の障害になり難い。例えば棒材が斜めに立設している場合には、車両Vの側方へ棒材が張り出し、通行の障害となり得る。
【0032】
また、二つの車輪ブロックがロープにて繋がれている従来の形態と異なることから、ロープが車両Vの側方にはみ出して通行の障害となる恐れがなく、これを解消するべくロープを束ねたり車両Vのボディー下方にロープを移載する等の措置の必要もない。
【0033】
尚、車両Vを構成する車輪は、二つの左右の前輪と、少なくとも二つの左右の後輪(左右二つずつの計四つの後輪等がある)を有しているが、車輪の全てに車輪止め具40を設置してもよいし、二つの前輪にのみ車輪止め具40を設置してもよいし、一方の前輪と一方の後輪にのみ車輪止め具40を設置してもよい。
【0034】
次に、図4を参照して、円柱状の車輪ブロック30を適用することにより奏される効果について説明する。ここで、図4は、大きさの異なる複数の車輪と接地面の間に、車輪止め具の車輪ブロックが設置されている状態を示す正面図である。
【0035】
図4には、実線で図示する相対的に小寸法の車輪W1と、一点鎖線で図示する相対的に大寸法の車輪W2を示している。
【0036】
車輪ブロック30の長手方向に直交する断面の外形が円形であることにより、車輪ブロック30は常に車輪と接地面に対して二点(二つの線)で接することが可能になる。図示例では、小寸法の車輪W1と接地面Gに対して車輪ブロック30がそれぞれ接点31,32(接線)で接し、大寸法の車輪W2と接地面Gに対して車輪ブロック30がそれぞれ接点33,34(接線)で接する。尚、従来の車輪ブロックは、一義的に設定されている任意径の車輪に対応した曲率を有する先鋭な湾曲面を備えているのが一般的であり、従って、多様な径の車輪に対して車輪ブロックの湾曲面が対応できないため、車輪ごとに対象となる車輪の曲率に適合した湾曲面を備えた車輪ブロックを用意する必要がある。
【0037】
[第2の実施形態に係る車輪止め具]
次に、図5を参照して、第2の実施形態に係る車輪止め具の一例について説明する。ここで、図5は、第2の実施形態に係る車輪止め具の一例を斜め上方から見た斜視図である。
【0038】
図示する車輪止め具40Aは、車輪ブロック30が棒材10に対して回転自在に取り付けられている点において車輪止め具40と相違する。より具体的には、棒材10の他端12において、棒材10に直交する方向であるL方向に延設する回転軸17が取り付けられている。そして、車輪ブロック30が回転軸17に対してX4方向に回転自在に取り付けられている。
【0039】
車輪止め具40Aによれば、車輪ブロック30が棒材10に対して回転自在に取り付けられていることにより、車輪ブロック30を接地面G上において回転させながら設置位置までスムーズに移動させることができる。例えば従来の三角柱体もしくは台形柱体の車輪ブロックの場合、その鋭角部を車輪と接地面の間に噛み込ませようとすると、車輪ブロックと接地面の間の摩擦力により、車輪ブロックが接地面上において移動し難く、鋭角部を車輪と接地面の間に噛み込ませるまでに手間を要していた。これに対して、車輪止め具40Aでは、設置位置まで車輪ブロック30を回転させながらスムーズに移動させることができるため、設置時の手間が解消される。
【0040】
[第3の実施形態に係る車輪止め具]
次に、図6を参照して、第3の実施形態に係る車輪止め具の一例について説明する。ここで、図6は、第3の実施形態に係る車輪止め具の一例を斜め上方から見た斜視図である。
【0041】
図示する車輪止め具40Bは、長手方向であるL方向に直交する断面35の外形が台形の車輪ブロック30Aを備えている。棒材10の他端12には、棒材10に直交する方向であるL方向に延設する回動軸18が取り付けられている。そして、台形の断面35の図心36に貫通孔(図示せず)が設けられ、回動軸18がこの貫通孔に貫通することにより、車輪ブロック30Aが回動軸18に対してX5方向に回動自在に取り付けられている。
【0042】
車輪止め具40Bによれば、長手方向に直交する断面の外形が台形である、台形柱状の車輪ブロック30Aが、台形の図心36と回動軸18の軸心が一致した状態で棒材10の他端12に回動自在に取り付けられていることにより、車輪ブロック30Aが接地面Gに設置される前の空中に浮いた状態において、常に台形の下底が接地面Gに対向するように車輪ブロック30Aの姿勢が保持される。そのため、車輪ブロック30Aを車輪Wと接地面Gの間にスムーズに設置することが可能になる。
【0043】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0044】
10:棒材
11:一端
12:他端
15:固定ピン
17:回転軸
18:回動軸
20:ヒンジ(ボルトナット)
30、30A:車輪ブロック
31,32,33,34:接点
35:台形断面
36:図心
40,40A,40B:車輪止め具
G:接地面
V:車両(トラック)
W,W1,W2:車輪
【要約】
【課題】立ったままの姿勢で車輪止めの設置と取り外しができ、かつ構造が可及的にシンプルな車輪止め具を提供する。
【解決手段】車輪止め具40は、二本の棒材10がそれぞれの一端11をヒンジ20を介して回動自在に取り付けられ、棒材10の他端12において、二本の棒材10が回動した際に形成される仮想面に対して交差する方向に延びている車輪ブロック30が取り付けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6