(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送装置は、所定の搬送レイアウトを形成するため複数の搬送装置を連続して配置させる必要があり、そのような搬送装置の仕様変更にあたっては、パレットだけでなくパレットを搬送する搬送機構の仕様(例えば幅や長さ)の変更を考慮する必要がある。特許文献3はパレットの仕様変更については有利であるが、搬送機構の仕様変更の容易化については考慮されていない。また、パレットは、搬送されるワークの数に対応して多数必要となる量産品である。したがって、できるだけコスト削減を図る必要がある。モータ等の駆動源をパレットに搭載することはそのコストアップの要因となる。
【0005】
本発明の目的は、搬送装置の仕様変更やパレットの製造コストの抑制に有利な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
互いに平行に設けられ、ワークが載置される載置部材を含むパレットの搬送軌道を画定する一対の第一の支持フレーム及び第二の支持フレームと、
前記第一の支持フレームに設けられ、前記パレットに搬送力を付与する駆動ユニットと、
前記パレットを構成するユニットであって、前記駆動ユニットから前記搬送力を受けて前記第一の支持フレームの第一のガイド部に沿って走行する被駆動ユニットと、
前記パレットを構成するユニットであって、前記載置部材を介して前記被駆動ユニットと連結され、前記第二の支持フレームの第二のガイド部に沿って走行自在な補助ユニットと、
前記第一の支持フレームに設けられ、前記被駆動ユニットの一部と係合する係合部を含むとともに、前記搬送軌道に沿った所定の停止位置で前記パレットの移動を一時的に停止させる停止ユニットと、を備
え、
前記被駆動ユニットは、
前記載置部材が固定される本体部材と、
前記本体部材に対して回転自在に設けられ、前記第一のガイド部に当接する複数のローラと、
前記本体部材の下部に設けられ、前記駆動ユニットと摩擦係合して前記搬送力を受ける第一の係合部と、
前記本体部材に設けられ、前記停止ユニットの前記係合部と係合する第二の係合部と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
搬送機構によって搬送されるパレットを構成する被駆動ユニットであって、
前記搬送機構は、
互いに平行に設けられ、ワークが載置される載置部材を含む前記パレットの搬送軌道を画定する一対の第一の支持フレーム及び第二の支持フレームと、
前記第一の支持フレームに設けられ、前記パレットに搬送力を付与する駆動ユニットと、
前記第一の支持フレームに設けられ、前記パレットの一部と係合する係合部を含むとともに、前記搬送軌道に沿った所定の停止位置で前記パレットの移動を一時的に停止させる停止ユニットと、を備え、
前記被駆動ユニットは、前記駆動ユニットから前記搬送力を受けて前記第一の支持フレームの第一のガイド部に沿って走行するユニットであり、
前記パレットは、前記被駆動ユニットと、前記載置部材と、前記載置部材を介して前記被駆動ユニットと連結され、前記第二の支持フレームの第二のガイド部に沿って走行自在な補助ユニットと、を備え、
前記被駆動ユニットは、
前記載置部材が固定される本体部材と、
前記本体部材に対して回転自在に設けられ、前記第一のガイド部と当接する複数のローラと、
前記本体部材の下部に設けられ、前記駆動ユニットと摩擦係合して搬送力を受ける第一の係合部と、
前記本体部材に設けられ、前記停止ユニットの前記係合部と係合する第二の係合部と、を備える、
ことを特徴とする被駆動ユニットが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
搬送機構により搬送されるパレットであって、
前記搬送機構は、
互いに平行に設けられ、前記パレットの搬送軌道を画定する一対の第一の支持フレームおよび第二の支持フレームと、
前記第一の支持フレームに設けられ、前記パレットに搬送力を付与する駆動ユニットと、
前記第一の支持フレームに設けられ、前記パレットの一部と係合する係合部を含むとともに、前記搬送軌道に沿った所定の停止位置で前記パレットの移動を一時的に停止させる停止ユニットと、を備え、
前記パレットは、
ワークが載置される載置部材と、
前記駆動ユニットから前記搬送力を受けて前記第一の支持フレームの第一のガイド部に沿って走行する被駆動ユニットと、
前記載置部材を介して前記被駆動ユニットと連結され、前記第二の支持フレームの第二のガイド部に沿って走行自在な補助ユニットと、を備え、
前記被駆動ユニットは、
前記載置部材が固定される第一の本体部材と、
前記第一の本体部材に対して回転自在に設けられ、前記第一のガイド部と当接する複数のローラと、
前記第一の本体部材の下部に設けられ、前記駆動ユニットと摩擦係合して前記搬送力を受ける第一の係合部と、
前記第一の本体部材に設けられ、前記停止ユニットの前記係合部と係合する第二の係合部と、を備え
る、
ことを特徴とするパレットが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送装置の仕様変更やパレットの製造コストの抑制に有利な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図中、各図において、矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示す。
【0013】
<第一実施形態>
<作業システム>
図1は本発明を適用した作業システム1の斜視図である。作業システム1は、架台2、ワーク(不図示)を搬送する搬送装置3及び複数の作業装置6を含む。搬送装置3は、複数の停止ユニット5を含む。実際の工場等においては、ワークの搬送仕様に基づいて、複数の搬送装置3を用いて搬送レイアウトを形成し、形成された搬送レイアウトの所定の位置に作業装置6を適宜配置させて作業システムが構築される。例えば、
図18のレイアウト例のように、
図1の架台2、搬送装置3をY方向に複数配置する構成(
図18の例では2つ)も構築され得る。
【0014】
架台2は、搬送装置3及び複数の作業装置6を支持する構造体である。架台2は直方体形状のフレーム20と、フレーム20上に支持されたベース板21とを含む。ベース板21には、搬送装置3、各停止ユニット5及び各作業装置6が設置される。搬送装置3は二つの脚部材8を介してベース板21に固定される。各停止ユニット5は、対応する位置決めユニット7を介して固定される。
【0015】
<搬送装置>
本発明の一実施形態に係る搬送装置3は、搬送機構3Aとパレット4と複数の停止ユニット5を備え、搬送機構3Aはパレット4をワークの搬送方向となるY方向に移動させる。パレット4は、作業対象である不図示のワークが載置される載置部材40を含む。
【0016】
図1及び
図2を参照して本実施形態の搬送機構3Aの構造について説明する。
図2は搬送機構3Aの説明図である。搬送機構3Aは、パレット4の搬送軌道を画定する一対の支持フレーム30及び31を含む。本実施形態の場合、搬送軌道はY方向に延びる軌道である。一対の支持フレーム30及び31は、互いに平行にY方向に延設されている。支持フレーム30及び31は、搬送装置3の幅方向(搬送軌道の幅方向)となるX方向に離間して脚部材8により分離可能に連結されている。この点で脚部材8は連結部材である。一対の支持フレーム30及び31は、別部材である。搬送軌道の幅を広げたい場合、支持フレーム30及び31のX方向の離間距離を変更してこれらを脚部材8又は脚部材8に相当する別の連結部材に固定すればよい。
【0017】
支持フレーム30は、フレーム本体30aとフレーム本体30a上に支持されたガイド部30bを含む。フレーム本体30a及びガイド部30bはY方向に延びる。ガイド部30bはその断面形状が矩形である。支持フレーム31は、フレーム本体31aとフレーム本体31a上に支持されたガイド部31bを含む。フレーム本体31a及びガイド部31bはY方向に延びる。ガイド部31bはその断面形状が矩形である。
【0018】
また、支持フレーム31は、後述する駆動伝達部材32cの移動をガイドし支持する支持部31cを含む。支持部31cもY方向に延びる。支持部31cは、駆動伝達部材32cの内周面の一部をY方向に亘ってガイドする部分となる第1ガイド部と、駆動伝達部材32cの側部の一部をY方向に亘ってガイドする部分となる第2ガイド部とを含む。第1ガイド部がY方向に亘って伝達部材32cの高さを規定しつつガイドし、第2ガイド部がY方向に亘って伝達部材32cの幅方向の移動を規制しつつガイドする。支持部31cは、フレーム本体31aと一体に設けてもよいし、別体に設けてもよい。
【0019】
ガイド部30b、31bはいずれも、パレット4を一定の搬送高さで案内する。ガイド部30bがパレット4の幅方向の一方側において、高さ方向(Z方向)における搬送高さを規定し、ガイド部31bがパレット4の幅方向の他方側において、高さ方向(Z方向)における搬送高さを規定する。本実施形態の場合、ガイド部31bのみが幅方向(X方向)の搬送ガイド部として機能する。
【0020】
支持フレーム31の、フレーム本体31aのフレーム本体30aに対向する内側側面に駆動ユニット32が支持される。駆動ユニット32はパレット4に搬送力を付与する。つまり、パレット4は駆動ユニット32に従動する従動体である。これにより、パレット4自体はその移動のためのモータ等の駆動源を必要としない。これにより、パレット4の製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
本実施形態の場合、駆動ユニット32はベルト伝動機構である。具体的には、駆動ユニット32は、無端ベルトである駆動伝達部材32cと、複数の従動プーリ32a、32bと、駆動部32dとを含む。駆動部32dには、駆動源としてのモータ及び駆動プーリが内蔵されており(いずれも不図示)、駆動伝達部材32cは、駆動部32d内の駆動プーリと、複数の従動プーリ32a、32bに巻きまわされており、循環的に走行する。パレット4は駆動伝達部材32cの走行に従動して移動する。
【0022】
従動プーリ32b、32bはフレーム本体31aのY方向の各端部に回転自在に軸支され、従動プーリ32a、32aはフレーム本体31aのY方向の中央部において、隣接した状態で回転自在に軸支されている。また、前述の図示しない駆動プーリは、フレーム本体31aにおける両従動プーリ32a、32aの下方位置に、回転自在に軸支されている。駆動伝達部材32cは、その上側の走行部分が一方の従動プーリ32bから他方の従動プーリ32bまで延びており、支持部31cに高さ方向が規定されつつガイドされている。
【0023】
<パレット>
図3及び
図4を参照して本実施形態のパレット4の構造を説明する。
図3及び
図4は視点を変えた、パレット4の分解斜視図である。本実施形態の場合、パレット4は大別すると、3つのユニットから分解・組立自在に構成されている。3つのユニットの一つは、載置部材40であり、他の一つは被駆動ユニット41であり、残りの一つは補助ユニット42である。図示の例の場合、補助ユニット42は2つ設けられている。被駆動ユニット41が、パレット4の幅方向(
図1中ではX方向)における一方側の輪群(後述するローラR1)を支持し、補助ユニット42が、パレット4の幅方向における他方側の輪群(後述するローラR4)を支持することで、パレット4の走行安定性を向上する。
【0024】
載置部材40はワークが載置される部材である。被駆動ユニット41は、駆動ユニット32から搬送力を受けて支持フレーム31のガイド部31bに沿って走行する走行ユニットである。補助ユニット42は載置部材40を介して被駆動ユニット41と連結され、支持フレーム30のガイド部30bに沿って走行自在な走行ユニットである。
【0025】
載置部材40はワークの種類に対応した専用設計により製造することができる。例えば、ワークの大きさに対応して、載置部材40のX方向、Y方向の長さが設計される。また、ワークの重量に応じて載置部材40の厚さ(Z方向の長さ)を設計することもできる。さらにワークの形状に応じて、載置部材40に突出部、窪み部、開口(孔等)等が設けられる。一方、被駆動ユニット41及び補助ユニット42は、ワークの種類に対応して設計する必要のない共通部品、すなわち設計が変更されることのない不変の部品である。このため、ワークの種類が変わる度に、パレット4の全体を設計し直す必要はなく、パレット4は、搬送するワークに応じて、予め準備しておいた載置部材40のみを変更すればよい。
【0026】
このような性質のため、被駆動ユニット41及び補助ユニット42は、パレット4の構成部品であると同時に、搬送機構3Aの構成部品でもあるとみなすことができる。つまり、本実施形態における搬送装置3は、搬送機構3Aとパレット4とで構成されていると言うことができると共に、被駆動ユニット41及び補助ユニット42を含む搬送機構3Aと、載置部材40とで構成されているということもできる。なお、被駆動ユニット41及び補助ユニット42を含むパレット4は、例えば、
図18に例示したような連続して配置された複数の搬送装置3を備えたシステムにおいては、異なる搬送機構3Aによって形成された搬送経路を移動していくことになる。
【0027】
載置部材40は、重心位置Gを有する全体として板状で矩形の部材であり、その上面にワークが載置される。載置部材40はその厚み方向に貫通した取付孔40a、40bを備える。
【0028】
取付孔40aは載置部材40と被駆動ユニット41の固定用の孔であり、ここに固定部材43が挿入される。他の固定方式も採用可能であるが、本実施形態の場合、固定方式はボルト締結であり、固定部材43はボルトである。固定部材43は頭部43aとねじ軸43bとを含み、取付孔40aは頭部43aが収容される大径部分とねじ軸43bが挿通、螺合する小径部分とを有する段付き孔である。
【0029】
取付孔40bは載置部材40と補助ユニット41の固定用の孔である。本実施形態の場合、補助ユニット42はY方向に離間して2つ設けられる。このため、取付孔40bもY方向に離間して2つ形成されている。他の固定方式も採用可能であるが、本実施形態の場合、固定方式は被駆動ユニット41と同様、ボルト締結であり、取付孔40bに固定部材43が挿入される。取付穴40aと同様に、取付孔40bは、固定部材43の頭部43aが収容される大径部分とねじ軸43bが螺合する小径部分とを有する段付き孔である。
【0030】
載置部材40の下面には、被駆動ユニット41の位置決め用の係合部40cと、補助ユニット42の位置決め用の係合部40dが形成されている。他の位置決め構造も採用可能であるが、本実施形態の場合、位置決め構造は穴と軸の嵌合構造であり、係合部40c、40dはいずれも有蓋の嵌合穴である。
【0031】
係合部40cに対応して、被駆動ユニット41には係合部41cが設けられており、係合部41cは係合部40cに嵌合する嵌合軸(嵌合ピン)である。本実施形態の場合、係合部40cと係合部41cとの組みはY方向に離間して2組設けられている。つまり、被駆動ユニット41と載置部材40は2か所で位置決めされ、X方向、Y方向のいずれにおいてもより正確な位置決めが可能である。係合部40dに対応して、補助ユニット42には係合部42cが設けられており、係合部42cは係合部40dに嵌合する嵌合体(嵌合ピン)である。
【0032】
次に、
図3、
図4及び
図5を参照して被駆動ユニット41の構成を説明する。
図5は被駆動ユニット41の構成要素の配置を示す説明図(本体部材41aを仮想線で図示)である。
【0033】
被駆動ユニット41は、板状の本体部材41aを含む。本体部材41aの上面には、取付孔41b及び2つの係合部41cが形成されている。2つの係合部41cは上述したとおり、係合部40cに嵌合して載置部材40と被駆動ユニット41との位置決めをする嵌合軸である。取付孔41bは載置部材40と被駆動ユニット41の固定用の孔である。本実施形態の場合、取付孔41bはねじ孔であり、載置部材40の取付孔40a(小径部分)を通過した固定部材43のねじ軸43bが螺着する。これにより本体部材41aの上面に重なるようにして載置部材40が本体部材41aに固定される。
【0034】
本体部材41aは、その厚み方向に貫通した複数の開口部41dを備え、各開口部41d内にそれぞれローラR1が配置されている。ローラR1は、開口部41d内に固定されたX方向に延びる軸体に支持される。ローラR1は、軸体に対して回転自在である。本実施形態の場合、ローラR1と開口部41dの組は二組設けられ、搬送方向(
図5中ではY方向)に離間して、設けられている。2つのローラR1はガイド部31bの上面に当接する支持ローラであり、ガイド部31bの上面によって下方から支持されて、ガイド部31b上を転動する。
【0035】
本体部材41aの下部(底面)には、各開口部41dを挟み込むように一組のローラR2、R3が設けられている。ローラR2はガイド部31bの一側面(外側ガイド面)に当接し、ローラR3は、ガイド部31bの他側面(内側ガイド面)に当接して、水平面におけるパレット4の搬送方向と直交する方向(
図5中ではX方向)の位置規制を行う。本実施形態の場合、ローラR2、R3は、Z方向に延びる軸体に回転自在に支持されたガイドローラである。ローラR2、R3の組は、Y方向に離間して二組設けられている。ローラR2とローラR3とはX方向に離間させて対向するように配置されており、両者の隙間はガイド部31bの幅と略等しい。言い換えると、ガイド部31bを挟みこむようにローラR2、R3が配置される。
【0036】
本体部材41aの底面には、また、摩擦係合ユニット410が設けられている。摩擦係合ユニット410は駆動ユニット32から搬送力を受けるユニットである。摩擦係合ユニット410は、駆動伝達部材32cと当接する摩擦係合部材410aと、摩擦係合部材410aを下方向(
図5中ではZ方向下側)、すなわち駆動伝達部材32cに向かって押圧する押圧ユニット410bとを備える。押圧ユニット410bはバネを内蔵しており、バネの弾性力(付勢力)で摩擦係合部材410aが駆動伝達部材32cへ押圧される。摩擦係合ユニット410による摩擦係合部材410aの駆動伝達部材32cの外周面への押し付け力は、支持部31cで受け止められる。結果として、駆動伝達部材32cが摩擦係合部材410aと支持部31cとで挟まれる。これにより、駆動伝達部材32cが走行すると、摩擦係合部材410aと駆動伝達部材32cとの間に摩擦係合による摩擦力が発生し、その摩擦力が走行力となってパレット4に伝達され、パレット4がY方向に搬送される。なお、押圧ユニット410bのバネの弾性力は、パレット4の重量より小さく、パレット4にワークが載置されたときであってもパレット4が移動する程度の摩擦力が得られる大きさの範囲に設定される。
【0037】
本体部材41aの底面には、また、係合部411が設けられている。係合部411は本体部材41aのX方向の一端部に配置されており、本実施形態の場合、断面形状が円形の円柱体である。搬送中のパレット4における係合部411が停止ユニット5に係合することで、パレット4の搬送が一時的に停止される。係合部411は、Z軸回りに回転可能な転動部材であってもよい。係合部411を転動部材とすることで、係合部411と停止ユニット5との係合時の摩擦が軽減され、円滑にパレット4の一時停止及び一時停止解除を行うことができる。
【0038】
摩擦係合ユニット410及び係合部411は、Y方向の位置で見ると、2組のローラR2及びR3の間に設けられる。2組のローラR2及びR3をガイド部31bに当接させて被駆動ユニット41のX方向の変位を規制するようにしたことで、搬送力が伝達されたときや、一時停止力が作用した場合に、被駆動ユニット41のX軸回りの傾き(ピッチング)、Y軸回りの傾き(ローリング)又はZ軸回りの傾き(ヨーイング)防止しでき、被駆動ユニット41をより安定して移動或いは停止させることができる。
【0039】
次に、
図3、
図4及び
図6を参照して補助ユニット42の構成を説明する。
図6は補助ユニット42の構成要素の配置を示す説明図(本体部材42aを仮想線で図示)である。
【0040】
補助ユニット42は、ブロック状の本体部材42aを含む。本体部材42aの上面には、取付穴42b及び係合部42cが形成されている。係合部42cは上述したとおり、係合部40dに嵌合して載置部材40と補助ユニット42との位置決めをする嵌合ピンである。取付穴42bは載置部材40と補助ユニット42の固定用の取付穴である。本実施形態の場合、取付穴42bはねじ穴であり、載置部材40の取付穴40bを通過した固定部材43のねじ軸43bが螺着する。これにより本体部材42aの上面に重なるようにして載置部材40が本体部材42aに固定される。こうして補助ユニット42と被駆動ユニット41とは載置部材40を介して分離可能に連結され、パレット4が全体として一体化される。
【0041】
なお、本実施形態においては、パレット4における補助ユニット42が2個の場合を例に挙げて説明を行ったが、補助ユニット42の数は特に限定するものではない。例えば、
図3に示したパレット4において、被駆動ユニット41はそのままとし、補助ユニット42の数を1個としてもよい。このとき、補助ユニット42は、載置部材40におけるフレーム本体30a側において、搬送方向(
図3中ではY方向)の中間部に設けることが好ましい。パレット4における補助ユニット42を1個とすることで、補助ユニット42が2個のパレット4と比較して、水平方向におけるガタツキを更に抑制でき、かつ、製造コストを更に低減させることができる。
【0042】
本体部材42aの側面にはローラR4が設けられている。ローラR4は、本体部材42aの被駆動ユニット41と対向する面(
図3中では右側面)に、搬送方向と直交する方向に延設された軸体に、回転自在に支持されている。ローラR4はガイド部30bの上面に当接し、ガイド部30b上を転動する。
【0043】
以上のように、本実施形態の搬送装置3では、被駆動ユニット41が駆動伝達部材32cの搬送力を受け、また、停止ユニット5の一時停止力を受けるようにし、更に、X方向の変位規制(ローラR2、R3)を行う一方、補助ユニット42はガイド部30b上を転動するのみとしている。すなわち、被駆動ユニット41には多機能を付加した構成としたのに対して、補助ユニット42は簡素な構成としていることで、被駆動ユニット41が位置する支持フレーム31側に駆動ユニット32や、停止ユニット5を集中的に配置することが可能となる。これは、
図18のように複数の搬送装置3を並べて配置した場合の搬送軌道のレイアウトの検討を容易化すると共に、ユニット間の位置合わせなどを支持フレーム31及び被駆動ユニット41において行うことができる。更に、補助ユニット42及び支持フレーム30の側に、作業装置6を配置するスペースを確保し易くなる。
【0044】
<作業装置>
図1を参照して作業装置6について説明する。作業装置6はパレット4上のワークに対して、加工、組み付け、検査等の作業を行う装置である。本実施形態では、搬送装置3の搬送方向(Y方向)に沿って三つの作業装置6が配置されている。各作業装置6は、作業ヘッド60と、作業ヘッド60を移動する移動ユニット61とを含む。移動ユニット61はZ方向に延びる支柱形状を有しており、設置部21cに立設されている。移動ユニット61は作業ヘッド60をZ方向とX方向とに移動可能である。作業ヘッド60はワークに対する作業を行う機構である。
【0045】
<停止ユニット及び位置決めユニット>
搬送装置3に設けられた停止ユニット5の構成について、
図1、
図7〜
図13を参照して説明する。
図7は停止ユニット5と位置決めユニット7との斜視図(分解斜視図)、
図8は停止ユニット5の斜視図、
図9は停止ユニット5の平面図、
図10は停止ユニット5の正面図、
図11は停止ユニット5の右側面図、
図12は停止ユニット5の動作説明図、
図13は可動部材50の係合動作の説明図である。なお、以下に説明する停止ユニット5は一例であり、他の構成の停止ユニットも採用可能である。
【0046】
位置決めユニット7は、停止ユニット5が設置され、搬送装置3に対する停止ユニット5の位置合わせを行う部材である。本実施形態の場合、位置決めユニット7は、下側及び上側の取付部71、72と、これらを連結する縦板部73とを一体に備えた部材である。
【0047】
取付部71は架台2のベース板21に位置決めユニット7を固定する部位である。固定構造としては例えばボルト締結である。取付部72は停止ユニット5が固定される部位であり、その上面は水平な基準面72aを形成している。基準面72aは停止ユニット5のZ方向の位置を規定する。
【0048】
基準面72aには基準係合部73が形成されている。本実施形態の場合、基準係合部73は基準面72aから上方に突出したピン状の軸部材である。基準係合部73により、停止ユニット5のY方向の位置が規定される。
【0049】
なお、本実施形態では位置決めユニット7を架台2に固定し、搬送装置3に対する停止ユニット5の位置合わせを行う構造としたが、これに限定するものではない。位置決めユニット7を搬送装置3に固定し、搬送装置3に対する停止ユニット5の位置合わせを行う構造としてもよい。
【0050】
停止ユニット5は、パレット4の係合部411と係合することでパレット4を一時的に停止させる装置であり、パレット4の係合部411は後述する凹部501に係合する。パレット4の停止位置は、各作業装置6の作業位置に対応した位置であり、
図1の例では三か所である。このため、停止ユニット5は各停止位置に対応して、合計で三つ設けられている。本実施形態の場合、パレット4が各停止位置で停止されることで、各作業装置6の作業位置とワークの被作業位置とが正対される。これにより、ワークに対してより正確に作業を行うことができる。
【0051】
停止ユニット5は、可動部材50と、支持部材52と、アクチュエータ53とを含む。可動部材50は、パレット4の係合部411と係合してパレット4の搬送方向への移動を一時停止させる部材であり、本体部500と、筒部505と、連結部506とを一体に備える。筒部505及び連結部506は、パレット4の搬送方向(Y方向)で本体部500の上流側(一方側)に位置している。筒部505には、軸部材54の回動軸部54b(
図10)が挿入されるZ方向の軸穴505a(
図13)が形成されている。回動軸部54bはZ方向に延びる軸部であり、軸部材54は支持部材52の一方側に設けられた支持部520bに支持されている。
【0052】
可動部材50は、一方側に設けられた筒部505が支持部材52に軸部材54を介してその軸心54a回りに回動自在に支持されており、
図9に示す係合位置と
図12に示す係合解除位置との間で変位可能である。係合位置とは筒部505から離間した可動部材50の他方側がパレット4の係合部411と係合してパレット4を一時停止させる位置である。また、係合解除位置とは筒部505から離間した可動部材50の他方側がパレット4の係合部411との係合を解除して、パレット4を移動可能な状態にする位置である。なお、本実施形態では可動部材50の変位態様を軸心54a回りの回動としたが、平行移動であってもよい。
【0053】
また、停止ユニット5は、ショックアブソーバ51を含む。ショックアブソーバ51は、可動部材50の本体部500の下流側(他方側)の端部に固定されている。ショックアブソーバ51は、本実施形態の場合、シリンダダンパであり、シリンダ部51aと、ロッド部51bとを含み、その衝撃吸収方向51dは可動部材50が係合位置にある場合、Y方向(パレット4の搬送方向)である。シリンダ部51aの内部にはロッド部51bの後退動に抵抗する流体が封入されている。ロッド部51bはその先端に当接部51cを備えており、この当接部51は、本体部500における後述する凹部501で囲まれる内側空間に突出している。すなわち、パレット4の係合部411が当接する凹部501の当接部分の領域に、当接部51cが突出して設けられる。当接部51cは凹部501の当接部分の領域に突出するように常時付勢されているが、パレット4が当接部51cに当接した際には、後退して本体部500内に没入される。
【0054】
支持部材52は、底壁部520と側壁部521とを一体に備えるL字型の部材である。底壁部520の底面は、位置決めユニット7の基準面71aと当接する面である規定部520aを形成している。基準面71aに対して規定部520aを当接させることで、支持部材52のZ方向の位置(高さ位置)、つまり、停止ユニット5のZ方向(高さ方向)の位置が規定される。底壁部520には、また、基準係合部73と係合する規定部522が形成されている。本実施形態の場合、規定部522は底壁部520を厚み方向に貫通する係合孔である。基準係合部73を規定部522内に嵌入させることにより、支持部材52のY方向の位置(幅方向の位置)、つまり、停止ユニット5のY方向(幅方向)の位置が規定される。なお、本実施例においては、位置きめユニット7と支持部材52とは、基準面71aと規定部520aとの関係および基準係合部73と規定部522との関係により規定されているが、位置きめユニット7と支持部材52とを締結させる締結具(例えば、ボルトとナット)により締結させてもよい。
【0055】
側壁部521のフレーム本体31aに当接される外側の側面は、フレーム本体31aの外側側面と当接する面である規定部521aを形成している。フレーム本体31aの外側側面に規定部521aを当接させることで、支持部材52のX方向の位置(幅方向の位置)、つまり、停止ユニット5のX方向(幅方向)の位置が規定される。側壁部521には、その厚み方向に貫通する取付孔523が複数設けられており、不図示のボルトを取付穴523に挿通し、フレーム本体31aに準備された被締結部(タップ穴または、ナット)への締結により、搬送装置3のフレーム本体31aに停止ユニット5が固定される。
【0056】
以上のとおり、規定部521a、522及び520aにより、パレット4の搬送軌道に対する停止ユニット5のX方向、Y方向及びZ方向の各位置が規定される。停止ユニット5の消耗、故障などによりこれを交換する必要がある場合においても、規定部521a、522及び520aにより、停止ユニット5の再位置合わせ時の調整作業を実質的に不要として、交換を行うことができる。新たな停止ユニット5を取り付ける際には、基準係合部73と規定部522とを係合させた状態で、ボルトを取付穴523に挿通し、停止ユニット5を搬送装置3に固定すれば、交換前の停止ユニット5の位置と同じ位置に交換後の停止ユニット5の位置合わせを行うことができる。停止ユニット5の交換前の位置と交換後の位置とを同じ位置に再度位置合わせることができるので、作業装置6によるパレット4上のワークに対する作業位置の再設定も不要となる。
【0057】
底壁部520には、上述した支持部520bの他、可動部材50を動作させる後述の駆動ユニット(アクチュエータ53)を支持する支持部524が一体に形成されている。規定部521a、522及び520aと共に、支持部520b、524が支持部材52に一体に形成されていることで、それらの相互の位置精度を向上できる。
【0058】
支持部524は、側壁部521に対して垂直に、かつ、Z方向に間隔を空けて一対形成されており、支持部材524間にZ方向に延びる軸部材525が固定される。軸部材525は、駆動ユニットとしてのアクチュエータ53の一方を揺動時の回動中心となる、Z方向に延びる回動軸部525bを有している。回動軸部525bはパレット4の搬送方向(Y方向)で軸部材54の回動軸部54bや後述する凹部501よりも下流側、つまり支持部材52の他方側に、支持部520bと間隔を空けて設けられており、アクチュエータ53は回動軸部525bの軸心525a回りに回動自在に支持部材52に支持されている。
【0059】
駆動ユニットとしてのアクチュエータ53は本実施形態の場合、エアシリンダなどの流体シリンダである。アクチュエータ53は駆動部53a、ロッド部53b及び操作部53cを含む。駆動部53aは流体の出し入れによりロッド部53bをその軸方向に進退させる。駆動部53aは回動軸部525bが挿通する軸穴が形成される挿通部を備える。操作部53cはロッド部53bの先端に設けられており、可動部材50の連結部506に軸部材55を介して軸55a周りに回動自在に連結されている。
【0060】
駆動部53aに対するロッド部53bの進退動作によって操作部53cが移動され、これにより可動部材50を軸心54a回りに回動させる。このとき、連結部506と連結する操作部53cの連結部分がロッド部53bの前進(伸長)と共に軸心54aを中心に回動(
図8中で反時計回りに回動)される。この前進と回動に伴い、操作部53c、すなわち軸55aが、軸心54aとの距離を一定に維持した状態で軸心55aの円周軌道上を反時計方向に移動にされる。これに伴い、駆動部53aは軸心525a回りに回動される。アクチュエータ53の後退(収縮)の際は、前述した動きと逆の動きとなる。アクチュエータ53の収縮により、可動部材50は
図9に示す係合位置に付勢され、アクチュエータ53の伸長により可動部材50は
図12に示す係合解除位置に変位される。アクチュエータ53の収縮の際、可動部材50は
図9に示す係合位置に付勢されるものの、その位置にロックされるわけではなく、外力の作用により可動部材50は、アクチュエータ53の付勢力に抗して
図9で反時計回りに回動可能である。本実施形態では、アクチュエータ53として流体シリンダを例示したが、電動シリンダや電磁ソレノイド等、他のアクチュエータも採用可能である。
【0061】
次に、可動部材50の本体部500の構成について説明する。本体部500の搬送装置3側の側部には、パレット4の搬送軌道に臨むように、X方向に凹んだ凹部501が形成されている。凹部501は係合部411と係合する部分であり、係合部411に合致する形状を有している。本実施形態の場合、係合部411の断面形状が円形であるため、係合部411と当接することになる凹部501の内面は、平面視でC字型をなしている。
【0062】
本体部500の搬送装置3側の側部には、また、案内部502が形成されている。本実施形態の案内部502は凹部501から搬送方向(Y方向)で上流側に延設された傾斜面である。可動部材50が係合位置にある場合を基準とすると、案内部502は、搬送方向上流側で搬送装置3から相対的に遠く、下流側で搬送装置3に相対的に近くなるようにX方向に傾斜しつつ凹部501に繋がる連続面である。すなわち、搬送装置3を搬送方向(Y方向)へ移動するパレット4の係合部411の移動軌道から離間する方向へ徐々に離間する連続した傾斜面である。凹部501の最深部(X方向の外側端)は、案内部502の下流端よりも深く形成される(X方向の外側に位置している)。
【0063】
本体部500の搬送装置3側の側部には、また、回避部503が形成されている。本実施形態の回避部503は凹部501から搬送方向(Y方向)で下流側に延設された傾斜面である。可動部材50が係合位置にある場合を基準とすると、回避部503は、搬送方向上流側で搬送装置3から相対的に遠く、下流側で搬送装置3に相対的に近くなるようにX方向に傾斜しつつ凹部501の下流端から延びる連続面である。凹部501の最深部(X方向の外側端)は、回避部503の上流端よりも深い(X方向の外側に位置している)。
【0064】
図13を参照して凹部501、案内部502及び可動部材50と係合部411との係合動作について説明する。状態ST1は可動部材50が係合位置にあり、パレット4が搬送装置3に搬送されて可動部材50に係合部411が到達する直前の状態を示している。二点鎖線は、パレット4の搬送による係合部411の移動軌道Tを示している。案内部502は、上記の傾斜により、上流側では移動軌道Tから離れた位置にあり、下流側で移動軌道Tに接近する位置にあり、その途中部位において移動軌道T上の位置にある。
【0065】
状態ST2はパレット4の搬送が進行した状態を示す。パレット4は、摩擦係合部材410aと駆動伝達部材32cの外周面との面係合(摩擦力)によって搬送される。本実施形態の場合、駆動伝達部材32c移動に伴って上流側(図中右側)から下流側(図中左側)へパレット4が搬送される。パレット4の搬送により係合部411が案内部502へ干渉する。このとき、パレット4には
図14の底面図に示すように、X方向で内側(支持フレーム30側へ)の力Fを受ける。しかし、パレット4はその2つのローラR2、R2とガイド部31bとによりX方向の変位が規制されるため、係合部411は可動部材50を外側方向に押圧することになる。その際、係合部411はY方向の位置で見て、搬送方向で下流側のローラR2と、上流側のローラR2と等距離Lの位置にあるので係合部411と2つのローラR2により三角形(本実施例では、二等辺三角形)が形成され安定した状態となるので、力Fを受けたときパレット4が傾いたり、蛇行したりすることをより確実に抑制することができる。更に、載置部材40の重心位置Gが、係合部411のY方向の位置と同じ位置であり、力Fの作用線が重心位置G又はその近傍を通過する。これによりパレット4が傾いたり、蛇行したりすることを抑制する効果が更に高まる。
【0066】
上流側から下流側に向って搬送されるパレット4は、係合部411が案内部502に当接し、案内部502の傾斜面により係合部411が搬送装置3の中央側へ徐々に移動される。係合部411の中央側への移動は、パレット4のローラR2、R2がガイド部31bの側面にそれぞれ当接し中央側への移動が規制されることでパレット4の幅方向の位置が規定(幅方向への移動が規制)される。さらにパレット4と共に係合部411が移動することにより、案内部502の傾斜面と係合部411との接触力がアクチュエータ53の付勢力より大きくなり、可動部材50は、アクチュエータ53の付勢に抗して点線で示す係合位置から実線で示す位置へ同図で反時計回りに回動する。摩擦係合部材410aと駆動伝達部材32cとの摩擦力によるパレット4の搬送力は、アクチュエータ53の付勢力より大きい。
【0067】
その結果、係合部411が案内部502を乗り越えて凹部501に進入する。係合部411が凹部501に進入すると、アクチュエータ53の付勢により可動部材50が係合位置に戻る。これにより凹部501と係合部411とが係合し、パレット4は、被駆動ユニット41を介して、ガイド部31bとの間で保持された状態となって停止位置で停止されると共に位置決め保持される。係合部411が凹部501に進入する際には、係合部411がショックアブソーバ51の当接部51cと当接し、ロッド部51bをシリンダ部51a側へ押し込むと共に、ショックアブソーバ51の緩衝作用により、凹部501と係合部411との係合時の衝撃が緩和される。凹部501は係合部411の形状に合致したC字型をなしており、上記の通りその最深部は上流端よりも外側に位置している。このため、係合部411を下流側への移動はもとより、上流側への移動も規制し、パレット4が係合時の反動で上流側へバックすることも規制される。
【0068】
係合部411と凹部501との係合により、パレット4は一時停止すると共にパレット4の保持が完了する。このとき、駆動伝達部材32cは摩擦係合部材410aを滑動することになる。
【0069】
パレット4が一時停止され保持されることで、その停止位置に対応する作業装置6がパレット4上のワークに作業を行う。作業が終了すると、アクチュエータ53を駆動して、可動部材50を
図12に示した係合解除位置に回動する。これにより係合部411と凹部501との係合が解除され、パレット4が搬送される。係合解除の際、凹部501の下流側には回避部503が形成されているため、係合部411が緩やかに凹部501から脱出し、パレット4を円滑に停止位置から動き出すように搬送することができる。また、係合部411と凹部501との係合が円滑に解除されるので可動部材50の係合解除位置への回動を円滑にすることができる。
【0070】
以上の通り、本実施形態では、一つの可動部材50でパレット4の一時停止および保持を行うことができ、また、停止時に反動でバックすることを規制できる。よって、複数部材でこれらを実現する機構に対して部材数を削減してパレット4の一時停止および保持を実現できる。
【0071】
<搬送装置の仕様変更>
以上の構成からなる搬送装置3においては、異なるワークへの適用の際の仕様変更にも容易に対応できる。すなわち、パレット4においては載置部材40をワークに対応して新たに設計すればよく、被駆動ユニット41及び補助ユニット42は改めて設計し直す必要はない。既存の被駆動ユニット41及び補助ユニット42の流用も可能である。
【0072】
載置部材40のX方向における幅の変更が必要となった場合、支持フレーム30、31のX方向の間隔を変更する必要が生じる場合がある。この場合も、両者のX方向の間隔を変更して架台2に設置すればよく、容易である。
【0073】
その際、支持フレーム31の側に駆動ユニット32、停止ユニット5が集中的に設けられており、かつ、被駆動ユニット41に、これらに対応する構成が装備されている。しかも、被駆動ユニット41には、パレット4のX方向の変位を規制するローラR2、R3も備えられており、搬送装置3における各部の位置決めに必要な構成は支持フレーム31及び被駆動ユニット41に備えられている。したがって、仕様変更後における装置の位置調整等はほとんど必要がない。
【0074】
また、支持フレーム31に対して、駆動ユニット32は内側(支持フレーム30側)に、停止ユニット5は外側(反対側)に配置されているので、これらの配設スペースを十分に確保できる。このレイアウトに対応して、被駆動ユニット41においては、
図14の底面図に示すように、2つのローラR1の転動中心線XRに対して、摩擦係合部材410a(摩擦係合ユニット410)が内側に、係合部411が外側にそれぞれ配置されており、被駆動ユニット41においても、これらの配設スペースを十分に確保することができる。
【0075】
<第二実施形態>
パレット4が停止位置に到達したことを検知することで、作業装置6がワークに対する作業を開始するタイミングの目安となる。そこで、パレット4が停止位置に到達したことを検知するセンサを設けてもよい。この場合も、支持フレーム31にセンサを配置し、被駆動ユニット41にセンサが検知する被検知部を設けることで、仕様変更時の位置合わせ等が容易になる。
【0076】
図15は、被検知部412を設けた被駆動ユニット41の例を示す斜視図である。同図の例の場合、本体部材41aの内側側面に被検知部412が固定されている。
図16は被検知部412を検知するセンサ9の配置例を示す断面図である。センサ9は、例えば、光センサ、磁気センサであり、その直上に被検知部412が存在しているか否かを検知する。センサ9は、ワークの停止位置に対応する位置において、ブラケット9aを介して支持フレーム31のフレーム本体31aに固定されている。
【0077】
被検知部412のX方向の位置は、停止ユニット5、ガイド部31b等に対して適切に設定される必要がある。本実施形態の場合、ローラR2がガイド部31bの側面に当接するので、例えば、ローラR2の回転中心X0を基準位置とし、当接部411の位置X2、摩擦係合ユニット410の位置X1、検知部412の位置X3を定めることができる。これらは全て被駆動ユニット41において確定されるので、搬送装置3の組み立ての際の位置調整は不要である。
【0078】
<第三実施形態>
パレット4における被駆動ユニット41及び補助ユニット42の数や位置は適宜選択できる。
図17はパレット4の他の構成例を例示している。図示の例は比較的大型のワークに適したパレット4の構成例である。補助ユニット42は6つ設けられている。そのうちの2つは、被駆動ユニット41の前後に配置され、支持ユニット31(同図で不図示)上を走行する構成であり、残りの4つの補助ユニット42が支持ユニット30(同図で不図示)上を走行する構成である。ワークの種類の変更により、パレット4の仕様変更の必要が生じた場合、このような仕様変更も可能であり、この場合も、被駆動ユニット41及び補助ユニット42を改めて設計する必要はなく、載置部材40のみを新たに設計すればよいことになる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。