(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6764538
(24)【登録日】2020年9月15日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 27/12 20060101AFI20200917BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
F04B27/12 R
F04B27/12 P
F04B39/00 101K
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-534628(P2019-534628)
(86)(22)【出願日】2018年4月10日
(65)【公表番号】特表2019-526749(P2019-526749A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】KR2018004196
(87)【国際公開番号】WO2018190616
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0046781
(32)【優先日】2017年4月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨル ウ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨン ソブ
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0072248(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0142833(KR,A)
【文献】
特開2008−223757(JP,A)
【文献】
特開2009−243385(JP,A)
【文献】
特開2009−257149(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0133206(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/04 − 27/22
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に上側面が開放された吸入口(110)が形成されており、側壁(102)の一定領域が中空となって形成された吐出口(120)が形成されたケース(100)と、
前記ケース(100)の内部において前記吸入口(110)と吐出口(120)との間に備えられて高さ方向に移動自在に形成され、前記ケース(100)の底面から離隔して配置されたコア部(200)と、
前記ケース(100)の底壁(101)の付近に配置された水平部(310)の一端から前記ケース(100)の側壁(102)に沿って上側に垂直部(320)が延びて形成され、前記垂直部(320)の上側が前記コア部(200)の外周面に近接して配置されており、前記水平部(310)と垂直部(320)とが接する部分が、前記ケース(100)に水平方向軸を中心に回転自在に結合されたレバー(300)と、
前記コア部(200)と前記レバー(300)の水平部(310)との間に介在されており、上端が前記コア部(200)に支持され、下端が前記水平部(310)に支持された弾性手段(400)と、を含んでなることを特徴とする吸入脈動低減装置。
【請求項2】
前記ケース(100)およびレバー(300)は、射出により一体のプラスチック材質で形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項3】
前記ケース(100)の内側と外側を貫通するように前記底壁(101)および側壁(102)に形成された開口(121)に前記レバー(300)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項4】
前記開口(121)を成す周面に、前記レバー(300)に近接するように前記レバー(300)に向かって突起(122)が突出形成されることを特徴とする請求項3に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項5】
前記レバー(300)の水平部(310)の上面が前記ケース(100)の底壁(101)の上面よりも上側に位置するように形成されており、
前記弾性手段(400)の下端が前記水平部(310)に支持され、水平方向に前記弾性手段(400)の下端両側は、前記底壁(101)の上側から離隔して配置されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項6】
前記ケース(100)の内周面の一定領域には半径方向内側にコアフック部(140)が突出形成されており、前記コア部(200)が前記ケース(100)の内部に挿入された状態で、前記コアフック部(140)に前記コア部(200)が係止されて上側に抜けないように形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項7】
前記コアフック部(140)に対応する位置の前記コア部(200)の外周面には、コア部(200)の上端から、下端から離隔された高さまで、高さ方向に沿ってフック移動溝(210)が凹んで形成されており、
前記コアフック部(140)が前記フック移動溝(210)に挿入されることを特徴とする請求項6に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項8】
前記ケース(100)には、内周面の一定領域に半径方向内側にコアフック部(140)が突出形成されており、
前記ケース(100)には、前記コアフック部(140)が形成された円周方向両端に、高さ方向に切欠されたスリット(141)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項9】
前記コア部(200)には、前記スリット(141)が形成された位置に対応する位置の前記コア部(200)の上面から上側に複数の遮断壁(220)が延びて形成されることを特徴とする請求項8に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項10】
前記コア部(200)の外周面の一定領域には、半径方向外側にストッパ(230)が突出形成されており、前記コア部(200)が前記ケース(100)の内部に挿入された状態で、前記ケース(100)の側壁(102)を貫通するように形成された開口の上端に前記ストッパ(230)が係止されて上側に抜けないように形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項11】
前記ケース(100)には、前記底壁(101)または側壁(102)から内側にリミッタ(180)が突出形成され、前記コア部(200)が下方へ移動し得る範囲が制限されることを特徴とする請求項1に記載の吸入脈動低減装置。
【請求項12】
冷媒が流入される吸入流路(1110)が形成された後方ハウジング(1100)と、前記後方ハウジング(1100)の吸入流路上に挿入されて設けられた請求項1乃至11の何れか一項に記載の吸入脈動低減装置(1000)と、を含んでなることを特徴とする斜板式圧縮機。
【請求項13】
前記後方ハウジング(1100)の吸入流路(1110)には内側に係止突起(1120)が突出形成されており、
前記ケース(100)には、外周面の上端から半径方向外側に第1係止部(130)が突出形成されるとともに、前記第1係止部(130)から下側に離隔した位置に、前記ケース(100)の外周面から半径方向外側に第2係止部(150)が突出形成されていて、
前記後方ハウジング(1100)の係止突起(1120)が、前記ケース(100)の第1係止部(130)と第2係止部(150)との間に係止されて挟持されることを特徴とする請求項12に記載の斜板式圧縮機。
【請求項14】
前記後方ハウジング(1100)の吸入流路(1110)には係止溝(1130)が凹んで形成されており、前記ケース(100)には、上端から高さ方向上側に延びて形成された延長部(160)の上端から半径方向外側に係止突起(161)が突出形成されていて、
前記後方ハウジング(1100)の係止溝(1130)に前記ケース(100)の係止突起(161)が挿入されて結合されることを特徴とする請求項12に記載の斜板式圧縮機。
【請求項15】
前記後方ハウジング(1100)の吸入流路(1110)には係止溝(1130)が凹んで形成されており、
前記吸入脈動低減装置(1000)は、
リング部(510)の下側に複数の延長部(520)が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、前記複数の延長部(520)の下端から半径方向外側に結合突起(521)が突出形成されるとともに、前記リング部(510)の上側に複数の延長部(530)が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、前記複数の延長部(530)の上端から半径方向外側に係止突起(531)が突出形成された固定部材(500)をさらに含んでなり、
前記ケース(100)には結合溝(170)が形成されていて、前記固定部材(500)の結合突起(521)が前記ケース(100)の結合溝(170)に挿入されて結合され、
前記後方ハウジング(1100)の係止溝(1130)に前記固定部材(500)の係止突起(531)が挿入されて結合されることを特徴とする請求項12に記載の斜板式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機に係り、より詳しくは、斜板式圧縮機の後方ハウジングに形成された吸入流路上に設けられ、冷媒の吸入脈動を低減させる吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両用冷却システムには、冷媒を圧縮させる役割を果たす圧縮機が設けられており、圧縮機には、冷媒の圧縮方式として、往復運動しながら圧縮を行う往復式と、回転運動しながら圧縮を行う回転式がある。
そして、様々な形態の圧縮機があるが、圧縮機としては、エンジンの回転力から伝達される動力で駆動されるものであって、電磁クラッチなしに車両のエンジンの駆動とともに常に駆動しながら、斜板の傾斜角を変化させることで吐出容量を変化させる可変容量型斜板式圧縮機が広く用いられている。かかる可変容量型斜板式圧縮機には、一般に、冷媒の吐出量を調節するために、斜板の傾斜角の調節のための圧力調節弁が用いられる。
ところで、従来の可変容量型斜板式圧縮機は、冷媒の吸入量が少なくなると吸入ポートに振動が発生し、脈動や轟音が発生するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、冷媒吸入量が少ない時に吸入ポートの流動面積を徐々に変化させることで急激な吸入量の変化を防止する吸入脈動低減装置に係る技術が開示され、
図1に示す吸入逆止弁10が提案されている(特許文献1参照)。
かかる吸入逆止弁10は、ケース20、開閉コア30、および弾性ばね40からなる。
ケース20は、その上端に開放された金属製の吸入口21を備えており、側壁面の一側に、吸入口21と直角を成しながら吐出口22が形成される。
開閉コア30は、ケース20の内部に軸方向に移動自在に設けられる円筒状のプランジャであって、吸入口21にかかる冷媒の圧力に応じてケース20の内部で上下に移動しながら、吸入口21から吐出口22への冷媒の流動を断続する役割を果たす。
弾性ばね40は、吸入口21を介してケース20の内部に流入される冷媒の圧力に対して開閉コア30を弾力的に支持するように設けられ、吸入口21に冷媒の圧力がかからなくなる時に、開閉コア30を吸入口21の方に密着させることで吸入口21を閉塞する。また、開閉コア30の外周面には軸方向溝31が形成され、開閉コア30が吸入口21に密着された状態でも軸方向溝31を介して微量の冷媒が流動可能となり、吸入口21にかかる冷媒の圧力が急激に変化する際にも、吸入逆止弁の急激な開度変化が防止される。
【0004】
しかしながら、上記のような従来の吸入逆止弁は、開閉コア30が上下にスムーズに移動できるように、ケース20の内周面と開閉コア30の外周面との間が僅かに離隔して形成されるが、ケース20と開閉コア30との間を通過する冷媒によって開閉コア30が振れながらケース20の側壁にぶつかり、振動および騒音が発生するという問題がある。また、ハウジングの吸入流路に吸入逆止弁を圧入固定する金属製の吸入口21を設けることにより、製造コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許登録第10‐1607711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、斜板式圧縮機の後方ハウジングに形成された吸入流路上に設けられ、冷媒の吸入脈動を低減させることができ、振動および騒音の発生を防止することができる吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機を提供することにある。
また、他の目的とするところは、弾性ばねを除いた全ての構成をプラスチックで製造することにより、製造コストを下げ、特に、金属で製造していた既存の吸入口をプラスチックで代替し、ケースと一体型で製造する吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するためになされた本発明の吸入脈動低減装置は、高さ方向に上側面が開放された吸入口110が形成されており、側壁102の一定領域が中空となって形成された吐出口120が形成されたケース100と、ケース100の内部において吸入口110と吐出口120との間に備えられて高さ方向に移動自在に形成され、ケース100の底面から離隔して配置されたコア部200と、ケース100の底壁101の付近に配置された水平部310の一端からケース100の側壁102に沿って上側に垂直部320が延びて形成され、垂直部320の上側がコア部200の外周面に近接して配置されており、水平部310と垂直部320とが接する部分が、ケース100に水平方向軸を中心に回転自在に結合されたレバー300と、コア部200とレバー300の水平部310との間に介在されており、上端がコア部200に支持され、下端が水平部310に支持された弾性手段400と、を含んでなることを特徴とする。
【0008】
ケース100およびレバー300は、射出により一体のプラスチック材質で形成されることができる。
ケース100の内側と外側を貫通するように底壁101および側壁102に形成された開口121にレバー300が配置されることがよい。
開口121を成す周面に、レバー300に近接するようにレバー300に向かって突起122が突出形成されることが好ましい。
【0009】
レバー300の水平部310の上面がケース100の底壁101の上面よりも上側に位置するように形成されており、弾性手段400の下端が水平部310に支持され、水平方向に弾性手段400の下端両側は、底壁101の上側から離隔して配置されることができる。
ケース100の内周面の一定領域には半径方向内側にコアフック部140が突出形成されており、コア部200がケース100の内部に挿入された状態で、コアフック部140にコア部200が係止されて上側に抜けないように形成されることがよい。
コアフック部140に対応する位置のコア部200の外周面には、コア部200の上端から、下端から離隔された高さまで、高さ方向に沿ってフック移動溝210が凹んで形成されており、コアフック部140がフック移動溝210に挿入されることが好ましい。
【0010】
また、ケース100には、コアフック部140が形成された円周方向両端に、高さ方向に切欠されたスリット141が形成されることができる。
また、コア部200には、スリット141が形成された位置に対応する位置のコア部200の上面から上側に複数の遮断壁220が延びて形成されることができる。
また、コア部200の外周面の一定領域には、半径方向外側にストッパ230が突出形成されており、コア部200がケース100の内部に挿入された状態で、ケース100の側壁102を貫通するように形成された開口の上端にストッパ230が係止されて上側に抜けないように形成されることができる。
【0011】
ケース100には、外周面の上端から半径方向外側に第1係止部130が突出形成されており、第1係止部130から下側に離隔した位置に、ケース100の外周面から半径方向外側に第2係止部150が突出形成されることができる。
ケース100には、上端から高さ方向上側に延びて形成された延長部160の上端から半径方向外側に係止突起161が突出形成されることがよい。
【0012】
リング部510の下側に複数の延長部520が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部520の下端から半径方向外側に結合突起521が突出形成されており、リング部510の上側に複数の延長部530が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部530の上端から半径方向外側に係止突起531が突出形成されている固定部材500をさらに含んでなり、ケース100には結合溝170が形成されていて、固定部材500の係止突起531がケース100の結合溝170に挿入されて結合されることが好ましい。
また、ケース100には、底壁101または側壁102から内側にリミッタ180が突出形成され、コア部200が下方へ移動し得る範囲が制限されることができる。
【0013】
そして、本発明の斜板式圧縮機は、冷媒が流入される吸入流路1110が形成された後方ハウジング1100と、後方ハウジング1100の吸入流路上に挿入されて設けられた吸入脈動低減装置1000と、を含んでなることを特徴とする。
後方ハウジング1100の吸入流路1110には内側に係止突部1120が突出形成されており、ケース100には、外周面の上端から半径方向外側に第1係止部130が突出形成されるとともに、第1係止部130から下側に離隔した位置に、ケース100の外周面から半径方向外側に第2係止部150が突出形成されていて、後方ハウジング1100の係止突部1120が、ケース100の第1係止部130と第2係止部150との間に係止されて挟持されることが好ましい。
【0014】
後方ハウジング1100の吸入流路1110には係止溝1130が凹んで形成されており、ケース100には、上端から高さ方向上側に延びて形成された延長部160の上端から半径方向外側に係止突起161が突出形成されていて、後方ハウジング1100の係止溝1130にケース100の係止突起161が挿入されて結合されることができる。
後方ハウジング1100の吸入流路1110には係止溝1130が凹んで形成されており、吸入脈動低減装置1000は、リング部510の下側に複数の延長部520が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部520の下端から半径方向外側に結合突起521が突出形成されるとともに、リング部510の上側に複数の延長部530が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部530の上端から半径方向外側に係止突起531が突出形成された固定部材500をさらに含んでなり、ケース100には結合溝170が形成されていて、固定部材500の結合突起521がケース100の結合溝170に挿入されて結合され、後方ハウジング1100の係止溝1130にケース100の係止突起531が挿入されて結合されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機は、冷媒の吸入量が少なくなる際に吸入脈動を低減させることができ、振動および騒音の発生を防止することができる利点がある。
また、吸入脈動低減装置の弾性手段を除いた全ての構成をプラスチックで製造し、特に、金属で製造していた既存の吸入口をプラスチックで代替して、ケースと一体型で製造するため、製造コストが安価である利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の可変容量型斜板式圧縮機の吸入脈動低減装置を示した断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置を示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置を示した断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置を示した断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置が設けられた斜板式圧縮機の後方ハウジングの一部を示した断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による吸入脈動低減装置のケースとレバーを示した上側平面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図である。
【
図11】本発明の第3実施形態による吸入脈動低減装置のコア部を示した斜視図である。
【
図12】本発明の第4実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図である。
【
図13】本発明の第4実施形態による吸入脈動低減装置のコア部を示した斜視図である。
【
図14】本発明の第4実施形態による吸入脈動低減装置を示した断面図である。
【
図15】本発明の第5実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図である。
【
図16】本発明の第5実施形態による吸入脈動低減装置を示した断面図である。
【
図17】本発明の第5実施形態による吸入脈動低減装置を示した分解斜視図である。
【
図18】本発明の第5実施形態による吸入脈動低減装置が斜板式圧縮機の後方ハウジングに設けられて固定された状態を示した断面図である。
【
図19】本発明による斜板式圧縮機の後方ハウジングの他の実施形態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、上記のような構成を有する本発明の吸入脈動低減装置およびそれを含む斜板式圧縮機を添付図面を基にして詳細に説明する。
先ず、斜板式圧縮機の構造について簡略に説明する。斜板式圧縮機は、大きく分けるとハウジング、回転軸、斜板、および複数のピストンを含んでなる。
ハウジングは、斜板式圧縮機の外部本体を成す部分であって、その内部に、回転軸、斜板、および複数のピストンを収容するシリンダ室が形成されており、ハウジングのうち後方ハウジング1100には、ピストンの吸入行程時にシリンダ室に冷媒を供給する吸入流路1110が形成され、圧縮行程時にシリンダ室内の冷媒が排出される吐出流路が形成されている。
【0018】
回転軸は、外部駆動源の回転駆動力を圧縮機の内部に伝達する手段であり、斜板は、回転軸の回転駆動力をピストンの往復直線運動に転換する手段であって、回転軸上に傾斜した状態で装着され、回転軸とともに回転する。
複数のピストンは、斜板によってシリンダ室の内部で往復運動しながら冷媒を圧縮する手段であって、吸入流路1110を介してシリンダ室内に吸入した冷媒を、吐出流路を介して外部の冷媒ラインに吐出させる。
【0019】
特に、可変容量型斜板式圧縮機は斜板の傾斜角度が可変するように設けられ、回転軸に対する斜板の傾斜が90度である際に、ピストンの往復運動がなくなるため、回転軸が空回りすることになる。逆に、斜板が回転軸に対して90度ではない特定角度で傾斜するように傾くと、ピストンがシリンダ室内で往復運動しながら冷媒を吸入して圧縮してから吐出することになる。
この際、吸入流路1110の先端には、外部から冷媒が流入される吸入ポートが形成されており、吸入流路1110上に本発明の吸入脈動低減装置1000が装着されて、吸入圧力に応じてコア部200が移動しながら吸入脈動が低減されることができる。
【0020】
[実施形態1および実施形態2]
図2から
図6は、本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置を示した分解斜視図、組立斜視図、および断面図であり、
図7は、本発明の第1実施形態による吸入脈動低減装置が設けられた斜板式圧縮機の後方ハウジングの一部を示した断面図である。また、
図8および
図9は、本発明の第2実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図およびケースとレバーを示した上側平面図である。
【0021】
図示したとおり、本発明の吸入脈動低減装置1000は、高さ方向に上側面が開放された吸入口110が形成されており、側壁102の一定領域が中空となって形成された吐出口120が形成されたケース100と、ケース100の内部において吸入口110と吐出口120との間に備えられて高さ方向に移動自在に形成され、ケース100の底面から離隔して配置されたコア部200と、ケース100の底壁101の付近に配置された水平部310の一端からケース100の側壁102に沿って上側に垂直部320が延びて形成され、垂直部320の上側がコア部200の外周面に近接して配置されており、水平部310と垂直部320とが接する部分が、ケース100に水平方向軸を中心に回転自在に結合されたレバー300と、コア部200とレバー300の水平部310との間に介在されており、上端がコア部200に支持され、下端が水平部310に支持された弾性手段400と、を含んでなる。
【0022】
先ず、本発明の吸入脈動低減装置1000は、大きく、ケース100、コア部200、レバー300、および弾性手段400を含んでなる。
ケース100は略円筒状に形成されており、円筒状の一端が開放され、他端の一部が閉塞されている形態からなる。すなわち、円筒状に側壁102が形成され、高さ方向の下側である側壁102の下端が底壁101により閉塞されている凹状の容器の形態からなる。そして、ケース100は、開放された上端が吸入口110となり、側壁102の一定領域が、外周面と内周面を貫通するように中空となって形成された吐出口120となるように形成される。すなわち、側壁102の一部が開口されている部分が吐出口120となる。この際、側壁102の円周方向に沿って離隔して複数の吐出口120が形成される。
【0023】
コア部200は、吸入口110から流入される冷媒の吸入圧力に応じてケース100の内部で高さ方向に移動することで、吐出口120の開閉面積を調節する。すなわち、コア部200は、ケース100の内部を通過する冷媒の流動を断続する手段であって、ケース100の吸入口110を介して流入される冷媒の圧力に応じてコア部200が高さ方向に移動することになるが、コア部200の高さによって、吸入口110を介して流入された冷媒がケース100の内部を通過して吐出口120に排出され得る流動断面積である吐出口120の開放程度が調節される。そして、コア部200はケース100の内部で高さ方向に沿って移動できるように、ケース100の内部形状に対応する円筒状または円柱状に形成される。一例として図示したとおり、コア部200は、下面から上側に凹状に形成された容器の形態からなる。
【0024】
ここで、コア部200は、ケース100の内部に備えられて高さ方向に沿ってスムーズに上下移動できるように、コア部200の外径がケース100の側壁102の内径より僅かに小さく形成される。そして、コア部200は、吸入口110と吐出口120との間に配置され、且つケース100の底壁101から上側に離隔した位置に配置される。
【0025】
レバー300は、一例として図示したとおり「L」字状に形成され、高さ方向に垂直な水平方向に形成された水平部310と、水平部310の一端から高さ方向上側に延びて形成された垂直部320と、で構成される。そして、水平部310はケース100の底壁101の付近に配置され、コア部200の下側に水平部310が離隔して配置され、垂直部320は側壁102の付近に配置され、垂直部320の上側がコア部200の外周面に近接して配置される。また、レバー300は、水平部310と垂直部320とが接して連結された部分である「L」字状の角部分の一部がケース100に結合され、且つケース100が固定された状態でレバー300が水平方向軸Cを中心に回転自在に形成される(
図9参照)。この際、図示したとおり、レバー300の水平部310と垂直部320とが接して連結された部分である角部分において、水平部310の下側が底壁101の一部の局所部分に結合された形態で結合部312が形成され、結合部312の部分が折れたり曲げられて形成され、レバー300が結合部312を基準として回転されることができる。また、結合部312が形成された部分においてレバー300を支持している部分は、底壁101の上下面を貫通するように形成された開口121に高さ方向に立てられている平板部分の両端が開口121の端部に結合されている形態である。その他にも、結合部312は、レバー300が水平方向軸Cを中心に回転できる様々な形態で形成されることができる。
【0026】
弾性手段400は一例としてコイルばねである。弾性手段400は、コア部200とレバー300の水平部310との間に介在されており、上端はコア部200に支持され、下端は水平部310の上面に支持される。この際、弾性手段400の上部は、コア部200の空いている内部に挿入されて結合され、弾性手段400の下部は、レバー300の水平部310の上面から上側に突出形成された嵌合部311の外側に嵌合されて結合される。また、弾性手段400の下部は、レバー300の嵌合部311と同一円周線上に形成されたケース100の嵌合部190に嵌合されて結合されることができる。
【0027】
その結果、ケース100の吸入口110側であるコア部200の上部側から、冷媒の圧力によって弾性手段400の弾性よりも大きい力がコア部200に作用すると、コア部200が下方へ移動しながら弾性手段400の力によってレバー300の水平部310が下方へ押されることとなる。これにより、レバー300が水平方向軸Cを中心に僅かに回転され、回転されるレバー300の垂直部320の上部がコア部200を一側に押すこととなり、コア部200がケース100の側壁102の内周面の一側に密着された状態に維持される。この際、コア部200は、側壁102の内周面に密着された状態で冷媒の圧力に応じて高さ方向に上下移動するため、ケース100の吸入口110の方から吐出口120の方への冷媒の流動があっても、コア部200の水平方向への振れがなく、コア部200が側壁102にぶつかる時に発生する振動および騒音が防止されることができる。また、弾性手段400が圧縮された状態では、常にレバー300の垂直部320の上部がコア部200を側壁102の内周面の一側に密着させるように作動されるため、コア部200が移動し始めると同時に、コア部200の振れが防止される。
【0028】
ケース100およびレバー300は、射出により一体のプラスチック材質で形成されることができる。
すなわち、プラスチック材質を用いた射出成形により、ケース100とレバー300を一体に形成することができ、これにより、ケース100とレバー300が結合された部分である結合部312の構成を簡単にすることができる。これにより、製造が容易となるとともに、製造コストが低減することができる。この際、プラスチック材質の中でも、割れにくく、曲げ荷重が繰り返されても疲労破断が発生しない材質を用いてケース100とレバー300を一体に射出して製造すると、レバー300が繰り返し回転されても結合部312の破損を防止することができる。または、ケース100およびレバー300がそれぞれ別のもので形成され、組み立てにより結合されてもよい。
【0029】
ケース100の内側と外側を貫通するように底壁101および側壁102に形成された開口121にレバー300が配置されることができる。
すなわち、図示したとおり、レバー300は、ケース100の底壁101の上下面を貫通するように形成された開口121、および側壁102の内周面と外周面を貫通するように形成された開口121に配置されることができる。この際、開口121の周面から離隔するようにレバー300が配置されることがよく、これにより、レバー300が開口121の大部分を閉塞している形態で形成される。
【0030】
開口121を成す周面に、レバー300に近接するようにレバー300に向かって突起122が突出形成されることができる。
すなわち、レバー300に向かってレバー300に近接する位置に、開口121を有する周面の一部領域に突起122が突出形成されることで、レバー300の水平方向軸Cを中心とした回転以外の他の動きを低減することができる。
【0031】
一方、レバー300の水平部310の上面は、ケース100の底壁101の上面よりも上側に位置して形成されており、弾性手段400の下端が水平部310に支持され、水平方向に弾性手段400の下端両側は、底壁101の上側から離隔して配置される。
すなわち、レバー300の水平部310の上面がケース100の底壁101の上面より高い位置に形成されることで、弾性手段400の下端がレバー300の水平部310のみに支持されることができ、レバー300の水平部310は、弾性手段400の下端の、水平部310における軸Cの水平方向両側部分が空中に浮かんでいるように形成され、弾性手段400の下端両側は、底壁101から上側に離隔した位置に位置する。これにより、コア部200が下方に移動すると、弾性手段400が水平部310を下方へ押してレバー300が回転しながら弾性手段400もともに下方に移動し、弾性手段400の下端が底壁101に支持されると、レバー300がそれ以上回転されなくなり、これにより、レバー300の垂直部320の上側がコア部200を特定の力以上で押さないようにする。これにより、コア部200が側壁102の内周面に密着され、且つ適当な力で密着された状態を維持することができるため、コア部200が冷媒の圧力に応じてケース100の内部でスムーズに上下移動することができる。
【0032】
また、ケース100の内周面の一定領域には、半径方向内側にコアフック部140が突出形成されており、コア部200がケース100の内部に挿入された状態で、コアフック部140にコア部200が係止されて上側に抜けないように形成される。
すなわち、コア部200は、冷媒の吸入圧力による力が弾性手段400の弾性力よりも小さい場合に、吸入口110を介して上側に離脱し得るため、弾性手段400の弾性力と反対方向にコア部200を支持する手段が必要である。そのため、ケース100の内周面の一定領域に半径方向内側に突出したコアフック部140が形成され、コアフック部140にコア部200が係止されて上側に抜けないように形成される。
【0033】
また、コアフック部140に対応する位置のコア部200の外周面には、コア部200の上端から、下端から上側に離隔した高さまで、高さ方向に沿ってフック移動溝210が凹んで形成され、コアフック部140がフック移動溝210に挿入される。
すなわち、コア部200には、外周面から半径方向内側にフック移動溝210が凹んで形成される。フック移動溝210は、コア部200の上面から下方へ形成されるが、この際、コア部200の下面から上側に離隔した高さまで形成される。コアフック部140がフック移動溝210に挿入された状態でコア部200が高さ方向に移動することができ、フック移動溝210の高さ方向の下端がコアフック部140に係止される。これにより、コア部200が高さ方向の中心軸を基準に回転されず、コア部200がケース100の外部に離脱することを防止する。そして、コア部200には、上面から下面まで、ガイド溝240が外周面に凹んで形成されており、ガイド溝240にレバー300の垂直部320の一部が挿入されている。これにより、コア部200の回転を防止することができ、レバー300の垂直部320がコア部200を正確に押すようにする。
【0034】
また、ケース100には、コアフック部140が形成された円周方向両端に、高さ方向に切欠されたスリット141が形成される。
すなわち、コアフック部140の両側に、高さ方向に沿って上側または下側にスリット141が形成されており、コア部200をケース100の内部に挿入して組み立てる時に、コアフック部140が形成された部分がコア部200によって半径方向外側に押されながら、コア部200がケース100の内部に容易に挿入されることができ、挿入された後には弾性によって元の形態に回復されてコアフック部140にコア部200が係止され、挿入された反対方向に離脱しないようにすることができる。この際、
図2〜
図6に示したとおり、ケース100には、側壁の上端部分から下側に延びて形成された部分の下端に、半径方向内側にコアフック部140が形成されてもよく、本発明の吸入脈動低減装置1000の第2実施形態である
図8および
図9に示したとおり、ケース100には、側壁の上端部分から上側に延びて形成された部分に、半径方向内側にコアフック部140が形成されてもよい。
【0035】
[実施形態3]
図10および
図11は、本発明の第3実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図およびコア部を示した斜視図である。
図示したとおり、コア部200には、スリット141が形成された位置に対応する位置のコア部200の上面から上側に複数の遮断壁220が延びて形成される。
すなわち、上記のように、側壁102にスリット141が高さ方向に形成されている場合に、コア部200が下方へ移動すると、吐出口120だけでなくスリット141を介しても冷媒が流動するため、スリット141を閉塞するように、コア部200の上面から上側に複数の遮断壁220が形成される。この際、上側からみたときに、遮断壁220はスリット141の位置に対応する位置に形成されることができ、スリット141が形成された円周方向への領域よりも広い領域に遮断壁220が形成されることで、冷媒がスリット141を通過しないようにすることができる。そして、高さ方向にスリット141が形成された長さと、高さ方向に遮断壁220が形成された長さを調節することで、スリット141を介して冷媒が流動しないようにしたり、一部の冷媒がスリット141を通過するようにすることができる。
【0036】
[実施形態4]
図12〜
図14は、本発明の第4実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図、コア部を示した斜視図、および吸入脈動低減装置を示した断面図である。
図示したとおり、コア部200の外周面の一定領域には、半径方向外側にストッパ230が突出形成されており、コア部200がケース100の内部に挿入された状態で、ケース100の側壁102を貫通するように形成された開口の上端にストッパ230が係止されて上側に抜けないように形成される。
【0037】
すなわち、ケース100の内部にコア部200が挿入された状態で、コア部200がケース100の外部に離脱しないように、コア部200がケース100に係止され、上側に移動できる限界が決定される。この際、コア部200の外周面から半径方向外側にストッパ230が突出形成され、ストッパ230は様々な形態で形成されることができるが、図示したとおり、コア部200の下側から上側に延びた形態の延長部の上端から半径方向外側に突出し、且つ突出した部分の下面は外側の上方に傾斜して形成され、上端面は平らに形成されることができる。これにより、コア部200をケース100の内部に容易に挿入することができ、挿入された反対方向である上側に離脱しないようにすることができる。また、ケース100には、ストッパ230が係止可能な部分が形成されるが、図示したとおり、ケース100の側壁102に形成された開口121または吐出口120の上端にストッパ230が係止されるように形成することで、側壁102にストッパ230が係止される別の固定溝などを形成しなくてもよいという利点がある。
【0038】
また、ケース100には、外周面の上端から半径方向外側に第1係止部130が突出形成され、第1係止部130から下側に離隔した位置に、ケース100の外周面から半径方向外側に第2係止部150が突出形成される。
すなわち、ケース100は、斜板式圧縮機の後方ハウジング1100に結合されて離脱しないように強固に固定されなければならないため、
図3および
図7を基にすると、ケース100に形成された第1係止部130、およびそれから離隔して形成された第2係止部150を用いて、それらの間に後方ハウジング1100の一部分が挟持される構造を成すようにすることができる。この際、第1係止部130は、ケース100の外周面の上端から半径方向外側に突出した段部の形態で形成される。第1係止部130は、円周方向の全体にわたって形成されたリング状であってもよく、図示したとおり、リング状の一部に上下方向に溝が凹設された形態であってもよい。第2係止部150は、第1係止部130から下方へ離隔した位置から半径方向外側に突出して形成される。また、第2係止部150は、側壁102に形成された開口121または吐出口120の上端から下方へ延びた形態で形成され、延長部の下端部から半径方向外側に突出形成される。
【0039】
また、ケース100には、上端から高さ方向上側に延びて形成された延長部160の上端から半径方向外側に係止突起161が突出形成される。
すなわち、ケース100は、圧縮機の後方ハウジング1100に結合されて離脱しないように強固に固定されなければならないため、ケース100に形成された係止突起161を用いて後方ハウジング1100に固定されるようにする。この際、係止突起161は、ケース100の外周面よりも半径方向外側に突出するように形成されることができ、側壁102の上端から上側に延長部160が延びて形成され、延長部160の上端部から係止突起161が突出形成されることができる。
【0040】
[実施形態5]
図15〜
図17は、本発明の第5実施形態による吸入脈動低減装置を示した組立斜視図、断面図、および分解斜視図である。
図示したとおり、リング部510の下側に、複数の延長部520が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部520の下端から半径方向外側に結合突起521が突出形成されており、リング部510の上側に、複数の延長部530が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部530の上端から半径方向外側に係止突起531が突出形成されている固定部材500をさらに含んでなる。ケース100には結合溝170が形成されていて、固定部材500の係止突起531がケース100の結合溝170に挿入されて結合される。
【0041】
これは、ケース100の内部に挿入されたコア部200がケース100の外部に離脱することを防止するとともに、ケース100を斜板式圧縮機の後方ハウジング1100に結合して固定するための構成であって、別の固定部材500をさらに含んでなる。すなわち、固定部材500は、リング部510の下側がケース100の内部に挿入されて結合および固定され、これにより、コア部200が固定部材500の下端に係止されて上側に抜けないことになる。この際、固定部材500には、リング状に形成されたリング部510の下側に複数の延長部520が形成されており、延長部520の下端部から半径方向外側に形成された結合突起521が、ケース100の側壁102に形成された結合溝170に挿入されて結合および固定される。また、固定部材500は、リング部510の上側に形成された複数の延長部530、および延長部530の上端部から半径方向外側に突出形成された係止突起531を用いて、斜板式圧縮機の後方ハウジング1100に固定される。
【0042】
また、ケース100には、底壁101または側壁102から内側にリミッタ180が突出形成されており、コア部200が下方へ移動し得る範囲が制限される。
すなわち、ケース100の底壁101の上面から上側に、または側壁102の内側面から半径方向内側にリミッタ180が突出形成され、コア部200が下方へ特定距離だけ移動した時に、リミッタ180にコア部200の下端が支持されることで、コア部200の移動行程における下限位置が制限される。
【0043】
そして、本発明の斜板式圧縮機は、冷媒が流入される吸入流路1110が形成された後方ハウジング1100と、後方ハウジング1100の吸入流路上に挿入されて設けられた吸入脈動低減装置1000と、を含んでなる。
すなわち、本発明の斜板式圧縮機は、冷媒が流入される吸入流路1110上に吸入脈動低減装置1000が挿入されて設けられる。この際、図示したとおり、斜板式圧縮機の後方ハウジング1100の吸入流路1110内に、吸入脈動低減装置1000の吸入口110を含む一部が位置するように配置され、吸入口110が吸入流路1110の入口側に向かうように設けられることができ、吸入脈動低減装置1000の吐出口120を含む残りの部分が吸入室1140に位置するように配置される。
【0044】
また、後方ハウジング1100の吸入流路1110には、内側に係止突部1120が突出形成されており、ケース100には、外周面の上端から半径方向外側に第1係止部130が突出形成されるとともに、第1係止部130から下側に離隔した位置に、ケース100の外周面から半径方向外側に第2係止部150が突出形成されていて、後方ハウジング1100の係止突起1120が、ケース100の第1係止部130と第2係止部150との間に係止されて挟持される。
すなわち、
図7に示したとおり、ケース100は、斜板式圧縮機の後方ハウジング1100に結合されて離脱しないように強固に固定されなければならないため、ケース100に形成された第1係止部130、およびそれから離隔して形成された第2係止部150を用いて、それらの間に後方ハウジング1100の一部分である係止突起1120が挟持されるようにする。
【0045】
また、後方ハウジング1100の吸入流路1110には係止溝1130が凹んで形成されており、ケース100には、上端から高さ方向上側に延びて形成された延長部160の上端から半径方向外側に係止突起161が突出形成されていて、後方ハウジング1100の係止溝1130にケース100の係止突起161が挿入されて結合される。
すなわち、ケース100は、圧縮機の後方ハウジング1100に結合されて離脱しないように強固に固定されなければならないため、ケース100に形成された係止突起161を用いて後方ハウジング1100の係止溝1130に固定されるようにする。この際、係止溝1130は、後方ハウジング1100の吸入流路1110の内周面に凹んで形成され、且つ円周方向に沿って一部領域のみに形成されることで、係止溝1130にケース100の係止突起161が挿入されて結合された状態で、ケース100が円周方向に回転しないように固定される。
【0046】
また、後方ハウジング1100の吸入流路1110には係止溝1130が凹んで形成されており、吸入脈動低減装置1000は、リング部510の下側に複数の延長部520が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部520の下端から半径方向外側に結合突起521が突出形成されるとともに、リング部510の上側に複数の延長部530が円周方向に互いに離隔して延びて形成され、複数の延長部530の上端から半径方向外側に係止突起531が突出形成された固定部材500をさらに含んでなり、ケース100には結合溝170が形成されていて、固定部材500の結合突起521がケース100の結合溝170に挿入されて結合され、後方ハウジング1100の係止溝1130にケース100の係止突起531が挿入されて結合される。
【0047】
すなわち、上記のとおり吸入脈動低減装置1000が固定部材500をさらに含んでなる場合、
図18のように、固定部材500の係止突起531が後方ハウジング1100に形成された係止溝1130に挿入されて結合および固定される。
また、
図19のとおり、後方ハウジング1100の係止突起1120には、一部領域が凹んでフック結合溝1150が形成され、ケース100の第2係止部150がフック結合溝1150内に載置された状態で係止突起1120に係止されて結合されることで、吸入脈動低減装置1000のケース100が回転しないようにする。
【0048】
本発明は上記の実施形態に限定されず、適用範囲が多様であることはいうまでもなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも特許請求の範囲で請求している本発明の趣旨を逸脱することなく多様な変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 吸入逆止弁
20 ケース
21 吸入口
22 吐出口
30 開閉コア
31 軸方向溝
40 弾性ばね
100 ケース
101 底壁
102 側壁
110 吸入口
120 吐出口
121 開口
122 突起
130 第1係止部
140 コアフック部
141 スリット
150 第2係止部
160、520、530 延長部
161、531、1120 係止突起
170 結合溝
180 リミッタ
190、311 嵌合部
200 コア部
210 フック移動溝
220 遮断壁
230 ストッパ
240 ガイド溝
300 レバー
310 水平部
312 結合部
320 垂直部
400 弾性手段
500 固定部材
510 リング部
521 結合突起
1000 吸入脈動低減装置
1100 後方ハウジング
1110 吸入流路
1130 係止溝
1140 吸入室
1150 フック結合溝
C 水平方向軸