(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベッドおよびその周辺を監視対象空間として、上記監視対象空間内の被介護者を非接触で検知する検知手段と、上記検知手段から出力される検知信号に基づいて上記被介護者の離床の有無を判定する制御部とを備えている離床検知装置において、
上記検知手段として、一列に並べられた複数の受光素子を有するラインセンサとロッドレンズとを含み、上記ロッドレンズが上記ラインセンサの受光面側からその焦点距離分離れた位置で上記ラインセンサと直交する方向に配置されている輝度分布センサが用いられるとともに、上記ロッドレンズよりも上記監視対象空間側には、上記ラインセンサの長手方向と平行なスリットを有するスリット板が配置されていることを特徴とする離床検知装置。
上記制御部は、上記第1パターンの光強度信号のレベルが小レベルから大レベルに推移するとき、上記第1パターンが上記被介護者によるものであると判断することを特徴とする請求項4に記載の離床検知装置。
【背景技術】
【0002】
離床検知装置(離床センサとも呼ばれる)は、病院や介護施設もしくは一般家庭において、被介護者がベッドから離れることを検出して介護者に知らせることを目的としたセンサである。離床センサには、いくつかの方式があるが、いずれも一長一短である。
【0003】
まず、マットセンサは、ベッド横の床に直置きし、被介護者がベッドから降りたときに、その上を踏むことで被介護者の離床を検出する(例えば、特許文献1参照)。設置は簡単であるが、不衛生であり、また、耐久性に問題がある。
【0004】
次に、ベッドセンサは、シーツの下に敷き、被介護者が起き上がり等によりセンサから離れたことを検出する(例えば、特許文献2参照)。起き上がりをすぐに検出できるものの、在ベッド時には間接的ではあるが常にセンサと触れているため、床ずれ等が発生しやすく、また、寝返り等の繰り返し荷重ストレスによる耐久性の問題がある。
【0005】
クリップ型センサは、被介護者の衣服にクリップを付け、被介護者が起き上がって移動すると、クリップと紐で繋がっているプレートがセンサから抜けることにより離床を検出する(例えば、特許文献3参照)。扱いやすくコストも安いが、繋がれているという拘束感があり、また、クリップを故意に外された場合には検出できない。
【0006】
画像センサを用いる方法もある。画像センサによれば、被介護者の動きを含めて離床の有無を明確に把握できるが、介護者はモニタ画面を常に監視する必要がある一方で、被介護者には常に監視されているという嫌悪感を与える等、プライバシーの点でも問題がある。また、導入コストも高い。
【0007】
赤外線センサは、赤外線を空間に投光し、その空間内に存在する物体による反射光を受光して物体を検出する方式で、その投光・受光はレンズを利用し細いビームとして構成される(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
赤外線センサによれば、狭い所でも設置することができる反面、被介護者がビームに掛からずすり抜けてしまうことがある。これを改善するため、ビームを複数本にすると、その分、センサの外形が大きくなり、コスト高にもなる。また、被介護者以外の例えば介護者でも検知してしまうほかに、布団やカーテン等の影響を受けやすく、これが原因で誤検出を起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようなことから、離床検知装置(離床センサ)には、非接触で衛生的であり耐久性の問題がない、拘束感やプライバシーの問題がない、被介護者以外を識別できる、小型でありコスト的にも高くない、検知エリアに抜けがない、布団等の動きにより誤動作を起こさない等が求められている。
【0011】
したがって、本発明の課題は、低コストでありながら、被介護者を非接触で検知し得る信頼性が高く耐久性もよい離床検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、ベッド上およびベッド周辺を監視対象空間として、上記監視対象空間内の被介護者を非接触で検知する検知手段と、上記検知手段から出力される検知信号に基づいて上記被介護者の離床の有無を判定する制御部とを備えている離床検知装置において、
上記検知手段として、一列に並べられた複数の受光素子を有するラインセンサとロッドレンズとを含み、上記ロッドレンズが上記ラインセンサの受光面側からその焦点距離分離れた位置で上記ラインセンサと直交する方向に配置されている輝度分布センサが用いられる
とともに、上記ロッドレンズよりも上記監視対象空間側には、上記ラインセンサの長手方向と平行なスリットを有するスリット板が配置されていることを特徴としている。
【0014】
また、上記輝度分布センサは、上記ラインセンサの受光面が上記ベッド
における上記被介護者の昇降側端縁と交差する位置に配置されることが好ましい。
【0015】
より好ましくは、上記輝度分布センサは、上記ラインセンサの受光面が上記ベッドの中央側に向くように上記ベッド
における上記被介護者の昇降側端縁に対して所定角度θ傾けられる。
【0016】
本発明において、上記制御部は、上記被介護者の起床時に上記輝度分布センサより検知信号として出力される光強度信号を第1パターン、上記被介護者が上記ベッド
における上記被介護者の昇降側の端縁付近に存在する時に上記輝度分布センサより出力される光強度信号を第2パターン、上記被介護者が上記ベッドから離床しその周辺に存在する時に上記輝度分布センサより出力される光強度信号を第3パターンとして、上記第1パターン、上記第2パターン、上記第3パターンが時系列的にこの順序で出現したとき、上記被介護者が離床したと判断する。
【0017】
好ましくは、上記制御部は、上記第1パターンの光強度信号のレベルが小レベルから大レベルに推移するとき、上記第1パターンが上記被介護者によるものであると判断する。
【0018】
なお、本発明には、上記ロッドレンズに代えて、上記ロッドレンズが配置される部分にスリットが形成されている第2スリットを用いる態様も含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被介護者の検知手段としてラインセンサとロッドレンズとを含む輝度分布センサを用いたことにより、低コストでありながら、監視対象空間内に居る被介護者を非接触で確実に検知することができる。
【0020】
また、ロッドレンズよりも監視対象空間側にラインセンサの長手方向と平行なスリットを有するスリット板を配置することにより、監視対象空間の垂直方向の幅が狭められるため、布団等の動きによる誤検知を防止できる。
【0021】
また、輝度分布センサを、ラインセンサの受光面がベッドの昇降側端縁と交差する位置に配置することにより、ベッド昇降側端縁での被介護者の検知精度が高められる。
【0022】
さらには、輝度分布センサを、ラインセンサの受光面がベッドの昇降側の端縁と交差する位置に配置したうえで、ラインセンサの受光面がベッドの中央側に向くようにベッドの昇降側端縁に対して所定角度傾けることにより、被介護者のベッド中央部での起床状態をも確実に検知することができる。
【0023】
また、被介護者の起床時に輝度分布センサより出力される光強度信号を第1パターン、被介護者がベッドの昇降側の端縁付近に存在する時に輝度分布センサより出力される光強度信号を第2パターン、被介護者がベッドから離床しその周辺に存在する時に輝度分布センサより出力される光強度信号を第3パターンとして、上記各パターンをあらかじめ記憶し、第1パターン、第2パターン、第3パターンが時系列的にこの順序で出現したとき、被介護者が離床したと判断するようにしたことにより、被介護者以外の例えば介護者や見舞客等が訪れたり、ベッドの脇(例えば、フットボード側)を通過したとしても離床信号が誤って出されることがない、という格別な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の離床検知装置をベッド脇に配置した状態を示す模式図。
【
図2】上記離床検知装置の検知手段として用いられる輝度分布センサの光学系の基本的な構成を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)側面図。
【
図3】上記輝度分布センサに含まれている構成要素を示す分解斜視図。
【
図4】上記輝度分布センサのベッド上の監視領域を示す模式的な側面図。
【
図5】(a)被介護者がベッド上で起床している状態を示す模式図、(b)そのときに輝度分布センサより出力される光強度信号の出現パターン(第1パターン)を示す模式図。
【
図6】(a)被介護者がベッドの昇降側端縁に居る状態を示す模式図、(b)そのときに輝度分布センサより出力される光強度信号の出現パターン(第2パターン)を示す模式図。
【
図7】(a)被介護者がベッドから離れた状態を示す模式図、(b)そのときに輝度分布センサより出力される光強度信号の出現パターン(第3パターン)を示す模式図。
【
図8】ラインセンサ内を仮想的にグループ分けした状態を示す模式図。
【
図9】(a),(b)被介護者がベッドの昇降側端縁に居る場合の上記輝度分布センサによる検知例(2例)を示す模式図。
【
図10】制御部が輝度分布センサによる光強度信号に基づいて離床と判定するアルゴリズムを示す模式図。
【
図11】制御部が被介護者と被介護者以外とを識別するアルゴリズムを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、
図1ないし
図11により、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1に示すように、本発明の離床検知装置1は、基本的な構成として、被介護者Hの動きを検知するため、ベッドBおよびその周辺を検知領域(監視領域)とする検知手段10と、検知手段10から出力される検知信号に基づいて被介護者HのベッドBからの離床の有無を判定する制御部20とを備えている。
【0027】
本発明において、検知手段10には、輝度分布センサ11が用いられる。輝度分布センサ11は、特開2015−163868公報に提案されているが、ここでは、その構成を
図2および
図3により説明する。なお、輝度分布センサ11から出力される検知信号は光強度信号である。
【0028】
この実施形態において、輝度分布センサ11は、ラインセンサ110とロッドレンズ(円柱状のレンズ)120とを備えている。
【0029】
図示しないが、ラインセンサ110には複数個(一例として、2068個)の受光素子が直線状に一列に並べられている。この受光素子の並び方向をラインセンサの長手方向(長さ方向とも言う)とする。
【0030】
図3に示すように、ラインセンサ110は、支持枠111にて支持され、図示しない筐体内にほぼ水平に設置される。なお、ラインセンサとして、例えば、ウェブカメラ(Web Camera)が備える受光素子の一列分が用いられてもよい。
【0031】
ロッドレンズ120は、ラインセンサ110の受光面側から、その焦点距離分離れた位置に配置される。換言すれば、ラインセンサ110は、ロッドレンズ120の焦点距離の位置に配置される。ロッドレンズ120が向く方向は、ラインセンサ110の長手方向と直交して、ほぼ垂直方向である。
【0032】
図3に示すように、ロッドレンズ120は、レンズ支持板121に形成されているスリット122内に嵌められた状態でラインセンサ110とともに図示しない筐体内に収納されるが、ラインセンサ110の長手方向と直交し、かつ、ラインセンサ110の中央部分を通る垂直面内に配置されることが好ましい。
【0033】
図2に示すように、監視対象空間の背面が壁面W(例えばベッドBが置かれている病室の壁)であると想定した場合、ロッドレンズ120のレンズ有効部分の上端を120a,下端を120c,中央部分を120bとして、ラインセンサ110で輝度を計測できる監視対象空間は次の範囲となる。
【0034】
すなわち、
図2(a)において、ラインセンサ110の一端(左端)側に位置する受光素子SRとロッドレンズ120の下端120cを通る直線が壁面Wと交差する点をR1、ラインセンサ110の他端(右端)側に位置する受光素子SLとロッドレンズ120の下端120cを通る直線が壁面Wと交差する点をL1、上記一端側の受光素子SRとロッドレンズ120の上端120aを通る直線が壁面Wと交差する点をR3、上記他端側の受光素子SLとロッドレンズ120の上端120aを通る直線が壁面Wと交差する点をL3として、ラインセンサ110で輝度を計測できる監視対象空間は、点R1,L1,L3,R3,ロッドレンズ120の下端120cおよびロッドレンズ120の上端120aの6点で囲まれる空間である。
【0035】
なお、
図2(a)において、点R2は上記一端側の受光素子SRとロッドレンズ120の中央部分120bを通る直線が壁面Wと交差する点、点L2は上記他端側の受光素子SLとロッドレンズ120の中央部分120bを通る直線が壁面Wと交差する点である。また、点C1,C2,C3は、それぞれ、ラインセンサ110の中央に位置する受光素子SCとロッドレンズ120の下端120c,中央部分120b,上端120aを通る直線が壁面Wと交差する点である。
【0036】
上記監視対象空間内に検知対象である被介護者Hが居ないとして、上記一端側の受光素子SRに入射する光強度は、R1からR2を通ってR3に至る線上の壁面Wで反射される光の強度の和であり、同様に、上記他端側の受光素子SLに入射する光強度は、L1からL2を通ってL3に至る線上の壁面Wで反射される光の強度の和、上記中央の受光素子SCに入射する光強度は、C1からC2を通ってC3に至る線上の壁面Wで反射される光の強度の和となる。
【0037】
輝度分布センサ11は、ラインセンサ110に入射される光の強度にて被介護者Hの在・不在を検知するが、外光等によって誤検知する場合がある。また、
図4に示すように、輝度分布センサ11は、通常、ヘッドボードHB側に配置されるが、被介護者Hの特に足元側で例えば布団Fが跳ね上げられた場合、それを被介護者Hが起床したと誤検知するおそれがある。
【0038】
そこで、この実施形態に係る輝度分布センサ11は、
図3に示すように、ラインセンサ110およびロッドレンズ120のほかに、光学フィルタ130とスリット板140をさらに備えている。
【0039】
この実施形態において、外光等による誤検知を防止するため、光学フィルタ130には、可視光を遮光し、赤外光のみを通過させる赤外フィルタが用いられているが、光学フィルタ130は、赤外フィルタ以外の光学フィルタであってもよい。
【0040】
スリット板140には、ラインセンサ110の長手方向と平行に配向されるスリット141が形成されており、これにより、監視対象空間の垂直方向の範囲(
図4で梨地部分の範囲)が狭められ、布団Fによる誤検知が防止される。
【0041】
スリット141の幅は、布団Fの動きを拾わないように任意に決められるが、例えば、ロッドレンズ120の長さが15mmの場合、スリット141の幅を1mmにすると、監視対象空間の垂直方向の範囲の約93.4%程度(約1/15程度に相当)が狭められる。
【0042】
図示しないが、輝度分布センサ11は、暗所でも被介護者Hを検知可能とするため、監視対象空間の壁面Wに向けて赤外線を投光する照明手段を備えている。なお、
図3中の参照符号150は光学フィルタ130とレンズ支持板121との間に介装されるスペーサであり、その厚さは任意に決められてよい。
【0043】
次に、
図5ないし
図7により、被介護者Hが居る場所に応じてラインセンサ110にて検知される光強度信号から得られる特徴量の現れ方について説明する。なお、光強度信号とは、ラインセンサ110の受光素子から得られるリアルタイムの輝度情報であり、特徴量とは、リアルタイムの輝度情報と、ある時点(基準)の輝度との差分である。
【0044】
なお、ラインセンサ110に設けられている受光素子は、
図8に示すように、ベッドB上を受け持つ第1グループG1、ベッドBの昇降側端縁(以下、ベッド端縁と略記することがある)Bedgを受け持つ第2グループG2およびベッド脇の周辺部Boutを受け持つ第3グループG3の3つのグループに仮想的に分けられているものとする。このグループ分けは、輝度分布センサ11の設置時に行われる。
【0045】
また、制御部20は、ラインセンサ110から出力される光強度信号(輝度の初期値:基準時における各受光素子によって検知される光強度信号)を記憶する図示しないメモリを備えているが、説明の便宜上、そのメモリ内は、第1グループG1に対応する第1メモリ領域、第2グループG2に対応する第2メモリ領域、第3グループG3に対応する第3メモリ領域に分けられているものとする。
【0046】
まず、
図5(a)に示すように、被介護者HがベッドB上で起き上がると、その動きが第1グループG1に含まれる受光素子によって検知され、制御部20では、
図5(b)に模式的に示すように、その光強度信号を第1メモリ領域に特徴量として表したパターン(第1パターンP1)を元にステート情報として記憶する。
【0047】
次に、
図6(a)に示すように、被介護者Hがベッド端縁Bedgに移動すると、その動きが第2グループG2に含まれる受光素子によって検知され、制御部20では、
図6(b)に模式的に示すように、その光強度信号を第2メモリ領域に特徴量として表したパターン(第2パターンP2)を元にステート情報として記憶する。
【0048】
次に、
図7(a)に示すように、被介護者Hがベッド端縁Bedgから周辺部Boutに移動すると、その動きが第3グループG3に含まれる受光素子によって検知され、制御部20では、
図7(b)に模式的に示すように、その光強度信号を第3メモリ領域に特徴量として表したパターン(第3パターンP3)を元にステート情報として記憶する。
【0049】
このように、被介護者Hがベッドから起き上がって離床する場合には、その被介護者Hの離床動作の時系列にしたがって、第1パターンP1、第2パターンP2、第3パターンP3がこの順序で現れることになる。
【0050】
ところで、輝度分布センサ11を、
図9(a)に示すように、へッドボートHB側の中央部分に設置すると、被介護者Hがベッド端縁BedgでAの位置に居る場合と、Bの位置に居る場合とでは、同じベッド端縁Bedgに居ながら、異なる受光素子から光強度信号が出力されることになる。
【0051】
すなわち、Aの位置に居る場合には受光素子Saから光強度信号が出力され、Bの位置に居る場合には受光素子Sbから光強度信号が出力されることになるため、輝度分布センサ11の設置時にラインセンサ110をグループ分けする際、ベッド端縁Bedgを受け持つ第2グループG2の範囲を決めるのが困難であり、誤検知を起こすことがある。
【0052】
このような問題を回避するには、
図9(b)に示すように、ラインセンサ110の受光面がベッド端縁Bedgと交差するように輝度分布センサ11を配置するとよい。これによれば、被介護者Hがベッド端縁Bedgに居れば、A位置、B位置に関わらずほぼ同じ受光素子Scomから光強度信号が出力されることになる。
【0053】
ただし、ラインセンサ110の受光面をベッド端縁Bedgと直交するように配置すると、ベッドBの中央部分の監視領域が狭くなるため、
図9(b)に示すように、ラインセンサ110の受光面がベッドBの中央部分に向くように、ラインセンサ110をベッド端縁Bedgに対して所定角度θ(図示の例ではθ=30度)傾けるようにするとよい。
【0054】
なお、ベッドBのヘッドボードHB側に空間がある場合には、
図9(b)中に鎖線で示すように、ラインセンサ110をベッド端縁Bedgの延長線上に配置してもよく、これによってベッドBの中央部分の監視領域が広がる場合には、ラインセンサ110を殊更傾ける必要はない。
【0055】
次に、
図10(a)〜(e)により、この離床検知装置1の動作について説明する。まず、
図10(a)に示すように、被介護者HがベッドB上で寝ている就寝中の場合には、ラインセンサ110のいずれの受光素子からも特徴量として表されるパターンは現れない。
【0056】
次に、
図10(b)に示すように、起床として被介護者HがベッドB上で起き上がると、ラインセンサ110の第1グループG1に含まれている受光素子から光強度信号が出力され、これにより第1パターンP1が現れる。第1パターンP1は、被介護者Hの上半身の起き上がり(起床)の進行に伴って小さなレベルの山形パターンから大きなレベルの山形パターンに成長していく。
【0057】
次に、
図10(c)に示すように、被介護者Hがベッド端縁Bedgに移動すると、ラインセンサ110の第2グループG2に含まれている受光素子から光強度信号が出力され、これにより第2パターンP2が現れる。このベッド端縁Bedgへの移動は、通常、上半身を起立した状態で行われるため、第2パターンP2は、第1パターンP1とほぼ同じレベルの山形パターンとして現れる。
【0058】
次に、
図10(d)に示すように、被介護者Hがベッド端縁Bedgから離れ、周辺部Boutに移動すると、ラインセンサ110の第3グループG3に含まれている受光素子から光強度信号が出力され、これにより第3パターンP3が現れる。
【0059】
制御部20は、このように3つのパターンが第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3の順で現れると、被介護者Hが離床したと判定して警報発生部21から例えばナースステーションや介護者等に警報を発する。
【0060】
この警報は、例えば図示しないリセット(解除)ボタンが押されない限り、
図10(e)に示すように、輝度分布センサ11の監視領域から被介護者Hが居なくなっても続けられる。なお、警報を発するタイミングや発報継続時間等は制御部に書き込まれるソフトウェアで適宜変更することができる。
【0061】
次に、
図11により、被介護者Hと、被介護者以外(介護者、医療従事者、見舞客等)との識別について説明する。
図11(a)に「離床」として示すように、被介護者HがベッドB上で起き上がってベッド端縁Bedgを経て周辺部Boutに移動する場合には、
図11(b)に示し上記したように、3つのパターンが第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3の順で現れる。
【0062】
これに対して、
図11(a)に「通行」として示すように、ベッドBのフットボード(足板)FB側を被介護者以外である例えば介護者が上記被介護者Hの離床方向と同方向に移動した場合にも、
図11(c)に示すように、3つのパターンが第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3の順で現れるが、第1パターンP1の出現の仕方で被介護者と介護者とを識別することができる。
【0063】
すなわち、被介護者Hの場合、上記したように、第1パターンP1はレベルが小さな山形パターンからレベルが大きな山形パターンに成長していくが、介護者の場合には、第1パターンP1はいきなりレベルが大きな山形パターンとして出現することになるため、被介護者Hと介護者とを識別することができる。
【0064】
上記実施形態において、輝度分布センサ11はロッドレンズ12を備えているが、レンズ支持板121からロッドレンズ12を外し、ロッドレンズ12に代えてレンズ支持板121に形成されているスリット122を通して監視対象空間内の被介護者を検知するようにしてもよく、このような態様も本発明に含まれる。