特許第6764903号(P6764903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6764903インサフレーション装置および方法ならびにそのためのガス発生カートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6764903
(24)【登録日】2020年9月16日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】インサフレーション装置および方法ならびにそのためのガス発生カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20200928BHJP
【FI】
   A61B17/00
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-129429(P2018-129429)
(22)【出願日】2018年7月6日
(62)【分割の表示】特願2015-553674(P2015-553674)の分割
【原出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2018-196734(P2018-196734A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】61/752,843
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】シャハル、ドール、ジドン
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0171466(US,A1)
【文献】 特開2005−000318(JP,A)
【文献】 特開昭63−188324(JP,A)
【文献】 特開平05−207970(JP,A)
【文献】 特開2010−188329(JP,A)
【文献】 特開2006−034613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的処置において使用するためのガスを発生させるように構成されたガス発生器を備え、
前記ガス発生器が、
反応物質を収容しているか、あるいは前記反応物質を受け入れることができるように構成された反応チャンバと、
少なくとも1つの電極を含むアクティベータであって、使用中、前記少なくとも1つの電極に印加された電荷が、前記ガスを発生させるための反応を活性化させる、前記アクティベータと、
を有するインサフレーション装置。
【請求項2】
筐体を備え、前記ガス発生器が、少なくとも部分的に、前記筐体上または前記筐体内に取り付けられるか又は設けられるように配置されている、請求項1に記載のインサフレーション装置。
【請求項3】
患者にガスを供給するためのガス出口を含む、請求項1または2に記載のインサフレーション装置。
【請求項4】
前記ガス発生器の少なくとも一部及び/又は前記ガス発生器により発生させたガスを加熱するための1つ以上のヒータを備えた、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項5】
前記アクティベータは、前記反応チャンバの少なくとも一部の内部に設けられている、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項6】
前記反応チャンバが複数のサブチャンバを含み、前記サブチャンバは、反応物質を収容しているか又は受け入れることができるように構成されている、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項7】
前記アクティベータは、前記電極あるいは少なくともその1つに電源を電気的に接続することができるように構成された可動ブロックを有する、請求項6に記載のインサフレーション装置。
【請求項8】
前記反応物質が正に帯電した炭酸ガス吸収アミン溶液を含み、前記少なくとも1つの電極が負に帯電され、炭酸ガス吸収アミンの分解によって炭酸ガスを放出させる、請求項7に記載のインサフレーション装置。
【請求項9】
前記アクティベータが、前記ガス発生器の一部における活性化を選択的に制御するための切替回路を有する、請求項1からのうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項10】
前記ガス発生器の少なくとも一部が、前記インサフレーション装置のうちの前記ガス発生器の前記少なくとも一部を除く部分に対して取り外し可能に取り付け可能である、請求項1からのうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項11】
取り外し可能な前記ガス発生器の前記少なくとも一部がカートリッジとして構成されている、請求項10に記載のインサフレーション装置。
【請求項12】
前記ガス発生器が、ガス発生材料を前記ガス発生器から除去すること及び/又は前記ガス発生器内に導入することを可能にするために1つ以上の密封可能に閉鎖可能なポートを備えている、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項13】
発生したガスを調整するための1つ以上のガスプロセッサを備えた、請求項1から12のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項14】
前記ガスプロセッサの少なくとも1つのサブセットが、前記ガス発生器を収容する筐体の内側に配置されている、請求項13に記載のインサフレーション装置。
【請求項15】
1つ以上の添加剤を前記ガスに供給するための1つ以上のポートを備えた、請求項1から14のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項16】
前記ガス発生器及び/又は発生したガスのパラメータを監視するために、1つ以上のセンサを備えているか及び/又はそのようなセンサと通信可能に結合可能である、請求項1から15のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項17】
1つ以上のプロセッサを含むか及び/又は1つ以上のプロセッサに通信可能に結合可能であり、前記1つ以上のプロセッサは、センサおよびユーザまたは他の入力のいずれか1つ以上の信号を受信して、当該信号に応答して装置の動作を制御するように構成されている、請求項1から16のうちのいずれか一項に記載のインサフレーション装置。
【請求項18】
前記1つ以上のプロセッサは、ガスの発生の制御及び/又は発生したガスを調整するための1つ以上の調整要素の制御を行うように構成されている、請求項17に記載のインサフレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサフレーション装置および方法ならびにそのためのガス発生カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置中にガスを患者の体腔に送達して体腔を膨張させるか、少なくとも体腔の倒壊に抵抗するように構成されたインサフレータを含むインサフレーション装置を提供することが知られている。このような医療処置の例は腹腔鏡下および内視鏡下での処置であるが、インサフレータは必要に応じて他のいずれの種類の医療処置でも使用されてよい。インサフレーション装置はまた、「直視下」での外科的処置にも使用されてよい。例えば、インサフレータは、体腔を充満させて、余剰のガスを開口から外部へと溢れさせるようにするために使用されても、または識別可能な空洞がない場合に、露出した体内部分にガスの層を提供するために使用されてもよい。これらの処置に関して、ガスは、空洞を膨張させる役割を果たすというより、加熱され、加湿され、滅菌されたガスの層で露出した体内部分を覆うことによって乾燥と感染を防止または軽減させるために使用可能である。本明細書全体を通じて、「インサフレーション」への言及はそのような用途のすべてを含み、これには鍵穴手術およびより切開部の大きい処置の両方が含まれる。
【0003】
内視鏡下での処置によれば、内視鏡等を自然の開口または小さい穿孔部から挿入して体腔の画像を生成することにより、体腔を可視化することができる。腹腔鏡下での処置では通常、手術器具を自然の開口または小さい穿孔部から挿入して、体腔内で外科的処置を実行する。ある場合には、当初の内視鏡下処置を実行して体腔を評価し、次に、体腔に手術を施すために後続の腹腔鏡下処置を行う。このような処置は、例えば腹腔に対して、または胸腔鏡検査、結腸内視鏡検査、胃カメラ検査、もしくは気管支鏡検査中に広く用いられている。
【0004】
通常は炭酸ガスであるガスを体腔内に送達するインサフレータを使って体腔を膨張させ、または維持することが望ましい。インサフレータは通常、調節可能な絞り圧力調整器とガス流量コントローラと、を含む。インサフレータは、離れた場所にある加圧ガス源に接続され、離れた場所にあるガス源からのガスの圧力を、通常、装置に接続され、体腔内に挿入されるカニューレまたは針を介して体腔内に送出するのに適したレベルまで制御するように動作する。
【0005】
ガス温度コントローラ、および/または水分コントローラを含むインサフレーションシステムを提供することが提案されている。体内温度は通常、約37℃であり、インサフレータから送達されるガスの温度を平常時の体温と密接にマッチさせることが望ましい可能性がある。同様に、送達されるガスは比較的乾燥してことがありえ、これは例えば細胞死および細胞接着を含む体腔への損傷の原因となりうる。したがって、水分コントローラは、体腔に入る前にガスストリームに水蒸気を供給するためにガス流路内に配置された加湿器を含んでいてもよい。
【0006】
Fisher&Paykel Healthcare Limitedの米国特許第8,206,337号明細書は、例えば病院内のガス供給システムを介して供給されうるような、離れた場所にある加圧ガス源に接続されるべく構成されたインサフレータを含むインサフレーション装置を開示している。このインサフレータは、流体受容容器と流体を加熱して流体蒸気を生成する流体加熱器とを含む加湿器へとチューブを介してガスを供給する。加湿されたガスは、同じく加熱されてもよい別のチューブを介して患者に送達される。1つの例において、上記の構成要素は、適当なチューブおよび/または電気接続を介して相互に接続される別の筐体内に配置される。他の例では、インサフレータと加湿器は共通の筐体内に配置されるが、これは依然として適当なチューブを介して離れた場所にあるガス供給源に接続する必要がある。したがって、この装置は患者に送達されるガスの温度と湿度の制御には役立つものの、離れた場所にある加圧ガス供給源は依然として必要である。
【0007】
インサフレーション装置は通常、病院等または救急車の中で医療従事者により使用される。これはまた、現場で、例えば戦闘地域または仮設の医療センターで使用されうる。先行技術の装置はすべて、離れた場所にある適当な加圧ガス源との接続を必要とする。したがって、これには、そのようなガス源と、装置がそのガス源に比較的近接していることの両方が必要となる。これはインサフレーション装置の使用の範囲と簡易性を制限する。さらに、適当な配管等を介した接続は扱い難い場合がありえ、緊急時には配管が使用中に偶発的に強打され、または外れうるという危険を呈する可能性がある。場合により、患者をある場所から別の場所に移すことが必要となりうる。たとえ同じ建物内であっても、離れた場所にあるガス源に物理的に接続する必要性により、これが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点の1つまたは複数を克服し、または少なくとも改善するか、あるいは少なくとも公衆または業界に有益な選択肢を提供するインサフレーション装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、以下の説明から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、第1の態様において、本発明は広い意味において、筐体と、少なくとも部分的に筐体上またはその中に取り付けられるように構成されたガス発生器と、を含むインサフレーション装置にあると言ってもよい。筐体は、ガスを患者に送達するためのガス出口と、ガスを貯蔵し、かつガスをガス出口へと送るように構成されたガス貯蔵チャンバと、を含む。ガス発生器は、ガス発生カートリッジを受けるようになされた筐体上のカートリッジマウントを含み、ガス発生カートリッジはガス発生材料を収容し、および/またはそれを受けるように構成されている。カートリッジ、カートリッジマウント、およびガス貯蔵チャンバは、使用中、装置が動作モードにあるときに、カートリッジがカートリッジマウントに装填されるとカートリッジがガス貯蔵チャンバと流体連通するように構成され、ガスはカートリッジ内のガス発生材料から発生されて、ガス貯蔵チャンバへと送られる。
【0011】
好ましくは、装置はカートリッジを含む。
【0012】
好ましくは、カートリッジは取り外し可能である。偶発的に外れるのを防止し、および/またはカートリッジを化学反応により生成される圧力に対抗して所定の位置に保持するためにロッキング手段が設けられてもよい。
【0013】
動作モードは、カートリッジをカートリッジマウントに装填すると自動的に開始してもよい。他の例では、動作モードは選択的に開始されてもよい。
【0014】
装置の動作を制御するためにコントローラが設けられてもよい。コントローラは、動作モードの開始と終了とを制御するように動作してもよい。コントローラは、装置の他の主要機能を制御するように構成されてもよい。コントローラは、筐体上に設けられたユーザインタフェースを含んでいてもよい。ユーザインタフェースはグラフィックディスプレイを含んでいてもよく、これは例えばタッチスクリーンディスプレイであってもよい。
【0015】
好ましくは、閉鎖手段がカートリッジに設けられ、かつガス発生材料をカートリッジ内に封入するように構成され、装置は、装置が動作モードにあるときに、閉鎖手段を少なくとも部分的に開放するように構成される。閉鎖手段を開放することによってガス発生が開始されてもよい。
【0016】
閉鎖手段は所定の脆弱さの領域を含んでいてもよく、装置は、装置が動作モードにあるときに所定の脆弱さの領域を穿孔して閉鎖手段を開放し、前記流体連通を提供し、および発生ガスをガス貯蔵チャンバへと送ることができるように構成された穿孔手段を含む。
【0017】
穿孔手段は、例えばカートリッジがカートリッジマウントに十分に押し付けられる等、カートリッジがカートリッジマウントに装填されたときに所定の脆弱さの領域を自動的に穿孔するように構成されていてもよい。他の例では、穿孔手段は、所定の、またはオペレータが選択した時点で所定の脆弱さの領域を穿孔するように選択的に制御可能であってもよい。
【0018】
穿孔手段の代わりに、装置は、閉鎖手段の前後で、閉鎖手段を破裂または移動させて開口を提供するのに十分な圧力差を発生させるように構成されてもよい。例えば、ガス発生カートリッジ内で、ガスを放出してガス発生カートリッジ内部に高圧を生じさせるような反応がトリガされてもよい。それに加えて、またはその代わりに、ガス発生カートリッジの下流に設けられた圧縮器がカートリッジの外部に低圧領域を作ってもよい。
【0019】
閉鎖手段は、閉位置と開位置との間で移動可能に構成された移動可能バリア、キャップ、または弁を含んでいてもよい。移動可能バリア、キャップ、または弁は、カートリッジが装填されると開位置に移動されるか、またはその後、オペレータによる入力もしくはコントローラの制御信号に応答して開放されてもよい。ここでもまた、開示の前後の圧力差の生成が開口を提供するために利用されてもよい。
【0020】
さらに、閉鎖手段の組み合わせが提供されてもよい。例えば、薄膜またはシート状材料が、移動可能バリア、キャップ、または弁がその内部に設置されている容器の開口を閉鎖してもよい。
【0021】
さらにまた、閉鎖手段の少なくとも一部は、カートリッジの装填前にオペレータにより取り外し可能であってもよい。
【0022】
カートリッジマウントは好ましくは、筐体内の空洞を含み、この空洞には筐体の外側の開口が設けられ、使用中、カートリッジはこの開口から空洞へと挿入される。
【0023】
カートリッジとカートリッジマウントは、係合してカートリッジマウントにカートリッジをロックするように構成されたそれぞれのロッキング構造を含んでいてもよい。ロッキング構造は、例えばスナップフィット型構造またはばねクリップを含んでいてもよく、好ましくはカートリッジをマウントから意図的に取り外すことができるように構成され、すなわち、ロッキング構造は好ましくは解除可能かつロック可能である。ガス発生中に生成される圧力上昇によって、ロッキング構造は、この圧力上昇により生成されるものを超える十分な力でカートリッジをマウントに保持するべきである。
【0024】
カートリッジマウントの空洞は少なくとも2つの対向壁間に画定されてもよく、カートリッジは対向壁間に受けられ、かつそれらに対して配置されて、カートリッジマウントに対するカートリッジの向きを固定する。1つの例において、空洞は長方形であってもよい。1つの例において、空洞は第1の対の対向壁、すなわち側壁と、第2の対の対向壁、すなわち上壁と下壁を含んでいてもよい。空洞とカートリッジは、それを一方向にしか装填できないように構成されていてもよい。例えば、カートリッジの溝が、それが装填されたときに空洞のスロットとスライド可能に係合してもよい(またはその逆でもよい)。
【0025】
カートリッジマウントは、カートリッジとガス貯蔵チャンバとの間にガス流路を形成するマニホルドを含んでいてもよく、このマニホルドは、カートリッジがカートリッジマウントに装填されたときに、カートリッジとガス貯蔵容器との中間にある。マニホルドは、マニホルドを通って流れるガスを混合するように構成されていてもよい。マニホルドには、ガスの混合を促進するように構成されたガス流路が設けられてもよい。
【0026】
他の例において、カートリッジマウントは、カートリッジが、カートリッジマウントに装填されたときに、直接、ガス貯蔵容器との流体接続を形成するように構成される。
【0027】
カートリッジマウントとガス貯蔵チャンバとには、ガス貯蔵チャンバをカートリッジから分離して、ガス貯蔵チャンバからガス出口へのガスの流れに影響を与えることなくカートリッジをカートリッジマウントから取り外すことができるように構成されたアイソレータが設けられていてもよい。それゆえ、すべての発生ガスがカートリッジからガス貯蔵チャンバへと放出されると、カートリッジが取り外されてもよく、その後、選択された時点でガス貯蔵チャンバ内に貯蔵されたガスが出口から放出される。あるいは、カートリッジはガス発生の途中で取り外し可能であることも想定される。カートリッジを取り外すと、閉鎖手段が自動的に閉じられて、ガス発生が停止されるか、または少なくともカートリッジからのガスの放出が防止される。
【0028】
カートリッジ内のガス発生材料は、閉鎖手段が開放している、または部分的に開放しているときに外気に曝されると、ガスの発生を開始するように構成されていてもよい。カートリッジ内のガス発生材料は、カートリッジ内の他のガス発生材料に曝されると、ガスの発生を開始するように構成されてもよい。ある程度までガス発生材料の反応速度、およびそれゆえガス発生速度を制御するためのヒータが設けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態に関して、温度を上げるために加熱することにより、反応速度は早くなる。また、確実にガスが所望の温度で送達されるようにするためにヒータが設けられてもよい。このようなヒータは、カートリッジ、マニホルド、またはガス貯蔵チャンバの中、またはガス流路に沿った別の箇所でガスと熱連通した状態で設けられてもよい。
【0029】
1つの例において、ガス貯蔵チャンバを加熱するためにチャンバヒータが設けられる。チャンバヒータは、コントローラにより、カートリッジからのガスの利用可能性に応じて生成される熱を変化させるように制御されてもよい。コントローラは、チャンバヒータを自動的に制御するように構成されてもよく、または使用者がチャンバヒータを選択的に制御できるように構成されてもよい。チャンバヒータは、ガスチャンバの内壁または外壁の少なくとも一方に配置されたヒータコイルを含んでいてもよい。あるいは、チャンバヒータはガスチャンバに隣接する加熱板を含んでいてもよい。チャンバヒータには、筐体内に配置された内部電源、例えばバッテリから電源供給されてもよい。バッテリは充電可能であってもよく、この例においては、適当なAC/DC変換器もまた筐体内に設けられてもよい。
【0030】
ガスチャンバは断熱手段を含んでいてもよく、これはこの装置中の、ガスを貯蔵し、および/またはガスを患者に輸送するために使用される他のあらゆる要素も同様でありうる。
【0031】
ガス出口を通るガスの流量を制御するために、ガス流量制御弁がガスチャンバとガス出口との間に設けられてもよい。ガス流量制御弁は、ガス流速およびガス圧力の少なくとも一方を変化させるために、コントローラを介して自動的または手動で制御されてもよい。ガス流量制御弁はさらに、所定のガス圧を超えた場合にガスを換気するように構成された圧力逃がし弁として機能してもよい。
【0032】
ガスの成分を混合するように構成された受動型混合装置が、ガス流路内に設けられてもよい。
【0033】
ガスがガス出口へと送られる前にガスを加湿するように構成された加湿器がガス流路内に設けられてもよい。加湿器は、コントローラによって制御されてもよい。コントローラは、加熱器を自動的に、すなわちオペレータの介入なしに制御して、確実に所定の湿度を有するガスが出口へと送られるように動作してもよい。その代わりに、またはそれに加えて、コントローラは、必要に応じて、出口へと送られるガスの湿度をオペレータが変更できるように選択的に加湿器を制御するべく動作してもよい。
【0034】
加湿器は、流体受容容器と、流体受容容器内の流体を加熱するように構成された受容容器ヒータと、を含む能動型加湿器を含んでいてもよい。流体受容容器は筐体に取り外し可能に取り付けられてもよく、それによって、例えば受容容器を取り外して再充填することができる。加湿器はあるいは、外気からガスへと水分を移動させるように構成された熱湿交換器を含む受動型加湿器であってもよい。加湿器は、ガス貯蔵チャンバに統合されてもよい。
【0035】
凝縮器がガス流路内に設けられてもよい。凝縮器は、特に加湿器が相対湿度100%を目指すように設定されている場合に、生成ガス内の湿度レベルがより低いこと(すなわち、水分含有量の一部を除去すること)が望まれるときに使用されてもよい。凝縮器はそれに加えて、またはその代わりに、ガスの湿度を、それが貯蔵チャンバ内に貯蔵される前に低下させるために使用されてもよい。好ましい実施形態は、水または水溶液中でのガスの発生に関しているため、ガスは高い湿度を有する可能性があり、ある用途にとってはその湿度を低下させるのが好ましくてもよいことが理解される。
【0036】
蒸発器がガス流路内に設けられてもよい。蒸発器は、ガス出口へと送られるガス中の全水分が確実に蒸気の形態であるようにするために使用されてもよい。
【0037】
本発明は、水を通じて湿度を導入することに限定されない。水のほかに、または水の代わりに、その他の液体または添加物が使用されてもよい。
【0038】
ガス出口に追加のガス流量を提供するために、フローエンハンサがガス流路内に設けられてもよい。フローエンハンサは、圧縮器または、ガス流路内でガスを吹き送るように構成されたブロワを含んでいても、または例えば追加のガス源を含んでいてもよい。追加のガス源は筐体の内部にあっても、または筐体に接続されるように構成される、離れた場所にあるガス源を含んでいてもよい。フローエンハンサはまた、カートリッジ内の圧力を制御するか、ガスをガス貯蔵チャンバ内へと圧縮するためにも使用可能である。特定の実施形態によれば、カートリッジ内の圧力を下げることはまた、カートリッジ内の液体を蒸発させて、ガスの湿度を高めるのを支援するため、またはカートリッジの開放を支援するために有益となりうる。
【0039】
添加物をガスストリーム内に挿入できるようにするための1つまたは複数の追加の入口がガス流路に沿って設けられてもよい。
【0040】
好ましくは、装置は運搬可能である。より好ましくは、装置は、カートリッジがそれに装填されたときでも運搬可能である。
【0041】
インサフレーション装置のすべての、または実質的にすべての要素を1つの筐体内に設けることによって(ただし、カートリッジは取り外し可能であってもよい)、装置の運搬可能性が改善され、その一般的外観もまた同様である。さらに、外部の相互接続チューブが不要であるため(または少なくとも、より少なくて済むため)、装置によってもたらされる障害または潜在的危険が減少する。
【0042】
第2の態様によれば、本発明は広い意味において、インサフレーション装置のカートリッジマウントに装填するためのガス発生カートリッジにあると言ってもよい。カートリッジはガス発生材料を収容し、かつカートリッジがカートリッジマウントに装填されたときにインサフレーション装置との流体接続部を形成するようになされた出口を含む。
【0043】
好ましくは、カートリッジは、出口を閉鎖して、ガス発生材料をカートリッジ内に封入するために設けられた閉鎖手段を含む。
【0044】
好ましくは、閉鎖手段は、使用中に少なくとも部分的に開放されて、ガス発生材料が反応してガスを発生させ、このガスが出口を介してカートリッジから流れるようになされている。あるいは、開放は、別の反応チャンバに流体接続されるように構成されてもよく、カートリッジの開放によって、内容物の少なくとも一部がチャンバに入ることができ、したがって、ガスがチャンバ内で発生される。このような構成はまた、第1の態様のインサフレーション装置にも組み込まれてよい。
【0045】
好ましくは、閉鎖手段は、カートリッジがインサフレーション装置の上に、またはその中に装填されたときに少なくとも部分的に開放されるようになされている。
【0046】
好ましくは、カートリッジは、ガス発生のための反応に使用される少なくとも1種の材料を収容する。より好ましくは、カートリッジは2種以上の材料を収容する。1つの例において、カートリッジは、少なくとも1種の固体材料と少なくとも1種の液体材料を収容する。1つの例において、材料は炭酸アルミニウムと水を含む。
【0047】
カートリッジは、カートリッジ内の材料が外気に曝されたときにガスが発生されるように構成されていてもよい。あるいは、2種以上の材料が提供される場合、それらの材料が相互に曝されたときにガスが発生されてもよい。
【0048】
カートリッジは、好ましくは炭酸ガスを発生させるようになされている。
【0049】
閉鎖手段は、接続部に移動可能または取り外し可能に取り付けられた移動可能バリア、シール、カートリッジ内に収容された2種以上の材料間の壁、および弁のうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0050】
閉鎖手段は、穿刺されて閉鎖手段を開放し、ガス発生材料が反応してガスを発生させるように構成されてもよい。閉鎖手段は、穿刺されるように構成された所定の脆弱さの領域を含んでいてもよい。閉鎖手段は、この例においては、使い捨てであってもよい。
【0051】
閉鎖手段は、移動または弾性的に変形されて閉鎖手段を開放し、ガス発生材料が反応してガスを発生させるように構成されてもよい。閉鎖手段は、この例において、閉鎖手段が再使用可能であり、それによってカートリッジに新しいガス発生材料を再充填できるという点で、複数回使用されうる。このような再充填は、出口を介して、またはカートリッジへの別の入口を介して実現されてもよい。あるいは、カートリッジの他のいずれかの部分が、取り外しまたは分解されて、その内部にアクセスして残留物質を取り除き、および/または新しいガス発生材料を挿入できるように構成されてもよい。
【0052】
閉鎖手段の開放および/または閉鎖は、コントローラによって制御されるように構成されてもよい。
【0053】
カートリッジは、ガス発生速度が閉鎖手段を使って、すなわち、閉鎖手段が開放される程度に応じて制御され、および/または調節可能であるように構成されてもよい。それゆえ、閉鎖手段を比較的小さく開放することによって、材料が曝される程度は比較的少なく、その結果として実現されるガス発生速度もそれに比例して比較的遅い。あるいは、閉鎖手段を比較的大きく開放することによって、材料が曝される程度は比較的多く、その結果として実現されるガス発生速度もそれに比例して比較的速い。
【0054】
カートリッジは前述のように再使用可能/再充填可能であってもよいが、それはまた使い捨てであってもよい(すなわち、1回使用またはガス発生材料が消耗するまでの使用のために構成される)。
【0055】
カートリッジは、加熱してガス発生速度を変化させるように構成されていてもよい。1つの例において、カートリッジにはカートリッジヒータが設けられてもよい。他の例では、カートリッジヒータがカートリッジマウント上に設けられてもよい。
【0056】
好ましくは、カートリッジは、第1の態様の装置の上に、またはその中に装填されるようになされている。
【0057】
第3の態様によれば、外科的処置において使用するためのガスを発生させるように構成されたガス発生器を含むインサフレーション装置が提供される。
【0058】
好ましくは、インサフレーション装置は筐体を含み、ガス発生器が、少なくとも部分的に、筐体上、またはその中に取り付けられ、または設置されるように構成され、インサフレーション装置はガスを患者に送達するためのガス出口を含む。
【0059】
好ましくは、ガス発生器は反応チャンバを含み、またはそれを画定する。
【0060】
好ましくは、インサフレーション装置は、使用中に反応チャンバ内部でガスを発生させる反応を活性化させるためのアクティベータをさらに含む。
【0061】
1つの実施形態によれば、装置は、反応チャンバ内で第1の反応物質を第2の反応物質と接触させて、反応を促進または開始させるように構成される。例えば、反応チャンバは第1の反応物質を収容していてもよく、アクティベータは第2の反応物質を反応チャンバ内に導入し、および/または反応チャンバ内で反応物質の一方または他方または両方を移動させて、反応物質を相互に接触させてもよい。あるいは、反応チャンバは第2の反応物質を収容していてもよく、アクティベータは第1の反応物質を反応チャンバ内に導入してもよい。
【0062】
本明細書の説明は概して、ガスを発生させるために2種の反応物質が使用されることに関しているが、本発明はこれに限定されない。1種の反応物質または追加の反応物質も、必要または選好に応じて使用されてよい。
【0063】
第1の反応物質は、炭酸水素アルミニウムまたは重炭酸ナトリウム等の炭酸塩材料を含んでいてもよく、第2の反応物質は水および/または酸を含んでいてもよい(またはその逆でもよい)。当然のことながら、このような構成は炭酸ガスを産生する。炭酸ガスを産生し、またはその他のガスを産生するためにその他の反応物質が使用されてもよいが、反応の種類によっては装置の何らかの適応が必要となりうる。
【0064】
1つの実施形態によれば、第1の反応物質は、少なくとも1つの塊を画定する、実質的に固体であってもよい。例えば、第1の反応物質は、1つまたは複数の長い塊またはロッドの形態であってもよい。塊の表面は、塊の表面積を増大させるように、したがって第2の反応物質と接触させられたときに反応速度を高める可能性があるような形状とされてもよい。
【0065】
それに加えて、またはその代わりに、第1の反応物質の少なくとも一部は粉末または微粒子の形態で提供されても、または少なくとも1つまたは複数の、より小さい塊を含んでいてもよい。第1の反応物質の少なくとも一部をこのように提供することにより、第1の反応物質のうち、第2の反応物質と接触させることのできる表面積が増大し、ここでもまた、反応速度を高める可能性がある。これは、反応の初期段階で、そうでなければ実現可能であろう時間より短時間でのガスの十分な生成を促進するという点で特に有利でありうる。
【0066】
装置は、反応チャンバ内の内容物を加熱し、および/または第1の反応物質および/または第2の反応物質を加熱してから、反応物質が反応チャンバ内に供給されるようにする1つまたは複数のヒータを含んでいてもよい。反応速度をある程度まで制御して、少なくともいくつかの実施形態に関しては、特に追加の熱を供給することによって反応速度を加速させるために、制御された熱の供給が使用されてもよい。
【0067】
ヒータは、反応チャンバ内および/または反応チャンバの壁内に、および/またはそれ以外に反応チャンバと熱連通するように提供される1つまたは複数の加熱素子を含んでいてもよい。例えば、ヒータコイルは少なくとも部分的に反応チャンバを取り囲んでもよい。反応物質が固体の形態で提供される場合、前記反応物質は、投入電熱器と同様に、加熱素子上に設置またはコーティングされてもよい。
【0068】
反応チャンバは複数のサブチャンバを含んでいてもよく、この場合、アクティベータは前記サブチャンバのうちのいずれか1つまたは複数の中で反応物質を接触させるように構成されてもよい。当然のことながら、同様に構成されたサブチャンバをより多く使用することにより、反応チャンバ内の反応速度が上昇する。サブチャンバは、反応チャンバを複数の、より小さい反応チャンバに分割する反応チャンバ内の仕切り壁によって形成されてもよい。
【0069】
さらに、アクティベータは、使用中のサブチャンバ、すなわちガス発生中のサブチャンバをある特定の時点で変化させるように構成されてもよい。ガス発生速度は、それゆえ、同時に動作中のサブチャンバの数を制御することによって制御可能である。
【0070】
1つの実施形態によれば、サブチャンバは各々、第1の反応物質を含み、第2の反応物質と選択的に流体連通する。第2の反応物質は、反応チャンバ内、または筐体もしくはその外部の貯蔵器の中に保持されてもよい。さらに、各サブチャンバは出口と流体連通して、発生ガスを、例えば外部周辺機器およびその他の中間プロセッサを介して患者に送達でき、これは本明細書中、後でより明らかとなるであろう。
【0071】
現時点で好ましい実施形態によれば、サブチャンバは反応チャンバ内に設けられ、その底または筐体の底の上方に上昇される。少なくとも1つの穴が各チャンバの底に設けられ、サブチャンバの下の空間にある第2の反応物質がそれを通じて入ることができる。弁手段が各穴の付近に設けられ、穴の開閉を選択的に制御してもよい。あるいは、移動可能な遮断部材が設けられてもよく、これはサブチャンバの下方の空間の少なくとも一部を流体的に分離し、それによって第2の反応物質がサブチャンバのうちの少なくとも1つの中に進入するのを防止する。遮断部材の移動を利用して、貯蔵器と流体連通するサブチャンバの数を増減することができる。
【0072】
好ましくは、反応チャンバは取り外し可能なカートリッジの形態で提供され、反応物質が消耗したときに交換用カートリッジを提供できる。それに加えて、またはその代わりに、反応チャンバの一部分のみが取り外し可能であってもよい。例えば、サブチャンバまたはそのうちのいくつかが取り外し可能であってもよい。それに加えて、またはその代わりに、反応チャンバは複数の取り外し可能なカートリッジを含んでいてもよく、これによって1つまたは複数のカートリッジを、1つまたは複数のその他のカートリッジがガスの発生に使用されている間に交換できる。それに加えて、またはその代わりに、1つまたは複数の密閉可能に閉鎖可能なポートが反応チャンバ内に設けられて、1種または複数種の反応物質がそれを通って供給され、反応チャンバに反応物質の少なくとも1種を補充できるようにされてもよい。
【0073】
好ましくは、カートリッジは、第1および第2の態様の中で想定されたものと同様の形態であり、カートリッジの設計と、より広い装置とのその連結のその他の説明については、これらの態様を参照されたい。さらに、当然のことながら、この第3の態様の一部として(上および下で)説明されるカートリッジの実施形態はまた、第1および第2の態様において想定されるカートリッジにも応用可能である。
【0074】
第1の態様のインサフレーション装置と同様に、ガスのその他のプロセッサが設けられてもよい。例えば、患者に送達される前に発生ガスを貯蔵するためのガス貯蔵チャンバが設けられてもよい。さらに、プロセッサは、例えばガスを加湿もしくは除湿するか、ガスを加熱もしくは冷却することによってガスを調整してもよい。添加物もまたガスの中に導入されてもよい。
【0075】
患者に送達されるガスの圧力および/または流速を制御するために、ブロワおよび/または賦形通路等のプロセッサが使用されてもよい。
【0076】
ここでもまた、プロセッサとその制御のその他の説明については、第1および第2の態様のほか、後述の説明が参照される。
【0077】
他の実施形態によれば、筐体と、少なくとも部分的に筐体上またはその中に取り付けられ、または設置されるように構成されたガス発生器と、を含むインサフレーション装置が提供される。筐体は、ガスを患者に送達するためのガス出口を含む。ガス発生器は、反応物質を収容し、またはそれを受けるように構成された反応チャンバを含み、またはそれを画定する。インサフレーション装置は、使用中の反応チャンバ内の反応を活性化してガスを発生させるためのアクティベータをさらに含み、アクティベータは1つまたは複数の電極を含み、それにより、使用中、1つまたは複数の電極に印加された電荷がガスを発生させるための反応を活性化する。
【0078】
好ましい実施形態によれば、反応物質は正電荷を有する炭酸ガス吸収アミン溶液(例えば、ピペラジンまたはジエタノールアミン)を含み、これによって電極の1つまたは複数が負に帯電すると、炭酸ガス吸収アミン溶液が分解して炭酸ガスを放出する。好ましくは、1つまたは複数の電極は銅のコアを含む。
【0079】
1つまたは複数の電極に、またはその中のいくつかに電荷を選択的に印加するために切り替え回路が設けられてもよい。あるいは、現時点で好ましい実施形態によれば、1つまたは複数の電極が反応チャンバ内へと延び、その外部に電気連結部が設けられる。例えば、1つまたは複数の電極は反応チャンバから外に延びていても、またはその端が反応チャンバの壁の、それに対応する穴を介して露出してもよく、あるいは本明細書の開示に基づいて当業者にとって明らかとなるように、電気連結のためのその他の手段が設けられてもよい。この実施形態によれば、アクティベータは移動可能ブロックを含んでいてもよく、これは、それが接触した電極の1つまたは複数に負の電荷を印加する。
【0080】
ここでもまた、この実施形態のその他の特徴は、その制御も含め、第1および第2の態様のほか、第3の態様に関する前述の考察と以下の説明からわかるであろう。例えば、装置の少なくとも一部は、反応物質の補充を容易にするための取り外し可能なカートリッジを含み、またはそのようなカートリッジとして構成されてもよい。さらに、発生ガスおよび/または反応チャンバの内容物を調整するためにプロセッサが設けられてもよい。さらに、構成は、異なるガスを発生させるように、および/または異なる反応物質および/または電極材料を使って炭酸ガスを発生させるようになされてもよい。
【0081】
他の実施形態によれば、筐体と、少なくとも部分的に筐体の上または中に取り付けられ、または設置されるように構成されたガス発生器と、を含むインサフレーション装置が提供される。筐体は、ガスを患者に送達するためのガス出口を含む。ガス発生器は、反応チャンバを含み、またはそれを画定する。インサフレーション装置は、使用中の反応チャンバ内部でガス発生を活性化してガスを発生させるためのアクティベータをさらに含む。反応チャンバは吸収材/脱着材を収容し、またはそれを受けるように構成され、アクティベータは、吸収材/脱着材からのガスの脱着を活性化することによってガスを発生させるように構成される。
【0082】
好ましくは、反応チャンバは、水または水溶液等の媒質で少なくとも部分的に満たされ、または満たされるように構成され、吸収材/脱着材が媒質内に少なくとも部分的に沈められる。少なくとも一部に、発生させるガスおよび/または吸収材/脱着材の特性に応じて、その他の媒質がその代わりに使用されてもよい。
【0083】
好ましくは、吸収材/脱着材は1つまたは複数の微細孔金属有機構造体を含むが、当業者にとって明らかであるように、その他の吸収材/脱着材が使用されてもよく、また発生させるガスに応じて調整されてもよい。金属有機構造体が使用される場合、これは好ましくはmmen−Mg2またはCu−BTCを含む。
【0084】
好ましくは、装置は、反応チャンバの内容物の少なくとも一部を加熱するための1つまたは複数のヒータを含む。吸収材/脱着材からのガスの放出速度を少なくともある程度まで制御するために、制御された熱供給が使用可能である。好ましくは、1つまたは複数のヒータは、反応チャンバの内容物の少なくとも一部を50℃〜100℃の間の温度まで加熱するように構成される。
【0085】
1つまたは複数のヒータは、反応チャンバ内および/または反応チャンバの壁内に設けられた、および/またはそれ以外に反応チャンバと熱連通する1つまたは複数の加熱素子を含んでいてもよい。例えば、ヒータコイルは反応チャンバを少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
【0086】
反応チャンバは複数のサブチャンバを含んでいてもよく、その場合、1つまたは複数の加熱素子は、選択されたいずれか1つまたは複数のサブチャンバの内容物を加熱するように構成されてもよい。それゆえ、必要なガス発生速度に応じて、1つまたはそれより多いサブチャンバが使用されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、1つまたは複数のサブチャンバが消耗した(すなわち、吸収材/脱着材が、それによって吸収されたガスの実質的に全部を脱着した、またはガスの放出速度が不十分な程度まで低くなった)ときに、アクティベータは装置を制御してもよく、それにより、別の1つまたは複数のサブチャンバが、以前に使用されていた1つまたは複数のサブチャンバに加えて、またはそれとは別に使用される。このような切替の制御は、装置をテストすることによって、および/またはセンサを使って発生ガスの特性をモニタすることによって生成される経験的データに基づいて決定されてもよい。
【0087】
1つまたは複数の加熱素子に選択的に電荷を印加するために、切替回路が設けられてもよい。あるいは、現時点で好ましい実施形態によれば、1つまたは複数の加熱素子は、上述の1つまたは複数の電極と同様に構成されてもよく、これらは反応チャンバ内に延び、その外側に電気連結部が設けられる。例えば、1つまたは複数の加熱素子は反応チャンバから延びても、またはその端が、反応チャンバの壁の、それに対応する穴を介して露出してもよく、あるいは本明細書の開示に基づいて当業者にとって明らかとなるように、電気連結のためのその他の手段が設けられてもよい。この現時点で好ましい実施形態によれば、アクティベータは移動可能ブロックを含んでいてもよく、これは、ブロックが物理的に接触させられた1つまたは複数の加熱素子を電源に電気的に連結する。
【0088】
ここでもまた、この実施形態のその他の特徴は、その制御を含め、第1および第2の態様のほか、第3の態様に関する前述の考察および以下の説明からわかるであろう。例えば、装置の少なくとも一部は、ガス発生材料の補充を容易にするために、取り外し可能なカートリッジを含み、またはそのようなカートリッジとして構成されてもよい。例えば、少なくとも吸収剤/脱着材は、ガスの再吸収を容易にするために取り外し可能であってもよい。それに加えて、またはその代わりに、反応チャンバの少なくとも一部は取り外し可能であってもよい。例えば、反応チャンバ全体および/またはその1つまたは複数のサブチャンバが取り外し可能であってもよい。それに加えて、またはその代わりに、反応チャンバにガス発生材料を補充するために、1つまたは複数のポートが設けられていてもよい。さらに、発生ガスを調整するために1つまたは複数のプロセッサが設けられてもよい。さらに、装置は、異なるガスを発生させる、または異なる吸収材/脱着材および/または媒質を使って炭酸ガスを発生させるようになされてもよい。
【0089】
本発明の第4の実施形態によれば、ガスを患者に送達するためのガス出口と流体連通するガス入口を含むインサフレーション装置が提供される。第1のヒータが、ガス入口とガス出口との間に設置され、患者に送達されるガスの圧力を制御するように構成される。第2のヒータがガス入口とガス出口との間に設けられ、患者に送達されるガスの温度を制御するように構成される。この態様のその他の特徴は、第1、第2、および第3の態様からわかるであろう。
【0090】
第5の態様によれば、インサフレーション用ガスを発生させる方法が提供され、この方法は、第1の態様または第3の態様または第4の態様によるインサフレーション装置を提供するステップ、および/または第2の態様によるガス発生カートリッジを提供するステップ、および/またはガス発生器をインサフレーション装置の上またはその中に取り付けるステップ、および/またはガス発生カートリッジをインサフレーション装置上に、またはその中に装填するステップを含む。
【0091】
好ましくは、この方法は、カートリッジの出口を少なくとも部分的に開放して、ガスがカートリッジからインサフレーション装置へと流れることを可能にするステップを含む。あるいは、出口を開放することにより、反応物質がカートリッジから流れて、別の反応チャンバに受けられることが可能となってもよい。
【0092】
好ましくは、この方法は、出口が開放される程度、カートリッジの温度、発生ガスの温度、発生ガスの湿度、発生ガスの流速、カスの圧力および/またはガス発生速度のいずれか1つまたは複数を制御するステップを含む。
【0093】
好ましくは、この方法は、好ましくは前記ガス発生材料が、少なくとも有用なガス発生が達成不能なレベルまで消耗したときに、カートリッジをインサフレーション装置から取り外すステップを含む。
【0094】
好ましくは、この方法は交換用カートリッジを装填するステップを含む。
【0095】
この方法は、使用済みカートリッジに新しいガス発生材料を再充填するステップを含んでいてもよい。これは、カートリッジをインサフレーション装置から取り外し、またはそれに装填して実行されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、この方法は、使用済みカートリッジを再調整して、それを再利用可能にするステップを含む。いくつかの実施形態は、少なくとも一部に、外科的処置で使用した後にこの方法の1つまたは複数の副生成物および/または装置へと再循環されたガスを使って、カートリッジを再調整または補充するようにする。
【0096】
第6の態様によれば、インサフレーション用ガスを発生させる方法が提供され、この方法は、ガス発生材料を収容し、または収容するように構成された反応チャンバを含むガス発生器を提供するステップ、および反応チャンバ内でのガス発生を活性化するためのアクティベータを提供するステップ、を含む。
【0097】
この方法の別の特徴は、インサフレーション装置に関して説明されたものを含め、前述および後述の特徴と同様である。さらに、ガスの発生は脱着工程により実行されてもよい。
【0098】
第7の態様によれば、インサフレーション用ガスを発生させる方法が提供され、この方法は、反応チャンバ内のガス発生を活性化するステップを含む。
【0099】
好ましくは、この方法は、ガスを発生させるための反応チャンバ内の反応を開始および/または制御するステップを含む。
【0100】
好ましくは、この方法は、発生ガスを調整するステップを含む。例えば、ガスの湿度、温度、圧力、または流速のうちのいずれか1つまたは複数がモニタされ、および/または制御されてもよい。
【0101】
好ましくは、この方法は、発生ガスをガス貯蔵チャンバ内に貯蔵するステップを含む。
【0102】
好ましくは、この方法は、ガス発生材料を提供するステップを含む。これは、ガス発生材料を反応チャンバ内に供給すること、および/または反応チャンバの少なくとも一部を反応チャンバの交換用の少なくとも一部と交換することによって達成されてもよく、交換用チャンバは交換用ガス発生材料を収容する。交換用ガス発生材料はカートリッジ内に提供されてもよく、それによってガス発生材料の交換は、消耗したガス発生材料を収容したカートリッジを取り外し、新しい、または再調整されたガス発生材料を収容した交換用カートリッジを挿入することによって達成される。
【0103】
この方法の別の特徴は、インサフレーション装置に関して説明したものを含め、前述および後述の特徴と同様である。特に、ガス発生は前述のように達成されてもよい。
【0104】
前述の態様のすべてに関して、発生され、かつインサフレーションおよびその他の外科的処置において使用されたガスは、その後、ガス発生材料の再使用のため、および/またはその再調整もしくは再生のために回収されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、副生成物が回収されて、同様の目的のために使用されてもよい。それゆえ、本発明はさらに、再使用可能または「再充填可能」ガス発生器もしくはカートリッジまたはインサフレーション装置を提供する。
【0105】
例えば、ガスは、外科的処置において、第1の導管またはある導管の第1の部分を使って供給され、第2の導管または第1の導管の第2の部分を使って回収されてもよい。導管の第1の部分と第2の部分および第1の導管と第2の導管は、これらが隣接し、または相互に近接するように位置付けられてもよい。これによって、例えば、両方の流れが体腔への1つの開口から実現できる可能性がある。しかしながら、好ましくは、関係する体腔への別々の開口が設けられ、それによって発生ガスが第1の開口を通じて入り、第2の開口から出る。好ましくは、第1および第2の開口は離間され、当然のことながら、離間の程度は、関係する体腔の大きさと所与の位置に開口を設ける便宜または可能性に応じて決定される。このような構成は体腔内のガス循環を促進するのに有利であり、これは処置中の煙またはその他のごみによる視界の障害を防止するのに有益となりうる。
【0106】
最も単純な態様では、回収されたガスは単に第1の導管または導管の第1の部分に回収されてもよく、それによってこれは再使用されるが、好ましくは、少なくとも1段のフィルタ処理が行われて、ガス内に存在するあらゆる煙またはその他のごみが取り除かれる。
【0107】
1つの実施形態によれば、再循環ガスはガス貯蔵チャンバに供給される。
【0108】
他の実施形態によれば、再循環ガスは反応チャンバおよび/またはガス発生カートリッジ内に、これにガス発生材料を補給する目的で供給されてもよい。このような構成の具体的な例を本明細書中で図面を参照しながら後に提供する。
【0109】
ここでもまた、前述の態様のすべてに関して、その制御を以下により詳しく説明する。
【0110】
すべての実施形態について、装置および発生ガスを患者に送達するために使用されるより広い回路の全体と、これが該当する場合は、その後ガスが回収される場所にセンサが位置付けられてもよい。このようなセンサは、ガス発生および/またはガスのパラメータをモニタし、それが特定の用途に必要な特性を有するように構成されてもよい。それゆえ、以下、すなわちガス発生材料および/またはガス生成材料を保持するチャンバの温度、回路内のいずれか1地点または複数地点におけるガスの温度および/または圧力および/または流量および/または湿度、ガス発生速度、またはその成分等、発生ガスのその他の特性のうちのいずれか1つまたは複数がモニタされてもよい。その他のセンサもまた設けられてよい。例えば、センサはインサフレーション装置のマウント内部へのカートリッジの挿入を検出してもよく、したがって、これは、ガスの発生および/またはその制御をトリガするか、またはそれ以外に自動的に開始するために使用される。ユーザからの入力を受けるために、センサおよび/またはユーザインタフェースも使用されてよい。圧力を測定する際、ガスの圧縮可能な性質と長い回路内でのその輸送により、患者の、またはその付近の圧力をモニタするために別の検出導管が設けられてもよい。検出導管は好ましくは、読取値に起こり得るエラーをできるだけ減らすために、小径であり、および/または比較的短い。
【0111】
1つまたは複数のプロセッサがセンサに動作的に接続されて、それからの信号を受信してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、好ましくは、ガス発生および/または発生後のガスの調整を制御するように構成され、それによってガス発生は満足な速度または量となり、および/またはガスが特定の用途に必要な特性を有する。それゆえ、ガス発生および/またはガスの特性を所望の範囲内に保持するための制御ループが設けられてもよい。このような制御を実行するための手段と技術は当業者に周知である。
【0112】
本発明の各種の実施形態は、例えば炭酸ガス、亜酸化窒素、または酸素を発生させるようになされてもよいが、その他のガスも本発明の範囲内である。さらに、2種以上のガス成分からなるガス混合物または1つもしくは複数のガス成分を滅菌剤および/または薬剤等の添加物と共に発生させるようになされてもよい。それゆえ、本明細書全体を通じて、「ガス」および「ガスの発生」およびその他への言及は、単独のガス、複数の異なる種類のガス、および/または1種または複数種のガスと添加物、およびその発生を含む。例えば、複数の第1の反応物質および/または複数の第2の反応物質が同じ、または別の反応チャンバまたはサブチャンバ内に提供されてもよく、反応物質の異なる組み合わせによって、異なるガスが発生されることになり、または異なる反応もしくは添加物の生成を介して同じガスが提供されることになる。異なるガスを混合するために、特にこれらが異なる反応チャンバ内で発生される場合、マニホルド等の混合手段が使用されてもよい。他の例として、単独の吸収材/脱着材または異なる吸収材/脱着材に異なるガスが充填されてもよい。さらに、本発明は、特にインサフレーションの用途に関して説明されているが、人工呼吸器またはその他により使用される呼吸ガス、例えば酸素または酸素富化ストリームを発生させるために代替的な反応が使用されてもよいことが理解される。
【0113】
すべてその新規の態様とみなされるべきである本発明の他の態様は、以下の説明から明らかとなるであろう。
【0114】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、下記の図面を参照しながら例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
図1-2】本発明によるインサフレーション装置および取り外し可能なガス発生カートリッジの、それぞれ斜視図および平面図であり、明瞭さのため、装置の筐体の壁は輪郭のみで示されている。
図3図1および2の装置の片側から見た図である。
図4図1〜3の装置の斜視図であり、内部の特徴部が見えるように、主要な構成要素は輪郭のみで示されている。
図5-8】ガス発生装置の代替的な実施形態を示す。
図9】インサフレーション装置のある実施形態の概略図である。
図10】広い意味で同様の概略的回路図または制御図を示す。
図11-13】本発明により発生されたガスの調整例を示す温度エントロピー線図である。
図14a-14b】試作の構成から得られた実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0116】
図1〜4を参照すると、インサフレーション装置1は筐体3を含み、その中にカートリッジマウント5、ガス貯蔵チャンバ7、ガス出口9が取り付けられており、ガス出口9はガスを患者の体腔へと送達するように構成されている。カートリッジマウント5はガス発生カートリッジ11を受け、これはガスを発生させてガス貯蔵チャンバ7へと送るように構成され、それにガスが貯蔵されて、直ちに、または後に患者側ガス出口9へと送られる。出口9は、ガス送達チューブまたはカニューレ等を取り付けてガスをガス貯蔵チャンバから患者の体腔へと必要に応じて送達するのに適した形態である。例えば、出口9には押込み嵌め、スナップフィット、またはロッキング接続部が設けられていてもよく、それにカニューレを取り付けることができる。
【0117】
装置1はしたがって、ガスを患者の体腔に供給してインサフレーションするのに必要な主要構成要素のすべてを有する自己完結型であり、離れた場所にある外部の別のガス接続部を必要としない。特に、装置1は一体化されたインサフレーション用ガス源を含み、それによって装置1を離れた場所にある加圧ガス源に一時的にも永久的にも接続する必要がなくなる。装置1はしたがって、携帯式であり、複数の場所間で容易に運搬可能であり、離れた場所にある別の加圧ガス源を必要とせずに、いつでも使用できる。実際に、これは加圧ガス源が全くない場所、例えば現場でも使用できる。
【0118】
この例における筐体3は立方体であるが、いずれの所望の形状であってもよい。筐体3の前面13には、カートリッジマウント5の一部を含む長方形の開口15が設けられ、その中にカートリッジ11が受けられる。この例では、ガス供給出口9もまた前壁13に、コントローラ(図示せず)のユーザインタフェース/ディスプレイ17と共に設けられている。ユーザインタフェースはいずれの形態をとってもよいが、1つの例においては、タッチスクリーンディスプレイを含んでいてもよい。当然のことながら、ユーザインタフェースは、それ以外に、有線および/または無線通信を介してオペレータ対して、および/またはオペレータによってデータが提供されるように位置付けられてもよい。それゆえ、インタフェースは装置1から離れていてもよく、および/または、例えばその使用者またはオペレータに報告するために、追加のインタフェースが装置1から離れた場所に設置されてもよい。
【0119】
この例のカートリッジ11は筐体3の開口15から挿入されるような寸法の長方形の本体を含む。カートリッジ11の前面はフロントプレート19を含み、その周辺はカートリッジ11の本体の縁より突出して、周辺フランジ21を画定する。このフランジ21は、筐体3の前面13と接して、カートリッジ11を筐体3内に挿入できる範囲を限定してもよい。この例では、カートリッジ11の内部は仕切り25(図4参照)によって2つの小空洞27、29に分割され、その各々がガス発生のためのそれぞれの材料を収容する。カートリッジ11の後部には発生ガス出口(図示せず)が設けられ、これはカートリッジマウント5を介してガス貯蔵チャンバ7との流体接続を形成する。
【0120】
カートリッジマウント5は、筐体3の内部に空洞を含み、空洞の前面は長方形の開口15を含む。空洞は、カートリッジ11と係合し、位置付け、向き付け、支持するように構成された対向する側壁と対向する上下の壁を含む。内部の壁はその代わりに、フィンガ、レール、突起、またはその他、使用中にカートリッジ11と接するカートリッジ支持手段を含んでいてもよい。カートリッジマウント5の後部はこの例では円錐台形のマニホルド22を含み、その頂点がマニホルド出口23を画定する。マニホルド出口23は、カートリッジ11の発生ガス出口をガス貯蔵チャンバ7に接続する流体コネクタとして機能する。
【0121】
マニホルド出口23は、カートリッジマウント5の後部とガス貯蔵チャンバ7の入口端との間に延びる連結導管31を介してガス貯蔵チャンバ7との流体接続を形成する。
【0122】
マニホルド22はその代わりに、少なくともある程度、カートリッジ11の筐体によって形成されてもよい。
【0123】
ガス貯蔵チャンバ7は、筐体3の後部を横切って取り付けられた円柱形の圧力容器を含む。この例では、チャンバ7には、チャンバ7の周囲に延びる外部らせん加熱コイル33の形態のチャンバヒータが設けられている。その代わりに、またはそれに加えて、その他の形態のチャンバヒータが使用されてもよく、これには内部加熱コイル、またはチャンバ7の一部に隣接する加熱板が含まれる。
【0124】
チャンバヒータは、チャンバ7内のガスの所望の温度を実現するためにコントーラによって制御されてもよい。ヒータは、例えば、チャンバ7内のガスの利用可能性、またはカートリッジ11からチャンバ7へのガスの供給速度に応じて制御されてもよい。チャンバへのガス流量を示す信号を発生させるためにセンサが設けられてもよく、この信号はコントローラによってチャンバヒータを作動させるために使用される。その代わりに、またはそれに加えて、オペレータは所望のガス温度をユーザインタフェースに入力してもよく、それによってコントローラはその後、それに応じてチャンバヒータを制御する。
【0125】
ガス貯蔵チャンバ7からのガスは、チャンバ7の出口端から筐体3の前面へと延びる供給導管34を介してガス出口9に転送される。
【0126】
ガス出口9に供給制御弁35が設けられている。弁35は、コントローラによって、および/または必要に応じてオペレータが手動により、必要な流速/圧力のガスを患者に送達されるように制御されてもよい。制御を実現できるようにするためのフィードバック信号を発生させるために、圧力および/または流量センサが設けられてもよい。
【0127】
閉鎖手段がカートリッジ11に設けられ、カートリッジ11に貯蔵されたガス発生のための材料を相互に、および/または外気から分離し、ガス発生が起こらないように構成される。閉鎖手段は、コントローラによって制御される能動制御型閉鎖手段および/または自動的に開放するか、所定の状況で開放する受動制御型閉鎖手段を含んでいてもよい。2つ以上の閉鎖手段が設けられてもよい。例えば、追加の閉鎖手段がカートリッジマウントに設置されてもよい。
【0128】
1つの例において、閉鎖手段はカートリッジ11の発生ガス出口を覆うバリアシールを含んでいてもよい。カートリッジ11またはカートリッジマウント5には、バリアシールを穿刺または切断して閉鎖手段を開放する穿刺または切断要素等の穿孔手段が設けられていてもよい。穿刺または切断要素はカートリッジマウント5に、カートリッジ11がカートリッジマウント5に完全に装填されたときにそれがバリアシールを自動的に穿刺または切断するように構成されてもよい。1つの例において、カートリッジ11はカートリッジマウント5に押し込まれ、これがシールを破き、ガス発生を直ちに開始させる。より具体的には、ガス貯蔵チャンバへの入口は、ガス貯蔵チャンバから外に延びる実質的に硬い導管を含んでいてもよく、これはカートリッジが装填されるか、または挿入されたときにシールを貫通する。あるいは、穿孔手段は、選択された時点で要素がシールを穿刺/切断するようにコントローラによって制御されてもよい。例えば、これは、オペレータが作動信号をコントローラに送信したとき、またはカニューレもしくはその他が患者の供給出口9に接続されたときであってもよく、適当なカニューレ検出センサが出口9に設置される。
【0129】
他の例では、閉鎖手段は、カートリッジの発生ガス出口を閉じる弁(例えば、ダックビル弁であるが、これに限定されない)または閉鎖キャップを含んでいてもよい。ここでもまた、弁または閉鎖キャップは、カートリッジ11がマウント5に完全に装填されたときに自動的に開放するように構成されていても、またはコントローラの制御下で開閉するように構成されていてもよい。他の例では、圧縮器がガス貯蔵チャンバ7とカートリッジ11との間にある。圧縮器はガスをガス貯蔵チャンバ7へと圧送して、内容物を加圧するために設けられてもよい。それに加えて、またはその代わりに、閉鎖手段の下流側で減圧することにより、圧縮器は閉鎖手段を、例えばそれを破裂、変形、または開位置へと移動させることによって開放するために使用されてもよい。
【0130】
他の例において、閉鎖手段はカートリッジ11のサブチャンバ間の仕切りまたは障壁を含み、またはそれが設けられていてもよく、各サブチャンバはガス発生のためのそれぞれの材料を収容する。
【0131】
閉鎖手段は複数の閉鎖要素を含んでいてもよく、1つがカートリッジ11そのものに設置され、別の1つがカートリッジ11とガス貯蔵チャンバ7との間の、例えばマニホルド22または連結導管31の中に設置される。それゆえ、閉鎖手段の第1の部分は、カートリッジ11がマウント5に装填されたときに自動的に開放されてもよく、閉鎖手段の第2の部分はその後、コントローラによって選択的に開閉される。
【0132】
閉鎖手段がコントローラによって完全に、または部分的に選択的に制御される場合、コントローラは閉鎖手段の開放の程度を制御することによってガス発生速度を制御するように構成されてもよい。コントローラは、ガス発生の初期期間の後に閉鎖手段を閉じることにより、所望の時点でガス発生を終了するように構成されてもよい。
【0133】
カートリッジ11には、ガス発生のための1種または複数種の材料が提供される。例えば2種の材料、例えば炭酸ガスを産生するための炭酸アルミニウムと水が提供されてもよい。1種または複数種の材料は、その1種または複数種の材料が外気に曝されたときに起こる、または材料のうちの2種以上が相互に曝されたときに起こる化学反応からガスを発生させるように配置されてもよい。反応の組み合わせが提供されてもよく、これによって材料のうちの2種以上が相互および外気(または固体、気体もしくは液体を含むいずれかのその他の材料)と反応する。
【0134】
カートリッジ11は、ガス発生中またはその後、患者用供給出口9を介してガスを患者に送達するのに影響を与えることなく取り外しできるように構成されてもよい。これは、アイソレータを使って実現されてもよい。アイソレータは、閉鎖手段、またはカートリッジ11とカートリッジマウント5との間の別の弁または閉鎖手段を含んでいてもよい。それゆえ、カートリッジ11が取り外されたときに、別の弁または閉鎖手段は閉じるように構成され、それによって発生ガスはカートリッジ11からも、カートリッジマウント5からも漏出しえない。このようにして、装置1には、装置1を患者に使用する前にカートリッジ11から発生されたガスを事前に充填しておいてもよく、カートリッジ11からの発生ガスは後の使用のためにガス貯蔵チャンバ7に貯蔵される。
【0135】
カートリッジ11からの発生ガスの結果、カートリッジ11およびカートリッジマウント5内のガス圧が比較的高くなる可能性がある。この圧力は好ましくは、患者供給出口9でのガス圧が患者への送達に適したレベルであるように制御される。ガス貯蔵チャンバ7自体が膨張チャンバとして機能してもよく、その中ではカートリッジ11からの高圧ガスが膨張し、ガス圧を下げる。ガス出口9の弁は、ガス流量を制限することによって出口9から出るガスのガス圧を制御するように動作してもよい。コントローラは、所望のガス圧を実現するために弁をモニタし、制御するように構成されていてもよい。ガス圧をさらに制御するために、追加の流量制限器および/または流量制御弁がガス流路内に設けられてもよい。同様に、流路そのものが、蛇行流路を画定することによって、またはバッフルもしくはその他を取り入れることによって、貯蔵チャンバからのガスのガス圧を低下させるように構成されてもよい。
【0136】
加湿器(図示せず)が任意選択によって筐体3の上またはその中に設けられて取り付けられてもよい。加湿器は、ガス流路内のいくつかの位置でガス流に流体蒸気を供給するように構成される。1つの例において、加湿器は、ガス貯蔵チャンバ7からの流路内のガスに流体蒸気を供給するように構成されてもよい。加湿器は、受動型または能動型加湿器を含んでいてもよい。能動型の場合、加湿器は、加湿器ヒータと、ヒータによって加熱される液体を収容した加湿器容器と、を含んでいてもよく、流路は容器の入口ポートと出口ポートとの間の加湿器容器上部空間を通る輸送部を含む。容器は、流体を再充填するために取り外し可能であってもよい。それに加えて、またはその代わりに、閉鎖可能ポートが設けられてもよい。コントローラは、加熱の程度および、ガスに供給される蒸気の程度を制御して、ガスの水分含有量を制御するように構成されてもよい。加湿器は、少なくともある程度、筐体3の中に設けられてもよい。
【0137】
装置は、ガスの圧力および/または温度を制御するように構成されたガス制御ヒータアセンブリをさらに含んでいてもよい。ガス制御ヒータアセンブリは好ましくは、筐体内に設置され、カートリッジ11とガス貯蔵チャンバ7との間のガス流路内、および/またはガス貯蔵チャンバ7と患者供給出口9との間のガス流路内に位置付けられてもよい。ガス制御ヒータアセンブリはコントローラによって、コントローラアルゴリズムに従って自動的に、またはオペレータの入力を介して制御されてもよい。
【0138】
ガス制御ヒータアセンブリは、ガスの圧力を制御するように構成された第1のヒータと、ガスの温度を制御するための第2のヒータと、を含んでいてもよい。第1および第2のヒータは、筐体内のガス流路の異なる部分に配置されてもよい。第1または第2のヒータのいずれがガス貯蔵チャンバ7に設置されたヒータを含んでいてもよい。ヒータは、それに加えて、またはその代わりに、装置1の下流に設けられてもよい。例えば、装置1から患者にガスを送達するために使用される導管には、導管の壁の中またはそれに関連してあり、それを通るガスを加熱する抵抗ワイヤ加熱素子が設けられていてもよい。
【0139】
装置1のコントローラはいずれの適当な形態をとってもよく、ディスプレイ、電子データプロセッサ、一時的および/または永久的データ記憶装置、および適当な電気回路を含んでいてもよい。コントローラは、装置の各種の構成要素を制御して、患者に送達されるガスの特定の流速、温度、および圧力を実現するために、1つまたは複数のアルゴリズムおよび/またはデータルックアップテーブルを含んでいてもよい。アルゴリズムは、所定のガスの流速、温度、および圧力を実現するように構成されていても、またはオペレータが選択したガスの流速、温度、および圧力を実現するように構成されていてもよい。ディスプレイは、ガスの流速、温度、および圧力の1つ、いくつか、または全部を含むガスの特性を表示するように構成されてもよい。ディスプレイはさらに、ガス放出経過時間と残り時間、および/または、例えばカートリッジから完全に放出されたことを含む、カートリッジの放出状態に関する情報を表示するように動作してもよい。ガス貯蔵チャンバ7内のガスが放出されたときに、完全に放出される前の残り時間を示す視覚的および/または聴覚的警告または警報が発生されてもよい。これはオペレータに対し、ガスがなくなり、新しいカートリッジを挿入しなければならなくなるまでにどれだけの時間が残っているかに関する情報を提供する。
【0140】
図5は、代替的なガス発生器の断面概略図である。この実施形態によれば、ガス発生器は、反応チャンバ501と、第2の反応物質503と流体連通する第1の反応物質502と、を含む。好ましくは、第1の反応物質502は、第2の反応物質502の少なくとも一部から選択的に分離されていても、またはその逆であってもよい。
【0141】
第2の反応物質503は好ましくは、塊を形成するような方法で提供されるが、それに加えて、またはその代わりに微粒子または粉末として形成されてもよい。図の構成によれば、反応チャンバ501は複数のサブチャンバ501iを含み、その各々が第2の反応物質の長い塊またはロッド503iを含む。他の数のサブチャンバが使用されても、または反応チャンバがサブチャンバを形成するように仕切られていなくてもよい。
【0142】
第1の反応物質502は、ガス発生器の貯蔵器部分504の中に貯蔵されるように示されている。あるいは、これは離れた場所に位置付けられているが、反応チャンバ501と(好ましくは弁またはその他によって選択的に)流体連通する貯蔵器内に貯蔵されていてもよい。
【0143】
反応物質の混合は好ましくは、反応の開始および継続的維持を制御するように制御される。例えば、図5に示されるように、移動可能ブロック505がその周辺で密閉可能に係合して、反応チャンバ501の1つまたは複数の部分への第1の反応物質502の流れを防止する。図の位置において、4つのサブチャンバ501iが第1の反応物質502から分離され、第1の反応物質502は最も左側のサブチャンバ501iの中に、その底の1つまたは複数の穴を通じて存在する。当然のことながら、ブロック505がガス発生器の右側に向かって移動すると、別のサブチャンバとの流体連通が確立され、反応物質502、503が接触し、その中で反応が始まる。
【0144】
代替的な構成も明らかであろう。例えば、ブロック505を省き、弁部材(図示せず)を使って底の穴を選択的に閉じてもよい。したがって、必要に応じて弁の開放を制御するために切替手段が使用されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、反応チャンバ501は、例えば出口506を介して圧縮器に流体接続されていてもよく、圧縮器は、減圧し、ブロック505を付勢してその位置を変更させるように構成される。反応チャンバ501内の減圧はまた、反応チャンバ501の液体内容物の蒸発を促進して、発生されたガスの湿度を高めるのを支援することもできる。ブロック505の移動を制限して、それが可能にされたときにしか移動できなくするために、移動可能な停止手段が設けられてもよい。例えば、停止手段はブロック505の経路内に延びるが、ブロック505の経路を妨害しないような位置に移動可能であってもよい。これは、手動でも、または制御および作動回路を介して行われてもよい。
【0145】
さらに、第1の反応物質502の移動によらず、またはそれに加えて、第2の反応物質503を移動させることによって反応が開始されてもよい。例えば、第1の反応物質502をすべてのサブチャンバ501a〜501eに提供することができ、第2の反応物質503は閉鎖可能な穴を通じて、または第2の反応物質503を反応チャンバ内の上部空間から第1の反応物質502と接触するように下げることによってその中に導入される。このような構成はまた、反応チャンバ501をサブチャンバ501iに仕切らなくても機能するであろう。あるいは、図5に示されるように構成された装置の場合、追加の第2の反応物質503の材料を、例えばその屋根部の閉鎖可能なポートを通じて反応チャンバ501に挿入するための手段が設けられてもよい。
【0146】
図5の実施形態に関して、炭酸ガスを産生するように構成された場合、第1の反応物質502は水および/または水溶液および/または酸および/または酸系溶液を含んでいてもよい。第2の反応物質503は、炭酸水素アルミニウムまたは重炭酸ナトリウム等の炭酸塩材料を含んでいてもよい。その他のガスを産生するため、または炭酸ガスを産生するために別の反応物質が使用されてもよい。
【0147】
図5に示されるように、第2の反応物質503は塊またはロッドとして形成されているように示されている。このような構成は、比較的ゆっくりであるが持続的な反応を提供できる。その初期段階での反応速度を高めるためには、第2の反応物質503から形成された微粒子または、少なくともより小さい塊が存在していてもよい。あるいは、第2の反応物質全体が、粒子もしくは粉末または、少なくともより小さい塊から形成されてもよい。
【0148】
反応チャンバ501の内容物を加熱して反応速度を高めるためにヒータ手段が設けられてもよい。例えば、インサフレーション装置は加熱板を含んでいてもよく、その上に反応チャンバ501および/または貯蔵器部分504が受けられる。それに加えて、またはその代わりに、加熱素子は反応チャンバ501および/または貯蔵器部分504の中へと延びていてもよい。それに加えて、またはその代わりに、他の外部加熱手段が使用されてもよい。例えば、反応チャンバ501および/または貯蔵器部分504は、少なくとも部分的に1本または複数のヒータコイルにより取り囲まれていてもよい。
【0149】
反応チャンバ501内で発生されたガスは、出口506から出て、図1〜4に示されるものと同様の方法で処理されてもよい。例えば、それはガス貯蔵チャンバの中に貯蔵され、および/または所望の特性を有するように処理されてもよい。それゆえ、図5の実施形態は単に、図1〜4のインサフレーション装置の代替的なガス発生部分を提供していてもよい。より詳しくは、図5のガス発生器は、図1〜4に示されるものと同様の方法でインサフレーション装置を形成するように接続される取り外し可能なカートリッジとして構成されてもよい。あるいは、図5のガス発生器の一部のみがカートリッジの形態であってもよい。例えば、反応チャンバ501は取り外し可能であってもよく、貯蔵器部分504がインサフレーション装置の、より一体的な部分を形成し、この場合、貯蔵器部分504から第1の反応物質502を排出し、および/またはそれに充填するためのポートが設けられてもよい。それに加えて、またはその代わりに、貯蔵器部分504は、インサフレーション装置から別々に取り外し可能であってもよく、貯蔵器部分がインサフレーション装置に接続されたときにその開放を制御するための、選択的に閉鎖可能なポートが設けられる。あるいは、1つまたは複数のサブチャンバ501iが個別に取り外し可能であってもよく、これには、特定のサブチャンバ501iの交換中に、1つまたは複数の他のサブチャンバ501iの中で反応が起こっていてもよいという利点がある。
【0150】
図6は、ガス発生器の代替的な実施形態の断面概略図を示す。この実施形態によれば、ガスは電気分解によって発生される。より具体的には、電極603i、好ましくは銅電極を介して電荷が印加されてもよく、その結果、反応チャンバ601の内部に提供された溶液602の成分が分解する。溶液602は、例えば炭酸ガス吸収アミン溶液(例えば、ピペラジンまたはジエタノールアミン)を含んでいてもよいが、特に他のガスを発生させるためにその他の溶液が使用されてもよい。このような溶液は、電磁界が電極を介してそれに印加されると炭酸ガスを放出する。より具体的には、炭酸ガス分子をアミンに結合している鎖が切れる。反応速度は、印加される電位をそれぞれ増大させ、または減少させることによって加速または減速されてもよい。さらに、使用される電極の数が変更されてもよい。
【0151】
図6に示される実施形態において、各電極603iの一部は反応チャンバ601の外まで延びて、移動可能ブロック605を介してそれを電源に電気接続することができる。その他の構成も使用されてよい。例えば、各電極は切替回路を介して電源に接続されてもよく、それによって電極のいずれか1つまたは複数をいずれの時点で作動させることもできる。それゆえ、工程の初期段階中のガス産生をより急速にするために、当初は第1の数の電極が使用され、動作レベルのガスが第2の、より少ない数の電極だけで産生可能となったところで第2の、より少ない数の電極が使用されてもよい。
【0152】
図6に示される実施形態において、反応チャンバは複数のサブチャンバ601iへと仕切られる。他の数の仕切りが設けられても、または仕切りが省かれてもよい。
【0153】
反応チャンバ601内で発生されるガスは出口606を通じて排出され、その後、図1〜4に示されるものと同様の方法で処理されてもよい。それゆえ、図6のガス発生器は、図5のガス発生器と同様の方法で図1〜4のインサフレーション装置に組み込まれてもよい。
【0154】
図7は、ガス発生器の別の代替的な実施形態の断面概略図である。この実施形態によれば、ガスは吸収材/脱着材707の中に貯蔵され、吸収材/脱着材707からガスを脱着させるための手段が設けられる。
【0155】
図7を参照すると、反応チャンバ701は少なくとも部分的に媒質702で満たされ、これは非限定的な例として水または水溶液を含んでいてもよい。発生されるガスにとって適当ないずれの吸収材/脱着材707も使用されてよいが、現時点で好ましい実施形態によれば、微細孔金属有機構造体が使用される。例えば、この構造体は、非限定的な例として、mmen−Mg2またはCu−BTCから形成されてもよい。
【0156】
吸収材/脱着材からガスを放出させるために加熱素子703iが設けられる。より具体的には、加熱素子703iの1つまたは複数への電圧印加を通じて、その温度が上昇し、ガスが吸収材/脱着材707から分離する。印加される電圧の増大と減少および、ひいてはその結果としての温度の上昇または下降により、ガス発生速度をそれぞれ加速または減速できる。
【0157】
図7に示される実施形態は、加熱素子703iの少なくとも1つを電源に電気的に連結するための移動可能ブロック705を含む。加熱素子703iを電源に連結するために、その他の手段が使用されてもよい。例えば、各加熱素子はスイッチを介して電源に選択的に連結されてもよい。
【0158】
ここでもまた、反応チャンバ701はサブチャンバ701iを含むように示されている。その他の数のサブチャンバが使用されても、または仕切りが使用されなくてもよい。この実施形態およびその他の実施形態の仕切りは、ガス発生器の使用中のガス産生速度をよりよく制御するために使用可能であり、それは、各サブチャンバが、これらが同様に構成されていれば、同じ反応チャンバ内の他のサブチャンバと同様の方法で動作するからである。しかしながら、異なるサブチャンバごとに異なる構成が使用されてもよい。例えば、いくつかのサブチャンバは、それ以外のものより速いガス発生速度を生成するように構成されてもよく、それによって、反応速度がより速いサブチャンバが始動期間中に使用されて、より急速にガスが発生され、その後、反応速度がより遅い反応サブチャンバが使用されて、より持続的、または長いガス放出が提供される。当然のことながら、このような変化の必要性は、ガス貯蔵チャンバの設置によって緩和されるであろう。
【0159】
産生されたガスは、出口706から出て、その後、図1〜4に示されたものと同様の方法で処理されてもよい。それゆえ、図7のガス発生器は、図5および6のガス発生器と同様の方法で図1〜4のインサフレーション装置に組み込まれてもよい。
【0160】
図8の平面図は反応チャンバ801の仕切りの代替的な方法を示している。この実施形態によれば、サブチャンバ801iは蜂の巣構造に似た六角形のセルの形態であり、それによって複数のサブチャンバ801iをより高密度にまとめることができる。その他のサブチャンバ構成もその代わりに使用されてよい。さらに、このような構成は、図5〜7に示される実施形態のいずれに使用されてもよい。
【0161】
図9は、インサフレーション装置のある実施形態の概略図である。図9を参照すると、装置1はカートリッジマウントまたはドック5に係合するガス発生カートリッジ11を含む。カートリッジ11は、出口ポート9により流体連結される。カートリッジ11から出口9への経路に沿ってその他の手段が示されているが、このような手段は好ましいものの、必要不可欠ではなく、カートリッジ11により発生されるガスが、ガスを出口9へと直接押し出すために使用されてもよいことが理解される。発生されたガスを処理してそれを特定の用途のために最適化するためのその他の手段が設けられてもよい。例えば、ガスの温度、湿度、圧力または流量のうちのいずれか1つまたは複数が制御されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、追加のポートが設けられてもよく、それによって添加物がガスストリームの中に導入されてもよい。さらに、ガスがより容易に利用可能であることを確実にするために、およびガスの出口への供給の障害を防止するために、好ましくはガス貯蔵部が設けられる。それゆえ、図9に示されるシステムは本発明のある実施形態にすぎず、範囲を図に示される要素の全部を含むものに限定していると解釈されるべきではない。
【0162】
図9を参照すると、カートリッジ11の中で、またはそれによって発生されたガスは圧縮器またはフローエンハンサ91に、およびその後、貯蔵チャンバ7に供給される。逆止弁92が貯蔵チャンバ7からのガスの逆流を防止する。ガスは、外科的またはその他の処置の中でシステムが使用される前に、回収されて貯蔵チャンバ7に保持されてもよい。当然のことながら、ガス発生の開始と所与の処置にとって有用な量のガスが出口9において利用可能となるまでとの間に遅れがありうる。貯蔵チャンバ7によってこの問題を克服でき、処置を開始する時点でガスは容易に利用可能である。
【0163】
貯蔵チャンバ7から出るガスはオリフィスレジューサ93および/またはスロットル弁94を通過してもよく、それによってガスの流量が制御される。必要に応じて、ガスの湿度を下げるために凝縮器95が使用されてもよい。不要であるとき、または少量の水分だけを除去すればよいときは、点線で示されるように、ガスの少なくとも一部が凝縮器95を迂回してもよい。
【0164】
次に、好ましくは温度を上げることによって、ガスの温度を制御するために熱交換器96が使用されてもよい。ここでもまた、この要素は点線で示されるように迂回されてもよい。
【0165】
必要に応じて、圧力を上昇または下降させるためにフローアキュムレータ97が使用されてもよい。
【0166】
出口から出る前のガスの特性をモニタするための各種のセンサ98a、98b、98cが示されている。これらの特性は、非限定的な例として、湿度、温度、圧力、または流量のうちのいずれか1つまたは複数を含んでいてもよい。それに加えて、またはその代わりに、1つ以上のセンサがガスストリームの成分をモニタしてもよい。例えば、複数の成分がガスに含まれている場合、そのうちの少なくとも1つの成分がモニタされてもよい。例えば、炭酸ガスにより形成されるガスストリームの比率がモニタされてもよい。
【0167】
これらまたは同様のセンサは、システム内の別の箇所に位置付けられてもよい。例えば、温度および/または湿度が回路全体の中の様々な地点でモニタされ、これらの特性をより迅速に調整し、回路および/またはその構成要素の切り替えを制御してもよい。例えば、湿度を下げる必要がない場合には、ガス流を切り替えて、凝縮器95を迂回させるために制御ループが設けられてもよい。あるいは、ガスの温度が十分に高い場合には、熱交換器96によって提供される熱が減少されるか、熱交換器96が迂回されてもよい。
【0168】
排水口99a、99bによって、熱交換器96および凝縮器95から余分な水をすべて除去することができる。水が反応物質として使用される場合、この水の少なくとも一部がカートリッジ11および/またはカートリッジマウント5の反応チャンバに戻されてもよい。
【0169】
図9はさらに、入口ポート100およびガス収穫カートリッジ101を示している。多くの外科的処置において、手術部位を、その部位にガスをパージすることによって「清浄化」することが一般的である。それゆえ、ガスは出口ポート9からその部位へと押し出され、入口ポート100へと換気されてもよい。ガストリームの加圧された性質により、入口100での吸引は一般に必要でないが、提供されてもよい。例えば、入口100は圧縮器、例えばフローエンハンサ91に流体連結されてもよい。ごみ、流体、および/または煙もしくはその他のガスがその部位から駆除されてもよく、ガスストリームからこれらの少なくとも一部を除去するためにフィルタが設けられてもよい。
【0170】
ガス収穫カートリッジ101は、いずれの形態をとってもよく、またはなくてもよい。例えば、腹腔鏡手術およびその他の場合、入口に供給されるガスストリームは、出口ポート9を通過するものと非常に似た成分を有するであろう。それゆえ、ガスは単純に出口ポート9に、好ましくはフィルタ処理した後に再循環されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、再循環されたガスはガス貯蔵チャンバ7に供給されてもよく、それによってこれは必要な特性を有するように処理または再調整されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、これは、入口100に入るガスの検出された特性および相応にガスを調整するために必要な所定の処理ステップに応じて、回路の別の部分に供給されてもよい。それゆえ、入口ポート100に入るガスの特性をモニタするためのセンサが設けられてもよい。
【0171】
1つの実施形態によれば、ガス収穫カートリッジ101は、ガスストリームの少なくとも1つのガス成分を抽出するために使用され、それによってこれがその後のガス発生に使用されてもよい。好都合な点として、これは、ガス発生カートリッジ11により発生されるものと同じガスであってもよい。より好都合な点として、ガス収穫カートリッジ101は、ガス発生カートリッジ7と実質的に同じ方法で形成されてもよい。その結果、ガス発生カートリッジ11内の反応物質が消耗すると、これが取り外され、ガス収穫カートリッジ101と交換されてもよい。その後、当初のガス発生カートリッジ11がガスを収穫するように切り替えられてもよく、それによってそれにガス発生材料が補充される。
【0172】
このような方法でのカートリッジの機械的取り外しと交換は、システム内のガスの流量を制御することによって回避されてもよいことが理解される。より詳しくは、入力ポートからのガスの流量は、少なくとも一部に、ガス収穫カートリッジ101からガス発生カートリッジ11へと供給されてもよく、および/または出口ポート9には、ガス発生カートリッジ11ではなくガス収穫カートリッジ101によって供給されてもよい。それゆえ、カートリッジが可逆的反応を使って動作する場合、機能を逆転させて、ガス発生材料を外部から供給することなく、より連続的なガス発生を提供してもよい。しかしながら、好ましくは、前記カートリッジの少なくとも1つが取り外し可能であり、必要に応じて交換できる。それに加えて、またはその代わりに、少なくとも1つのカートリッジは、ガス発生材料を受けるためのポートを含んでいてもよく、この場合、少なくとも1つのカートリッジは装置の一体部分を形成して、取り外し不能であってもよい。
【0173】
さらに、再循環されたガスを別のガス収穫カートリッジ101に供給する代わりに、ガスをガス発生カートリッジ11に供給してもよい。必要に応じて、ガス貯蔵チャンバにガスが貯蔵され、その後でガスがガス発生カートリッジ11に供給されてもよい。例えば、場合により、ガス発生カートリッジをガス発生モードに保持し、再循環されたガスはガスが出口9において必要とされない「ダウンタイム」中にそれに供給されるようにすることが好ましいことができる。
【0174】
補充されるように構成可能なガスカートリッジの構成の例が図6〜8に示されている。図6をさらに詳しく参照すると、炭酸ガス産生用に使用され、電極が銅で形成されている場合、電圧が電極603iに印加されなくなると、ガス発生中に炭酸ガスが放出された後にアミン鎖と結合した銅がアミン鎖から分離する。その後、反応装置内に供給された炭酸ガスはアミン鎖と結合でき、反応装置への補充が行われる。同様に、図7の構成では、反応装置内に再循環された炭酸ガスは、吸収材/脱着材707と再結合できる。ここでもまた、構成は、異なる材料および/または反応物質またはその他のガス発生材料を使用するようになされてもよい。さらに、再循環されたガスを反応装置の少なくとも一部を通じて分散させるためにスパージャまたはこれと同様の手段が使用されてもよい。
【0175】
さらに、1つのガス発生カートリッジ11が使用される代わりに、平行して動作するように構成された2つ以上のカートリッジ装填ドック5が提供されてもよい。このような実施形態は、第1のガス発生カートリッジからガス発生材料が消耗したときに、第2のガス発生カートリッジを使ってガスを発生させることができるのを確実にするために使用されてもよい。第2のガス発生カートリッジは、第1のガス発生カートリッジと同様に構成されても、またはより小型で、第1のガス発生カートリッジが取り外され、交換されている間の分を補うのに十分なガスを発生させるだけとしてもよい。これによってガス貯蔵チャンバ7の必要性は低減されるが、それでもなお、出口9においてその流量および/または圧力をより急速に変化させる(特に上昇させる)ことができるようにするために、それを含めることは好ましい。
【0176】
ガス貯蔵チャンバ7は、ガスの温度を制御するために加熱コイル33が設けられているように示されている。好ましくは、さらに制御するために、回路周辺に追加の加熱手段が提供される。例えば、ガスを回路の1つの要素から次の要素に輸送するために使用される導管が必要に応じて加熱および/または冷却されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、断熱手段が設けられてもよい。さらに、回路のその他の要素に加熱および/または冷却手段が必要に応じて設けられてもよい。それに加えて、またはその代わりに断熱手段が必要に応じて設けられてもよい。
【0177】
図9のより物理的な概略図に略対応する概略的回路図または制御図が図10に示されている。回路は、回路の他の構成要素からの入力を受け、またはそれらに信号を送信するように構成されたメインコントローラ200を含む。メインコントローラ200は、好ましくは少なくともプロセッサと、その回路のための論理定義制御アルゴリズムを含むメモリと、を含む。当然のことながら、メインコントローラ200は、単独の一体ユニットにより形成されても、別々であるが連通可能に連結される、いくつかのコントローラに分散されてもよい。制御の種類の組み合わせが使用されてもよい。例えば、メインコントローラ200は、システムのある構成要素に(またはその構成要素のためのローカルコントローラに)、特定のタスクを実行する命令を発行してもよく、その後、そのタスクの実行が別のコントローラによってローカルで制御されてもよく、より具体的には、メインコントローラ200は、圧縮器91に特定の圧力を発生させるように命令してもよく、その後の圧縮器91の制御(例えばファン速度)は、例えばガス発生速度の変化に応答して、圧縮器91に関連するセンサから受け取ったフィードバックに基づいて圧縮器91のコントローラにより行われ、所望の圧力が実現される。さらに、メインコントローラ200とシステムのその他の構成要素との間の接続は、有線型および無線型を含め、いずれの形態をとってもよい。
【0178】
回路は前述の図に関して説明された要素、例えばカートリッジ装填ドック5、凝縮器ファン95、ポンプ91、炭酸ガス収穫カートリッジ101、およびガスカートリッジ11等を含む。メインコントローラ200は、これらの構成要素に対して、その作動または動作停止を含むそれらの動作を制御する命令を発行するように構成されてもよい。命令は、一部に、システムのその他の構成要素(例えばボタン208、インターロック210、弁とアクチュエータ204、熱電装置211、または加熱リム電源と制御手段205)から、または同じ構成要素から受け取った信号に基づいていてもよく、例えば、ガスカートリッジ11はメインコントローラ200に対して、特定のサブチャンバの反応物質が消耗したことを信号で知らせてもよく、すると、メインコントローラ200は、ガスカートリッジ11が異なるサブチャンバを作動させるようにするための命令を発行してもよい。
【0179】
装置の動作を調整するために、ボタン208またはその他の使用者用入力装置が使用者によって使用されてもよい。さらに、インタフェース206、ゲージ207、音声出力209、アラーム201、およびティスプレイ203が、装置のパラメータおよび/または、例えば反応物質が消耗しつつある、およびガス発生カートリッジ11を交換するか、もしくは反応物質を補充する必要がある等の障害またはその他の何らかの問題を知らせる視覚的および/または聴覚的信号を使用者に向けて発生させてもよい。システムのエラーおよび/または動作パラメータに関するデータを記録するために、データ記憶装置202が使用されてもよい。
【0180】
図10に示される回路の各種の構成要素は省略できることがわかるであろう。何が含められるかは、特定の用途のほか、使用者の選好に合わせた装置のセットアップによるであろう。
【0181】
ここで、制御の実施例を、図11〜13に示される水に関する温度エントロピー線図を参照しながら説明する。図11を参照すると、「液体+蒸気」の段階では飽和状態で、液体の小滴が存在するであろう。「蒸気」の段階では小滴が存在せず、湿度は100%未満である。
【0182】
図12は、図11の領域(a)をより詳しく示し、相対湿度を下げる工程を示している。地点1において初期温度40℃、相対湿度100%であり、地点2でガスが20℃まで冷却され、その結果、結露が生じる。地点2から3までで結露が排出され、その後、地点4で加熱され、ガスは再び40℃になる。
【0183】
図13は、ガスの温度を上昇させるために使用できる代替的な動作シーケンスを示している。まず、地点1においてガスは30℃、相対湿度100%である。加熱することにより、ガスは地点2に移り、温度が60℃となり、この地点で水が加えられ、地点3に到達する。地点4(40℃)まで冷却され、その後、地点5まで排水されると、上昇した温度である40℃と100%の湿度が保持される。
【0184】
疑義の発生を防止するために付記すれば、本発明は発熱および吸熱反応のどちらにも拡張される。さらに、発熱反応は、ガスを発生させず、単純に反応チャンバ内の温度を上昇させるように発熱させるために使用されてもよい。この熱はその後、インサフレーション用のガスの発生に使用される反応の中で使用されてもよい。
【0185】
実験結果
炭酸ガスを発生させるための反応を使って試験を行った。より詳しくは、重炭酸ナトリウム400gとクエン酸200gを円筒形の反応チャンバ内に導入した。これらを混合し、60mlの熱湯を加えて反応を開始させた。反応チャンバをマニホルド(加熱された標準的なアルミニウム製空気圧式分配装置)に接続して、発生されたガスを捕捉し、それを貯蔵タンク(フエスト社製空気貯蔵タンク)に誘導した。CPS流量計を使って流量を測定し、またCheckMate CO濃度テスタを使って炭酸ガスの濃度を測定し、それから得たデータを、LabView SignalExpressロガを使って記録した。
【0186】
水を加えた直後に、炭酸ガスの産生が始まり、その結果、反応容器と貯蔵タンク両方の圧力が上昇した。記録された濃度が図14aに示されており、流れストリームの温度が図14bに示されている。図14aに示されるように、反応チャンバから流れるガスの濃度は炭酸ガス100%に急速に近付き、これが略1時間保持された。流量は実験中、約1L/分に保持され、ストリームの温度は約20分で40℃に上昇した後、約45℃の最高値に到達し、その後、反応物質がなくなるにつれて徐々に低下した。
【0187】
実験は、化学反応を使って、加熱され(および加湿された)高濃度の炭酸ガスを発生させることが容易に可能であることを示している。さらに、比較的単純な構成であっても、略一定のガス流量を約60分間発生させることが可能であった。さらに、凝縮による小滴が出口ガス管において観察され、これはガスの湿度が高くなったことを示している。
【0188】
文脈上明確に他の解釈が必要な場合を除き、説明文全体を通じて、「含む(comprise)、「含んでいる(comprising)」等の用語は、排他的または網羅的な意味としてではなく、含有的な意味、すなわち「含むが限定されない」という意味で解釈されるものとする。
【0189】
本発明は、そのありうる実施形態に関して例として説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、その変更形態または改良形態をなすことができると理解されるべきである。本発明はまた、広い意味において、本願の明細書中で言及された、または示された部品、要素、および特徴の個々に、または前記部品、要素または特徴の2つ以上をあらゆる組み合わせとしてまとめたものにあると言える。さらに、既知の均等物を有する本発明の特定の構成要素または整数に言及されている場合、このような均等物も、個々に明記されているかのように本明細書に含められる。
【0190】
本明細書全体を通じた先行技術のいずれの説明も、このような先行技術が広く知られている、または当技術分野での共通の一般的知識の一部を構成することを認めているとみなされるべきではない。
図1
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図8
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