特許第6764981号(P6764981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6764981
(24)【登録日】2020年9月16日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】介護用入浴寝台
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20200928BHJP
   A47K 3/12 20060101ALI20200928BHJP
   E05C 1/12 20060101ALI20200928BHJP
   A47C 20/04 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   A61H33/00 Z
   A47K3/12
   E05C1/12
   A47C20/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-137392(P2019-137392)
(22)【出願日】2019年7月26日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】曽根 孝則
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−300370(JP,A)
【文献】 実開昭48−093908(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3000379(JP,U)
【文献】 特開2006−340797(JP,A)
【文献】 特開2000−287775(JP,A)
【文献】 特開2018−057739(JP,A)
【文献】 特開2004−305624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
A47C 20/04
A47K 3/12
E05C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者を載せて浴槽に浸漬することができる寝台であって、座部と、当該座部の後部側に設けられ基端部において当該座部に対して垂直面内で回動可能に連結される背もたれ部と、当該背もたれ部の前記座部に対する傾斜角度を起立方向にラチェット式に段階的に切り替える切り替え機構とを備え、
前記切り替え機構は、前記座部の後部の左右両側に設けられるブラケットに支持され前記座部の左右に渡るように配置されるロック軸と、前記背もたれ部の基端側の左右両側に設けられ当該背もたれ部の傾斜角度の各段階において前記ロック軸とラチェット式に係脱する複数の係合凹部を具備するギア部材とを具備し、
前記ロック軸は、前記ギア部材の係合凹部に係合して前記背もたれ部の転倒方向の回動を抑止する支持位置と係合凹部から離脱した解放位置との間で軸線直交方向に移動自在で、支持位置側に付勢されると共に、前記ギア部材と対向したとき当該ギア部材との係合が解除される解除凹部を延長途上に有し、当該解除凹部が前記ギア部材に対向する解除位置と対向しない非解除位置との間を軸線方向に移動操作可能に構成されることを特徴とする介護用入浴寝台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被介護者が寝台に着座した状態で介護者がリフト装置等を用いて被介護者を寝台とともに浴槽に入槽させることができる介護用の入浴寝台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に入浴用車椅子が提案されている。この入浴用車椅子は、座部と、座部の後端側に設けられ、座部に垂直面内で回動可能に連結されるバックレスト部と、バックレスト部の座部に対する傾きを段階的に切り替える切り替え機構とを備える。切り替え機構は、バックレスト部の後面側に配置される操作レバー部と、操作レバー部に取り付けられるロック軸と、座部の後方下部側に設けられ、後方に延びる延出部を含む位置決め板と、延出部に設けられ、ロック軸と係合する溝部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−57739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の入浴用車椅子とは構成の異なる、簡易で堅牢な構造で、背もたれ部の傾斜角度の調整操作が容易なリクライニング機構を有する介護用入浴寝台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の介護用入浴寝台1は、座部2と、当該座部2の後部に設けられ、基端部において当該座部2対して垂直面内で回動可能に連結される背もたれ部3と、当該背もたれ部3の座部2に対する傾斜角度を起立方向にラチェット式に段階的に切り替える切り替え機構4とを備える。切り替え機構4は、ロック軸6とギア部材7とを具備する。ロック軸6は、座部2の後部の左右両側に設けられるブラケット8に支持され、座部2の左右に渡るように配置される。ギア部材7は、ロック軸6とラチェット式に係脱する複数の係合凹部71を具備する。ロック軸6は、ギア部材7の係合凹部71に係合して背もたれ部3の転倒方向の回動を抑止する支持位置と係合凹部71から離脱した解放位置との間で軸線直交方向に移動自在で、支持位置側に付勢され、かつギア部材7と対向したとき当該ギア部材7との係合が解除される解除凹部62を延長途上に有し、当該解除凹部62がギア部材7に対向する解除位置と対向しない非解除位置との間を軸線方向に移動自在に構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の介護用入浴寝台は、簡易で堅牢な構造で、背もたれ部の傾斜角度の調整操作が容易であるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る介護用入浴寝台の斜視図であり、座部に対して背もたれ部の傾斜角度を45°とした状態を示す。
図2図1の介護用入浴寝台の座部に対して背もたれ部の傾斜角度を0°とした状態を示す斜視図である。
図3図1の介護用入浴寝台の座部に対して背もたれ部の傾斜角度を0°とした状態における切り替え機構部の斜視図である。
図4図2の介護用入浴寝台における切り替え機構部の一部の平面図である。
図5図4におけるV−V断面図である。
図6図1の介護用入浴寝台の座部に対して背もたれ部の傾斜角度を0°から15°に切り替える過程を示す説明図である。
図7図1の介護用入浴寝台の座部に対して背もたれ部の傾斜角度を35°から45°に切り替えた後、背もたれ部の支持を解除する過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1図2において、介護用入浴寝台1は、例えば図示しないストレッチャ上に着脱自在に構成され、使用時には、被介護者が着座した状態で、ストレッチャから分離し、リフト装置等を用いて被介護者と共に吊り上げて浴槽に浸漬させることができる。
【0009】
寝台1は、例えば図示しないストレッチャ等の上に着脱自在の座部2と、これに対する傾斜角度を0°から45°まで変更できるように、座部2の後部に枢着される背もたれ部3とを具備する。背もたれ部3と座部2との間には、背もたれ部3の座部2に対する傾斜角度を起立方向に段階的に変えることができ、転倒方向には所望の傾斜角度で固定されるラチェット式の切り替え機構4が設けられる。
【0010】
座部2は、ステンレスパイプ材を概略矩形状に組んでなり、後部左右に、上方へ起立した枢支部21を具備する。背もたれ部3は、ステンレスパイプ材を概略コ字状に屈曲させてなり、平行な左右一対の脚部31の基端において、座部2の枢支部21に枢ピン5で枢支される。
【0011】
切り替え機構4は、ロック軸6とギア部材7とを具備する。ロック軸6は、座部2の後部左右両側に設けられるブラケット8に支持され、座部2の左右に渡るように配置される。ロック軸6は、ブラケット8から外側へ延出した一端側に、これを軸線方向に押し引きするための操作ハンドル部61を具備する。ギア部材7は、背もたれ部3の両脚部31の基端側に固着され、ロック軸6とラチェット式に係脱する複数の係合凹部71と、隣接する係合凹部71間に放射状に突出するの歯部72とを具備する。
【0012】
ブラケット8は、座部2の左右に渡って固着された取り付け板9上に固着される。ブラケット8は、図5によく示すように、斜め上下方向の長孔81を具備する。ロック軸6は、この長孔81に軸方向移動自在、かつ長孔81の長軸に沿って斜め上下に移動自在に支持され、また、内装されたばね82により、長孔81の下端側の支持位置へ付勢される。
【0013】
ロック軸6は、図6(C)、図7(A)に示すように、下方の支持位置においてギア部材7の係合凹部71に係合して背もたれ部3を所定の傾斜角度で支持し、図6(B)、図7(B)に示すように、上方の非支持位置において係合凹部71から離脱して背もたれ部3を解放する。
【0014】
ギア部材7は、背もたれ部3の両脚部31間に渡って固着された取り付け板10上に左右一対固着される。ギア部材7の係合凹部71は、背もたれ部3の枢支点(ピン5)を中心とする円弧上に、相互に15°の間隔を置いて4つ設けられ、ロック軸6に対向するように配置される。したがって、ギア部材7は背もたれ部3と一体にその枢支点5を中心に回動する。
【0015】
ギア部材7の枢支点5がロック軸6より上方に配置され、係合凹部71が斜め下方に開口部を向け配置されるので、ロック軸6が係合凹部71に係合した図6(C)、図7(A)の状態で、背もたれ部3にかかる荷重は係合凹部71を介してロック軸6に下向きにかかる。ロック軸6は、長孔81の下端にあって下方向には固定される。したがって、ロック軸6が係合凹部71に係合した状態で背もたれ部3は転倒方向(図において反時計方向)へ回動することができない。しかし、背もたれ部3が起立方向(図において時計方向)へ押されると、図6(B)、図7(B)に示すように、ギア部材7が、歯部72でロック軸6を非支持位置へ押し上げ、ロック軸6が係合する係合凹部71を順次反時計方向隣接するに係合凹部71に移すので、背もたれ部3の傾斜角度は起立方向に15°ずつ段階的に変化する。図7(C)に示すように、背もたれ部3の傾斜角度が45°に達すると、起立回転方向に歯部72がないので、ロック軸6を非支持位置へ押し上げることができず、背もたれ部3は傾斜角度45°で固定される。
【0016】
図4図7(D)に示すように、ロック軸6は、その延長途上に解除凹部62を具備する。例えば、背もたれ部3が傾斜角度45°で固定された図7(C)の状態で、操作ハンドル部61を握ってロック軸6を図4において右へ軸線方向に移動操作(例えば5mm程度右へ引き出す。)し、解除凹部62がギア部材7に対向する解除位置へ配置すると、図7(D)に示すように、ギア部材7が解除凹部62に嵌合して、ロック軸6による支持を失う。この状態でギア部材7は解放され、自由回動可能となり、背もたれ部3を傾斜角度0°の初期位置へ戻すことができる。ロック軸6を解除位置から軸線方向反対側へ移動操作(例えば5mm程度左へ押し込む。)して、ロック位置へ戻すと、図4に示すように、解除凹部62がギア部材7からずれて、ロック軸6をギア部材7と再びラチェット係合させることができる。ロック軸6が軸線方向に移動するとき、ばね82が屈曲してこれを許容する。なお、ロック軸6は、長孔81の縁部に摺接して軸周りの回転を抑止するための平坦面63を具備する。
【0017】
以上のように、本発明の介護用入浴寝台1は、簡易な構成で、堅牢であり、水没環境に不適なグリスの使用を必要とせず、また安価に提供できる。
【符号の説明】
【0018】
1 介護用入浴寝台
2 座部
3 背もたれ部
31 脚部
4 切替え機構
5 枢ピン
6 ロック軸
61 操作ハンドル部
62 解除凹部
63 平坦面
7 ギア部材
71 係合凹部
72 歯部
8 ブラケット
81 長孔
82 ばね
【要約】
【課題】簡易で堅牢な構造で、背もたれ部の傾斜角度の調整操作が容易な介護用入浴寝台を提供する。
【解決手段】介護用入浴寝台1は、座部2と、これに枢支される背もたれ部3と、背もたれ部3の座部2に対する傾斜角度を起立方向にラチェット式に段階的に切り替える切り替え機構4とを備える。切り替え機構4は、ロック軸6とギア部材7とを具備する。ロック軸6はブラケット8の長孔81に支持され、ギア部材7の係合凹部71にラチェット式に係脱するように付勢される。ロック軸6は、軸線方向の移動操作で、解除凹部62をギア部材7と対向させたとき、ギア部材7との係合が解除され、背もたれ部3が解放される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7