特許第6765100号(P6765100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765100
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】視野外障害物検知システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20200928BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20200928BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20200928BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   G08G1/16 A
   B60R21/00 992
   B60R21/0134
   G08G1/09 H
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-170289(P2016-170289)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-36920(P2018-36920A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(73)【特許権者】
【識別番号】501392361
【氏名又は名称】株式会社 オプトクエスト
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】川西 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福光 賢
【審査官】 田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−120574(JP,A)
【文献】 特開2006−315448(JP,A)
【文献】 特開2000−143336(JP,A)
【文献】 特開2007−128235(JP,A)
【文献】 特開2005−231450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(11)に取り付けられた電波源(13)からの電波を受信する電波受信部(15)と,
車両(17)に取り付けられ,外界の障害物を検知する1又は複数の外界センサ(19)と,を有し,
前記電波受信部(15)が,前記対象物(11)からの電波を受信した場合であって,前記外界センサ(19)が前記対象物(11)を検知しなかったときに,第1の警報を発生させる警報発生部(21)を有し,
前記警報発生部(21)は,
前記電波受信部(15)が,前記対象物(11)からの電波を受信し,かつ,前記外界センサ(19)が前記対象物(11)を検知した場合であって,前記車両(17)と前記対象物(11)との距離が所定の距離以上と判断したときにも第1の警報を発生させる,
視野外障害物検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の視野外障害物検知システムであって,
前記警報発生部(21)は,
さらに,前記電波受信部(15)が,前記対象物(11)からの電波を受信した場合であって,前記外界センサ(19)が前記対象物(11)を検知したときに,第2の警報を発生させる,
視野外障害物検知システム。
【請求項3】
請求項1に記載の視野外障害物検知システムであって,
さらに,前記車両(17)に取り付けられ,前記電波を発生するための電波発生装置(23)を有し,
前記電波源(13)は,前記電波発生装置(23)からの電波を反射する電波反射装置を含む,
視野外障害物検知システム。
【請求項4】
請求項1に記載の視野外障害物検知システムであって,
前記電波は,マイクロ波帯以下の周波数を有する電波である,視野外障害物検知システム。
【請求項5】
請求項1に記載の視野外障害物検知システムであって,
前記1又は複数の外界センサ(19)は,前記電波源(13)からの電波の周波数の5倍以上の周波数を有する第2の電波を用いるものである,
視野外障害物検知システム。
【請求項6】
請求項1に記載の視野外障害物検知システムであって,
前記1又は複数の外界センサ(19)は,前記車両(17)の前方の視野を撮影する,視野外障害物検知システム。
【請求項7】
請求項1に記載の視野外障害物検知システムであって,
前記車両(17)に取り付けられた運転手の視野方向を選出する視野方向選出装置(25)をさらに有し,前記1又は複数の外界センサ(19)は,前記運転手の視野方向の視野を撮影する,視野外障害物検知システム。
【請求項8】
請求項3に記載の視野外障害物検知システムであって,
前記警報発生部(21)は,前記電波受信部(15)が受信した電波の周波数と,前記電波発生装置(23)が発生した電波の周波数差を求め,求めた周波数差が所定の値以下であれば,第1の警報を発生させない,視野外障害物検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,車の運転手に対して,建物の影に存在する人の存在を通知できるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2015−191583号公報(特許文献1)には,自己車両を他車両が認識していることを確認する認知通報装置が記載されている。
次に,特開2011−118483号公報(特許文献2)には,自己車両の周辺映像を撮影するとともに,自己車両に近接する物体を抽出し,運転手に注意を促す車載装置が記載されている。
また,特開2011−037318号公報(特許文献3)には,障害物の有無を検知するとともに,運転手が障害物を認識した場合に車の移動を許可する走行安全装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−191583号公報
【特許文献2】特開2011−118483号公報
【特許文献3】特開2011−037318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2015−191583号公報(特許文献1)に記載された発明は,車両同士がお互いに認知していることを確認するものである。したがって,この発明は,人の認知には用いられない。
【0005】
特開2011−118483号公報(特許文献2)に記載された発明は,車両の周辺を認識するものである。このため,この発明は,視認できない対象物を認識できない。
【0006】
特開2011−037318号公報(特許文献3)に記載された発明は,障害物を運転手が認識したことを確認し,車両の移動を許可するものである。このため,この発明は,視認できない対象物を認識できない。
【0007】
従来の車両用障害物認知装置は,視認できる物体を障害物として認知していた。これでは,例えば,こどもの飛び出しといった,視認できない障害物を認知できない。例えば,GPSを用いるなどして自己車両の周辺にある障害物をすべて認知しようとすると,運転手が視認できている対象物まで含めて全て警報が出されることとなる。このため,最も危険な,突然の飛び出しに対する注意が散漫となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで,本発明は,視認系と全対象系とに分けて自己車両の周辺に存在する対象物(特に自己車両方向に移動する対象物)を把握し,全対象系で把握される対象物のうち視認系で把握されない対象物がある場合には,運転手に注意を喚起するため,何らかの警告を行うというものである。もちろん,視認系で把握される対象物についても,モニタ等に表示し,警告を行いつつ,上記の注意喚起を行ってもよい。つまり,視認系のみ,又は視認系及び全対象系で把握される対象物がある場合は,視認可能な対象物の存在を通知し,運転者の注意を促し,全対象系のみで把握される対象物が存在する場合は,危険度が高い対象物があることを運転手に通知してもよい。
【0009】
人などの対象物は,電磁波を発するもの,又は電磁波を反射するものを有している。一方,車に搭載されたシステムは,視野を再現する外界センサと,電磁波を受信するものを有している。このため,このシステムは,人からの電磁波を感知し,対象物の位置を把握する。そのうえで,人からの光を受け,視野を再現した場合の対象物の位置を把握する。電磁波で感知した対象物に,視野を再現した場合の対象物ではないものが含まれる場合,それは,運転手が視認できない位置に存在する人である。このため,そのような場合は,何らかの警報を,運転手に対して通知する。
【発明の効果】
【0010】
この発明は,こどもの飛び出しといった悲惨な事故を効果的に防止することができるので,極めて社会性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は,本発明の視野外障害物検知システムの概要を示す図である。
図2図2は,本発明の視野外障害物検知システムの概要を示す図である。
図3図3は,本発明の視野外障害物検知システムの概要を示すブロック図である。
図4図4は,カーナビゲーションの出力例を示す図である。
図5図5は,カーナビゲーションにおいて警報が表示された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0013】
図1は,本発明の視野外障害物検知システムの概要を示す図である。図1に示されるように,このシステムは,対象物11に取り付けられた電波源13からの電波を受信する電波受信部15と,車両17に取り付けられ,外界の障害物を検知する1又は複数の外界センサ19と,を有する。そして,このシステムは,所定の警報を発生するための警報発生部21を有する。図1の例では,電波受信部15が車両17に取り付けられている。しかし,電波受信部15は,車両17以外の部分に取り付けられており,車両17が有する制御部や,警報発生部21に情報を送信できるようになっていてもよい。
【0014】
視野外障害物検知システムは,主に車両の運転者が視認できない障害物を検知するためのシステムである。視野外障害物検知システムは,携帯端末によって実現されてもよいし,車両17に搭載されたシステムであってもよい。
【0015】
対象物11の例は,車,ベビーカー,自転車,人及びペットである。対象物の具体的な例は,人であり,好ましい対象物は,子供,障害者又は老人である。電波源13は,電波13を発生又は反射できるものである。電波源13は,自ら電波を発生するものであってもよいし,電波を反射するものであってもよい。図2は,車両17に取り付けられた電波発生装置23を有するものの例を示す。この場合,電波源13は,電波発生装置23からの電波を反射する電波反射装置であってもよい。また,電波源13からの信号を受信した場合に,所定の電波を発生するものであってもよい。このような電波源13は,例えば携帯端末のアプリケーションにより実装できる。つまり,このアプリケーションは,携帯端末の受信部が,電波源13からの電波を受信した場合に,携帯端末の記憶部から情報を読み出して,携帯端末の出力部に所定の信号を発信するように制御するものであればよい。電波を反射するものの例は,反射板である。具体的な電波源13の例は,靴,校章,ワッペン,ランドセル,携帯端末又はベルトに取り付けられた反射シート又は反射板である。車両17の例は,自動車,作業用車両,及び自転車である。
【0016】
電波源13又は電波発生装置23が放出する電波は,マイクロ波帯以下の周波数を有する電波であることが好ましい。この電波の例は,ISMバンドであり,2.4GHz,5GHz,及び27MHzといったマイクロ波帯以下の電波であることが好ましい。電波受信部15の例は,アンテナである。
【0017】
外界センサ19の例は,車装カメラ,撮影装置及び解析装置,障害物センサ,車両検知センサである。車装カメラ,撮影装置及び解析装置の例は,車両17の前方の視野を撮影するものである。1又は複数の外界センサ19は,電波源13又は電波発生装置23が放出する電波の周波数の5倍以上の周波数を有する第2の電波を用いるものが好ましい。外界センサ19がセンシングに用いる電波の例は,赤外線などの光や,60GHz帯などのミリ波である。
【0018】
このシステムの好ましい例は,車両17に取り付けられた運転手の視野方向を選出する視野方向選出装置25をさらに有するものである。視野方向選出装置25の例は,JINS MEMEなどのウェアラブルデバイスであってもよい。このウェアラブルデバイスは,運転手のジャイロセンサ等で視野方向を解析し,制御部へ伝える。制御部は,ウェアラブルデバイスからの情報をもとに,運転手の視野方向を決定する。そして,制御部は,下界センサ19のアクチュエータを制御し,下界センサが撮影等する方向を制御する。このようにして,1又は複数の外界センサ19が,運転手の視野方向の視野を撮影できる。
【0019】
図3は,このシステムのブロック図である。図3に示されるように,このシステムは,例えば,電波受信部15と,外界センサ19,警報発生部21,電波発生装置23,解析部31,及び出力部33を有し,それぞれ情報の授受を行うことができるように接続されている。電波発生装置23はなくても構わない。また,上記以外の要素と情報の授受を行うことができるようにされていてもよい。解析部31は,入出力部,演算部,制御部及び記憶部を有している。そして,入出力部から情報が入力された場合,制御プログラムの指令に基づいて,適宜記憶部から情報を読み出し,演算部に演算処理を行わせ,記憶部に適宜記憶させるほか,入出力部から所定の信号を出力できるようにされている。
【0020】
以下,図3を用いて,視野外障害物検知システムの動作例を説明する。1又は複数の外界センサ19が所定方向の画像を撮影する。この場合,先に説明したように,運転手の視野方向の視野を撮影してもよい。下界センサ19が撮影した画像は,解析部31に伝えられる。解析部31は,例えば,カーナビゲーションシステムや対象物認証装置(例えば,人認証装置)における記憶部,演算部及び制御部を有していてもよい。すると,解析部31は,外界センサ19が撮影した画像データと,記憶部が記憶する対象物に関するデータとを照合して,外界センサ19が撮影した画像に,人が含まれるか検知する。また,カーナビゲーションシステムの記憶部のデータを読み出して,外界センサ19による撮影画像が,周囲環境と一致しているか否かの判定を行ってもよい。このようにして外界センサ19は,対象物(例えば人)を特定する。また解析部31は,撮影画像に基づいて,対象物の位置を推測する。そのうえで解析部31は,対象物とその位置情報を記憶する。この対象物は,ひとつとは限らない。この対象物を視認による対象物とする。
【0021】
一方,電波受信部15が対象物からの電波を受信する。この電波は,対象物11の電波源13が発生するものであってもよいし,電波発生装置23から発生された電波を対象物11の電波源13が反射したものであってもよい。解析部31は,電波受信部15が受信した電波を解析し,受信した電波を発した対象物の位置を特定する。例えば,電波が,電波発生装置23から発生されたものである場合は,受信した電波の周波数変化(送信した電波と受信した電波の周波数差)や,受信した電波の方角を用いて,電波を送信した時間と受信した時間の差を用いて,対象物の位置を特定できる。そのうえで,対象物とその位置情報を記憶部に記憶させる。この対象物を電波による対象物とする。
【0022】
解析部31は,記憶部から,視認による対象物及びその位置,電波による対象物及びその位置を読み出す。解析部31は,そのうえで,各対象について,電波による対象物であり視認による対象物でないものを求める。解析部31は,視認による対象物でもあり,かつ電波による対象物でもあるものを求めてもよい。さらに,解析部31は,視認による対象物でなく,かつ電波による対象物であるものを求めてもよい。また,所定のルールに従った対象物の存在を求めてもよい。そのうえで,解析部31は,警報発生部21へ所定の制御信号を出力する。警報発生部21は,警報信号を出力部33へ出力する。すると,出力部33は,警報を出力する。
【0023】
次に,カーナビゲーションシステムを併用した例を示す。図4は,カーナビゲーション画像の例を示す図である。
【0024】
車両17に取り付けられた電波発生装置23が電波を放出する。この電波は,例えば,常に送信され続けていてもよい。一方,カーナビゲーションシステムの記憶部に電波放出地点(及び進行方向)を記憶しておき,GPSなどで電波放出地点に到達したと判断した際に電波発生装置23が電波を放出するようにしてもよい。また,電波放出地点に到達し,さらに所定方向に車両17が進行している場合に,電波発生装置23が電波を放出するようにしてもよい。電波放出地点は,例えば,過去一定以上の事故が発生している個所へ向かう地点や,壁12が存在するなど,視界が遮られる位置に向かう地点である。電波放出地点は,幼稚園や小学校の通学路であってもよい。
【0025】
警報発生部21は,所定の条件を満たす場合に,運転手に警告音を鳴らすか,振動や光により,注意を促すものであってもよいし,車内の画面に警告を示す文字,アイコン,キャラクタを表示させるものであってもよい。社内の画面の例は,カーナビゲーション端末である。
【0026】
図5は,警報表示がなされたカーナビゲーション画像の例を示す図である。図5中の矢印は,カーナビゲーションにより示された車両の進行方向である。また,図5では,人を示すアイコンが,対象物の位置に点灯している。この例では,対象物11は,壁12に隠れて,車両からは視認できない。このように,警報発生部21は,カーナビゲーション画像に,壁の背後に,子供などの対象が存在することを示し,運転手に注意を促すことができる。
【0027】
以下に,警報発生例を説明する。
【0028】
この例は,警報発生部21は,電波受信部15が対象物11からの電波を受信した場合であって,外界センサ19が対象物11を検知しなかったときに,第1の警報を発生させるものである。
【0029】
この例は,外界センサ19が撮影情報を解析部31へ送る。すると,解析部31は,外界センサからの情報に基づいて,建物の情報を再現する。一方,解析部31は,例えば,車両17の位置や進行方向に関する情報からカーナビゲーションシステムの記憶部の情報を読み出し,カーナビゲーション画像における建物の情報と一致するか検討する。また,解析部31は,外界センサ19の撮影情報に基づいて,人,子供,幼児,ベビーカー,老人など,注意すべき対象が存在すること,及びその位置を分析する。画像に基づいて,対象やその位置を分析する方法は公知である。例えば,対象を記憶部に記憶させておき,撮影画像とパターンマッチングすることで,対象を把握できる。また,車両の進行方向や,外界センサの方向と,撮影画像中の方向,位置情報を用いることで,対象の位置を分析できる。解析部31は,外界センサ19の情報に基づいて解析した対象の種類や対象の位置情報を記憶部に記憶する。
【0030】
一方,電波受信部15は,電波発生装置23が電波を放出し,対象物11の電波源13から反射等された電波を受信する。電波受信部15は,対象物11の電波源13が放出した電波を受信してもよい。電波受信部15は,電波発生装置23が放出した電波と受信した電波の周波数変動を用いて,対象物11と車両との距離を把握してもよい。また,受信した電波の方向や強度から,対象物11の位置や距離を把握してもよい。
【0031】
次に,解析部31は,記憶部に記憶された外界センサ19に基づく対象物と,電波受信部15が受信した電波に基づく対象物とを比較する。そのうえで,電波受信部15が受信した電波に基づく対象物のうち,外界センサ19に基づく対象物に存在しないものがあった場合に,警報発生部21へ第1の警報を出力するように指令を出す。すると,警報発生部21は,出力部33に第1の警報を出力する。このようにして,電波受信部15が対象物11からの電波を受信した場合であって,外界センサ19が対象物11を検知しなかったときに,警報を出力することができる。
【0032】
なお,警報発生部21は,さらに,電波受信部15が,対象物11からの電波を受信した場合であって,外界センサ19が対象物11を検知したときに,第2の警報を発生させるようにしてもよい。この場合,視認できる対象物11が存在する場合にも警報を発生させることができるとともに,視認できない対象物11が存在する場合に,これと異なる警報を発生できるので,運転手に注意を促すことができる。
【0033】
なお,この例は,カーナビゲーションシステムに目的地が入力され,目的地までのルートが求められている場合に,目的地までの進行方向に,対象物11が存在する場合にのみ第1の警報又は第2の警報を出力するようにしてもよい。この場合,進行方向以外の位置に対象物11が存在した場合に,運転手が警報に驚き,進行方向以外の方向へ進路を変更させてしまい,かえって対象物を危険にさらすという事態を防止できる。
【0034】
警報発生部21の上記とは別の例は,電波受信部15が,対象物11からの電波を受信し,かつ,外界センサ19が対象物11を検知した場合であって,車両17と対象物11との距離が所定の距離以上と判断したときにも第1の警報を発生させるものである。運転手が近視であるなど,比較的遠方の対象物11に気づかない場合,外界センサ19で把握され,しかも所定以上の距離にある対象物が存在する場合に,警報を発するようにすることで,事故を防止できる。これは,例えば,電波発生装置23が電波を放出し,電波受信部15が,対象物11の電波源13から反射等された電波を受信した時間差(時間遅延)の大きさを解析部が解析し,時間遅延が閾値より大きい場合に,対象物11の距離が所定以上であると判断してもよい。
【0035】
また,解析部31は,電波受信部15が受信した電波に基づく対象物であって,外界センサ19に基づく対象物にも存在するものであっても,これらの対象物についての測定距離(位置情報)に所定以上の相違がある場合は,第1又は第2の警報又は第3の警報を出力するようにしてもよい。これは閾値を記憶部に記憶させ,対象物の位置の差を求め,閾値と対象物の位置の差を比較することより実行できる。
【0036】
視野外障害物検知システムの別の例は,警報発生部21は,電波受信部15が受信した電波の周波数と,電波発生装置23が発生した電波の周波数との差を求め,求めた周波数差が所定の値以下であれば,第1の警報を発生させないものである。この周波数差が小さい場合は,対象物11が車両の近傍に存在することがあり,この場合に警報を発生させると,かえって運転手を驚かせ,冷静な判断を失わせる恐れがあるからである。これは,記憶部が,電波受信部15が受信した電波の周波数と,電波発生装置23が発生した電波の周波数とを記憶し,演算部がそれらの周波数差を求め,記憶部が記憶した閾値を読み出すとともに,演算部が閾値と周波数差とを比較すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は,自動車産業などにおいて利用されうる。
【符号の説明】
【0038】
11 対象物
12 壁
13 電波源
15 電波受信部
17 車両
19 外界センサ
21 警報発生部
23 電波発生装置
31 解析部
33 出力部
図1
図2
図3
図4
図5