(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の観測方向のそれぞれについて、前記テクスチャ画像から、当該観測方向から仮想的に見たときの前記背面を表すテクスチャ画像を生成する仮想テクスチャ生成手段、を更に含み、
前記合成手段は、前記複数の観測方向のそれぞれについて、当該観測方向についての前記等高線画像と前記テクスチャ画像とを合成した合成画像を生成する、
請求項1に記載の画像生成装置。
前記3次元形状データに基づき、前記テクスチャ画像のうち前記背面の背景となっている背景部分を特定し、前記テクスチャ画像のうち前記背景部分の画像を前記背面と区別可能となるよう加工する加工手段、を更に含み、
前記合成手段は、前記加工手段により加工された前記テクスチャ画像と前記等高線画像とを合成して前記合成画像を生成する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のモアレカメラは同カメラの観測方向を基準とした2D等高線画像を生成するため、撮影時に評価対象者(すなわち被写体)の姿勢をカメラに対して正対させる必要がある。しかし、モアレカメラにより生成される等高線は、わずかな評価対象者の動きや姿勢に大きく影響されてしまう。また、一旦撮影し終えた画像に対して異なる視点からの等高線を再生成することができないため、適切な等高線画像が得られない場合には、撮影をやり直す必要がある。
【0008】
特許文献1のシステムが表示する凹凸状態と高低差の情報は、モアレカメラが生成する等高線画像と見た目が大きく異なるため、診断者がそれら情報を理解するのに手間が掛かる。
【0009】
特許文献2の方法により生成される等高線画像は、モアレカメラが生成する等高線画像と似た見た目とすることは可能であるが、輝度信号の同じ量子化レベルの画素を繋ぐという方式では高さの精度が高くないと考えられる。
【0010】
本発明は、背面の等高線画像を表示した画像を生成可能で、モアレカメラよりも利便性が高く、輝度信号の量子化レベルに基づいて等高線画像を生成する方法よりも精度が高い等高線画像を提供可能な装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一つの側面では、評価対象者の背面を撮影して得られた前記背面のテクスチャ画像及び3次元形状データを取得する手段と、前記3次元形状データから、前記背面の等高線を表す等高線画像を生成する生成手段と、前記生成手段が生成した前記等高線画像と前記テクスチャ画像とを合成して合成画像を生成する合成手段と、前記合成手段が生成した合成画像を出力する出力手段と、を含む画像生成装置を提供する。
【0012】
一つの態様では、前記生成手段は、前記3次元形状データから、異なる複数の観測方向のそれぞれについて、当該観測方向についての前記背面の等高線画像を生成し、前記合成手段は、前記複数の観測方向のそれぞれについて、当該観測方向についての前記等高線画像と前記テクスチャ画像とを合成した合成画像を生成する。
【0013】
別の態様は、前記複数の観測方向のそれぞれについて、前記テクスチャ画像から、当該観測方向から仮想的に見たときの前記背面を表すテクスチャ画像を生成する仮想テクスチャ生成手段、を更に含み、前記合成手段は、前記複数の観測方向のそれぞれについて、当該観測方向についての前記等高線画像と前記テクスチャ画像とを合成した合成画像を生成する。
【0014】
更に別の態様では、前記出力手段は、前記合成手段が生成した前記複数の観測方向のそれぞれについての前記合成画像を画面に表示する手段と、それら各観測方向についての前記合成画像のうちユーザから選択を受け付ける手段と、前記ユーザから選択された前記合成画像を前記評価対象者の識別情報と対応付けて、所定のデータベースに登録する手段と、を含む。
【0015】
更に別の態様では、前記生成手段は、前記3次元形状データから、前記評価対象者の前記背面を撮影したときの撮影方向とは異なる第2の方向を観測方向としたときの等高線画像を生成し、前記合成手段は、前記第2の方向を前記観測方向としたときの前記等高線画像と前記テクスチャ画像とを合成する。
【0016】
更に別の態様では、前記テクスチャ画像から、前記背面を前記観測方向である前記第2の方向から仮想的に見たときのテクスチャ画像を生成する仮想テクスチャ生成手段、を更に含み、前記合成手段は、前記第2の方向についての前記等高線画像と前記テクスチャ画像とを合成した合成画像を生成する。
【0017】
更に別の態様は、前記3次元形状データに基づき、前記テクスチャ画像のうち前記背面の背景となっている背景部分を特定し、前記テクスチャ画像のうち前記背景部分の画像を前記背面と区別可能となるよう加工する加工手段、を更に含み、前記合成手段は、前記加工手段により加工された前記テクスチャ画像と前記等高線画像とを合成して前記合成画像を生成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、背面の等高線画像を表示した画像を生成可能な、モアレカメラよりも利便性の高い装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
図1に、本発明に係る背面診断画像生成システムの一実施形態の機能構成を例示する。図示したように、このシステムは、3D計測装置10、データ分離部12、等高線画像生成部14、画像合成部16及び出力部18を備える。
【0021】
3D計測装置10は、評価対象者(例えば診断対象の患者)の背面の3D形状を計測する装置である。3D計測の手法には、三角測量の原理に基づくもの(例えばステレオ法、光切断法、位相シフト法)、TOF(Time of Flight:光飛行時間)に基づくものなど、いくつかの方式があるが、3D計測装置10はそのいずれの方式を用いるものでもよい。
【0022】
好適には、3D計測装置10として、被写体の3D形状データとテクスチャ画像とを、実質上同じ光軸及び画角で撮影可能なものを用いる。例えば、ステレオ法、光切断法、位相シフト法等の方式を用いる3D計測装置は、この条件を満たす場合が多い。なお、テクスチャ画像とは、被写体からの自然光や照明光の反射を撮影した画像であり、例えば一般的なカメラで撮影されるカラーまたはモノクロの画像がその代表例である。3D計測装置10は、撮影により得た3D形状データとテクスチャ画像を出力する。3D形状データは、例えば、画像内の各画素の奥行き(距離)zの値を持つ距離画像の形式で表現される。
【0023】
なお、評価対象者のテクスチャ画像を撮影するためのカメラを3D計測装置10とは別体のものとして用意してもよい。ただし、この場合、そのカメラと3D計測装置10の3次元的な位置、光軸方向、画角などの要件は既知であるとする。これらの要件が既知であれば、カメラが撮影したテクスチャ画像と3D計測装置10が生成した3D形状データとを、同一光軸及び同一画角の状態に変換し、合成することが可能になる。
【0024】
データ分離部12は、3D計測装置10から入力される3D形状データとテクスチャ画像とを分離し、3D形状データを等高線画像生成部14に、テクスチャ画像を画像合成部16に、それぞれ入力する。なお、データ分離部12は、3D計測装置10が、3次元形状データとテクスチャ画像とが一体となったデータ形式の出力データ(例えば、画素のRGB値及びZ座標からなる4次元座標から構成される画像データ)を出力する場合に必要である。3D計測装置10が、3D形状データとテクスチャ画像とを別々に出力可能であれば、データ分離部12はなくてよい。
【0025】
等高線画像生成部14は、3D形状データから等高線画像を生成する。等高線画像は、3D形状データが表す3D形状において同一高さの点(画素)を結んだ等高線を、一定のピッチ(高さの間隔)ごとに示した画像である。なお、ここで高さとは、3D形状に対して任意の観測位置と観測方向を設定し、観測位置を通り観測方向を法線に持つ平面を想定した場合に、その平面と3D形状の各3D座標点との垂直距離である。簡単な例としては3D形状データが距離画像の形式で表現されている場合の各画素の奥行き距離zである。従来のモアレカメラが生成するモアレ模様も、等高線を示す画像表現の一例である。
【0026】
画像合成部16は、等高線画像生成部14が生成した等高線画像と、3D計測装置10が撮影したテクスチャ画像とを合成し、合成画像を生成する。生成された合成画像は、評価対象者の背面の状態を評価するための評価用の画像として用いられる。例えば、合成画像を用いて、評価対象者が側弯症に該当するか否かの評価、又は診断が行われる。
【0027】
出力部18は、画像合成部16が生成した合成画像を出力する。この出力は、例えば、付属の表示装置の画面に表示する形態、プリンタから印刷出力する形態、診断情報データベースに評価対象者のID(患者番号等)に対応付けて登録する形態、等のうちの一以上の形態で行う。
【0028】
図2に示す具体例を参照して、画像合成部16による画像の合成について説明する。
図2において、テクスチャ画像100は評価対象者の背面を写した画像であり、等高線画像102は、評価対象者の背面の3D形状の等ピッチの等高線を示した画像である。例示した等高線画像102は、等高線上の画素の値が「1」(すなわち黒の最高濃度)、等高線以外の位置の画素の値が「0」(すなわち無色透明)である画像である。図において、黒い線が等高線104を示している。
【0029】
画像合成部16は、テクスチャ画像100に対して等高線画像102を画素単位で重畳することで、合成画像110を生成する。この例では、等高線画像102が示す等高線104がテクスチャ画像100上に書き込まれ、等高線以外の画素についてはテクスチャ画像100の画素値がそのまま有効となる。
【0030】
図2に例示した等高線画像102はあくまで一例に過ぎない。以下、
図3〜
図7を参照して、等高線画像の様々な形態について説明する。これらの図において、等高線の観測方向(すなわち高さ方向)の座標軸をZとし、等高線のピッチをpとする。また、nは任意の整数とする。
【0031】
図3に示す例では、等高線の幅を2wとした場合、np−w<Z<np+wを満たすZ座標値を持つ画素の値を、等高線104を示す値(輝度値)とする。等高線に該当する画素の等高線合成後の輝度は、同画素のテクスチャ画像における輝度よりも明確に低い値(例えば、テクスチャ画像の輝度よりも所定値だけ低い輝度、又は濃度100%の黒を示す輝度)となる。この例は、
図2に示した形態の等高線画像と同じものである。
【0032】
図4に示す例では、等高線画像は等高線ピッチpごとに明暗が切り替わる形態の画像である。この例の合成画像110Bは、2np<Z≦(2n+1)pを満たすZ座標値を持つ画素については、その画素の輝度値はテクスチャ画像の輝度値よりも低い値となり、(2n+1)p<Z≦(2n+2)pを満たすZ座標値を持つ画素については、その画素の輝度値はテクスチャ画像の輝度値よりも高い値となる。ここで、合成画像110Bとテクスチャ画像との輝度差は、固定値としてもよいし、テクスチャ画像の輝度値に応じて可変(例えばテクスチャ画像の輝度値が高くなるほど、輝度差を大きくするなど)としてもよい。
【0033】
図5に示す例では、等高線画像は、等高線ピッチpの幅内で、Z座標に応じて輝度(濃度)が徐々に変化する。図示例の合成画像110Cでは、2np<Z≦(2n+1)pを満たすZ座標値を持つ画素の輝度値は、テクスチャ画像の当該画素の輝度値をZ座標値に応じて線形に増加させた値となり、(2n+1)p<Z≦(2n+2)pを満たすZ座標値を持つ画素の輝度値は、テクスチャ画像の当該画素の輝度値をZ座標値に応じて線形に減少させた値となる。なお、Z座標値に応じた増加または減少の量は、Z=2np+p/2のときに0となるように定める。
【0034】
図6に示す例では、等高線画像は、等高線ピッチpごとに周期的に異なる色を持つ。この例では、高さZを等高線ピッチpごとに区切って複数の範囲に分ける。すなわち、個々の範囲はnp<Z≦(n+1)pを満たす。そして、nの値ごとにあらかじめ特定の色を割り当てておき、テクスチャ画像の画素の色を、その画素のZ座標値に対応する特定の色で補正する。等高線画像のnの値ごとの色は、例えば固定のRGB値で指定する。あるいは別の例として、等高線画像のnの値ごとの色として色相のみを指定しておき、輝度はテクスチャ画像の輝度に応じて変化させてもよい。nの値ごとの色として同一色を複数回使用してもよい。また、隣り合うピッチ同士には、なるべく色相が遠い色を割り当てることが、視認性の点で好ましい。
【0035】
以上に説明したいずれの例でも、3D形状データをZ方向に任意に平行移動することで、等高線の描画位置を任意に調整することが可能である。また、ピッチの値をユーザが指定できるようにしてもよい。上記で説明した方法はいずれも等高線画像の輝度値をZ座標値の周期関数として変調する例を示したものである。変調に用いる周期関数は、上に例示したものに限られるものではなく、それ以外に例えば正弦波、台形波、階段波等を用いてもよい。
【0036】
<実施形態2>
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
【0037】
前述のようにモアレカメラで撮影した画像の等高線画像(すなわちモアレ模様)は評価対象者の微妙な姿勢の違いで大きく異なってくる場合があり、適切な姿勢で撮影できなかった場合は、撮影のし直しが必要になる。
【0038】
この問題に対処するために、この実施形態では、3D形状データから異なるいくつかの観測方向についての等高線画像を生成することで、1回の撮影で、仮想的に複数の観測方向から見た複数の診断画像(すなわち合成画像)を生成する。
【0039】
図7に、この実施形態の背面診断画像生成システムの機能構成を例示する。
図7において、
図1に示した要素と同様の要素には、同一符号を付し、説明を省略する。
【0040】
この例では、等高線画像生成部14Aは、入力された背面の3D形状データについて、異なる複数の観測方向から見たときの等高線画像を生成する。例えば、等高線画像生成部14Aは、予め定められた異なる複数の観測方向のそれぞれについて、その観測方向がZ軸方向となるよう3D形状データを座標変換し、座標変換後の3D形状データから等高線画像を生成する。
【0041】
図1に例示した実施形態1のシステムでは、
図8に示すように、実スキャナ(すなわち3D計測装置10)の視点位置から正面の方向をZ方向として等高線画像を生成した。
図8において、曲線200は評価対象者の背面を示し、矢印が観測方向(Z方向)を示す。また、背面を示す曲線200と交わる等間隔の直線は、等高線ピッチpごとの高さを示す。
【0042】
本実施形態の等高線画像生成部14Aは、実スキャナ位置から正面方向に見たときの等高線画像の他に、
図9に示すように別の観測方向から3D形状データを見たときの等高線画像も生成する。例えば、実スキャナの正面方向に対して正負の両方向にそれぞれ例えば1度刻みに角度が異なる複数の観測方向を予め設定しておき、それら各観測方向についての等高線画像を生成する。なお、観測方向のバリエーションは、水平面内での角度違いの方向に限らず、垂直や斜めなど、3次元的に異なる方向を含んでいてもよい。
【0043】
画像合成部16Aは、等高線画像生成部14Aが生成した、異なる複数の観測方向についての等高線画像を、データ分離部12から入力された評価対象者の背面のテクスチャ画像とそれぞれ合成する。これにより、等高線の観測方向が異なる複数の合成画像が生成される。
【0044】
出力部18Aは、生成された観測方向違いの複数の合成画像を出力する。例えば画面表示出力の場合は、それら複数の合成画像を一覧で、又は個別に表示する。一覧表示の場合は、実スキャナの正面方向についての等高線画像を合成した合成画像を画面中央に配置し、その周囲に、その正面方向に近い観測方向に対応する合成画像ほど画面中央に近い位置に配置する等、各合成画像がどの方向から見た等高線を示しているのか直感的に分かりやすい配置を採用する。
【0045】
図10に、出力部18Aが生成する合成画像の表示画面を例示する。例示した画面300は、現在の評価対象の人についての5つの合成画像302〜310が表示される。これら5つの合成画像302〜310は、実スキャナの正面方向(すなわち3D計測装置10の撮影方向であり、例えばその撮影に用いるカメラの光軸方向)を含む水平面内に設定された異なる5つの観測方向についての合成画像である。5つのうちの中央は、現在注目している合成画像302であり、他の4つよりも大きいサイズで表示される。画面300上に表示された5つの合成画像302〜310のうち、中央に最も大きいサイズで表示されている画像を注目画像と呼ぶ。注目画像(すなわちこの時点では合成画像302)の両隣には、水平面内に設定された複数の観測方向のうち、注目画像の観測方向の両隣の観測方向(すなわち注目画像の観測方向との角度差が最も小さい左右2つの観測方向)についての合成画像304及び308が、注目画像よりも小さいサイズで表示される。それら2つの合成画像304及び308の外側には、左右に更に1つ隣の観測方向についての合成画像306及び310が更に小さいサイズで表示される。注目画像を例えばクリック操作等で選択することで、その注目画像を更に大きいサイズで表示してもよい。
【0046】
ユーザが左側のスクロールボタン312をタッチ操作やクリック操作等で「押下」すると、出力部18Aは、注目画像を1つ左の画像へ変更する。すなわち、画面300に表示する画像を1つずつ右に移動させる。これにより、それまで中央の合成画像の302の一つ左にあった合成画像304が中央に移動して注目画像となり、他の画像も1つずつ右の位置に移動し、それぞれの位置に対応するサイズで表示される。この移動の前に右端にあった合成画像310は、表示対象の5つから外れて表示されなくなり、その代わりに左端にあった合成画像306の左隣の観測方向についての合成画像が存在すれば、この合成画像が左端の位置に新たに表示される。この逆に、右側のスクロールボタン314をユーザが押下すると、出力部18Aは、注目画像を1つ右の画像へ変更し、これに応じて他の画像も1つずつ左に移動させる。
【0047】
ユーザは、スクロールボタン312及び314を操作して、中央に表示する注目画像を切り替えながらそれぞれの合成画像を確認し、その中から評価対象者(患者等)の背面(脊柱等)の特徴が最もよく現れている合成画像を最終的な注目画像として選ぶ。例えば、側弯症の診断では、等高線の縞模様の左右の非対称性を評価するが、観測方向が適切な方向からずれるほど等高線の縞模様の左右の非対称性が大きくなる。したがって、ユーザは画面300に表示する画像を左右にスクロールしながら、複数の合成画像のうち左右の非対称性がなるべく少ない合成画像を最終的な注目画像として選択する。そして、ユーザが「保存して次へ」ボタン316をタッチ操作等で押下すると、出力部18Aは、そのときの注目画像(すなわち中央に表示されている最も大きい画像)を、現在の評価対象の人の診断画像として、診断情報データベースに保存する。その人について今回生成したすべての合成画像を見ても、適切な画像が見つからなかった場合、ユーザは、「撮り直し」ボタン318を押下する。これにより、3D計測装置10が撮影準備状態となり、別途ユーザの操作で再度の撮影が行われる。また、ユーザが「初期画面に戻す」ボタン320を押下すると、画面300は、3D計測装置10の正面方向についての合成画像を注目画像として中央に表示した初期状態へと戻る。
【0048】
図10には示していないが、中央の合成画像302の近傍に、その合成画像302の観測方向を示す情報を表示してもよい。この観測方向を示す情報は、例えば「0(正面)」(実スキャナの正面方向)、「+1」(正面方向から1つ右の観測方向)、「+2」(正面方向から2つ右の観測方向)、「−1」(正面方向から1つ左の観測方向)、「−2」等といったものでよい。中央の合成画像302だけでなく、画面300内に表示される全ての合成画像302〜310に対して、それぞれその画像の観測方向を示す情報を表示してもよい。
【0049】
また、画面300には、その画面に表示している評価対象者の氏名やID等を更に表示してもよい。
【0050】
なお、評価対象者の背面の3D計測データから等高線画像を生成するにはある程度の時間を要するので、5つの観測方向についての合成画像が完成するのを待って画面300上に5つの合成画像を表示したのでは、待ち時間が長いとユーザに感じさせてしまう可能性がある。そこで、実スキャナの正面方向についての合成画像が完成したらまずそれを画面300の中央に表示し、その後正面方向に近い観測方向から順に合成画像を生成し、生成でき次第画面300に表示するようにしてもよい。また、スクロールボタン314をユーザが押下したときに新たに表示されるべき合成画像を装置がバックグラウンドで生成しておき、実際にスクロールボタンの押下操作が行われたときに、対応する合成画像を素早く表示できるようにしてもよい。
【0051】
<実施形態3>
この実施形態は、上述した実施形態2の改良版である。
【0052】
上記実施形態2では、画像合成部16Aは、等高線画像生成部14Aが生成した各観測方向についての等高線画像を、データ分離部12から出力された同じテクスチャ画像と合成した。この方式では、テクスチャ画像の観測方向(すなわち実スキャナの正面方向)とは異なる観測方向についての等高線画像と合成した場合に、少し違和感のある合成画像となる場合がある。
【0053】
そこでこの実施形態3では、テクスチャ画像を等高線画像と同じ観測方向から見た状態を示すものに変換し、この変換の後のテクスチャ画像をその等高線画像と合成する。
【0054】
図11に、この実施形態3の背面診断画像生成システムの機能構成を例示する。
図11において、
図1又は
図7に示した要素と同様の要素には、同一符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図11に示すシステムは、
図7に示したシステムに多方向化処理部22を追加したものである。多方向化処理部22は、データ分離部12から入力されたテクスチャ画像から、等高線画像生成部14Aが生成する各等高線画像の観測方向と同じ観測方向から見た状態のテクスチャ画像(すなわち後述の仮想テクスチャ画像)を生成する。個々の観測方向から見た状態のテクスチャ画像は、例えば、元のテクスチャ画像(実スキャナの正面方向から見た状態のもの)に対して幾何学的な変換を加えることで生成する。幾何学的な変換としては、例えばアフィン変換などを用いればよい。
【0056】
多方向化処理部22が実行する各観測方向に対応するテクスチャ画像の生成処理の具体例を、
図12を参照して説明する。
【0057】
この処理では、テクスチャ画像を生成する観測方向上に仮想スキャナ位置を定める。例えば、実スキャナの正面方向の線上に原点を定めておき、その原点からその観測方向に、実スキャナ・原点間の距離と同じ距離の位置を、仮想スキャナ位置とする。その仮想スキャナ位置に、仮想的な3D計測装置10(仮想スキャナと呼ぶ)が配置されているものとする。その観測方向が、その仮想スキャナの正面方向である。
【0058】
このように仮想スキャナの位置と向きを決めると、3D形状データ上のi番目(iは正の整数)の3D座標点V
iと、これに対応する仮想スキャナの画像平面上の2D座標点P
’iとの関係が決まる。また、その3D座標点V
iと、実スキャナの位置から見た実テクスチャ画像上の対応点である2D座標点P
iとの関係は、テクスチャマッピングの関係であり、既知である。つまり実テクスチャ画像上の2D座標点P
iと仮想スキャナの画像平面上の2D座標点P
’iは同一の点を表しており、P
i=(x
i, y
i)からP
’i=(x
’i, y
’i)への変形をアフィン変換で表現すると
【数1】
と表現できる。式(1)を、対応する3D座標点が存在する全ての2D座標点Pについての連立方程式として最小二乗法で解くと、アフィン変換パラメータa
11〜a
33が求められる。このアフィン変換パラメータにより実テクスチャ画像全体を変形することで、仮想スキャナからその観測方向に評価対象者の背面を見た状態を表す仮想テクスチャ画像が得られる。実テクスチャ画像上の全ての点Pにアフィン変換を適用する代わりに、3D座標点V
iに対応する仮想テクスチャ上の点P
’iについては対応する実テクスチャ画像上の点P
iの輝度値を採用し、3D座標点V
iが存在しない仮想テクスチャ上の点P
’についてのみこのアフィン変換パラメータを用いて変形した実テクスチャ画像の輝度値を採用してもよい。
【0059】
このような変形処理により、実テクスチャ画像から、実スキャナの正面方向とは異なる観測方向から見たときの仮想テクスチャ画像が生成される。
図12の右側に示す台形に変形された状態の画像が仮想テクスチャ画像100Aである。これに、同じ観測方向についての等高線画像102Aを合成することで、テクスチャ画像についてもその観測方向から見た状態となっている合成画像110Aが得られる。
【0060】
多方向化処理部22は、生成した観測方向ごとの仮想テクスチャ画像を、例えば観測方向の識別情報である方向IDと対応付けて、画像合成部16Aに入力する。同様に等高線画像生成部14Aは、生成した観測方向ごとの等高線画像を例えば方向IDと対応付けて画像合成部16Aに入力する。
【0061】
画像合成部16Aは、観測方向ごとに、その観測方向についてのテクスチャ画像と等高線画像とを合成することで、その観測方向から見た状態の合成画像を生成する。このとき合成するテクスチャ画像と等高線画像との対応付けは、例えば、上述した方向IDを用いて行えばよい。
【0062】
実施形態2及び3では、3D計測装置10の1回の撮影で複数の観測方向についての合成画像を生成する例を説明したが、実施形態2及び3の手法は、「複数」の観測方向についての合成画像を生成する場合に限らず、その撮影の方向とは異なる1つの方向についての合成画像を生成する場合にも当然適用可能である。
【0063】
<実施形態4>
図13を参照して、更に別の実施形態を説明する。
図13に示すこの実施形態のシステムは、
図1に示したシステムに対して、背景加工部24を追加したものである。
【0064】
この例では、データ分離部12は、背景加工部24に対して、3D計測装置10から得た3D形状データとテクスチャ画像の両方を入力する。
【0065】
背景加工部24は、3D形状データが示す各3D座標点を、評価対象者の背面に属するものと、背景に属するものとに分類する。この分類は、例えば、3D形状データのZ座標(すなわち3D計測装置10の正面方向に沿った距離情報)に閾値を定めておき、各3D座標点のZ座標がその閾値より大きいか小さいかで、その座標点が評価対象者の背面のものか、背景かを判別する。閾値としては、評価対象者と背景(例えば壁の面)とを区別できる距離を設定すればよい。
【0066】
そして背景加工部24は、背景に分類した3D座標点群に対応するテクスチャ画像上の2D点群を特定し、それら特定した2D点群の画素値(例えばRGB等の色値)を、背景を示す特定の値に変更する。これにより評価対象者の背景が単色となる。背景を示す特定の値は、例えば評価対象者の背中の色と明確に区別できる色を示す値とする。
【0067】
画像合成部16は、背景加工部24により背景が単色となったテクスチャ画像と、等高線画像生成部14からの等高線画像とを合成して、合成画像を生成する。
【0068】
この実施形態によれば、背景の模様が除去されるので、合成画像中で評価対象者の体形が際立つことになる。これにより、等高線を含んだ合成画像の読影が、背景の模様に影響を受けることなく行われることとなる。特に、評価対象者の背中の輪郭が、背景の模様に邪魔されにくくなるので、輪郭の左右非対称性が分かりやすくなり、読影の精度向上が見込まれる。
【0069】
なお、等高線画像生成部14も、背景加工部24と同様に、背景と判定した領域については等高線を生成しないようにしてもよい。
【0070】
この実施形態4における背景の去処理は、実施形態2及び3の方式とも組合せ可能である。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明した。以上に説明した各実施形態のシステムは、例えば、コンピュータに上述したシステムの各要素の機能を記述したプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の固定記憶装置を制御するコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバス等を介して接続された回路構成を有する。それら各機能の処理内容が記述されたプログラムがネットワーク等の経由でフラッシュメモリ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。
【0072】
また、
図1、
図7、
図11、
図13等に示した各システムの各要素は、ネットワークを介して接続された複数のコンピュータに分散して配置されていてもよい。例えば、ユーザ(例えば医師)側のサイトには、評価対象者の背面を3次元計測する3D計測装置と、出力部18、18Aの出力(例えば画面表示)の機能を果たすコンピュータとが配置され、クラウドシステム等として構成されるサーバ側に、データ分離部12、等高線画像生成部14、14A、画像合成部16、16Aの機能を果たす1以上のコンピュータが設けられる構成等が考えられる。