特許第6765134号(P6765134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765134
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】吐出バルブ及びそれを用いた吐出ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04F 1/06 20060101AFI20200928BHJP
   F16K 11/044 20060101ALI20200928BHJP
   F16K 24/00 20060101ALI20200928BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20200928BHJP
   G01F 11/28 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   F04F1/06 G
   F16K11/044 C
   F16K24/00 C
   C12M1/00 A
   G01F11/28 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-11453(P2019-11453)
(22)【出願日】2019年1月25日
(65)【公開番号】特開2020-118123(P2020-118123A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】597095957
【氏名又は名称】株式会社アクアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】玉川 長雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛士
(72)【発明者】
【氏名】井上 広昭
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−057709(JP,A)
【文献】 特開平03−246422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 1/06
F16K 11/044
F16K 24/00
C12M 1/00
G01F 11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量的に吸入した液体を吐出させるために用いられる吐出バルブにおいて、
液体が注入される吸入口及び液体が吐出される吐出口を夫々有する2つの定量タンクと、
2つの前記定量タンクの双方の前記吐出口に接続される吐出ユニットと、を備え、
2つの前記定量タンクは、該定量タンク内の気圧を制御する共通のエアポンプに接続され、
エアポンプが正転するとき、一方の前記定量タンクに液体が吸入され、他方の前記定量タンクから前記吐出ユニットを介して液体が吐出され、
エアポンプが逆転するとき、他方の前記定量タンクに液体が吸入され、一方の前記定量タンクから前記吐出ユニットを介して液体が吐出され
前記定量タンクは、エアポンプに接続されるポンプ接続口と、前記ポンプ接続口に設けられ、空気を透過させ液体を透過させない液止フィルタと、を備えることとを特徴とする吐出バルブ。
【請求項2】
前記吐出ユニットは、エアポンプが正転するとき、一方の前記定量タンクの前記吐出口を閉口させ、他方の前記定量タンクの前記吐出口を開口させ、エアポンプが逆転するとき、他方の前記定量タンクの前記吐出口を閉口させ、一方の前記定量タンクの前記吐出口を開口させる対方性逆止弁を有することを特徴とする請求項1に記載の吐出バルブ。
【請求項3】
前記対方性逆止弁は、前記定量タンクの双方の前記吐出口に接続される筒体と、前記筒体内を移動する封止玉と、を有し、前記封止玉が、2つの前記定量タンクの前記吐出口のいずれか一方を閉口させることを特徴とする請求項2に記載の吐出バルブ。
【請求項4】
前記定量タンク内の容量が、前記ポンプ接続口における前記液止フィルタの設置位置によって設定されることを特徴とする請求項1に記載の吐出バルブ。
【請求項5】
前記ポンプ接続口における前記液止フィルタの設置位置を調整する容量調節機構を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の吐出バルブ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された吐出バルブを用いたことを特徴とする吐出ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や細胞懸濁液等の細胞関連の液体を吐出させるために用いられる吐出バルブ及びそれを用いた吐出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液や細胞懸濁液といった細胞関連組織等を含む液体を流出させるときに用いられるポンプとして、チューブを回転ローラで押圧するチューブポンプが知られている。この種のチューブポンプとして、円筒形状の内周面を有するハウジングと、この円筒内周面の円周方向に沿って周回移動(公転)するローラを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。このチューブポンプにおいて、チューブは、ハウジングの円筒内周に沿って配置されており、ローラを公転させると、ローラがチューブを押し潰しながらチューブの長さ方向に移動し、これによりチューブが蠕動してチューブ内の液体がチューブの入口側から出口側に送液される。
【0003】
上記のようなチューブポンプは、ローラの回転に応じた所定の周期で液体が吐出されるので、血流をシミュレートした観測等にも使用される。例えば、肺機能チップは、血液用の流路と空気用の流路を細胞膜で仕切ることで、人工肺をチップ化したものであり、血液用の流路に、チューブポンプで血液を流出させることで、実際の肺の血管と類似した脈流をシミュレートした観測状態を得ることができると期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−196538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなチューブポンプでは、チューブがローラで押し潰されるときに、液体中の細胞まで機械的に強く刺激され、細胞に損傷を与える虞がある。また、チューブを押し潰す際に発生する極微細なゴミが混入する虞もある。一方で、エアポンプを用いて液体を吸引、吐出する場合には、液体の吸引時には吐出が停止するので、脈流を生成するためには、例えば、エアポンプやノズルを複数用いる等の必要があり、器具や装置が複雑化する虞もあって簡易には成し得ない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、液体中の細胞に損傷を与え難く、微細なゴミが混入を防止し、且つ簡易な構成で流出させる液体の脈流を生成することができる吐出バルブ及びそれを用いた吐出ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、定量的に吸入した液体を吐出させるために用いられる吐出バルブにおいて、液体が注入される吸入口及び液体が吐出される吐出口を夫々有する2つの定量タンクと、2つの前記定量タンクの双方の前記吐出口に接続される吐出ユニットと、を備え、2つの前記定量タンクは、該定量タンク内の気圧を制御する共通のエアポンプに接続され、エアポンプが正転するとき、一方の前記定量タンクに液体が吸入され、他方の前記定量タンクから前記吐出ユニットを介して液体が吐出され、エアポンプが逆転するとき、他方の前記定量タンクに液体が吸入され、一方の前記定量タンクから前記吐出ユニットを介して液体が吐出され、前記定量タンクは、エアポンプに接続されるポンプ接続口と、前記ポンプ接続口に設けられ、空気を透過させ液体を透過させない液止フィルタと、を備えることとを特徴とする。
【0008】
また、上記吐出バルブにおいて、前記吐出ユニットは、エアポンプが正転するとき、一方の前記定量タンクの前記吐出口を閉口させ、他方の前記定量タンクの前記吐出口を開口させ、エアポンプが逆転するとき、他方の前記定量タンクの前記吐出口を閉口させ、一方の前記定量タンクの前記吐出口を開口させる対方性逆止弁を有することが好ましい。
【0009】
また、上記吐出バルブにおいて、前記対方性逆止弁は、前記定量タンクの双方の前記吐出口に接続される筒体と、前記筒体内を移動する封止玉と、を有し、前記封止玉が、2つの前記定量タンクの前記吐出口のいずれか一方を閉口させることが好ましい。
【0011】
また、上記吐出バルブにおいて、前記定量タンク内の容量が、前記ポンプ接続口における前記液止フィルタの設置位置によって設定されることが好ましい。
【0012】
また、上記吐出バルブにおいて、前記ポンプ接続口における前記液止フィルタの設置位置を調整する容量調節機構を更に備えることが好ましい。
【0013】
上記吐出バルブは、吐出ポンプに用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、エアポンプでの気体の吸引及び放出により、液体を吸入及び吐出するので、例えば、チューブポンプのように、液体自体が押し潰されることがなく、液体中の細胞に損傷を与え難く、また、エアポンプの正転時にも逆転時にも液体を吐出することができるので、簡易な構成で流出させる液体の脈流を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出バルブを用いた吐出ポンプの断面図。
図2】(a)(b)は上記吐出バルブを用いた吐出ポンプの正転時の動作を示す断面図。
図3】(a)(b)は上記吐出バルブを用いた吐出ポンプの逆転時の動作を示す断面図。
図4】上記吐出バルブを用いた吐出ポンプを再び正転させた時の動作を示す断面図。
図5】(a)はエアポンプに送信される制御信号の例を示す図、(b)は脈流が生成された液体の吐出パターンを示す図。
図6】(a)乃至(c)は上記実施形態の一変形例に係る吐出バルブの断面図。
図7】(a)は上記実施形態の別の変形例に係る吐出バルブの断面図であり、(b)(c)は(a)の一点鎖線円部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出バルブ及びそれを用いた吐出ポンプについて図面を参照して説明する。図1に示すように、吐出ポンプ1は、定量的に吸入した液体を吐出させるために用いられる吐出バルブ2と、この吐出バルブ2に接続されるエアポンプ3と、エアポンプ3の駆動を制御する制御部4と、を備える。エアポンプ3は、制御部4からの制御信号を受けて気体を吸引又は放出できるように、正転及び逆転を切り替えることができるステッピングモータを備えた任意のポンプが適用され、例えば、チューブポンプが用いられる。
【0017】
吐出バルブ2は、2つの定量タンク5a、5bと、これら2つの定量タンク5a、5bの双方の吐出口に接続される吐出ユニット6と、を備える。また、定量タンク5a、5bは、エアポンプ3に接続されるポンプ接続口7a、7bと、ポンプ接続口7a、7bに設けられ、気体を透過させ液体を透過させない液止フィルタ8a、8bと、を備える。2つの定量タンク5a、5bは、各々の定量タンク5a、5b内の気圧を制御する共通のエアポンプ3にポンプ接続口7a、7bを介してして夫々接続されている。
【0018】
定量タンク5a、5bは、いずれも同形状の筒状の部材であり、例えば、ポリプロピレン等の成形品により構成され、吸入された又は吐出される液体を目視確認し易いように、透明なプラスチックにより構成されることが好ましい。定量タンク5a、5bの一方の端部には、液体が注入される吸入口51a、51bが設けられている。また、定量タンク5a、5bの筒側部のうち、吸入口51a、51bに近い端部に、液体が吐出される吐出口52a、52bが夫々設けられている。吐出口52a、52bは、互いに向い合うよう配置され、吐出ユニット6と接続されている。また、筒状の定量タンク5a、5bのうち、吸入口51a、51bとは対向する端部に、ポンプ接続口7a、7bは、が設けられている。吸入口51a、51bは、所定のチューブ等を介して血液等の吐出させようとする液体の貯蔵タンク(不図示)といった吸入元に接続され、吐出ユニット6は、肺機能チップといった液体(血液)を吐出する対象の吐出先に接続される。
【0019】
吸入口51a、51bは、定量タンク5a、5bの一方の端部に外嵌されるキャップ部材53a、53bと、キャップ部材53a、53bを貫通するように設けられて定量タンク5a、5bの内外を連通させる管状の吸入ノズル54a、54bと、を有する。吸入口51a、51bには、定量タンク5a、5b内へと一方向に液体を吸入させる吸入逆止弁55a、55bが設けられている。なお、図例では、吸入逆止弁55a、55bは、吸入ノズル54a、54bの内部に設けられた構成を示すが、キャップ部材53、53bのうち、例えば、吸入ノズル54a、54bとの境界部に設けられてもよい。また、吸入逆止弁55a、55bは例示した構成に限られない。また、キャップ部材53a、53bは、例えば、ABS樹脂等の成形品により構成されている。図例では、キャップ部材53a、53bが個別の構成であるが、一体的に連結されていてもよく、また、吐出ユニット6と連結されていてもよい。吸入ノズル54a、54bは、送出する流体に応じて選定された可撓性材料、例えば、ゴム又は合成樹脂から構成される。
【0020】
吐出ユニット6は、定量タンク5a、5bの双方の吐出口52a、52bに接続される筒体61と、筒体61内を移動する封止玉62と、を有する。筒体61の内径は、封止玉62の直径より僅かに大きく、筒体61の長さは、封止玉62の3倍以上である。筒体61の中間位置には、筒体61の内外を貫通するように、吐出ノズル63が設けられている。また、筒体61内の両端部には、封止玉62の球面と隙間なく当接するOリング64a、64bと、Oリング64a、64bを保持するOリング蓋65a、65bが設けられている。筒体61内の両端部のうち、Oリング64a、64b等を含む部分は、吐出口52a、52bから定量タンク5a、5b内に埋め込まれている。図例では、封止玉62が、左側の定量タンク5a側にあり、その吐出口52aを閉口させているが、封止玉62が、右側の定量タンク5b側にあれば、吐出口52bを閉口させることになる。すなわち、封止玉62は、左右のいずれかに移動することで、対方性逆止弁として機能する。
【0021】
ポンプ接続口7a、7bは、定量タンク5a、5bの他方の端部に外嵌されるキャップ部材71a、71bと、キャップ部材71a、71bを貫通するように設けられて定量タンク5a、5bの内外を連通させる管状の接続ノズル72a、72bと、を有する。液止フィルタ8a、8bは、キャップ部材71a、71bの内側部分によって定量タンク5a、5bの他方の端部に固定されている。ポンプ接続口7a、7b側のキャップ部材71a、71b及び接続ノズル72a、72bは、吸入口51a、51b側のものと同様の成型品により構成される。
【0022】
液止フィルタ8a、8bは、無数の微細孔が設けられた板状のフィルタであり、定量タンク5a、5bの端部の形状に対応するように円板形状に加工されている。この種のものとしては、例えば、3Mマイクロポーラスフィルムが挙げられる。液止フィルタ8a、8bは、気体を透過させ液体を透過させないので、液止フィルタ8a、8bの設置位置と吐出口52a、52bとの距離や、定量タンク5a、5bの筒径によって、定量タンク5a、5bの容量が決まることになる。上記構成では、特に、液止フィルタ7の設置位置が定められた限りは、定量タンク5に定量の液体が吸引されるので、高精度な液体の吐出をすることができる。
【0023】
このように構成された吐出バルブ2を用いた吐出ポンプ1の動作について、図2(a)(b)、図3(a)(b)、図4を参照して説明する。図2(a)に示すように、制御部4(図1参照)の制御信号を受けてエアポンプ3を正転させる。このとき、左側の定量タンク5a内の空気がエアポンプ3により吸引され、定量タンク5a内が負圧になり、吸入逆止弁55aが開口して、吸入元から吸入ノズル54aを介して液体Lが定量タンク5a内に吸入される。このとき、右側の定量タンク5bには、エアポンプ3により空気が供給され、この空気により、封止玉62は、吐出口52a側に押し当てられる。従って、液体Lの吸入時に、吐出口52aから空気が定量タンク5内に混じることを抑制することができる。また、仮に、吸入時に液体Lに空気が混じっても、液止フィルタ8aで吸引することで、空気を除去することができる。従って、空気が混じることによる吐出量のバラツキを抑制することができる。
【0024】
そして、図2(b)に示すように、液体Lが液止フィルタ8aに達すると、液体Lは液止フィルタ8aを通過できず、定量タンク5aの容量が満たされる。このとき、制御部4(図1参照)では、エアポンプ3の吸引力を負荷電流変化で感知し、エアポンプ3を逆転させる制御信号をエアポンプ3に送信する。
【0025】
エアポンプ3が逆転すると、図3(a)に示すように、左側の定量タンク5aには、空気が供給され、定量タンク5a内が正圧になり、吸入逆止弁55aが閉口し、定量タンク5a内の液体Lが封止玉62を押し出して、吐出ユニット6の筒体61に流入して、封止玉62を左側の定量タンク5bの吐出口52bに押し当てる。また、筒体61に流出した液体Lは、吐出ノズル63を介して、吐出先へ吐出される。このとき、右側の定量タンク5b内の空気がエアポンプ3により吸引され、定量タンク5b内が負圧になり、吸入逆止弁55bが開口して、吸入元から吸入ノズル54bを介して液体Lが定量タンク5b内に吸入される。このとき、右側の定量タンク5bには、エアポンプ3により空気が供給され、この空気により、封止玉62は、吐出口52a側に押し当てられる。
【0026】
そして、図3(b)に示すように、液体Lが液止フィルタ8bに達すると、液体Lは液止フィルタ8bを通過できず、定量タンク5bの容量が満たされる。このとき、制御部4(図1参照)では、エアポンプ3の吸引力を負荷電流変化で感知し、エアポンプ3を再び正転させる制御信号をエアポンプ3に送信する。
【0027】
エアポンプ3が正転すると、図4に示すように、右側の定量タンク5bには、空気が供給され、定量タンク5b内が正圧になり、吸入逆止弁55bが閉口し、定量タンク5a内の液体Lが封止玉62を右側の吐出口52bに押し当て、吐出ノズル63を介して、吐出先へ吐出される。また、左側の定量タンク5a内の空気がエアポンプ3により吸引され、定量タンク5a内が負圧になり、吸入逆止弁55aが開口して、吸入元から吸入ノズル54aを介して液体Lが定量タンク5a内に吸入される。そして、図2(b)で示したように、液体Lが液止フィルタ8aに達して、定量タンク5aの容量が満たされると、エアポンプ3は再び逆転される。
【0028】
上記の動作を繰り返すことにより、エアポンプ3の正転時には、左側の定量タンク5aに液体Lが吸入され、右側の定量タンク5bから吐出ユニット6を介して液体Lが吐出され、エアポンプ3の逆転時には、右の定量タンク5bに液体Lが吸入され、左側の定量タンク5aから吐出ユニット6を介して液体Lが吐出される。
【0029】
ここで、図5(a)に示すように、主としてエアポンプ3のモータを正転させるT1期と、逆転させるT2期とを、約1秒毎に交互に切り替えることで、図5(b)に示すように、人の血管を流れる血液の脈流をシミュレートした脈流で液体Lを吐出することができる。
【0030】
上記実施形態の吐出バルブ2及びそれを用いた吐出ポンプ1では、2つの定量タンクを用い、双方の吐出口52a、52bに吐出ユニット6を接続すると共に、これら2つの定量タンク5a、5bを共通のエアポンプ3に接続している。このように、エアポンプ3での気体の吸引及び放出により、液体Lを吸入及び吐出するので、例えば、チューブポンプのように、液体L自体が押し潰されることがなく、液体L中の細胞に損傷を与え難く、また、微細なゴミが混入を防止することができる。
【0031】
また、エアポンプ3が正転するとき、一方の定量タンク5aに液体Lが吸入され、他方の定量タンク5bから吐出ユニット6を介して液体Lが吐出され、エアポンプ3が逆転するとき、他方の定量タンク5bに液体Lが吸入され、一方の定量タンク5aから液体Lが吐出される。すなわち、エアポンプ3の正転時にも逆転時にも液体Lを吐出することができるので、簡易な構成で流出させる液体の脈流を生成することができる。
【0032】
また、吐出バルブ2は、吐出ユニット6において対方性逆止弁を設けたことで、エアポンプ3の動作に応じて、液体Lの吸入と吐出とを連続的に行うことができる。また、本実施形態では、対方性逆止弁を、筒体61内を移動する封止玉62といった簡易な構成により実現している。また、ポンプ接続口7a、7bに、空気を透過させ液体を透過させない液止フィルタ8a、8bを設けたことで、エアポンプ3に液体Lが流入することを防止し、定量タンク5a、5bに吸入される液体Lの容量を簡易な構成で設定することができる。
【0033】
次に、上記実施形態の変形例に係る吐出バルブ2について、図6(a)(b)を参照して説明する。上述したように、定量タンク5a、5bの容量は、液止フィルタ8a、8bの設置位置と、吐出口52a、52bとの距離や、定量タンク5a、5bの筒径によって決まる。この変形例における吐出バルブ2は、定量タンク5a、5bの容量を変更する手段を備える。本変形例では、定量タンク5a、5bの高さ(筒の長さ)が異なるものを予め複数種、用意したものである。本変形例では、吐出ユニット6や各キャップ部材53a、53b、71a、71b等には、上記実施形態と同じものを用い、定量タンク5a、5bを取り換えるだけで、適宜に容量を変更することができる。
【0034】
次に、上記実施形態の別の変形例に係る吐出バルブ2について、図7(a)乃至(c)を参照して説明する。この変形例における吐出バルブ2は、液止フィルタ8a、8bの設置位置を調整する容量調節機構9を更に備えたものである。具体的には、図7(b)(c)に示すように、接続ノズル72a、72bの外側にネジ91が形成されており、ポンプ接続口7a、7bのキャップ部材71a、71bのうち、接続ノズル72a、72bが差し込まれる箇所がネジ91に対応する形状になっている。液止フィルタ8a、8bを支持するフィルタ押さえ部92が、接続ノズル72a、72bと連結されている。そのため、接続ノズル72a、72bを回転させて、フィルタ押さえ部92及び液止フィルタ8a、8bの位置を変えることで、定量タンク5a、5bの容量を変更することができる。この変形例によれば、図5(a)(b)で示した変形例よりも、定量タンク5a、5bの容量を細かく微調整することができる。
【0035】
なお、本発明は、2つの定量タンク5a、5bを共通のエアポンプ3に接続し、エアポンプ3の正転時に一方の定量タンク5aから液体Lを吐出し、他方の定量タンク5bに液体Lに吸入させ、エアポンプ3の逆転時に他方の定量タンク5bから液体Lを吐出し、一方の定量タンク5aに液体Lに吸入させるように構成されたものであれば、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、対方性逆止弁を、筒体61内を移動する封止玉62といった簡易な構成により実現したが、同様の動作を成す対方性逆止弁であれば、任意の構成が採用して得る。。
【符号の説明】
【0036】
1 吐出ポンプ
2 吐出バルブ
3 エアポンプ
5a、5b 定量タンク
51a、51b 吸入口
52a、52b 吐出口
55a、55b 吸入逆止弁
6 吐出ユニット
61 筒体
62 封止玉(対方性逆止弁)
7a、7b ポンプ接続口
8a、8b液止フィルタ
9 容量調節機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7