(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765168
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】清掃用具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/254 20060101AFI20200928BHJP
【FI】
A47L13/254
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-264671(P2014-264671)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-123494(P2016-123494A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年6月28日
【審判番号】不服2019-2056(P2019-2056/J1)
【審判請求日】2019年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【合議体】
【審判長】
佐々木 芳枝
【審判官】
堀川 一郎
【審判官】
窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0275400(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第1097667(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/254
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手を備えるロッドの先端部に接続される板状の清掃ヘッドと、該清掃ヘッドに設けられた装着部と、長方形状の清掃シートとを備え、前記清掃ヘッドの少なくとも底面を覆う前記清掃シートの両端部を前記装着部に着脱可能に装着できる清掃用具において、
前記清掃ヘッドは、略長方形状をなすと共に、その短辺側に切欠き部を有し、
前記清掃ヘッドの短辺側の両端部に一対の前記装着部を備え、
前記切欠き部は、前記一対の装着部の間に入り込むように形成されており、
前記清掃ヘッドは、上面を形成する保持板と、底面を形成するとともに弾性材料からなる底板とを備え、
前記一対の装着部は、前記清掃ヘッドに取付けられた弾性材料からなる一対の装着部材の天面部によって構成されており、
前記一対の装着部材の天面部は、前記清掃シートの両端部を押し込むことで前記清掃シートを前記清掃ヘッドに装着させるスリットを有することを特徴とする清掃用具。
【請求項2】
前記切欠き部は、第1の円弧と、該第1の円弧の両側に滑らかに連接し、該第1の円弧より小さな曲率半径を有する一対の第2の円弧とによって形成されており、前記一対の第2の円弧はそれぞれ前記清掃ヘッドの短辺側端縁に滑らかに連接している、請求項1に記載の清掃用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手を備えるロッドの先端部に接続される板状の清掃ヘッドに清掃シートを着脱可能に装着できる清掃用具に関し、特に、机や椅子の脚やドアストッパの周りなどに形成される狭い隙間や、机や椅子の脚の裏も清掃し易くしようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭やオフィスなどでフローリングや畳などの床面を清掃するための清掃用具として、把手を備えるロッドの先端部に接続される板状の清掃ヘッドと、該清掃ヘッドに設けられた装着部とを備え、清掃ヘッドの少なくとも底面を覆う清掃シートの両端部を装着部に着脱可能に装着できるものが知られている。
【0003】
このような清掃用具は、例えば特許文献1に記載されるように長方形状の清掃ヘッドを備えており、清掃ヘッドの長辺側を用いれば広いスペースを効率的に清掃できる一方、短辺側を用いれば狭いスペースも清掃できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2507300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の清掃用具は、机や椅子の脚の周りやドアの開放状態を保持するために床面に突設されたドアストッパの周りなどに形成される狭い隙間や、机や椅子の脚の裏の清掃には適していなかった。
【0006】
本発明は、前記の現状に鑑み開発されたもので、机や椅子の脚やドアストッパの周りなどに形成される狭い隙間や、机や椅子の脚の裏も清掃し易い清掃用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.把手を備えるロッドの先端部に接続される板状の清掃ヘッドと、該清掃ヘッドに設けられた装着部と
、長方形状の清掃シートとを備え、前記清掃ヘッドの少なくとも底面を覆う
前記清掃シートの両端部を前記装着部に着脱可能に装着できる清掃用具において、
前記清掃ヘッドは、略長方形状をなすと共に、その短辺側に切欠き部を有し、
前記清掃ヘッドの短辺側の両端部に一対の前記装着部を備え、
前記切欠き部は、前記一対の装着部の間に入り込むように形成されており、
前記清掃ヘッドは、上面を形成する保持板と、底面を形成するとともに弾性材料からなる底板とを備え、
前記一対の装着部は、前記清掃ヘッドに取付けられた弾性材料からなる一対の装着部材の天面部によって構成されており、
前記一対の装着部材の天面部は、前記清掃シートの両端部を押し込むことで前記清掃シートを前記清掃ヘッドに装着させるスリットを有することを特徴とする清掃用具。
【0009】
2.前記切欠き部は、第1の円弧と、該第1の円弧の両側に滑らかに連接し、該第1の円弧より小さな曲率半径を有する一対の第2の円弧とによって形成されており、前記一対の第2の円弧はそれぞれ前記清掃ヘッドの短辺側端縁に滑らかに連接している、前記
1の清掃用具。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、机や椅子の脚やドアストッパなどを、略長方形状の清掃ヘッドの短辺側に設けられた切欠き部内に清掃シートを押し退けさせつつ入り込ませることができるため、机や椅子の脚やドアストッパの周りなどに形成される狭い隙間を容易に清掃することができる。また、本発明によれば、机や椅子の脚を床面から僅かに持ち上げ、清掃シートの前記切欠き部内に位置する部分に載せ、接触させた状態で清掃ヘッドを引き抜くように拭きとるだけで、容易に前記脚の裏を清掃することができる。
【0011】
したがって、本発明によれば、机や椅子の脚やドアストッパの周りなどに形成される狭い隙間や、机や椅子の脚の裏を清掃し易い清掃用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る清掃用具の清掃ヘッドの上面図である。
【
図3】
図1に示す清掃ヘッドの長辺側から見た側面図である。
【
図4】
図1のA−A線に沿って示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る清掃用具について詳細に例示説明する。
図1〜
図5に示すように、本実施形態に係る清掃用具1は、家庭やオフィスなどでフローリングや畳、カーペットなどを清掃するために用いられるものであり、把手を備えるロッドの先端部に自在継手を介して接続される板状の清掃ヘッド2を備えている。なお、本実施形態では、清掃用具1は、自在継手を有するタイプのものとして構成されているが、このような構成に代えて、例えば、把手を備えるロッドの先端部に直接、清掃ヘッド2が固定されたハンディタイプとして構成することも可能である。
【0014】
清掃ヘッド2は、本例では、清掃ヘッド2の上面を形成する保持板3と、清掃ヘッド2の底面を形成する底板4とを備えている。保持板3は例えばABS樹脂などの剛性材料からなり、底板4は例えばウレタンゴムなどの柔軟な弾性材料からなっている。保持板3及び底板4は、インサート成形により一体に形成することが好ましいが、別体に形成して接着又は嵌合により一体化してもよい。なお、保持板3の上面中央には、前記した自在継手が接続される軸受け部3aが形成されている。また、底板4の底面には、清掃ヘッド2の長手方向に延びる多数の溝4aが形成されている。
【0015】
清掃ヘッド2は、略長方形状をなすと共に、その2つの短辺側にそれぞれ、切欠き部5を有している。各切欠き部5は、第1の円弧6と、該第1の円弧6の両側に滑らかに連接し、該第1の円弧6より小さな曲率半径を有する一対の第2の円弧7とによって形成されており、一対の第2の円弧7はそれぞれ清掃ヘッド2の短辺側端縁8に滑らかに連接している。
【0016】
なお、清掃ヘッド2の2つの長辺側端縁9は、本例では互いに平行な直線状をなしている。また、清掃ヘッド2の短辺側端縁8は、長辺側端縁9に対して垂直な直線である必要はなく、本例のように傾斜した直線であってもよいし、曲線としてもよい。
【0017】
また、清掃用具1は、清掃ヘッド2に設けられた装着部10を備えている。装着部10は、清掃ヘッド2の少なくとも底面を覆う清掃シートSの両端部Saを着脱可能に装着できるように構成されている。より具体的には、清掃ヘッド2の短辺側の両端部には、一対の装着部10が設けられている。本例では、装着部10は清掃ヘッド2の上面に設けられており、より具体的には、装着部10は、清掃ヘッド2に取付けられた柔軟な弾性材料からなる装着部材11の天面部11aによって構成されている。装着部材11は、本例では、清掃ヘッド2の一方の短辺側の両端部に一対、他方の短辺側の両端部にも一対の合計4つ設けられており、清掃ヘッド2の四隅付近に形成された嵌合孔に嵌合によって取り付けられている。装着部材11の天面部11aにはスリット12が形成されており、清掃シートSの両端部Saをスリット12に押し込むことで、清掃シートSを清掃ヘッド2に装着できるようになっている。なお、清掃シートSは、例えば不織布などによって構成することができる。
【0018】
また、前述した各切欠き部5は、隣接する一対の装着部10(本例では一対の装着部材11の天面部11a)の間に入り込むように形成されている。
【0019】
かかる構成になる本実施形態に係る清掃用具1によれば、机や椅子の脚や、ドアの開放状態を保持するために床面に突設されたドアストッパなどを、略長方形状の清掃ヘッド2の短辺側に設けられた切欠き部5内に清掃シートSを押し退けさせつつ入り込ませることができるため、机や椅子の脚やドアストッパの周りなどに形成される狭い隙間を容易に清掃することができる。なお、このとき清掃シートSが皺になるのを抑制するために、清掃シートSの切欠き部5内に配置される部分に切れ込み(又は容易に破断して切れ込みを形成できるミシン目)を設けてもよい。
【0020】
また、清掃用具1によれば、机や椅子の脚を床面から僅かに持ち上げ、清掃シートSの切欠き部5内に位置する部分に載せ、接触させた状態で清掃ヘッド2を引き抜くように拭きとるだけで、容易に前記脚の裏を清掃することができる。
【0021】
また、本実施形態では、切欠き部5は、第1の円弧6と、該第1の円弧6の両側に滑らかに連接し、該第1の円弧6より小さな曲率半径を有する一対の第2の円弧7とによって形成されており、一対の第2の円弧7はそれぞれ清掃ヘッド2の短辺側端縁8に滑らかに連接しているので、机や椅子の脚やドアストッパなどをスムーズに切欠き部5内に案内することができ、清掃をより容易にすることができる。また、このように切欠き部5を円弧によって構成することで、切欠き部5を机や椅子の脚やドアストッパや壁等にぶつけた際にも、前記脚、ドアストッパ又は壁等を傷つけ難くすることができる。さらに、本例のように切欠き部5の外周縁を弾性材料によって構成(具体的には弾性材料からなる底板4の外周縁で構成)することで、そのような前記脚、ドアストッパ又は壁等を傷つけ難くする効果を高めることができる。
【0022】
さらに、本実施形態によれば、切欠き部5を設けることで、狭い隙間や机や椅子の脚の裏などの細かい領域を清掃し易くできる一方で、清掃シートSの面積は確保して大きい領域の清掃も従来どおり容易に行うことができる。
【0023】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、前述した実施形態では、装着部10を柔軟な弾性材料からなる装着部材11のスリット12を備える天面部11aによって構成したが、必ずしもこのような構成に限られない。すなわち、例えば、ヒンジを介して回動し、清掃シートSを挟み込んで固定できる固定具などを装着部10として清掃ヘッド2の上面に設けてもよい。あるいは、清掃ヘッド2を、互いにヒンジを介して回動可能に接続された保持板と底板とで構成し、これら保持板及び底板によって挟まれる部分を装着部10として構成してもよい。なお、このような構成とする場合には、清掃シートSを清掃ヘッド2に巻き付ける際に清掃シートSと軸受け部3aとの干渉を避けるために、清掃シートSに適宜、切れ込み(又は容易に破断して切れ込みを形成できるミシン目)等を設ければよい。
【符号の説明】
【0024】
1 清掃用具
2 清掃ヘッド
3 保持板
3a 軸受け部
4 底板
4a 溝
5 切欠き部
6 第1の円弧
7 第2の円弧
8 短辺側端縁
9 長辺側端縁
10 装着部
11 装着部材
11a 天面部
12 スリット
S 清掃シート
Sa 清掃シートの両端部