(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
図1は、本実施の形態の衛生物品1を示す斜視図である。
図1に示すように、衛生物品1は、衛生用シート積層体(以下、単に「積層体」という)Pと、この積層体Pを包装する包装体100と、を備えて構成される。
【0018】
包装体100は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂や、紙から形成されている。
包装体100は、例えば、略直方体状であって、その寸法は、例えば、幅190〜205mm、奥行き140〜160mm、高さ115〜125mm程度である。
【0019】
包装体100の上面には、奥行き方向の二辺及び幅方向の一辺のやや内側において、連続的に形成されたミシン目101が設けられ、ミシン目101を切り離すことで、取出口102が形成され、また、開閉可能な蓋部103が形成される。
【0020】
また、包装体100の内部には積層体Pが収納され、取出口102を介して、収納されている積層体Pから一枚ずつ衛生用シート10を取り出し可能となっている。
【0021】
取出口102の大きさは、例えば、幅125〜150mm、奥行き90〜150mm程度であり、その幅は、内部に収容される衛生用シート10の幅より小さくなるよう設計されている。
【0022】
蓋部103は、未使用時には取出口102を塞ぎ、衛生用シート10を取り出す際に持ち上げられて取出口102を形成する。
【0023】
なお、包装体100の構成はこれに限定されるものではない。
例えば、
図2に示すように、短側面に延出した起点部103Aを備え、この起点部103Aを引き上げることで上面に形成されたミシン目101を切り離し、取出口102及び蓋部103が形成される構成であっても良いし、図示は省略するが、蓋部103と包装体100を別体とした構成等であっても良い。
【0024】
次に、本発明の衛生用シート10について説明する。
衛生用シート10は、人体の清掃などに用いられるものであって、例えば、パルプを原料とした単層又は多層の原紙、不織布、又は化繊混抄紙などからなるペーパータオルである。
なお、衛生用シート10の材質としては、これに限定されず、通常、人体清掃用のペーパータオルとして使用されるものであれば如何なるものであっても良い。
また、原紙、不織布、又は化繊混抄紙に対して保湿系薬剤を主とする薬液を所定の割合で含浸させてなる保湿状態のペーパータオルであっても良い。この場合には、包装体100は気密性を有するものとするのは勿論である。
【0025】
かかる衛生用シート10は、4つ折りに折り畳み加工され、折り畳まれた状態で積層されることで積層体Pを形成する。積層体Pは、包装体100の内部に保管され、使用時には1枚ずつ取り出されて必要に応じて広げて使用される。
【0026】
図3は、折り畳まれた状態の衛生用シート10の一例を示す上面図である。
図3に示すように、折り畳まれた状態の衛生用シート10は、4つ折りされた本体部11の端部に、摘み部12が備えられている。
折り畳まれた状態の衛生用シート10の寸法は、縦185〜205mm、横(幅)140〜160mm程度である。また、摘み部12の幅(左右方向の長さ)は、一般的な人の指の大きさの15〜23mm程度であり、摘み部12の縦(前後方向の長さ)は、10〜20mm程度である。
【0027】
図4は、折り畳まれる前の(広げられた状態の)衛生用シート10の一例を示す上面図である。
図4に示すように、衛生用シート10は、略矩形状に形成された本体部11を備えている。本体部11の右側部を形成する辺111と、本体部11の左側部を形成する辺112は、本体部11の幅方向の中心線L1に対して線対称となる対向辺である。本体部11の前端部を形成する辺113と、本体部11の後端部を形成する辺114は、本体部11の前後方向の中心線L2に対して線対称となる対向辺である。
【0028】
本体部11の辺113には、辺113から前方に突出する突出部11a、11bが備えられている。また、本体部11の辺114には、辺114から後方に突出する突出部11c、11dが備えられている。
突出部11aと突出部11bは、中心線L1に対して線対称である。また、突出部11cと突出部11dも、中心線L1に対して線対称である。
更に、突出部11aと突出部11cは、中心線L2に対して線対称である。また、突出部11bと突出部11dは、中心線L2に対して線対称である。
なお、突出部11a〜11dは、少なくとも何れか一つ本体部11に備えられていれば良い。
【0029】
本体部11は、中心線L1及び中心線L2に沿って折り畳まれ、これにより突出部11a〜11dが重なり、重なった突出部11a〜11dにより、摘み部12が形成されることとなる。
【0030】
ここで、本実施の形態の積層体Pを形成する衛生用シート10としては、本体部11の対向辺113、114における突出部11a〜11dの位置を異ならせた、複数パターン(ここでは5パターン)のシートが用いられている。
【0031】
図5は、突出部11a〜11dを形成する位置を説明するための図である。
なお、突出部11a〜11dは、上述したように折り畳んだときに重なる位置に設けられるものであるため、
図5においては、辺113における突出部11aの位置のみ図示することとする。
図5に破線で示すように、5種類の衛生用シート10の突出部11aは、互いに重ならない位置に形成される。
また、各突出部11aは、辺113の端部115及び辺113の中心の近傍部116を除いた部分に形成される。端部115及び近傍部116の長さは、15〜23mm程度である。
このため、折り畳んだ状態で、摘み部12の位置が互いに異なる衛生用シート10が形成される。また、それらの衛生用シート10の何れにおいても、折り畳んだ状態において、摘み部12は、前端部の両端を除く位置に形成されることとなる。
【0032】
図6は、突出部11a〜11dの位置を異ならせた複数の衛生用シート10(以下、衛生用シート10A〜10Eという)を折り畳んで積層した積層体Pの一例を示す上面図である。また、
図7は、
図6の積層体Pの斜視図である。また、
図8は、積層体Pを包装体100に収容した状態の一例を示す図である。
【0033】
本実施の形態の積層体Pにおいては、衛生用シート10の摘み部12が、そのすぐ下の衛生用シート10の摘み部12と重ならないように積層される。
具体的には、
図6に示すように、衛生用シート10A、衛生用シート10B、衛生用シート10C、衛生用シート10D、及び衛生用シート10Eの順に積層され、上面視において左側から右側にかけて摘み部12の位置が移動するようになっている。
【0034】
また、
図7に示すように、衛生用シート10A、衛生用シート10B、衛生用シート10C、衛生用シート10D、及び衛生用シート10Eを一組として、これを順に繰り返し積層することで、5枚ごとに、繰り返し同じ位置に摘み部12がくるようになっている。
【0035】
このようにして、衛生用シート10A〜10Eを積層することで形成された積層体Pは、
図8に示すように、包装体100の取出口102から摘み部12が露出するように収納される。このような積層体Pは、その一面に摘み部12が備えられるものの、全体形状が直方体状であるため、一般的な直方体状の包装体にて包装することができ、大きく包装形態を変更する必要がない。
【0036】
次に、本発明の衛生用シート10の使用方法について説明する。
先ず、使用者が、包装体100のミシン目101を切り離し、取出口102を形成する(
図1参照)。
すると、取出口102から、衛生用シート10(衛生用シート10A〜10E)の摘み部12が、露出することとなる(
図8参照)。
この際、前述したように、衛生用シート10A〜10Eの摘み部12が重なっていないため、使用者は一番上の衛生用シート10の摘み部12のみを摘まんで引き出すことができ、衛生用シート10を1枚ずつ確実に取り出すことができる。また、片手で簡単に素早く取り出せるので、作業効率を向上させることができる。
また、衛生用シート10A〜10Eの摘み部12が重なっていないため、使用者が摘み部12を摘まんだ際に下の衛生用シート10を汚染することなく、衛生的である。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、折り畳まれた衛生用シート10が複数枚積層された衛生用シート積層体Pであって、衛生用シート10は、本体部11と、折り畳まれた状態の本体部11の端部に備えられた摘み部12と、を備える。
このため、使用者は、摘み部12を摘まんで引き出すことで、次のシートを汚染することなく容易に1枚ずつ取り出すことができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、摘み部12は、折り畳まれた状態の本体部11の端部から突出する。
このため、使用者は、摘み部12を摘み易く、衛生用シート10をより容易に取り出すことができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、本体部11は、対向辺113、114と、対向辺113、114から突出する突出部11a〜11dと、を備え、摘み部12は、本体部11の対向辺113、114を重ねて折り畳むことで形成される。
このため、突出部11a〜11dが目印となり折り畳み加工を容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、突出部11a〜11dは、対向辺113、114のそれぞれの辺の端部115及び中心の近傍部116を除いた部分に形成される。
このため、摘み部12が包装体100に引っ掛かることがなく、摘み部11を摘み易く、包装体100からより容易に取り出すことができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、複数枚の衛生用シート10A〜10Eの摘み部12は互いに異なる位置に設けられ、複数枚の衛生用シート10A〜10Eが積層された場合、上面視において摘み部12の位置が一方向に移動する。
このため、取り出す際にすぐ下の衛生用シート10を触れることがなく、より衛生的である。
【0042】
なお、上記実施の形態においては、衛生用シート10A〜10Eが上面視において摘み部12の位置が一方向に移動する構成を例示して説明したが、取り出そうとする衛生用シート10の摘み部11と、すぐ下の衛生用シート10の摘み部11の位置が重ならなければ、その積層の仕方に限定はない。
【0043】
また、上記実施の形態においては、衛生用シート10の本体部11が矩形状の構成を例示して説明したが、本体部11の形状はこれに限定されず、例えば、円形状などでも良い。
【0044】
また、上記実施の形態においては、取扱い性の観点から、突出部11a〜11dは、対向辺113、114のそれぞれの辺の端部115及び中心の近傍部116を除いた部分に形成されることとしたが、対向辺113、114のそれぞれの辺の端部115及び中心の近傍部116に形成することとしても良い。
【0045】
また、上記実施の形態においては、摘み部12の形状は矩形状であったが、形状はこれに限定されない。さらに、例えば、衛生用シート10の残量を知らせるなどの目的で、摘み部12を着色したり、所定の模様を施す等の加工を施すこととしても良い。
【0046】
また、上記実施の形態においては、積層体Pとして、衛生用シート10を4つ折りして積層させる構成を例示して説明したが、折り畳まれた状態の本体部11の端部に摘み部12が備えられることとなるのであれば、衛生用シート10の折り方は4つ折りに限定されない。
【0047】
また、上記実施の形態においては、摘み部が突出する構成を例示して説明したが、摘み部の形状はこれに限定されない。
例えば、
図9に示すように、本体部11の対向辺113、114を相互にずらして折り畳むことで形成されるズレ部を、摘み部13としても良い。
この場合、
図10に示すように、本体部11は、辺111、112、113、114を備える矩形状に形成され、本体部11は、突出部を備えない。そして、本体部11を中心線L1に沿って折った後、折り線L3に沿って折ることで、
図9に示すような摘み部13(ズレ部)が形成される。
また、この場合であって、
図11に示すように、複数枚の衛生用シート10は、上面視において摘み部13の位置が一方向に移動するように積層され、積層体Pが形成される。
なお、
図9〜
図11に示した構成の場合であっても、衛生用シート10の折り方は4つ折りに限定されない。
【実施例】
【0048】
次に、本実施の形態の衛生用シートの取り出し性について評価した結果を示す。衛生用シートは、大王製紙株式会社製「ふんわり吸水タオル」を使用した。
【0049】
実施例1として、
図3に示した衛生用シートを、
図6に示したように30枚積層させた積層体のサンプルを用いた。摘み部は、幅15mm、縦19mmとした。
また、実施例2として、
図9に示した衛生用シートを、
図11に示したように30枚積層させた積層体のサンプルを用いた。
図9で示したように、辺113から露出している辺114の長さは、15mmとした。
また、比較例として、摘み部を有さない衛生用シートを、30枚積層させた積層体のサンプルを用いた。
【0050】
実施例1、実施例2、及び比較例のサンプルについて、積層体の次のシートに触れることなく1枚ずつ取り出しができるか否かを、以下の基準に基づいて、7人で評価した。その評価結果は、表1に示す。
全て1枚ずつ取り出せた:◎
1〜4回、1枚ずつ取り出せないことがあった:○
5〜9回、1枚ずつ取り出せないことがあった:△
10回以上、1枚ずつ取り出せないことがあった:×
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1、実施例2では、ほとんどの場合、30枚の積層体から1枚ずつシートを取り出すことができ、取り出し性が良好であることがわかった。