【実施例】
【0029】
<実施例1>
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON 850CRP」)11質量%に、芳香族アミン(日本合成化工社製、「H−48B」)4質量%、窒化アルミニウム「1」(デンカ社製、平均粒子径16μm、最大粒子径70μm)85質量%、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社製、「z−6040」)1.0質量部(前記エポキシ樹脂とアミンと窒化アルミニウムの混合物100質量部に対して)を加えた。さらに、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK社製、「BYK−302」)0.3質量部、分散剤(BYK社製、「DISPERBYK−110」)0.2質量部を加え、遊星式撹拌機(シンキー社「あわとり練太郎AR−250」、回転数2000rpm)にて混練し、回路基板用樹脂組成物を作製した。(表1−1)
【0030】
厚み2.0mm のアルミニウム板(天野アルミニウム社製、「A1050 2.0mm厚さ」)上に、回路基板用樹脂組成物を硬化後の絶縁層の厚さが100μmとなるように塗布し、100℃で15分間乾燥してBステージ状態とした。
【0031】
その後、厚さ35μm の銅箔(三井金属社製、「電解銅箔35μm厚さ」)を、絶縁層上に置き、熱プレス法にて積層状態のまま回路基板用樹脂組成物を180℃で2時間熱処理して硬化させて金属ベース基板を得た。
【0032】
金属ベース基板について、所望の位置をエッチングレジストでマスクして硫酸−過酸化水素混合溶液をエッチング液として、銅箔をエッチングした後、エッチングレジストを除去し洗浄乾燥することで、回路を形成し、金属ベース回路基板とした。
【0033】
実施例1で用いた無機充填材、得られた回路基板用樹脂組成物、及び金属ベース基板を、以下の方法で評価した。
[無機充填材の平均粒子径、最大粒子径]
島津製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−200」を用いて測定を行った。試料は、ガラスビーカーに50ccの純水と無機充填材を5g添加して、スパチュラを用いて撹拌し、その後超音波洗浄機で10分間、分散処理を行った。分散処理を行った無機充填材の分散積をスポイドで装置のサンプラ部に一滴ずつ添加して、吸光度が測定可能になるまで安定するのを待った。吸光度が安定になった時点で測定を行った。レーザー回折式粒度分布測定装置では、センサで検出した粒子による回折/散乱光の光強度分布のデータから粒度分布を計算した。平均粒子径はd50、最大粒子径はd90とした。
【0034】
[回路基板用樹脂組成物の硬化体の熱伝導率]
回路基板用樹脂組成物の硬化体を作成し、熱拡散率、比重、比熱から算出した。熱拡散率は、試料を幅10mm×10mm×厚み1mmに加工し、レーザーフラッシュ法により求めた。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製LFA447NanoFlash)を用いた。比重はアルキメデス法を用いて求めた。比熱は、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製、「Q2000」)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温〜400℃まで昇温させて求めた。(表3−1)
【0035】
[回路基板用樹脂組成物の硬化後の塗膜の欠陥]
厚み2.0mm のアルミニウム板上に、回路基板用樹脂組成物を硬化後の絶縁層の厚さが100μmとなるように塗布し、100℃で15分間乾燥してBステージ状態とし、1mm×1mmの範囲を実態顕微鏡(Nikon MM−800)にて観察し、
図1に示すような10μm以上の欠陥の個数を測定した。なお、測定は異なる場所を20回繰り返し、その算術平均値を欠陥数とした。(表3−1)
【0036】
[金属ベース回路基板の耐電圧不良率]
回路基板用樹脂組成物を用い、厚さ35μmの銅箔と厚さ2.0mmのAl板を接着し金属ベース基板を得た。さらに銅箔をエッチングして直径50mmの円電極を作製したものを測定サンプルとした。測定サンプル500個において、銅板と銅箔との間にDC3.6kVの電圧を1秒間かけ、絶縁破壊したものの個数から不良率を算出した。(表3−1)
【0037】
[金属ベース基板のピール強度]
回路基板用樹脂組成物を用い、厚さ35μmの銅箔と厚さ2.0mmのAl板を接着し金属ベース基板を得た。接着した銅箔を10mm×100mmに切り出し、JIS C 6481に規定された方法に従い、23±2℃、相対湿度50%の条件で銅箔と回路基板用樹脂組成物とのピール強度を測定した。なお、測定は5回繰り返し、その算術平均値をピール強度とした。(表3−1)
【0038】
[金属ベース基板のプレッシャークッカーテスト後の耐電圧不良率]
回路基板用樹脂組成物を用い、厚さ35μmの銅箔と厚さ2.0mmのAl板を接着し金属ベース基板を得た。さらに銅箔をエッチングして直径50mmの円電極を作製したものを、プレッシャークッカーテスト(2気圧、湿度100%、121℃の条件で96時間連続処理)の後、乾燥させて測定サンプルとした。測定サンプル500個において、銅板と銅箔との間にDC3.6kVの電圧を1秒間かけ、絶縁破壊したものの個数から不良率を算出した。(表3−1)
【0039】
<実施例2>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0.04質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−1、表3−1)
【0040】
<実施例3>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加量を0.06質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−1、表3−1)
【0041】
<実施例4>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加量を1.9質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−1、表3−1)
【0042】
<実施例5>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加量を2.1質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−1、表3−1)
【0043】
<実施例6〜11>
実施例1でビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、芳香族アミン及び無機充填材の種類と配合量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
無機充填材は、窒化アルミニウム「2」(デンカ社製、平均粒子径65μm、最大粒子径113μm)、窒化アルミニウム「3」(デンカ社製、平均粒子径70μm、最大粒子径125μm)、窒化アルミニウム「4」(デンカ社製、平均粒子径11μm、最大粒子径27μm)、窒化アルミニウム「5」(デンカ社製、平均粒子径4.5μm、最大粒子径12μm)、窒化ホウ素(デンカ社製、平均粒子径20μm、最大粒子径65μm)、窒化ケイ素(デンカ社製、平均粒子径18μm、最大粒子径85μm)、アルミナ(デンカ社製、平均粒子径2μm、最大粒子径5μm)を用いた。(表1−1、表1−2、表3−1、表3−2)
【0044】
<実施例12>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに加え、さらにポリイソプレン(Kraton社製、ZieglerIR)を0.3質量部添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−2、表3−2)
【0045】
<実施例13>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに加え、さらにポリブタジエン(宇部興産社製、UBEPOLBR−150)を0.3質量部添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−2、表3−2)
【0046】
<実施例14>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに加え、さらにポリイソプレン(Kraton社製、ZieglerIR)を0.2質量部とポリブタジエン(宇部興産社製、UBEPOLBR−150)を0.2質量部添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−2、表3−2)
【0047】
<実施例15>
実施例1でビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と芳香族アミンの代わりにビスマレイミド樹脂とシアネート樹脂の混合物(三菱ガス化学社製、「BT2160」)を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表1−2、表3−2)
【0048】
<実施例16>
実施例14でビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と芳香族アミンの代わりビスマレイミド樹脂とシアネート樹脂の混合物(三菱ガス化学社製、「BT2160」)を使用したこと以外は、実施例14と同様に行った。(表1−2、表3−2)
【0049】
<比較例1>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを添加しないこと以外は、実施例1と同様に行った。(表2、表4)
【0050】
<比較例2>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの代わりにアクリルポリマー(共栄社化学社製、「ポリフローNo99C」)を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表2、表4)
【0051】
<比較例3>
実施例1でポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの代わりにフッ素系レベリング剤(DIC社製、「メガファック F−554」)を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。(表2、表4)
【0052】
【表1-1】
【0053】
【表1-2】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3-1】
【0056】
【表3-2】
【0057】
【表4】
【0058】
表3−1、3−2と表4の結果から、実施例の回路基板用樹脂組成物を用いた硬化体は熱伝導性に優れることが分かった。さらに、実施例の回路基板用樹脂組成物により作製した金属ベース回路基板は、耐電圧特性、及びピール強度に優れることが分かった。
【0059】
以上の結果は、実施例で用いた金属ベース回路基板の他、混成集積回路に関しても同様
であった。