特許第6765238号(P6765238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765238
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】光学装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20200928BHJP
   F21V 11/06 20060101ALI20200928BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20200928BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20200928BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20200928BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200928BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20200928BHJP
【FI】
   F21S2/00 350
   F21S2/00 330
   F21S2/00 340
   F21V11/06
   F21V5/00 320
   F21V5/04 100
   F21V5/04 500
   F21V5/00 510
   G02B5/00 B
   F21Y115:10 300
   F21Y115:15
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-134382(P2016-134382)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-6247(P2018-6247A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 振一郎
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−128048(JP,A)
【文献】 特開2014−145790(JP,A)
【文献】 特開2013−045530(JP,A)
【文献】 特開2009−266546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/233
F21S 2/00
F21V 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する面光源と、
前記面光源から入射した光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズの出射側に配置され、前記集光レンズから出射された光のうち前記面光源の光軸方向から傾いて入射する光の通過を遮る遮光部と、を備え、
前記集光レンズは、
入射側に前記面光源より大きく開口して形成された凹みであって、前記面光源側に凸である入光部凸面と前記入光部凸面の縁から前記面光源側に延びる入光部側面とが形成された入光部と、
前記入光部の外周側に形成され、前記入光部側面から入射した光を反射する反射面と、
出射側に形成され、前記面光源側に凹んだ出射凹部と、
前記出射凹部の外周側に形成され、前記出射凹部を通過した光のうち前記光軸方向から大きく傾いて到達する光を反射する出射周辺部と、を有し、
前記出射周辺部とつながる位置における前記出射凹部の幅は、前記入光部凸面と前記入光部側面とがつながる位置における前記入光部の幅よりも小さく、
前記遮光部は、前記光軸方向において前記集光レンズの前記出射凹部と重複するように配置され
前記遮光部の幅は、前記出射凹部の幅と同じ又は前記出射凹部の幅よりも大きく、且つ、前記入光部の幅よりも小さいものである
光学装置。
【請求項2】
前記遮光部は更に、前記光軸方向において前記集光レンズの前記出射周辺部の一部と重複する領域まで延在する請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記出射凹部の底面は、光軸に直交する平面で構成され、
前記出射凹部の側面は、前記底面から前記光軸方向に沿うように延びて前記出射周辺部と繋がる面であり、
前記出射周辺部は、光軸に直交する平面で構成されている
請求項1又は2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記反射面は、前記出射周辺部で反射された光を透過させる請求項1〜3のいずれか一項記載の光学装置。
【請求項5】
前記集光レンズは、前記面光源から発光されて前記入光部に入光した光を集光し、コリメートするものである請求項1〜4のいずれか一項記載の光学装置。
【請求項6】
前記遮光部は、ハニカムルーバーで構成される請求項1〜5のいずれか一項記載の光学装置。
【請求項7】
前記遮光部は、中空の円筒形状のリングで構成され、
前記遮光部と、
前記遮光部より大きな半径を有する中空の円柱形状のフードで構成されたルーバー枠部と、
前記遮光部と前記ルーバー枠部とを連結し、前記遮光部を前記ルーバー枠部の前記中空で支持する支持部と、を有するルーバーを更に備える請求項1〜5のいずれか一項記載の光学装置。
【請求項8】
前記面光源は、COBで構成される請求項1〜7のいずれか一項記載の光学装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載の光学装置と、
前記光学装置を備える筐体と、
前記光学装置から照射される照明光の向きを調整するアームと、
前記面光源に電力を供給する電源装置と、を備える
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を備える光学装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学装置は、用途に応じて光源及びレンズ等が選択され、形状及び配置によって多様な照明光が形成される。例えば美術品又は商品等の展示には、美術品等の被照射体が展示される領域が特に明るくなるよう集中的に光をあてるスポットライトが用いられる。このような照明においては、ビーム幅が狭く、フレアの無い配光が求められる。そのため一般には、光源からの光を集光レンズ又は反射板で集光させることで、あるいは更にルーバー又はフィルタを用いて選択的に光を透過させることで、光源からの光の配光制御がなされて任意の照明光が取出される。
【0003】
このような光学装置において、ピンスポット光を形成するリング照明装置が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、光ファイバの入射端面に射角がつけられているため、光軸に平行な光束が光ファイバに入射する際には所定の入射角で入射し、入射端面で屈折され、光ファイバを通って広がり角をもった環状光線束として出射する。環状光線束の主光線から外れた上下光線は、反射面に形成された単位反射面によって焦点に集光し、奇麗なピンスポットが形成されている。
【0004】
また最近、照明装置の光源にCOB光源を採用したものがある。COB(Chip On Board:チップオンボード)は、基板上に直接実装された複数のLED素子が、蛍光体を含む樹脂で封止されたものである。そのためCOBは一体化された面光源として扱われ、光制御し易く多重影を形成しない光源として広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−052286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、COB光源などの面光源から照射範囲が狭い照明光が作られるには、光学装置は、巨大な狭角レンズ又は狭角反射板を備えるか、若しくは、更にフレア光をカットするルーバーが出射面全体に設けられる。特許文献1では、ピンスポット光を得るために巨大な狭角反射板が必要とされ、光学装置及び照明装置のサイズが大きくなる。また、フレア光をカットするため出射面全体にルーバーが被せられると、光の出力効率が低下して、中心光度も大きく低下してしまう。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、照射範囲が狭く、フレアの少ない照明光を出射する光学装置及び照明装置において、小型で効率の良い光学装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光学装置は、光を発する面光源と、前記面光源から入射した光を集光する集光レンズと、前記集光レンズの出射側に配置され、前記集光レンズから出射された光のうち前記面光源の光軸方向から傾いて入射する光の通過を遮る遮光部と、を備え、前記集光レンズは、入射側に前記面光源より大きく開口して形成された凹みであって、前記面光源側に凸である入光部凸面と前記入光部凸面の縁から前記面光源側に延びる入光部側面とが形成された入光部と、前記入光部の外周側に形成され、前記入光部側面から入射した光を反射する反射面と、出射側に形成され、前記面光源側に凹んだ出射凹部と、前記出射凹部の外周側に形成され、前記出射凹部を通過した光のうち前記光軸方向から大きく傾いて到達する光を反射する出射周辺部と、を有し、前記出射周辺部とつながる位置における前記出射凹部の幅は、前記入光部凸面と前記入光部側面とがつながる位置における前記入光部の幅よりも小さく、前記遮光部は、前記光軸方向において前記集光レンズの前記出射凹部と重複するように配置され、前記遮光部の幅は、前記出射凹部の幅と同じ又は前記出射凹部の幅よりも大きく、且つ、前記入光部の幅よりも小さいものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成とすることで、狭角で、フレアの少ない照明光が出力される光学装置及び照明装置において小型化及び高効率化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る照明装置の部分断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るルーバーの一例を示す模式図である。
図4図3のルーバーを用いた場合の配光の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るルーバーの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の斜視図である。照明装置100は、電源装置52と、電源装置52から延出されたアーム51と、アーム51の先端に可動するように取り付けられた筐体53とを備えている。筐体53は、光源を含む光学装置1を備えており、光源は、電源装置52から電力を供給され、発光する。光源から出射される光は光学装置1で配光制御され、光学装置1の光軸はアーム51により向きが調整される。照明装置100は更に、リモートコントローラ等の操作部と、モーター等の駆動部を備えてもよい。駆動部は操作部からの信号を受信してアーム51を駆動する。このような構成によれば、照明装置100が天井や壁に取り付けられている場合でも、遠隔操作により照射方向が調整される。筐体53は、内部に空洞を有しており、一方が開口され他方に底面を有する。空洞には光学装置1が収容されている。また筐体53には、光源を冷却するヒートシンク等が内蔵されている。照明光は、ルーバー30を通過して、筐体53の照射側、即ち開口から照射される。ルーバー30は、光を選択的に透過する遮光部31と、筐体53の内周に支持されるルーバー枠部32と、遮光部31及びルーバー枠部32を繋ぐ支持部33とによって構成されている。
【0012】
図2及び図3に基づいて、図1の光学装置1の詳細を説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の部分断面図である。光学装置1、及び筐体53の一部が示されている。図3は、本発明の実施の形態1に係るルーバーの一例を示す模式図である。光学装置1は、光を発する面光源10と、入射した光を集光する集光レンズ20と、光の進行方向によって光を選択的に透過させるルーバー30とを有する。面光源10は、筐体の空洞底面53aに、発光面10aが上を向くようにして設置され、面光源10の上には集光レンズ20が設置されている。集光レンズ20の外周には、外縁部が突出して形成されたレンズ外縁部25が設けられ、レンズ外縁部25は、筐体53の内周に保持されている。集光レンズ20の出射側にはルーバー30が配置されている。
【0013】
面光源10は、例えば発光面10aを有するCOBで構成される。電源装置52からCOB基板のアノード−カソード間に電圧が印加されると、金属ワイヤを介して基板上のLED素子に電流が流れてLED光が発生する。そして発光面10aから光を発することでCOBは面状の光源となる。
【0014】
図2では、面光源10は発光面10aに略垂直な方向に光軸(矢印Y方向)を有し、光は発光面10aから拡散するように進行するため、面光源10の光強度分布は光軸方向だけでなく、拡散し分散した分布になる。
【0015】
集光レンズ20は透明な樹脂等で構成され、例えば中心軸Cを中心に回転対称形状に形成されている。集光レンズ20は面光源10の上に配置されている。本実施の形態では、面光源10の光軸が集光レンズ20の中心軸Cに沿うように、集光レンズ20と面光源10とが配置される場合について説明する。図2には、面光源10上の中央点Poを通り、集光レンズ20の中心軸Cに沿った光学装置1の断面が示されている。
【0016】
集光レンズ20は、入射側に、面光源10から出射された光が入光する入光部21と、入光部21の外周側に形成された反射面22とを有している。入光部21は集光レンズ20の例えば中央領域に形成されている。入光部21は、面光源10と対向する集光レンズの入射側の面に、面光源10より大きく開口して形成された凹みである。入光部21は、面光源側に凸である入光部凸面21aと、入光部凸面21aの縁から面光源側に延びる入光部側面21bとが形成されている。入光部側面21bは、例えば光軸方向と略平行に形成されている。反射面22は、入光部側面21bから入射した光を光軸方向前方へ反射する。反射面22は、入光部側面21bの面光源10側の端部から、レンズ外縁部25が設けられた集光レンズ20の外周に向かって形成されている。つまり反射面22が設けられた領域では、集光レンズ20の厚みは中心軸Cから離れるほど薄くなっている。なお、図2の断面視で、反射面22は曲面で形成されている場合について例示しているが、平らな面であってもよい。また入光部21の凹みの深さは、反射面22が入光部側面21bから入射した光を受けるよう、例えば集光レンズ20の厚み等に基づいて決めればよい。
【0017】
集光レンズ20は、出射側に、出射凹部23と、出射凹部23の外周側に形成された出射周辺部24とを有している。出射凹部23は、例えば集光レンズ20の中央領域に、出射周辺部24より面光源側に凹状に凹んで形成されている。出射凹部23の底面は、例えば光軸に直交する平面で構成されている。また出射凹部23の側面は、底面から略垂直に立ち上がって、出射周辺部24に繋がっている。出射周辺部24は、出射凹部23を通過した光のうち光軸方向から大きく傾いて出射周辺部24に到達した光を反射する。出射周辺部24は平坦であって、レンズ外縁部25と繋がっている。集光レンズの入射側に設けられた反射面22は、入光部側面21bから入射した光を反射し、一方、出射周辺部24で反射された光を集光レンズ20の外へ透過させる。
【0018】
出射周辺部24は、出射凹部23を通過して出射周辺部24に到達した光を、集光レンズ20内へ全反射するよう形成されるのが望ましい。
【0019】
ルーバー30は、図3に示すように、複数の支持部33を有している。遮光部31は、支持部33により支持されて、例えば集光レンズ20の出射凹部23の上に配置される。ルーバー枠部32の外周は、例えばネジ切り等が施されており、筐体53の開口部の内周に捩じ込まれて取り付けられる。なお、図3にはリング形状のルーバー枠部32が示されているが、ルーバー枠部32の形状は筐体53の開口部に合う形状であればよい。またルーバー30は、出射凹部23から出射する光の光軸方向前方に遮光部31が配置されていれば良い。
【0020】
遮光部31は、例えば板状部材に六角形状の穴が多数設けられたハニカムルーバーで構成される。遮光部31は、光軸方向から傾いて遮光部31に入射した光の通過を遮ることで、フレア光をカットする。遮光部31は、意図する遮光角で周囲への光の広がり即ちフレア光をカットできるものであればよく、遮光部31の穴の形状等は特に限定されない。遮光部31は、例えばます目状のクロスルーバーであってもよい。支持部33は、ルーバー30が捩じ込まれて筐体53の開口部に取り付けられる場合は、捩じ込み回転された際に折れない程度の強度を有する形状で構成される。具体的には、回転方向に支持部33に肉厚部を持たせた形状であり、例えば、支持部33の断面形状が楕円形又は三角形等に形成されてもよい。
【0021】
遮光部31は、集光レンズ20の出射側に、光軸方向において出射凹部23と重複するように配置される。図2に示すように、遮光部31は更に、光軸方向において出射周辺部24の一部と重複する領域(延長領域Re)まで延在していてもよい。つまり、遮光部31は、出射凹部23に加え、更に出射凹部23より外側のレンズ表面である出射周辺部24の一部を覆う大きさに構成されてもよい。例えば、出射凹部23から大きな出射角で集光レンズ20を出射して、集光レンズ20の出射側と遮光部31において出射凹部23を覆う領域との隙間から漏れる光(例えば経路Ke3,Kf1で表される)は、延長領域Reによりカットされる。このような構成により、出射周辺部24を通過して照射されるフレア光が更に低減される。このとき、集光レンズ20の出射側とルーバー30の遮光部31との距離が短かければ、遮光部31の大きさを小さくすることができる。
【0022】
なお、出射凹部23の開口幅は、面光源10の幅、面光源10の配光、面光源10と集光レンズ20との配置、及び入光部21の開口幅等に基づいて決定されてもよい。入光部21が広く形成されていれば、面光源10から出射される光の多くを制御でき、図2の経路Ko1〜Ko4で示されるように進行方向が光軸方向を向くようにコリメート(平行光を生成)させることができる。出射凹部23の開口幅は、入光部21の開口幅より広くても狭くてもよい。出射凹部23の開口幅が入光部21の開口幅より小さく形成されていれば、入光部21で集光された光の一部は集光レンズ20を出射した後、直接照射される。そのため遮光部31による散乱又は吸収等の減衰が低減でき、出射凹部23の開口幅を大きくして遮光部31を広げた場合に比べて光度の低下が抑えられる。この場合、出射凹部23の開口幅は、前述したように集光レンズ20を通過するフレアとなり得る光が、反射して筐体53の方へ導かれる(例えば経路Ke1)、又は、出射して遮光部31に到達する(例えば経路Ke2)よう十分な開口幅にするのが好ましい。一方、出射凹部23の開口幅が入光部21の開口幅より大きく形成されていれば、出射凹部23の開口幅が狭い場合に比べて効率は低下するが、よりフレアがカットされた光が照射される。
【0023】
面光源10から入光部21に入射した光は、集光レンズ20によって集光される。図2には、集光レンズ20が、入射した光をコリメートする過程が示されている。
【0024】
図2には、面光源10上の中央点Poを起点とする光のうち、説明のために4方向の光の経路Ko1〜Ko4が実線矢印で示されている。経路Ko1は、面光源10上の中央点Poから光軸に沿って進む光の経路である。経路Ko1の光は、集光レンズ20に入光部凸面21aから入射し、出射凹部23の底面から出射する。出射した光は集光レンズ20の中心軸Cに沿って直進し、遮光部31に到達する。
【0025】
経路Ko2で示す光は、面光源10上の中央点Poで発光され、光軸方向に対し所定の角度傾いて進み、入光部凸面21aに入射する。経路Ko2の光は、入光部凸面21aにおいて進行方向が光軸方向に曲げられる。屈折した光はその後直進して、集光レンズ20の出射側に設けられた出射凹部23の底面から出射し、遮光部31に到達する。
【0026】
経路Ko1及び経路Ko2の光は遮光部31に到達すると、一部は吸収又は散乱により減衰するが、光軸方向の光であるため多くは遮光部31を通過して照明光となる。
【0027】
経路Ko3の光は、面光源10上の中央点Poで発光され、光軸方向に対し経路Ko2の光より傾いて進み、入光部凸面21aに入射する。経路Ko3の光は、入光部凸面21aにおいて進行方向が光軸方向に曲げられる。屈折した光はその後直進し、出射周辺部24から出射する。
【0028】
経路Ko4の光は、面光源10上の中央点Poで発光され、光軸方向に対し経路Ko3の光より傾いて進み、入光部側面21bに入射する。経路Ko4の光は、入光部側面21bにおいて更に光軸垂直方向に近づくように曲げられ、屈折した光は反射面22に到達する。経路Ko4の光は反射面22で全反射されて、進行方向が光軸方向に曲げられる。反射した光はその後直進し、出射周辺部24から出射する。つまり、光軸方向に対し大きく傾いて入光部21に入射した経路Ko4の光は、集光レンズ20への入射時に一旦進行方向が拡散されるが、反射面22において反射される際にコリメートされるため、出射周辺部24からは光軸方向に沿った光が射出される。
【0029】
経路Ko3及びKo4の光は、集光レンズ20の出射周辺部24から出射した後に光軸方向に沿って直進し、光軸方向前方には遮光部31が配置されていないので、直接照射される。経路Ko3及び経路Ko4の光は、面光源10上から集光レンズ20に入射されるまでの距離が長いので、面光源10上の端部から発せられる光でも十分にコリメートされ、大きなフレアとはならない。
【0030】
ところで、面光源と集光レンズとによって光をコリメートして被照射体を照明する光学装置では、集光レンズ20の表面反射又は面光源10上の蛍光位置等により、光軸方向にコリメートされた平行光とは進行方向が異なるフレア光が生じる場合がある。照明光にフレア光が含まれると、光の廻り込みによって影の輪郭がぼやけてしまう。次に、本実施の形態におけるフレア光の経路について、図2の波線矢印で示す4つの経路Ke1〜Ke3,Kf1に基づいて説明する。
【0031】
経路Ke1は、面光源10上の端点Peで発生し、所定の入射角をもって入光部凸面21aに入射する光の経路を示している。経路Ke1の光は、集光レンズ20に入射すると、入光部凸面21a及び出射凹部23の底面で屈折して集光レンズ20の外に出射されるが、出射角が大きいため、出射凹部23の側面から再び集光レンズ20に入射する。集光レンズ20に再入射した光は、出射凹部23の側面で進行方向が更に光軸垂直方向に近づくよう曲げられて出射周辺部24に到達するため、光は出射周辺部24において集光レンズ20から空気中への入射角が大きくなり、出射周辺部24から空気中へ射出されない。出射周辺部24で集光レンズ20内へ反射された経路Ke1の光は、反射面22から集光レンズ20の外へ出射し、筐体53により吸収又は散乱される。つまり、集光レンズ20は、光軸方向に対する傾きが大きなフレア光を光軸垂直方向に近づくよう屈折させ更に筐体53の方へ導く。
【0032】
経路Ke2は、面光源10上の端点Peから、経路Ke1よりも小さな入射角で入光部凸面21aに入射する光の経路を示している。経路Ke2の光は、集光レンズ20に入射すると、入光部凸面21a及び出射凹部23の底面で屈折して集光レンズ20の外に出射される。経路Ke2の光は経路Ke1の光よりも集光レンズ20への入射角が小さいので、出射凹部23の底面から出射した光は集光レンズ20に再入射せず、光軸方向において出射周辺部24より前方へ進む。その後、経路Ke2の光は遮光部31に到達し、多くは吸収又は散乱される。つまり、光軸方向に対する傾きが小さな経路Ke2のようなフレア光であっても光軸方向から傾いていれば、光の多くは進行が遮られる。
【0033】
経路Ke3は、面光源10上の端点Peから出射し、一旦、入光部側面21bで反射されて入光部凸面21aから集光レンズ20に入射する光の経路を示している。集光レンズ20に入射した光は、出射凹部23の底面で屈折して集光レンズ20の外に出射される。
【0034】
経路Kf1は、面光源10上の他の端点Pfで発生し、一旦、入光部側面21bで反射されて入光部凸面21aから集光レンズ20に入射する光の経路を示している。集光レンズ20に入射した光は、出射凹部23の底面で屈折して集光レンズ20の外に出射されるが、出射角が大きいため出射凹部23の側面で反射され、光軸方向に対して大きな傾きをもって進む。
【0035】
経路Ke3及び経路Kf1の光は、図2に示されるように、光軸方向に対して大きく傾いているため、集光レンズ20の出射側と遮光部31との隙間から漏れることも考えられる。そのため、遮光部31に延長領域Reを設けてもよい。
【0036】
図4は、図3のルーバーを用いた場合の配光の一例を示す図である。図4には、従来のレンズで得られる配光が波線の曲線で示され、本実施の形態の光学装置1で得られる配光が実線の曲線で示されている。図4の縦軸は光度、横軸は光軸方向前方を0度とした角度を示している。図中に波線で囲まれる領域に示されるように、光学装置1の配光は、従来のレンズの配光に比べて、周囲へ広がるフレア光がカットされ垂直に立ち上がった配光を示している。また図示しないが、出射面全体に遮光部を配置した場合に比べ、本実施の形態の配光は光度の低下が抑えられ出力効率が向上する。したがって、光学装置1によれば、例えば光束を15°以内に照射するようなピンスポットであっても、図4に示されるように配光のよい照明光が得られる。
【0037】
以上のように本実施の形態1において光学装置1は、光を発する面光源10と、面光源10から入射した光を集光する集光レンズ20と、集光レンズ20の出射側に配置され、集光レンズ20から出射された光のうち面光源10の光軸方向から傾いて入射する光の通過を遮る遮光部31と、を備え、集光レンズ20は、入射側に面光源10より大きく開口して形成された凹みであって、面光源側に凸である入光部凸面21aと入光部凸面の縁から面光源側に延びる入光部側面21bとが形成された入光部21と、入光部21の外周側に形成され、入光部側面21bから入射した光を全反射する反射面22と、出射側に形成され、面光源側に凹んだ出射凹部23と、出射凹部23の外周側に形成され、出射凹部23を通過した光のうち光軸方向から大きく傾いて到達する光を反射する出射周辺部24と、を有し、遮光部31は、光軸方向において集光レンズ20の出射凹部23と重複するように配置されるものである。
【0038】
これより、面光源10からの光を狭角に照射する光学装置1において、光学装置1が小型化され、また配光特性のよい照明光が作られる。光学装置1では、集光レンズ20の出射側全体にわたってフレア光がカットされるとともに、集光レンズ20内への反射が多い出射周辺部24では光軸方向の光の減衰が低減できる。したがって光学装置1は、効率よくフレアカットされた照明光により、被照射体を引き立てて見せることができる。また、集光レンズ20の形状と出射側の一部に配置された遮光部31とによって配光制御がなされた狭角の照明光(ピンスポット)が形成されるので、光学装置1は、従来の光学装置よりも小型で高効率にできる。
【0039】
また、遮光部31は更に、光軸方向において集光レンズ20の出射周辺部24の一部と重複する領域まで延在してもよい。
【0040】
これより、光軸方向に対し大きく傾いて出射凹部23から集光レンズ20を出射した光が、出射周辺部24と遮光部31との隙間から漏れて照射されることを防ぐ。
【0041】
また、出射凹部23の幅は、入光部21の幅より小さいものである。これより、面光源10から発されて拡散する広範囲の光を入光部21でとらえて集光する。また遮光部31によってフレアカットされる領域は小さくなり、レンズ表面によってフレアカットされる遮光角は広く確保されるので、遮光部31による光軸方向の光度低下が抑えられる。
【0042】
また、反射面22は、出射周辺部24で反射された光を透過させる。これより、反射面22では、入光部側面21bから入射した光は光軸方向前方へ反射され、出射周辺部24で反射された光は透過されるので、レンズ内で反射が繰り返されることが抑制されて配光制御が容易となる。
【0043】
また、集光レンズ20は、面光源10から発光されて入光部21に入射した光を集光し、コリメートするものである。これより、光度が確保された照明光を、利用者は光学装置1から離れた場所においても使用できる。また、出射凹部23により、多くのフレアは低減されている。
【0044】
また、遮光部31は、ハニカムルーバーで構成されるものである。これより、集光レンズ20の出射凹部23から出射された光について、光軸方向の光を通しフレア光をカットする光制御が効率良く、また設置スペースを抑えて実現できる。
【0045】
また、面光源10は、COBで構成される。これより、光学装置1の面光源10として、既存のCOBが利用できる。
【0046】
また照明装置100は、光学装置1と、光学装置1を備える筐体53と、光学装置1から照射される照明光の向きを調整するアーム51と、面光源10に電力を供給する電源装置52と、を備えるものである。これより利用者は、光学装置1の照明光を展示等に利用して、被照射体を周囲とのコントラストをつけて引き立たせて見せることができる。
【0047】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係るルーバーの一例を示す模式図である。図5においてルーバー130は、フードタイプのルーバーで構成されている。図3のルーバー30と同様に、ルーバー130は、遮光部131とルーバー枠部132と支持部133とを有している。遮光部131は、中空の円筒形状のリングで構成され、フレアを低減する。ルーバー枠部132はフードで構成され、遮光部131より大きな半径を有する中空の円柱形状に形成されている。ルーバー枠部132は、主にグレアを低減するがフレアも低減する。支持部133は、遮光部131とルーバー枠部132とを連結し、遮光部131をルーバー枠部132の中空内に収容して支持している。リング及びフードの円柱中心軸は、光軸方向に延びるよう配置されている。
【0048】
遮光部131に入射する光のうち、面光源10の光軸方向から傾いて進む光は、リングの側面によって遮られる。光軸方向におけるリング側面の高さにもよるが、遮光部がリングで構成される場合は、複数の穴が設けられたハニカムルーバーで構成される場合に比べて、出力効率が確保される。
【0049】
以上のように本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、集光レンズ20の形状と出射側の一部に配置された遮光部131とによって配光制御がなされたピンスポットが形成されるので、光学装置1は、従来の光学装置よりも小型で高効率にできる。
【0050】
また光学装置1は、遮光部131は、中空の円筒形状のリングで構成され、遮光部131と、遮光部131より大きな半径を有する中空の円柱形状のフードで構成されたルーバー枠部132と、遮光部131とルーバー枠部132とを連結し、遮光部131をルーバー枠部132の中空で支持する支持部133と、を有するルーバーを更に備える。
【0051】
これより、フードタイプのルーバー130では、フレアに加えグレアもカットされ高効率な光制御が行える。グレアがカットされるので、まぶしさの無い光で落ち着いた空間にできる。また、構造がフードにより覆われるので外観を向上させることができる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。ルーバー30の色は、例えば白色、黒色、又は乳白色であってもよい。ルーバー30が黒色の場合には、意図する照射範囲の外側に漏れる光の量が抑えられる。ルーバー30による光の吸収が生じるが、従来のように出射側全面をルーバーで覆うものに比べて、光軸方向の光度の低下が抑えられ、出力効率が改善される。一方、ルーバー30が白色である場合、フレア光はカットされ、光軸方向の光は高効率に透過されて照明光に利用される。またルーバー30が白色の場合、発熱も抑えられる。
【0053】
また、筐体53の色は、例えば白色又は黒色であってもよい。筐体53が黒色である場合は、意図する照射範囲の外側に漏れる光の量が抑えられ、フレア光の割合を低減できる。一方、筐体53が白色である場合でも、黒色の場合と比較して遜色なくフレア光がカットされ、また光の吸収が抑えられるので出力効率が良く発熱が抑えられる。
【0054】
また、集光レンズ20は、中心軸Cについて回転対称な形状に限定されない。例えば集光レンズ20は、外周が四角形状に形成されたものであってもよいし、また一部に他の部品を取り付けるための形状が施されたものであってもよい。
【0055】
また、面光源10がCOBである場合について説明したが、例えば従来のSMDパッケージを高密度に実装したものであってもよいし、有機EL(Electroluminescence)等であってもよい。
【0056】
また、面光源10が、発光面10aに略垂直な方向に光軸を有する場合について説明したが、使用する面光源10の配光特性に応じて、光度がピークとなる方向が光軸として設定され、面光源10と集光レンズ20との配置が決定されてもよい。
【0057】
また、出射凹部23の開口幅、及び出射周辺部24に延在する遮光部31の大きさは、照明光において許容されるフレア光の割合、及び光軸方向の光の許容される減衰率等に基づいて決定されてもよい。
【0058】
また、遮光部31,131は、ハニカム又はリングのような開口部を有する形状のものに限定されない。遮光部は、例えば閉じた(完全遮光の)円板形状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 光学装置、10 面光源、10a 発光面、20 集光レンズ、21 入光部、21a 入光部凸面、21b 入光部側面、22 反射面、23 出射凹部、24 出射周辺部、25 レンズ外縁部、30,130 ルーバー、31,131 遮光部、32,132 ルーバー枠部、33,133 支持部、51 アーム、52 電源装置、53 筐体、53a 筐体の空洞底面、100 照明装置、C 中心軸、Ke1〜Ke3,Kf1,Ko1〜Ko4 経路、Pe 面光源上の端点、Pf 面光源上の他の端点、Po 面光源上の中央点、Re 延長領領域。
図1
図2
図3
図4
図5