(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、管状医療用具を搬送装置の管腔内に容易に装填して管状医療用具搬送装置を製造できる方法を提供するために、鋭意検討を重ねてきた。その結果、管状医療用具を搬送装置の管腔内に装填するに先立って、温度を適切に制御したうえで、管状医療用具の外径を装填時の外径よりも一旦小さく縮径し、これを装填時の外径に拡径すれば、管状医療用具を搬送装置の管腔内に装填するときの装填荷重を低減できることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
本発明に係る管状医療用具搬送装置の製造方法は、管状医療用具を体内に搬送する装置の製造方法であって、上記装置は内径D
4の管を備えており、下記(1)〜(4)の工程をこの順で行うところに特徴がある。但し、下記(1)〜(4)において、D
1>D
4>D
3>D
2である。
(1)外径D
1の管状医療用具を、オーステナイト相が存在する温度T
1にする工程。
(2)前記温度T
1より低い温度T
2で、前記管状医療用具に外力を加えて外径をD
1からD
2に縮径させる装填前形態形成工程。
(3)前記管状医療用具を構成する合金のオーステナイト相変態終了温度A
fより低い温度T
3で、前記外力を弱めて、該管状医療用具の外径をD
2からD
3に拡径させる装填形態形成工程。
(4)温度T
4で、外径D
3の前記管状医療用具を、前記内径D
4の管腔内に装填する工程。
【0021】
以下、本発明に係る管状医療用具搬送装置の製造方法について、
図1を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明に係る管状医療用具搬送装置の製造手順を示した模式図であり、
図1において、11は管状医療用具、22はアウターシャフト、31は管状医療用具収縮装置、32は押出ロッドを示している。
【0023】
[(1)の工程]
(1)の工程では、外径D
1の管状医療用具を、オーステナイト相が存在する温度T
1にする。(1)の工程を
図1の(i)を用いて説明する。
【0024】
(1)の工程では、
図1の(i)に示すように、管状医療用具11を、管状医療用具収縮装置31内に配置する。このとき、管状医療用具収縮装置31から管状医療用具11に外力は付加されていない。
【0025】
上記管状医療用具収縮装置31は、管状医療用具11の半径方向から均一に外力を加えて管状医療用具11を縮径できる装置であり、公知の装置を用いることができる。上記管状医療用具収縮装置31を用いれば、ある収縮径のときの管状医療用具のラディアルフォース(管状医療用具の半径方向の拡張力)を測定できる。
【0026】
上記管状医療用具収縮装置31は、例えば、Mashine Solusions Inc.(以下、MSIということがある)、Blockwise Engineering LLC(以下、Blockwiseということがある)等から市販されている。
【0027】
上記管状医療用具11の外径はD
1であり、管状医療用具11の基準外径である。
【0028】
(1)の工程では、外径D
1の管状医療用具11をオーステナイト相が存在する温度T
1(℃)とすることが重要である。オーステナイト相が存在する温度T
1とすることで、後の工程における温度の変化による相変態の効果を確実に得ることができる。
【0029】
上記管状医療用具11は、例えば、合金を含む素材で構成されていればよく、合金としては、例えば、形状記憶合金を用いることができる。
【0030】
形状記憶合金は、形状記憶特性および超弾性特性を有し、更に加工性にも優れており、特にニッケル−チタン合金をより好ましく用いることができる。
【0031】
ニッケル−チタン合金の中でも、特に約50〜60質量%のニッケルを含み、残部がチタンであるニッケル−チタン合金を更に好ましく用いることができる。
【0032】
ニッケル−チタン合金による形状回復は、マルテンサイト相とオーステナイト相(母相)との間での相変態に基づくと一般的に考えられており、この相変態は温度依存または応力依存によって生じる。マルテンサイト相とは、低温で現れる結晶相を指し、これに対して、高温で現れる結晶相はオーステナイト相と呼ばれる。
【0033】
ここで、ニッケル−チタン合金の相変態について、
図2、
図3を用いて詳述する。
【0034】
ニッケル−チタン合金は、一段階相変態を示す場合と、二段階相変態を示す場合がある。一段階相変態とは、オーステナイト相(B2構造)と、マルテンサイト相(B19’構造)との間での可逆的な相変態である。二段階相変態とは、オーステナイト相(B2構造)と、マルテンサイト相(B19’構造)との間に、R相を生じる相変態である。即ち、ニッケル−チタン合金は、高温側で安定なオーステナイト相(B2構造)と低温側で安定な単斜晶構造のマルテンサイト相(B19’構造)との間で、温度や応力に依存して順相変態または逆相変態を示すが、オーステナイト相がマルテンサイト相に変態するに先立って、または、マルテンサイト相がオーステナイト相に変態するに先立って、菱面体構造の結晶相が現れることがあり、この結晶相はR相(Rhombohedral phase)と呼ばれる。
【0035】
オーステナイト相は、比較的強度が高い相である。マルテンサイト相は、外部からの力で簡単に変形させることができ、約8%まで歪みを受けて変形しても元に戻る相である。
【0036】
形状の変化を生じさせるために、合金内のマルテンサイト相に導入される歪みは、オーステナイト相への逆相変態が終了したときに元に戻り、これによって材料は元の形状に回復する。順相変態および逆相変態は、応力を負荷または除荷(超弾性効果)するか、温度を変化(形状記憶効果)させるか、或いはこれらの併用によって引き起される。なお、本明細書において、「形状記憶合金」という用語は、本発明の方法に適する材料を示すために、「超弾性合金」という用語と置換可能で用いることができる。
【0037】
次に、ニッケル−チタン合金が一段階相変態したときの熱量変化を、
図2を用いて説明する。
【0038】
図2は、一段階相変態を示すニッケル−チタン合金の示差走査熱量測定(DSC)を行った結果を示している。横軸は温度、縦軸は熱量を示しており、
図2の上側のグラフは、冷却したときの熱量変化の結果、下側のグラフは、加熱したときの熱量変化の結果をそれぞれ示している。
【0039】
まず、一段階相変態を示すニッケル−チタン合金が、オーステナイト相になっている温度からマルテンサイト相になっている温度まで冷却すると、熱量変化は、
図2の上側のグラフとなる。
【0040】
図2において、M
sは、マルテンサイト相変態開始温度であり、冷却時に、オーステナイト相からマルテンサイト相への相変態が始まる温度を示している。M
fは、マルテンサイト相変態終了温度であり、冷却時に、オーステナイト相からマルテンサイト相への相変態が終了する温度を示している。M
pは、マルテンサイト相変態ピーク温度であり、マルテンサイト相変態カーブの発熱ピーク温度を示している。
【0041】
マルテンサイト相変態開始温度(M
s)より高い温度範囲では、オーステナイト相のみが存在する。マルテンサイト相変態開始温度(M
s)以下、マルテンサイト相変態終了温度(M
f)以上の温度範囲では、オーステナイト相とマルテンサイト相が混在した状態となる。マルテンサイト相変態終了温度(M
f)より低い温度範囲では、マルテンサイト相のみが存在する。
【0042】
次に、一段階相変態を示すニッケル−チタン合金が、マルテンサイト相になっている温度からオーステナイト相になっている温度まで加熱すると、熱量変化は、
図2の下側のグラフとなる。
【0043】
図2において、A
sは、オーステナイト相変態開始温度であり、加熱時に、マルテンサイト相からオーステナイト相への相変態(逆変態)が始まる温度を示している。A
fは、オーステナイト相変態終了温度であり、加熱時に、マルテンサイト相からオーステナイト相への相変態(逆変態)が終了する温度を示している。A
pは、オーステナイト相変態ピーク温度であり、オーステナイト相変態カーブの吸熱ピーク温度を示している。
【0044】
オーステナイト相変態開始温度(A
s)より低い温度範囲では、マルテンサイト相のみが存在する。オーステナイト相変態開始温度(A
s)以上、オーステナイト相変態終了温度(A
f)以下の温度範囲では、オーステナイト相とマルテンサイト相が混在した状態となる。オーステナイト相変態終了温度(A
f)より高い温度範囲では、オーステナイト相のみが存在する。
【0045】
各変態温度は、通常、M
s>M
p>M
fであり、A
f>A
p>A
sであるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0046】
次に、ニッケル−チタン合金が二段階相変態したときの熱量変化を、
図3を用いて説明する。
【0047】
図3は、二段階相変態を示すニッケル−チタン合金の示差走査熱量測定(DSC)を行った結果を示している。横軸は温度、縦軸は熱量を示しており、
図3の上側のグラフは、冷却したときの熱量変化の結果、下側のグラフは、加熱したときの熱量変化の結果をそれぞれ示している。
【0048】
まず、二段階相変態を示すニッケル−チタン合金が、オーステナイト相になっている温度からマルテンサイト相になっている温度まで冷却すると、熱量変化は、
図3の上側のグラフとなる。
【0049】
図3において、R
sは、R相変態開始温度であり、冷却時に、オーステナイト相からR相への相変態が始まる温度を示している。R
fは、R相変態終了温度であり、冷却時に、オーステナイト相からR相への相変態が終了する温度を示している。R
pは、R相変態ピーク温度であり、R相変態カーブの発熱ピーク温度を示している。M
sは、マルテンサイト相変態開始温度であり、冷却時に、R相からマルテンサイト相への相変態が始まる温度を示している。M
fは、マルテンサイト相変態終了温度であり、冷却時に、R相からマルテンサイト相への相変態が終了する温度を示している。M
pは、マルテンサイト相変態ピーク温度であり、マルテンサイト相変態カーブの発熱ピーク温度を示している。
【0050】
R相変態開始温度(R
s)より高い温度範囲では、オーステナイト相のみが存在する。R相変態開始温度(R
s)以下、R相変態終了温度(R
f)以上の温度範囲では、オーステナイト相とR相が混在した状態となる。R相変態終了温度(R
f)より低く、マルテンサイト相変態開始温度(M
s)より高い温度範囲では、R相のみが存在する。マルテンサイト相変態開始温度(M
s)以下、マルテンサイト相変態終了温度(M
f)以上の温度範囲では、R相とマルテンサイト相が混在した状態となる。マルテンサイト相変態終了温度(M
f)より低い温度範囲では、マルテンサイト相のみが存在する。
【0051】
次に、二段階相変態を示すニッケル−チタン合金が、マルテンサイト相になっている温度からオーステナイト相になっている温度まで加熱すると、熱量変化は、
図3の下側のグラフとなる。
図3において、R
s’は、R’相変態開始温度であり、加熱時に、マルテンサイト相からR相への相変態が始まる温度を示している。R
f’は、R’相変態終了温度であり、加熱時に、マルテンサイト相からR相への相変態が終了する温度を示している。R
p’は、R’相変態ピーク温度であり、R相変態カーブの吸熱ピーク温度を示している。A
sは、オーステナイト相変態開始温度であり、加熱時に、R相からオーステナイト相への相変態が始まる温度を示している。A
fは、オーステナイト相変態終了温度であり、加熱時に、R相からオーステナイト相への相変態が終了する温度を示している。A
pは、オーステナイト相変態ピーク温度であり、オーステナイト相変態カーブの吸熱ピーク温度を示している。
【0052】
R’相変態開始温度(R
s’)より低い温度範囲では、マルテンサイト相のみが存在する。R’相変態開始温度(R
s’)以上、R’相変態終了温度(R
f’)以下の温度範囲では、マルテンサイト相とR相が混在した状態となる。R’相変態終了温度(R
f’)より高く、オーステナイト相変態開始温度(A
s)より低い温度範囲では、R相のみが存在する。オーステナイト相変態開始温度(A
s)以上、オーステナイト相変態終了温度(A
f)以下の温度範囲では、R相とオーステナイト相が混在した状態となる。オーステナイト相変態終了温度(A
f)より高い温度範囲では、オーステナイト相のみが存在する。
【0053】
各変態温度は、通常、R
s>R
p>R
f>M
s>M
p>M
fであり、A
f>A
p>A
s>R
f’>R
p’>R
s’であるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0054】
上記示差走査熱量測定は、例えば、ASTM F2004−05「Standard Test Method for Transformation Temperature of Nickel−Titanium Alloys by Thermal Analysis」に準拠して行えばよいが、これに限定されるものではない。
【0055】
上記相変態は、合金に対して応力負荷がない状態で生じ、温度の変化によって形成される相は、「熱誘起相」と呼ばれる。
【0056】
一方、温度が変化しない場合でも、合金に対して応力が負荷されると相変態を生じる。応力負荷によって形成される相は、「応力誘起相」と呼ばれる。
【0057】
上記ニッケル−チタン合金は、市販品を用いるか、公知の方法で製造したものを用いることができる。
【0058】
特に、二段階相変態を示す形状記憶合金は、例えば、以下の条件で製造することが好ましい。
【0059】
ニッケル−チタン合金がR相変態を示すようにするには、ニッケルリッチな組成とすることが有効であり、例えば、約51原子%のニッケルと約49原子%のチタンを溶製して製造することが好ましい。
【0060】
また、例えば、上記合金には、例えば、ニッケルおよびチタン以外に、合金元素を含んでいてもよく、合金元素としては、例えば、鉄元素が挙げられる。鉄元素は、例えば、三価または四価の元素を用いることができる。
【0061】
上記合金を冷間加工した後、約400℃〜約550℃の温度で熱処理することも好ましい。
【0062】
これらを適宜組み合わせることによって、マルテンサイト相変態をR相変態に対して抑制でき、ニッケル−チタン合金がR相変態を示すようになる。
【0063】
なお、ニッケル−チタン合金は、X線回折法(XRD)等の分析方法を用いることで、その結晶相を同定できる。
【0064】
以上、ニッケル−チタン合金の相変態について説明した。
【0065】
上記温度T
1は、上記合金のオーステナイト相変態開始温度A
sより高い温度とすることが好ましく、上記合金のオーステナイト相変態終了温度A
fより高い温度とすることがより好ましい。特に、上記A
fより高い温度とすることによって、オーステナイト相単相にすることができる。
【0066】
[(2)の工程、(3)の工程]
(2)の工程では、上記温度T
1より低い温度T
2で、上記管状医療用具に外力を加えて外径をD
1からD
2に縮径させ、装填前形態とする。(2)の工程を
図1の(ii)を用いて説明する。
【0067】
(2)の工程では、
図1の(ii)に示すように、管状医療用具収縮装置31を用い、管状医療用具11に半径方向から外力を加えて外径をD
1からD
2に縮径させる。
【0068】
上記外径D
2は、後述する(4)の工程において、管状医療用具11を、搬送装置に備えられた内径D
4の管に装填するための外径D
3より小さくすることが重要である。即ち、(2)の工程では、管状医療用具11の外径が、D
1>D
2で、且つD
1>D
3>D
2を満足するように縮径する必要がある。
【0069】
(2)の工程で、管状医療用具11を縮径させるときの外径D
2の大きさは、上述したように、外径D
3よりも小さければ特に限定されないが、縮径しすぎて管状医療用具11が座屈し、破損しない範囲にする必要がある。
【0070】
(2)の工程では、上記管状医療用具11の外径を、(3)の工程で拡径させたときの外径D
3との差(D
3−D
2)が、例えば、0.01〜0.50mmとなるように縮径することが好ましい。上記差は、より好ましくは0.03mm以上、更に好ましくは0.05mm以上、特に好ましくは0.10mm以上である。また、上記差は、より好ましくは0.40mm以下、更に好ましくは0.30mm以下、特に好ましくは0.20mm以下である。
【0071】
上記(2)の工程は、上記(1)の工程における温度T
1より低い温度T
2で行う必要がある。上記温度T
2が、上記温度T
1と同じか、上記温度T
1より高い場合は、管状医療用具11を管状医療用具搬送装置に備えられた管腔内へ装填するときの装填荷重を低減できない。また、上記温度T
2を低くすることによって、上記合金の結晶相は熱誘起のR相および/またはマルテンサイト相を多く含むようになり、管状医療用具11に外力を加えて縮径していく過程で、応力誘起マルテンサイト相が更に多く発現するため、これら以外の温度範囲に比べて縮径荷重をより小さくできる。上記温度T
2は、上記合金のR相変態開始温度R
sより低い温度とすることが好ましく、上記合金のR相変態終了温度R
fより低い温度とすることがより好ましい。
【0072】
(3)の工程では、上記管状医療用具を構成する合金のオーステナイト相変態終了温度A
fより低い温度T
3で、上記外力を弱めて、該管状医療用具の外径をD
2からD
3に拡径させる。(3)の工程を
図1の(iii)を用いて説明する。
【0073】
(3)の工程では、
図1の(iii)に示すように、管状医療用具収縮装置31から管状医療用具11に付加する外力を低減し、管状医療用具11の外径をD
2からD
3に拡径させる。
【0074】
管状医療用具11の外径をD
1からD
2に縮径させた後、D
2より大きいD
3に拡径することによって、管状医療用具11のラディアルフォースF
3’を、管状医療用具11の外径をD
1から直接D
3に縮径したときの管状医療用具11のラディアルフォースF
3よりも小さくできる。即ち、管状医療用具11の外径をD
1からD
3に縮径したときの管状医療用具11のラディアルフォースをF
3、管状医療用具11の外径をD
1からD
3よりも小さいD
2としたときの管状医療用具11のラディアルフォースをF
2とすると、外径が小さくなるほど管状医療用具11のラディアルフォースは大きくなるため、F
2>F
3となる。しかし、外径をD
2に縮径した管状医療用具11の外径をD
3に拡径したときの管状医療用具11のラディアルフォースは、上記F
3とはならず、上記F
3よりも小さいF
3’となる。そのため、管状医療用具11の外径が同じD
3であっても、外径D
3に縮径した場合と、外径D
3よりも小さい外径D
2に縮径した後、外径D
3に拡径した場合では、ラディアルフォースにF
3−F
3’の差が生じる。ラディアルフォースを低減できれば、管状医療用具11を、後述する(4)の工程でアウターシャフト22へ装填するときの装填荷重を低減できるため、管状医療用具11の製造が容易になる。
【0075】
上記拡径は、上記管状医療用具11を構成する合金のオーステナイト相変態終了温度(A
f)より低い温度T
3で行う必要がある。上記管状医療用具11を構成する合金が、特に、二段階相変態を示す場合は、R’相変態終了温度(R
f’)よりも低い温度で行うことが好ましい。上記拡径を、オーステナイト相変態終了温度(A
f)またはR’相変態終了温度(R
f’)より低い温度で行うことによって、外径が最大限緩和した状態でも、合金の結晶相は、R相またはマルテンサイト相を多く含むため、管状医療用具11に加えた外力を除荷して拡径する過程で、オーステナイト相が発現しにくくなり、縮径荷重をより小さくできる。
【0076】
また、上記温度T
3は、上記温度T
2より低くすることが好ましい。即ち、温度は、T
1>T
2>T
3であることが好ましい。このように工程ごとに温度を低くすることで、冷却に必要なエネルギーの消費を抑制でき、縮径荷重を従来よりも低減した状態で効率的に管状医療用具11を縮径できる。
【0077】
(3)の工程では、上記管状医療用具11の外径を、上述した(2)の工程における外径D
2との差(D
3−D
2)が、例えば、0.01〜0.50mmとなるように拡径することが好ましい。
【0078】
[(4)の工程]
(4)の工程では、温度T
4で、外径D
3の前記管状医療用具を、前記内径D
4の管腔内に装填する。(4)の工程を
図1の(iv)を用いて説明する。
【0079】
(4)の工程では、
図1の(iv)に示すように、管状医療用具収縮装置31の片側に内径D
4の管腔を有するアウターシャフト22を配置し、管状医療用具収縮装置31のもう一方の側から押出ロッド32により管状医療用具11をアウターシャフト22の管腔内に装填する。
【0080】
管状医療用具11のラディアルフォースは、上記(3)の工程で説明したように、上記F
3より小さいF
3’であるため、押出ロッド32によって管状医療用具11を押し出す際の摩擦抵抗荷重が減少し、アウターシャフト22の管腔内に容易に装填できる。
【0081】
(4)の工程を行う温度T
4は特に限定されないが、上記(3)の工程の温度T
3と同じであってもよい。温度T
4と温度T
3を同じ温度にすることによって、(3)の工程で得られた縮径荷重低減効果を、管状医療用具11をアウターシャフト22に装填するときの摩擦荷重低減の効果として適用でき、円滑な作業が可能となる。
【0082】
上記押出ロッド32の外径は、外径D
3に拡径された管状医療用具11の内径と同じであるか、該内径よりも0.20mm以下の範囲で大きいことが好ましく、管状医療用具11の外径D
3と同じであるか、該外径よりも0.20mm以下の範囲で小さいことが好ましい。押出しロッド32の外径をこの範囲に調整することによって、管状医療用具11の端部の周縁全体を押すことができるため、管状医療用具収縮装置31から管状医療用具11をアウターシャフト22内へ効率的に押し出すことができる。
【0083】
上記押出ロッド32の素材は、管状医療用具11をアウターシャフト22内へ押し出すことができる剛直な材質であれば特に制限されない。こうした素材としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、あるいはこれらの合金等の金属材料や、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂材料を用いることができる。
【0084】
上記管状医療用具11をアウターシャフト22内へ装填する方法は、上記押出ロッド32で押す以外の公知の方法でもよい。
【0085】
上記アウターシャフト22の内径D
4は、上記管状医療用具11を装填し易くするために、管状医療用具11の外径D
3より大きいことが好ましい。即ち、D
1>D
4>D
3>D
2であることが好ましい。管状医療用具11の外径D
3が、アウターシャフト22の内径D
4と等しいか、大きくなると、アウターシャフト22の管腔内への装填が困難になる。しかし、管状医療用具11を縮径させすぎると、管状医療用具11が座屈して破損することがある。管状医療用具11を座屈させずに、アウターシャフト22の管腔内に装填するには、管状医療用具11の外径D
3を、アウターシャフト22の内径D
4より0.30mm以下の範囲で小さくすることが好ましく、0.01〜0.20mmの範囲で小さいことがより好ましく、0.02〜0.15mmの範囲で小さいことが更に好ましい。
【0086】
上記管状医療用具11を座屈させずにアウターシャフト22の管腔内へ送り込む観点から、上記ラディアルフォースF
3’と上記ラディアルフォースF
3の差は、10N以上が好ましく、20N以上がより好ましく、30N以上が更に好ましい。
【0087】
上記(1)〜(4)の工程において、上記温度T
1、T
2、T
3、T
4は、T
1>T
2>T
3=T
4の関係を満たすことが好ましい。
【0088】
従来では、装填時の装填荷重を低減するために、少なくともマルテンサイト相が発現する温度、即ち、マルテンサイト相変態開始温度(M
s)より低い温度に冷却していたが、こうした温度に制御するには、例えば、液体窒素等の冷媒が必要となり、操作が煩雑であった。しかし、本発明の製造方法によれば、管状医療用具収縮装置を用いて管状医療用具の縮径と拡径を組み合わせることによって、操作しやすい温度域であっても管状医療用具のラディアルフォースを低減できるため、装填時の装填荷重を低減できる。
【0089】
上記管状医療用具11は、人体の体温で超弾性特性を示すことが好ましく、具体的には、オーステナイト相変態終了温度(A
f)が37℃以下となるように合金の成分設計を行うことが好ましい。上記オーステナイト相変態終了温度(A
f)は、35℃以下がより好ましく、33℃以下が更に好ましい。上記オーステナイト相変態終了温度(A
f)の下限は特に限定されないが、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、22℃以上が更に好ましい。
【0090】
上記管状医療用具11は、R’相変態終了温度(R
f’)が、オーステナイト相変態終了温度(A
f)より低くなるように合金の成分が設計されていることが好ましい。R’相変態終了温度(R
f’)は、10〜37℃が好ましく、12〜35℃がより好ましく、15〜30℃が更に好ましい。
【0091】
次に、
図1の(v)について説明する。
図1の(v)は、管状医療用具11をアウターシャフト22の管腔内へ装填した状態を示している。管状医療用具11をアウターシャフト22の管腔内に装填すると、管状医療用具11は拡径し、アウターシャフト22の内径D
4と等しくなる。
【0092】
以上、本発明の製造方法によれば、搬送装置の管腔内に管状医療用具を装填するときの装填荷重を低減できる。その結果、管状医療用具を搬送装置の管腔内に容易に装填できるため、管状医療用具や搬送装置の破損を防止できる。
【0093】
次に、本発明で用いる管状医療用具について説明する。
【0094】
上記医療用具は、管状体であり、その形状は、円筒形状であることが好ましい。
【0095】
上記管状医療用具の種類は特に限定されないが、例えば、ステント、ステントグラフト、閉塞具、注入カテーテル、プロテーゼ弁等が挙げられる。特に、ステントを好ましく用いることができる。
【0096】
上記ステントの形態は特に限定されず、例えば、(a)1本の線状の金属もしくは高分子材料からなるコイル状のステント、(b)金属チューブをレーザーによって切り抜いて加工したステント、(c)線状の部材をレーザーによって溶接して組み立てたステント、(d)複数の線状金属を織って作ったステント等が挙げられる。ステントのデザインは、例えば、国際公開第2010/029928号に提案されている。
【0097】
上記ステントは、メッシュ構造部分を有することが好ましい。
【0098】
上記ステントは、拡張機構に基づいて、一般に、(イ)バルーンの外表面にステントを装着して病変部まで搬送し、病変部でバルーンによってステントを拡張するバルーン拡張型ステントと、(ロ)ステントの拡張を抑制するシース部材を有するカテーテルに装填して病変部へ搬送し、病変部で前記シース部材を取り外すことによって自ら拡張する自己拡張型ステントに分類できる。
【0099】
本発明では、上記管状医療用具として、自己拡張型ステントを好ましく用いることができる。
【0100】
以下、上記自己拡張型ステントについて、更に詳細に説明するが、本発明で用いる医療用具はこれに限定されるものではない。
【0101】
図4は、自己拡張型ステント11aの斜視図であり、
図4に示した自己拡張型ステント11aはメッシュ構造部分を有する管状体で、拡張した状態を示している。
【0102】
自己拡張型ステント11aの基準外径はD
1で、基準長さはL
1である。基準外径D
1は、収縮されて搬送装置の管腔内に装填される前の外径である。
【0103】
自己拡張型ステント11aの基準外径D
1および基準長さL
1は、病変部における管腔の内径および長さに合わせて適宜選択され、治療目的とする管腔に応じて異なる。例えば、下肢動脈治療用の自己拡張型ステント11aとしては、基準外径D
1が、例えば、4.0〜12.0mmで、基準長さL
1が、例えば、20〜200mmのものが好ましく用いられる。
【0104】
自己拡張型ステント11aの素材は、形状記憶合金を好ましく用いることができる。
【0105】
自己拡張型ステント11aは、配置される体管腔を効果的に拡張、維持するために、ステントが圧縮に抵抗しようとする拡張力を示すRadial Resistive Force(以下、RRFということがある)が、0.200〜1.500N/mmであることが好ましい。RRFが小さすぎると、拡張力不足により配置される体管腔を拡張、維持することが困難になり、また、配置位置からの脱落の危険性もある。RRFは、より好ましくは0.400N/mm以上である。RRFは、体管腔の拡張、維持の観点から、できるだけ大きいことが好ましい。しかし、RRFが大きすぎると、体管腔を拡張する力が大きくなりすぎるため、体管腔を却って損傷することがある。RRFは、より好ましくは1.200N/mm以下である。なお、RRFは、37.0±1.0℃の雰囲気下で、自己拡張型ステント11aを基準外径D
1から2.5mmを引いた値の径まで、速度0.1mm/秒で、半径方向から圧縮して縮径したときの縮径荷重を、自己拡張型ステント11aの基準長さL
1で除して得られた値である。
【0106】
上記RRFは、例えば、MSI、Blockwise等から市販されている装置を用いれば測定できる。
【0107】
上記自己拡張型ステント11aは、配置される体管腔の動態に追従できるように柔軟性が高いことが好ましい。具体的には、引張圧縮試験機(例えば、島津製作所製の「EZ−Test」)を用い、37.0±1.0℃雰囲気下で、平面圧子にて、速度0.1mm/秒で、自己拡張型ステント11aの長軸方向から、基準長さL
1の7%変位量まで圧縮したときの長軸圧縮強度が、0.030〜1.500Nであることが好ましい。長軸圧縮強度は、より好ましくは0.050N以上であり、より好ましくは1.300N以下である。
【0108】
上記自己拡張型ステント11aは、例えば、ニッケル−チタン合金製のパイプにレーザーカットを施したものを、拡径し、熱処理して所望の形状を形成し、最終的に電解研磨することで作製できる。
【0109】
次に、本発明で製造する管状医療用具搬送装置について説明する。以下、管状医療用具として自己拡張型ステントを用いた場合について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0110】
自己拡張型ステントの搬送装置は、一般に、OTW(Over The Wire)型のカテーテル構造と、RX(Rapid Exchange)型のカテーテル構造が知られている。これらのうち、OTW型の自己拡張型ステント搬送カテーテル構造について、
図5を用いて説明するが、本発明に係る管状医療用具搬送装置はこれに限定されるものではない。
【0111】
図5は、自己拡張型ステント搬送装置全体を示す概略図である。
【0112】
自己拡張型ステント搬送装置21は、自己拡張型ステント11aを体管腔の病変部(例えば、狭窄部)に搬送するものであり、体管腔内に挿入可能で、細長く、可撓性を有している。なお、
図5は、自己拡張型ステント11aがアウターシャフト22の内部に装填されている状態を示しており、自己拡張型ステント11aは収縮した状態になっている。
【0113】
図5に示した自己拡張型ステント搬送装置21は、自己拡張型ステント11aと、アウターシャフト22と、インナーシャフト23とを有している。
【0114】
(アウターシャフト)
アウターシャフト22内には、自己拡張型ステント11aを収縮した状態で収容されており、自己拡張型ステント11aの外径はD
4で、アウターシャフト22の内径と等しくなっている。
【0115】
アウターシャフト22内に収容されている自己拡張型ステント11aを病変部に搬送し、アウターシャフト22から解放すると、収縮状態の自己拡張型ステント11aの外径D
4は、アウターシャフト22の内径を超えて拡径する。
【0116】
アウターシャフト22は、挿入する管腔(例えば、血管等)に追従する程度の柔軟性、耐キンク性、自己拡張型ステント搬送装置21を手技中に引っ張った場合に伸びない程度の引っ張り強度を有する素材で形成されることが好ましい。
【0117】
アウターシャフト22の内側は、内周面に接触している自己拡張型ステント11aを病変部へ容易に解放するため、移動抵抗(摺動抵抗)を減少させる素材であることが好ましく、アウターシャフト22の外側は、管腔内の移動操作を容易に行えるように低摩擦性を有している素材であることが好ましい。
【0118】
このような観点から、アウターシャフト22は、例えば、外層および内層が樹脂材料で形成されており、外層と内層との間に補強層を埋め込んだ3層構造のチューブで形成することが好ましい。補強層としては、例えば、金属素線の層を用いることが好ましい。
【0119】
アウターシャフト22の外層には、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA等)、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、またはシリコーン等の各種弾性樹脂材料を用いることが好ましい。
【0120】
アウターシャフト22の内層には、例えば、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA等)、またはポリエチレン等の低摩擦材料を用いることが好ましい。
【0121】
アウターシャフト22の補強層(金属素線の層)には、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、タングステン、金、または白金等の各種金属材料を用いることが好ましい。
【0122】
上記金属素線は、編組構造またはコイル構造の少なくとも一方の構造を含んでおり、アウターシャフト22の近位端から遠位端まで形成されていることが好ましい。
【0123】
なお、近位端(近位端側)は、術者の手元側を意味し、遠位端(遠位端側)は近位端の反対側、すなわち病変部等に近い側を意味する。
【0124】
アウターシャフト22のうち、自己拡張型ステント11aを保持する部分は、1層構造または2層以上積層した構造のチューブで形成されていても良く、好ましくは1層構造または2層構造である。こうした層には、上記外層に用いた素材および/または上記内層に用いた素材を用いることが好ましい。
【0125】
(インナーシャフト)
インナーシャフト23は、ガイドワイヤ管腔を有する管状部材であり、自己拡張型ステント11aの近位側にプッシャー部材24、遠位側に先端チップ25、近位部手元側に操作部材26が取り付けられていることが好ましい。
【0126】
インナーシャフト23のガイドワイヤ管腔を有する管状部材は、アウターシャフト22のルーメン内に少なくとも一部が挿入される。そして、インナーシャフト23に形成された管腔には、ガイドワイヤが挿入され、自己拡張型ステント搬送装置21を病変部に導くことができる。
【0127】
インナーシャフト23は、アウターシャフト22の管腔に追従する程度の柔軟性、耐キンク性、およびカテーテルを手技中に引っ張った際に伸びない程度の引っ張り強度を有していることが好ましい。
【0128】
インナーシャフト23には、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA等)、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、またはシリコーン等の各種弾性樹脂材料を用いることが好ましい。
【0129】
上記インナーシャフト23は、金属材料で補強されていてもよく、金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、タングステン、金、または白金等が挙げられる。
【0130】
(プッシャー部材)
プッシャー部材24は、インナーシャフト23の周囲に装着(接着または溶着)され、且つ、アウターシャフト22のルーメン内に収まる大きさであることが好ましい。
【0131】
アウターシャフト22とインナーシャフト23の相対的移動に応じて、自己拡張型ステント11aをアウターシャフト22から放出することができる。
【0132】
プッシャー部材24の形状は、例えば、リング状で、その外径は、収縮させた自己拡張型ステント11aの内径以上、アウターシャフト22の内径(即ち、外径D
4)以下が好ましい。プッシャー部材24の外径をこの範囲にすることによって、プッシャー部材24は、自己拡張型ステント11aの端部における周縁にわたってカバーするため、自己拡張型ステント11aを効率的に放出させることができる。
【0133】
プッシャー部材24には、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA等)、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、またはシリコーン等の各種弾性樹脂材料を用いることができる。
【0134】
プッシャー部材24は、少なくとも部分的にX線不透過性の材料を含むことが好ましい。X線不透過性の材料を少なくとも一部に用いることによって、自己拡張型ステント搬送装置21をX線透視下で操作できるため、自己拡張型ステント11aを、安全で、効率的に体管腔内の病変部に搬送し、放出させることができる。
【0135】
上記X線不透過性の材料としては、例えば、X線造影性物質や超音波造影性物質などの造影性物質などの造影性材料が挙げられる。具体的には、例えば、金、白金、タングステン、タンタル、イリジウム、パラジウムあるいはそれらの合金、または、金−パラジウム合金、白金−イリジウム、NiTiPd、NiTiAu、硫酸バリウム、ビスマス化合物、または、タングステン化合物等が挙げられる。
【0136】
(先端チップ)
先端チップ25は、インナーシャフト23の先端に装着(例えば、接着または溶着)される。この先端チップ25によって、病変部(例えば、狭窄部など)を自己拡張型ステント搬送装置21が通過しやすくなる。
【0137】
先端チップ25は、挿入する管腔(例えば、血管等)に追従する程度の柔軟性を有し、且つ狭窄部を通過できる程度の長軸方向の剛性を有していることが好ましい。
【0138】
先端チップ25には、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA等)、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、またはシリコーン等の各種弾性樹脂材料を用いることができる。
【0139】
先端チップ25は、少なくとも部分的にX線不透過性の材料を含むことが好ましい。X線不透過性の材料を少なくとも一部に用いることによって、自己拡張型ステント搬送装置21をX線透視下で操作できるため、自己拡張型ステント11aを、安全で、効率的に体管腔内の病変部に搬送し、放出させることができる。
【0140】
上記X線不透過性の材料としては、例えば、X線造影性物質や超音波造影性物質などの造影性物質などの造影性材料が挙げられる。具体的には、例えば、金、白金、タングステン、タンタル、イリジウム、パラジウムあるいはそれらの合金、または、金−パラジウム合金、白金−イリジウム、NiTiPd、NiTiAu、硫酸バリウム、ビスマス化合物、または、タングステン化合物等が挙げられる。
【0141】
(操作部材)
操作部材26は、インナーシャフト23の近位端に装着(例えば、接着または溶着)される。
【0142】
操作部材26の形状は、術者が操作するために把持しやすい形状であれば特に制限されず、例えば、
図5に示したように、手で把持可能な把持部を備える形状であることが好ましい。
【0143】
操作部材26の素材には、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン等の金属材料や、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂材料を用いることができる。
【実施例】
【0144】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0145】
管状の医療用具を搬送する装置を製造するにあたり、管状の医療用具を、搬送装置に備えられた管腔内に装入するときの装填荷重を測定した。具体的には、管状の医療用具として自己拡張型ステントを用い、該自己拡張型ステントを、搬送装置であるカテーテルの管腔内に装入して管状医療用具搬送装置を製造した。
【0146】
(実施例1)
管状の医療用具として、基準外径D
1が6.0mmで、基準長さL
1が100mmのニッケル−チタン合金製の自己拡張型ステントを準備した。準備した自己拡張型ステントのデザインを、
図7〜
図9を用いて以下に詳述する。なお、
図7は、自己拡張型ステントの拡張状態を示す展開図、
図8は、自己拡張型ステントの拡張状態における略波形構成要素を示す部分拡大図、
図9は、自己拡張型ステントの拡張状態における連結部を示す部分拡大図、をそれぞれ示している。
【0147】
自己拡張型ステントのデザインは、略波形構成要素72からなる環状セクション71が長手方向軸に対して整列しており、隣り合う環状セクション71中の略波形構成要素72を繋ぐ連結部73を有し、該連結部73は、略波形構成要素の頂点87同士を結合するものである。拡張状態において、間に他の連結部73を介さずに互いに接続された隣り合った連結部73を結んだ線が長手方向軸に対して互いに逆向きの2つの螺旋を形成し、これら螺旋の波長が互いに異なっている。より詳細に説明すると、環状セクション71は長手方向軸に対して55個整列しており、環状セクション71中の略波形構成要素72の数は16個、環状セクション71に含まれる連結部73の数は4個である。
【0148】
また、隣り合う略波形構成要素72を形成するストラット間の内側曲率半径の中心軸が円周方向で同一直線上であり、略波形構成要素72のストラット内側曲率半径中心81と、外側曲率半径中心82との間の距離は30μmである。また、略波形構成要素72のストラット間の外側曲率半径84は110μmであり、内側曲率半径83は30μmである。略波形構成要素71の頂点の幅86は110μmであり、ストラットの幅85は80μmであり、ストラットの肉厚は200μmである。
【0149】
ニッケル−チタン合金は、ASTM F2063−05に準拠している。
【0150】
自己拡張型ステントのRRFを次の手順で算出した。RRF測定機(Blockwise社製の「TTR2」)を用い、37.0±1.0℃の雰囲気で、自己拡張型ステントを基準外径D
1(6.0mm)から2.5mmを引いた値の径(即ち、3.5mm)まで、速度0.1mm/秒で、半径方向から圧縮して縮径したときの縮径荷重を測定し、その縮径荷重を自己拡張型ステントの基準長さL
1(100mm)で除してRRFを算出した。算出した結果、RRFは1.001N/mmであった。
【0151】
自己拡張型ステントの長軸圧縮強度を次の手順で測定した。引張圧縮試験機(島津製作所製の「EZ−Test」)を用い、37.0±1.0℃の雰囲気で、平面圧子にて、速度0.1mm/秒で、自己拡張型ステントの長軸方向から、基準長さL
1(100mm)の7%変位量まで圧縮(即ち、7mmまで圧縮)したときの荷重を、長軸圧縮強度として測定した。測定した結果、長軸圧縮強度は0.081Nであった。
【0152】
上記ニッケル−チタン合金は、二段階相変態を示す合金であり、温度および/または応力によってマルテンサイト相、R相、オーステナイト相となる。
【0153】
上記ニッケル−チタン合金を、冷却または加熱したときの相変態温度を下記表1に示す。
【0154】
自己拡張型ステントの相変態温度は、示差走査熱量分析計(日立ハイテクサイエンス製の「DSC7020」)を用い、ASTM F2004−05およびASTM F2005−05に準じて測定した。自己拡張型ステントのサンプル質量は20〜30mgとし、走査温度速度10℃/分で、走査温度範囲を−120℃〜100℃として測定した。測定した結果を下記表1に示す。
【0155】
下記表1において、R
sは冷却時にオーステナイト相からR相への変態開始温度、R
pはオーステナイト相からR相への変態ピーク温度(発熱ピーク温度)、R
fは冷却時にオーステナイト相からR相への変態終了温度、M
sは冷却時にR相からマルテンサイト相への変態開始温度、M
pはR相からマルテンサイト相への変態ピーク温度(発熱ピーク温度)、M
fは冷却時にR相からマルテンサイト相への変態終了温度、R
s’は加熱時にマルテンサイト相からR相への変態開始温度、R
p’はマルテンサイト相からR相への変態ピーク温度(吸熱ピーク温度)、R
f’は加熱時にマルテンサイト相からR相への変態終了温度、A
sは加熱時にR相からオーステナイト相への変態開始温度、A
pはR相からオーステナイト相への変態ピーク温度(吸熱ピーク温度)、A
fは加熱時にR相からオーステナイト相への変態終了温度、をそれぞれ示している。
【0156】
アウターシャフト22として、外層にポリアミド系エラストマー、内層にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用い、その補強層として幅100μm、厚さ25μmのステンレス鋼の平線を用いた編組構造を有するチューブを用いた。
【0157】
アウターシャフト22に形成された管腔の内径D
4は1.80mmであった。
【0158】
図1に示した手順で、管状医療用具収縮装置31(Blockwise社製の「RFL225」)を用い、アウターシャフト22内に自己拡張型ステント11を装入した。
【0159】
以下、
図1を用いて装入手順を説明する。
【0160】
図1の(i)は、外径D
1の自己拡張型ステント11を管状医療用具収縮装置31内に配置した状態を示している。(i)では、温度T
1を37.0±1.0℃とした。上記自己拡張型ステント11の基準外径D
1は6.0mmである。
【0161】
次に、
図1の(ii)は、管状医療用具収縮装置31を用い、自己拡張型ステント11に外力を加えて縮径させた状態を示している。(ii)では、温度T
2を25.0±1.0℃とし、速度を0.1mm/秒として基準外径D
1(6.0mm)から1.45mm(外径D
2)に縮径させた。外径D
2(1.45mm)に縮径したときのラディアルフォースF
2を管状医療用具収縮装置31で測定したところ、151.8Nであった。
【0162】
なお、基準外径D
1から外径D
2に縮径する途中で、外径が1.75mm(外径D
3)になったときのラディアルフォースF
3は133.6Nであった。
【0163】
次に、
図1の(iii)は、管状医療用具収縮装置31から加える外力を弱めて自己拡張型ステント11を拡径させた状態を示している。(iii)では、温度T
3を25.0±1.0℃とし、速度を0.1mm/秒として外径D
2(1.45mm)から1.75mm(外径D
3)に拡径させた。外径D
3(1.75mm)に拡径したときのラディアルフォースF
3’は82.3Nであった。
【0164】
基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で外径がD
3になったときのラディアルフォースF
3は133.6Nで、外径D
2から拡径して外径D
3になったときのラディアルフォースF
3’は82.3Nであったため、ラディアルフォースF
3とラディアルフォースF
3’の差(F
3−F
3’)は、51.3Nであった。
【0165】
次に、
図1の(iv)は、管状医療用具収縮装置31の片側に内径D
4が1.80mmのアウターシャフト22を準備し、該管状医療用具収縮装置31の他方側から、外径D
3(1.75mm)に保持された自己拡張型ステント11を、中実の押出ロッド32で押して、アウターシャフト22の管腔内に装填する状態を示している。(iv)では、温度T
4を25.0±1.0℃とした。中実の押出ロッド32は、外径が1.72mmのSUS304製で、装填時の速度は10mm/秒とした。
【0166】
押出ロッド32と自己拡張型ステント11とが当接する端部と反対側の端部にフォースゲージを取り付け、押出ロッド32によって自己拡張型ステント11が動き出すときの最大荷重(静止摩擦荷重)を装填荷重として測定した。フォースゲージは、日本電産シンポ社製の「FGC−10」を用いた。測定した結果、装填荷重は11.9Nであった。
【0167】
次に、
図1の(v)は、自己拡張型ステント11をアウターシャフト22の管腔内に装填した状態を示している。アウターシャフト22の管腔内に完全に装填された自己拡張型ステント11の外径は、アウターシャフト22の内径D
4(1.80mm)と同等になった。
【0168】
そして、
図5に示すように、自己拡張型ステント11が収納されたアウターシャフト22の管腔内に、プッシャー部材24が装着されたインナーシャフト23を挿通して、インナーシャフト23の遠位端に先端チップ25を装着し、インナーシャフト23の近位端に操作部材26を装着し、また、その他の部材を適宜取付けて、管状医療用具搬送装置21を製造した。
【0169】
(実施例2)
上記実施例1において、
図1の(ii)における温度T
2を13.0±1.0℃、
図1の(iii)における温度T
3を13.0±1.0℃、
図1の(iv)における温度T
4を13.0±1.0℃に変更する以外は、上記実施例1と同じ条件で、自己拡張型ステント11をアウターシャフト22の管腔内に装填し、
図5に示した管状医療用具搬送装置21を製造した。
【0170】
自己拡張型ステント11(基準外径D
1は6.0mm)を外径D
2(1.45mm)に縮径させたときのラディアルフォースF
2は139.6Nであった。
【0171】
なお、基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で、外径が1.75mm(外径D
3)になったときのラディアルフォースF
3は120.4Nであった。
【0172】
自己拡張型ステント11を外径D
2(1.45mm)から目標外径D
3(1.75mm)に緩めて拡径したときのラディアルフォースF
3’は67.7Nであった。
【0173】
基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で外径がD
3になったときのラディアルフォースF
3は120.4Nで、外径D
2から拡径して外径D
3になったときのラディアルフォースF
3’は67.7Nであったため、ラディアルフォースF
3とラディアルフォースF
3’の差(F
3−F
3’)は、52.7Nであった。
【0174】
押出ロッド32によって自己拡張型ステント11が動き出すときの最大荷重(静止摩擦荷重)を測定した結果、装填荷重は9.4Nであった。
【0175】
(実施例3)
上記実施例1において、
図1の(iii)における温度T
3を13.0±1.0℃、
図1の(iv)における温度T
4を13.0±1.0℃に変更する以外は、上記実施例1と同じ条件で、自己拡張型ステント11をアウターシャフト22の管腔内に装填し、
図5に示した管状医療用具搬送装置21を製造した。
【0176】
自己拡張型ステント11(基準外径D
1は6.0mm)を外径D
2(1.45mm)に縮径したときのラディアルフォースF
2は152.3Nであった。
【0177】
なお、基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で、外径が1.75mm(外径D
3)になったときのラディアルフォースF
3は134.2Nであった。
【0178】
自己拡張型ステント11の外径をD
2(1.45mm)から目標外径D
3(1.75mm)に拡径したときのラディアルフォースF
3’は70.3Nであった。
【0179】
基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で外径がD
3になったときのラディアルフォースF
3は134.2Nで、外径D
2から拡径して外径D
3になったときのラディアルフォースF
3’は70.3Nであったため、ラディアルフォースF
3とラディアルフォースF
3’の差(F
3−F
3’)は、63.9Nであった。
【0180】
押出ロッド32によって自己拡張型ステント11が動き出すときの最大荷重(静止摩擦荷重)を測定した結果、装填荷重は9.8Nであった。
【0181】
(比較例1)
上記実施例1において、
図1に示した手順の代わりに、
図6に示した手順で、管状医療用具収縮装置31(Blockwise社製の「RFL225」)を用い、アウターシャフト22内に自己拡張型ステント11を装入した。
【0182】
図6は、従来の管状医療用具搬送装置の製造方法を説明するための模式図である。
【0183】
以下、
図6を用いて装入手順を説明する。
【0184】
図6の(i)は、外径D
1の自己拡張型ステント11を管状医療用具収縮装置31内に配置した状態を示している。(i)では、温度T
1を37.0±1.0℃とした。上記自己拡張型ステント11の基準外径D
1は6.0mmである。
【0185】
次に、
図6の(ii)は、管状医療用具収縮装置31を用い、自己拡張型ステント11に外力を加えて縮径させた状態を示している。(ii)では、温度T
2を25.0±1.0℃とし、速度を0.1mm/秒として基準外径D
1(6.0mm)から1.75mm(目標外径D
3)に縮径させた。外径D
3(1.75mm)に縮径したときのラディアルフォースF
3は132.8Nであった。
【0186】
次に、
図6の(iii)は、管状医療用具収縮装置31の片側に内径D
4が1.80mmのアウターシャフト22を準備し、管状医療用具収縮装置31の他方側から、外径D
3(1.75mm)に保持された自己拡張型ステント11を、中実の押出ロッド32で押して、アウターシャフト22の管腔内に装填する状態を示している。(iii)では、温度T
4を25.0±1.0℃とした。中実の押出ロッド32はSUS304製で、外径が1.72mmであり、装填時の速度は10mm/秒とした。
【0187】
押出ロッド32と自己拡張型ステント11とが当接する端部と反対側の端部にフォースゲージを取り付け、押出ロッド32によって自己拡張型ステント11が動き出すときの最大荷重(静止摩擦荷重)を装填荷重として測定した。フォースゲージは、日本電産シンポ社製の「FGC−10」を用いた。測定した結果、装填荷重は23.4Nであった。
【0188】
次に、
図6の(iv)は、自己拡張型ステント11をアウターシャフト22の管腔内に装填した状態を示している。アウターシャフト22の管腔内に完全に装填された自己拡張型ステント11の外径は、アウターシャフト22の内径D
4(1.80mm)と同等になった。
【0189】
そして、
図5に示すように、自己拡張型ステント11が収納されたアウターシャフト22の管腔内に、プッシャー部材24が装着されたインナーシャフト23を挿通して、インナーシャフト23の遠位端に先端チップ25を装着し、インナーシャフト23の近位端に操作部材26を装着し、また、その他の部材を適宜取付けて、管状医療用具搬送装置21を製造した。
【0190】
(比較例2)
上記比較例1において、
図6の(ii)における温度T
2を13.0±1.0℃、
図6の(iii)における温度T
4を13.0±1.0℃に変更する以外は、上記比較例1と同じ条件で、アウターシャフト22の管腔内に自己拡張型ステント11を装填し、
図5に示した管状医療用具搬送装置21を製造した。
【0191】
自己拡張型ステント11(基準外径D
1は6.0mm)を目標外径D
3(1.75mm)に縮径させたときのラディアルフォースF
3は119.2Nであった。
【0192】
押出ロッド32によって自己拡張型ステント11が動き出すときの最大荷重(静止摩擦荷重)を測定した結果、装填荷重は17.6Nであった。
【0193】
(比較例3)
上記実施例1において、
図1の(ii)における温度T
2を37.0±1.0℃、
図1の(iii)における温度T
3を37.0±1.0℃、
図1の(iv)における温度T
4を37.0±1.0℃に変更する以外は、上記実施例1と同じ条件で、アウターシャフト22の管腔内に自己拡張型ステント11を装填し、
図5に示した管状医療用具搬送装置21を製造した。
【0194】
自己拡張型ステント11(基準外径D
1は6.0mm)を外径D
2(1.45mm)に縮径させたときのラディアルフォースF
2は168.7Nであった。
【0195】
なお、基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で、外径が1.75mm(外径D
3)になったときのラディアルフォースF
3は149.1Nであった。
【0196】
自己拡張型ステント11の外径をD
2(1.45mm)から目標外径D
3(1.75mm)に拡径したときのラディアルフォースF
3’は99.0Nであった。
【0197】
基準外径D
1から外径D
2に縮径させる途中で外径がD
3になったときのラディアルフォースF
3は149.1Nで、外径D
2から拡径して外径D
3になったときのラディアルフォースF
3’は99.0Nであったため、ラディアルフォースF
3とラディアルフォースF
3’の差(F
3−F
3’)は、50.1Nであった。
【0198】
押出ロッド32によって自己拡張型ステント11が動き出すときの最大荷重(静止摩擦荷重)を測定した結果、装填荷重は15.2Nであった。
【0199】
以上の結果を下記表2にまとめて示す。
【0200】
下記表2から次のように考察できる。実施例1〜3は、本発明で規定する要件を満足する条件で管状医療用具搬送装置を製造した例であり、比較例1〜3は、本発明で規定するいずれかの要件を満足しない条件で製造した例である。
【0201】
実施例1〜3に示すように、温度を適切に制御したうえで、D
1>D
4>D
3>D
2の条件で縮径と拡径を経て管状医療用具を製造することによって、比較例1、2に示すように、D
1>D
4>D
3として拡径を経ずに管状医療用具を製造した場合よりも装填荷重を低減できることが分かる。即ち、実施例1〜3では、ラディアルフォースF
3に対してラディアルフォースF
3’を大きく低減できているため、装填荷重が小さくなった。
【0202】
また、比較例3は、実施例1〜3と同じ手順で管状医療用具搬送装置を製造した例であるが、各工程の温度を適切に制御していないため、ラディアルフォースF
3に対してラディアルフォースF
3’を充分に低減できていない。その結果、装填荷重が実施例1〜3の装填荷重よりも大きくなった。即ち、(2)の工程を行う温度T
2を、実施例1、3に示すように、R相変態開始温度(R
s)より低くするか、実施例2に示すように、R相変態終了温度(R
f)より低くするか、(3)の工程を行う温度T
3を、実施例1に示すように、オーステナイト相変態終了温度(A
f)より低くするか、実施例2、3に示すように、R’相変態終了温度(R
f’)より低くすることによって、装填荷重を低減できることが分かる。特に、実施例3は、温度がT
1>T
2>T
3=T
4となっているため、冷却エネルギーを低減したうえで、ラディアルフォースF
3に対してラディアルフォースF
3’を充分に低減できている。
【0203】
以上のように、本発明の製造方法によれば、ラディアルフォースが大きい管状医療用具であっても、管状医療用具搬送装置へ装填するときの装填荷重を低減できる。その結果、体内管腔における操作性、通過性に優れた医療用具送達システムを容易に製造できる。
【0204】
【表1】
【0205】
【表2】