【文献】
森本祐平,静電容量方式タッチパネルを用いた人体インピーダンス測定,電子情報通信学会2014年エレクトロニクスソサイエティ大会講演論文集2,日本,電子情報通信学会,2014年,p.40
【文献】
森本祐平,静電容量方式タッチパネルを用いた皮膚インピーダンス計測,電子情報通信学会2015年総合大会講演論文集エレクトロニクス2,日本,電子情報通信学会,2015年,p.46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、生体の姿勢状態を検出することが望まれるようになっている。例えば、自動運転を行う車両において、運転者の姿勢がとっさの場合に対応できるような状態であるか否かを判断する等のことが望まれるようになっている。また、運転者の姿勢状態は、緊張や疲労等の運転者状態を示す指標ともなるので、このような観点からも姿勢を検出することが望まれることになる。生体の姿勢を検出するのに、生体を撮像するカメラを利用することも考えられるが、この場合はコストの点で問題となる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、安価に生体の姿勢を検出できるようにした生体の姿勢検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
第1電極と第2電極との表面を
絶縁材で被覆することにより電極部が構成され、
前記
第1電極に対して共振回路を構成するための誘導素子を介して高周波電源が接続される一方、前記第2電極に対して電流測定手段が接続され、
前記高周波電源からの周波数をスイープさせて前記電流測定手段で共振を示す電流状態が検出されたときの共振周波数と共振抵抗値との相関関係を得る相関関係取得手段と、
前記相関関係取得手段により取得された相関関係に基づいて、共振周波数と共振抵抗値とが共に減少または共に増加する範囲における共振抵抗値に基づいて、生体の姿勢を判定する姿勢判定手段と、
を備えているようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、共振周波数と共振抵抗値とが共に減少または共に増加する範囲における共振抵抗値は、生体の身体(例えば自動車の運転者の尻や背中等)がアースされる部位(例えば運転者が運転席に接触する部位)を示すことから、この共振抵抗値に基づいて生体の姿勢状態を決定することが可能となる。また、上記範囲での共振抵抗値の変化(特に所定時間内での変化)に基づいて、姿勢変化やその頻度を検出することができる。そして、高価なカメラ等の撮像手段を用いることなく、生体の姿勢を検出することができる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記姿勢判定手段は、生体の身体とアース部位との接触状態を判定する、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、接触状態にあるアース部位に応じて、姿勢を検出することができる。
【0009】
前記姿勢判定手段は、所定時間内における前記共振抵抗値の変化量に基づいて、生体の姿勢変化を判定する、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、姿勢変化を検出することができる。
【0010】
前記第1電極と前記第2電極とが、積層関係でもって、自動車のステアリングハンドルの全周に沿うように配設されている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、運転席に着座している運転者の姿勢を精度よく検出することができる。また、2つの電極を並列配置した場合に比して、抵抗増加を抑制することができる。
【0011】
前記第1電極と前記第2電極とが、並列関係でもって、自動車のステアリングハンドルの全周に沿うように配設されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、電極に対する生体の接触面積の検出や発汗の有無検出等、生体に関する情報を幅広く検出する上で好ましいものとなる。
【0012】
前記電極部が、自動車のステアリングハンドルに設けられ、
前記姿勢判定手段により判定された姿勢に基づいて、運転者状態を判定する運転者状態判定手段をさらに備えている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、決定された姿勢に基づいて運転者状態を知ることができる。
【0013】
生体の姿勢と共振抵抗値との関係を記憶したデータベースを備え、
前記姿勢判定手段は、前記共振抵抗値を前記データベースに照合することにより生体の姿勢を判定する、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、データベースを利用して、生体の姿勢を精度よく検出することができる。
【0014】
生体の姿勢変化と所定時間内での共振抵抗値の変化量との関係を記憶したデータベースを備え、
前記姿勢判定手段は、前記変化量を前記データベースに照合することにより生体の姿勢変化を判定する、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、データベースを利用して、生体の姿勢変化を精度よく検出することができる。
【0015】
前記姿勢判定手段により判定される生体の姿勢変化の頻度に基づいて、生体の集中度を推定する集中度推定手段を備えている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、生体(例えば車両の運転者)の集中度を推定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、安価に生体の姿勢を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、1は第1電極(送信側電極)、2は第2電極(受信側電極)である。各電極1と2とは、実施形態では並列配置とされて、その表面は絶縁材3により被覆されている。絶縁材3は、各電極1と2との間に跨がって配設されている。なお、絶縁材3は、
図1では肉厚の状態で示してあるが、実際には薄膜状とされている。各電極1、2と絶縁材3とによって、電極部Dが構成される。
【0019】
第1電極1は、高周波電源4に接続されている。高周波電源4は、例えば500KHz〜4MHzの範囲で周波数が変更可能(スイープ可能)とされている。また、第2電極2には、電流計測手段としての電流計5が接続されている。電極部Dに対して共振回路を構成するため、誘導素子11(そのインダクタンスがLとして示される)が、第1電極1と高周波電源4との間に介在されている。
【0020】
図1では、生体としての人体(実施形態では自動車の運転者)が符号Mで示され、その指先が符号M1で示される。そして、
図1では、電極D(の絶縁材3)に対して、指先M1が触れているときの等価回路を示してある。すなわち、R1は両電極1と2との間のリーク抵抗値であり、Cmは両電極1と2との間の相互容量である。また、Cfは、指先M1と電極1あるいは2との間の静電容量であり(第1電極1に対する静電容量と第2電極2に対する静電容量とは同じ値Cfとして示してある)、Rfは皮膚抵抗である。なお、皮膚抵抗は、接触面積によって変化するものである。
【0021】
さらに、指先M1が電極Dに触れている状態において、生体Mとしての運転者の身体を流れる人体アース経路が構成されることになる。すなわち、自動車の運転者となる生体Mは、運転席に着座することにより車体にアースされている状態となる。この人体アース経路において、Rbは人体抵抗であり、Cpは人体静電容量である。
【0022】
指先M1が絶縁材3から大きく離間しているとき(例えば30cm以上離間しているとき)は、皮膚抵抗Rfや人体アースは無視されることになる。このため、高周波電源4からの電流が流れる経路としては、誘導素子11から第1電極1を経て、リーク抵抗R1および相互容量Cmを通って、第2電極2に至る経路となる。このような電流の流れが図中実線で示される。
【0023】
指先M1が絶縁材3に接触した状態では、生体Mに起因した2つの回路系が生成される。生体Mに起因した第1の回路系は、皮膚抵抗Rfが関与する経路で、高周波電源4からの電流が、誘導素子11、第1電極1、図中左側の静電容量Cf、皮膚抵抗Rf、図中右側の静電容量Cfを経て、第2電極2に至る経路となる。このような電流の流れが図中一点鎖線で示される。
【0024】
生体Mに起因した第2の回路系は、人体アース経路であり、高周波電源4からの電流が、誘導素子11、第1電極1、図中左側の静電容量Cf、人体抵抗Rb、人体静電容量Cbを通る経路となる。このような電流の流れが図中破線で示される(電流計5を通らない経路となる)。
【0025】
ここで、指先M1を絶縁材3から若干離間した状態(接触しないが近距離にあるホバータッチ状態)でも、静電容量Cfが生成されることから、電流は、実線で示す流れに加えて、破線で示す流れを生じることになる。すなわち、指先M1を、電極部D(の絶縁材3)に対して大きく離間した状態から徐々に接近させて最終的に接触させたとき、電流の流れる経路が、順次、「
図1実線の状態」、「
図1実線の状態+
図1破線の状態」、「「
図1実線の状態+
図1破線の状態+
図1一点鎖線の状態」へと変化することになる。
【0026】
いま、指先M1を絶縁材3から大きく離間した状態から、徐々に絶縁材3に接近させて、最終的に絶縁材3に強く圧着させた状態を想定する。このように指先M1の位置を変化させる過程において、高周波電源4での周波数を変更して(スイープ)して、そのときの共振周波数と共振抵抗値との相関関係をまとめて示したのが
図2である。なお、共振の検出は、電流計5が極値を検出した時点のものとされ、この共振時の周波数が共振周波数であり、そのときの抵抗値が共振抵抗値となる(共振抵抗値は、高周波電源4での発生電圧と電流計5での検出電流に基づいて算出)。
【0027】
図2において、指先M1を絶縁材3から大きく離間したときは、共振時の初期抵抗値はリーク抵抗R1となり、このときの共振周波数が初期共振周波数となる。初期抵抗値(=R1)となるときの時点が、
図2中符号αで示される。
【0028】
初期抵抗値R1が検出された状態から、指先M1をさらに絶縁材3に接近させていくと、
図1中破線で示す電流の流れを生じる結果、その分電流計5が検出する電流値が減少して、共振抵抗値が増大する一方、共振周波数が減少する。このように、共振抵抗値が初期抵抗値から増大する一方、共振周波数が初期周波数から減少していく状態の範囲では、指先M1が絶縁材3の近くに位置するホバータッチ状態である。
【0029】
指先M1が絶縁材3に接触すると、
図1中一点鎖線で示す電流の流れも生じて、共振抵抗値は、その増大状態から減少状態へと変化される。すなわち、指先M1を絶縁材3に強く押し当てていくのに伴って(指先M1の絶縁材3に対する接触面積が増大されるのに伴って)、皮膚抵抗Rfが減少することから、共振抵抗値は減少状態へと変化される。そして、共振抵抗値の減少に伴って、共振周波数が減少していく。共振抵抗値が増大から減少へと移行する極値(極大値)となるときが、ホバータッチの終了時点となる。ホバータッチの終了時点が、
図2中符号βで示される。なお、ホバータッチ状態であることが検出可能な最大距離(電極Dと指先M1との間の距離)は、6cm以上とすることが可能である。
【0030】
上述したように、初期抵抗値に対して共振抵抗値が大きい範囲において(
図2のα〜βの範囲)、共振抵抗値の増減に対して共振周波数の増減が反対の関係となる場合(つまり、共振周波数の減少に伴って共振抵抗値が増大する場合で、換言すれば共振周波数の増大に伴って共振抵抗値が減少する場合とも言える)に、前記電極部に対して生体がホバータッチ状態であると判定することが可能となる。
【0031】
指先M1を電極部Dに強く押しあてた最終状態では、共振抵抗値が最小値となり、この最小値となった時点が
図2中符号γで示される。なお、共振抵抗値が最小となるときの最小共振抵抗値は、皮膚抵抗値と判断することができる。そして、共振周波数が殆ど変化していないにもかかわらず皮膚抵抗値(最小共振抵抗値)が所定値以上小さくなる方向に変化したときは、生体Mが発汗していると判定することができる。
【0032】
上記β〜γの範囲(共振周波数と共振抵抗値とが共に減少または共に増大する範囲)における共振抵抗値に基づいて、生体Mの姿勢状態を判定することができ、また共振抵抗値の変化から姿勢変化を検出することができる。すなわち、生体Mは、例えば運転席に着座しているときの状態、例えばシートバックに寄りかかっているとき、シートバックから背中が離間しているとき、運転席から尻を浮かしているとき等では、車体に対するアース位置が変化することから、共振抵抗値が変化することになる。したがって、生体Mの姿勢状態と共振抵抗値との相関関係をあらかじめデータベースとして作成しておくことにより、取得した共振抵抗値をデータベースに照合して、生体Mの姿勢状態を判定することが可能となる。運転席に着座している運転者の姿勢(の変化)としては、例えば、床面からの足浮きの有無、背もたれからの浮きの有無(前かがみ姿勢の有無)等がある。
【0033】
図2中、βとγとの間の範囲は、指先M1の絶縁材3に対する接触面積の増大を意味することから、この範囲における共振周波数から算出した静電容量から、指先M1の絶縁材3に対する接触面積を取得することが可能となる。
【0034】
電流が
図1一点鎖線で示す流れの場合において、共振時の回路抵抗Zは、次式(1)で算出される。なお、式中、fは共振周波数であり、高周波電源4での出力状態をみることにより共振周波数fを知ることができる。そして、共振時には、LとCfとが打ち消しあうことから、回路抵抗Zは皮膚抵抗Rfとなる。
【0036】
また、静電容量値Cfは次式(2)で算出される。
【0038】
共振周波数fおよび誘導素子11のインダクタンスLは既知なので、(2)式から静電容量値Cfが算出可能である。そして、求められた静電容量値Cfから、指先M1の接触面積を求めることが可能である。例えば、静電容量値Cfと接触面積との関係をあらかじめデータベース化して、算出されたCfをデータベースに照合することにより接触面積を決定することができる。
【0039】
なお、電流の流れが
図1実線で示す場合および破線で示す場合も式(1)、式(2)と同様にして回路抵抗および静電容量値を算出することができる。この場合、電流が実線で示す流れの場合は、Rfに代えてR1を用い、Cfに代えてCmを用いればよい。また、電流が
図1破線で示す流れの場合は、Rfに代えてRbを用い、Cfに代えて「Cf+Cp」を用いればよい。
【0040】
図3は、ステアリングハンドル41に、1つの電極部Dを設けた場合を示す。すなわち、
図3は、ステアリングハンドル41が中立位置にある状態を示し、この
図3において、ステアリングハンドル41の全周に沿うように(全周に亘って)電極部Dを設けるようにしてある。
【0041】
なお、
図3の例では、電極部Dを構成する第1電極1と第2電極2とは、上下方向に配設した積層構造としてある。すなわち、並列配置の場合は、第2電極2を細くする必要性が生じて、抵抗増加が懸念されることから、積層構造のが好ましい。また、第1電極1の面積を第2電極2の面積で除した値が小さい方が、センサ感度が向上する(共振周波数の変化に伴う共振抵抗値の変化が大になる)ことから、第1電極1に比して第2電極2の面積を大きくするのが好ましい、なお、実施形態では、第1電極1が第2電極2の下側に位置した状態(第2電極2がステアリングハンドル41の表面側に位置した状態)として配設してある。
【0042】
図3の実施形態では、ステアリングハンドル41を例えば自動運転される自動車用として用いて、生体Mとしての運転者が、どのような姿勢状態であるかを判定することができる。
【0043】
図6は、2つの電極1と2を積層して配設した例を示すものであり、
図1に対応した構成要件には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図6において、第1電極1の下方に、隙間を空けて第2電極2が配設されている。絶縁材3は、第1電極1の上面側を覆う第1絶縁材3Aと、2つの電極1と2との間を絶縁する第2絶縁材3Bとから構成されている。なお、2つの絶縁材A3Aと3Bとは同一部材から構成されている。
図6に示す等価回路においては、皮膚抵抗Rfは存在しないものとされる。ただし、
図6の等価回路においても、
図2のような特性を得ることができる。
【0044】
図6中、静電容量Cfは、第1電極1と指先M1との間のものを示してあるが、実際には、第2電極2と指先M1との間にも生じるものである。このとき、第1電極1と指先M1との間の静電容量をCf1、第2電極2と指先M1との間の静電容量をCf2とし、2つの静電容量Cf1とCf2との関係を次式(3)で定義する。なお、式中RRは定数である。
【0045】
Cf2=RR・Cf1 (3)
定数RRを、例えば0.1〜10の範囲で変更(例えば各電極1と2との幅を相違させることにより変更)させたとき、RRが小さいほど
図2におけるαとβとの区間が大きくなり、共振周波数の減少に伴う共振抵抗値の増大分が大きくなって、ホバータッチを安定して検出する上で好ましいものとなる(ロバスト性向上)。逆に、RRが大きいほど、上記αとβとの区間が小さくなり、また共振周波数の減少に伴う共振抵抗値の増大分も小さくなる。
図2のような特性を得るためには、RRを0.1〜1.0程度の範囲に設定しておくのが好ましい(このことは、2つの電極1と2を
図1に示すように並列配置した場合も同じ)。なお、積層構造の場合、2つの電極1と2との幅の関係は、第2電極2の方が第1電極1よりも幅広で、RRが大きくなるほど、第2電極2が第1電極1の幅端から左右に露出する長さが大きくなる。
【0046】
図4は、本発明おける制御系統例が示される。図中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUには、電流計5での検出電流が入力される。また、コントローラUは、高周波電源4およびディスプレイ42を制御する。ディスプレイ42は、例えば、自動運転の実行中に、生体Mとしての運転者が好ましくない姿勢状態を長く維持しているときに、注意警報等を行うものとなっている。
【0047】
次に、コントローラUによる制御例、特に姿勢検出について、
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、Q1において、高周波電源4を制御して、特定の周波数帯域の範囲でもって周波数の変更(スイープ)を行う。
【0048】
Q1の後、Q2において、初期抵抗値(=R1)とそのときの共振周波数f1が決定される。この後、Q3において、共振抵抗値と共振周波数との相関関係が取得される(
図2のような特性の取得となるが、α点からγ点までの全ての周波数範囲での特性が得られるものとは限らない)。
【0049】
Q3の後、Q4において、共振周波数と共振抵抗値とが共に減少または共に増加する範囲が存在するか否かが判別される。このQ4の判別でYESのときは、Q5において、上記範囲における共振抵抗値に基づいて(共振抵抗値をデータベースに照合して)、生体Mとしての運転者の姿勢が判定される。この後、Q6において、現在の共振抵抗値が時間と共にデータベースに記憶される(時系列形式での記憶)。Q4の判別でNOのときは、そのまま終了される。
【0050】
図7は、生体Mとしての運転者の姿勢変化の有無や集中度低下の有無を判定するための制御例を示す。以下、
図7について説明する。まず、Q21において、
図5のQ6で取得されたデータベースにアクセスされる。この後Q22において、所定時間内における共振抵抗値の最大値が算出される。
【0051】
Q22の後、Q23において、現在の共振抵抗値が、Q22で算出された最大値以上であるか否かが判別される。このQ23の判別でYESのときは、Q24において、姿勢変化なしと判定される。
【0052】
Q23の判別でNOのときは、Q25において、所定時間内に、共振抵抗値が所定値以上変化する頻度が所定頻度以上であるか否かが判別される。このQ25の判別でYESのときは、姿勢変化が頻繁に行われているときであり、Q26において集中度が低下していると判定される。Q25の判別でNOのときは、そのまま終了される。
【0053】
ここで、姿勢変化の判定を、データベースを利用して行うことができる。すなわち、運転者の姿勢を種々変更して、ある姿勢から別の姿勢へと変化したきの共振抵抗値の変化量を対応づけて記憶したデータベースを作成しておく。そして、共振抵抗値の変化量をデータベースに照合して、姿勢変化を判定することができる。また、前かがみ状態の姿勢が所定時間以上継続して検出されたときに、運転者状態として緊張状態であると判定することができる。
【0054】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。姿勢(あるいはその変化)の検出に加えて、ホバータッチ状態の検出と接触面積の検出と発汗の有無の検出との任意の1以上の検出を合わせて行うこともできる。検出対象となる部位は、指先に限らず、足先や肘等、生体の適宜の部位とすることができる。本発明が適用される移動物体としては、車両(特に自動車)に限らず、船舶、航空機等、人間によって操作される各種のものを対象とすることができる。
【0055】
本発明は、移動物体を操作する者の姿勢検出に限らず、例えば、介護を受ける被介護者のベッド上での姿勢状態(あるいは姿勢変化)検出等、種々の分野において適用可能である。フローチャートに示す各ステップあるいはステップ群は、コントローラUの有する機能を示すもので、この機能を示す名称に手段の文字を付して、コントローラUの有する構成要件として把握することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。