特許第6765274号(P6765274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765274
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】コネクタカバー、筐体、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20200928BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   H01R13/52 B
   H04M1/02 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-197471(P2016-197471)
(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公開番号】特開2018-60679(P2018-60679A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山岡 英司
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−009911(JP,A)
【文献】 特開2005−228756(JP,A)
【文献】 特開2004−146907(JP,A)
【文献】 特開2006−233994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の外装を貫通する貫通孔が底面に形成された開口部を開閉する蓋部と、
前記開口部を閉じた場合、前記蓋部における前記貫通孔に対応する位置に設けられ、前記貫通孔の内周面に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が、外周面に形成された腕部と、を備え、
前記腕部における前記蓋部から前記雄ねじ部までの非ねじ部の外径は、前記雌ねじ部の内径よりも小さいことを特徴とするコネクタカバー。
【請求項2】
前記雄ねじ部は、前記腕部の先端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタカバー。
【請求項3】
前記腕部は、前記蓋部の端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタカバー。
【請求項4】
前記蓋部は、細長い形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタカバー。
【請求項5】
前記非ねじ部の長さは前記外装の厚みよりも長いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタカバー。
【請求項6】
開口部が形成された筐体であって、
前記開口部の底面には、当該筐体の外装を貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔の内周面には、雌ねじ部が形成されており、
前記雌ねじ部は、前記開口部を開閉するコネクタカバーの蓋部に設けられた腕部の外周面に形成された雄ねじ部に螺合し、
前記雌ねじ部の内径は、前記腕部における前記蓋部から前記雄ねじ部までの非ねじ部の外径よりも大きいことを特徴とする筐体。
【請求項7】
前記雌ねじ部のねじ山は、1ターン未満で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の筐体。
【請求項8】
前記雌ねじ部のねじ山の間隔は、前記雄ねじ部のねじ山の間隔よりも広いことを特徴とする請求項6または7に記載の筐体。
【請求項9】
前記雌ねじ部のねじ山の深さは、前記雄ねじ部のねじ山の深さよりも深いことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項10】
開口部が形成された筐体と、
前記開口部を開閉する蓋部を有するコネクタカバーと、を備え、
前記開口部は、前記筐体の外装を貫通する貫通孔が底面に形成され、前記貫通孔の内周面には雌ねじ部が形成されており、
前記蓋部には、前記開口部を閉じた場合、前記蓋部における前記貫通孔に対応する箇所に設けられ、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が外周面に形成された腕部が設けられ、
前記腕部における、前記蓋部から前記雄ねじ部までに設けられている非ねじ部の外径は、前記雌ねじ部の内径よりも小さいことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に、電子機器の筐体の開口部を開閉するコネクタカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば、携帯端末には、充電用コネクタを挿し込む、または、SDカード/SIMカードなどのカードを出し入れする開口部が形成されている。また、上記電子機器には、意匠、防塵、および防水等の目的で、上記開口部を開閉するカバーが取り付けられている。
【0003】
上記カバーは、携帯端末の修理等を行う際には、作業の邪魔にならないように筐体から取り外しができ、ユーザによる携帯端末の使用時における開口部の開閉際には、紛失を防ぐために、筐体から分離されないことが望まれる。言い換えると、上記カバーには、(1)一定荷重以上でも筐体から外れないこと、および、(2)筐体から取り外すことができること、という2つの機能が求められている。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、(1)先端部分に引っ掛け爪が形成された突起部を有するコネクタカバーと、(2)突起部が挿入される孔が形成され、突起部の先端部分が当該孔を通過した先に引っ掛け爪を係止するリブを有する係止部が設けられた筐体と、を備える携帯端末機器が提案されている。特許文献1の突起部の先端部分には溝が設けられており、突起部の先端部分は、上記溝の方向に収縮して孔を通過し、その後、収縮が解除されてもとの状態に戻った突起部の先端部分を係止部が係止する。これにより、コネクタカバーが筐体から抜け落ちることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−258964号公報(2003年9月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は、引っ掛け爪が孔の直径よりも突出して構成されているため、コネクタカバーを取り付ける際の挿入荷重、または、取り外す際の引き抜き荷重が大きくなってしまい、コネクタカバーの破損等につながるという問題がある。
【0007】
また、挿入荷重や引き抜き荷重を下げるために、穴の径を大きくしたり、引っ掛け爪を小さくしたりすると、コネクタカバーを開閉する際に、意図せずコネクタカバーが筐体から抜け落ち、コネクタカバーを紛失してしまうという問題がある。一方、コネクタカバーを筐体から取り外す際の引き抜き荷重を上げるために、穴の径を小さくしたり、引っ掛け爪を大きくしたりすると、コネクタカバーを筐体に取り付ける際の挿入荷重が大きくなり、取り付けにくくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大きな荷重を必要としないで、筐体への取り付け、および筐体からの取り外しが可能であるコネクタカバーを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るコネクタカバーは、筐体の外装を貫通する貫通孔が底面に形成された開口部を開閉する蓋部と、前記開口部を閉じた場合、前記蓋部における前記貫通孔に対応する位置に設けられ、前記貫通孔の内周面に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が、外周面に形成された腕部と、を備え、前記腕部における前記蓋部から前記雄ねじ部までの非ねじ部の外径は前記雌ねじ部の内径よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る筐体は、開口部が形成された筐体であって、前記開口部の底面には、当該筐体の外装を貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の内周面には、雌ねじ部が形成されており、前記雌ねじ部は、前記開口部を開閉するコネクタカバーの蓋部に設けられた腕部の外周面に形成された雄ねじ部に螺合し、前記雌ねじ部の内径は、前記腕部における前記蓋部から雄ねじ部までの非ねじ部の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、開口部が形成された筐体と、前記開口部を開閉する蓋部を有するコネクタカバーと、を備え、前記開口部は、前記筐体の外装を貫通する貫通孔が底面に形成され、前記貫通孔の内周面には雌ねじ部が形成されており、前記蓋部には、前記開口部を閉じた場合、前記蓋部における前記貫通孔に対応する箇所に設けられ、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が外周面に形成された腕部が設けられ、前記腕部における、前記蓋部から前記雄ねじ部までに設けられている非ねじ部の外径は、前記雌ねじ部の内径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、大きな荷重を必要としないで、筐体への取り付け、および筐体からの取り外しが可能であるコネクタカバーを実現できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯端末のコネクタカバーの側面図であり、(b)は、上記携帯端末の筐体の貫通孔の斜視図である。
図2】上記貫通孔において、コネクタカバーの取り付け開始位置と、取り外し開始位置とを示した図である。
図3】上記携帯端末においてコネクタカバーを筐体に取り付けた状態を示した斜視図である。
図4】(a)は上記コネクタカバーを筐体に取り付ける過程を筐体の内側から示した斜視図であり、(b)は上記コネクタカバーを筐体に取り付ける過程を筐体の外側から示した斜視図である。
図5】上記携帯端末の筐体において、ねじ形状を金型スライド構造で作成する方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1図4に基づいて説明する。本実施形態では、一例として、携帯端末100としてスマートフォンについて説明する。ただし、携帯端末100としては、携帯電話機、タブレットPC、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、携帯ゲーム機等の任意の電子機器を適用することができる。
【0016】
(携帯端末)
図4の(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯端末100のコネクタカバー10を筐体20に取り付ける過程を筐体20の内側から示した斜視図であり、図4の(b)はコネクタカバー10を筐体20に取り付ける過程を筐体20の外側から示した斜視図である。なお、図4の(a)・(b)の矢印AR1は、コネクタカバー10の取り付け回転方向を示し、矢印AR2は、コネクタカバー10の取り外し回転方向を示す。
【0017】
図4の(a)および図4の(b)に示すように、携帯端末100は、筐体20としての略直方体の携帯端末本体と、コネクタカバー10とを備えている。コネクタカバー10は、筐体20の貫通孔21に対して回転させることで、筐体20への取り付け、筐体20からの取り外しを行うことができる。以下に詳しく説明する。
【0018】
(筐体)
筐体20について、図1から図4に基づいて説明する。図1の(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯端末100のコネクタカバー10の側面図である。図1の(b)は、携帯端末100の筐体20の貫通孔21の斜視図である。図2は、貫通孔21において、コネクタカバー10の取り付け開始位置K1と、取り外し開始位置K2とを示した図である。図3は、携帯端末100においてコネクタカバー10を筐体20に取り付けた状態を示した斜視図である。なお、図2の矢印AR1は、コネクタカバー10の取り付け回転方向を示す。
【0019】
図1の(b)に示すように、筐体20には、開口部23が形成されている。開口部23は、例えば、携帯端末100に充電用コネクタを挿し込む、または、SDカード/SIMカードなどのカードを出し入れするために設けられている。
【0020】
開口部23の底面23aには、貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、SDカード/SIMカードなどのカードを出し入れする箇所とは、別に設けられ、例えば、開口部23の端部に設けられている。
【0021】
貫通孔21は、筐体20の外装20aを貫通する。貫通孔21の内周面21aには、雌ねじ部22が形成されている。雌ねじ部22は、後述する雄ねじ部12に螺合する。
【0022】
雌ねじ部22のねじ山22a(図5参照)は、1ターン未満で形成されている。具体的には、図2に示すように、雌ねじ部22は、取り付け開始位置K1から取り外し開始位置K2まで、内周面21aに螺旋状に形成されている。
【0023】
内周面21aにねじ山22aが1ターン未満で形成される場合であっても、ねじ山22aが形成されていない範囲を所定値以下に抑えることで、後述する雄ねじ部12とのロック機能が十分に発揮できる。例えば、図2に示すように、貫通孔21の中心を中心として、取り付け開始位置K1と取り外し開始位置K2とのなす角θを、およそ120°以下に抑えることで、上記機能が発揮できる。ねじ山22aが1ターン未満で形成されることにより、コネクタカバー10の筐体20に対する取り付けの容易性を実現するとともに、筐体20を薄型化できる。また、角θを90°以上120°以下の範囲とすることで、
雌ねじ部22のねじ山22aが1ターンしたときに隣り合うねじ山22a同士の間隔(ピッチP2、図示なし)は、後述する雄ねじ部12のねじ山12aが1ターンしたときに隣り合うねじ山12aの間隔(ピッチP1)よりも広い。ピッチP2をピッチP1よりも広くとることで、コネクタカバー10の腕部11を貫通孔21に挿入して回転させるときのクリアランスに余裕ができる。これにより、コネクタカバー10の回転が容易となり、コネクタカバー10を貫通孔21に挿入しやすくなる。言い換えると、ピッチP1およびピッチP2を調整することで、コネクタカバー10の挿入のしやすさを調整できる。
【0024】
雌ねじ部11は、通常の金型で構成できる形状が望ましい。雌ねじ部22を金型で作成することで、取り付け開始位置K1および取り外し開始位置K2が一定となり、取り付け、および取り外し作業が容易となる。
【0025】
(コネクタカバー)
コネクタカバー10について、図1の(a)・(b)に基づいて説明する。図1の(a)に示すように、コネクタカバー10は、腕部11、および蓋部14を備えている。
【0026】
蓋部14は、開口部23を開閉する。例えば、蓋部14の形状は、開口部23に嵌る形状であり、開口部23に蓋部14をはめ込むことで、蓋部14は開口部23を閉じることができる。蓋部14の形状は特に規定されない。本実施形態では、筐体20の形状に合わせて、蓋部14の形状は細長い丸角長方形である。蓋部14の形状を細長くすることで、蓋部14の回転を容易にすることができる。蓋部14は、ねじ山22aの内径(雌ねじ部22の内径D3)よりも大きい。
【0027】
蓋部14には、腕部11が設けられている。蓋部14において、蓋部14が開口部23を閉じた場合に、貫通孔21に対応する位置に腕部11が設けられている。本実施形態では、蓋部14における端部、詳しくは端部から少し中央に寄せた位置に腕部11が配置されている。これにより、蓋部14の回転が容易になる。蓋部14における腕部11の位置は、上記に限らない。例えば、筐体20が真円形状である場合、蓋部14における腕部11の位置が蓋部14の中央付近であれば、非ねじ部13の長さを後述するように外装の厚みT1よりも長くする必要はない。
【0028】
腕部11の先端部の外周面には、雄ねじ部12が形成されている。雄ねじ部12は、雌ねじ部22に螺合する。そのため、雄ねじ部12の外径D2は、雌ねじ部22の内径D3よりも大きい。
【0029】
腕部11において、蓋部14から雄ねじ部12までは、ねじ山は形成されておらず、非ねじ部13が設けられている。非ねじ部13の外径D1は、雌ねじ部21の内径D3よりも小さい。また、非ねじ部13の長さH1は、筐体20の外装の厚みT1(図1の(b)および図3参照)よりも長い。これにより、雄ねじ部12が筐体20の内部にある場合でも、腕部11は、貫通孔21内において、雄ねじ部12および蓋部14の間(非ねじ部13)でスライドし、回転することができる(図3図4の(a)および図4の(b)参照)。そのため、コネクタカバー10が筐体20に装着された状態で、コネクタカバー10を回転させて開口部23を開閉できる。また、開口部23の開閉の際には、ねじ構造を意識せず、非ねじ部13の出し入れ(スライド)のみで開口部23の開閉が行える。
【0030】
雄ねじ部12は、腕部11の先端部ではなく、腕部11の中央部に形成し、先端部には別のロック機構やその他機能を設けてもよい。雄ねじ部12を腕部11の先端部に形成することにより、腕部11の長さを最小限にすることができる。また、雄ねじ部12のねじ山12aの形成範囲を調整することで、コネクタカバー10の取り外しまでの回転数を調整することができる。
【0031】
さらに、雌ねじ部22の内径D3や非ねじ部13の外径D1を変更することで、雄ねじ部12と雌ねじ部22との係りについて調整することができる。また、雌ねじ部22のねじ山の深さQ2(図5参照)を、雄ねじ部12のねじ山の深さQ1よりも深くすることで、コネクタカバー10の回転性を向上させることができる。
【0032】
(取り付け取り外し)
図4の(a)・(b)に基づき、筐体20へのコネクタカバー10の取り付け、および、筐体20からのコネクタカバー10の取り外し過程を説明する。
【0033】
上述したように、コネクタカバー10は、筐体20に対して回転させることにより、筐体20への取り付け・取り外しを行う。より詳しくは、ねじ山22a(図5参照)にねじ山12a(図1の(a)参照)を係止させて、コネクタカバー10を回転させることにより、雄ねじ部12を筐体20の外側から内側へ引き込む、または雄ねじ部12を筐体20の内側から外側に押し出す。
【0034】
これにより、コネクタカバー10の一部を変形させることなく、容易にコネクタカバー10を筐体20に取り付けることができるので、取り付けに大きな荷重を必要としない。また、コネクタカバー10を筐体20から取り外す際にも、同様に、大きな引き抜き荷重を必要としない。
【0035】
従来(特許文献1)のように、筐体20への取り付け、および筐体20からの取り外しのために、コネクタカバーの先端部を変形させる必要がある場合、上記先端部には、荷重に対して変位の大きなエラストマー等の高弾性の材料を採用することが一般的である。一方、本実施形態では、コネクタカバー10は変形する必要がない。したがって、雄ねじ部12は材料として、例えば、PC(ポリカーボネート)や、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)などの外観加飾性の良い材料を用いることができる。また、雄ねじ部12は材料として、エラストマーの2色成形を用いることもできる。
【0036】
非ねじ部13においても、従来のように、筐体20への取り付け、および筐体20からの取り外しの際に、引張圧縮方向や曲げ方向に荷重が発生しないため、エラストマー等を利用して2色成形をする必要がなくなる。
【0037】
また、コネクタカバー10が筐体20に取り付けられている状態では、ユーザからねじ構造が確認できない。そのため、ユーザが引き抜き方向に荷重をかけながら回転させるという、コネクタカバー10の取外し方法を知らなければ、筐体20からコネクタカバー10を簡単に取り外すことができない。
【0038】
さらに、本実施形態に係る携帯端末100は、コネクタカバー10の腕部11の先端部、および筐体20の貫通孔21にねじ構造を設けるだけなので、特許文献1に記載されているコネクタカバーのような複雑な構造が不要となる。
【0039】
〔実施形態2〕
次に、図5に基づいて、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2では携帯端末100の筐体20において、ねじ形状を金型スライド構造で作成する方法を説明する。図5は、携帯端末100の筐体20において、ねじ形状を金型スライド構造で作成する方法を説明する断面図である。
【0040】
ねじ山22aを1ターン未満とすることにより、雌ねじ部22を内周面21aに形成する際に、複雑な金型構造が不要となり、雌ねじ部22を金型スライド構造により形成することができる。言い換えると、金型のナット構造等、より具体的には、アウトサート、インサートナット、およびタッピング、を用いなくても、雌ねじ部22を形成することができる。
【0041】
詳しくは、図5に示すように、雌ねじ部22は、傾斜ピン31と外スライド30との付き合わせ構造で作成することができる。また、雌ねじ部22は、アウトサートナット等でも作成可能である。
【0042】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るコネクタカバー(10)は、筐体(20)の外装(20a)を貫通する貫通孔(21)が底面(23a)に形成された開口部(23)を開閉する蓋部(14)と、前記開口部を閉じた場合、前記蓋部における前記貫通孔に対応する位置に設けられ、前記貫通孔の内周面(21a)に形成された雌ねじ部(22)に螺合する雄ねじ部(12)が、外周面に形成された腕部(11)と、を備え、前記腕部における前記蓋部から前記雄ねじ部までの非ねじ部(13)の外径(D1)は前記雌ねじ部の内径(D3)よりも小さい。
【0043】
上記構成によれば、コネクタカバーの腕部の外周に形成された雄ねじ部と、筐体の貫通孔の内周面に形成された雌ねじ部とが螺合する。これにより、腕部の雄ねじ部と筐体の貫通孔の雌ねじ部とを合わせて、コネクタカバーを回転させることで、コネクタカバーの筐体への取り付け、および、コネクタカバーの筐体からの取り外しができる。その結果、コネクタカバーの筐体への取り付け、および筐体からの取り外しを、大きな荷重を必要とせずに、行うことができる。
【0044】
また、腕部の雄ねじ部と、筐体の貫通孔の雌ねじ部とを合わせて回転させないと、コネクタカバーは筐体から取り外せない。さらに、腕部における非ねじ部の外径は貫通孔の雌ねじ部の内径よりも小さくなっている。そのため、製造時に、コネクタカバーを筐体に取り付けた後、ユーザがコネクタカバーを使用する際には、ユーザは腕部の一部が筐体内側にある状態を保ったまま、コネクタカバーにより開口部を開閉することができる。
【0045】
以上により、筐体からの抜け落ちを防止するとともに、大きな荷重を必要とせずに、筐体への取り付け、および筐体からの取り外しができるコネクタカバーを実現することができる。
【0046】
本発明の態様2に係るコネクタカバー(10)は、上記態様1において、前記雄ねじ部(12)は、前記腕部(11)の先端部に設けられていることが好ましい。上記構成によれば、腕部の長さを最小限に抑えることができる。
【0047】
本発明の態様3に係るコネクタカバー(10)は、上記態様1または2において、前記腕部(13)は、前記蓋部(14)の端部に設けられていることが好ましい。上記構成によれば、蓋部の回転を容易にすることができる。
【0048】
本発明の態様4に係るコネクタカバー(10)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記蓋部(14)は、細長い形状であることが好ましい。上記構成によれば、蓋部の回転を容易にすることができる。
【0049】
本発明の態様5に係るコネクタカバー(10)は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記非ねじ部の長さは前記外装の厚みよりも長いことが好ましい。
【0050】
上記構成によれば、例えば、筺体が略直方体であっても、ユーザは腕部の一部が筐体内側にある状態を保ったまま、コネクタカバーにより開口部を開閉することができる。
【0051】
本発明の態様6に係る筐体(20)は、開口部(23)が形成された筐体であって、前記開口部(23)の底面(23a)には、当該筐体の外装(20a)を貫通する貫通孔(21)が形成され、前記貫通孔の内周面(21a)には、雌ねじ部(22)が形成されており、前記雌ねじ部は、前記開口部を開閉するコネクタカバー(10)の蓋部(14)に設けられた腕部(11)の外周面に形成された雄ねじ部(12)に螺合し、前記雌ねじ部の内径(D3)は、前記腕部における前記蓋部から前記雄ねじ部までの非ねじ部(13)の外径(D1)よりも大きい。
【0052】
上記構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0053】
本発明の態様7に係る筐体(20)は、上記態様6において、前記雌ねじ部(22)のねじ山(22a)は、1ターン未満で形成されていることが好ましい。
【0054】
上記構成によれば、コネクタカバーの筐体に対する取り付けの容易性を実現するとともに、筐体の薄型化することができる。また、金型ナット構造が不要となり、雌ねじ部を金型スライド構造で形成することができる。
【0055】
本発明の態様8に係る筐体(20)は、上記態様6または7において、前記雌ねじ部(22)のねじ山(22a)の間隔は、前記雄ねじ部(12)のねじ山(12a)の間隔よりも広いことが好ましい。
【0056】
上記構成によれば、コネクタカバーの回転時のクリアランスに余裕が生じ、コネクタカバーの回転が容易になる。つまり、コネクタカバーの筐体に対する取り付けの容易性を実現する。
【0057】
本発明の態様9に係る筐体(20)は、上記態様6から8のいずれかにおいて、前記雌ねじ部(12)のねじ山(12a)の深さは、前記雄ねじ部(12)のねじ山(12a)の深さよりも深いことが好ましい。
【0058】
上記構成によれば、コネクタカバーの回転性が向上し、コネクタカバーを筐体から取り外すときの引き抜き荷重が軽減する。
【0059】
本発明の態様10に係る電子機器(携帯端末100)は、開口部(23)が形成された筐体(20)と、前記開口部を開閉する蓋部(14)を有するコネクタカバー(10)と、を備え、前記開口部は、前記筐体の外装(20a)を貫通する貫通孔(21)が底面(23a)に形成され、前記貫通孔の内周面(21a)には雌ねじ部(22)が形成されており、前記蓋部には、前記開口部を閉じた場合、前記蓋部における前記貫通孔に対応する箇所に設けられ、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部(12)が外周面に形成された腕部(11)が設けられ、前記腕部における前記蓋部から前記雄ねじ部までに設けられている非ねじ部(13)の外径(D1)は、前記雌ねじ部の内径(D3)よりも小さい。
【0060】
上記構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0061】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 コネクタカバー
11 腕部
12 雄ねじ部
12a ねじ山(雄ねじ部のねじ山)
13 非ねじ部
14 蓋部
20 筐体
20a 外装
21 貫通孔
21a 内周面
22 雌ねじ部
22a ねじ山(雌ねじ部のねじ山)
23 開口部
23a 底面
100 携帯端末(電子機器)
D1 外径(非ねじ部の外径)
D3 内径(雌ねじ部の内径)
T1 厚み(外装の厚み)
図1
図2
図3
図4
図5