【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部は、特にことわりのない限り、すべて質量基準である。
【0027】
不織布基材Aの作製
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維56部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダ用PET系短繊維40.0部とアラミド繊維のパルプ状物(平均繊維長1.7mm、平均繊維径10μm)を高圧ホモジナイザーによりフィブリル化させた1%スラリー400部とを、パルパーにより水中に分散し、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを湿式抄造法で抄き上げ、130℃のヤンキードライヤーによって乾燥した後、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度100℃、線圧100kN/m、処理速度40m/分の条件で熱カレンダー処理し、坪量10g/m
2、厚み15μmの不織布基材Aを作製した。
【0028】
不織布基材Bの作製
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を53部、アラミド繊維のパルプ状物(平均繊維長1.7mm、平均繊維径10μm)を高圧ホモジナイザーによりフィブリル化させた1%スラリーを700部とした以外は、不織布基材Aと同様にして不織布基材Bを作製した。
【0029】
不織布基材Cの作製
アラミド繊維(平均繊維長1.7mm、平均繊維径10μm)を高圧ホモジナイザーによりフィブリル化させた1%スラリー400部の代わりに、繊度0.5dtex(平均繊維径20μm)、繊維長3mmのポリプロピレン系短繊維4部とした以外は、不織布基材Aと同様にして不織布基材Cを作製した。
【0030】
塗液の作製
無機粒子として、平均粒子径2.0μmの水酸化マグネシウム100部を、その1質量%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液120部に分散し、よく攪拌して水酸化マグネシウム分散液を作製した。次いで、その1質量%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液300部を混合、攪拌し、さらに、バインダとして45%スチレン/ブタジエン共重合体のラテックス高分子15部を混合、攪拌して、塗液を作製した。
【0031】
セパレータAの作製
不織布基材Aの片面上に、塗液を絶乾塗工量が10g/m
2となるように塗工、乾燥してセパレータAを作製した。
【0032】
セパレータBの作製
不織布基材Bの片面上に、塗液を絶乾塗工量が10g/m
2となるように塗工、乾燥してセパレータBを作製した。
【0033】
セパレータCの作製
不織布基材Cの片面上に、塗液を絶乾塗工量が10g/m
2となるように塗工、乾燥してセパレータCを作製した。
【0034】
正極Aの作製
正極活物質として、LiNi
1/3Mn
1/3Co
1/3O
2粉末100部、導電材としてアセチレンブラック3部、グラファイト3部及びポリフッ化ビニリデン4部を混合し、これをNメチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用正極Aを作製した。
【0035】
正極Bの作製
正極活物質として、LiNi
0.5Mn
0.3Co
0.2O
2粉末100部、導電材としてアセチレンブラック3部、グラファイト3部及びポリフッ化ビニリデン4部を混合し、これをNメチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用正極Bを作製した。
【0036】
正極Cの作製
正極活物質として、LiNi
0.6Mn
0.2Co
0.2O
2粉末100部、導電材としてアセチレンブラック3部、グラファイト3部及びポリフッ化ビニリデン4部を混合し、これをNメチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用正極Cを作製した。
【0037】
正極Dの作製
正極活物質として、LiNi
0.8Mn
0.1Co
0.1O
2粉末100部、導電材としてアセチレンブラック3部、グラファイト3部及びポリフッ化ビニリデン4部を混合し、これをNメチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用正極Dを作製した。
【0038】
負極の作製
負極活物質として、黒鉛粉末100部を1%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液100部に分散した後、45%スチレン/ブタジエン共重合体のラテックス高分子6部を混合し、これを厚さ8μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用負極を作製した。
【0039】
実施例1
作製したセパレータA、正極A、負極、また、電解液としてはリチウムヘキサフルオロフォスフェートのエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとジメチルカーボネートの1/1/1(容量比)混合溶媒溶液(1mol/L)を用い、セパレータAの塗工側の面が負極側となるように積層し、設計容量が100mAhのラミネート型リチウムイオン電池Aを作製した。
【0040】
実施例2
正極として、正極Bを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池Bを作製した。
【0041】
実施例3
正極として、正極Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池Cを作製した。
【0042】
実施例4
正極として、正極Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池Dを作製した。
【0043】
実施例5
セパレータとして、セパレータB、正極として、正極Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池Eを作製した。
【0044】
比較例1
セパレータとして、セパレータCを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池Fを作製した。
【0045】
<評価>
【0046】
[セパレータの耐熱性]
作製した各セパレータから50mm×50mmのシートサンプルを切り出し、シートサンプルのCD(クロスディレクション、横方向)辺をクリップで固定して耐熱ガラス板に挟んで、150℃及び180℃の恒温槽中に1時間ずつ保持した後に取り出してサンプルの幅を測定し、加熱前後での収縮率を算出した。評価は以下に従った。
【0047】
◎:収縮率が2%未満でほとんど収縮は見られない。
○:収縮率が2〜5%で実用上問題ないレベルである。
△:収縮率が5〜8%で局所過熱による収縮がやや懸念される。
×:収縮率が8%超で局所過熱時収縮が懸念される。
【0048】
[サイクル寿命]
作製した各リチウムイオン電池について、55℃条件下で、100mA定電流充電→4.2V定電圧充電→充電電流10mAになったら100mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクルのシーケンスにて、500サイクルの充放電を行い、[1−(500サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)]×100(%)として容量低下率を求めた。評価は以下に従った。
【0049】
◎:容量低下率が10%未満。
○:容量低下率が10〜15%で実用上問題ないレベルである。
△:容量低下率が15〜25%で長期使用時の容量低下が懸念される。
×:容量低下率が25%超で比較的短期での容量低下が懸念される。
【0050】
【表1】
【0051】
表1から明らかなように、実施例1〜5のリチウムイオン電池は、ニッケル比率の高い正極材料を含んでいるが、不織布基材に無機粒子が担持されてなるセパレータにおける不織布基材が構成繊維としてアラミド繊維を含んでいるので、セパレータの耐熱性に優れ、また電池のサイクル寿命に優れる。