特許第6765307号(P6765307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6765307新鮮な抽出した冷たいコーヒー飲料の作成方法及びかかる方法を実行するためのコーヒーマシン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765307
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】新鮮な抽出した冷たいコーヒー飲料の作成方法及びかかる方法を実行するためのコーヒーマシン
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/50 20060101AFI20200928BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   A47J31/50 203
   A47J31/44 100
【請求項の数】25
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-560581(P2016-560581)
(86)(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公表番号】特表2017-512590(P2017-512590A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】EP2015000309
(87)【国際公開番号】WO2015149899
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年2月1日
(31)【優先権主張番号】00498/14
(32)【優先日】2014年4月1日
(33)【優先権主張国】CH
(31)【優先権主張番号】14/505,738
(32)【優先日】2014年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514099710
【氏名又は名称】シェーラー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥルニンガー、ルディ
(72)【発明者】
【氏名】エッケンハウゼン、スティーブン
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−518625(JP,A)
【文献】 特開2005−275641(JP,A)
【文献】 特開平09−122016(JP,A)
【文献】 特開平06−022856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/50
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新鮮な抽出した冷たいコーヒー飲料の作成方法であって、
a) 所定量のコーヒー粉で抽出手段を満たすステップと、
b) 前記抽出手段において、前記所定量のコーヒー粉に湯及び/又は熱い蒸気を押し通すことによって、熱いコーヒー飲料を抽出するステップと、
c) 少なくとも1つの熱交換器によって、前記熱いコーヒー飲料を冷却するステップと、
d) 前記冷却されたコーヒー飲料をコーヒー取り出し口で分配するステップと、
を含み、
e) 前記熱いコーヒーの前記冷却するステップは、少なくとも1つの熱交換器において冷水取り入れ口からの冷水の流れと排他的に熱的接触をさせることによって行われる、
方法。
【請求項2】
前記冷却するステップは、前記コーヒー飲料が前記コーヒー取り出し口で分配される前に、第2の流れにおける所定量の冷水を、前記少なくとも1つの熱交換器から来る前記コーヒー飲料と混ぜることを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出ステップ用に用いられる前記湯及び/又は熱い蒸気は、ボイラーにおいて作成され、前記冷水の第1の流れは、前記少なくとも1つの熱交換器における前記熱交換後に前記ボイラーに供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷水の第1の流れは、前記少なくとも1つの熱交換器における前記熱交換後に排出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱的接触は、第1の熱交換器における前記熱いコーヒーと冷水の第1の流れとの間の第1の熱交換、及び第2の熱交換器における前記熱いコーヒーと冷水の第2の流れとの間の第2の熱交換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の熱交換は、次々と実行されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の熱交換は、並列に実行されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の熱交換は、二者択一的に実行されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出ステップ用に用いられる前記湯及び/又は熱い蒸気は、ボイラーにおいて作成され、前記冷水の第1の流れは、前記第1の熱交換器における前記熱交換後に前記ボイラーに供給され、前記冷水の第2の流れは、前記第2の熱交換器における前記熱交換後に排出されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
予め選択されたコーヒー飲料の前記作成用に、特定の総量の冷水は、特定量のコーヒー粉と関連付けられること、及び冷水が混ぜられる場合に、抽出に用いられる前記湯の量が対応して低減されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
抽出用に用いられる前記湯の量及び前記混ぜられる冷水の量は、対応するバルブによりコントローラーによってコントロールされることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抽出用に提供される前記コーヒー粉は、自動的に挽かれて前記抽出手段に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の前記方法を実行するためのコーヒーマシンであって、湯用の取り入れ口及び前記抽出したコーヒー飲料用の取り出し口を備えた、前記コーヒー飲料を抽出するための手段と、取り出し配管手段によって前記抽出手段の前記取り出し口に接続されるコーヒー取り出し口と、を含み、前記抽出したコーヒーの冷却用に、1次側及び2次側を備えた少なくとも1つの熱交換器が提供され、前記少なくとも1つの熱交換器は、その1次側で、前記抽出手段の前記取り出し口から前記コーヒー取り出し口につながる前記取り出し配管手段に挿入され、前記少なくとも1つの熱交換器の前記2次側は、冷水取り入れ口と接続されることを特徴とするコーヒーマシン。
【請求項14】
前記コーヒーマシンは、取り入れ口及び取り出し口を備えたボイラーを含み、それにより、前記ボイラーの前記取り入れ口は、第1の冷水供給パイプによって前記冷水取り入れ口に接続され、前記ボイラーの前記取り出し口は、前記コーヒー飲料を抽出するための湯及び/又は熱い蒸気を前記抽出手段の前記取り入れ口に分配すること、及び前記少なくとも1つの熱交換器は、その2次側で、前記第1の冷水供給パイプに挿入されることを特徴とする、請求項13に記載のコーヒーマシン。
【請求項15】
前記少なくとも1つの熱交換器の前記2次側は、前記冷水取り入れ口から前記2次側を通って流れる冷却水が、冷却水排出パイプを通って排出されるように、前記冷却水排出パイプに更に接続されることを特徴とする、請求項13に記載のコーヒーマシン。
【請求項16】
1次側及び2次側を有する更なる熱交換器が提供され、前記更なる熱交換器は、その1次側で、前記抽出手段の前記取り出し口から前記コーヒー取り出し口につながる前記取り出し配管手段に挿入され、前記更なる熱交換器は、前記冷水取り入れ口から前記2次側を通って流れる冷却水が、冷却水排出パイプを通って排出されるように、その2次側で前記冷水取り入れ口及び前記冷却水排出パイプと接続されることを特徴とする、請求項14に記載のコーヒーマシン。
【請求項17】
前記第1及び第2の熱交換器の前記1次側は、前記抽出手段の前記取り出し口から前記コーヒー取り出し口につながる前記取り出し配管手段内に直列に配置されることを特徴とする、請求項16に記載のコーヒーマシン。
【請求項18】
前記第1及び第2の熱交換器の前記1次側は、前記抽出手段の前記取り出し口から前記コーヒー取り出し口につながる前記取り出し配管手段内に並列に配置されることを特徴とする、請求項16に記載のコーヒーマシン。
【請求項19】
前記少なくとも1つの熱交換器から前記コーヒー取り出し口に流れる前記コーヒー飲料に冷水を加える手段が提供されることを特徴とする、請求項13に記載のコーヒーマシン。
【請求項20】
前記冷水を加える手段は、前記少なくとも1つの熱交換器の後の前記取り出し配管手段を前記冷水取り入れ口に接続する第2の冷水供給パイプを含むことを特徴とする、請求項19に記載のコーヒーマシン。
【請求項21】
コントロール可能なバルブは、前記第2の冷水供給パイプに挿入され、加えられる前記冷水の量をコントロールするために前記コーヒーマシンのコントローラーに接続されることを特徴とする、請求項20に記載のコーヒーマシン。
【請求項22】
前記少なくとも1つの熱交換器の前記1次側は、熱い飲料パイプによって橋渡しされ得、前記抽出手段の前記取り出し口は、前記取り出し配管手段から前記熱い飲料パイプに切り替えられ得ることを特徴とする請求項13に記載のコーヒーマシン。
【請求項23】
前記抽出手段は、閉鎖自在の抽出室であって、そこへと挽きたてのコーヒー粉がグラインダーから供給され得、そこを通してボイラーからの加圧された湯が、前記コーヒー飲料の抽出中に流れる閉鎖自在の抽出室を備えた抽出ユニットを含むことを特徴とする、請求項13に記載のコーヒーマシン。
【請求項24】
前記グラインダーは、前記コーヒーマシンに一体化されることを特徴とする、請求項23に記載のコーヒーマシン。
【請求項25】
前記抽出ユニットは、自動的に開閉されることを特徴とする、請求項23に記載のコーヒーマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の作成分野に関する。本発明は、請求項1のプリアンブルによる、新鮮な抽出した冷たいコーヒー飲料の作成方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、かかる方法を実行するためのコーヒーマシンに関する。
【背景技術】
【0003】
欧州特許出願公開第2130466A1号公報は、飲料の作成用のマシンを記載し、そのマシンは、熱交換器において加熱された水が送られるコーヒー又は茶の作成用の装置を含む。次に、抽出した飲料は、必要に応じ、第1の取り出し口において直接分配することができるか、又はペルチェ素子を装備した冷却機構を通して送られ、次に第2の取り出し口において冷却された形態で分配される。
【0004】
欧州特許第2238876B1号公報は、所定量の挽いたコーヒーから新鮮な冷たいコーヒー飲料を作成する方法であって、次の方法ステップ、即ち、(S1)所定量の挽いたコーヒーを抽出室の中に送る方法ステップと、(S2)抽出室における抽出プロセスによって、送られた所定量の挽いたコーヒーからコーヒー濃縮物を作成する方法ステップであって、このように作成されたコーヒー濃縮物が、約1.2〜1.4%の乾燥物質を備えた正常な飲用品質のフィルタコーヒーの濃度(KN)の予め決定可能な倍数を有する方法ステップと、(S3)このように作成されたコーヒー濃縮物を、作成された新鮮なコーヒー濃縮物の量の予め決定可能な倍数(VM)に対応する水量と混合することによって、新鮮な冷たいコーヒー飲料を作成する方法ステップと、を含む方法を開示する。熱交換器は、ここでは提供されない。
【0005】
欧州特許第2268175B1号公報は、飲料を作成する方法であって、冷たい飲料、特にアイスコーヒーが、熱い飲料から連続的に作成され、特にコーヒー/エスプレッソが、熱い飲料作成装置によって飲料作成器具において作成され、特にコーヒー/エスプレッソが、冷却材の直接追加なしに、熱い飲料作成の直後に作成され、特に、氷、冷水又は冷却要素が、冷却装置によって同じ飲料作成器具において作成される方法を記載する。フローの観点では冷却装置の下流で、水源からの水、特に冷水は、冷却された熱い飲料と混ぜることができる。冷却装置は、冷却される飲料用の少なくとも1つの第1の流路機構を有する少なくとも1つの第1の熱交換器であって、前記機構が、取り出し口端部において、飲料作成装置の(冷たい)飲料取り出し口に流体的に接続される第1の熱交換器と、熱交換器に接続された冷却アセンブリとを含む。全ての場合に、能動冷却手段が用いられる。
【0006】
欧州特許出願公開第2478803A1号公報は、飲料の抽出用に湯が供給される抽出室を備えた熱い及び冷たい飲料を分配するためのマシンを開示する。抽出した飲料は、熱いまま直接分配することができ、又は冷却用に、冷却ユニットに接続される熱交換器を通して送ることができる。ここでもまた、能動的な冷却が用いられる。
【0007】
米国特許第4,550,651号公報は、熱い抽出水が抽出バスケットに送られるコーヒーマシンを記載する。抽出したコーヒーは、保持及び冷却タンクに流れ込み、次に、必要に応じ、抽出水貯蔵槽から熱を取る熱交換器において部分的に加熱される。新鮮に抽出したコーヒーは、保持及び冷却タンクにおいて冷却することができる。何故なら、それは、熱交換器における熱を、抽出水貯蔵槽に送られる真水に放出するからである。
【0008】
米国特許第5,724,883号公報は、熱い及び冷たい飲料を抽出するためのコーヒーマシンを開示する。冷たいコーヒー飲料の作成用に、新鮮に抽出した熱いフィルタコーヒーは、3ステージの冷却プロセスに従い、その冷却プロセスは、第1のステージにおいて空気冷却を提供し、第2のステージにおいて新たに送られた水との熱交換を提供し、第3のステージにおいて冷却カートリッジとの熱交換を提供する。
【0009】
国際公開第2007/072374A2号公報は、抽出した飲料の冷却が、氷の外部的な追加によって行われるコーヒーマシンを記載する。
【0010】
国際公開第2009/081299A1号公報の解決手段において、氷の追加と同様に抽出プロセス用に必要とされる水の温度も低下される。
【0011】
国際公開第2012/036635A1号公報は、必要に応じ、分配の前に、熱い抽出した飲料が、冷却用のペルチェ素子と共に動作する冷却室を通して導かれるコーヒーマシンを開示する。
【0012】
冷たいか又は著しく冷却されたコーヒー飲料の分配に備える全ての周知のコーヒーマシンは、複雑な構造であるか又は冷却用の追加エネルギーを必要とし、追加エネルギーは、ペルチェ素子若しくはコンプレッサで動作する冷却回路などの特別な能動冷却機構用に必要である。
【0013】
この場合に、後で加えられる角氷が、直ちに溶けず、最初から飲料を過度に薄めない限りでのみ、コーヒー飲料の冷却が行われなければならないことがまた考慮されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、単純で省エネルギーの方法で熱いか又は冷却されたコーヒーの選択的な分配を可能にするコーヒーマシンを作製することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、かかるコーヒーマシンを動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これや他の目的は、請求項1及び1の特徴によって達成される。
【0017】
本発明による新鮮な抽出した冷たいコーヒー飲料の作成方法は、
a) 所定量のコーヒー粉で抽出手段を満たすステップと、
b) 抽出手段において、所定量のコーヒー粉に湯及び/又は熱い蒸気を押し通すことによって、熱いコーヒー飲料を抽出するステップと、
c) 熱いコーヒー飲料を冷水の流れと排他的に熱的接触をさせることによって、熱いコーヒー飲料を冷却するステップと、
d) 冷却されたコーヒー飲料をコーヒー取り出し口で分配するステップと、
を含む。
【0018】
本発明の方法の実施形態では、熱的接触は、少なくとも1つの熱交換器において、熱いコーヒーと冷水の第1の流れとの間の熱交換を好ましくは含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の方法の別の実施形態では、熱的接触は、コーヒー飲料がコーヒー取り出し口で分配される前に、第2の流れにおける所定量の冷水を、少なくとも1つの熱交換器から来るコーヒー飲料と混ぜることを更に含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の方法の別の実施形態では、抽出ステップ用に用いられる湯及び/又は熱い蒸気は、ボイラーにおいて作成され、冷水の第1の流れは、少なくとも1つの熱交換器における熱交換後にボイラーに供給されることを特徴とする。
【0021】
本発明の方法の更なる実施形態では、冷水の第1の流れは、少なくとも1つの熱交換器における熱交換後に排出されることを特徴とする。
【0022】
本発明の方法の単に別の実施形態では、熱的接触は、第1の熱交換器における熱いコーヒーと冷水の第1の流れとの間の第1の熱交換、及び第2の熱交換器における熱いコーヒーと冷水の第2の流れとの間の第2の熱交換を含むことを特徴とする。
【0023】
具体的には、第1及び第2の熱交換は、次々と実行される。
【0024】
具体的には、第1及び第2の熱交換は、並列に実行される。
【0025】
具体的には、第1及び第2の熱交換は、二者択一的に実行される。
【0026】
具体的には、抽出ステップ用に用いられる湯及び/又は熱い蒸気は、ボイラーにおいて作成され、冷水の第1の流れは、第1の熱交換器における熱交換後にボイラーに供給され、冷水の第2の流れは、第2の熱交換器における熱交換後に排出される。
【0027】
本発明の方法の更なる実施形態では、予め選択されたコーヒー飲料の作成用に、特定の総量の冷水は、特定量のコーヒー粉と関連付けられること、及び冷水が混ぜられる場合に、抽出に用いられる湯の量が対応して低減されることを特徴とする。
【0028】
具体的には、抽出用に用いられる湯の量及び混ぜられる冷水の量は、対応するバルブによりコントローラーによってコントロールされる。
【0029】
本発明の方法の別の実施形態では、抽出用に提供されるコーヒー粉は、自動的に挽かれて抽出手段に供給されることを特徴とする。
【0030】
本発明による方法を実行するためのコーヒーマシンは、湯用の取り入れ口及び抽出したコーヒー飲料用の取り出し口を備えた、コーヒー飲料を抽出するための手段と、取り出し配管手段によって抽出手段の取り出し口に接続されるコーヒー取り出し口と、を含む。
【0031】
抽出したコーヒーの冷却用に、1次側及び2次側を備えた少なくとも1つの熱交換器が提供され、少なくとも1つの熱交換器は、その1次側で、抽出手段の取り出し口からコーヒー取り出し口につながる取り出し配管手段に挿入され、その2次側は、冷水取り入れ口と接続されることを特徴とする。
【0032】
本発明のコーヒーマシンの実施形態では、コーヒーマシンは、取り入れ口及び取り出し口を備えたボイラーを含み、それにより、ボイラーの取り入れ口は、第1の冷水供給パイプによって冷水取り入れ口に接続され、ボイラーの取り出し口は、コーヒー飲料を抽出するための湯及び/又は熱い蒸気を抽出手段の取り入れ口に分配すること、及び少なくとも1つの熱交換器は、その2次側で、第1の冷水供給パイプに挿入されることを特徴とする。
【0033】
本発明のコーヒーマシンの別の実施形態では、少なくとも1つの熱交換器の2次側は、冷水取り入れ口から2次側を通って流れる冷却水が、冷却水排出パイプを通って排出されるように、冷却水排出パイプに更に接続されることを特徴とする。
【0034】
具体的には、1次側及び2次側を有する更なる熱交換器が提供され、更なる熱交換器は、その1次側で、抽出手段の取り出し口からコーヒー取り出し口につながる取り出し配管手段に挿入され、更なる熱交換器は、冷水取り入れ口から2次側を通って流れる冷却水が、冷却水排出パイプを通って排出されるように、その2次側で冷水取り入れ口及び冷却水排出パイプと接続される。
【0035】
より具体的には、第1及び第2の熱交換器の1次側は、抽出手段の取り出し口からコーヒー取り出し口につながる取り出し配管手段内に直列に配置される。
【0036】
代替として、第1及び第2の熱交換器の1次側は、抽出手段の取り出し口からコーヒー取り出し口につながる取り出し配管手段内に並列に配置されてもよい。
【0037】
本発明のコーヒーマシンの更なる実施形態では、少なくとも1つの熱交換器からコーヒー取り出し口に流れるコーヒー飲料に冷水を加える手段が提供されることを特徴とする。
【0038】
具体的には、冷水を加える手段は、少なくとも1つの熱交換器の後の取り出し配管手段を冷水取り入れ口に接続する第2の冷水供給パイプを含む。
【0039】
より具体的には、コントロール可能なバルブは、第2の冷水供給パイプに挿入され、加えられる冷水の量をコントロールするためにコーヒーマシンのコントローラーに接続される。
【0040】
本発明のコーヒーマシンの単に別の実施形態では、少なくとも1つの熱交換器の1次側は、熱い飲料パイプによって橋渡しされ得、抽出手段の取り出し口は、取り出し配管手段から熱い飲料パイプに切り替えられ得ることを特徴とする。
【0041】
本発明のコーヒーマシンの更なる実施形態では、抽出手段は、閉鎖自在の抽出室であって、そこへと挽きたてのコーヒー粉がグラインダーから供給され得、そこを通してボイラーからの加圧された湯が、コーヒー飲料の抽出中に流れる閉鎖自在の抽出室を備えた抽出ユニットを含むことを特徴とする。
【0042】
具体的には、グラインダーは、コーヒーマシンに一体化される。
【0043】
具体的には、抽出ユニットは、自動的に開閉される。
【0044】
ここで、本発明は、異なる実施形態によって、かつ添付の図面を参照して、より詳細に説明されることになる。
【0045】
本発明は、図面に関連する実施形態を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施形態による単一の熱交換器を含む冷却装置を備えたコーヒーマシンの高度に単純化された概略図を示す。
図2】直列接続の2つの熱交換器を備えた本発明のコーヒーマシンの別の実施形態を示す。
図3】直列接続の2つの熱交換器を備えた本発明のコーヒーマシンの更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明の実施形態による自動コーヒーマシンの高度に単純化された構造及び動作図を示す。
【0048】
コーヒーマシン10は、用いられる抽出プロセスのタイプに依存して異なる構造であってもよい抽出ユニット13を中心コンポーネントとして含む。図示された例には抽出方法が示されているが、そこでは、挽きたてのコーヒー粉は、互いに移動可能な2つのピストンによって境界を定められる抽出室23に供給され、そこにおいて熱い抽出水は、底部からコーヒー粉を通って上に流れる。かかる抽出ユニットは、例えば、本出願者の名義で欧州特許出願公開第2036466A1号公報に記載されている。
【0049】
抽出プロセスに必要な湯は、(電気的に加熱される)ボイラー11において作成され、ボイラー11は、取り出し口端部において、抽出ユニット13の取り入れ口に接続され、かつ取り入れ口端部において、冷水取り入れ口15から冷水供給パイプ15aを介して冷たい真水を受け取る。冷水取り入れ口15は、直接外部上水道に又は真水用の内部貯蔵タンクに接続することができる。
【0050】
上部において抽出ユニット13から出て来るコーヒー飲料は、切り替えバルブ21によって、第1の熱い飲料パイプ27及び冷たい飲料パイプ24又は第2の熱い飲料パイプ25を選択的に介してコーヒー取り出し口17に送られ、そこにおいて、コーヒー飲料は、容器18、カップ、マグなどに分配される。注入飲料選択に依存して、作成物の流出を制御する中央コントローラー16は、切り替えバルブ21を作動させる。
【0051】
第1の熱い飲料パイプ27及び冷たい飲料パイプ24は、熱交換器14の1次側に接続され、一方で冷水取り入れ口15及び冷水供給パイプ15aは、2次側の熱交換器14に接続され、冷水供給パイプ15aは、ボイラー11につながる。熱交換器14は、1次側を通って流れる熱いコーヒー飲料から、ボイラー11へ行く途中で2次側を通って流れる新鮮な冷水に熱を伝える。このように、抽出した飲料は、第1のステップで著しく冷却され、一方でボイラー11に流れる真水は、省エネルギーの方法で予熱される。他方で、切り替えバルブ21が切り替えられた場合に、熱い抽出した飲料は、熱い飲料パイプ25へ迂回して取り出し口17に運ばれ、熱交換は行われず、通常の熱い飲料が分配される。
【0052】
従って、その結果、熱い及びまた冷たいコーヒーが、マシンから直接分配され得る可能性がある。この考えにおける中心要素は、コーヒー取り出し口17の直前の熱交換器14であり、熱交換器14を通って、一方では熱いコーヒーが、他方では冷水(好ましくはボイラー11に入る)が流れる。この熱交換器14を用いれば、コーヒーは、ある程度は冷却される。
【0053】
加えて、第2の要素は、冷水が、熱交換器14において既に冷却されたコーヒーに直接追加され得、従って、コーヒー飲料が、更に冷却されるということである。この目的のために、コーヒー取り出し口17につながるパイプに開口している第2の冷水供給パイプ15bは、冷水取り入れ口15から分岐し、バルブ22を作動させることによって開くことができる。冷たい真水を加えることによって、直接的な熱交換が、2つの液体間で行われる。
【0054】
2ステージ冷却プロセスの結果は、約30〜35℃における温かいコーヒーであり、氷を備えたマグに分配される(他方で、90℃の熱いコーヒーが、氷を備えたマグへ分配された場合に、氷は、直ちに完全に溶けることになろう。他方で、35℃の温かいコーヒーに関して、氷の量は、コーヒーをほぼ0℃に冷却するために十分であり、幾らかの氷がまだ残っている)。
【0055】
しかしながら、熱い飲料パイプ25を介して熱い抽出した飲料を送り、続いて冷水供給パイプ15bを介した冷水の追加により冷却を達成することによって、熱交換器14を迂回する可能性が存在する。このように原則として、3つの異なるタイプの冷却が利用可能である。即ち、(1)熱交換器14による冷却のみ、(2)冷水の追加による冷却のみ、(3)熱交換器14及び冷水の追加による2ステージ冷却が、利用可能である。
【0056】
第2の冷却ステップにおける冷水の追加は、抽出した飲料の濃度を希釈によって変更する。従って、予め選択されたコーヒー飲料の作成用に、特定の総量の冷水が、特定量のコーヒー粉と関連付けられ、冷水が混ぜられる場合に、抽出用に用いられる湯の量が、対応して低減されることは有利であり、その結果、水の総量が変わらない。しかしながら、熱い飲料用以外に、冷たいコーヒー飲料用のレシピを提供することがまた考えられる。
【0057】
抽出用に用いられる湯の量及び追加される冷水の量が、コントローラー16によって正確に制御され得るために、図1の図示された実施形態において、対応するコントロール可能なバルブ20及び22は、ボイラー11から抽出ユニット13への関連するパイプ及び冷水供給パイプ15bに設けられ、コントローラー16に接続される。加えて、冷水供給パイプ15a及び15bには、貫流する水量を測定し、値をコントローラー16に送信する流量計19及び26を設けることができる。
【0058】
図1は、一体化したグラインダー12を有する完全に自動のコーヒーマシンとしての実施形態を示し、グラインダー12において、コーヒーは、新たに挽かれ、(そのときには開いている)抽出室23に自動的に供給される。
【0059】
しかしながら、本発明はまた、例えば、手動で充填されるポータフィルタマシン、即ちいわゆる3/4自動マシン(国際公開第2013/117362A1号公報を参照)、又は抽出用のコーヒー粉がカプセル又は小さい袋で提供されて抽出ユニットに導入されるマシンなど、個々の作成を伴う他のコーヒーマシンにおいて用いることができる。
【0060】
図2は、本発明のコーヒーマシンの詳細な別の実施形態を示す。この実施形態において、2つの異なる熱交換器14及び14’は、抽出したコーヒー飲料を冷却するために用いられる。第1の熱交換器14は、図1の実施形態におけるのと同じロールを果たし、冷水供給パイプ15aを通って流れる冷たい真水との熱交換によって熱いコーヒー飲料を冷却する。
【0061】
第2の冷却ステップは、切り替えバルブ28を切り替えることによって開始することができ、切り替えバルブ28は、冷たい飲料パイプ24に配置される。次に、熱交換器14において冷却されたコーヒー飲料は、接続パイプ29を介して、第2の熱交換器14’の1次側に流れる。熱交換器14’において、第2の熱伝達が、コーヒー飲料と冷たい真水との間で行われ、真水は、冷水取り入れ口15から熱交換器14’の2次側を通って冷却水排出パイプ31に流れ、そこで排出される。熱交換器14’の2次側を通る冷水の流れは、バルブ30によってコントロールすることができ、ボイラー11の真水の要件とは無関係である。このように、2つの熱交換器14及び14’内における2つの冷却ステップを組み合わせることによって、冷却プロセスは、最適化することができる。冷却されたコーヒー飲料が、第2の冷たい飲料パイプ24’を通って第2の熱交換器14’から出る場合に、図1における実施形態に関連して説明されているように、冷水を混ぜることによって第3の冷却ステップを加える可能性がやはり存在する。
【0062】
図2の実施形態において、2つの熱交換器14及び14’は、直列配置で配置される。しかしながら、熱交換器14及び14’は、図3に示されているように、並列配置で配置されてもよい。ここで、切り替えバルブ32及び33は、新鮮な冷水との熱交換によって、抽出したコーヒー飲料を冷却するために、熱交換器14及び14’の1つを選択するために用いられ、新鮮な冷水は、ボイラー11(熱交換器14が用いられる場合)に供給されるか、又は冷却水排出パイプ31(熱交換器14’が用いられる場合)を通して排出される。熱交換器14及び14’の二者択一的な使用の代わりに、両方が、並列に用いられてもよく、その結果、熱いコーヒー飲料の熱の一部は、ボイラー11に伝達され、熱の一部は、冷却水排出パイプ31を通って排出される。図1における実施形態に関連して説明されているように、両方のシナリオが、次の冷たい真水の混合と組み合わされ得ることが明らかである。
【符号の説明】
【0063】
10 コーヒーマシン
11 ボイラー
12 グラインダー
13 抽出ユニット
14、14’ 熱交換器
15 冷水取り入れ口
15a、b 冷水供給パイプ
16 コントローラー
17 コーヒー取り出し口
18 容器(マグ、カップ等)
19、26 流量計
20 バルブ
21、22 切り替えバルブ
23 抽出室
24、24’ 冷たい飲料パイプ
25、27 熱い飲料パイプ
30 バルブ
29 接続パイプ
31 冷却水排出パイプ
28、32、33 切り替えバルブ
図1
図2
図3