(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765310
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】部材の接合方法および接合体
(51)【国際特許分類】
B21D 39/00 20060101AFI20200928BHJP
B21D 39/06 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
B21D39/00 D
B21D39/06 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-3591(P2017-3591)
(22)【出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2018-111115(P2018-111115A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】前田 康裕
(72)【発明者】
【氏名】橋村 徹
(72)【発明者】
【氏名】幸重 良平
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−283323(JP,A)
【文献】
特開2011−105302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/00 − 41/04
B62D 17/00 − 25/08、25/14 − 29/04
B60R 19/00 − 19/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を有し、内部を仕切るように前記中心軸方向に延びた内リブが設けられており、前記内リブには前記内リブの下端から前記中心軸方向に切り欠かれた切欠部が設けられている管体と、前記管体を挿入可能な孔部を有する壁面体と、前記管体に挿入可能な弾性体とを準備し、
前記壁面体の前記孔部に前記管体を挿入し、
前記管体の前記内リブで仕切られた内部空間に前記弾性体を挿入し、
前記弾性体を前記管体の前記中心軸方向に圧縮して前記中心軸の径方向外側に向けて膨張させ、それによって前記管体の前記壁面体への挿入部を拡管して前記壁面体にかしめ接合する
ことを含み、
前記壁面体の前記孔部は、前記孔部の壁面が前記中心軸方向に立ち上がるようにバーリング加工され
前記中心軸方向において、前記切欠部の高さは、前記壁面体のバーリング高さよりも高い、部材の接合方法。
【請求項2】
前記バーリング加工によって立ち上げられた前記孔部はC面を有している、請求項1に記載の部材の接合方法。
【請求項3】
前記バーリング加工によって立ち上げられた前記孔部の前記壁面の上端縁は、直辺部と、前記直辺部を接続する角部とを備え、
前記直辺部は前記角部よりも高く立ち上げられている、請求項1または請求項2に記載の部材の接合方法。
【請求項4】
前記切欠部の高さは、前記バーリング加工によって立ち上げられた前記孔部の前記壁面の上端縁の高さ以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の部材の接合方法。
【請求項5】
前記切欠部は、前記内リブにおいて、前記管体の内面との接続部に設けられている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の部材の接合方法。
【請求項6】
上下方向に延びる中心軸を有する管体と、
前記管体を挿通可能な孔部を有する壁面体と
を備え、
前記管体の挿入部が拡管された状態で前記壁面体とかしめ接合されており、
前記管体の挿入部には、内部を仕切るように前記中心軸方向に延びた内リブが設けられており、前記内リブには前記内リブの下端から前記中心軸方向に切り欠かれた切欠部が設けられ、
前記壁面体の前記孔部は、前記孔部の壁面が前記中心軸方向に立ち上がるようにバーリング加工され
前記中心軸方向において、前記切欠部の高さは、前記壁面体のバーリング高さよりも高い、接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の接合方法および接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の軽量化や安全性向上のために、ハイテンション鋼と呼ばれる低比重かつ高強度の金属が使用されている。ハイテンション鋼は、軽量化や安全性向上に有効であるが、アルミなどの低比重材料と比較すると重い。また、ハイテンション鋼を使用すると、高強度ゆえに、成形性の低下、成形荷重の上昇、および寸法精度の低下などの問題が生じる。これらの問題を解決するために、近年、鋼よりも低比重であるアルミニウム合金の押出材、鋳造品(ダイキャスト品)およびプレス成形品が車両部品に用いられる。このアルミニウム合金は低比重であるので、軽量化には有効であるが、低強度であるため安全性は乏しい。そのため、外板部品(プレス成形品)や、剛性が求められる部品(押出材・ダイキャスト材)に用いられる場合が多い。以上述べてきた、鋼製部品とアルミニウム合金部品を車両の適所に活用するマルチマテリアル化は、車両軽量化に伴うコストアップを抑えるのに有効である。
【0003】
マルチマテリアル化で問題となるのは鋼製部品とアルミ製部品のような異種金属の接合である。例えば、特許文献1および特許文献2では、弾性体を利用することによりマルチマテリアル化における異種金属の接合を可能にする部材の接合方法が開示されている。詳細には、これらの部材の接合方法では、板部材の穴に管部材を挿入し、管部材の内側に弾性体を挿入し、弾性体を加圧することで管部材を拡管して、板部材と管部材をかしめ接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭51−133170号公報
【特許文献2】特開平9−192760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および特許文献2に開示された部材の接合方法では、仮に管部材(管体)に内リブが設けられた場合、内リブによって拡管が抑制されるため、接合体における十分な接合強度を得ることができないことが考えられる。特に、特許文献1および特許文献2では、そのような内リブに起因する接合強度の低下に対する特段の示唆もない。
【0006】
本発明は、管体に内リブが設けられている場合であっても、内リブが設けられていない場合と同程度の十分な接合強度を得ることのできる部材の接合方法と、当該方法によって接合された十分な接合強度を有する接合体とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部材の接合方法は、上下方向に延びる中心軸を有し、内部を仕切るように前記中心軸方向に延びた内リブが設けられており、前記内リブには前記内リブの下端から前記中心軸方向に切り欠かれた切欠部が設けられている管体と、前記管体を挿入可能な孔部を有する壁面体と、前記管体に挿入可能な弾性体とを準備し、前記壁面体の前記孔部に前記管体を挿入し、前記管体の前記内リブで仕切られた内部空間に前記弾性体を挿入し、前記弾性体を前記管体の前記中心軸方向に圧縮して前記中心軸の径方向外側に向けて膨張させ、それによって前記管体の前記壁面体への挿入部を拡管して前記壁面体にかしめ接合することを含む。
【0008】
この方法によれば、弾性体により管体を均等に拡管できるため、管体に対する局所的な負荷を軽減でき、局所的な変形を防止できる。従って、その他の接合方法に比べて、管体と壁面体とを高精度に嵌合でき、即ち接合強度を向上できる。また、管体には、強度向上等の観点から内リブが設けられているが、内リブの下端には切欠部が設けられているため、内リブが拡管の際の抵抗となり難く、管体の挿入部を十分に拡管できる。従って、管体に内リブが設けられていない場合と同程度の十分な接合強度を確保できる。
【0009】
前記壁面体の前記孔部は、前記孔部の壁面が前記中心軸方向に立ち上がるようにバーリング加工されていてもよい。
【0010】
この方法によれば、バーリング加工によって孔部の壁面が立ち上げられるため、管体と壁面体との接合面積が増大する。従って、接合強度を向上できる。
【0011】
前記バーリング加工によって立ち上げられた前記孔部はC面を有していてもよい。
【0012】
この方法によれば、孔部にC面が設けられていることで、管体をより大きく拡管できる。詳細には、C面を設けるバーリング加工は、例えば単に壁面を垂直に立ち上げるバーリング加工と比べて、孔部をより大きく形成できる。そのため、孔部がより大きく形成された分、管体をより大きく拡管できる。従って、抜け止めとなる拡管される部分を大きく形成できるため、接合強度を向上できる。
【0013】
前記バーリング加工によって立ち上げられた前記孔部の前記壁面の上端縁は、直辺部と、前記直辺部を接続する角部とを備え、前記直辺部は前記角部よりも高く立ち上げられていてもよい。
【0014】
この方法によれば、直辺部が角部より高く形成されている。そのため、直辺部における管体と壁面体との接合面積を角部における該接合面積よりも大きくできる。管体は、剛性の観点から、角部にて拡管され難く、直辺部にて拡管され易い。従って、拡管され易い直辺部における接合面積を大きくすることで、効率的に接合強度を向上できる。
【0015】
前記切欠部の高さは、前記バーリング加工によって立ち上げられた前記孔部の前記壁面の上端縁の高さ以上であってもよい。
【0016】
この方法によれば、切欠部の高さが孔部の壁面の上端縁の高さ(バーリング高さ)以上であるため、管体の下端部(挿入部)をこのバーリング高さまでは大きく拡管できる。そのため、バーリング加工された孔部全体に対して管体を拡管させてかしめ接合できるため、接合強度を向上できる。ここで、バーリング高さとは、バーリング加工によって立ち上げられた孔部の上端縁の高さをいう。
【0017】
前記切欠部は、前記内リブにおいて、前記管体の内面との接続部に設けられていてもよい。
【0018】
この方法によれば、切欠部が上記接続部に設けられていることで、即ち接続部において内リブと管体の内面が部分的に分離されていることで、内リブが管体の拡管に対する抵抗となることを効率的に抑制できる。従って、管体の拡管量を増大でき、接合強度を向上できる。
【0019】
本発明の接合体は、上下方向に延びる中心軸を有する管体と、前記管体を挿通可能な孔部を有する壁面体とを備え、前記管体の挿入部が拡管された状態で前記壁面体とかしめ接合されており、前記管体の挿入部には、内部を仕切るように前記中心軸方向に延びた内リブが設けられており、前記内リブには前記内リブの下端から前記中心軸方向に切り欠かれた切欠部が設けられている。
【0020】
この構成によれば、接合体において、上記のように、内リブが設けられていても、内リブに切欠部が設けられているため、内リブが設けられていない場合と同程度の十分な接合強度を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接合体において、管体に内リブが設けられていても、内リブに切欠部が設けられているため、内リブが設けられていない場合と同程度の十分な接合強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る部材の接合方法によって接合された接合体の上方からの斜視図。
【
図3A】実施形態に係る部材の接合方法の第1工程図。
【
図3B】実施形態に係る部材の接合方法の第2工程図。
【
図3C】実施形態に係る部材の接合方法の第3工程図。
【
図3D】実施形態に係る部材の接合方法の第4工程図。
【
図3E】実施形態に係る部材の接合方法の第5工程図。
【
図3F】実施形態に係る部材の接合方法の第6工程図。
【
図3G】実施形態に係る部材の接合方法の第7工程図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の部材の接合方法は、壁面体10と管体20とを接合して接合体1を形成する方法である。この部材の接合方法では、管体20の壁面体10への挿入部が中心軸Lの径方向外側へ膨張し、管体20が壁面体10の孔部11にかしめ接合され、接合体1が形成される。
【0025】
壁面体10は、平面視において(中心軸L方向から見て)概ね矩形の孔部11を有する板部材である。孔部11の内形は、平面視において、管体20の外形と相似形であることが好ましく、さらに管体20を挿通可能な範囲で極力小さい方が好ましい。また、孔部11はバーリング加工されており、即ち孔部11の壁面は中心軸L方向(上方向)に立ち上げられている。特にこのバーリング加工によって、孔部11の縁部(上端縁)12の直辺部13は、角部14よりも高く立ち上げられている。このような壁面体10は、例えば、ハイテンション鋼やアルミニウム合金からなる金属部材であり、自動車に取り付けられるバンパーシステムの取り付けプレートの一部であり得る。
【0026】
管体20は中心軸L方向(上下方向)に延びており、中心軸Lに直交する断面の形状は概ね矩形である。管体20の内部には中心軸L方向から見て十字型の内リブ21が設けられており、管体20の内部空間は内リブ21によって四つに仕切られている。また、
図2に示すように、内リブ21は、管体20の上端から下端まで延びており、下端において中心軸L方向に切り欠かれた切欠部22を有する。切欠部22は、内リブ21において、管体20の内面との接続部に設けられている。本実施形態では、四つの接続部が存在するため、当該位置に合わせて四つの切欠部22が設けられている。切欠部22の深さ(高さ)Dは、後述するように壁面体10の孔部11の縁部12の立ち上げ高さ(以降、バーリング高さという)以上であることが好ましい。切欠部22の幅Wは、小さい方が好ましいが、最大で管体20の内幅全体であり得る。換言すれば、管体20の内幅全体の切欠部22が設けられた状態とは、内リブ21が端部から深さDまで全て除去された状態をいう。このような状態は、接合体1が外力を受けた際のピーク荷重を低下できる利点がある。このような管体20は、例えば、アルミニウム合金製の押し出し材であり、自動車に取り付けられるバンパーシステムのステイの一部であり得る。
【0027】
図3Aから
図3Gを参照して、
図1および
図2に示すような接合体1を形成する本実施形態の部材の接合方法を第1工程から第7工程に分けて説明する。
【0028】
図3Aに示すように、第1工程では、載置台30に載置された上記壁面体10と、上記管体20と、弾性体40とを準備する。載置台30の上面は平坦であり、この上面の中央部には、座ぐり穴31が設けられている。座ぐり穴31は、平面視において、管体20の外形と相似形であり、管体20の外形よりもわずかに小さく形成されている。また、前述のバーリング加工によって孔部11にはC面15が形成されている。C面15の形成角度は一般に45度であり、本実施形態でも45度で図示されているが、形成角度は任意であり得る。なお、管体20には前述の通り内リブ21に切欠部22(
図1,2参照)が設けられているが、
図3Aは断面図であるため、内リブ21は図示されない。また、弾性体40は、弾性を有する材質からなり、例えば、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、CNRゴム(クロロプレンゴム+ニトリルゴム)、またはシリコンゴム等からなる。弾性体40は、仕切られた管体20の内部空間の数に対応して四つ準備されている。各弾性体40は、管体20内に挿入可能な大きさの円柱状であり、中央に長手方向に延びる貫通孔41を有する。
【0029】
図3Bに示すように、第2工程では、管体20を壁面体10の孔部11に挿通して載置台30に載置する。このとき、管体20は、載置台30の座ぐり穴31内には進入せず、載置台30の上面に載置される。また、仮想的に図示された切欠部22の高さDは、壁面体10の孔部11のバーリング高さHよりわずかに高い。
【0030】
図3Cに示すように、第3工程では、パッド50によって壁面体10を載置台30に押圧して固定する。パッド50は、平面視において管体20の外形と相似形の概ね四角筒状であり、下端に壁面体10を押圧するためのフランジ部51を有する。パッド50は、図示しないプレス装置等に機械的に接続されており、壁面体10を載置台30に向かって押圧して固定できる程度の所定の力で上下動可能である。
【0031】
図3Dに示すように、第4工程では、加圧具60に挟持された状態の弾性体40を管体20の内部に挿入する。加圧具60は、上具61と下具62とばね63とからなる。上具61は、円柱状の上部ヘッド61aと、上部ヘッド61aから下向きに延びる四つの円筒状のレシーバ61bとを備える。下具62は、管体20に挿入可能な大きさの四つの下部ヘッド62aと、各下部ヘッド62aからそれぞれ上向きに延びるロッド62bとを備え、各下部ヘッド62aは載置台30の座ぐり穴31内に配置されている。ロッド62bは、弾性体40の貫通孔41を貫通した状態で、レシーバ61bに挿入されている。ロッド62bの上面と上部ヘッド61aの下面との間にはばね63が配置されており、ばね63によって上具61と下具62は互いに離れる方向に付勢される。なお、
図3Dは断面図であるため、四つのレシーバ61bのうち二つのレシーバ61bが図示されており、同様に、四つのロッド62bのうち二つのロッド62bが図示されている。また、第4工程は、第2工程の前に行われてもよい。即ち、加圧具60が挿入された状態の管体20を載置台30に載置してもよい。
【0032】
図3Eに示すように、第5工程では、上具61の上部ヘッド61aをばね63の付勢力に抗して下方へ押圧し、加圧具60を介して弾性体40を管体20の中心軸L方向に圧縮して中心軸Lの径方向外側に向けて膨張させ、それによって管体20の端部を拡大変形させて壁面体10にかしめ接合する。このとき、管体20は、壁面体10の孔部11のC面15に沿って変形されるとともに、壁面体10の孔部11の上部が部分的に拡管される。管体20の拡管後、上部ヘッド61aに付加した押圧力を除去すると、ばね63の付勢力および自身の弾性力によって加圧具60および弾性体40はそれぞれ元の形状(
図3D)に復元する。
【0033】
図3Fに示すように、第6工程では、元の形状(
図3D)に復元した加圧具60と弾性体40とを管体20から取り出す。取り出した後も、管体20は塑性変形しているため、拡管された形状を維持し、第5工程で施されたかしめ接合は解かれない。
【0034】
図3Gに示すように、第7工程では、パッド50に付加した押圧力を解放し、パッド50を取り外す。このようにして、管体20と壁面体10とが接合された接合体1が得られる。
【0035】
以上のようにして、得られた接合体1は以下のような効果を有する。
【0036】
本実施形態によれば、弾性体40により管体20を均等に拡管できるため、管体20に対する局所的な負荷を軽減でき、局所的な変形を防止できる。従って、その他の接合方法に比べて、管体20と壁面体10とを高精度に嵌合でき、即ち接合強度を向上できる。また、管体20には、強度向上等の観点から内リブ21が設けられているが、内リブ21の下端には切欠部22が設けられているため、内リブ21が拡管の際の抵抗となり難く、管体20の挿入部を十分に拡管できる。従って、管体20に内リブ21が設けられていない場合と同程度の十分な接合強度を確保できる。
【0037】
図4に示すように、仮に内リブ21に切欠部22が設けられていない場合、前述のような弾性体40を使用したかしめ接合を行っても、内リブ21が管体20を拡管する際の抵抗となるため、管体20が十分に拡管されない。これに対し、本実施形態では
図2に示すように、内リブ21を管体20に設けたことで、拡管に対する抵抗を抑制し、管体20を十分に拡管できる。
【0038】
また、バーリング加工によって壁面体10の孔部11の壁面が立ち上げられているため、管体20と壁面体10との接合面積が増大し、接合強度が向上している。
【0039】
また、孔部11にC面15(
図3A参照)が設けられていることで、管体20をより大きく拡管できる。詳細には、C面15を設けるバーリング加工は、例えば単に垂直に立ち上げるバーリング加工と比べて、孔部11をより大きく形成できる。そのため、孔部11がより大きく形成された分、管体20をより大きく拡管できる。従って、抜け止めとなる拡管される部分を大きく形成できるため、接合強度を向上できる。
【0040】
また、孔部11の縁部12では直辺部13が角部14より高く形成されている(
図1参照)。そのため、直辺部13における管体20と壁面体10との接合面積を角部14における該接合面積よりも大きくできる。管体20は、剛性の観点から、角部14にて拡管され難く、直辺部13にて拡管され易い。従って、拡管され易い直辺部13における接合面積を大きくすることで、効率的に接合強度を向上できる。
【0041】
また、切欠部22の高さDが孔部11のバーリング高さH以上であるため(
図3B参照)、管体20の下端部(挿入部)をこのバーリング高さまでは大きく拡管できる。そのため、バーリング加工された孔部11の全体に対して管体20を拡管させてかしめ接合できるため、接合強度を向上できる。
【0042】
また、切欠部22が内リブ21において、管体20の内面との接続部に設けられていることで、即ち接続部において内リブ21と管体20の内面が部分的に分離されていることで、内リブ21が管体20の拡管に対する抵抗となることを効率的に抑制できる。従って、管体20の拡管量を増大でき、接合強度を向上できる。
【0043】
本実施形態に使用された各部材の態様は様々であり得る。前述のように、本実施形態では、載置台30および加圧具60を使用して接合体1を形成したが、載置台30および加圧具60は、使用されない場合もあり得る。また、壁面体10の孔部11はバーリング加工されていなくてもよく、管体20を孔部11の縁に直接かしめ接合することもできる。また、バーリング加工の態様は特に限定されず、本実施形態のC面加工以外に例えばR面加工であってもよい。また、管体20の内リブ21は、特に限定されず、十字型以外の態様でもあり得る。
【0044】
図5に示すように、本実施形態の変形例として、切欠部22の位置は、十字型の内リブ21の中央であってもよい。これにより、切欠部22を設ける箇所を一箇所にすることができる。
【0045】
図6Aおよび
図6Bに示すように、本実施形態の他の変形例として、管体20の断面形状は、例えば円形であってもよい。円形である場合も、内リブ21に設ける切欠部22の位置は、管体20の内面との接続部(
図6A参照)、または内リブ21の中央部(
図6B参照)であり得る。本変形例に示すように、管体20の形状および内リブ21の位置は、特に限定されず、任意の態様であり得る。
【0046】
以上より、本発明の具体的な実施形態やその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 接合体
10 壁面体
11 孔部
12 縁部
13 直辺部
14 角部
15 C面
20 管体
21 内リブ
22 切欠部
30 載置台
31 座ぐり穴
40 弾性体
41 貫通孔
50 パッド
51 フランジ部
60 加圧具
61 上具
61a 上部ヘッド
61b レシーバ
62 下具
62a 下部ヘッド
62b ロッド
63 ばね