特許第6765315号(P6765315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765315
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】目盛機構およびトルク工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20200928BHJP
   B25B 23/142 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   B25B23/14 620J
   B25B23/142
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-21096(P2017-21096)
(22)【出願日】2017年2月8日
(65)【公開番号】特開2018-126824(P2018-126824A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151690
【氏名又は名称】株式会社東日製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖司
(72)【発明者】
【氏名】増田 直也
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−101318(JP,A)
【文献】 特開2009−279687(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0239109(US,A1)
【文献】 特開2011−083854(JP,A)
【文献】 特開昭49−071956(JP,A)
【文献】 特開2009−034311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/00 − 23/18
B25B 13/00 − 15/06
G01D 13/08 − 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
所定軸が延びる軸方向に沿って目盛が設けられた目盛片と、
前記ケースおよび前記目盛片の外周側に配置されており、前記目盛を指し示す指示部を備えたポインタアームと、を有し、
前記ポインタアームは、前記ケースとの係合によって、前記ケースに対して前記所定軸回りの一方に回転しながら前記軸方向の一方向に移動し、
前記目盛片は、前記ポインタアームとの係合によって、前記ポインタアームとともに同一方向に回転しながら前記ポインタアームに対して前記軸方向に移動するとともに、前記ケースとの係合によって、前記ケースに対して前記所定軸回りの一方に回転しながら前記軸方向の他方向に移動することを特徴とする目盛機構。
【請求項2】
前記ケースおよび前記目盛片は、互いに係合するネジ部を有し、
前記ケースおよび前記ポインタアームは、互いに係合するネジ部を有することを特徴とする請求項1に記載の目盛機構。
【請求項3】
前記ケースおよび前記目盛片に設けられた前記ネジ部が右ネジであり、
前記ケースおよび前記ポインタアームに設けられた前記ネジ部が左ネジであることを特徴とする請求項2に記載の目盛機構。
【請求項4】
前記目盛片および前記ポインタアームの一方は、ピンを有し、
前記目盛片および前記ポインタアームの他方は、前記ピンと係合し、前記所定軸に沿って延びるガイド部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の目盛機構。
【請求項5】
前記ポインタアームは、前記所定軸に沿って並んで配置された2つの開口部を有しており、
前記指示部は、前記2つの開口部の境界部分であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の目盛機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の目盛機構を備え、締結部材を締め付けるためのトルク工具であって、
前記ケースは、トルク値を調整するトルク調整機構を収容し、
前記目盛は、トルク値を示し、前記トルク工具の前記軸方向に沿って設けられており、
前記目盛片は、前記軸方向の移動によって前記トルク調整機構を動作させることを特徴とするトルク工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目盛上の任意の数値を示す目盛機構と、この目盛機構を備えたトルク工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、設定トルクを示す目盛を備えたトルク工具が開示されている。このトルク工具では、目盛上を移動して設定トルクを指示する設定トルク指標部材が設けられており、設定トルク指標部材は、ねじを介して環状ねじ部材と係合している。
【0003】
環状ねじ部材を回転させることにより、設定トルク指標部材を目盛に沿って移動させることができる。ここで、環状ねじ部材のねじのピッチを大きくすることにより、設定トルク指標部材の移動量を大きくしている。これにより、目盛の幅を大きくして目盛を視認しやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−101318号公報(段落0039,0055)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特許文献1とは異なる構造を用いて、特許文献1と同様に、目盛の間隔を広げて目盛を視認しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明である目盛機構は、ケースと、目盛片と、ポインタアームとを有する。目盛片のうち、所定軸が延びる軸方向に沿って目盛が設けられている。ポインタアームは、ケースおよび目盛片の外周側に配置されており、目盛を指し示す指示部を備えている。
【0007】
ポインタアームは、ケースとの係合によって、ケースに対して所定軸回りの一方に回転しながら軸方向の一方向に移動する。目盛片は、ポインタアームとの係合によって、ポインタアームとともに同一方向に回転しながらポインタアームに対して軸方向に移動する。また、ポインタアームは、ケースとの係合によって、ケースに対して所定軸回りの一方に回転しながら軸方向の他方向に移動する。
【0008】
本発明によれば、ポインタアームの移動方向と、目盛片の移動方向とを逆方向としている。これにより、目盛片の目盛上における指示部の移動量を増やすことができ、目盛の間隔を広げることができる。目盛の間隔を広げることにより、目盛を視認しやすくしたり、目盛上で指示部が指し示す位置を把握しやすくしたりすることができる。
【0009】
ケースおよび目盛片を係合させるとき、ケースおよび目盛片のそれぞれに、互いに係合するネジ部を設けることができる。このネジ部としては、例えば、右ネジとすることができる。また、ケースおよびポインタアームを係合させるとき、ケースおよびポインタアームのそれぞれに、互いに係合するネジ部を設けることができる。このネジ部は、ケースおよび目盛片に設けられたネジ部と逆向きのネジとなる。ケースおよび目盛片に設けられたネジ部を右ネジとしたときには、ケースおよびポインタアームに設けられたネジ部を左ネジとすることができる。
【0010】
目盛片およびポインタアームの一方には、ピンを設けることができる。また、目盛片およびポインタアームの他方には、ピンと係合し、所定軸に沿って延びるガイド部を設けることができる。これにより、目盛片をポインタアームとともに軸回りに回転させながら、ポインタアームに対して目盛片を軸方向に移動させることができる。
【0011】
ポインタアームには、所定軸に沿って並んで配置された2つの開口部を設けることができる。ここで、2つの開口部の境界部分を指示部として用いることができる。
【0012】
本願第2の発明は、本願第1の発明である目盛機構を備え、締結部材を締め付けるためのトルク工具である。ここで、ケースは、トルク値を調整するトルク調整機構を収容している。目盛は、トルク値を示し、トルク工具の軸方向に沿って設けられている。目盛片は、軸方向の移動によってトルク調整機構を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】トルクドライバの斜視図である。
図2】トルクドライバの平面図である。
図3】トルクドライバの分解図である。
図4】トルクドライバの断面図である。
図5】主目盛を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態のトルクドライバについて、図1図5を用いて説明する。図1は、トルクドライバの斜視図であり、図2は、トルクドライバの平面図であり、図3は、トルクドライバの分解図である。図4は、図2の紙面と同一の平面でトルクドライバを切断したときの断面図である。図5は、主目盛を備えた目盛片の平面図である。
【0015】
なお、本実施形態では、トルクドライバについて説明するが、トルクレンチなどの他のトルク工具であっても、本発明を適用することができる。また、トルク工具以外の装置であっても、目盛を指し示す機能を備えた装置であれば、本発明を適用することができる。
【0016】
図1〜4に示すAXLは、トルクドライバ1の軸である。軸AXLは、トルクドライバ1を用いて、ネジやボルトなどの締結部材を締め付けるためにトルクドライバ1を回転させるときの回転軸となる。
【0017】
トルクドライバ1は、ケース10を有する。ケース10は、トルクドライバ1の使用者によって保持されるグリップ部11と、ケース10の外周面に形成された第1ネジ部(例えば、左ネジ)12を有する。第1ネジ部12は、グリップ部11とは異なる領域に形成されている。
【0018】
グリップ部11の外周面には、グリップ部11を覆うグリップカバー(不図示)を設けることができる。グリップカバーは、樹脂などの弾性変形が可能な材料で形成することができる。グリップカバーの材質や形状などを適宜設定することにより、使用者がグリップカバーを握りやすくすることができる。
【0019】
図3に示すように、ケース10の先端部(一端部)には、第1ネジ部12が形成されていない領域13が設けられており、この領域13の外周面には副目盛が刻印されている。本実施形態では、後述するように、トルクドライバ1で設定されたトルク値を表示するための主目盛および副目盛が設けられている。主目盛は、トルク値の整数部を示し、副目盛は、トルク値の小数部を示すことができる。
【0020】
副目盛の数値がケース10の周方向に並ぶように、副目盛を刻印することができる。本実施形態では、ケース10に副目盛を刻印しているが、これに限るものではない。すなわち、ケース10に副目盛が設けられていればよく、例えば、副目盛が印刷されたシールをケース10の領域13に貼り付けることができる。
【0021】
ケース10の第1ネジ部12には、円筒状に形成されたポインタアーム20が係合している。具体的には、ポインタアーム20の内周面には、ネジ部21(例えば、左ネジ)が形成されており、ネジ部21が第1ネジ部12と係合している。ケース10に対してポインタアーム20を軸AXLの回りで回転させると、ネジ部21および第1ネジ部12の係合によって、トルクドライバ1の軸AXLが延びる方向において、ポインタアーム20をケース10に対して進退させることができる。
【0022】
本実施形態において、ポインタアーム20を図1に示す矢印R1の方向に回転させると、ケース10に対してポインタアーム20を矢印M1の方向に移動させることができる。また、ポインタアーム20を矢印R2の方向に回転させると、ケース10に対してポインタアーム20を矢印M2の方向に移動させることができる。矢印R1の方向は、ケース10の周方向における一方向であり、矢印R2の方向は、ケース10の周方向における他方向である。矢印M1,M2の方向は、軸AXLに沿った方向であり、互いに逆の方向である。
【0023】
ポインタアーム20は、指示部22を有する。指示部22は、ポインタアーム20に2つの開口部23,24を形成することによって形成されている。ここで、2つの開口部23,24は、軸AXLの方向に並んでおり、2つの開口部23,24の境界部分が指示部22となる。開口部23,24には、開口部23,24を塞ぐカバーを取り付けることができる。後述するように、開口部23,24は、トルクドライバ1の外部から主目盛や副目盛を観察するための開口となるため、開口部23,24を塞ぐカバーには、光透過性を持たせる必要がある。
【0024】
ポインタアーム20の内部には、円筒状に形成された目盛片30が配置されている。目盛片30の外周面の一部には、ネジ部(例えば、右ネジ)31が形成されている。ここで、図3に示すように、ケース10の内周面には、第2ネジ部14(例えば、右ネジ)が形成されており、第2ネジ部14は、ネジ部31と係合している。なお、図3では、第2ネジ部14のネジ溝を省略して示している。
【0025】
ケース10に対して目盛片30を軸AXLの回りで回転させると、第2ネジ部14およびネジ部31の係合によって、トルクドライバ1の軸AXLが延びる方向において、目盛片30をケース10に対して進退させることができる。
【0026】
具体的には、目盛片30を図1に示す矢印R1の方向に回転させると、ケース10に対して目盛片30を矢印M2の方向に移動させることができる。また、目盛片30を図1に示す矢印R2の方向に回転させると、ケース10に対して目盛片30を矢印M1の方向に移動させることができる。ここで、目盛片30およびポインタアーム20を同一方向に回転させたとき、目盛片30の移動方向と、ポインタアーム20の移動方向とは、互いに逆方向となる。
【0027】
目盛片30の外周面のうち、ネジ部31が形成されていない領域には、主目盛32が刻印されている。主目盛32は、上述したように、トルクドライバ1で設定されたトルク値(整数部)を表示するために用いられる。ここで、主目盛32の数値が、トルクドライバ1の軸AXLの方向に並ぶように、主目盛32を刻印することができる。
【0028】
本実施形態では、目盛片30に主目盛32を刻印しているが、これに限るものではない。すなわち、目盛片30の外周面に主目盛32が設けられていればよく、例えば、主目盛32が印刷されたシールを目盛片30の外周面に貼り付けることができる。
【0029】
ポインタアーム20の指示部22は、主目盛32に対して、トルクドライバ1の外側に位置しており、主目盛32における任意の数値を指し示す。使用者は、トルクドライバ1の外部から2つの開口部23,24を介して、主目盛32の数値を確認することができる。
【0030】
また、図2に示すように、使用者は、トルクドライバ1の外部から開口部23を介して、領域13に刻印された副目盛の数値を確認することもできる。上述したように、副目盛の数値は、ケース10の周方向に並んでいるため、副目盛の一部の数値が開口部23の内側に位置することになる。これにより、使用者は、指示部22によって指し示された主目盛32の数値と、開口部23の内側に位置する副目盛の数値とに基づいて、トルクドライバ1で設定されているトルク値を把握することができる。
【0031】
目盛片30は、ネジ部31が形成されていない領域において、ガイドピン33を有しており、ガイドピン33は、目盛片30の外周面から目盛片30の外側に突出している。また、図3に示すように、ポインタアーム20には、トルクドライバ1の軸AXLの方向に延びるガイド穴25が形成されており、ガイドピン33は、ガイド穴25に係合している。これにより、ガイドピン33は、ガイド穴25に沿って移動することができる。ここで、ガイドピン33は、ガイド穴25に係合できればよく、この点を考慮して、ガイドピン33の形状を適宜決めることができる。
【0032】
目盛片30の内部には、カプラ(不図示)が配置される。カプラには、複数種類のビット(不図示)が着脱可能に取り付けられる。カプラに任意のビットを取り付けて、ビットを締結部材に係合させることにより、トルクドライバ1を用いて締結部材を所定のトルクまで締め付けることができる。
【0033】
図4に示すように、ケース10の内部には、トルクドライバ1のトルク値を調整するためのトルク調整機構40が設けられている。トルク調整機構40としては、周知の機構を適宜採用することができる。ここでは、トルク調整機構40の主な構造について説明する。
【0034】
トルク調整機構40は、主に、トグルレスト41と、トグルシート42と、主軸43と、スプリング44と、シート45とを有する。主軸43の一端は、トグルシート42に固定されており、主軸43の他端は、上述したカプラに固定されている。ここで、主軸43は、シート45および目盛片30を貫通している。主軸43の外周には、スプリング44が配置されている。スプリング44の一端は、トグルシート42に接触しており、スプリング44の他端は、シート45に接触している。シート45および目盛片30の間には、シーリング46が配置されている。
【0035】
目盛片30を、トルクドライバ1の軸AXLの方向に移動させると、スプリング44を圧縮したり、スプリング44を伸長したりすることができ、トルク値を調整することができる。
【0036】
次に、トルク値を調整するときのトルクドライバ1の操作方法および動作について説明する。
【0037】
トルク値を調整するとき、使用者は、ポインタアーム20を回転させる。ポインタアーム20を回転させたとき、ポインタアーム20のガイド穴25が目盛片30のガイドピン33と係合しているため、ポインタアーム20の回転方向に目盛片30が回転する。
【0038】
ポインタアーム20および目盛片30を回転させることにより、上述したように、トルクドライバ1の軸AXLの方向において、ポインタアーム20および目盛片30が移動する。ここで、ポインタアーム20の移動方向と、目盛片30の移動方向とは、互いに逆方向となる。
【0039】
具体的には、ポインタアーム20および目盛片30が図1に示す矢印R1の方向に回転したとき、ポインタアーム20が矢印M1の方向に移動するとともに、目盛片30が矢印M2の方向に移動する。また、ポインタアーム20および目盛片30が図1に示す矢印R2の方向に回転したとき、ポインタアーム20が矢印M2の方向に移動するとともに、目盛片30が矢印M1の方向に移動する。
【0040】
上述したように、ポインタアーム20および目盛片30を互いに逆方向に移動させることにより、主目盛32上における指示部22の移動量を増加させることができる。これにより、主目盛32において、並んで配置された2つの数値の間隔W(図5参照)を広げることができる。この点について、以下、具体的に説明する。
【0041】
目盛片30を固定し、ポインタアーム20だけを回転させる場合(特許文献1と同様)には、ポインタアーム20だけがトルクドライバ1の軸AXLの方向に移動することになる。この場合には、ポインタアーム20の指示部22の移動量に応じて、主目盛32における数値の間隔Wを決める必要がある。
【0042】
本実施形態では、ポインタアーム20および目盛片30が互いに逆方向に移動するため、上述したようにポインタアーム20だけを回転させる場合と比べて、目盛片30の移動量の分だけ、主目盛32上における指示部22の移動量を増やすことができる。指示部22の移動量を増やすことができれば、指示部22の移動位置に応じて主目盛32の数値の位置を決めたときに、主目盛32における数値の間隔Wを広げることができる。なお、主目盛32上における指示部22の移動量は、第1ネジ部12およびネジ部21におけるリード(又はリード角)と、第2ネジ部14およびネジ部31におけるリード(又はリード角)とに基づいて決めることができる。
【0043】
数値の間隔Wを広げることにより、主目盛32の数値を表示しやすくなる。間隔Wが狭くなるほど、数値を表示するためのスペースが制限されやすくなり、表示すべき複数の数値のうちの一部の数値を表示できないことがある。また、一部の数値が表示されていない場合には、数値が表示されていない部分を指示部22が指し示すときに、数値を誤って判断してしまうことがある。本実施形態によれば、間隔Wを広げることができるため、数値を表示するためのスペースが制限されにくくなり、すべての数値を表示することができる。また、すべての数値を表示することにより、指示部22が指し示す数値を誤って判断してしまうこともなくなる。
【0044】
主目盛32の各数値の位置を決めるときには、トルク値の変化に応じて、主目盛32に対して指示部22が移動する方向を考慮すればよい。例えば、トルク値が上昇するにつれて、指示部22が目盛片30のネジ部31から離れる方向に移動するときには、図5に示すように、主目盛32の数値を決めればよい。図5に示す主目盛32では、ネジ部31に最も近い数値が最も小さい数値となっており、ネジ部31から離れるにつれて、数値が大きくなる。そして、ネジ部31から最も離れた数値が最も大きくなる。
【0045】
主目盛32における数値の間隔Wを広げることにより、使用者が主目盛32を見やすくすることができる。また、主目盛32において、指示部22が指し示す数値を使用者が把握しやすくなる。
【0046】
また、本実施形態では、ケース10の外周面および内周面のそれぞれに、第1ネジ部12および第2ネジ部14を形成しているため、ケース10の外周面および内周面の一方だけに、2つのネジ部を形成する場合と比べて、トルクドライバ1の軸AXLの方向において、ケース10が大型化することを抑制できる。
【0047】
本実施形態では、ケース10の第1ネジ部12と、ポインタアーム20のネジ部21とを係合させることにより、ケース10に対してポインタアーム20を回転させながらトルクドライバ1の軸AXLの方向(矢印M1,M2の方向)に移動させているが、これに限るものではない。すなわち、上述したように、ケース10に対してポインタアーム20を回転させながら軸AXLの方向に移動させる機構を設ければよく、例えば、この機構として、カム機構を用いることができる。具体的には、ケース10およびポインタアーム20の一方にカムを設け、ケース10およびポインタアーム20の他方にカムフォロアを設けることができる。
【0048】
本実施形態では、ケース10の第2ネジ部14と、目盛片30のネジ部31とを係合させることにより、ケース10に対して目盛片30を回転させながらトルクドライバ1の軸AXLの方向に移動させているが、これに限るものではない。すなわち、上述したように、ケース10に対して目盛片30を回転させながら軸AXLの方向に移動させる機構を設ければよく、例えば、この機構として、カム機構を用いることができる。具体的には、ケース10および目盛片30の一方にカムを設け、ケース10および目盛片30の他方にカムフォロアを設けることができる。
【0049】
本実施形態では、ポインタアーム20にガイド穴25を設け、目盛片30にガイドピン33を設けているが、これに限るものではない。すなわち、目盛片30がポインタアーム20とともに回転するとともに、目盛片30がポインタアーム20に対してトルクドライバ1の軸AXLの方向に移動する機構を設ければよい。例えば、ガイド穴25に相当する穴を目盛片30に設け、ガイドピン33に相当するピンをポインタアーム20に設けることができる。
【0050】
本実施形態では、ガイド穴25がポインタアーム20を貫通しているが、これに限るものではない。具体的には、ガイド穴25に代えて、ポインタアーム20を貫通しないガイド溝を設けることができる。この場合において、ガイド溝は、ポインタアーム20の内周面に形成すればよい。また、目盛片30のガイドピン33は、ガイド溝と係合し、ガイド溝に沿って移動できればよい。
【0051】
本実施形態では、ポインタアーム20に開口部23を形成しているが、開口部23を形成しなくてもよい。この場合には、開口部24を介して、トルクドライバ1の外部から目盛片30の主目盛32を確認することができる。そして、主目盛32において、指示部22の縁(開口部24の一部を形成する縁)が指し示す数値を確認することができる。
【0052】
本実施形態では、指示部22が主目盛32上の任意の位置を指し示すようにしているが、これに限るものではない。例えば、ポインタアーム20において、指示部22に相当する位置に開口部(開口部23,24とは異なる)を形成しておき、この開口部の内側に、主目盛32に含まれる任意の数値を位置させることができる。これにより、主目盛32の数値を開口部によって指し示すことができ、開口部の内側に位置する数値を使用者に認識させることができる。この場合において、主目盛32は、複数の数値が並べられただけの構成とすることができ、ポインタアーム20の回転操作に応じて、開口部の内側に位置する数値を変化させればよい。
【符号の説明】
【0053】
1:トルクドライバ、10:ケース、11:グリップ部、12:第1ネジ部、
14:第2ネジ部、20:ポインタアーム、21:ネジ部、22:指示部、
25:ガイド穴、30:目盛片、31:ネジ部、32:主目盛、33:ガイドピン、
40:トルク調整機構
図1
図2
図3
図4
図5