特許第6765324号(P6765324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765324
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】首輪
(51)【国際特許分類】
   A01K 27/00 20060101AFI20200928BHJP
【FI】
   A01K27/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-37273(P2017-37273)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-139567(P2018-139567A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】597025677
【氏名又は名称】アース・ペット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中田 豪
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3155784(JP,U)
【文献】 特開2002−000110(JP,A)
【文献】 国際公開第96/003864(WO,A1)
【文献】 特開2003−018933(JP,A)
【文献】 特開2009−232834(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3101958(JP,U)
【文献】 実開昭57−146869(JP,U)
【文献】 実公第029774(大正15年)(JP,Y1T)
【文献】 実開平05−088308(JP,U)
【文献】 特開平10−042738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00−29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定幅の第1帯状体と、
前記第1帯状体の両端に結合された2つの幅変更具と、
前記幅変更具のそれぞれに結合され、前記第1帯状体より幅の狭い第2帯状体と、
前記第2帯状体の前記幅変更具が結合されたのと反対側の端部に結合された連結環を有し、
前記第2帯状体には、雌雄連結具の雌部と雄部がそれぞれ結合されていることを特徴とする首輪。
【請求項2】
前記第1帯状体には長さ調節部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載された首輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペットに装着する首輪に関するもので、特に中型から小型の犬や猫を対象とする首輪に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペット(特に犬)を繋ぎ留めておくためには、従来首輪が使われていた。首輪はペットが自分で脱着することができない位置でペットを拘束するので、抜けることがない。また、ペットが飼い主の指示に従わず、勝手な進行を行おうとすると、首が締まる(所謂チョークタイプ)の首輪もある。
【0003】
大型犬のように、急所である首回りに十分な脂肪と筋肉のある動物は、首部に圧迫を与えられても、さほど苦にはならないかもしれないが、中型犬から小型犬に関しては、首部への圧迫はあまりよいものとは考えられていない。
【0004】
気管部周辺への圧迫を抑制するという観点では特許文献1がある。これは革製ベルトからなる本体にナイロン製の筒形状の布地からなる保護部材をかぶせたものである。
【0005】
また、特許文献2には、首輪主体の内側に幅広な柔軟性を有する首当てを取り付けた首輪が開示されている。
【0006】
また特許文献3には、帯状体の一辺は直線であって、対向辺は円弧状に形成し、中央部分に円弧状の辺にむかって連結環が取り付けられるようにした首輪が開示されてある。
【0007】
なお、首輪の形態として特許文献4には、帯状体の両端に連結環が結合され、それより内側に雌雄連結具の雌部と雄部がそれぞれ結合された形態のものは知られていた。これは、両端の連結環を引き紐に連結するもので、犬が自分から引き紐を引っ張る状況になっても、首輪自体が締まることで頸部を圧迫しにくくする構造を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−042738号公報
【特許文献2】実用新案登録第3101958号公報
【特許文献3】特開2009−284880号公報
【特許文献4】特開平11−032614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および2は、頸部への圧迫を柔らかい素材で受けることで緩和しようとする観点で想到されたものである。しかし、ペットが急に走り出した際のインパクト様の衝撃が加わった際には、結局心材となる首輪の太さとほぼ同じ面積で衝撃が頸部に伝わる。したがって、柔らかい素材を頸部に当てるというのは、皮膚への擦れを緩和することになっても、インパクト様の衝撃に対しての保護効果はそれほど期待できない。
【0010】
特許文献3は、ペットが引っ張った際には、円弧部分で衝撃を受けるので、頸部への圧迫が抑制されるというものであるが、これは首輪の円弧側の辺で衝撃をうけるので、事情は特許文献1および2と同じと考えられる。
【0011】
以上のように、ペットの頸部への圧迫を緩和するには、より物理的な対応が必要となる。インパクト様の衝撃から頸部を保護する確実な解決方法としては、首輪の部分を太くするのが最も効果的である。すなわち、太い首輪を装着させることである。
【0012】
しかし、太い首輪はそれにふさわしい大型のペット用に製造されており、引き紐と連結する連結環も太く、大きい。このような連結環には、引き紐も太いものしか企画されていないという現状がある。結果、中型、小型のペットの頸部を保護するために太い首輪を用意すると、連結環や引き紐も太くなり、これらの重量がペットだけでなく、飼い主側への負担となっていたという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の現状および課題に鑑みて想到されたものであり、特に中型から小型のペットの頸部の保護力を高めた首輪を提供するものである。
【0014】
より具体的に本発明に係る首輪は、
一定幅の第1帯状体と、
前記第1帯状体の両端に結合された2つの幅変更具と、
前記幅変更具のそれぞれに結合され、前記第1帯状体より幅の狭い第2帯状体と、
前記第2帯状体の前記幅変更具が結合されたのと反対側の端部に結合された連結環を有し、
前記第2帯状体には、雌雄連結具の雌部と雄部がそれぞれ結合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る首輪は、頸部に当たる部分に幅広の第1帯状体を配置し、その両端をそれより狭い第2帯状体で引っ張る構成としたので、頸部に与える衝撃は広い面積で与えることとなり、頸部への衝撃は緩和されることとなる。
【0016】
また、引き紐と連結される連結環は、幅の狭い第2帯状体に結合されているため、大きくならず、ペット自身はもとより、飼い主への負担も軽くてよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る首輪の斜視図である。
図2】本発明に係る首輪の平面図である。
図3】幅変更具を示す図である。
図4】幅変更具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る首輪について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
【0019】
図1には、本発明に係る首輪の斜視図を示す。また、図2には、平面図(ペットに装着した際には、外側となる側から見た平面図)を示す。本発明に係る首輪1は、第1帯状体10と幅変更具12、13と、第2帯状体14、15と連結環16、17と雌雄連結具18で構成されている。
【0020】
第1帯状体10は一定幅の帯状素材で形成されている。引っ張り強さが高く、可撓性に富んだ素材が好適に利用できる。皮、合成皮革、布、化学繊維といった素材が単独若しくは複合又は積層されて用いられる。第2帯状体14、15も同じ素材を用いることができる。
【0021】
第1帯状体10は、ペットの頸部に当たる部分で、幅広に形成されている。通常首輪は、小型用としては、幅が8mm〜12mm程度があり、中型用としては13mm〜17mmであるが、本発明に係る首輪1の第1帯状体10は、1.5倍以上の幅のサイズを用いる。一方、第2帯状体14、15は、通常の幅のサイズを用いる。
【0022】
さて、第1帯状体10の両端には、幅変更具12、13が結合される。幅変更具12、13とは、断面略円形の線材で略台形に形成された環である。剛性の高い素材で利用され、金属、プラスチック、FRP、カーボンファイバーといった素材が好適に利用できる。
【0023】
図3に幅変更具12の平面図を示す。なお、幅変更具13も同じ構成であるので、説明は省略する。幅変更具12は、幅広部12aと、幅狭部12bと、連結部12c、12dからなる。幅広部12aと幅狭部12bは平行に形成されている。連結部12c、12dは、幅広部12aと幅狭部12bの端部を互いに連結する。なお、幅広部12a若しくは幅狭部12bのいずれか一方は切れ目12vがあってもよい。また、幅変更具13においても、幅広部13a、幅狭部13b、連結部13c、13dおよび切れ目13vが存在する。
【0024】
首輪1として使用された際には、幅広部12aと幅狭部12bの間に張力がかかる場合が多々ある。この時、幅広部12a若しくは幅狭部12bの何れか一方の切れ目12vについては、使用上問題がない。一方、実際の製造を考えると、第1帯状体10および第2帯状体14、15をこの切れ目12vを使って連結する場合も考えられるからである。もちろん、強度の点からは切れ目12vはない方が好ましい。
【0025】
幅変更具12、13では、幅広部12aは、第1帯状体10の幅に合わせられ、幅狭部12bは第2帯状体14、15の幅に合わせられる。なお、少なくとも幅広部12aは第1帯状体10の幅に合わせられる必要がある。ここで幅に合わせてとは、幅広部12aの直線部分12awが第1帯状体10の幅より長いことである。
【0026】
図4には、幅変更具12の変形例である幅変更具42を示す。幅変更具13も幅変更具42と同形の幅変更具43(図示せず)を使用できることは言うまでもない。幅変更具42は、幅変更具12を同じ構成であるが、幅広部12aに設けられていた切れ目12vに相当する部分がなく、幅広部42aと幅狭部42bの中央に仕切り部42fが設けられている。
【0027】
このような幅変更具42は、第1帯状体10と第2帯状体14、15が連結された際に、仕切り部42fが存在するため、連結部分がほとんど動かず、タイトな装着感となる。
【0028】
図1を再度参照する。第1帯状体10と幅変更具12、13との連結の方法は特に限定されるものではない。一例としては、図1に示すように、第1帯状体10の一端を折り返し、幅変更具12(および13)を挿通係止した後、一端を第1帯状体10に縫い付けるという方法がある。
【0029】
また、第1帯状体10には、長さ調整部20を形成してもよい。この場合、第1帯状体10の他端を長さ調整部20のバックル22の一方の外柱22aから中柱22cを抱くようにして他方の外柱22b側に通し、折り返して中柱22cに連結する。この際、折り返し部分には、幅変更具13を挿通係止する。このように、第1帯状体10の端部の折り返し部分に幅変更具12、13が挿通係止されても、幅変更具12、13は、第1帯状体10の両端に結合されていると言える。
【0030】
第2帯状体14、15は、すでに説明したように、一端を幅変更具12、13に結合された一定幅の帯状材である。幅変更具12、13に結合されたのと反対側の端部には連結環16、17が結合されている。連結環16、17は、D環であってよく、またO(オー)環であってもよい。ここで、D環とは、一部に直線部分を有する環材である。O環とは、曲線部分だけで形成された環材である。
【0031】
第2帯状体14、15において、幅変更具12、13および連結環16、17との結合方法は特に限定されるものではない。一例としては、端部を折り返しそこに幅変更具12、13若しくは連結環16、17を挿通係止し、折り返し部分は、第2帯状体14、15自体に縫合などで結合させる方法が好適に利用できる。
【0032】
また、第2帯状体14、15には、雌雄連結具18の雌部18bと雄部18aがそれぞれ結合されている。結合方法は特に限定されるものではないが、図1に示すように、第2帯状体15の折り返し部分に雌部18bの基部を挿通係止してしまう方法や、雄部18aの基部に第2帯状体14を挿通しておいてから、連結環16を結合し、連結環16と幅変更具12の間に雄部18aを閉じ込める方法等が好適に利用できる。なお、雌雄連結具18の基部とは、雄部18aおよび雌部18bを他の部材と連結させるために雄部18aと雌部18bに設けられた環状部分である。
【0033】
図1では、説明のために雌部18bは、第2帯状体15に縫い付け、雄部18aは、幅変更具12と連結環16の間に挟んだ形態を示したが、両方とも同じ方法で結合してよいことは言うまでもない。
【0034】
以上のように、構成された首輪1について、その効果を説明する。図1および図2を参照する。ペットの頸部に当たる部分の第1帯状体10は幅広に構成されているので、ペットが急に走り出すといった際にペットの頸部に加わるインパクト様の衝撃に対しては、広い面積で受けることになる。
【0035】
第1帯状体10の両端は、幅変更具12、13の幅広部12a、13aで受けている。したがって、第1帯状体10の全面で衝撃を受けることが可能になる。もし第1帯状体10の幅の一部だけで、衝撃を受けると、結局その他の幅の部分は衝撃を受けることに寄与せず、幅の狭い帯状体で衝撃を受けることと同じになるからである。
【0036】
本発明に係る首輪1では、第1帯状体10に合った幅の幅広部12a、13aで第1帯状体10を受けているので、全面で衝撃を受けていると言える。結果、ペットの頸部に加わるダメージは、幅の狭い場合と比較して緩和されている。
【0037】
一方、引き紐と連結される第2帯状体14、15には、連結環16、17が結合されている。第2帯状体14、15は、そのペットの大きさに応じた首輪の幅と同じになるので、引き紐および引き紐の連結具(ナス環と呼ばれる連結環)による負担はこれまで通りである。
【0038】
また、第1帯状体10の両端を第2帯状体14、15で引っ張り、首輪1のゆるみ自体は、雌雄連結具18で固定している。したがって、首輪1がゆるんで、脱離することがなく、また、首輪1自体が締まって、ペットの頸部を締め上げるといったことも回避される。
【0039】
以上のように、本発明に係る首輪は、ペットの大きさに応じた首輪にそれより太い帯状体を連結したので、ペットの頸部に加わる衝撃を分散させることができ、ペットの保護に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る首輪は犬や猫といったペット用首輪として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 首輪
10 第1帯状体
12、13 幅変更具
12a 幅広部
12b 幅狭部
12c、12d 連結部
14、15 第2帯状体
16、17 連結環
18 雌雄連結具
18b 雌部
18a 雄部
20 長さ調整部
22 バックル
22a、22 外柱b
22c 中柱
42a 幅広部
42b 幅狭部
42c、42d 連結部
図1
図2
図3
図4