特許第6765416号(P6765416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6765416カチオン性界面活性剤、脂肪アルコール、両性界面活性剤、デンプン誘導体、及びカチオン性コンディショニングポリマーを含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765416
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】カチオン性界面活性剤、脂肪アルコール、両性界面活性剤、デンプン誘導体、及びカチオン性コンディショニングポリマーを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20200928BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20200928BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200928BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20200928BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20200928BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20200928BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20200928BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61Q5/12
   A61K8/73
   A61K8/898
   A61K8/41
   A61K8/44
   A61K8/81
   A61Q5/02
【請求項の数】15
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-507525(P2018-507525)
(86)(22)【出願日】2015年8月14日
(65)【公表番号】特表2018-522932(P2018-522932A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】BR2015050119
(87)【国際公開番号】WO2017027936
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミリアム・サユリ・サカグチ
(72)【発明者】
【氏名】アナ・クラウディア・メダ・シロト
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−226217(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/045568(WO,A1)
【文献】 特開2003−206499(JP,A)
【文献】 特表2008−542357(JP,A)
【文献】 特開平02−273612(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0060489(US,A1)
【文献】 特開平08−325122(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/205225(WO,A1)
【文献】 特開2006−219493(JP,A)
【文献】 特表2004−529957(JP,A)
【文献】 特開2010−150175(JP,A)
【文献】 Conditioner,ID3304805,Mintel GNPD,2015年 7月,<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/3304805/from_search/bZ88sVhuVa/?page=1>
【文献】 After−Sun Shampoo,ID1882869,Mintel GNPD,2012年 9月,<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1882869/from_search/cUxLNHV3LN/?page=1>
【文献】 Shampoo,ID1493073,Mintel GNPD,2011年 2月,,<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1493073/from_search/EauaULhXUh/?page=1>
【文献】 Shampoo,ID3134455,Mintel GNPD,2015年 5月,<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/3134455/from_search/FzKQIMTsLL/?page=1>
【文献】 Shampoo,ID2367144,Mintel GNPD,2014年 4月,,<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/2367144/from_search/qUREk4DsJC/?page=1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 − 8/99
A61Q 1/00 − 90/00
B01D 15/00 − 15/08
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カチオン性界面活性剤と、
(b)1種又は複数の両性界面活性剤と、
(c)1種又は複数の脂肪アルコールと、
(d)1種又は複数のデンプン誘導体と、
(e)1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、
(f)1種又は複数のアミノシリコーンと、
(g)水と
を含む、組成物であって、
前記カチオン性界面活性剤(a)が、ベヘントリモニウムクロリドであり、
アニオン性界面活性剤を含まず、
前記デンプン誘導体が、以下の式:
【化1】
[式中、
St-Oは、デンプン分子を表し、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、
R'は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基、又は-COOH基を表し、
nは、2又は3に等しい整数であり、
Mは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、NH4、四級アンモニウム、又は有機アミンを示し、
R"は、水素原子、又は1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基を表す]
の化合物から選択される、組成物。
【請求項2】
カチオン性界面活性剤(a)が、組成物の総質量に対して0.1質量%〜10質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
両性界面活性剤(b)が、組成物の総質量に対して0.1質量%〜10質量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
両性界面活性剤(b)が、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸2ナトリウム、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
デンプン誘導体(d)が、組成物の総質量に対して0.1質量%〜10質量%の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
デンプン誘導体(d)が、変性バレイショデンプンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
カチオン性コンディショニングポリマー(e)が、組成物の総質量に対して0.01質量%〜4質量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
カチオン性コンディショニングポリマー(e)が、ポリクオタニウム-7、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
アミノシリコーン(f)が、組成物の総質量に対して0.01質量%〜5質量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の総質量に対して0.01質量%〜2質量%の量のセルロース系増粘剤を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(a)1質量%〜5質量%のカチオン性界面活性剤と、
(b)1質量%〜5質量%の1種又は複数の両性界面活性剤と、
(c)2質量%〜11質量%の1種又は複数の脂肪アルコールと、
(d)0.5質量%〜5質量%の1種又は複数のデンプン誘導体と、
(e)0.05質量%〜2質量%の1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、
(f)0.1質量%〜2質量%の1種又は複数のアミノシリコーンと、
(g)70質量%〜90質量%の水と
を含む、組成物であって、
全ての質量が組成物の総質量に対するものであり、
前記カチオン性界面活性剤がベヘントリモニウムクロリドであり、
前記組成物はアニオン性界面活性剤を含まず、
前記デンプン誘導体が、以下の式:
【化2】
[式中、
St-Oは、デンプン分子を表し、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、
R'は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基、又は-COOH基を表し、
nは、2又は3に等しい整数であり、
Mは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、四級アンモニウム、又は有機アミンを示し、
R"は、水素原子、又は1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基を表す]
の化合物から選択される、組成物。
【請求項12】
組成物の総質量に対して0.1質量%〜0.5質量%の量のセルロース系増粘剤を更に含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
摂氏25度において180〜400cPsの粘度を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン物質の美容トリートメント方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に適用する工程を含み、前記適用する工程に続いて、任意選択による放置時間の後に水で濯ぐ工程を行うか又は行わない、美容トリートメント方法。
【請求項15】
毛髪をケア及び/又はコンディショニングするための、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)1種又は複数のカチオン性界面活性剤と、(b)1種又は複数の両性界面活性剤と、(c)1種又は複数の脂肪アルコールと、(d)1種又は複数のデンプン誘導体と、(e)1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、(f)1種又は複数のアミノシリコーンと、(g)水とを含む、毛髪繊維を洗浄するための組成物に関する。これらの組成物は、もつれ解消性、カールの明確さ、ボリューム制御、まとまりやすさ、柔軟性、コンディショニング、及び水和特性を毛髪繊維に付与する。
【0002】
本発明はまた、毛髪繊維を洗浄及びコンディショニングするための方法、並びに本組成物を用いる毛髪ケアのための使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
毛髪は、日光等の外気中の作用因子の作用によって、また、ブラッシング、髪梳き、染色、脱色、パーマネントウェーブ、及び/又は縮毛矯正等の機械的又は化学的な処理によって損傷及び脆化することが一般的である。
【0004】
このように、毛髪はこうした様々な要因によって損傷し、とりわけ脆弱な領域、より特定すると先端において、時間とともに乾燥したり、硬くなったり、又は艶がなくなったりして、枝毛につながる場合がある。
【0005】
洗浄組成物は、典型的には、アニオン性界面活性剤を含有する。ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤は浄化特性を有し、汚れ及び油の除去に極めて効果的である。しかしながら、アニオン性界面活性剤は、深部洗浄のために毛髪のキューティクルをめくれ上がらせ、めくれ上がって荒れたキューティクルは、縮れにもつながる。損傷した毛髪、繊細な毛髪、染色した毛髪、又はカールした毛髪を有する消費者にとって、アニオン性界面活性剤を含有する製品は、乾燥性及び損傷が強すぎて頻繁に使用できず、結果として、低レベルのアニオン性界面活性剤を有する低刺激性の洗浄組成物が選択される。
【0006】
しかしながら、低刺激性の洗浄組成物に関連した欠点が存在する。それらの低い浄化力が理由で、余剰の油分及びスタイリング製品が毛髪から効果的に除去されないことがある。これは毛髪を平坦(ぺしゃんこ、フラット)にし、べたつかせる場合があり、繰り返し使用すると、毛髪に清潔感がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,874,554(A)号
【特許文献2】米国特許第4,137,180(A)号
【特許文献3】米国特許第5,455,340号
【特許文献4】米国特許第4,017,460号
【特許文献5】米国特許第4,185,087号
【特許文献6】欧州特許出願第0,530,974(A)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、毛髪の十分な視覚的艶やかさ、毛髪の、特に濡れた毛髪の良好な感触、縮れの制御又は更には排除、並びに頭髪のボリューム及び見かけの量の制御又は減少を得るために最適な洗浄組成物であって、したがって、カールした毛髪、損傷した毛髪、及び/又はボリュームのある毛髪に最も好適である洗浄組成物を、消費者は未だ探求している。また、染色した毛髪を有する消費者は、退色を防止する洗浄組成物を探求している。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、(a)1種又は複数のカチオン性界面活性剤と、(b)1種又は複数の両性界面活性剤と、(c)1種又は複数の脂肪アルコールと、(d)1種又は複数のデンプン誘導体と、(e)1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、(f)1種又は複数のアミノシリコーンと、(g)水とを含む、本発明の組成物が、毛髪を縮れさせたり、平坦にしたり、又はべたつき感を残したりせずに、毛髪を効果的に清潔にし、コンディショニング及び水和特性、もつれ解消、並びにカールの明確さを提供することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(a)1種又は複数のカチオン性界面活性剤と、
(b)1種又は複数の両性界面活性剤と、
(c)1種又は複数の脂肪アルコールと、
(d)1種又は複数のデンプン誘導体と、
(e)1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、
(f)1種又は複数のアミノシリコーンと、
(g)水と
を含む組成物を対象とする。
【0011】
本発明による組成物は、毛髪繊維を洗浄するために、例えば毛髪洗浄剤又はシャンプーとして使用することができる。
【0012】
本発明はまた、上記に定義した組成物を毛髪に適用する方法も対象とする。本発明による組成物は、単独で使用されても、又は毛髪のコンディショニング及びトリートメントによる手入れ方法(regimen)と併せて使用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本組成物は、毛髪を縮れさせたり、平坦にしたり、又はべたつき感を残したりせずに、毛髪の効果的な洗浄を行い、コンディショニング及び水和特性、もつれ解消、並びにカールの明確さを提供する。染色した毛髪に使用した場合、本組成物は、退色を防止する。
【0014】
本明細書において使用される「1つ(種)又は複数の」とは、少なくとも1つ(種)を意味し、したがって、個々の成分並びに混合物/組み合わせを含む。
【0015】
本明細書において使用される「コンディショニング」とは、1つ又は複数の毛髪繊維に、櫛通り性、扱いやすさ、保水性、輝き、光沢、ボリューム制御、まとまりやすさ、及び柔軟性から選択される少なくとも1つの特性を付与することを意味する。コンディショニングの状態は、例えば、髪梳き作業(gm-in)という点で、処理された毛髪と処理されていない毛髪とで櫛通りの容易さを測定し比較すること等の、当該技術分野で公知の任意の手段、及び消費者知覚によって評価することができる。
【0016】
本明細書において使用される「変形した毛髪」とは、毛髪をストレートにする若しくはカールさせるための化学的又は物理的な処理を受けた毛髪を意味する。
【0017】
本明細書において使用される「置換された」とは、1つ又は複数の置換基を含むことを意味する。置換基の非限定的な例としては、酸素原子及び窒素原子等の原子、並びにヒドロキシル基、エーテル基、アルコキシ基、アシルオキシアルキル基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボン酸基、アミン基、アシルアミノ基、アミド基、ハロゲン含有基、エステル基、チオール基、スルホネート基、チオスルフェート基、シロキサン基、及びポリシロキサン基等の官能基が挙げられる。置換基は、更に置換されていてもよい。
【0018】
本明細書において定義される「ポリマー」は、ホモポリマー、及び少なくとも2つの異なるタイプのモノマーから形成されたコポリマーを含む。
【0019】
「INCI」は、化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)の略語であり、これは、パーソナルケア成分を表すために米国パーソナルケア製品評議会の国際命名法委員会によって提供される名称体系である。
【0020】
本発明による組成物の粘度は、Brookfield粘度計を使用し、摂氏25度においてセンチポアズ(cP)単位で測定された。当業者であれば、測定される試料に適切なモデル及び条件を選択することができるであろう。本発明による組成物は、好ましくは、約180〜約400cPs、より好ましくは約260〜約360cPsの粘度を有する。
【0021】
本発明の組成物及び方法は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに、本明細書に記載される又はその他の有用なあらゆる追加若しくは任意選択の成分、構成成分、又は制限事項を含んでもよく、それらからなってもよく、又はそれらから本質的になってもよい。
【0022】
作業実施例又は特筆ある場合を除き、成分の量及び/又は反応条件を表す全ての数字は、全事例において「約」という用語で修飾されていると理解されるものとする。
【0023】
本明細書における割合、部、及び比率は全て、特筆ある場合を除き、本発明の組成物の総質量に基づくものである。
【0024】
本明細書において使用される場合、提供される全ての範囲は、所与の範囲内のあらゆる特定の範囲、及び所与の範囲間の部分範囲の組み合わせを含むことが意図される。したがって、1〜5の範囲には、具体的には1、2、3、4、及び5、並びに2〜5、3〜5、2〜3、2〜4、1〜4等の部分範囲が含まれる。
【0025】
本明細書において使用される場合、比率の範囲は、所与の範囲内のあらゆる特定の比率、及び所与の範囲間の部分範囲の組み合わせを含むことが意図される。
【0026】
一実施形態において、本発明は、
(a)1種又は複数のカチオン性界面活性剤と、
(b)1種又は複数の両性界面活性剤と、
(c)1種又は複数の脂肪アルコールと、
(d)1種又は複数のデンプン誘導体と、
(e)1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、
(f)1種又は複数のアミノシリコーンと、
(g)水と
を含む、組成物を対象とする。
【0027】
一実施形態において、本発明の組成物は、1種又は複数のセルロース系増粘剤を更に含む。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、
(a)約1質量%〜約5質量%の1種又は複数のカチオン性界面活性剤と、
(b)約1質量%〜約5質量%の1種又は複数の両性界面活性剤と、
(c)約2質量%〜約11質量%の1種又は複数の脂肪アルコールと、
(d)約0.5質量%〜約5質量%の1種又は複数のデンプン誘導体と、
(e)約0.05質量%〜約2質量%の1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、
(f)約0.1質量%〜約2質量%の1種又は複数のアミノシリコーンと、
(g)約0.1質量%〜約0.5質量%の1種又は複数のセルロース系増粘剤と、
(h)約70質量%〜約90質量%の水と
を含む、組成物であって、
全ての質量が組成物の総質量に対するものである、組成物を対象とする。
【0029】
本発明による組成物は、心地良く毛髪への適用が容易な、柔らかくクリームのような質感を有する。本組成物は、毛髪上で良好に伸び広がり、また、容易かつ素早く濯ぎ落とされる。
【0030】
本発明による組成物は、敏感な又は脆化した毛髪に自然で健康的な感触を与えつつ、柔軟性、艶やかさ、及びしなやかさを毛髪に与える。本発明による組成物は、あらゆるタイプの毛髪、例えばカールした毛髪、敏感な毛髪、ストレートな毛髪、又は着色/染色した毛髪に使用するのに特に好適であり、光沢がありしなやかなカールを得ることを可能にする。
【0031】
本発明の別の主題は、上述の組成物を毛髪の洗浄に有効な量で繊維に適用することを含む、毛髪繊維、例えば毛髪を処理するための方法である。
【0032】
本発明による組成物は、例えば、柔軟性、滑らかさ、及び/又はしなやかさという点で、毛髪繊維、特にヒトの毛髪繊維、例えば毛髪の美容特性を改善すると同時に、毛髪に自然な見た目及び感触を与える。
【0033】
本発明はまた、本発明による組成物を繊維に適用する工程を含む、毛髪を処理するための方法にも関する。
【0034】
本発明はまた、本発明による組成物を、好ましくはシャンプー及びコンディショナーの代わりに、毛髪洗浄剤として使用することにも関する。
【0035】
上述の組成物は、あらゆるタイプの毛髪、例えば、明色若しくは暗色の毛髪、ストレート若しくはカールした天然の毛髪、又はパーマネントウェーブ、染色、脱色、若しくは縮毛矯正等の美容トリートメントを受けた毛髪に使用することができる。
【0036】
好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、カールした毛髪、敏感な毛髪、脆化した毛髪、及び/又は損傷した毛髪に適用される。
【0037】
本発明による組成物の毛髪への適用は、例えば、櫛、目の細かいブラシ、目の粗いブラシ、又は指を使用して行うことができる。
【0038】
本発明は、(a)1種又は複数のカチオン性界面活性剤と、(b)1種又は複数の両性界面活性剤と、(c)1種又は複数の脂肪アルコールと、(d)1種又は複数のデンプン誘導体と、(e)1種又は複数のカチオン性コンディショニングポリマーと、(f)1種又は複数のアミノシリコーンと、(g)水とを混合することを含む、本発明による組成物を作製するための方法にも関する。
【0039】
本発明の他の主題及び特徴、態様並びに利点は、本明細書及び続く実施例を読むことで更により明らかとなるであろう。
【0040】
カチオン性界面活性剤
本発明による組成物は、1種又は複数のカチオン性界面活性剤を含む。
【0041】
本発明において有用なカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、例えば、場合によりポリオキシアルキレン化された、一級、二級、又は三級の脂肪アミン塩、四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本発明において有用な四級アンモニウム塩としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0043】
- 式(Ia)を有する四級アンモニウム塩
【0044】
【化1】
【0045】
[式中、
R8〜R11基は、同一であっても異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を含有する、直鎖状若しくは分枝状の脂肪族基、又はアリール若しくはアルキルアリール等の芳香族基を表し、R8〜R11基のうちの少なくとも1つは、8〜30個の炭素原子、好ましくは12〜24個の炭素原子を含有し、脂肪族基は、特に酸素、窒素、硫黄、又はハロゲン等のヘテロ原子を含むことが可能であり、
脂肪族基は、例えば、C1〜C30アルキル基、C1〜C30アルコキシ基、(C2〜C6)ポリオキシアルキレン基、C1〜C30アルキルアミド基、(C12〜C22)アルキル(C2〜C6)アルキルアミド基、(C12〜C22)アルキルアセテート基、及びC1〜C30ヒドロキシアルキル基から選択される。
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C1〜C4)アルキル硫酸イオン、(C1〜C4)アルキルスルホン酸イオン、及び(C1〜C4)アルキルアリールスルホン酸イオンからなる群から選択されるアニオンである]。
【0046】
式(Ia)を有する四級アンモニウム塩の中でも、塩化テトラアルキルアンモニウム、例えば、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム若しくは塩化アルキルトリメチルアンモニウムで、アルキル基がおよそ12〜22個の炭素原子を含むもの、特定すると塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウムが優先され、又は第2には、塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、若しくはVan Dyk社からCeraphyl(登録商標)70の名称で販売されている塩化ステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムが優先される。
【0047】
- 式(IIa)を有するイミダゾリン四級アンモニウム塩
【0048】
【化2】
【0049】
[式中、
R12は、8〜30個の炭素原子を含むアルケニル基又はアルキル基、例えば獣脂の脂肪酸誘導体を表し、
R13は、水素原子、C1〜C4アルキル基、又は8〜30個の炭素原子を含むアルケニル基若しくはアルキル基を表し、
R14は、C1〜C4アルキル基を表し、
R15は、水素原子又はC1〜C4アルキル基を表し、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C1〜C4)アルキル硫酸イオン、(C1〜C4)アルキルスルホン酸イオン、及び(C1〜C4)アルキルアリールスルホン酸イオンからなる群から選択されるアニオンであり、
R12及びR13は、好ましくは、12〜21個の炭素原子を含有するアルケニル基又はアルキル基の混合物、例えば獣脂の脂肪酸誘導体を示し、R14は、メチル基を示し、R15は、水素原子を示す]。このような生成物は、例えば、Rewo社によりRewoquat(登録商標)W 75の名称で販売されている。
【0050】
- 式(IIIa)を有する四級ジアンモニウム塩又はトリアンモニウム塩
【0051】
【化3】
【0052】
[式中、
R16は、場合によりヒドロキシル化されており、かつ/又は1つ若しくは複数の酸素原子で中断されている、およそ16〜30個の炭素原子を含有するアルキル基を示し、R17は、水素、又は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、又は-(CH2)3-N+(R16a)(R17a)(R18a)基から選択され、
R16a、R17a、R18a、R18、R19、R20、及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、(C1〜C4)アルキル硫酸イオン、(C1〜C4)アルキルスルホン酸イオン、及び(C1〜C4)アルキルアリールスルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンからなる群から選択されるアニオンである]。
【0053】
このような化合物は、例えば、Finetex社により販売されているFinquat(登録商標)CT-P(クオタニウム89)、及びFinetex社により販売されているFinquat(登録商標)CT(クオタニウム75)である。
【0054】
- 次式(IVa)を有する、1つ又は複数のエステル官能基を含有する四級アンモニウム塩
【0055】
【化4】
【0056】
[式中、
R22は、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6ヒドロキシアルキル基又はC1〜C6ジヒドロキシアルキル基から選択され、
R23は、R26-C(=O)-基;炭化水素系の、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C22基であるR27;及び水素原子から選択され、
R25は、R28-C(=O)-基;炭化水素系の、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C6基であるR29;及び水素原子から選択され、
R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC7〜C21炭化水素系基から選択され、
r、s、及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数であり、
r1及びt1は、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、
r2+r1=2rであり、t1+t2=2tであり、
yは、1〜10の範囲の整数であり、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0〜10の範囲の整数であり、
X-は、単純又は錯体状態の有機アニオン又は無機アニオンであり、
ただし、x+y+zの和は1〜15であり、xが0である場合、R23はR27を示し、zが0である場合、R25はR29を示すことを条件とする]。
【0057】
アルキル基R22は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、より特定すると直鎖状であってもよい。好ましくは、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、又はジヒドロキシプロピル基、より特定するとメチル基又はエチル基を示す。
【0058】
有利には、x+y+zの和は1〜10である。
【0059】
R23がR27炭化水素基であるとき、それは、長鎖であってもよく、かつ12〜22個の炭素原子を有するものであってもよく、又は、単鎖であってもよく、かつ1〜3個の炭素原子を有するものであってもよい。
【0060】
R25がR29炭化水素基であるとき、それは、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。
【0061】
有利には、同一であるか又は異なっているR24、R26、及びR28は、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC11〜C21炭化水素基、より特定すると、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC11〜C21アルキル基及びアルケニル基から選択される。
【0062】
好ましくは、同一であっても異なっていてもよいx及びzは、0又は1に等しい。有利には、yは1に等しい。好ましくは、同一であっても異なっていてもよいr、s、及びtは、2又は3に等しく、更により特定すると、2に等しい。
【0063】
アニオンX-は、好ましくは、ハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、若しくはヨウ化物イオン、(C1〜C4)アルキル硫酸イオン、(C1〜C4)アルキルスルホン酸イオン、又は(C1〜C4)アルキルアリールスルホン酸イオンである。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸由来のアニオン、例えば酢酸イオン若しくは乳酸イオン、又はエステル官能基を含むアンモニウムと適合性のある任意の他のアニオンを使用することが可能である。
【0064】
アニオンX-は、更により特定すると、塩化物イオン、メチル硫酸イオン、又はエチル硫酸イオンである。
【0065】
より特定すると、本発明による組成物中に、式(IVb)
[式中、
- R22は、メチル基又はエチル基を示し、
- x及びyは、1に等しく、
- zは、0又は1に等しく、
- r、s、及びtは、2に等しく、
- R23は、R26-C(=O)-基、メチル基、エチル基、又は炭化水素系C14〜C22基、及び水素原子から選択され、
- R25は、R28-C(=O)-基、及び水素原子から選択され、
- R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC13〜C17炭化水素基から、好ましくは、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC13〜C17アルキル基及びアルケニル基から選択される]
を有するアンモニウム塩が使用される。
【0066】
炭化水素系基は、有利には直鎖状である。
【0067】
式(IVb)の化合物の中でも、挙げることのできる例には、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム、若しくはモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウムの塩、特に塩化物又はメチル硫酸塩、及びそれらの混合物が含まれる。アシル基は、好ましくは、14〜18個の炭素原子を含有し、より特定すると、パーム油又はヒマワリ油等の植物油から得られる。化合物がいくつかのアシル基を含有するとき、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0068】
これらの生成物は、例えば、場合によりオキシアルキレン化されているトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン、若しくはアルキルジイソプロパノールアミンを、植物若しくは動物起源の脂肪酸又は脂肪酸混合物で直接エステル化することによって、或いはそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得られる。このエステル化の後に、例えばハロゲン化アルキル、好ましくはハロゲン化メチル若しくはハロゲン化エチル、硫酸ジアルキル、好ましくは硫酸メチル若しくは硫酸エチル、メタンスルホン酸メチル、パラ-トルエンスルホン酸メチル、グリコールクロロヒドリン又はグリセロールクロロヒドリン等のアルキル化剤による四級化が続く。このような化合物は、例えば、Henkel社によるDehyquart(登録商標)、Stepan社によるStepanquat(登録商標)、Ceca社によるNoxamium(登録商標)、又はRewo-Witco社によるRewoquat(登録商標)WE 18の名称で販売されている。
【0069】
本発明による組成物は、例えば、質量の大部分がジエステル塩である、四級アンモニウムのモノエステル塩、ジエステル塩、及びトリエステル塩の混合物を含有してもよい。また、米国特許第4,874,554(A)号及び同第4,137,180(A)号に記載されている、少なくとも1つのエステル官能基を含有するアンモニウム塩を使用してもよい。また、例えば、花王株式会社によりQuartamin BTC 131の名称で販売されている、ベヘノイルヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを使用してもよい。
【0070】
好ましくは、少なくとも1つのエステル官能基を含有するアンモニウム塩である。
【0071】
好ましくは、カチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、並びにそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、カチオン性界面活性剤は、ベヘントリモニウムクロリドのINCI名で知られるものである。
【0072】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して約0.1質量%〜約10質量%、好ましくは約0.5質量%〜約8質量%、最も好ましくは約1質量%〜約5質量%の範囲の量で、カチオン性界面活性剤を含む。
【0073】
両性界面活性剤
本発明による組成物は、両性界面活性剤を含む。
【0074】
本発明において有用な両性界面活性剤の非限定的な例としては、例えば、場合により四級化されている二級又は三級の脂肪族アミン誘導体であって、脂肪族基が8〜22個の炭素原子を含む直鎖若しくは分枝鎖であり、少なくとも1つのアニオン性基、例えばカルボキシレート基、スルホネート基、スルフェート基、ホスフェート基、又はホスホネート基を含有するアミン誘導体が挙げられる。
【0075】
特に、(C8〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C8〜C20)アルキルスルホベタイン、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン、及び(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルスルホベタイン、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0076】
また、使用することのできる、場合により四級化されている二級又は三級の脂肪族アミン誘導体の中でも、以下の構造(A1)及び(A2)をそれぞれ有する生成物を挙げることができる。
(A1)Ra-CON(Z)CH2-(CH2)m-N+(Rb)(Rc)(CH2COO-)
[式中、
Raは、加水分解ココナツ油中に好ましくは存在する酸Ra-COOHから誘導されるC10〜C30アルキル基若しくはアルケニル基、ヘプチル基、ノニル基、又はウンデシル基を表し、
Rbは、β-ヒドロキシエチル基を表し、
Rcは、カルボキシメチル基を表し、
mは、0、1、又は2に等しく、
Zは、水素原子、又はヒドロキシエチル基若しくはカルボキシメチル基を表す]、
(A2)Ra'-CON(Z)CH2-(CH2)m'-N(B)(B')
[式中、
Bは、-CH2CH2OX'(ここで、X'は、-CH2-COOH、CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'、又は水素原子を表す)を表し、
B'は、-(CH2)z-Y'(ここで、z=1又は2であり、Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3H、又は-CH2-CHOH-SO3Z'を表す)を表し、
m'は、0、1、又は2に等しく、
Zは、水素原子、又はヒドロキシエチル基若しくはカルボキシメチル基を表し、
Z'は、ナトリウム、カリウム、若しくはマグネシウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属から得られるイオン;アンモニウムイオン;又は、有機アミン、特にアミノアルコール、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、又はトリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンから得られるイオンを表し、
Ra'は、加水分解された亜麻仁油又はココナツ油中に好ましくは存在する酸Ra'COOHのC10〜C30アルキル基若しくはアルケニル基、アルキル基、特にC17アルキル基、及びそのイソ型、又は不飽和のC17基を表す]。
【0077】
X'が水素原子を表す式(A2)に対応する化合物の中でも、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、カプロアンホ酢酸ナトリウム、及びカプリロアンホ酢酸ナトリウムのINCI名で分類される化合物を挙げることができる。
【0078】
式(A2)に対応する他の化合物は、ココアンホジ酢酸2ナトリウム、ラウロアンホjジ酢酸二ナトリウム、カプロアンホジ酢酸2ナトリウム、カプリロアンホジ酢酸2ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸2ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸2ナトリウム、カプロアンホジプロピオン酸2ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸2ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸、及びココアンホジプロピオン酸である。
【0079】
挙げることのできる例には、Rhodia社によりMiranol(登録商標)C2M Concentrateの商品名で販売されているココアンホジ酢酸塩、Miranol Ultra C 32の商品名で販売されているココアンホ酢酸ナトリウム、及びChimex社によりCHIMEXANE HAの商品名で販売されている生成物が含まれる。
【0080】
好ましくは、両性界面活性剤は、(C8〜C20)アルキルベタイン、例えばココベタインのINCI名で知られるもの、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルベタイン、例えばコカミドプロピルベタインのINCI名で知られるもの、及びそれらの混合物から選択される。更により優先的には、両性界面活性剤は、ココベタインである。
【0081】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して約0.1質量%〜約10質量%、好ましくは約0.5質量%〜約8質量%、最も優先的には約1質量%〜約5質量%の範囲の量で、両性界面活性剤を含む。
【0082】
脂肪アルコール
本発明による組成物は、8〜30個の炭素原子を含み、飽和であっても不飽和であってもよい、1種又は複数の脂肪アルコールを含む。
【0083】
脂肪アルコールは、好ましくは、式R-OH(式中、Rは、場合により1つ又は複数のOH基を含む、8〜30個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝状の炭化水素系基である)に対応する。
【0084】
好ましくは、Rは、10〜22個の炭素原子、又は更には12〜20個の炭素原子を含む。
【0085】
好ましくは、Rは、飽和の、直鎖状又は分枝状基である。
【0086】
飽和脂肪アルコールは、好ましくは分枝状である。これらは場合により、少なくとも1つの芳香環又は非芳香環をその構造内に含むことができる。これらは、好ましくは非環式である。液状飽和脂肪アルコールの中でも、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、及び2-ヘキシルデカノールを挙げることができる。
【0087】
不飽和脂肪アルコールは、その構造中に、少なくとも1つの二重結合又は三重結合、好ましくは1つ又は複数の二重結合を呈する。いくつかの二重結合が存在する場合、好ましくは2つ又は3つの二重結合が存在し、それらは、共役していても共役していなくてもよい。これらの不飽和脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。これらは場合により、少なくとも1つの芳香環又は非芳香環をその構造内に含むことができる。これらは、好ましくは非環式である。液状不飽和脂肪アルコールの中でも、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、及びウンデシレニルアルコールを挙げることができる。
【0088】
好ましくは、本組成物は、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、及びそれらの混合物から選択される、8〜30個の炭素原子を含む1種又は複数の飽和直鎖状脂肪アルコールを含む。最も好ましくは、脂肪アルコールは、セテアリルアルコールである。
【0089】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して約1質量%〜約20質量%、好ましくは約2質量%〜約15質量%、最も好ましくは約4質量%〜約10質量%の範囲の量で、脂肪アルコールを含む。
【0090】
デンプン誘導体
本発明による化粧用組成物は、次式
【0091】
【化5】
【0092】
[式中、
St-Oは、デンプン分子を表し、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、
R'は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル基、又は-COOH基を表し、
nは、2又は3に等しい整数であり、
Mは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、例えばNa、K、若しくはLi、NH4、四級アンモニウム、又は有機アミンを示し、
R"は、水素原子、又は1〜18個の炭素原子を含有するアルキル基を表す]
の化合物から選択されるデンプン誘導体を含む。
【0093】
これらの化合物は、特に米国特許第5,455,340号及び同第4,017,460号に開示されており、これらは参照により含まれる。
【0094】
デンプン分子は、デンプンの任意の植物源、特にトウモロコシ、ジャガイモ、カラスムギ、コメ、タピオカ、ソルガム、オオムギ、又はコムギ等に由来するものであってよい。上述のデンプン加水分解物を使用することもできる。デンプンは、好ましくは、ジャガイモに由来する。
【0095】
式(I)又は(II)のデンプンが特に使用される。2-クロロエチルアミノジプロピオン酸で変性されたデンプン、すなわち、R、R'、及びR"が水素原子を表し、nが2に等しい、式(I)又は(II)のデンプンが、より優先的に使用される。
【0096】
好ましいデンプン誘導体は、AkzoNobel社によりSTRUCTURE(登録商標)SOLANACEの商品名で販売されている変性バレイショデンプンのINCI名で知られている。
【0097】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して約0.1質量%〜約10質量%、好ましくは約0.5質量%〜約8質量%、最も好ましくは約0.5質量%〜約5質量%の範囲の量で、デンプン誘導体を含む。
【0098】
カチオン性コンディショニングポリマー
本発明による組成物は、1種又は複数のカチオン性ポリマーを含む。本発明において使用されるカチオン性コンディショニングポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、及びそれらの混合物を含む。
【0099】
本発明において有用なカチオン性コンディショニングポリマーの非限定的な例としては、例えば、カチオン性セルロース誘導体、例えば、ポリクオタニウム-10等;カチオン性ガム誘導体、例えば、特にグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含むガム誘導体等;ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのポリマー誘導体(「ポリDADMA」)、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドのポリマー誘導体(「ポリMAPTAC」)、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0100】
ポリDADMA及びポリMAPTACの非限定的な例としては、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-53、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0101】
本発明による組成物は、好ましくは、ポリクオタニウム-7、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドのINCI名で知られるカチオン性ポリマー、及びそれらの混合物を含む。
【0102】
カチオン性ポリマーは、組成物の総質量に対して約0.01質量%〜約4質量%、好ましくは約0.05質量%〜約3質量%、最も好ましくは約0.05質量%〜約2質量%の範囲の量である。
【0103】
アミノシリコーン
本発明による化粧用組成物は、場合により、1種又は複数のアミノシリコーンを含んでもよい。「アミノシリコーン」という用語は、少なくとも1つの一級、二級、若しくは三級アミン基、又は四級アンモニウム基を含む、任意のシリコーンを意味することが意図される。
【0104】
本発明の範囲で使用することのできるアミノシリコーンとしては、以下のものを挙げることができる。
【0105】
a)式(A)に対応するポリシロキサン
【0106】
【化6】
【0107】
[式中、x'及びy'は、質量平均分子量(Mw)が約5,000から500,000の間に含まれるような整数である]。
【0108】
b)式(B)に対応するアミノシリコーン
R'aG3-a-Si(OSiG2)n-(OSiGbR'2-b)m-O-SiG3-a-R'a (B)
[式中、
- Gは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又はフェニル基、OH基、若しくはC1〜C8アルキル基、例えばメチル、又はC1〜C8アルコキシ、例えばメトキシを表し、
- aは、同一であっても異なっていてもよく、0の数、又は1〜3の整数、特に0を示し、
- bは、0又は1、特に1を示し、
- m及びnは、和(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり、nについては、0〜1999、特に49〜149の数を示すことが可能であり、mについては、1〜2000、特に1〜10の数を示すことが可能であり、
- R'は、同一であっても異なっていてもよく、式-CqH2qLを有する一価基を示し、式中、qは、2〜8の範囲の数であり、Lは、以下の基:
-NR"-Q-N(R")2
-N(R")2
-N+(R")3 A-
-N+H(R")2 A-
-N+H2(R") A-
-N(R")-Q-N+R"H2 A-
-NR"-Q-N+ (R")2H A-
-NR"-Q-N+ (R")3 A-
(式中、R"は、同一であっても異なっていてもよく、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和の一価の炭化水素系基、例えばC1〜C20アルキル基を示し、Qは、直鎖状若しくは分枝状のCrH2r基(rは、2〜6、好ましくは2〜4の範囲の整数である)を示し、A-は、化粧料的に許容されるイオン、特にフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオンを表す)から選択される、場合により四級化されたアミノ基である]。
【0109】
この定義(B)に対応するアミノシリコーンの一群は、式(C)
【0110】
【化7】
【0111】
[式中、n及びmは、式Bにおいて上述した意味を有する]
を有する「トリメチルシリルアモジメチコン」と呼ばれるシリコーンによって表わされる。
【0112】
この定義に対応するアミノシリコーンの別の群は、次式(D)又は(E)を有するシリコーンによって表わされる:
【0113】
【化8】
【0114】
[式中、
- m及びnは、和(n+m)が1〜1000、特に50〜250、より特定すると100〜200の範囲でありうるような数であり、nについては、0〜999、特に49〜249、より特定すると125〜175の数を示すことが可能であり、mについては、1〜1000、特に1〜10、より特定すると1〜5の数を示すことが可能であり、
- R1、R2、R3は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシ基又はC1〜C4アルコキシ基を表し、R1〜R3基のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基を示す]。
このアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基である。
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、好ましくは0.2:1〜0.4:1、好ましくは0.25:1〜0.35:1の範囲であり、より特定すると0.3:1に等しい。
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000〜1,000,000、より特定すると3,500〜200,000の範囲である]。
【0115】
【化9】
【0116】
[式中、
- p及びqは、和(p+q)が1〜1000、特定すると50〜350、より特定すると150〜250の範囲であるような数であり、pについては、0〜999、特に49〜349、より特定すると159〜239の数を示すことが可能であり、qについては、1〜1000、特に1〜10、より特定すると1〜5の数を示すことが可能であり、
- R1、R2は、異なっており、ヒドロキシ基又はC1〜C4アルコキシ基を表し、R1基又はR2基のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基を示す。
このアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基である。
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、概して1:0.8〜1:1.1、好ましくは1:0.9〜1:1の範囲であり、より特定すると1:0.95に等しい。
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000〜200,000、更により特定すると5,000〜100,000、より特定すると10,000〜50,000の範囲である]。
【0117】
構造(D)又は(E)を有するこれらのシリコーンに対応する市販製品は、その組成中に、構造が式(D)又は(E)とは異なる1種又は複数の他のアミノシリコーンを含みうる。
【0118】
構造(D)を有するアミノシリコーンを含有する製品は、Wacker社によりBelsil(登録商標)ADM 652の名称で販売されている。
【0119】
構造(E)を有するアミノシリコーンを含有する製品は、Wacker社によりFluid WR 1300(登録商標)の名称で販売されている。
【0120】
これらのアミノシリコーンが使用されるとき、特に有利な一実施形態は、水中油エマルションの形態のアミノシリコーンを使用することからなる。水中油エマルションは、1種又は複数の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、任意の性質のものであってよいが、好ましくはカチオン性及び/又は非イオン性である。エマルション中のシリコーン粒子の数平均サイズは、概して、3nm〜500ナノメートルの範囲である。好ましくは、特に式(E)を有するアミノシリコーンとしては、平均粒径が5nm〜60ナノメートル(両端値を含む)、より好ましくは10nm〜50ナノメートル(両端値を含む)の範囲であるマイクロエマルションが使用される。したがって、本発明によると、Wacker社によりFinish CT 96 E(登録商標)又はSLM 28020(登録商標)として販売されている、式(E)を有するアミノシリコーンのマイクロエマルションを使用することができる。
【0121】
この定義に対応するアミノシリコーンの別の群は、次式(F)
【0122】
【化10】
【0123】
[式中、
- m及びnは、和(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり、nについては、0〜1999、特に49〜149の数を示すことが可能であり、mについては、1〜2000、特に1〜10の数を示すことが可能であり、
- Aは、4〜8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキレン基を示す。この基は、好ましくは直鎖状である。
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000〜1,000,000、更により特定すると3,500〜200,000の範囲である]
によって表される。
【0124】
式(F)の好ましいシリコーンは、Dow Corning社によりXIAMETER(登録商標)MEM-8299 Cationic Emulsionの商品名で販売されているアモジメチコン(INCI名)である。
【0125】
この定義に対応するアミノシリコーンの別の群は、次式(G)。
【0126】
【化11】
【0127】
[式中、
- m及びnは、和(n+m)が1〜2000、特に50〜150の範囲であるような数であり、nについては、0〜1999、特に49〜149の数を示すことが可能であり、mについては、1〜2000、特に1〜10の数を示すことが可能であり、
- Aは、4〜8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキレン基を示す。この基は、好ましくは分枝状である]
によって表される。
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜1,000,000、更により特定すると1000〜200,000の範囲である。
【0128】
この式を有するシリコーンは、例えば、Dow Corning社によるDC2-8566 Amino Fluidである。
【0129】
c)式(H)に対応するアミノシリコーン
【0130】
【化12】
【0131】
[式中、
- R5は、1〜18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素系基、特にC1〜C18アルキル基又はC2〜C18アルケニル基、例えばメチルを表し、
- R6は、SiC結合を通してSiに連結している、二価の炭化水素系基、特にC1〜C18アルキレン基、又は二価のC1〜C18、例えばC1〜C8アルキレンオキシ基を表し、
- Q-は、ハロゲン化物イオン等のアニオン、特に塩化物イオン、又は有機酸塩(例えば酢酸塩)であり、
- rは、2〜20、特に2〜8の平均統計値を表し、
- sは、20〜200、特に20〜50の平均統計値を表す]。
【0132】
このようなアミノシリコーンは、米国特許第4,185,087号により具体的に記載されている。
【0133】
d)式(I)を有する四級アンモニウムシリコーン
【0134】
【化13】
【0135】
[式中、
- R7は、同一であっても異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素系基、特にC1〜C18アルキル基、C2〜C18アルケニル基、又は5若しくは6個の炭素原子を含有する環、例えばメチルを表し、
- R6は、SiC結合を通してSiに連結している、二価の炭化水素系基、特にC1〜C18アルキレン基、又は二価のC1〜C18、例えばC1〜C8アルキレンオキシ基を表し、
- R8は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、1〜18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素系基、特にC1〜C18アルキル基、C2〜C18アルケニル基、又は-R6-NHCOR7基を表し、
- X-は、ハロゲン化物イオン等のアニオン、特に塩化物イオン、又は有機酸塩(例えば酢酸塩)であり、
- rは、2〜200、特に5〜100の平均統計値を表す]。
【0136】
これらのシリコーンは、例えば、欧州特許出願第0,530,974(A)号に記載されている。
【0137】
e)式(J)を有するアミノシリコーン
【0138】
【化14】
【0139】
[式中、
- R1、R2、R3、及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、C1〜C4アルキル基又はフェニル基を示し、
- R5は、C1〜C4アルキル基又はヒドロキシル基を示し、
- nは、1〜5の範囲の整数であり、
- mは、1〜5の範囲の整数であり、
ここで、xは、アミン価が0.01から1meq/gの間であるように選択される]。
【0140】
f)タイプ(AB)n(Aは、ポリシロキサンブロックであり、Bは、少なくとも1つのアミン基を含有するポリオキシアルキレン化ブロックである)のマルチブロックのポリオキシアルキレン化アミノシリコーン
該シリコーンは、好ましくは、以下の一般式の繰り返し単位から構成される:
[-(SiMe2O)xSiMe2-R-N(R")-R'-O(C2H4O)a(C3H6O)b-R'-N(H)-R-]
或いは、
[-(SiMe2O)xSiMe2-R-N(R")-R'-O(C2H4O)a(C3H6O)b-]
[式中、
- aは、1以上の、好ましくは5〜200の範囲、より特定すると10〜100の範囲の整数であり、
- bは、0から200の間、好ましくは4〜100の範囲、より特定すると5から30の間に含まれる整数であり、
- xは、1〜10,000、より特定すると10〜5,000の範囲の整数であり、
- R"は、水素原子又はメチルであり、
- Rは、同一であっても異なっていてもよく、1つ又は複数のヘテロ原子、例えば酸素等を場合により含む、二価の直鎖状若しくは分枝状のC2〜C12炭化水素系基を表し、好ましくは、Rは、エチレン基、直鎖状若しくは分枝状のプロピレン基、直鎖状若しくは分枝状のブチレン基、又は-CH2CH2CH2OCH(OH)CH2-基を示し、優先的には、Rは、-CH2CH2CH2OCH(OH)CH2-基を示し、
- R'は、同一であっても異なっていてもよく、1つ又は複数のヘテロ原子、例えば酸素等を場合により含む、二価の直鎖状若しくは分枝状のC2〜C12炭化水素系基を表し、好ましくは、R'は、エチレン基、直鎖状若しくは分枝状のプロピレン基、直鎖状若しくは分枝状のブチレン基、又は-CH2CH2CH2OCH(OH)CH2-基を示し、優先的には、R'は、-CH(CH3)-CH2-を示す]。
【0141】
シロキサンブロックは、好ましくは、シリコーンの総質量の50から95mol%の間、より特定すると70〜85mol%を占める。
【0142】
アミン含有量は、好ましくは、30%ジプロピレングリコール溶液中のコポリマーの0.02から0.5meq/gの間、より特定すると0.05から0.2meq/gの間である。
【0143】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5,000から1,000,000の間、より特定すると10,000から200,000の間に含まれる。
【0144】
とりわけ、Momentive社によりSilsoft(商標)A-843又はSilsoft(商標)A+の名称で販売されているシリコーンを挙げることができる。
【0145】
g)以下の式(K)に対応するアルキルアミノシリコーン
【0146】
【化15】
【0147】
[式中、
- x及びyは、1〜5000の範囲の数であり、好ましくは、xは、10〜2000、とりわけ100〜1000の範囲であり、好ましくは、yは、1〜100の範囲であり、
- R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、とりわけ12〜20個の炭素原子を含む、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のアルキル基であり、
- Aは、2〜8個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分枝状のアルキレン基を示す]。
【0148】
好ましくは、Aは、3〜6個の炭素原子、とりわけ4個の炭素原子を含み、好ましくは、Aは分枝状である。とりわけ、次の二価基:-CH2CH2CH2及び-CH2CH(CH3)CH2-を挙げることができる。
【0149】
好ましくは、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、とりわけ12〜20個の炭素原子を含む飽和の直鎖状アルキル基であり、特に、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びエイコシル基を挙げることができ、優先的には、同一であっても異なっていてもよいR1及びR2は、ヘキサデシル(セチル)基及びオクタデシル(ステアリル)基から選択される。
【0150】
優先的には、シリコーンは式(K)のものであり、式中、
- xは、10〜2000、とりわけ100〜1000の範囲であり、
- yは、1〜100の範囲であり、
- Aは、3〜6個の炭素原子、とりわけ4個の炭素原子を含み、好ましくは、Aは、分枝状であり、より特定すると、Aは、次の二価基:-CH2CH2CH2及び-CH2CH(CH3)CH2-から選択され、
- R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、とりわけ12〜20個の炭素原子を含む直鎖状の飽和アルキル基であり、特に、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びエイコシル基から選択され、優先的には、同一であっても異なっていてもよいR1及びR2は、ヘキサデシル(セチル)基及びオクタデシル(ステアリル)基から選択される。
【0151】
好ましい式(K)のシリコーンは、ビス-セテアリルアモジメチコン(INCI名)である。
【0152】
とりわけ、Momentive社によりSilsoft(商標)AXの名称で販売されているシリコーンを挙げることができる。
【0153】
好ましくは、本発明によるアミノシリコーンは、式(F)のアミノシリコーンから選択される。式(F)の好ましいシリコーンは、Dow Corning社によりXIAMETER(登録商標)MEM-8299 Cationic Emulsionの商品名で販売されているアモジメチコン(INCI名)である。
【0154】
本発明による組成物中に存在するとき、アミノシリコーンは、組成物の総質量に対して約0.01質量%〜約5質量%、好ましくは約0.05質量%〜約3質量%、最も好ましくは約0.1質量%〜約1質量%の範囲の量である。
【0155】

本発明による組成物は、水を含む。使用される水は、無菌脱塩水、及び/又はフローラルウォーター、例えばバラ水、ヤグルマギク水、カモミール水、若しくはライム水、及び/又は天然の温泉水若しくは鉱水、例えば、ヴィッテルの水、ヴィシー盆地の水、ユリアージュの水、ラロッシュポゼの水、ラブルブールの水、アンギャンレバンの水、サンジェルヴェレバンの水、ネリレバンの水、アルバールレバンの水、ディーニュの水、メジエールの水、ネイラックレバンの水、ロンルソーニエの水、オーボンヌの水、ロシュフォールの水、サンクリストの水、レフュマードの水、テルシレバンの水、又はアヴェンヌの水等であってよい。水は、再構成された温泉水、すなわち、温泉水の特徴を再構成する、亜鉛、銅、マグネシウム等の微量元素を含む水を含んでもよい。
【0156】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して約50質量%〜約99質量%、好ましくは約65質量%〜約95質量%、最も好ましくは約70質量%〜約92質量%の範囲の量で、水を含む。
【0157】
セルロース系増粘剤(任意選択)
本発明による組成物は、場合により、1種又は複数のセルロース系増粘剤を含んでもよい。
【0158】
本発明において有用なセルロース系増粘剤の非限定的な例としては、例えば、セルロース及び変性セルロース組成物、例えば、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられる。アルキル置換セルロースもまた、本明細書において有用である。これらのポリマーにおいて、セルロースポリマーのヒドロキシ基の一部分がヒドロキシアルキル化(好ましくはヒドロキシエチレン化又はヒドロキシプロピル化)されて、ヒドロキシアルキル化セルロースが形成され、これが次に、エーテル結合によって、C10〜C30の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基で更に修飾される。典型的には、これらのポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロースとC10〜C30の直鎖若しくは分枝鎖アルコールのエーテルである。本明細書において有用なアルキル基の例としては、ステアリル、イソステアリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソセチル、ココイル(すなわち、ココナツ油のアルコールに由来するアルキル基)、パルミチル、オレイル、リノレイル、リノレニル、リシノレイル、べヘニル、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0159】
本発明による組成物中に存在するとき、セルロース系増粘剤は、好ましくは、セチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースとのエーテルである、セチルヒドロキシエチルセルロースのINCI名で知られるアルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル増粘剤を含む。この物質は、Ashland社からNATROSOL(商標)Plus 330 CSの商品名で販売されている。
【0160】
本発明による組成物中に存在するとき、セルロース系増粘剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して約0.01質量%〜約2質量%、好ましくは約0.05質量%〜約1質量%、最も好ましくは約0.1質量%〜約0.6質量%の範囲の量である。
【0161】
水溶性溶媒(任意選択)
本発明による組成物は、場合により、1種又は複数の水溶性溶媒を含んでもよい。「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり水混和性(25℃及び大気圧で50質量%を超える水との混和性)である化合物を意味する。
【0162】
本発明において有用な水溶性溶媒の非限定的な例としては、例えば、2〜8個の炭素原子を含有するグリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びジプロピレングリコール、グリセリン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0163】
本発明による組成物中に存在するとき、水溶性溶媒は、好ましくは、組成物の総質量に基づいて約0.01質量%〜10質量%の量、好ましくは約0.05質量%〜5質量%、最も好ましくは0.1質量%〜1質量%の量で、本発明による組成物中に存在する。
【0164】
本発明による組成物は、香料、防腐剤、pH調整剤、着色剤、キレート剤、抗酸化剤、保湿剤、エモリエント、アミノ酸、タンパク質、生体ポリマー、活性剤、セラミド又は疑似セラミド、油類及びワックス類、ビタミン又はプロビタミン、並びにそれらの混合物から選択される、当該技術分野において周知である1種又は複数の標準的な添加剤を含んでもよい。
【0165】
当業者であれば、任意選択の標準的な添加剤及びその量について、本発明の組成物の特性を害さないように留意した選択を行うであろう。
【0166】
これらの標準的な添加剤は、概して、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して約0〜約20質量%の範囲の量で存在する。
【0167】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、その要素に様々な変更を行ってもよく、均等物で代用してもよいことは、当業者には理解されよう。加えて、本発明の本質的範囲を逸脱することなく、特定の状況又は物質を本発明の教示に適合させるために、多くの改変を行ってもよい。したがって、本発明は、本発明を実施するための想定される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の「特許請求の範囲」の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが意図される。
【0168】
本発明による組成物は、以下の実施例に記載の方法を含む、化粧品に一般的に使用される公知の方法によって製造することができる。
【0169】
以下の実施例は、本発明の例示として示されるものである。
【実施例】
【0170】
【表1】
【0171】
Table 1(表1)中の各実施例の作製において、以下の手順を使用した。サイドケトル中で、A相を少量の水に可溶化した。B相の成分を、一回分の水のとともにメインケトルに加え、80℃で混合した。サイドケトルの内容物をメインケトルに加え、続いて混合した。C相の成分を混合しながらメインケトルに加えた。メインケトルの温度を70℃に冷まし、D相の成分を加え、続いて混合した。追加分の水をメインケトルに加え、混合しながら温度を45℃に低下させた。E相の成分をメインケトルに加え、続いて混合した。メインケトルの内容物を45℃未満まで放冷し、続いて水の残部及びF相の成分を加えた。バッチが均質になるまで混合を続けた。
【0172】
【表2】
【0173】
【表3A】
【0174】
【表3B】
【0175】
定量(単項)試験を実施して、実施例2を実施例3と比較した消費者の意見、知覚、及び全体的満足度を得た。試験パネルは、シャンプー及びコンディショナーによる手入れ方法の常用者である毛髪タイプI〜Vを有する800人の女性を含んだ。毛髪タイプは、変形した毛髪と変形していない毛髪とによって更に区別した。パネリストは、15日間にわたり自宅での盲検評価に参加した。パネリストには、7日間にわたって、自身の通常のシャンプー及びコンディショナーによる手入れ方法の代わりに試験製品を普段通りに使用するように指示した。7日間の使用後、パネリストは、選択質問を用いた半定性的アンケートに回答した。その結果をTable 3(表3)にまとめる。
【0176】
本発明の組成物である実施例2の全体的な嗜好評価及び最大の利益は、比較例である実施例3と同等であることが見出された。加えて、全体として実施例2は、縮毛制御、乾燥した毛髪での水和、濡れた毛髪の髪梳きの容易さ、切れ毛の減少の領域において実施例3よりも良好な成績を収めた。また、実施例2は、タイプI〜Vの染色した毛髪に関し、柔軟性、保湿性、退色の防止、及び明るさの領域において実施例3よりも良好な成績を収めた。毛髪を一日中清潔に保つ、切れ毛/抜け毛の減少、毛髪を保湿された状態に保つ、フラットアイロン又はブロードライの熱からの保護、毛髪をすぐに汚い見た目にしない、及び質感/一貫性(太くなる傾向)といった他の特質については、パネルは、毛髪タイプIII(変形なし)で試験したときにのみ実施例2よりも実施例3を好んだ。