(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765489
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】エレベータの動作確認システムおよび動作確認方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20200928BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-161141(P2019-161141)
(22)【出願日】2019年9月4日
(62)【分割の表示】特願2015-193030(P2015-193030)の分割
【原出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2019-202894(P2019-202894A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2019年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】金子 真太郎
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−201504(JP,A)
【文献】
特開2009−221011(JP,A)
【文献】
特開2005−035759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に設置されたエレベータと、
作業員が所持し、前記エレベータの制御盤に対して動作指令を送信することで、前記エレベータを駆動させる携帯端末と、
前記携帯端末との間で通信を行う情報センターと、を備え、
前記携帯端末は、
前記情報センターに対して、前記動作指令の送信許可を求める許可要求部と、
前記送信許可が得られた場合に、前記制御盤に対して前記動作指令を送信する指令送信部と、を有し、
前記情報センターは、
前記エレベータの保守関連情報を記憶した記憶部と、
前記送信許可を求められた場合に、前記記憶部を参照して、前記送信許可を与えてよいか否かを判定する判定部と、を有し、
前記保守関連情報は、前記エレベータとの保守契約が結ばれているか否かの情報を含み、
前記判定部は、前記保守契約を結ぶことによってこれまで可能となっていた運転の動作指令について、前記保守契約を結ぶことなく前記送信許可を与える
エレベータの動作確認システム。
【請求項2】
前記情報センターが前記エレベータと互いに直接接続されていない状態であり、かつ、前記情報センターが前記携帯端末と互いに直接接続されている状態において、
前記携帯端末は、前記エレベータと前記情報センターとが互いに直接接続されていない状態から互いに直接接続された状態に切り替わった場合には、前記情報センターを介して、前記制御盤に対して前記動作指令を送信する
請求項1に記載のエレベータの動作確認システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記制御盤に対して直接前記動作指令を送信する
請求項1に記載のエレベータの動作確認システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記エレベータと前記情報センターとが互いに接続されている場合に、前記情報センターを介して、前記制御盤に対して前記動作指令を送信する
請求項1に記載のエレベータの動作確認システム。
【請求項5】
前記動作指令は、地震発生時の管制運転、停電発生時の自動着床運転および火災発生時の管制運転の少なくとも1つである
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のエレベータの動作確認システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記エレベータのかご内に乗客が閉じ込められた状態を模擬する閉じ込め模擬部をさらに有する
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のエレベータの動作確認システム。
【請求項7】
構造物に設置されたエレベータと、作業員が所持し、前記エレベータの制御盤に対して動作指令を送信することで、前記エレベータを駆動させる携帯端末と、前記エレベータの保守関連情報を記憶した記憶部を有し、前記携帯端末との間で通信を行う情報センターと、を備えたエレベータの動作確認システムで実行されるエレベータの動作確認方法であって、
前記保守関連情報は、前記エレベータとの保守契約が結ばれているか否かの情報を含み、
前記動作確認方法は、
前記携帯端末から前記情報センターに対して、前記動作指令の送信許可を求める許可要求ステップと、
前記送信許可を求められた場合に、前記記憶部を参照して、前記送信許可を与えてよいか否かを判定する判定ステップと、
前記保守契約を結ぶことによってこれまで可能となっていた運転の動作指令について、前記保守契約を結ぶことなく前記送信許可を与える許可ステップと、
前記送信許可が得られた場合に、前記制御盤に対して前記動作指令を送信する指令送信ステップと、を有する
エレベータの動作確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実機を用いてエレベータの動作確認を行うエレベータの動作確認システムおよび動作確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、日常使用しているエレベータを模擬した仮想空間において、体験者が選択したエレベータの運転状態を仮想的に演出して体験者に体験させることにより、エレベータの機能等についての理解を促進するエレベータシミュレータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、このエレベータシミュレーション装置は、体験者が乗り込む箱体に設けられ、選択されたエレベータの管制運転を模擬する管制運転制御装置や、選択されたエレベータの不具合に応じて仮想的に不具合発生運転を行う不具合発生運転制御装置を備え、箱体内部に管制運転や不具合発生運転に応じた映像を表示するとともに、管制運転や不具合発生運転に応じて箱体を振動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−265935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
すなわち、特許文献1のエレベータシミュレーション装置は、エレベータの実機を用いてシミュレーションを行うものではないことから、エレベータを新設またはリニューアルした場合に、その建物のオーナーや管理人(以下、「ユーザ」と称する)に対して当該エレベータの取扱説明をする際の動作確認に適用することができないという問題がある。
【0006】
なお、このエレベータが、エレベータの状態を遠隔監視するとともに、必要に応じて遠隔制御を行うことができる情報センターと接続されている場合には、情報センターからエレベータを駆動させて動作確認を行うことができる。ところが、エレベータの据え付け後、保守契約が結ばれていない状態では、エレベータが情報センターと接続されていないので、情報センターからエレベータを駆動させることができない。
【0007】
そのため、エレベータの動作確認として、例えば緊急時の動作のうち、地震時管制運転装置の動作を確認したい場合には、フィールドエンジニア等の作業員がエレベータに設置された地震計を実際に動かして地震が発生した状態を作り出す必要があり、大がかりな準備が必要になる。
【0008】
ここで、作業員が所持している携帯端末を用いて、エレベータの制御盤に対して動作指令を送信することにより、エレベータを駆動させて動作確認を行うことが考えられる。しかしながら、この場合には、容易にエレベータの動作確認を行うことができるものの、携帯端末から無制限にエレベータを駆動させることができることは、セキュリティの観点から望ましくない。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、セキュリティを確保した上で、容易にエレベータの動作確認を行うことができるエレベータの動作確認システムおよび動作確認方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るエレベータの動作確認システムは、構造物に設置されたエレベータと、作業員が所持し、エレベータの制御盤に対して動作指令を送信することで、エレベータを駆動させる携帯端末と、携帯端末との間で通信を行う情報センターと、を備え、携帯端末は、情報センターに対して、動作指令の送信許可を求める許可要求部と、送信許可が得られた場合に、制御盤に対して動作指令を送信する指令送信部と、を有し、情報センターは、エレベータの保守関連情報を記憶した記憶部と、送信許可を求められた場合に、記憶部を参照して、送信許可を与えてよいか否かを判定する判定部と、を有し、保守関連情報は、エレベータとの保守契約が結ばれているか否かの情報を含み、判定部は、保守契約を結ぶことによってこれまで可能となっていた運転の動作指令について、保守契約を結ぶことなく送信許可を与えるものである。
【0011】
また、この発明に係るエレベータの動作確認方法は、構造物に設置されたエレベータと、作業員が所持し、エレベータの制御盤に対して動作指令を送信することで、エレベータを駆動させる携帯端末と、エレベータの保守関連情報を記憶した記憶部を有し、携帯端末との間で通信を行う情報センターと、を備えたエレベータの動作確認システムで実行されるエレベータの動作確認方法であって、保守関連情報は、エレベータとの保守契約が結ばれているか否かの情報を含み、動作確認方法は、携帯端末から情報センターに対して、動作指令の送信許可を求める許可要求ステップと、送信許可を求められた場合に、記憶部を参照して、送信許可を与えてよいか否かを判定する判定ステップと、保守契約を結ぶことによってこれまで可能となっていた運転の動作指令について、保守契約を結ぶことなく送信許可を与える許可ステップと、送信許可が得られた場合に、制御盤に対して動作指令を送信する指令送信ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るエレベータの動作確認システムおよび動作確認方法によれば、携帯端末は、情報センターに対して、動作指令の送信許可を求め、情報センターは、送信許可を求められた場合に、エレベータの保守関連情報を記憶した記憶部を参照して、送信許可を与えてよいか否かを判定し、携帯端末は、送信許可が得られた場合に、エレベータの制御盤に対して動作指令を送信して、エレベータを駆動させる。
そのため、セキュリティを確保した上で、容易にエレベータの動作確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの動作確認システムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図1に示した表示部に示される画面を示す説明図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係るエレベータの動作確認システムの処理を示すシーケンス図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係るエレベータの動作確認システムの処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係るエレベータの動作確認システムおよび動作確認方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータの動作確認システムを示すブロック構成図である。
図1において、エレベータの動作確認システム1は、構造物に設置されたエレベータ10と、作業員が所持し、エレベータ10の制御盤15に対して動作指令を送信することで、エレベータ10を駆動させる携帯端末20と、携帯端末20との間で通信を行う情報センター30とを備えている。
【0016】
ここで、携帯端末20と情報センター30とは、ネットワークを介して互いに接続されている。また、エレベータ10と携帯端末20とは、有線または無線により互いに接続される。また、エレベータ10と情報センター30とは、未だ保守契約を結んでおらず、互いに接続されていない。なお、特に説明する場合を除き、保守契約前でエレベータ10が情報センター30と接続されていないものとして説明する。
【0017】
エレベータ10の、例えば図示しない機械室には、巻上機11が設けられている。巻上機11には、主ロープ12が巻き掛けられている。また、主ロープ12の一端にはかご13が接続され、他端には釣り合いおもり14が接続されている。巻上機11は、エレベータ10の駆動を制御する制御盤15に接続されている。
【0018】
また、制御盤15は、地震発生時に管制運転を行う地震時管制運転装置16と、停電発生時に自動着床運転を行う停電時自動着床装置17と、火災発生時に管制運転を行う火災時管制運転装置18とを有している。なお、地震時管制運転装置16、停電時自動着床装置17および火災時管制運転装置18の具体的な動作については後述する。
【0019】
また、制御盤15は、地震時管制運転後に自動的にエレベータを復旧するための診断運転を行う地震復旧診断運転装置、強風発生時に管制運転を行う風管制運転装置、長周期地震発生時に管制運転を行う長周期地震動時管制運転装置等を備えていてもよい。また、制御盤15は、後述する携帯端末20の指令送信部22からの動作指令を受信するための無線または有線による図示しない通信機能を有している。
【0020】
携帯端末20は、許可要求部21、指令送信部22、閉じ込め模擬部23、表示部24、音声出力部25、操作部26および音声入力部27を有している。ここで、許可要求部21、指令送信部22および閉じ込め模擬部23は、アプリケーションとして携帯端末20に実装されている。
【0021】
許可要求部21は、情報センター30に対して、動作指令の送信許可を求める。指令送信部22は、送信許可が得られた場合に、制御盤15に対して動作指令を送信する。閉じ込め模擬部23は、かご13内に乗客が閉じ込められた状態を模擬する。なお、許可要求部21、指令送信部22および閉じ込め模擬部23の具体的な動作については後述する。
【0022】
また、表示部24は、例えばディスプレイであり、音声出力部25は、例えばスピーカであり、操作部26は、例えばハードウェアキーまたはタッチパネルで構成されたソフトウェアキーであり、音声入力部27は、例えばマイクである。
【0023】
図2は、
図1に示した表示部24に示される画面を示す説明図である。
図2において、表示部24には、エレベータの動作確認システムのメニューとして、エレベータ情報入力、地震時管制運転、停電時自動着床運転、火災時管制運転および閉じ込め救出運転が表示されている。これらの各メニューは、押下して選択できるようになっている。なお、情報センター30によって動作指令の送信が許可されるまで、エレベータ情報入力以外のメニューは、押下できないようになっている。
【0024】
図1に戻って、情報センター30は、エレベータ10の保守関連情報を記憶した記憶部31と、送信許可を求められた場合に、記憶部31を参照して、送信許可を与えてよいか否かを判定する判定部32とを有している。なお、判定部32の具体的な動作については後述する。
【0025】
記憶部31は、エレベータ10が設置された構造物およびその構造物における号機番号と、エレベータ10の保守関連情報とを結びつけて記憶している。ここで、保守関連情報とは、エレベータ10の保守契約が結ばれているか否か、結ばれていないなら、エレベータ10の据え付け後、所定のアフターサービス期間であるのか、または他の会社と契約しているのか等の情報が含まれている。また、記憶部31は、エレベータ10を製造したメーカーで製造した他のエレベータに係る保守関連情報も記憶している。
【0026】
また、保守契約が結ばれた場合には、情報センター30が図示しない監視装置を介して有線通信または無線通信によりエレベータ10と接続され、情報センター30は、保守契約に基づいて、監視装置を介してエレベータ10の状態を遠隔監視するとともに、必要に応じて監視装置を介して遠隔制御を行うことができる。この場合には、携帯端末20からの動作指令を、情報センター30経由で制御盤15に送信することもできる。なお、契約を結ぶ前に、エレベータ10を一時的に情報センター30と接続することも可能である。
【0027】
以下、
図1、2とともに、
図3のシーケンス図を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエレベータの動作確認システムの処理について説明する。
図3では、地震時管制運転、停電時自動着床運転および火災時管制運転について説明する。
図3において、まず、許可要求部21は、情報センター30に対して、動作指令の送信許可を求める(ステップS1)。ここで、この処理は、作業員が
図2に示したエレベータ情報入力に、例えば、エレベータ10に係る構造物および号機番号を入力することで実行される。
【0028】
続いて、判定部32は、送信許可を求められた場合に、記憶部31を参照して、当該エレベータ10が、携帯端末20から駆動させてよいものなのか否かを判定し(ステップS2)、駆動させてもよいと判断した場合には、動作指令の送信を許可する(ステップS3)。
【0029】
具体的には、判定部32は、エレベータ10の保守契約が結ばれておらず、他の会社とも契約されていない場合に、動作指令の送信を許可する。また、動作指令の許可は、例えば判定部32が生成したワンタイムパスワードによって携帯端末20に通知される。この場合、携帯端末20は、通知されたワンタイムパスワードが予め規定されたロジックに該当するパスワードであるか否かを判定する認証機能を有する。ここで、動作指令の許可は、ワンタイムパスワードに限定されず、アプリケーションの起動自体をキーとしてもよい。
【0030】
なお、判定部32は、エレベータ10の保守契約が結ばれている場合にも動作指令の送信を許可することができるが、この場合には、エレベータ10から発報される異常信号が情報センター30に入力されることになるので、このような異常信号を無視する処理を併せて行う必要がある。
【0031】
次に、動作指令の送信が許可されると、指令送信部22は、制御盤15に対して、動作指令を送信する(ステップS4)。ここで、この処理は、作業員が
図2に示したエレベータ情報入力に、判定部32から受信したワンタイムパスワードを続けて入力するとワンタイムパスワードの認証が行われ、認証されると地震時管制運転、停電時自動着床装置、火災時管制運転の何れかのメニューが押下可能となり、押下可能になった地震時管制運転、停電時自動着床装置、火災時管制運転の何れかのメニューを選択することによって実行される。
【0032】
続いて、制御盤15は、動作指令に応じて、地震時管制運転装置16、停電時自動着床装置17または火災時管制運転装置18を動作させる。具体的には、地震時管制運転装置16を動作させた場合には、かご13内にアナウンスが流れるとともに、かご13を停止させることなく最寄り階まで移動して扉が開放される。
【0033】
また、停電時自動着床装置17を動作させた場合には、かご13が一旦停止し、かご13内にアナウンスが流れるとともに、バッテリに切り替えてかご13を最寄り階まで移動して扉が開放される。また、火災時管制運転装置18を動作させた場合には、かご13を停止させることなく所定の避難階まで移動して扉が開放される。
【0034】
以下、
図1、2とともに、
図4のシーケンス図を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエレベータの動作確認システムの処理について説明する。
図4では、閉じ込め救出運転について説明する。
図4において、まず、携帯端末20が動作指令の送信が許可されるまでは、
図3と同一なので、説明を省略する。
【0035】
続いて、動作指令の送信が許可されると、指令送信部22は、制御盤15に対して、かご13を停止させる動作指令を送信する(ステップS11)。また、閉じ込め模擬部23は、情報センター30に対して、閉じ込め救出運転を要求する(ステップS12)。ここで、この処理は、作業員が
図2に示した、押下可能になった閉じ込め救出運転のメニューを選択することによって実行される。
【0036】
次に、情報センター30は、通常の遠隔監視時における閉じ込め救出運転と同様にして、例えば携帯端末20の表示部24に情報センター30のオペレータを映し出したり、音声出力部25および音声入力部27を用いたりして、携帯端末20によりかご13内と同等の環境を作り出す(ステップS13)。
【0037】
これにより、携帯端末20を介して、オペレータと直接話をすることができる。続いて、オペレータとの一連の会話が終了した後、指令送信部22は、制御盤15に対して、かご13の動作を再開させる動作指令を送信する(ステップS14)。
【0038】
以上のように、実施の形態1によれば、携帯端末は、情報センターに対して、動作指令の送信許可を求め、情報センターは、送信許可を求められた場合に、エレベータの保守関連情報を記憶した記憶部を参照して、送信許可を与えてよいか否かを判定し、携帯端末は、送信許可が得られた場合に、エレベータの制御盤に対して動作指令を送信して、エレベータを駆動させる。
そのため、セキュリティを確保した上で、容易にエレベータの動作確認を行うことができる。
【0039】
また、新設またはリニューアルしたエレベータをユーザに引き渡す際、営業部門の作業員であっても、携帯端末を用いることにより、ユーザがかごに乗った状態で、実機を用いて容易にユーザに動作確認をしてもらうことが可能になり、ユーザにとって十分な取扱説明をすることができる。
【0040】
また、これまでは、保守契約を結ぶことによって可能となっていた閉じ込め救出運転を、携帯端末を用いてかご内と同等の環境を作り出すことにより、ユーザに説明することができるので、ユーザに対して、保守契約を結ぶことによるメリットを十分にアピールすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 動作確認システム、10 エレベータ、15 制御盤、20 携帯端末、21 許可要求部、22 指令送信部、23 閉じ込め模擬部、30 情報センター、31 記憶部、32 判定部。