(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765547
(24)【登録日】2020年9月17日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】EUV向け感光性フォトレジスト微細パターン形成用現像液組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/32 20060101AFI20200928BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
G03F7/32
G03F7/20 521
G03F7/20 503
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-548992(P2019-548992)
(86)(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公表番号】特表2020-514812(P2020-514812A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2018003346
(87)【国際公開番号】WO2018190529
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年9月9日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0045899
(32)【優先日】2017年4月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516210942
【氏名又は名称】ヨンチャン ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOUNG CHANG CHEMICAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジホン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
【審査官】
高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−504543(JP,A)
【文献】
特開2017−019998(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0219919(US,A1)
【文献】
特開2007−088424(JP,A)
【文献】
特表2010−537238(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/025292(WO,A1)
【文献】
特開2010−061042(JP,A)
【文献】
特開平05−027451(JP,A)
【文献】
特開平07−234524(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0145790(US,A1)
【文献】
特開2013−228695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される水溶性ポリマー、
下記化学式2で表される非イオン性界面活性剤、及び
アルカリ化合物を含むことを特徴とする、微細パターン形成用現像液組成物。
【化1】
(前記化学式1中、nは10〜50の中から選択される整数である。)
【化2】
(前記化学式2中、mはそれぞれ10〜40の中から選択される整数である。)
【請求項2】
前記化学式1におけるnは20〜30の中から選択される整数であることを特徴とする、請求項1に記載の微細パターン形成用現像液組成物。
【請求項3】
前記化学式2におけるmはそれぞれ10〜20の中から選択される整数であることを特徴とする、請求項1に記載の微細パターン形成用現像液組成物。
【請求項4】
前記アルカリ化合物は、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の微細パターン形成用現像液組成物。
【請求項5】
前記組成物は、組成物の総重量に対して、水溶性ポリマー0.1〜5重量%、非イオン性界面活性剤0.01〜5重量%及びアルカリ化合物0.1〜10重量%を含有し、残部は脱イオン水からなることを特徴とする、請求項1に記載の微細パターン形成用現像液組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の微細パターン形成用現像液組成物を用いた微細パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程におけるEUV(Extreme Ultraviolet)用現像液組成物に係り、より詳細には、現像時のEop(Energy of Optimum)を低減させながらより均一にパターンを形成することができる微細パターン形成用現像液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの小型化及び集積化に伴い、微細パターンの実現が求められている。このような微細パターンを形成する方法では、露光装備の開発または追加工程の導入によるフォトレジストパターンの微細化が効率的である。
半導体を製造する工程において、過去には波長365nmのi−line光源を用いて半導体基板にパターンを形成したが、さらに微細なパターンを形成するために、より小さな波長帯の光源を必要とするようになった。
【0003】
実際、KrF(248nm)をはじめとしてArF(198nm)、EUV(extreme ultraviolet−極紫外線、13.5nm)光源を用いたリソグラフィ(lithography)、ArFリソグラフィの二重露光(ダブルパターニングリソグラフィ)技術が開発され、現在商用化されたか或いは商用化中であり、これを用いてより微細な波長を実現することができるようになった。
【0004】
EUVリソグラフィにおいて、微細パターン形成の際に、露光中に炭素原子の吸収が少なくて所望のサイズのパターン形成がうまく実現されず、パターン崩壊が生じるという問題がある。レジスト膜内の炭素原子の十分な吸収がなければ微細パターンの実現時にストレートパターンを形成することができず、EUVに対する感度が低くなって十分なスループット(throughput)を得ることができないため、生産性低下の原因となる。
【0005】
このため、炭素原子の吸収率を高めるために、レジスト膜内の炭素密度を高める技術が開発されており、炭素密度を高めると、EUV波長領域における透過率の向上とドライエッチング耐性の向上に有効である。また、ストレートパターンの実現のためにEUVリソグラフィ用レジスト下層膜の開発も進められている。
微細化パターンを実現するためにフォトレジストパターンのアスペクト比(aspect ratio)が高くなり、パターン崩壊が問題となっている。パターン崩壊に関連して、現像液の現像工程時に膨潤がパターン崩壊の原因になるため現像液の開発も進められている。一般的に使用される現像液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水系アルカリ現像液を使用しているが、45nm以下の微細パターン形成時に膨潤によるパターン崩壊を引き起こすという問題が残っている。このため、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの膨潤を低減させるためにアルキル基の長さを長くしたテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)を用いた現像液が検討されているが、16nm以下のパターン形成においては依然として不十分であって、ベンジルトリアルキルアンモニウムヒドロキシドを含有する現像液が開発された。
【0006】
一方、さらに新規プロセスの開発についての研究により、さらに微細なパターンを実現することができる作業が盛んに行われており、フォトレジストの現像速度を速く改善して現像時のEopを低減させながらより均一にパターンを形成することができる技術の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、半導体製造工程におけるEUV(Extreme Ultraviolet)用現像液組成物に係り、より詳細には、現像時のEopを低減させながらより均一にパターンを形成することができる微細パターン形成用現像液組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の組成物は、好適な第1実施形態として、下記化学式1で表される水溶性ポリマー;下記化学式2で表される非イオン性界面活性剤;及びアルカリ化合物を含む、微細パターン形成用現像液組成物を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
前記化学式1中、nは10〜50の中から選択される整数である。
【0011】
【化2】
【0012】
前記化学式2中、mはそれぞれ10〜40の中から選択される整数である。
本発明の好適な一実施形態において、前記アルカリ化合物は、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムよりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明の好適な一実施形態において、前記組成物は、組成物の総重量に対して、水溶性ポリマー0.1〜5重量%、非イオン性界面活性剤0.01〜5重量%、アルカリ化合物0.1〜10重量%を含有し、残部は脱イオン水からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るEUV向け微細パターン形成用現像液組成物は、現像時のEopを低減させながらより均一にパターンを形成することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、EUVフォトレジストパターニング工程で現像時のEopを低減させながらより均一にパターンを形成することができる微細パターン形成用現像液組成物に関する。
【0016】
本発明における微細パターン形成用現像液は、下記化学式1で表される水溶性ポリマー;下記化学式2で表される非イオン性界面活性剤;及びアルカリ化合物を含有し、残部は脱イオン水からなる。
【0018】
前記化学式1中、nは10〜50の中から選択される整数である。
【化2】
前記化学式2中、mはそれぞれ10〜40の中から選択される整数である。
前記組成物は、組成物の総重量に対して、水溶性ポリマー0.1〜5重量%、非イオン性界面活性剤0.01〜5重量%及びアルカリ化合物0.1〜10重量%を含有し、残部は脱イオン水からなるものでありうる。
【0019】
前記水溶性ポリマーは、組成物の総重量に対して0.1〜5重量%を含むことが好ましい。前記水溶性ポリマーを0.1重量%未満で使用する場合には、現像残留物が生じて性能が低下し、前記水溶性ポリマーを5重量%超過で使用する場合には、現像速度が著しく遅くなるので、好ましくない。
【0020】
前記非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に対して0.01〜5重量%を含むことが好ましい。もし前記非イオン性界面活性剤を0.01重量%未満で使用する場合には、現像残留物が生じ、もし前記非イオン性界面活性剤を5重量%超過で使用する場合には、現像速度が急激に速くなって所望の形状のパターンが形成されないおそれがあるので、好ましくない。
【0021】
前記アルカリ化合物は、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムよりなる群から選択される1種以上でありうる。
【0022】
また、アルカリ化合物は、組成物の総重量に対して0.1〜10重量%を含むことが好ましい。前記アルカリ化合物を0.1重量%未満で使用する場合には、現像が適切に行われず、前記アルカリ化合物を10重量%超過で使用する場合には、現像速度があまり速くてパターンが崩壊するおそれがあるので、好ましくない。
【0023】
通常のフォトレジストパターニング工程を考察すると、EUVに感応するフォトレジストを300mmのシリコンウエハーにスピン(spin)コーター(coater)を用いて1500rpmの速度でスピンコーティングし、110℃で60秒間ホットプレート(hot plate)を用いて乾燥させた後(SB:Soft bake)、EUVが発生される露光機を用いて露光させた後、110℃で60秒間ホットプレート(hot plate)を用いて乾燥させ(PEB:Post exposure bake)、微細パターン形成用現像液で60秒間現像する。
【0024】
本発明では、微細パターン形成用現像液を用いて100rpmで22mL/sの速度で7秒間噴射した後、20秒間静置(パドル時間)し、脱イオン水でリンス処理した後、2000rpmの回転数で20秒間ウエハーを回転させることにより、フォトレジストパターンの形成を完了した。
前述したようなEUV向け微細パターン形成用現像液組成物、及びこれらの組成物を適用した工程方法は、現像時のEopを低減させながらより均一にパターンを形成して工程時間の節減及びこれに伴う製造コストの削減を期待することができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を説明する。しかし、これらの実施例は本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜20および比較例1〜7
表1に記載された組成に基づいて、化学式1の水溶性ポリマー2g、化学式2の非イオン性界面活性剤1g、アルカリ化合物としてのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド4gに脱イオン水(DI)93gを投入し、機械攪拌を12時間行った後、それぞれ0.02μmのフィルターに通して現像液組成物を製造した。
次の処理工程を行ってEopを確認した。
【0027】
EUVに感応するフォトレジストを300mmのシリコンウエハーにスピン(spin)コーター(coater)を用いて1500rpmの速度でスピンコーティングし、110℃で60秒間ホットプレート(hotplate)を用いて乾燥させた後(SB:Soft bake)、EUVが発生される露光機を用いて露光させた後、110℃で60秒間ホットプレート(hotplate)を用いて乾燥させ(PEB:Post exposure bake)、微細パターン形成用現像液で60秒間現像する。その後、微細パターン形成用現像液を用いて100rpmにて22mL/sの速度で7秒間噴射した後、20秒間静置(パドル時間)し、脱イオン水でリンス処理した後、2000rpmの回転数で20秒間ウエハーを回転させることにより、フォトレジストパターンの形成を完了した。
【0028】
【表1】
【0029】
比較例8
実施例1において、化学式1の水溶性ポリマーと化学式2の非イオン性界面活性剤を除き、アルカリ化合物としてテトラエチルアンモニウムヒドロキシド4gを用いて、実施例1と同様にウエハーを処理してEopを確認した。
【0030】
比較例9
実施例1において、化学式1の水溶性ポリマーを除き、化学式2におけるm=20の非イオン性界面活性剤1g、アルカリ化合物としてのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド4gに脱イオン水(DI)95gを投入し、機械攪拌を12時間行った後、それぞれ0.02μmのフィルターに通して現像液組成物を製造し、実施例1と同様にウエハーを処理してEopを確認した。
【0031】
比較例10
実施例1において、化学式2の非イオン性界面活性剤を除き、化学式1におけるn=20の水溶性ポリマー2g、アルカリ化合物としてのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド4gに脱イオン水(DI)94gを投入し、機械攪拌を12時間行った後、それぞれ0.02μmのフィルターに通して現像液組成物を製造し、実施例1と同様にウエハーを処理してEopを確認した。
【0032】
特性測定実験
実施例1〜20及び比較例1〜10に対して、20nmのラインアンドスペースを形成しているEOPと最小寸法の限界解像度をCD−SEM(Hitachi S−8820 series)を用いて測定した結果を表2に示した。Eop(mJ/cm2)及び限界解像度(nm)の値が小さいほど、より均一にパターンを形成することができる有利な結果を示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2の特性測定実験結果によれば、望ましい結果を示すのは、化学式1におけるnが10〜50、化学式2におけるmが10〜40の場合であり、さらに望ましい結果を示すのは、化学式1におけるnが20〜30、化学式2におけるmが10〜20の場合である。