特許第6765611号(P6765611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765611
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】車載用電子機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20200928BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20200928BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20200928BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20200928BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20200928BHJP
   G08G 1/133 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G09G5/00 530T
   G09G5/00 530H
   G09G5/36 520G
   G09G5/36 520F
   G09G5/14 Z
   G09G5/36 510A
   G08G1/00 D
   G08G1/133
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-110781(P2018-110781)
(22)【出願日】2018年6月11日
(62)【分割の表示】特願2017-78007(P2017-78007)の分割
【原出願日】2013年1月7日
(65)【公開番号】特開2018-197752(P2018-197752A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年7月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】上岩 史欣
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−121382(JP,A)
【文献】 特開2010−076740(JP,A)
【文献】 特開平05−133980(JP,A)
【文献】 特開平7−152917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/00
G08G 1/133
G09G 5/00
G09G 5/14
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面内のグラフ表示領域にグラフを表示させる制御を行なう電子機器であって、
前記グラフ表示領域に第一のグラフの全体を表示させる機能と、
前記グラフ表示領域に第一のグラフの全体及び第二のグラフの全体を表示させる機能と、
前記グラフ表示領域に前記第一のグラフの全体を表示させる状態から前記第一のグラフの全体及び第二のグラフの全体を表示させる状態に所定の条件が成立したとき自動的に切替える機能とを備え、
前記第一のグラフを表示させる状態から前記第一のグラフ及び第二のグラフを表示させる状態に所定の条件が成立したとき自動的に切替える際に、前記第一のグラフの全体と前記第二グラフの全体が視認可能に前記第二のグラフの上方部分と前記第一のグラフの下方部分が重なった状態を経る動きのある表示をさせること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第一のグラフを表示させる状態から前記第一のグラフ及び第二のグラフを表示させる状態に所定の条件が成立したとき自動的に切替える際に、前記第一のグラフについては瞬時に全体を表示し、前記第二のグラフについて動きのある表示をさせること
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第一のグラフの全体を表示させる状態から前記第一のグラフの全体及び第二のグラフの全体を表示させる状態に所定の条件が成立したとき自動的に切替える際の前記動きのある表示は、前記第一のグラフの一方の軸を除々に短く縮小していく動きとしたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第一のグラフの全体を表示させる状態から前記第一のグラフの全体及び第二のグラフの全体を表示させる状態に所定の条件が成立したとき自動的に切替える際の前記動きのある表示は、前記第二のグラフをズームインする動きとしたこと
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載に電子機器の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用電子機器の一つとして、路上周辺等に設置された速度測定装置から発射される所定周波数帯域のマイクロ波を検出して警報を出力するマイクロ波検出器(レーダー探知機)がある。また、速度測定装置の中には、係るマイクロ波検出器では検出できないものもある。一例を挙げると、ループ式と称されるように、地中にループ状のコイルを埋め込み、そのコイルの上を車両が通過するのを検知するとともに車速も判定するものがある。また、マイクロ波以外の光を用いて車両の速度を検出するものもある。そこで、予め速度測定装置等の警報対象の設置位置情報を記憶させておき、GPS(Global Positioning System )情報を利用して現在位置が記憶した設置位置に近づいた場合(所定の関係になった場合)に、マイクロ波の検知の有無に関係なく警報を発するようにした車載用電子機器もある(特許文献1)。
【0003】
ところで、この種の車載用電子機器の場合、自車の周囲に常時何かしらの警報対象が存在しているとは限らない。そして、表示部付の車載用電子機器の場合、表示部に警報を出力しない期間、その表示部に所定の待ち受け画面を描画することが行われる。この待ち受け画面の一例としては、たとえばスピードメータや、カレンダ等がある。また、待受画面の別の例としては、たとえば特許文献2に開示された発明のように、直近の一定期間の加速度の変化や、速度の変化をグラフ表示するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−64588号公報
【特許文献2】特開2010−76740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
待受画面に表示する情報の種類によっては、たとえば、今回の走行の運転開始から現在までといった比較的長期間における推移,履歴の変化の状態を見たいという要求がある。その場合、たとえば2軸のグラフで表現する場合、期間に対応する軸の始点をエンジン始動時とし、エンジン始動時から定期的に取得した情報の履歴に基づいて現在までの変化の履歴をグラフに表示する。
【0006】
待受画面として表示する情報として、たとえば、車両が存在する位置の高度情報とすると、エンジン始動してから現在までに走行した道路の高度の変化の状況がグラフ表示されるので、ユーザは、どのような高低差の道路を走行してきたかが一目で理解できる。しかし、長時間走行していると、待受画面に表示されるグラフ全体の動きが少なくなる。すなわち、エンジン始動してからの経過時間が長くなればなるほど、その後の一定時間で取得した情報を表示するための領域の占める割合は小さくなる。よって、たとえば、山道などの比較的高低差のある道路を走行した場合、グラフに表示される線の軌跡は、山道の起伏にあわせて適宜の山や谷など起伏のある曲線になることもある。そして、長時間走行していると、係る起伏のある曲線の形状自体は一定の形を維持し、その後の走行に伴い曲線の形状が大きく変わらないことになる。すると、曲線の形状があまり変わらず、大きな動きがないグラフが表示し続けることになり、表示内容に動きや変化がとぼしく、おもしろみに欠け、待受画面として表示するにはあまり適切でない。
【0007】
一方、たとえば、上記の高度の情報でも、直近の比較的短い期間についてグラフを表示するようにすれば、表示したグラフの形状に時間経過等にともなう動き・変化が見られる。しかし、たとえば、山を越えた場合の全行程の高度の推移を見たいという要求には応えられない。このような課題は、高度情報に限ることはなく、各種の情報に言える。
【0008】
また、たとえば待受画面に表示する情報として高度等を用いた場合であって、従前の他の情報と同様に一定時間毎に高度情報を取得し、それに基づいてグラフを表示すると、以下に示す課題がある。たとえば、渋滞その他で車両が同一位置に一時停止していた場合、車両が存在する場所の高度は変わらない。しかし、たとえばGPS情報を利用して現在位置を求めると、精度誤差等により求めた現在位置が一定とならずにばらつくおそれがある。すると、求めた現在位置がずれることに伴い位置に対応して記憶されている高度が変わるため、停車しているにもかかわらず表示されたグラフでは高度が変動する状態を招くおそれがある。
【0009】
また、一方、仮に精度誤差等がなく一時停止している間、求めた現在位置に変動がないとすると、時間経過に伴い出力される高度は同一の値を維持する。よって、係る場合に表示されるグラフは、たとえば時間軸を横軸とすると、水平な直線が伸びていく態様となり、変化がなくおもしろみに欠ける。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係る車載用電子機器は、(1)所定のイベント発生時に所定のイベント発生画面を表示する車載用電子機器において、少なくとも前記イベント発生画面の表示時でないときに表示する画面である待ち受け画面を表示する待ち受け画面表示手段を備え、前記待ち受け画面表示手段は、第一グラフ表示部に、短い期間で動きのある第一情報をグラフで表示し、第二グラフ表示部に、前記第一情報のグラフよりも長い期間で前記第一情報と関係がある第二情報をグラフで表示する。各表示部は、たとえば、表示領域と称してもよい。「期間」は、たとえば、グラフを構成する一つの軸の項目であり、たとえば、グラフ表示される際の領域,区間等を特定するものとなる。「期間」は、具体的には、たとえば「車両等が動作・稼働している時間」や「車両の移動距離」などがある。
【0011】
本発明は、第一グラフ表示部に、短い期間で動きのある第一情報をグラフで表示する高機能を備えたため、所定のイベントが発生していない時に表示される待ち受け画面の表示内容が、たとえば動きのある内容や変化に富んだ内容となり、待受画面として表示するのに適切となる。
【0012】
そして本発明は、第二グラフ表示部に、前記第一情報のグラフよりも長い期間で前記第一情報と関係がある第二情報をグラフで表示する機能を備えているため、たとえば第二グラフ表示部に、第一情報と関係がある第二情報をグラフで表示し、しかも、その第二情報のグラフは第一情報のグラフよりも長い期間となる。よって、たとえば比較的長い期間に渡る第二情報の全体の変化などを見せることができる。従って、たとえば比較的長い期間に渡る全体を見ることでわかる内容を第二情報として第二グラフ表示部に表示すると、運転手等に有益・有意義な情報を提供することができるので好ましい。この場合、比較的長い期間の全体をグラフ表示することで、表示したグラフの形状が時間経過等によってもあまり大きな動きや変化がないこともある。係る場合でも、第一グラフ表示部に動きのあるグラフを表示しているため、待ち受け画面全体としては、動きのある待ち受け機能を発揮する。そして、第二グラフ表示部では、たとえば、時間経過等に伴うグラフの形状の動き・変化が少ない場合、運転手は、待ち受け画面ひいては第二グラフ表示部を注目して見続けることなく、ちらちらと見るだけでも全体形状を把握することができる。たとえばユーザは、車両前方や周囲の状況をしっかり見ながらでも第二グラフ表示部に表示された内容を認識することができるようになり、本発明の車載用電子機器は、たとえば安全運転を 図るのにも適した装置となる。
【0013】
(2)前記短い期間は、現在の時点から過去の一定の期間とするとよい。このようにすると、たとえば直前のユーザの運転操作や、直前の車両の状態や、直前の走行してきた地形など、ユーザに記憶が新しい内容と直接的あるいは間接的に関係する情報等がグラフで表示されるので、ユーザにとって興味があったり、おもしろみがあったり、理解しやすかったりする内容が待ち受け画面として表示されるので好ましい。
【0014】
(3)第二グラフ表示部に表示するグラフは、イベント発生から現在までの累積を示すものとするとよい。このようにするとイベント発生から現在までの第二情報の推移、履歴等の全体を一括してグラフとして表示することができる。よって、ユーザは、係るグラフを見ることで、第二情報のイベント発生からの全体の推移等を一目で見て理解できるので好ましい。
【0015】
(4)前記イベント発生は、車両の始動、リセット指示受付のいずれかであるとよい。車両の始動は、たとえばイグニッションスイッチがオンされたこと、エンジンが始動したこと、電気自動車のスタートスイッチがオンされたことなどにより判定する。このようにすると、たとえば今回の運転についての走行開始から現在までの第二情報の変化の推移、履歴が一目でわかる。また、リセット指示受付は、たとえばリセットボタンスイッチの押下などによりユーザからのリセット指示受付がある。また、車両の状態などがあらかじめ設定した条件を満たした場合にリセット指示受付としても良い。たとえば、ユーザからのリセット指示受付があったことをイベント発生とした場合、ユーザは、走行途中の任意の地点からの履歴を見ることができる。また、車両が駐停車してもリセット指示をしないことで、複数の走行にまたがる全体の第二情報の履歴を見ることができる。よって、たとえば第二情報として実施形態のように高度に関する情報とし、ユーザが山道などの起伏のある道路をドライブして山越えするような場合に、その山越えした当該山の起伏の状態を見たいような場合、ユーザは、山道に入る手前でリセット指示をすることで、そのより前の街中、郊外の部分の履歴の表示をカットし、山の部分の高度の変化・推移を見ることができる。また、たとえば山道の途中で休憩等で車両を駐停車し、その後に車両を再始動した場合でも、車両の駐停車時にリセット指示をしなければ、山の部分の全体の起伏に応じた高度の履歴を見ることができる。
【0016】
(5)前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第一の軸は、前記期間を特定する項目であり、前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第二の軸は、車両の走行に応じて変わり得る情報であることとするとよい。車両の走行に応じて変わり得る情報は、たとえば高度、気圧、ラジエータ内等の水温、燃費、残燃料、速度、加速度などがある。第一グラフ表示部の第一の軸の項目と、第二グラフ表示部の第一の軸の項目は、同じでも良いし異ならせても良い。同様に第一グラフ表示部の第二の軸の項目と、第二グラフ表示部の第二の軸の項目は、同じでも良いし異ならせても良い。第二の軸の項目を車両の走行に応じて変わり得る情報とすることで、車両の走行に伴いグラフが変化し、第一グラフ表示部のグラフは待受機能として発揮し、第二グラフ表示部のグラフは走行によりどのように変化したかの履歴を見ることができる。
【0017】
(6)前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第一の軸は、前記期間を特定する項目であり、前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第二の軸は、運転者の操作に応じて変化する項目であるようにするとよい。運転者の操作に応じて変化する項目としては、たとえば燃費、エコ情報、安全運転の程度などがある。
【0018】
(7)前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第一の軸は同じ項目であり、前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第二の軸は同じ項目であるとよい。このようにすると、第一情報と第二情報は、期間の長短が異なるものの同じ項目となるので、たとえば第一グラフ表示部はある情報についてのズームウインドウとなり、第二グラフ表示部は累積ウインドウとなる。よって、ユーザは両方を見比べることで、走行の全体についての状況を見つつ、直近の情報も確認することができるので好ましい。
【0019】
(8)前記待ち受け画面表示手段は、前記第一グラフ表示部に表示する表示内容と、前記第二グラフ表示部に表示する表示内容が同じ間は前記第一グラフ表示部と前記第二グラフ表示部のいずれか一方を表示し、前記表示内容が異なる場合に前記第一グラフ表示部と前記第二グラフ表示部を同時に表示するとよい。運転開始直後は、グラフ表示は一方のみとなるので、グラフの表示領域・面積を大きく採ることができるため、見やすくなり好ましい。
【0020】
(9)前記待ち受け画面表示手段は、前記第二グラフ表示部にグラフを表示する際に、前記第一グラフ表示部に表示するグラフに対応する部分が分かるように表示するとよい。「対応する部分がわかるように表示する」ことは、たとえば、対応するグラフの部分とそれ以外の部分の表示形態を異ならせることである。また、グラフの表示形態を変えるのではなく、たとえば、グラフの背景(たとえば色、パターン、図柄等)を変えたり、境界部分に線を表示したり、境界部分を矢印で示したりするなどの他、各種の態様がとれる。
【0021】
このようにすることで、第一グラフ表示部に表示されたグラフが第二グラフ表示部に表示されたグラフのどの部分に対応しているかが一目でわかり、対応関係が容易に理解できるので好ましい。
【0022】
(10)前記期間は、車両の走行距離により特定するものであるとするとよい。たとえば期間を時間経過により特定するようにすると、時間経過に伴いGPS受信に基づく位置検出や高度などを求めると、GPSの検出精度誤差などで、高度等の値が変動することがあるが、距離に基づくことで係るグラフの表示が変動するのを抑止することができる。
【0023】
(11)前記第一情報と前記第二情報の少なくとも一方は、走行距離に対する高さの変位を特定する情報とするとよい。高さの変位は、高度等のように直接的に規定するものでも良いし、気圧等のように間接的に規定するものでも良い。このようにすると、ユーザは、走行した箇所の高さの変化・推移、高低差を知ることができるので好ましい。
【0024】
(12)本発明のプログラムは、(1)〜(11)のいずれかに記載の車載用電子機器としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第一グラフ表示部に表示するグラフは、たとえば走行・時間経過等にともないその形状が適宜変化するため、待受機能として適した内容表示となる。そして、第二グラフ表示部に比較的長い期間にわたった情報をグラフ表示するため、ユーザは、係る第二情報についての全体の推移・履歴を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の好適な一実施形態であるレーダー探知機の外観を示す図である。
図2】レーダー探知機のブロック図を示す図である。
図3】待受画面の表示例を示す図である。
図4】待受画面の表示例を示す図である。
図5】待受画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0028】
[車載用電子機器の基本構成]
図1図2は、本発明のシステムを構成する車載用電子機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。レーダー探知機1は、薄型矩形状のケース2を備え、そのケース2の背面側下方に取り付けられたブラケット3を用いて車両のダッシュボード上等に貼り付けて固定される。
【0029】
ケース2の前面(車両後方(運転者側)に向く面)には、表示部5を備える。表示部5は、カラーTFT液晶ディスプレイで構成する。この表示部5上には、表示部5のどの部分がタッチされたかを検出するタッチパネル6を備える。また、ケース2の前面の右サイドには音量調整ボタン7が配置され、同左サイドには各種の作業用ボタン8が配置される。
【0030】
ケース2の右側面には、着脱可能な記録媒体としてのメモリカードを装着するためのカード挿入口9を備え、ケース本体2内のカード挿入口9の内側にメモリカードリーダ10が内蔵される。このカード挿入口9からメモリカード11を挿入することで、そのメモリカード11はカードリーダ10に装着される。カードリーダ10は、装着されたメモリカード11に格納されたデータを内部に取り込む。より具体的には、メモリカード11に格納されたデータは、新規な警報対象の情報(緯度経度等の位置情報,種別情報等)などの更新情報があり、その更新情報が制御部18経由で装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。
【0031】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばNANDFlashメモリ)により実現できる。またメモリカード11自体をデータベース19の一部又は全部として構成しても良い。なお、データベース19には、出荷時に地図データ並びに一定の警報対象に関する情報が登録されており、その後に追加された警報対象についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新される。
【0032】
ケース2の背面側中央上方の内部にGPS受信器13を配置し、さらにその横にマイクロ波受信器14,無線受信器15を配置する。GPS受信器13は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、現在位置(緯度経度)情報を出力する。マイクロ波受信器14は、速度測定装置から出射される所定周波数のマイクロ波を受信する。無線受信器15は、交通取締連絡用のVHF及びUHF帯の無線電波等を受信する。ケース2内の所定位置には、スピーカ16を内蔵する。
【0033】
ケース2の背面側下方には、DCジャック17を配置する。このDCジャック17は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得る。
【0034】
ケース本体2の内面所定位置に、加速度センサ22,気圧センサ24を配置する。加速度センサ22は、車両の挙動を検出するもので、X軸が進行方向にかかる加速度、Y軸が横方向にかかる加速度、Z軸が上下方向にかかる加速度を検出する。これにより、X軸は急加速・急減速、Y軸は急ハンドル、Z軸は段差の乗り上げや窪みへの落ち込みといった車両の所定の挙動をそれぞれ検出する。気圧センサ24は、大気圧を測定する。
【0035】
ケース本体2には、車両に実装されているOBD−II(IIはローマ数字の「2」であり、以下「OBD−II」を「OBD2」と記す)コネクタに着脱自在に装着するOBDアダプタ21が接続される。OBD2コネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECUに接続され、定期的に各種の車両情報が出力される。そこで、このOBDアダプタ21と車両本体側のOBD2コネクタとを連結することで、制御部18は、各種の車両情報を定期的に取得する。
【0036】
この車両情報としては、車両の走行距離、車両の車速、インジェクション噴射時間、吸入空気量、残燃料の情報等がある。残燃料は、現在の燃料タンクに残っている燃料の量であり、0.5リットルの分解能で出力される。よって、残燃料を定期的に取得し、前回の残燃料と今回の残燃料との間で変化が発生したタイミングを記録することで、前回変化が発生してから今回変化が生じるまでに消費された燃料は、0.5リットルと言える。また、定期的に燃費に関する情報(生涯燃費,今回燃費,瞬間燃費等の情報)が出力されるものもある。
【0037】
また上記のOBDアダプタ21は、ケース本体2に設けた接続端子23に着脱自在に連携される。OBD2コネクタからの車両情報が不要な場合、OBDアダプタ21を取り外すことで配線がダッシュボード上等において散らかるのを抑制し、レーダー探知機の周囲をすっきりとなる。
【0038】
制御部18は、CPU,ROM,RAM,NANDFlashメモリ、I/O等を備えるマイコンであり、図2に示すように上述した各部と接続される。制御部18は、上記の各種の入力機器(タッチパネル6、GPS受信器13、マイクロ波受信器14、無線受信器15等)から入力される情報に基づいて運転者に報知する情報を作成し、出力機器(表示部5,スピーカ16等)を利用して情報を出力する。これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様である。
【0039】
本実施形態のレーダー探知機1における機能は、制御部18に有するCPUが実行するファームウェアとして制御部18のNANDFlashメモリに格納され、これを制御部18に有するCPUが実行することで実現する。NANDFlashメモリに記憶されたファームウェアは、メモリカードに記憶された新たなファームウェアによって更新することが可能である。
【0040】
レーダー探知機1の出力機器から出力される主な情報は、運転者に安全を促すための警報情報である。警報情報は、たとえば次のような場合に出力される。制御部18は、データベース19に地図情報として記憶された警報対象の位置(緯度経度)と、GPS受信器13によって検出した車両の現在位置(緯度経度)から両者の距離を求め、求めた距離が所定距離以下となった場合に、出力機器から警報情報を出力する。またたとえば制御部18は、マイクロ波受信器14によって速度測定装置から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、出力機器から警報情報を出力する。またたとえば制御部18は、無線受信器15によって所定の無線電波を受信した場合、出力機器から警報情報を出力する。レーダー探知機1は、警報情報を出力することにより交通事故の発生しやすい危険な場所を運転者に認識させる。これにより、レーダー探知機1は、運転者に安全運転を促すことができる。なお、上述した警報情報は一例であり、実際には、他の様々な警報情報を運転者に対して出力する。警報情報は、たとえば表示部5に出力する所定の画像・映像・文字等から構成される視覚情報や、スピーカ16に出力する音・音声を用いたもの等がある。
【0041】
本実施形態のレーダー探知機1における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現する。制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、待ち受け画面表示機能、MAP表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能などがある。
【0042】
待ち受け画面表示機能は、所定の待ち受け画面を表示部5に表示する機能である。たとえばGPS受信器13によって検出した位置情報に基づいて求めた自車の現在位置の緯度、経度、高度等の情報を数値、グラフ、アニメその他の態様で表示したり、GPS受信器13で検出したGPS衛生の存在を、数値やアニメその他の太陽で表示したり、OBDアダプタ21にて取得した所定のOBD情報に基づき数値、グラフ、アニメその他の態様で表示したりする。
【0043】
MAP表示機能は、GPS受信器13によって検出した現在位置に基づき、データベース19にアクセスし、そこに記憶されている地図データを読み出して表示する機能である。また、MAP表示機能は、現在位置の周囲の警報対象をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、周囲に警報対象が存在する場合に地図上の該当する位置にその警報対象を示す情報(ターゲットアイコン112等)を重ねて表示する機能も備える。具体的な表示態様は、以下の通りである。
【0044】
制御部18は、メイン表示領域R1の左サイドに設定されるスケール表示領域R3に、現在のスケール情報(縮尺)を表示する。スケールは、自車位置を0mとし、その自車位置からメイン領域R1の上下方向の中間位置までの距離(図では「500」)と、上方位置までの距離(図では「1000」)を表示する。単位は、「m」である。制御部18は、メイン表示領域R1が2回連続してタッチされたことを検知すると、メイン表示領域R1内の所定位置(スケール表示領域R3に添う位置)に地図スケール変更ボタンを表示し(図示省略)、その地図スケール変更ボタンに対するタッチに応じて地図スケールを変更する。つまり、制御部18は、変更した地図スケールの縮尺に合わせてメイン表示領域R1に表示する地図の縮尺を変更すると共に、スケール表示領域R3に表示するスケール情報も変更する。
【0045】
所定の待ち受け画面表示機能実行中に、表示部5への1回のタッチを検知した制御部18は、所定のメニュー画面を表示する。そのメニュー画面中に用意された画面切り替えボタンがタッチされたことを検知した制御部18は、所定のMAP表示機能に切り替える。同様にMAP表示機能実行中に表示部5への1回のタッチを検知した制御部18は、所定のメニュー画面を表示する。そのメニュー画面中に用意された画面切り替えボタンがタッチされたことを検知した制御部18は、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
【0046】
制御部18は、待ち受け画面表示機能、MAP表示機能(以下これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行し、当該機能の処理終了時には元の待受機能の処理に戻る。各機能の優先度は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。
【0047】
GPS警報機能は、制御部18に有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース19に記憶された警報対象の緯度経度とGPS受信器13によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離になった場合に、表示部5にGPS警報表示(たとえば警報対象の模式図・残り距離等)をし、スピーカ16からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0048】
こうした警報対象としては、居眠り運転事故地点、レーダー、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目標物の種別情報とその位置を示す緯度経度情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータと音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0049】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器14によって速度測定装置(移動式レーダー等(以下、単に「レーダー」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面131を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。たとえば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ16から出力する。
【0050】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ16からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。
【0051】
[待受機能](待ち受け画面表示機能)
図3は、本発明の要部となる待ち受け画面表示機能の表示画面の一例を示している。本実施形形態では、制御部18は、GPS受信器13から出力される現在位置情報に基づいて取得した現在位置の高度をグラフ表示する。
【0052】
表示部5の表示画面30に出力する表示レイアウトは、上下二段にグラフ表示部を配置する。すなわち、表示画面30の上方に第一グラフ表示部31を配置し、表示画面30の下方に第二グラフ表示部32を配置する。第一グラフ表示部31は、短い期間で動きのある第一情報をグラフで表示する表示領域である。第二グラフ表示部32は、第一情報のグラフよりも長い期間で第一情報と関係がある第二情報をグラフで表示する表示領域である。第一情報と第二情報は、ともに車両の走行に応じて変わりうる情報の一つとして高さ特定する情報である高度情報である。さらに、期間は、ともに移動距離で特定している。
【0053】
また、各グラフ表示部31,32に表示するグラフは、第一の軸である横軸は期間を特定する項目である距離とし、第二の軸である縦軸は高度である。第一グラフ表示部31の横軸は、現在の時点から過去の一定の期間(たとえば3km)とした。また、第二グラフ表示部32の横軸は、イベント発生から現在までの距離とした。イベント発生は、本実施形態では、車両の始動時(たとえば、イグニッションキーON、電気自動車の始動スイッチON等)としている。これにより、制御部18は、第一グラフ表示部31に直近の高度の変化の状態を表示し、第二グラフ表示部32に車両の始動時から現在までの高度変化の累積を表示する。
【0054】
制御部18は、上述したように各グラフ表示部31,32に対して所定のグラフを表示するが、係るグラフを表示する処理を行うための機能は、たとえば、以下のようにする。制御部18は、車両の始動時にGPS受信器13から出力される現在位置情報に基づいて取得した現在位置の高度を、移動距離(ここでは、距離0m)と関連づけて高度履歴情報記憶部に格納する。この高度履歴情報記憶部は、たとえば制御部18のRAMやNANDFlashメモリなどの所定の記憶手段や、制御部18以外の車載用電子機器が持つ所定の記憶手段内の記憶エリアに設定したり、ソフトウェアプログラム上のメモリとして持たせたりする。
【0055】
次いで、制御部18は、OBD情報として車両の移動距離に関する情報を取得する。そして、制御部18は、車両が所定距離(たとえば10m)を移動するごとに、GPS受信器13から出力される現在位置情報に基づいて取得した現在位置の高度を、移動距離と関連づけて高度履歴情報記憶部に格納する。これにより、高度履歴情報記憶部には、車両の始動時から移動距離が10mごとの高度の推移についての履歴情報が記憶保持される。
【0056】
制御部18は、高度履歴情報記憶部にアクセスし、高度履歴情報記憶部に記憶保持されている所定の履歴情報を取得し、各グラフ表示部31,32にそれぞれのグラフを表示する。具体的には、第一グラフ表示部31に対しては、直近から過去3km分の高度の情報を取得し、グラフ上のそれぞれの高度に対応する位置にプロットする。すなわち、本実施形態では、10mごとに高度の情報を取得し、記録しているため、直近の300個分の高度のデータを抽出する。
【0057】
そして制御部18は、抽出した直近の300個分の高度のデータのなかの最大値から縦軸の最大値を決定し、直近の300個分の高度のデータのなかの最小値から縦軸の最小値を決定する。そして、制御部18は、決定した縦軸の最大値と最小値をそれぞれ縦軸の適宜の位置に表示するとともに、縦軸上の各位置に対応する高度を設定する。さらに制御部18は、最新の高度に関連づけられた移動距離を読み出し、その移動距離を単位がキロメータとなる値にして横軸の右端に表示する。また制御部18は、最新から過去の300番目の高度に関連づけられた移動距離を読み出し、その移動距離を単位がキロメータとなる値にして横軸の左端に表示する。
【0058】
第一グラフ表示部31の表示領域は、たとえば横軸を液晶の表示画素で300ドット分に設定する。すると、制御部18は、取得した直近の300個分の高度のデータを時系列で並べて縦軸の高度に対応する位置にプロットすることで、第一情報についてのグラフを作成する。
【0059】
また、第二グラフ表示部32に対しては、制御部18は、高度履歴情報記憶部に記憶保持されているデータ数に基づき、適宜間引いて車両の始動時から現在までのすべてのデータから均等に300個分のデータを抽出する。そして制御部18は、抽出した間引き後の300個分の高度のデータのなかの最大値から縦軸の最大値を決定し、その300個分の高度のデータのなかの最小値から縦軸の最小値を決定する。そして、制御部18は、決定した縦軸の最大値と最小値をそれぞれ縦軸の適宜の位置に表示するとともに、縦軸上の各位置に対応する高度を設定する。さらに制御部18は、最新の高度に関連づけられた移動距離を読み出し、その移動距離を単位がキロメータとなる値にして横軸の右端に表示する。また制御部18は、横軸の左端にイベント発生時の移動距離、すなわち、車両の指示宇治の0.0kmを表示する。そして、制御部18は、抽出した300個分の高度のデータを時系列に並べて各データを縦軸の高度に対応する位置にプロットすることで第二情報についてのグラフを作成する。
【0060】
縦軸のレンジの最大値と最小値の決定は、すべてのデータがグラフに表示されるようにしている。よって、縦軸の最大値は高度のデータのなかの最大値よりも大きい値に決定し、縦軸の最小値は高度のデータのなかの最小値よりも小さい値に決定する。さらに、表示するグラフをユーザが見やすくなるように、グラフをグラフ表示部の表示領域内でできるだけ大きく表示するように縦軸の最大値と最小値を決定する。よって、たとえば制御部18は、高度のデータの中の最大値と最小値に対してそれぞれ所定のマージンをとったり、たとえば所定の位(たとえば1の位)で切り上げや切り捨てをしたりすることで、縦軸の最大値と最小値を決定する。
【0061】
制御部18は、第一グラフ表示部31に直近の比較的短い期間(本実施形態では車両の移動距離)における車両の存在位置の高度の推移を表示する。よって、グラフの形状は時々刻々と変化し、動きがあり、待受画面として表示するのに適切となる。しかも、直近の高度の推移であるため、ユーザにとっても記憶に新しく、走行してきた地形とマッチしおもしろみが増すのでよい。
【0062】
また、制御部18は、第二グラフ表示部32に車両の始動から現在までの高度の推移の履歴を表示するので、ユーザは、今回の走行してきた道路の起伏の状態などを一目で理解することができる。たとえば、今回の走行が山道などの起伏のある道路をドライブして山越えしたような場合、その山越えした当該山の起伏の状態を一目で理解することができるので好ましい。また、そのように山越えなどに限ることはなく、たとえば街中や、高速道路など、ユーザは高低差があまりないような道路と思って走行していたような場合でも、走行開始からの履歴を見ることで、たとえば思っていたよりも高低差があるなど、新しい発見をすることができるなどの楽しみもあるのでよい。
【0063】
さらに、本実施形態では、横軸は移動距離としたため、たとえば、渋滞その他で車両が一時停止しているような場合、移動距離が変わらないため新たな位置検出並びにそれに基づく高度の取得を行わない。よって、第一グラフ表示部31並びに第二グラフ表示部32のグラフ表示は更新されないため、たとえば、停車時に高度等のグラフの表示が変動することがない。特に本実施形態では、移動距離をOBD情報から取得しているため、移動の有無並びに距離を精度良く求めることができる。
【0064】
さらに本実施形態では、表示画面30の右側に、ステータス情報を表示するステータス領域33を配置し、さらに右上に時間表示領域34を配置するレイアウトとした。ステータス情報は、本実施形態では、グラフ表示する各項目の値とした。ここでは、第一グラフ表示部31の項目と、第二グラフ表示部32の項目が同じであるため、ステータス領域33の上側には現在の高度を表示し、ステータス領域の下側には現在の距離を表示する。この現在の距離は、イベント発生時である車両の始動時からの移動距離である。このように現在の値を数値で表示することで、ユーザは、現在の情報を絶対値として認識することができる。さらに、制御部18は、表示画面の右上に現在の時刻を表示する。
【0065】
さらに本実施形態では、第一グラフ表示部31の項目と、第二グラフ表示部32の項目を同じにしたため、たとえば第一グラフ表示部31は、直近の距離−高度に関するデータを表示するズームウインドウとなり、第二グラフ表示部32は走行全体の距離−高度に関するデータを表示する累積ウインドウとなる。よって、ユーザは、第一グラフ表示部31を見ながら直近の走行した道路の高度の推移,高低差の変化を拡大して確認しつつ、第二グラフ表示部32を見て今回の走行の全体の高度の推移を確認できる。
【0066】
また、図3に示す例では、走行開始してから18.5kmであり、全行程の高低差も50mに満たないため、第一グラフ表示部31の縦軸のレンジと、第二グラフ表示部32の縦軸のレンジの差があまりなく、どちらのグラフも表示領域の全体にわたってグラフが表示され、しかも、縦軸の縮尺もほぼ同じになっている。たとえば走行距離がもっとのびて、高度の最大値と最小値の差が大きくなった場合には、第二グラフ表示部32の縦軸のレンジが大きくなって、第二グラフ表示部32に表示するグラフは、高度についての縮尺がより大きくなるのに対し、第一グラフ表示部31に表示されるグラフは直近の3kmについての高低差であるので、第二グラフ表示部32に比べると高度についてもより拡大して表示することができる。
【0067】
[変形例]
図4は、上述した第一グラフ表示部31の項目と、第二グラフ表示部32の項目を同じとした実施形態を前提とする変形例を示している。第一グラフ表示部31の項目と、第二グラフ表示部32の項目を同じとした場合、第一グラフ表示部31に表示されたグラフは、第二グラフ表示部32に表示されたグラフの一部分に対応したものとなる。
【0068】
そこでこの変形例では、制御部18は、第二グラフ表示部32にグラフを表示する際に、第一グラフ表示部31に表示するグラフに対応する部分が分かるように表示する。図4では、便宜上、第二グラフ表示部32に表示するグラフのうち対応する部分については実線で示し、それ以外の部分は破線で示している。そして、実際には、制御部18は、たとえば、第二グラフ表示部32のグラフの実線で示す部分と、破線で示す部分の表示色を変えたり、明度を変えたりする制御を行う。また、図示のように線種を変えるようにしても良い。この場合、破線になるように高度に対応する位置にプロットするデータとプロットしない非表示のデータを適宜の順で繰り返すことで実現する。また、グラフを構成する線の部分の表示形態を変えるのではなく、グラフの背景部分の色や、パターン、図柄等を変えたり、境界部分に線を表示したり、境界部分を矢印で示したりするなどの他、各種の対応をとってもよい。
【0069】
この変形例では、第一グラフ表示部に表示されたグラフが第二グラフ表示部に表示されたグラフのどの部分に対応しているかが一目でわかり、対応関係が容易に理解できるので好ましい。そして、走行距離が長くなるに従って、第二グラフ表示部32に表示されるグラフにおける第一グラフ表示部31に表示されるグラフの占める割合が少なくなる。よって、たとえば、走行距離が長くなるにつれて、第二グラフ表示部32に表示されるグラフの形状自体はあまり変化がしなくなっても、色、明度等の表示態様が変わっていく。たとえば、色を変える場合、第一グラフ表示部31に表示されるグラフに対応する色で表示される部分が、徐々に短く,狭くなっていくので、第二グラフ表示部32でグラフの形状の変化が少なくても、グラフの色の変化が現れ、待ち受け機能も発揮する。
【0070】
[開始直後の変形例]
上述した実施形態並びに変形例では、第一グラフ表示部31と第二グラフ表示部32を上下に配置したレイアウトを採っている。そして、第一グラフ表示部31の項目と、第二グラフ表示部32の項目を同じとしたため、車両の始動時から3km移動するまでは、第一グラフ表示部31と第二グラフ表示部32の表示内容は同じとなる。
【0071】
そこで、制御部18は、第一グラフ表示部31に表示する表示内容と、第二グラフ表示部に表示する表示内容が同じになる車両の始動時から3km移動するまでの間は、第一グラフ表示部31と第二グラフ表示部32の一方のみを表示し、表示内容が異なる3kmを経過たとえばした時点で場合に前記第一グラフ表示部と前記第二グラフ表示部を同時に表示する。図示の例では、図5(a)に示すように、制御部18は、当初は第二グラフ表示部32のみを表示する。このとき、制御部18は、表示画面の上下方向の全体を使って第二グラフ表示部32を表示する。このようにすることで、3km以降の2つのグラフ表示部を表示するものに比べて、上下方向は2倍近く広い領域でグラフを表示することができ、グラフを大きく表示できる。
【0072】
また、図5(c)に示すように3kmを経過後は第一グラフ表示部31と第二グラフ表示部32の両方を表示する。さらにこの変形例では、3km経過時点での第二グラフ表示部32のみの表示から、両グラフ表示部31,32の表示に切り替える際に、図5(b)に示すように、制御部18は、第一グラフ表示部31については瞬時に通常の表示態様で表示し、上下方向に一杯に表示していた第二グラフ表示部32をその縦軸を徐々に短く縮小していく。これにより、第二グラフ表示部32の上方部分と、第一グラフ表示部31の下方部分が重なった状態で表示する。そして、最終的に図5(c)に示すように、第一グラフ表示部31と第二グラフ表示部32が上下に並列して配置するレイアウトで表示する。このように、第二グラフ表示部32の上端を徐々に下降移動し、上下方向の表示領域を徐々に縮小するように動きを見せることで、面白みを増すとともに、1つのグラフ表示から2つのブラフ表示に切り替わったことをアピールすることができる。
【0073】
このようにすることで、この変形例では、運転開始直後は、グラフ表示は一方のみとなるので、グラフの表示領域・面積を大きく採ることができるため、見やすくなり好ましい。
【0074】
このように第二グラフ表示部32を徐々に縮小する動きを設けることなく、図5(a)の状態からいきなり図5(c)に示す状態に遷移、切り替えても良い。また、図5(a)に示す初期状態で、第一グラフ表示部31を表示するようにしてもよい。
【0075】
また、図5(a)から図5(c)に示す状態に切り替える際に、後から表示するグラフ表示部(ここでは、第一グラフ表示部31)を適宜ズームインするように表示するなどの方かも、切り替え時の表示を動きのあるようにすると良い。
【0076】
また、図5に示す実際の表示画面では、制御部18は、左上に駐車禁止の標識に模した駐車禁止エリア報知マークM1を表示している。これは、現在位置とデータベース19に記憶した警報対象情報から、現在位置が駐車禁止監視エリア内の時で所定の条件で表示する。すなわち、たとえば、現在位置が、違法駐車取締りガイドラインの最重点地域・重点地域内にあると、表示してその旨を報知したり、係る地域内であって速度が一定速度以下のときに表示したりする。
【0077】
また、図5(a),(c)では、現在位置の周囲(たとえば500m以内)に警察署が存在する場合に、警察署報知マークM2を表示し、図5(b)では、現在位置の周囲(たとえば500m以内)に交番が存在する場合に、交番報知マークM3を表示するとともに、それらの警察署や交番等の警報対象の存在する方向を矢印で示すと共に、当該警報対象までの距離を数値で示している。
【0078】
[期間の変形例]
上述した実施形態並びに変形例では、第一グラフ表示部31に表示するグラフと第二グラフ表示部32に表示するグラフの横軸は、期間を特定する項目としで距離としたが、経過時間としてもよい。さらに第一グラフ表示部31の横軸である期間を特定する項目と第二グラフ表示部32の横軸である期間を特定する項目は異ならせても良い。
【0079】
上述した実施形態並びに変形例では、第一グラフ表示部31の期間は、現在の時点から一定の期間にしたが、本発明はこれに限ることはなく、過去のある一定の期間としてもよい。
【0080】
上述した実施形態並びに変形例では、第二グラフ表示部31の期間の始点は、イベント発生時として車両の始動時としたが、本発明はこれに限ることはなく、たとえば所定のリセット指示を受け付けた場合とするとよい。ユーザからのリセット指示の受付としては、たとえば、表示部5の表示画面をタッチしたことをタッチパネル6からの信号に基づき制御部18が認識すると、メニュー画面を表示し、メニュー画面の所定の階層に設けたリセット指示受付のボタン領域の押下を契機としてリセット指示受付としたり、図3等に示す待受画面の所定領域、たとえば、第二グラフ表示部32内のタッチを検出すると、リセット指示受付としたりすると良い。また、リモコンスイッチに割り当てたリセット指示受付ボタンの押下を制御部18が検知したことを契機としても良い。
【0081】
制御部18は、リセット指示を受け付けたならば、たとえば、受付したときの高度履歴情報記憶部の最新の高度とそれに関連付けた移動距離にフラグを立てるなどマークをし、当該移動距離を第二グラフ表示部32の横軸の始点とし、以降、所定距離(たとえば10m)移動して新たな高度の情報を記録するごとに各グラフ表示部の表示を更新する。このとき、第一グラフ表示部31については、リセット指示の受付によりクリアせず、直近の所定距離(たとえば3km)分の高度のデータをグラフ表示するとよい。
【0082】
また、第一グラフ表示部31に表示するグラフも、リセット指示の受付に併せてリセットするようにしても良い。係る場合、リセット指示の受付をした制御部18は、たとえば、高度履歴情報記憶部に記録した過去の高度の情報を消去し、リセット指示の受付をした時点を車両の始動時と同様に高度履歴情報記憶部への高度の情報の記録並びに各グラフ表示部へのグラフ表示を行う。
【0083】
このようにすると、ユーザは、走行途中の任意の地点からの履歴を見ることができる。また、車両が駐停車してもリセット指示をしないことで、複数の走行にまたがる全体の第二情報の履歴を見ることができる。よって、たとえばユーザが山道などの起伏のある道路をドライブして山越えするような場合に、その山越えした当該山の起伏の状態を見たいような場合、ユーザは、山道に入る手前でリセット指示をすることで、そのより前の街中、郊外の部分の履歴の表示をカットし、山の部分の高度の変化・推移を見ることができる。また、たとえば山道の途中で休憩等で車両を駐停車し、その後に車両を再始動した場合でも、車両の駐停車時にリセット指示をしなければ、山の部分の全体の起伏に応じた高度の履歴を見ることができる。但し、その場合には高度履歴情報記憶部は、不揮発性のメモリを用いるか、イグニッションスイッチのオフや電気自動車のスタートボタンのオフなどによる駐停車の際に、高度履歴情報記憶部に格納した高度に関するデータをバックアップし、始動時にバックアップしたデータを所定の記憶部にセットする処理を行う。
さらにまた、ユーザからのリセット指示の受付に限ることはなく、車両の状態などがあらかじめ設定した条件を満たした場合にリセット指示受付としても良い。
【0084】
また、第二グラフ表示部32内の期間を特定する横軸の始点は、車両の始動時や、リセット指示の受付時などのイベント発生時としたが、たとえば、係るイベント発生時からの期間(たとえば移動距離や経過時間)の経過が閾値を超えた場合に、横軸の始点を徐々に遅らせるようにずらしても良い。たとえば、実施形態のように所定距離(たとえば10m)ごとに情報を取得し、グラフを更新する場合、閾値(たとえば500kmや、100km等)を超えた場合には始点を所定距離ずつずらすようにする。つまり、実施形態のように期間を特定する項目を距離とした場合、閾値を超えた場合には、横軸のレンジは、閾値の距離を維持する。
【0085】
[項目の変形例]
上述した実施形態並びに変形例では、各グラフ表示部へ表示するグラフの項目として、高度としたが、本発明はこれに限ることはなく、たとえば、車両の走行に応じて変わり得る情報とするとよい。係る車両の走行に応じて変わり得る情報としては、たとえば気圧、ラジエータ内等の水温、燃費、残燃料、速度、加速度等、各種のものがある。気圧は、走行に伴い車両が存在する高さ位置が変位することに応じて変化する情報であり、車両の高さの変位を特定する情報となる。また、燃費、速度、加速度等は、直近の状況等の短い期間の変化を第一グラフ表示部31にグラフ表示することで、表示されるグラフの変化が大きい待受機能として適した表示をしつつ、たとえば車両の始動時から現在までの推移を第二グラフ表示部32に表示することで、走行に伴う全体の変化の傾向を報知できる。
【0086】
また、前記第一グラフ表示部に表示するグラフと前記第二グラフ表示部に表示するグラフの第二の軸は、運転者の操作に応じて変化する項目とするとよい。運転者の操作に応じて変化する項目としては、たとえば、燃費、エコ情報、安全運転の程度などがある。安全運転の程度は、たとえば、加速度が設定したしきい値を超えた回数が多いほど安全運転の程度が低くなり、大きい加速度が検出されるほど安全運転の程度が低くなるようにする。燃費は、走行距離と消費燃料から求める。消費燃料は、たとえばOBD情報として取得する残燃料の変化から求める。エコ情報は、たとえば燃費が良いほどエコ運転と判定し、速度の変化が少ないほどエコ運転と判定し、その判定結果を数値化してグラフに表示する。
【0087】
運転者の操作に応じて変化する項目とすることで、たとえば第一グラフ表示部31に直近のグラフを表示することで、ユーザは、自己の運転の操作がどうだったかを客観的に判断し、操作が適切であったか否かを反省することができる。
【0088】
また、 上述した実施形態並びに変形例では、第一グラフ表示部31と第二グラフ表示部32は、上下に並べた配置レイアウトをとったが、左右に並べるなどの他、各種のレイアウトとってもよい。また、上述した実施形態並びに変形例では、期間を特定する項目を横軸としたが、期間を特定する項目を縦軸に設定しても良い。
さらに、上述した実施形態並びに各変形例は、適宜組み合わせて実施すると良い。
【0089】
上述した実施形態並びに変形例では、本発明の車載用電子機器としてダッシュボードその他の車内の所定位置にブラケット3を用いて貼り付け等により固定設置するタイプのレーダー探知機を例に挙げて説明したが、ルームミラーに取り付けるミラータイプのレーダー探知機にも適用できる。更に、本発明はレーダー探知機に限ることはなく車載用の各種の電子機器の機能として実施することができる。たとえば、ナビゲーション装置等の機能として組み込んでもよい。
【0090】
さらに上述した例では、装置内に各種の情報を記憶したデータベース19を備え、制御部18は係るデータベース19にアクセスして必要な情報を読み出し、各種の処理をしたが、本発明はこれに限ることはない。すなわち、データベース19に登録する情報の一部または全部を外部のサーバに登録しておく。そして、レーダー探知機その他の車載用電子機器は、係るサーバと通信する機能を備え、制御部18は、適宜サーバにアクセスし、必要な情報を取得して処理を実行するものとしてもよい。係るサーバに制御部の一部または全部を実装し、サーバ側で処理の一部を実行させ車載機側ではその結果を取得し、所定の表示をするものでもよい。さらに、表示装置は、別の車載機器や車両に実装された装置のものを利用するものでもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 レーダー探知機
2 ケース
5 表示部
6 タッチパネル
7 音量調整ボタン
8 作業ボタン
10 メモリカードリーダ
11 メモリカード
13 GPS受信器
14 マイクロ波受信器
15 無線受信器
16 スピーカ
18 制御部
19 データベース
図1
図2
図3
図4
図5