特許第6765634号(P6765634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765634
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】バーナ装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/08 20060101AFI20200928BHJP
   F23D 14/62 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   F23D14/08 H
   F23D14/08 E
   F23D14/62
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-187179(P2016-187179)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-54151(P2018-54151A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】宮川 晴徳
(72)【発明者】
【氏名】馬越 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−090071(JP,A)
【文献】 特開平08−296821(JP,A)
【文献】 実開昭57−030538(JP,U)
【文献】 実開昭59−120334(JP,U)
【文献】 実開昭63−017922(JP,U)
【文献】 実開昭58−042524(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00 − 14/18
F23D 14/26 − 14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを内部に収容し、かつ前記バーナのガス流入口に対応する貫通孔が設けられた前板部を有するバーナケースと、
前記前板部の正面に配され、かつ前記ガス流入口に対応する通気調整用開口部を有するダンパと、
このダンパの正面に配され、かつ前記通気調整用開口部および前記ガス流入口に向けて燃料ガスを噴出する燃料ガス噴出用ノズルを有する燃料ガス供給ヘッドと、
この燃料ガス供給ヘッドと前記ダンパとの相互間に形成された第1の空隙部を含み、かつ別途設けられたファンから吐出される燃焼用空気を前記第1の空隙部に導く燃焼用空気供給路と、
を備えている、バーナ装置であって、
前記バーナのガス流入口形成部は、前記前板部の前記貫通孔を貫通してその前方に突出した状態に設定され、
前記ダンパは、前記ガス流入口形成部の先端部に当接し、かつ前記ダンパと前記前板部との相互間には、第2の空隙部が形成されており、
前記燃料ガス噴出用ノズルの正面を避けた位置に設けられ、かつ前記第2の空隙部と前記燃焼用空気供給路とを相互に連通させる連通部を、さらに備えていることを特徴とする、バーナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナ装置であって、
前記連通部として、前記第1および第2の空隙部どうしを相互に連通させるように前記ダンパに貫通して設けられた連通用孔部を備えている、バーナ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバーナ装置であって、
前記燃焼用空気供給路の一部の領域は、前記第2の空隙部の下側に位置しており、
前記連通部として、前記第2の空隙部の下部開口部を備え、かつこの下部開口部は、前記燃焼用空気供給路の前記一部の領域に対面して開口している、バーナ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のバーナ装置であって、
前記ダンパには、前記前板部に向けて突出し、かつ先端部が前記前板部に当接する屈曲片状または段押し状の複数の突出部が一体的に形成されている、バーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガス給湯装置の構成要素として用いるのに好適なバーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナ装置の具体例としては、特許文献1〜3などに記載されたものがあるが、これらに近似した構成の従来のバーナ装置の一例を、図9に示す。
図9に示すバーナ装置Beにおいては、バーナケース2内にバーナ1が収容されており、バーナ1の燃料ガスおよび燃焼用空気を内部に導入させるためのガス流入口10a,10bは、バーナケース2の前板部20に設けられた貫通孔22a,22bに連通するように設定されている。前板部20の正面には、燃料ガス供給ヘッド5が組み付けられており、この燃料ガス供給ヘッド5の燃料ガス噴出用ノズル50からバーナ1のガス流入口10a,10bに向けて燃料ガスが噴出されるように構成されている。
【0003】
一方、バーナケース2の前板部20には、貫通孔22a,22bの実質的な開口サイズを調整するためのダンパ4が重ねられて取り付けられており、このダンパ4と燃料ガス供給ヘッド5との相互間の空隙部6eには、ファン3から燃焼用空気が供給されるように構成されている。このため、バーナ1のガス流入口10a,10bには、燃料ガスに加えて、燃焼用空気も適切に供給され、バーナ1の炎孔面11において、前記燃料ガスを燃焼させることが可能である。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、前記したようなバーナ装置Beにおいては、燃料ガス供給ヘッド5から噴出された燃料ガス(未燃ガス)の一部が、前板部20とガス流入口形成部12との間に形成された隙間を介してバーナケース2内に流入することを適切に防止する必要がある。未燃ガスが前記隙間を介してバーナケース2内に流入したのでは、バーナ装置Beの燃焼駆動時におけるHC値が増加するなどの不具合を生じる。
ここで、空隙部6eは、ファン3からの燃焼用空気の吐出圧が作用する領域であるため、この空隙部6eよりもバーナケース2の内部の方が相対的に低圧となる。したがって、燃料ガスは、空隙部6eからバーナケース2内に流入し易い。そこで、従来においては、そのようなことを防止するための手段として、前板部20とガス流入口形成部12の先端部との相互間に、シール用のパッキン98を介装させている。
ところが、バーナ装置Beの部品総数を少なくして生産性を高め、製造コストを廉価にする観点からすると、前記したようなシール用のパッキン98は、不使用とすることが望ましい。したがって、このような点において未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−242080号公報
【特許文献2】特開2000−249314号公報
【特許文献3】特開2003−176904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、部品点数の削減を適
切に図り、製造コストを低減することが可能なバーナ装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるバーナ装置は、バーナを内部に収容し、かつ前記バーナのガス流入口に対応する貫通孔が設けられた前板部を有するバーナケースと、前記前板部の正面に配され、かつ前記ガス流入口に対応する通気調整用開口部を有するダンパと、このダンパの正面に配され、かつ前記通気調整用開口部および前記ガス流入口に向けて燃料ガスを噴出する燃料ガス噴出用ノズルを有する燃料ガス供給ヘッドと、この燃料ガス供給ヘッドと前記ダンパとの相互間に形成された第1の空隙部を含み、かつ別途設けられたファンから吐出される燃焼用空気を前記第1の空隙部に導く燃焼用空気供給路と、を備えている、バーナ装置であって、前記バーナのガス流入口形成部は、前記前板部の前記貫通孔を貫通してその前方に突出した状態に設定され、前記ダンパは、前記ガス流入口形成部の先端部に当接し、かつ前記ダンパと前記前板部との相互間には、第2の空隙部が形成されており、前記燃料ガス噴出用ノズルの正面を避けた位置に設けられ、かつ前記第2の空隙部と前記燃焼用空気供給路とを相互に連通させる連通部を、さらに備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、燃料ガス供給ヘッドとダンパとの相互間の第1の空隙部は、バーナケースの内部と直接的に隣接した位置関係にはなく、これら第1の空隙部とバーナケースの内部との相互間には、第2の空隙部が介在して設けられている。ここで、第2の空隙部は、第1の空隙部と連通部を介して連通しているため、第1の空隙部と略同圧となる。このため、バーナのガス流入口形成部の先端部とダンパとの当接箇所に、仮に隙間が存在したとしても、前記第1の空隙部から第2の空隙部に燃料ガスが流入することは抑制される。前記連通部は、燃料ガス噴出用ノズルの正面を避けた配置であるため、この連通部を介して燃料ガスが第2の空隙部に積極的に進入することもない。したがって、第2の空隙部からバーナケースの内部への燃料ガスの流入も抑制されることとなる。
このようなことから、本発明によれば、燃料ガス供給ヘッドから噴出された燃料ガスの一部が、バーナケースの内部に不当に流入することを防止することを目的として、シール用パッキンを用いる必要を無くすことが可能となる。その結果、従来技術と比較して、部品点数の削減を図り、バーナ装置の生産性の向上、ならびに製造コストの低減化を適切に図ることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記連通部として、前記第1および第2の空隙部どうしを相互に連通させるように前記ダンパに貫通して設けられた連通用孔部を備えている。
【0012】
前記した連通用孔部は、追加部材などを用いることなく、ダンパに容易に設けることが可能であり、製造コストの低減化を促進する上で一層好ましい。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記燃焼用空気供給路の一部の領域は、前記第2の空隙部の下側に位置しており、前記連通部として、前記第2の空隙部の下部開口部を備え、かつこの下部開口部は、前記燃焼用空気供給路の前記一部の領域に対面して開口している。
【0014】
前記した第2の空隙部の下部開口部は、前記した連通用孔部と同様に、追加部材などを用いることなく容易に形成することが可能であり、製造コストの低減化を促進する上で好ましい。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記ダンパには、前記前板部に向けて突出し、かつ先端部が前記前板部に当接する屈曲片状または段押し状の複数の突出部が一体的に形成されている。
【0016】
このような構成によれば、前記した複数の突出部を利用してダンパと前板部との相対的な位置関係を安定させ、第2の空隙部を適切に形成することが可能である。また、前記複数の突出部は、ダンパに一体的に形成されているため、部品点数の増加も回避することができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るバーナ装置の一例を示す分解斜視図である。
図2図1に示すバーナ装置に用いられているバーナの一例を示す斜視図である。
図3図1に示すバーナ装置の組み立て状態の要部断面図である。
図4図3の要部分解断面図である。
図5】(a)は、図1に示すバーナ装置の組み立て状態であって、図3とは異なる箇所の要部断面図であり、(b)は、(a)のV-V断面図である。
図6図1に示すバーナ装置のバーナケースの要部とダンパとを示す分解正面図である。
図7】(a)は、図6のVIIa−VIIa断面図であり、(b)は、図6のVIIb−VIIb断面図であり、(c)は、図6のVIIc−VIIc断面図である。
図8図1に示すバーナケースにダンパを取り付けた状態の要部断面図である。
図9】従来技術の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、以下の説明においては、理解の容易ため、図9に示した従来技術と同一または類似の要素には、前記従来技術と同一の符号を付すこととする。
【0020】
図1に示すバーナ装置Bは、たとえばガス給湯装置の構成要素として用いられ、湯水加熱を行なうためのものであり、図2に示す複数のバーナ1を内部に収容するバーナケース2、このバーナケース2の下部に取り付けられたファン3、バーナケース2とは別体のダンパ4、および燃料ガス供給ヘッド5を具備している。バーナケース2の上部には、熱交換器HEが載設されており、このバーナ装置Bを利用して発生させた燃焼ガスを熱交換器HEに作用させることにより、熱交換器HEに供給されてくる湯水を加熱可能である。
【0021】
図2において、バーナ1は、燃料ガスおよび燃焼用空気を内部に導くためのガス流入口10a,10bを一端部に有し、かつ燃料ガスが燃焼する炎孔面11が上面部に形成された偏平状である。本実施形態のバーナ1は、低NOX化を図ることが可能ないわゆる濃淡バーナであり、口径の大きい側のガス流入口10aは、淡ガス用であり、口径の小さい側のガス流入口10bは、濃ガス用である。バーナケース2内には、このようなバーナ1がバーナケース2の横幅方向に並べられて複数収容されている。ただし、図1によく表われているように、バーナケース2の前板部20には、バーナ1のガス流入口10a,10bが形成されているガス流入口形成部12に対応した形状およびサイズの貫通孔22がバーナケース2の横幅方向に並んで複数設けられている。
【0022】
図3に示すように、各バーナ1のガス流入口形成部12は、貫通孔22を貫通して前板部20よりも前方(図面左側)に突出している。ガス流入口形成部12と貫通孔22とは
、貫通孔22の内面部とガス流入口形成部12の外面部との間にできる限り隙間を生じないように嵌合している。図2に示すように、ガス流入口形成部12は、ガス流入口10a,10bを囲む筒状壁部に加え、上下高さ方向に延びる複数の起立片部12bも具備している。図3および図4に示した前板部20の貫通孔22は、そのような複数の起立片部12bをも貫通させ得る形状とされている。なお、図3図5において、符号90,91は、点火プラグおよびフレームロッドをそれぞれ示す。
【0023】
ダンパ4は、本来的には、バーナ1のガス流入口10a,10bへの燃焼用空気の供給量を調整するための部材であり、金属板にプレス加工を施すことにより形成されている。図6および図7に示すように、このダンパ4は、起立状の主板部40、その上端部に繋がった上板部41、およびこの上板部41の先端部に連設された屈曲板部42を有している。主板部40には、複数のガス流入口10a,10bに対応する複数の通気調整用開口部43a,43bが設けられている他、本発明でいう「連通部」の一例としての複数の連通用孔部44、主板部40の左右横幅方向の両端部またはその近傍に設けられた屈曲片状の突出部45、および段押し状の突出部46(図7(c)を参照)を備えている。
【0024】
図3および図5に示すように、ダンパ4は、主板部40がバーナ1のガス流入口形成部12の先端部12aに当接するようにバーナケース2に取り付けられている。この取り付け手段としては、図8に示すように、ダンパ4の突出部45,46を前板部20の前面に当接させ、かつ突出部46をビスなどのネジ体95を用いて前板部20に締結する手段が採用されている。このような手段によれば、ダンパ4の主板部40をガス流入口形成部12の先端部12aに安定的に当接させつつ、後述する第2の空隙部7を適切に形成することが可能である。図示説明は省略するが、ダンパ4の取り付け手段として、ダンパ4の上板部41をバーナケース2の水平板部27にネジ止めする手段を併用することも可能である。ダンパ4の前記したような取り付け構造によれば、図6に示した複数のガス流入口10a,10bの実質的な開口サイズ(ダンパ4によって塞がれていない部分の開口サイズであり、通気調整用開口部43a,43bのサイズである)を所望のサイズに正確に設定することができる。このことにより、ガス流入口10a,10bへの燃焼用空気の導入量を、バーナ1の燃焼駆動に最適な量、またはこれに近い量にすることが可能である。また、ガス流入口形成部12の先端部12aとダンパ4との当接部分は、後述する第1の空隙部6aから第2の空隙部7に燃料ガスが流入することを防止する簡易なシール部として機能する。
【0025】
図3において、燃料ガス供給ヘッド5は、不図示のガス管を介して供給されてくる燃料ガスをバーナ1のガス流入口10a,10bに向けて複数の燃料ガス噴出用ノズル50から噴出させるものである。この燃料ガス供給ヘッド5は、バーナケース2の下部の起立板部28、左右一対のフランジ部29(図1を参照)、およびダンパ4の屈曲板部42にシール用パッキン97を介して当接させるようにしてバーナケース2に取り付けられている。
【0026】
燃料ガス供給ヘッド5とダンパ4との相互間の第1の空隙部6aには、燃料ガス噴出用ノズル50が位置するが、バーナケース2内の底部には、ファン3から吐出される燃焼用空気を第1の空隙部6aに導く燃焼用空気供給路6が形成されている。第1の空隙部6aは、燃焼用空気供給路6の一部に該当する。
【0027】
図5によく表われているように、ダンパ4と前板部20との相互間の第2の空隙部7は、複数の連通用孔部44を介して第1の空隙部6aと連通している。このため、第1および第2の空隙部6a,7のそれぞれの圧力P1,P2は、略同圧となる。複数の連通用孔部44は、燃料ガス噴出用ノズル50の正面を避けた配置に設けられており、燃料ガス噴出用ノズル50から連通用孔部44に向けて燃料ガスが噴出されないようにされている。
好ましくは、各連通用孔部44は、図6に示すように、ガス流入口10a,10bどうしの中間領域、またはその近傍に設けられている。これは、第2の空隙部7のうち、ガス流入口形成部12の近辺の圧力を、圧力P1により近い圧力とする上で、好ましい。
【0028】
燃焼用空気供給路6は、その途中部分が第2の空隙部7の下側を通過するように形成されており、第2の空隙部7は、燃焼用空気供給路6の前記途中部分に対面して開口する下部開口部7aを有している。この下部開口部7aは、本発明でいう「連通部」の他の例に相当し、好ましくは、バーナケース2の左右横幅方向に一連に延び、その開口面積が大きくされている。下部開口部7aが形成されていることにより、第2の空隙部7の圧力P2が、前記した圧力P1と略同圧になることがより確実化される(燃焼用空気供給路6の途中部分の圧力は、近似的に第1の空隙部6aの圧力P1と同圧である)。
【0029】
次に、前記したバーナ装置Bの作用について説明する。
【0030】
まず、図5を参照して説明したように、第2の空隙部7の圧力P2は、連通用孔部44および下部開口部7aの存在により、第1の空隙部6aの圧力P1と略同圧となる。このため、ダンパ4とガス流入口形成部12の先端部12aとの間がシール用パッキンを用いてシールされておらず、これらの間に多少の隙間が仮に発生していたとしても、第1の空隙部6aに存在する燃料ガス(ガス流入口10a,10bに直接進入していない燃料ガス)が、前記の隙間を積極的に通過して第2の空隙部7に流入することはない、または殆どない。第2の空隙部7を燃料ガスの未進入領域とすることが可能である。したがって、ガス流入口形成部12と前板部20の貫通孔22との嵌合箇所が、シール用パッキンを用いてシールされておらず、これらの嵌合箇所に仮に隙間が発生していたとしても、前記燃料ガスがこの隙間を通過してバーナケース2内に流入することは適切に防止される。
【0031】
このようなことから、本実施形態においては、バーナケース2内に未燃の燃料ガスが不当に流入することに起因して、燃料燃焼時のHC値が高くなるといった不具合を生じないようにすることが可能である。バーナケース2内への燃料ガスの不当な流入を防止するための手段として、シール用パッキンを用いる必要はないため、部品点数の削減、ならびにシール用パッキンの組み付け作業の省略化などにより、バーナ装置Bの製造コストを低減することが可能である。
【0032】
本実施形態においては、第2の空隙部7の圧力P2を、第1の空隙部6a(燃焼用空気供給路6)の圧力P1と略同圧にする手段として、連通用孔部44と下部開口部7aとの双方が設けられているため、圧力P1,P2が略同圧になることが確実化され、その信頼性を高くすることが可能である。なお、下部開口部7aは、燃焼用空気供給路6のうち、第1の空隙部6aよりも空気供給方向上流域に連通するため、この上流域の圧力P1’が、第1の空隙部6aの圧力P1よりも高い状態にあれば、第2の空隙部7の圧力P2(≒P1’)を、P2>P1の関係とすることも可能である。このような関係にあれば、第1の空隙部6aから第2の空隙部7への燃料ガスの進入防止効果をより優れたものとすることが可能である。
【0033】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るバーナ装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0034】
上述の実施形態においては、本発明でいう連通部として、連通用孔部44および下部開口部7aの双方が設けられているが、これらのうち一方のみが設けられた構成とすることも可能である。さらには、これら連通用孔部44や下部開口部7aとは異なる経路で、燃焼用空気供給路6と第2の空隙部7とを連通させるようにしてもよい。なお、連通用孔部44を設ける場合、この連通用孔部44は、通気調整用開口部43a,43bとは分離し
た状態で設けることに代えて、それらに繋がった状態で設けることも可能である。
【0035】
バーナは、必ずしも濃淡バーナである必要はなく、これとは異なる種類のバーナを用いることが可能である。一般的に、バーナケース内には複数のバーナが収容されるが、本発明は、バーナケース内にバーナを1つだけ収容させた場合にも成立するため、そのような構成を採用することも可能である。
本発明に係るバーナ装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば温風装置用、あるいは焼却装置用など、その具体的な用途も問わない。
【符号の説明】
【0036】
B バーナ装置
1 バーナ
10a,10b ガス流入口
12 ガス流入口形成部
12a 先端部(ガス流入口形成部の)
2 バーナケース
20 前板部
22 貫通孔
3 ファン
4 ダンパ
43a,43b 通気調整用開口部
44 連通用孔部(連通部)
45,46 突出部
5 燃料ガス供給ヘッド
50 燃料ガス噴出用ノズル
6 燃焼用空気供給路
6a 第1の空隙部
7 第2の空隙部
7a 下部開口部(連通部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9