【実施例】
【0055】
以下、試験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は試験例に限定されない。
【0056】
実施例で用いる金属複合アニオン化合物(BiOI粒子、BiSBr粒子及びBiSI粒子)は以下の手順により調製した。
<BiOI粒子>
3mmolのBi(NO
3)・5H
2Oを2.5mLのCH
3COOHに溶解した。
【0057】
また、3mmolのNaIと6mmolのCH
3COONaとを37.5mLのH
2Oに溶解した。次いで、両溶液を混合して20分撹拌した。
【0058】
次いで、遠心分離による溶媒除去及び水洗を3回繰り返した。
【0059】
これにより、単一相のBiOI粒子を調製した。XRDにより、このBiOI粒子の平均粒子径は0.2μmであり、粒子の結晶子径は56nmであった。
<BiSI粒子>
上記BiOI粒子に対して60mL/分のH
2S気流下で150℃、1時間かけて硫化を行った。これにより、単一相のBiSI粒子を調製した。このBiSI粒子の平均粒子径は0.2μmであり、粒子の結晶子径は70nmであった。
<BiSBr粒子>
3mmolのBi(NO
3)・5H
2Oを2.5mLのCH
3COOHに溶解した。
【0060】
また、3mmolのNaBrと6mmolのCH
3COONaとを37.5mLのH
2Oに溶解した。次いで、両溶液を混合して20分撹拌した。
【0061】
次いで、遠心分離による溶媒除去及び水洗を3回繰り返した。これにより、BiOBr粒子を調製した。
【0062】
上記BiOBr粒子に対して60mL/分のH
2S気流下で150℃、1時間かけて硫化を行った。これにより単一相のBiSBr粒子を調製した。このBiSBr粒子の平均粒子径は0.2μmであり、粒子の結晶子径は78nmであった。
【0063】
試験例1(BiSI/FTO電極の作製とその特性評価)
(BiSI/FTO電極(ホットプレス(HP)処理前)の作製)
旭硝子製FTO基板(25mm×25mm×2mm)を準備した。
【0064】
次いで10mg/mlのBiSI粒子の2−プロパノール溶液を超音波処理により懸濁させた懸濁液を準備した。
【0065】
次いで、上記懸濁液200mlをFTO基板に滴下して乾燥させた。この滴下及び乾燥処理は3回繰り返した。
【0066】
次いで、FTO基板の露出部分を確保するために乾燥綿棒で粒子を除去した(9mm×25mm)。また、粒子を除去した部分を薄塩酸付綿棒でふき取った。
【0067】
次いで、50℃のホットプレートで20分加熱することにより、BiSI/FTO電極(HP処理前)を作製した。
【0068】
BiSI/FTO電極(HP処理前)の上面SEM像を
図1に示す。また、同電極の断面SEM像を
図2に示す。
(BiSI/FTO電極(HP処理後)の作製)
次いで、BiSI/FTO電極(HP処理前)上に石英板(25mm×25mm×2mm)を設置し、ホットプレス装置(SINTO製)にて温度50℃、雰囲気圧力大気圧、押圧圧力5MPa、押圧時間20分の条件で押圧成形した。これにより、BiSI/FTO電極(HP処理後)を作製した。
【0069】
BiSI/FTO電極(HP処理後)の上面SEM像を
図3に示す。また、同電極の断面SEM像を
図4に示す。
(BiSI/FTO電極(HP処理前後)の結晶構造)
HP処理前及び処理後の電極のXRD測定の結果、BiSIの結晶子径は、粒子のものと同じ70nmであった。また、この(110)面/(002)面の回折ピーク比は、HP処理により、1.9から2.4に増加し、a−b軸配向になったことが示された。
(BiSI/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性)
次いで、BiSI/FTO電極(HP処理前後)について、下記に示す条件下で光電気化学特性を調べた。
・電解液:0.1M NaI/アセトニトリル
・走査速度:50mV/s
・電極面積:4cm
2
・光源:ソーラーシミュレータ(100mW/cm
2)1秒毎に間欠照射
光電気化学特性の測定結果を
図5に示す。
(BiSI/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性の光照射方向依存性)
光電気化学特性を調べるに際して、
図15に模式的に示される通り、光が照射された側の近傍で多く光が吸収されるため、BiSI側から光照射する場合(Front Side)は基板側から光照射する場合(Back Side)と比べて、生成する多くの光励起電子の基板までの拡散距離が増加する。つまり、Front Sideから光照射する場合には光電気化学特性が低下する。
【0070】
そのため、HP処理後における上記低下率を比較することにより、光励起電子の移動特性について、HP処理による効果を評価することができる。つまり、HP処理前後で上記低下率が減少していれば、材料中でより効率的に電子の移動が行われていることを示しており、HP処理によって光励起電子の移動特性が向上していると評価することができる。
【0071】
光電気化学特性の光照射方向依存性の測定結果を
図16及び下記表1に示す。
(考 察)
図1と
図3との結果から明らかな通り、HP処理前ではBiSI粒子はその粒子形状を保ったままFTO電極上に堆積されているが、HP処理後は堆積物(被押圧原料)の一部が平坦化し、平坦化部分ではSEM像で粒子の粒界が見えない程度にBiSI粒子どうしが結着していた。なお、EDX測定により平坦化部分は平坦化する前と比べて組成変化がないことを確認した。また、
図2と
図4との結果から明らかな通り、HP処理前はBiSI粒子はFTO基板上に粗く堆積(堆積層の膜厚は5〜10μm)しているが、HP処理後は堆積層が平坦化して膜厚が3〜4μmに減少していた。
図4からは、押圧成形物の押圧方向の断面における、幅10μmの範囲の厚さの差が1μm以内であることが分かった。また、XRDの結果により、HP処理によって、a−b軸配向になり、BiSI中のBi−Sユニットが基板へ接合しやすくなるように配向したことが示された。
【0072】
図5のHP処理前後の電極に基板側から光照射した際の光電気化学特性の測定結果から明らかな通り、BiSI/FTO電極(HP処理後)は、BiSI/FTO電極(HP処理前)と比較して、光アノード電流が増大(例えば、0.3V vs.Ag/AgClにおいて約3〜4倍)することが明確に示されており、HP処理により粒子間の結着を促進しながら平坦化でき、粒子間の粒界抵抗を効果的に減少させることができたことが分かった。
【0073】
また、
図16の光電気化学特性の光照射方向依存性の測定結果によれば、下記表1に示されるようにHP処理前後において光電流密度比率が約2倍に増大しており、HP処理により光励起電子の移動特性が向上したことが分かった。
【0074】
【表1】
【0075】
試験例2(BiSBr/FTO電極の作製とその特性評価)
試験例1において、BiSI粒子をBiSBr粒子に換えた以外は試験例1と同様にしてBiSBr/FTO電極(HP処理前)及びBiSBr/FTO電極(HP処理後)を作製した。
【0076】
HP処理前及び処理後の電極のXRD測定の結果、BiSBrの結晶子径は、粒子のものと同じ78nmであった。また、この(110)面/(121)面の回折ピーク比は、HP処理により、0.9から1.0に増加し、a−b軸配向になったことが示された。
【0077】
BiSBr/FTO電極(HP処理前)の上面SEM像を
図6に示す。また、同電極の断面SEM像を
図7に示す。
【0078】
BiSBr/FTO電極(HP処理後)の上面SEM像を
図8に示す。また、同電極の断面SEM像を
図9に示す。
【0079】
また、試験例1と同様に、BiSBr/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性を調べた。その測定結果を
図10に示す。
【0080】
また、試験例1と同様に、BiSBr/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性の光照射方向依存性を調べた。その測定結果を
図17及び下記表2に示す。
(考 察)
図6と
図8との結果から明らかな通り、HP処理前ではBiSBr粒子はその粒子形状を保ったままFTO電極上に堆積されているが、HP処理後は堆積物(被押圧原料)の一部が平坦化し、平坦化部分ではSEM像で粒子の粒界が見えない程度にBiSBr粒子どうしが結着していた。なお、EDX測定により平坦化部分は平坦化する前と比べて組成変化がないことを確認した。また、
図7と
図9との結果から明らかな通り、HP処理前はBiSBr粒子はFTO基板上に粗く堆積(堆積層の膜厚は4〜6μm)しているが、HP処理後は堆積層が平坦化して膜厚が2〜3μmに減少していた。
図9からは、押圧成形物の押圧方向の断面における、幅10μmの範囲の厚さの差が1μm以内であることが分かった。また、XRDの結果により、HP処理によって、a−b軸配向になり、BiSBr中のBi−Sユニットが基板へ接合しやすくなるように配向したことが示された。
【0081】
図10のHP処理前後の電極に基板側から光照射した際の光電気化学特性の測定結果から明らかな通り、BiSBr/FTO電極(HP処理後)は、BiSBr/FTO電極(HP処理前)と比較して、光アノード電流が増大(例えば、0.3V vs.Ag/AgClにおいて約2倍)することが明確に示されており、HP処理により粒子間の結着を促進しながら平坦化でき、粒子間の粒界抵抗を効果的に減少させることができたことが分かった。
【0082】
また、
図17の光電気化学特性の光照射方向依存性の測定結果によれば、下記表2に示されるようにHP処理前後において光電流密度比率が約2倍に増大しており、HP処理により光励起電子の移動特性が向上したことが分かった。
【0083】
【表2】
【0084】
試験例3(BiOI/FTO電極の作製とその特性評価)
試験例1において、BiSI粒子をBiOI粒子に換えた以外は試験例1と同様にしてBiOI/FTO電極(HP処理前)及びBiOI/FTO電極(HP処理後)を作製した。
【0085】
HP処理前及び処理後の電極のXRD測定の結果、BiOIの結晶子径は、粒子のものと同じ56nmであった。また、この(001)面/(200)面の回折ピーク比は、HP処理により、11から21に増加し、c軸配向になったことが示された。
【0086】
BiOI/FTO電極(HP処理前)の上面SEM像を
図11に示す。また、同電極の断面SEM像を
図12に示す。
【0087】
BiOI/FTO電極(HP処理後)の上面SEM像を
図13に示す。また、同電極の断面SEM像を
図14に示す。
【0088】
また、試験例1と同様に、BiOI/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性を調べた(図なし)。
【0089】
また、試験例1と同様に、BiOI/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性の光照射方向依存性を調べた。その測定結果を
図18及び下記表3に示す。
(考 察)
図11と
図13との結果から明らかな通り、HP処理前ではBiOI粒子はその粒子形状を保ったままFTO電極上に堆積されているが、HP処理後は堆積物(被押圧原料)の一部が平坦化し、平坦化部分ではSEM像で粒子の粒界が見えない程度にBiOI粒子どうしが結着していた。なお、EDX測定により平坦化部分は平坦化する前と比べて組成変化がないことを確認した。また、
図12と
図14との結果から明らかな通り、HP処理前はBiOI粒子はFTO基板上に粗く堆積(堆積層の膜厚は4〜7μm)しているが、HP処理後は堆積層が平坦化して膜厚が4〜5μmに減少していた。
図14からは、押圧成形物の押圧方向の断面における、幅10μmの範囲の厚さの差が1μm以内であることが分かった。また、XRDの結果により、HP処理によって、c軸配向になり、BiSBr中のBi−Oユニットが基板に水平に広がりやすくなるように配向したことが示された。
【0090】
BiOI/FTO電極(HP処理前後)の光電気化学特性を調べたが、HP処理前後で優位差が認められなかった(図なし)。しかしながら、
図18の光電気化学特性の光照射方向依存性の測定結果によれば、下記表3に示されるようにHP処理前後において光電流密度比率が約2倍に増大しており、HP処理により光励起電子の移動特性が向上したことが分かった。
【0091】
【表3】
【0092】
(試験例1〜3の比較と考察)
試験例における粒界抵抗の減少は、光電気化学特性の向上、及び/又は光励起電子の移動特性の向上などから評価できるため、試験例1〜3は全て粒界抵抗の減少の効果を示している。その中でも、試験例1,2のBiSI、BiSBrでは、光電気化学特性の向上、及び光励起電子の移動特性の向上が観測されたが、試験例3のBiOIでは、光励起電子の移動特性の向上のみが顕著に観測された。
【0093】
試験例における光励起電子の移動特性の評価は、電極中を構成する薄膜の、基板近傍から対岸の材料表面までのマクロスケールの光励起電子の移動特性を主に反映すると考える。そのため、試験例1〜3では、SEMなどからも観測されるように、粒子のパッキングなどが向上されたために、マクロスケールの光励起電子の移動特性が向上し、これが観測されたと考えられる。
【0094】
一方、光電気化学特性の評価は、基板側から光照射を行っているために、多くの光子がそれぞれの金属複合アニオン化合物の基板近傍で吸収され、基板近傍の比較的ミクロスケールの物性が反映されることが考えられる。そして、この比較的ミクロスケールの特性は、材料の緻密な結着や、材料の配向などに大きく影響を受ける可能性がある。試験例1,2では、HP処理により材料の緻密な結着がみられ、ミクロスケールでの電子移動がより有利になったことがわかり、これにより光電気化学特性の向上がみられたことが理由の一つとして考えられる。また、材料の配向の観点からは、試験例1,2では、HP処理によりa−b軸配向になり、Bi−第16族元素アニオンユニットが基板に接合を形成しやすくなるように配向し、一方、試験例3では、c軸配向になり、Bi−第16族元素アニオンが基板に水平になりやすく配向した。Bi−第16族元素アニオンユニットからハロゲンアニオンへの電子の移動よりも、Bi−第16族元素アニオンユニット内での電子移動の方が有利である可能性があり、このため、HP処理を施すことでa−b軸配向となった試験例1,2では、光電気化学特性の向上が観測されたと考えられる。参考のため、
図19にBiOX(但し、
図19のXは第17族元素アニオンを示す)の結晶構造を示す。また、この際、c軸配向となった試験例3では、電子及び/正孔の閉じ込めに有利となり、発光材料に好適に利用できることが示唆される。
【0095】
試験例4(BiSI押圧成形物を光吸収層とした太陽電池セルの作製とその特性評価)
旭硝子製FTO基板(25mm×25mm×2mm)を準備した。
【0096】
次いで10mg/mlのBiSI粒子の2−プロパノール溶液を超音波処理により懸濁させた懸濁液を準備した。
【0097】
次いで、上記懸濁液200mlをFTO基板に滴下して乾燥させた。この滴下及び乾燥処理は3回繰り返した。これによりBiSI堆積層を形成した。
【0098】
次いで、50℃のホットプレートで20分加熱した後、BiSI堆積層に石英板(25mm×25mm×2mm)を設置し、ホットプレス装置(SINTO製)にて温度120℃、雰囲気圧力大気圧、押圧圧力5MPa、押圧時間20分の条件で押圧成形した。これにより、FTO基板上にBiSI押圧成形物からなる光吸収層(厚さ3〜4μm)を形成した。
【0099】
次いで、光吸収層上に正孔輸送層(厚さ0.2μm)として有機高分子(Spiro−OMeTAD)をスピンコートにより形成し、次いで正孔輸送層上に蒸着によりAu電極(厚さ0.1μm)を形成することにより太陽電池セルを作製した。
【0100】
作製した太陽電池セルについて、下記に示す条件下で太陽光変換効率を調べた。
・照射光強度:ソーラーシミュレータ(100mW/cm
2)
・電極面積:0.12cm
2
太陽光変換効率は、約1×10
−4%(J=0.13mAcm
−2,Voc=0.002V,FF=0.25)であった。
【0101】
よって、本実施形態における押圧成形物は太陽電池材料、特に太陽電池セルの光吸収層として機能し、太陽光変換材料として適用できることが分かる。
【0102】
試験例5(HP処理によるBiSI押圧成形物の金属板への転写)
(試験例5−1.銅板への転写)
試験例1の手順によりBiSI/FTO電極(HP処理前)を作製した。
【0103】
次いで、BiSI/FTO電極(HP処理前)上に銅板(25mm×25mm×0.3mm)を挟みこんだ後で石英板(25mm×25mm×2mm)を設置し、ホットプレス装置(SINTO製)にて温度50℃、雰囲気圧力大気圧、押圧圧力5MPa、押圧時間20分の条件で押圧成形(HP処理)した。
【0104】
HP処理後に銅板を剥離した。
図20の左図は銅板を剥離した後のFTO基板表面の状態を示す写真であり、右図は剥離後の銅板裏面の状態を示す写真である。右図から銅板裏面に緻密なBiSI押圧成形物が転写されていることが分かる。
【0105】
転写されたBiSI押圧成形物の上面SEM観察像を
図21に示す。
図21からは転写されたBiSI押圧成形物の表面はほぼ全面でFTO基板の形態通りであることが分かる(つまり、BiSI押圧成形物はFTO基板上にはほぼ残っていない)。このように、銅板裏面に緻密なBiSI押圧成形物が転写された理由としては、銅板とBiSI押圧成形物との間にCuI、CuSx、BiCuxSy等の少なくとも一種の中間層が形成されたことが推測される。
(試験例5−2.モリブデン板への転写)
試験例5−1において銅板をモリブデン板に変えた以外は試験例5−1と同様にして押圧成形後(HP処理後)にモリブデン板を剥離した。
図22の左図はモリブデン板を剥離した後のFTO基板表面の状態を示す写真であり、右図は剥離後のモリブデン板裏面の状態を示す写真である。右図からモリブデン板裏面に緻密なBiSI押圧成形物が転写されていることが分かる。
【0106】
転写されたBiSI押圧成形物の上面SEM観察像を
図23に示す。
図23からは転写されたBiSI押圧成形物の表面は大部分でFTO基板の形態通りであることが分かる(つまり、BiSI押圧成形物はFTO基板上にはほぼ残っていない)。
(試験例5−3.CuOx−Cu板への転写)
試験例5−1において銅板をCuOx−Cu板に変えた以外は試験例5−1と同様にして押圧成形後(HP処理後)にCuOx−Cu板を剥離した。なお、CuOx−Cu板は試験例5−1で使用した銅板を大気中300℃×30分で加熱することにより銅板表面に酸化被膜(CuOx)を形成したものである。
【0107】
転写されたBiSI押圧成形物の上面SEM観察像を
図24に示す。
図24からは転写されたBiSI押圧成形物の表面はほぼ全面でFTO基板の形態通りであることが分かる(つまり、BiSI押圧成形物はFTO基板上にはほぼ残っていない)。
【0108】
なお、XRD解析によりCuOxはCu
2Oであることが分かった。また、HP処理前後においてCu
2O−Cu板の酸化被膜(Cu
2O)は維持されていることが分かった。このように、銅板裏面に緻密なBiSI押圧成形物が転写された理由としては、CuOx−Cu板とBiSI押圧成形物との間にCuI、CuSx、BiCuxSy等の少なくとも一種の中間層が形成されたことが推測される。