(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯蔵室に供給風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する送風機と、前記送風口を少なくとも部分的に塞ぐ遮蔽装置と、前記冷凍サイクル、前記送風機および前記遮蔽装置の動作を制御する制御装置と、を具備し、
前記遮蔽装置は、前記送風機を前記冷却室の外側から覆う送風機カバーと、前記送風機カバーの開閉動作を制御する駆動軸と、閉鎖状態の前記送風機カバーの端部が面的に当接する当接面と、誘導ダクトと、を有し、
前記駆動軸は、前記送風機カバーのネジ穴を貫通すると共に、ステッピングモータで回転する円柱状の部材であり、前記送風機カバーと前記駆動軸との間にはネジ機構が形成され、
前記制御装置は、
初期動作として、可動範囲の全域に渡り前記送風機カバーを移動させる場合と同様に、前記ステッピングモータの駆動力で前記駆動軸を回転させることで、前記ネジ機構を介して、前記送風機カバーの側辺が面的に前記当接面に当接し、更に、前記送風機カバーの上端部分と、前記誘導ダクトの下端部分とはオーバーラップし、
前記送風機カバーの前記側辺が面的に前記当接面に当接した後、残りのパルスが前記ステッピングモータに印加されている間は、前記送風機カバーは前記当接面に面的に当接し続けることを特徴とする冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫1を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫1を前方から見た場合の左右を示している。
【0021】
図1は、本形態の冷蔵庫1の概略構造を示す正面外観図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、本体としての断熱箱体2を備え、この断熱箱体2の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室を形成している。この貯蔵室としては、最上段が冷蔵室3、その下段左側が製氷室4で右側が上段冷凍室5、更にその下段が下段冷凍室6、そして最下段が野菜室7である。尚、製氷室4、上段冷凍室5および下段冷凍室6は、何れも冷凍温度域の貯蔵室であり、以下の説明ではこれらを冷凍室4Aと総称する場合もある。
【0022】
断熱箱体2の前面は開口しており、前記各貯蔵室に対応した前記開口には、各々断熱扉8〜12が開閉自在に設けられている。断熱扉8a、8bは、冷蔵室3の前面を分割して塞ぐもので、断熱扉8aの左上下部及び断熱扉8bの右上下部が断熱箱体2に回転自在に支持されている。また、断熱扉9〜12は、各々収納容器と一体的に組み合わされ、冷蔵庫1の前方に引出自在に、断熱箱体2に支持されている。
【0023】
図2は、冷蔵庫1の概略構造を示す側方断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1の本体である断熱箱体2は、前面が開口する鋼板製の外箱2aと、この外箱2a内に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱2bとから構成されている。外箱2aと内箱2bとの間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材2cが充填発泡されている。尚、各断熱扉8〜12も、断熱箱体2と同様の断熱構造を採用している。
【0024】
冷蔵室3と、その下段に位置する冷凍室4Aとの間は、断熱仕切壁28によって仕切られている。冷凍室4Aの内部の製氷室4と上段冷凍室5との間は、ここでは図示しない仕切壁によって仕切られている。また、製氷室4及び上段冷凍室5と、その下段に設けられた下段冷凍室6との間は、冷却された空気である冷気が流通自在に連通している。そして、冷凍室4Aと野菜室7との間は、断熱仕切壁29によって区分けされている。
【0025】
冷蔵室3の背面には、合成樹脂製の仕切体45で区画され、冷蔵室3へと冷気を供給する供給風路としての冷蔵室供給風路14が形成されている。冷蔵室供給風路14には、冷蔵室3に冷気を流す吹出口17が形成されている。また、冷蔵室供給風路14には、冷蔵室ダンパ25が設けられている。冷蔵室ダンパ25は、モータ等によって駆動される開閉自在なダンパであり、冷蔵室3に供給する冷気の流量を制御して、冷蔵室3の内部の温度を適切に維持するためのものである。
【0026】
冷凍室4Aの奥側には、冷却器32で冷却された冷気を冷凍室4Aへと流す冷凍室供給風路15が形成されている。冷凍室供給風路15の更に奥側には、冷却室13が形成されており、その内部には、庫内を循環する空気を冷却するための蒸発器である冷却器32が配置されている。
【0027】
冷却器32は、圧縮機31、図示しない放熱器、図示しない膨張手段であるキャピラリーチューブに冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。
【0028】
図3は、冷蔵庫1の冷却室13付近の構造を示す側方断面図である。冷却室13は、断熱箱体2の内部で、冷凍室供給風路15の奥側に設けられている。冷却室13と冷凍室4Aとの間は、合成樹脂製の仕切体46によって仕切られている。
【0029】
冷却室13の前方に形成される冷凍室供給風路15は、仕切体46とその前方に組み付けられる合成樹脂製の前面カバー47との間に形成された空間であり、冷却器32で冷却された冷気を流す風路となる。前面カバー47には、冷凍室4Aに冷気を吹き出す開口である吹出口18が形成されている。
【0030】
下段冷凍室6の下部背面には、冷凍室4Aから冷却室13へと空気を戻す戻り口23が形成されている。そして、冷却室13の下方には、この戻り口23につながり、各貯蔵室からの帰還冷気を冷却室13の内部へと吸入する、戻り口13bが形成されている。
【0031】
また、冷却器32の下方には、冷却器32に付着した霜を融かして除去する除霜手段として、除霜ヒータ33が設けられている。除霜ヒータ33は、電気抵抗加熱式のヒータである。
【0032】
仕切体46の上部には、各貯蔵室につながる開口である送風口13aが形成されている。送風口13aは、冷却器32で冷却された冷気を流す開口であり、冷却室13と、冷蔵室供給風路14および冷凍室供給風路15とを連通させる。送風口13aには、冷凍室4A等に向けて冷気を送り出す送風機35が配設されている。
【0033】
送風機35は、回転式のファン37と、略円筒形状の開口である風洞36aが形成されたケーシング36と、を備えた軸流送風機である。ケーシング36は、冷却室13の送風口13aに取り付けられている。
【0034】
また、冷却室13の送風口13aの外側には、送風口13aを塞ぐための送風機カバー51を備えた遮蔽装置50が設けられている。遮蔽装置50は、その支持基体53が、例えば、送風機35のケーシング36に密着するよう取り付けられる。また、送風機カバー51の上端開口と冷蔵室供給風路14とを連通させる誘導ダクト59が配置されている。送風機カバー51を開閉する為の進退動作は、ここでは点線で示す駆動軸61で制御されており、かかる事項は後述する。
【0035】
送風機カバー51は、冷却室13に対向する面が凹形状に成形されている。これにより、送風機カバー51は、ケーシング36よりも吐出側に突き出したファン37と接触することなく、風洞36aの外側で支持基体53に当接し、送風口13aを塞ぐことができる。また、遮蔽装置50は、前方から遮蔽装置カバー49で覆われている。遮蔽装置50と遮蔽装置カバー49との間には、送風機カバー51の前後方向への移動を許容する間隙が形成されている。この間隙は、冷凍室供給風路15と連通している。
【0036】
図4を参照して、上記した冷蔵庫1に採用される遮蔽装置50の構成を説明する。
図4は遮蔽装置50を構成する各部材を前後方向に分解して示す斜視図である。
【0037】
遮蔽装置50は、上記したファン37を覆う送風機カバー51と、送風機カバー51を冷蔵庫1本体に取り付ける支持基体53と、送風機カバー51と冷蔵庫本体側の風路とを接続する誘導ダクト59と、を有している。遮蔽装置50の主たる機能は、上記したファン37を適宜、非閉鎖状態または閉鎖状態にすることで、ファン37が回転することにより送風した冷風を、所望の貯蔵室に供給することにある。また、遮蔽装置50を閉鎖状態とすることで、冷却器32の除霜行程にて発生する暖気が、冷凍室4A等に流入することを抑止する。ここで、暖気とは、除霜ヒータ33で加熱された空気のことである。
【0038】
送風機カバー51は、合成樹脂材を概略的に蓋形状に射出成形したものであり、正面視で略四角形状を呈する主面部69と、主面部69の周辺縁部から後方側に伸びる側面部70を有している。主面部69の中央付近を円形に貫通してネジ穴63が形成されており、ネジ穴63の内側側面を螺旋状に窪ませてネジ溝が形成されている。送風機カバー51上側の側面部70を開口させて開口部64が形成されている。開口部64は、送風機カバー51が送風機35を塞いでいる状況下にて、上記した誘導ダクト59の開口部65と連結される。送風機カバー51の左下隅部付近および右上隅部付近に、後述するガイドピン54が挿通するための支持孔62が形成されている。
【0039】
送風機カバー51の役割は、上記したように、冷却室13の送風口13aに配置されたファン37を実質的に塞ぐことにある。また、送風機カバー51の上部には開口部64が形成されているので、送風機カバー51がファン37を塞いでいる状況下でも、ファン37で送風された冷気を、開口部64を経由して冷蔵室3側に供給することが可能である。
【0040】
駆動軸61は、略円柱形状を呈しており、その側面の一部を螺旋状に連続して突起させた図示しないネジ山が設けられている。ここで、駆動軸61の側面に形成されるネジ山と、送風機カバー51のネジ穴63の側面に形成されるネジ溝とは、使用状況下では螺合される。駆動軸61の内部には図示しないステッピングモータが内蔵されており、そのモータの駆動力で駆動軸61は所定角度回転する。駆動軸61が例えば前方から見て時計回りに回転すると、送風機カバー51は支持基体53から離れ、送風機カバー51と支持基体53との間に間隙が形成されて非閉鎖状態となる。よって、図示しないファン37で送風された冷気は、この間隙を経由して冷凍室4Aに供給される。一方、駆動軸61が例えば前方から見て反時計回りに回転すると、送風機カバー51は支持基体53側に向かって移動し、送風機カバー51の側面部70は支持基体53の枠部71に密着し、上記した間隙は形成されず閉鎖状態となる。よって、図示しないファン37で送風された冷気を、冷凍室4Aには供給せず、上記した開口部64および誘導ダクト59を経由して、冷蔵室3に供給することが可能である。
【0041】
支持基体53は、平面視で四角形の枠形状を呈する枠部71と、中央部分に配設された駆動軸61を支持する軸支持部72と、軸支持部72と枠部71の角部とを連結する支持フレーム60と、枠部71の左下角部および右上角部に立設されたガイドピン54と、を主要に有している。枠部71は支持基体53の全体を機械的に支持する枠状の板部材であり、その四隅付近には複数の孔部73が設けられている。孔部73は、支持基体53を厚み方向に貫通している。孔部73を貫通するネジ等の固定手段を介して、枠部71を含む遮蔽装置50は、仕切体46に固定される。
【0042】
ガイドピン54は、送風機カバー51の支持孔62に対応した箇所に立設されている円柱状の部材である。各々のガイドピン54が支持孔62に挿入されて摺動することで、送風機カバー51の前後方向に沿う動きが安定的にガイドされる。
【0043】
誘導ダクト59は、
図3に示す送風口13aを送風機カバー51が塞ぐ閉鎖状態である際に、送風機カバー51の開口部64と冷蔵室供給風路14とを連通する機能を有する。誘導ダクト59は射出成形された合成樹脂から成り、前方に面する主面部40と、左右両方向に面する側面部41とから構成されている。誘導ダクト59の下端に形成された開口部65は、閉鎖状態の送風機カバー51の開口部64と一致する箇所に配置されている。下方に向かって開口する誘導ダクト59の開口部65と、上方に向かって開口する送風機カバー51の開口部64とは、略同一の形状および大きさとなっている。ここでは図示しない誘導ダクト59の後方側の開口は、
図3に示す入口部14aと連続している。
【0044】
上記のように、本形態では、送風機カバー51のネジ穴63の内側面に形成されたネジ溝と、駆動軸61の外側面に形成されたネジ山とで、送風機カバー51を前後方向に進退させるネジ機構を形成している。ここで、このネジ機構は、送風機カバー51の内側面に形成されたネジ山と、駆動軸61の外側面に形成されたネジ溝から構成することも可能である。
【0045】
図5を参照して、上記した遮蔽装置50の構成を更に詳述する。
図5(A)は非閉鎖状態の遮蔽装置50を示す斜視図であり、
図5(B)は
図5(A)のα−α断面での断面図であり、
図5(C)は閉鎖状態の遮蔽装置50を示す斜視図であり、
図5(D)は
図5(C)のα−α断面での断面図である。
【0046】
図5(A)および
図5(B)を参照して、上記した非閉鎖状態では、駆動軸61の駆動力により送風機カバー51は前方に移動している。よって、送風機カバー51の側面部70の後端は、支持基体53から離間しており、送風機カバー51と支持基体53との間には間隙が形成されている。この状態では、送風機カバー51の上部に形成された開口部64は、誘導ダクト59の下部に形成される開口部65とは連通していない。この状態で、
図3に示すファン37を回転させて送風すると、送風された冷気は、上記した間隙を経由して冷凍室4Aに供給される。この図に示す非閉鎖状態では、駆動軸61は、送風機カバー51の内部、即ち送風機カバー51よりも後方側である冷却室13側に配置される。また、この状態では、ガイドピン54は、送風機カバー51よりも、後方側である冷却室13側に配置されている。
【0047】
送風機カバー51を非閉鎖状態から閉鎖状態に移行する際には、駆動軸61を例えば前方から見て反時計回りに回転させる。これにより、上記したネジ機構により送風機カバー51は後方に移動し、送風機カバー51の側面部70の後方端部が、当接面である支持基体53の前面に当接する。支持基体53のガイドピン54は、送風機カバー51の支持孔62に挿通されており、送風機カバー51が開閉する際には、ガイドピン54は支持孔62の内部を摺動する。また、ガイドピン54および支持孔62は、送風機カバー51の対向する角部付近に配置されている。よって、送風機カバー51の開閉動作は、ガイドピン54が支持孔62の内部で摺動することで安定して行われる。
【0048】
図5(C)および
図5(D)を参照して、駆動軸61を回転させることにより、送風機カバー51を支持基体53側に向かって移動させると、送風機カバー51の側面部70の後端は、支持基体53の前面に面的に当接する。従って、送風機カバー51と支持基体53との間隙は実質的に無くなり、両者の間から冷気や暖気が漏れることが無くなる。また、上記したように、送風機カバー51の上端部分と、誘導ダクト59の下端部分とはオーバーラップしているので、送風機カバー51と誘導ダクト59との間から冷気が外部に漏れることも抑制されている。従って、
図3を参照して、送風口13aは送風機カバー51で塞がれるので、ファン37で送風される冷気は、冷凍室4Aに供給されない。ファン37で送風される冷気は、送風機カバー51および誘導ダクト59を経由して、冷蔵室3に送風されるようになる。
【0049】
この図に示す閉鎖状態では、駆動軸61は送風機カバー51の外部、即ち送風機カバー51よりも前方である冷凍室4A側に配置される。また、この閉鎖状態では、ガイドピン54は、送風機カバー51よりも、前方側である冷却室13側に配置されている。このようにすることで、冷却室13が除霜運転をするなどして高温状態になっても、駆動軸61およびガイドピン54は、低温で安定している冷凍室4A側に配置されている。よって、駆動軸61およびガイドピン54に水分が付着して凍結してしまうことが抑止されている。
【0050】
図6を参照して、上記した構成を有する冷蔵庫1の接続構成を説明する。制御装置80は、例えばCPUから構成され、以下に説明する各種センサからの入力を受けて所定の演算処理を行い、その処理結果に基づいて圧縮機31等の各種構成機器の動作を制御する。また、制御装置80は、冷却運転を行うための各種定数やプログラムを記憶する半導体記憶装置を備えても良い。
【0051】
制御装置80の入力側端子には、温度センサ81およびタイマ82が接続されている。温度センサ81は、上記した、冷蔵室3、冷凍室4A、野菜室7および冷却室13の何れかまたは複数に取り付けられており、これらの室内温度を計測する。タイマ82は、冷蔵室3、冷凍室4A、野菜室7および冷却室13を冷却する冷却時間や除霜ヒータ33の運転時間等を計測する。ここで、タイマ82は、制御装置80が備える機能の一部として実現される。
【0052】
制御装置80の出力側端子には、圧縮機31、送風機35、遮蔽装置50、冷蔵室ダンパ25および除霜ヒータ33が接続されている。圧縮機31等の各種機器は、制御装置80から出力される出力信号に基づいて動作する。
【0053】
次に、
図7から
図9に記載したフローチャートに基づいて、上記した
図1から
図6に記載した各図も参照しつつ、冷蔵庫1の動作を説明する。
図7は冷蔵庫1の冷蔵運転を全体的に示すフローチャートであり、
図8は冷蔵庫1の初期動作を示すフローチャートであり、
図9は圧縮機31を停止した後における冷蔵庫1の運転動作を示すフローチャートである。
【0054】
図7を参照して、冷蔵庫1を商用電源に接続することで電源を投入すると、ステップS10で制御装置80は、遮蔽装置初期動作を実行する。このステップS10は、
図4に示した遮蔽装置50の送風機カバー51の初期位置を特定するものであり、その詳細は
図8を参照して詳述する。また、制御装置80は、遮蔽装置初期動作を、停電などから復帰した際にも実行する。
【0055】
初期動作が終了したら、ステップS20で、制御装置80は、冷凍サイクルの圧縮機31が運転を停止しているか否かを判断する。圧縮機31が停止していたら、即ちステップS20がYESの場合は、制御装置80は、圧縮機31が停止している場合の制御をステップS30で実行する。ステップS30の詳細は後述する。一方、圧縮機31が動作している場合は、即ちステップS20でNOの場合は、制御装置80は、各貯蔵室を所定の温度帯域に冷却するための通常冷却制御を実行する。具体的には、制御装置80は、ステップS60で遮蔽装置50の開閉動作を適宜行い、ステップS61で冷蔵室ダンパ25等を適宜開閉し、
図2に示す冷蔵室3、冷凍室4Aおよび野菜室7を所定の温度帯域に保つ。
【0056】
遮蔽装置50および冷蔵室ダンパ25等を適宜開閉させながら各貯蔵室を冷却する通常冷却制御を以下に説明する。
【0057】
先ず、冷蔵室3のみを冷却する運転について説明する。
図2に示すように、制御装置80の指示に基づいて、圧縮機31を運転し、冷蔵室ダンパ25を開き、送風機35を運転する。この場合、
図5(C)に示すように、遮蔽装置50は閉鎖状態とされるので、送風機カバー51と誘導ダクト59との間から冷気が漏出することが抑制され、冷蔵室供給風路14を経由して冷蔵室3のみに冷気を供給し、冷蔵室3を効果的に冷却することができる。
【0058】
図3を参照して、冷却器32によって冷却された空気は、冷却室13の送風口13a、送風機35、送風機カバー51の内部空間、誘導ダクト59、冷蔵室ダンパ25、冷蔵室供給風路14及び吹出口17を順次通過し、冷蔵室3へと供給される。これにより、冷蔵室3の内部に貯蔵された食品等を適切な温度で冷却保存することができる。
【0059】
そして、冷蔵室3の内部に供給された循環冷気は、ここでは図示しない戻り口および帰還風路を経由し、冷却室13の内部へと戻る。そこで、再び冷却器32によって冷却される。
【0060】
次に、冷凍室4Aのみを冷却する運転について説明する。
図3に示すように、制御装置80の指示に基づいて、圧縮機31を運転し、冷蔵室ダンパ25を閉じ、送風機35を運転し、送風機カバー51を開く。このとき、送風機カバー51は、
図5(A)に示す如く支持基体53から離れた非閉鎖状態となる。これにより、冷却器32によって冷却された空気は、冷却室13の送風口13aに配設された送風機35によって送り出され、送風機カバー51と支持基体53との間隙を経由し、冷凍室供給風路15及び吹出口18を順次通過し、冷凍室4Aのみへと供給される。
【0061】
その結果、冷凍室4Aの内部に貯蔵された食品等を適切な温度で冷却保存することができる。そして、冷凍室4A内部の空気は、下段冷凍室6の奥に形成された戻り口23を通り、冷却室13の戻り口13bを介して、冷却室13の内部へと流れる。
【0062】
次に、
図2を参照して、野菜室7への冷気の供給について説明する。送風機35によって送り出された空気の一部は、図示しない野菜室ダンパを開くことにより、図示しない野菜室供給風路へと流れて野菜室7へと吐出される。これにより、野菜室7内を冷却することができる。そして、野菜室7を循環した冷気は、戻り口24から野菜室帰還風路21及び戻り口13bを順次経て、冷却室13へと戻される。
【0063】
次に、
図3を参照して、冷蔵室3および冷凍室4Aの両方を冷却する動作を説明する。この場合は、送風機カバー51と支持基体53とが離間する長さを、冷凍室4Aのみを冷却する場合よりも短くする。例えば、送風機カバー51と支持基体53とが離間する長さを、冷凍室4Aのみを冷却する場合と比較して、半分程度とする。また、冷蔵室ダンパ25は開状態とする。この状態で、冷却器32で冷却された冷気をファン37で送風すると、送風された冷気の一部は送風機カバー51と支持基体53との間隙から冷凍室4Aに供給され、冷気の他の一部は、誘導ダクト59、冷蔵室ダンパ25、冷蔵室供給風路14を経由して冷蔵室3に供給される。従って、冷蔵室3および冷凍室4Aの両方を同時に冷却することができる。
【0064】
上記した通常冷却制御では、
図5(A)等に示した駆動軸61は、冷却器32により冷却された冷気が供給される雰囲気下に存在するため、駆動軸61の周囲に水分が付着し難い環境となっている。よって、制御装置80が通常の冷却制御を実行している間は、駆動軸61と送風機カバー51との間に形成されるネジ機構が凍結してしまう恐れは小さい。
【0065】
また、制御装置80は、冷蔵庫1の運転状況に応じて、ステップS40で除霜運転を行う。具体的には、制御装置80は、冷凍サイクルの圧縮機31を運転することで各貯蔵庫を冷却する時間が一定以上となれば、冷却器32の着霜が一定以上に進行したと判断し、ステップS40で除霜運転を行う。更に、制御装置80は、ステップS40の除霜運転が終了した後に、通常の冷却制御の事前運転としての復帰運転をステップS50で実行する。これらの制御については後述する。
【0066】
図8を参照して、冷蔵庫1を商用電源に接続した直後等に、送風機カバー51の位置を特定するために、制御装置80が実行する遮蔽装置50の初期動作を説明する。
【0067】
先ず、ステップS11では、冷蔵庫1の電源を投入する。ここで、電源の投入は、冷蔵庫1の電源プラグを商用電源に接続することであっても良いし、停電から電源が復帰することであっても良い。更には、冷蔵庫1の運転状況下にて、送風機カバー51を開いて冷気を冷凍室4Aに送風していると制御装置80が判断しているにも関わらず、実際には冷凍室4Aの庫内温度が低下しない異常運転が発生した際に、送風機カバー51の位置を初期化するために、以下の動作を行っても良い。
【0068】
次に、ステップS12では、送風機カバー51の位置を特定するために、駆動軸61を回転させることで、送風機カバー51を移動させる。具体的には、送風機カバー51の開閉制御を実行するためには、送風機カバー51の現在の位置を特定する必要があるが、本形態の冷蔵庫1は送風機カバー51の位置を計測するための位置センサを備えていない。そこで本形態では、冷蔵庫1の電源投入時等に、可動範囲の端部まで送風機カバー51を移動させることで、送風機カバー51の初期位置を特定している。
【0069】
この際、
図5(B)に示したように、送風機カバー51を前端まで移動させることも考えられる。しかしながら、駆動軸61の前端に於いては、送風機カバー51は駆動軸61およびガイドピン54で点支持されているのみである。従って、駆動軸61の前端に到達した後に、更にステッピングモータで駆動軸61を回転させようとすると、ステッピングモータから発生する振動に起因して、大きな騒音や振動が発生する恐れがある。
【0070】
そこで本形態では、初期動作として、送風機カバー51が可動範囲の後端まで移動するように、ステッピングモータで駆動軸61を回転させている。この際、駆動軸61を駆動するステッピングモータに印加されるパルスの数は、送風機カバー51を可動範囲の前端から後端まで移動させるのに必要な量とされている。例えば、送風機カバー51を可動範囲の全域である前端から後端まで移動させるのに必要とされるステッピングモータのパルスのステップ数が100であり、送風機カバー51が可動範囲の中央部付近に位置しているとする。この場合、制御装置80は、送風機カバー51がどの位置に存在していても、可動範囲の後端に至るまで送風機カバー51を移動させるために、ステッピングモータに、ステップ数が100となるまでパルスを印加する。従って、ステッピングモータで駆動軸61を回転させることで、送風機カバー51を後方に移動させると、ステッピングモータが約50ステップ分回転することで、ステップS13にて、送風機カバー51の側面部70の後側辺が支持基体53の前側主面に面的に当接する。
【0071】
送風機カバー51が支持基体53に当接した後でも、本形態では、駆動軸61に内蔵されたステッピングモータには、残りの約50ステップ分のパルスが印加される。即ち、送風機カバー51が支持基体53に当接した後、ステップS14がNOの間は、パルスが印加され続けるステッピングモータから振動が発生する。本形態では、送風機カバー51の側面部70の後側辺が支持基体53の前側主面に面的に当接していることで、送風機カバー51は比較的強固に固定されているので、ステッピングモータから振動が発生しても、大きな騒音や振動は発生しない。ステッピングモータのステップ数が上記した100ステップに達すると、即ちステップS14がYESとなると、制御装置80は、ステッピングモータの回転動作を終了させる。本ステップにより、送風機カバー51の位置は可動範囲の後端であることを制御装置80は認識できるので、その後、通常の冷却運転を行う上記したステップS20に移行する。
【0072】
上記のように、ステッピングモータで駆動軸61を回転させ、支持基体53に面的に接触するまで送風機カバー51を後退させることで、センサを使用せずとも送風機カバー51の初期位置を特定できる。更には、送風機カバー51の側面部70の後方部分が、支持基体53の前方主面に面的に安定して接触するので、送風機カバー51が接触した後に、ステッピングモータにパルスを印加し続けたとしても、大きな振動や騒音が発生することが抑止されている。
【0073】
図9を参照して、次に、上記した、圧縮機停止制御S30、除霜運転S40および復帰運転S50を詳述する。
【0074】
ステップS31では、制御装置80が、遮蔽装置50が開いている非閉鎖状態であるか否かを確認する。遮蔽装置50が、
図5(A)に示すような非閉鎖状態である場合は、即ちステップS31でYESの場合は、制御装置80は、ステップS32で、駆動軸61を回転することで送風機カバー51を後方に移動させ、遮蔽装置50を閉鎖状態とする。制御装置80は、送風機カバー51の側面部70の後端が、支持基体53の前面に接触するまで、駆動軸61を回転させる。一方、制御装置80は、遮蔽装置50が閉鎖状態の場合は、即ちステップS31でNOの場合は、その状態を維持し、ステップS33に移行する。
【0075】
上記のように駆動軸61を駆動することで、遮蔽装置50は、
図5(C)に示すような閉鎖状態となる。この閉鎖状態では、遮蔽装置50の駆動軸61は、送風機カバー51の内部空間には配置されず、送風機カバー51の外側である前方に突出している。即ち、この状態では、
図3の断面図を参照すると、上記した駆動軸61は、送風機カバー51よりも冷凍室4A側に配置されている。
【0076】
ここで、圧縮機31を停止している状況下では、冷却器32による熱交換は行われないので、冷却室13の内部は、室内温度が上昇し、大きな温度変化が生じる恐れがある。特に、除霜ヒータ33で冷却器32を除霜する除霜運転時には、冷却室13が高温となるため、この懸念が顕著となる。仮に、遮蔽装置50を開状態とした場合、遮蔽装置50の駆動軸61は、送風機カバー51の内側に配置される。送風機カバー51の内部空間は、送風口13aを経由して、冷却室13と連通している。従って、高温または温度変化が大きい冷却室13からの空気に、駆動軸61が接触することで、駆動軸61の周囲に水分が付着する。その後、この水分が凍結し、駆動軸61と送風機カバー51との間に形成されるネジ機構を動作させることが困難になることが考えられる。
【0077】
本形態では、冷却室13の室内温度が上昇することが予測される圧縮機31の停止時には、制御装置80は、遮蔽装置50を閉鎖状態とし、駆動軸61を送風機カバー51の外側である冷凍室4A側に待避させている。従って、上記したように、圧縮機31を停止した場合で、除霜行程が行われている間でも、庫内温度が低温で安定している冷凍室4A側に駆動軸61を配置している。従って、駆動軸61は高温の雰囲気に晒されることなく、大きな温度変化も作用しないので、駆動軸61の周囲に水分が付着することが抑止される。よって、送風機カバー51を駆動するネジ機構が凍結して動かなくなってしまうことを防止できる。
【0078】
更に、ステップS32で遮蔽装置50を閉鎖状態とすることで、
図5(C)に示すガイドピン54は、送風機カバー51から外側に突出する。これにより、ガイドピン54が、低温状態が安定して維持される冷凍室4A側に配置され、ガイドピン54の表面に水分が付着することが抑制される。この結果、この水分が凍結することでガイドピン54と支持孔62とが摺動し難くなってしまうことを防止することができる。
【0079】
ステップS33では、制御装置80は、冷蔵室ダンパ25が開いているか否かを確認し、冷蔵室ダンパ25が開いている場合は、即ちステップS33でYESの場合は、ステップS34で冷蔵室ダンパ25を閉じる。一方、制御装置80は、冷蔵室ダンパ25が閉じている場合は、即ちステップS33でNOの場合は、その状態を維持してステップS41に移行する。
【0080】
冷蔵室ダンパ25は冷蔵室供給風路14の途中に介装されており、圧縮機31が停止している間に、冷蔵室ダンパ25を開状態としてしまうと、冷蔵室供給風路14を経由して空気が不必要に循環してしまう。このようになると、冷蔵室3の冷気に含まれる水分が、冷蔵室3から帰還風路を経由して、冷却室13まで到達してしまい、その水分で駆動軸61が凍結してしまう恐れがある。更には、冷蔵室供給風路14を経由して空気が自然対流することで、各貯蔵庫の庫内温度が上昇してしまう恐れがある。本形態では、制御装置80が冷蔵室ダンパ25を閉状態としている。これにより、冷却室13に冷蔵室3から水分が不必要に供給されず、駆動軸61の周囲に水分が付着することも抑止できる。また、冷蔵室供給風路14を経由した不要な冷気の対流も抑制し、庫内温度が上昇してしまうことを抑止できる。
【0081】
ここで、冷却室13から野菜室7に冷気を送風する図示しない野菜室供給風路に野菜室ダンパが介装される場合は、制御装置80は、上記と同様に野菜室ダンパも同時に閉じる。具体的には、制御装置80は、ステップS33で野菜室ダンパが開状態であるか否かを判断し、野菜室ダンパが開状態であればステップS34で野菜室ダンパを閉じる。このようにすることで、野菜等の被貯蔵物から発せられた水分を含む冷気が、野菜室帰還風路21を経由して、冷却室13に進入することを防止できる。よって、駆動軸61の表面に水分が付着することを抑止する効果を顕著にできる。
【0082】
冷却運転を継続すると、冷却器32の空気側伝熱面に霜が付着し、伝熱を妨げ、空気流路を塞ぐことになる。そこで、冷却器32に付着した霜を取るため、ステップS41では、除霜行程を行う。
【0083】
具体的には、冷凍サイクルの圧縮機31および送風機35が停止している状態で、制御装置80の指示に基づいて、除霜ヒータ33に通電する。そのようにすると、除霜ヒータ33が発熱することで冷却室13を暖め、冷却器32に付着した霜を融かす。本ステップでは、上記したように遮蔽装置50は閉鎖状態となっており、駆動軸61は、比較的に低温状態が維持される冷凍室4A側に待避している。従って、除霜ヒータ33で加熱された暖気が駆動軸61に接触しないので、駆動軸61に大きな温度変化が作用することがなく、駆動軸61の表面に水分が付着することを抑止できる。更に、
図3を参照して、除霜行程では、遮蔽装置50は閉鎖状態となっており、更に、冷蔵室ダンパ25は閉じられているので、除霜ヒータ33によって暖められた冷却室13内の暖気が冷蔵室供給風路14及び冷凍室供給風路15へと流れ出ることは防止されている。
【0084】
次に、冷却器32に付着した霜の潜熱を利用して冷蔵室3の冷却を行う除霜冷却運転について説明する。除霜冷却運転を行う場合、制御装置80の指示に基づいて、圧縮機31の運転を停止し、
図5(C)に示すように、遮蔽装置50を閉鎖状態にする。そして、制御装置80の指示に基づいて、冷蔵室ダンパ25を開き、送風機35を運転する。これにより、冷蔵室3と冷却室13との間で空気を循環させ、この循環空気によって冷却器32に付着した霜を融かすことができる。即ち、除霜ヒータ33による加熱を行うことなく除霜を行うことができる。同時に、圧縮機31を運転することなく霜の融解熱を利用して冷蔵室3の冷却を行うことができる。更に、遮蔽装置50は閉鎖状態となっており、駆動軸61は送風機カバー51の外側に配置されているので、冷却室13から冷蔵室3に送風される冷気が含まれる水分が駆動軸61に付着することが抑止されている。
【0085】
ステップS42では、冷却器32の霜取り動作が終了したか否かを判断する。こで、霜取りの完了は、冷却室13が所定温度に達したことを示す温度センサ81の出力に基づいて、または、除霜運転を行った時間が所定時間に達したことを示すタイマ82の出力に基づいて、制御装置80が判断する。霜取り動作が終了した場合は、即ちステップS42でYESの場合は、霜取り動作からの復帰運転を行うステップS51に移行する。一方、霜取り動作は、制御装置80がその終了を検知するまで、即ちステップS42でNOの間は、連続して行う。
【0086】
ステップS51では、
図3を参照して、上記した除霜運転が終了した後に、通常の冷却運転を再開するべく、制御装置80が冷凍サイクルの圧縮機31を運転する。このようにすることで、除霜行程で加熱された冷却室13の内部空気を、冷凍サイクルの冷却器32で冷却する。このステップでは、冷却室13の内部空気が充分に冷却されていないので、高温状態の内部空気が冷却室13から貯蔵室に漏れ出すことを抑制するために、制御装置80は、遮蔽装置50および冷蔵室ダンパ25を閉鎖状態とし、送風機35を回転させない。本ステップでも、駆動軸61は送風機カバー51の外側に配置されているので、充分に冷却されていない冷却室13内の空気に駆動軸61が触れることがなく、駆動軸61の周囲に水分が付着することが抑止されている。
【0087】
ステップS52では、冷却室13が充分に冷却されたか否かを確認する。この確認は、冷却室13の温度が一定温度まで降下したことを示す温度センサ81の出力、または、冷却器32で冷却室13を冷却する時間が一定時間に達したことを示すタイマ82の出力に基づいて、制御装置80が行う。
【0088】
制御装置80は、冷却室13が充分に冷却するまで、即ちステップS52がNOの場合は、冷却器32で冷却室13を運転する冷却運転を実行する。一方、制御装置80は、冷却室13が充分に冷却されたら、即ちステップS52でYESの場合は、通常の冷却運転を行うために、ステップS20に移行する。この後、
図7に示したように、圧縮機31が運転している場合は、各貯蔵室を冷却する為に、ステップS60およびステップS61で、制御装置80は、遮蔽装置50および冷蔵室ダンパ25の開閉動作を適宜行う。
【0089】
以上が、本形態にかかる冷蔵庫1の動作に関する説明である。
【0090】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。