(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765723
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】落とし棒用受け金具
(51)【国際特許分類】
E05B 15/02 20060101AFI20200928BHJP
【FI】
E05B15/02 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-49431(P2018-49431)
(22)【出願日】2018年3月16日
(65)【公開番号】特開2019-157588(P2019-157588A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152572
【氏名又は名称】株式会社日中製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康司
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭49−122632(JP,U)
【文献】
実開平01−154774(JP,U)
【文献】
実開昭58−044354(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に落とし棒挿入穴(H)を有する円筒体(3)と、この円筒体(3)に摺動自在に挿入されていて上部が落とし棒挿入穴(H)内を塞ぎ可能な蓋部材(4)と、前記円筒体(3)の下部に設けられた底部材(5)と、円筒体(3)内で蓋部材(4)を落とし棒挿入穴(H)塞ぎ方向に弾発する弾性体(6)とを備えており、前記円筒体(3)には落とし棒挿入穴(H)の下方側に規制部(3a)が形成され、前記蓋部材(4)は、落とし棒挿入穴(H)を塞ぐ塞ぎ部(4a)と、この塞ぎ部(4a)の下方で円筒体(3)の内周面に摺接可能な胴部(4b)と、前記塞ぎ部(4a)と胴部(4b)との間で円筒体(3)の規制部(3a)に当接して抜け止めされる抜け止め部(4c)とを有する落とし棒用受け金具であって、
前記蓋部材(4)は胴部(4b)の外周面に円筒体(3)の内周面と摺接可能なリブ(8)を周方向間隔をおいて複数本形成し、このリブ(8)の上部に前記抜け止め部(4c)を形成していることを特徴とする落とし棒用受け金具。
【請求項2】
上端に落とし棒挿入穴(H)を有する円筒体(3)と、この円筒体(3)に摺動自在に挿入されていて上部が落とし棒挿入穴(H)内を塞ぎ可能な蓋部材(4)と、前記円筒体(3)の下部に設けられた底部材(5)と、円筒体(3)内で蓋部材(4)を落とし棒挿入穴(H)塞ぎ方向に弾発する弾性体(6)とを備えており、前記円筒体(3)には落とし棒挿入穴(H)の下方側に規制部(3a)が形成され、前記蓋部材(4)は、落とし棒挿入穴(H)を塞ぐ塞ぎ部(4a)と、この塞ぎ部(4a)の下方で円筒体(3)の内周面に摺接可能な胴部(4b)と、前記塞ぎ部(4a)と胴部(4b)との間で円筒体(3)の規制部(3a)に当接して抜け止めされる抜け止め部(4c)とを有する落とし棒用受け金具であって、
前記蓋部材(4)は胴部(4b)の外周面に円筒体(3)の内周面との間に入る砂塵を落下させる落下溝(9)を周方向間隔をおいて複数本形成していることを特徴とする落とし棒用受け金具。
【請求項3】
前記蓋部材(4)は胴部(4b)に弾性体(6)の上部を連結する連結部(4d)を有し、前記弾性体(6)は上部が連結部(4d)に連結されかつ下部が底部材(5)に支持されるコイルスプリングで形成されており、蓋部材(4)の胴部(4b)と底部材(5)との間には、前記コイルスプリングと反対巻きであって蓋部材(4)の下降後期に圧縮される過負荷コイルスプリング(11)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の落とし棒用受け金具。
【請求項4】
前記底部材(5)は、外周に円筒体(3)の内周面に螺合する雄ねじ部(5a)を有し、内部に上下に貫通していて回動工具を係合可能な角穴(5b)を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の落とし棒用受け金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門扉等に用いられる落とし棒を落下係合する落とし棒用受け金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、門扉を係止するために門扉の下端に落とし棒を設け、床面に受け金具を埋め込んでおいて、落とし棒を落下させて受け金具に係合させて、門扉を閉鎖状態又は開放状態に保持するように構成されている。
前記落とし棒用受け金具として特許文献1に開示されたものは、上端には内周に突出するフランジが在る中空の円筒形本体と、該本体内を摺動し得かつ該本体上端の該フランジの内側面に衝合し得る下端が開いて上端が閉じた中空円筒の摺動部材と、該本体の下端に取付けられた底部材と、該底部材と該摺動部材の上端閉塞部との間に在るスプリングとを包含している(実用新案登録請求の範囲)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49−122632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、落とし棒を落下させたときにスプリングを介して摺動部材で弾力的に受け、落とし棒を引き上げたときに摺動部材の上端閉塞部で円筒形本体のフランジ内を施蓋することができるが、上端閉塞部とフランジとのハメアイはラフであるため、両者の隙間に砂塵が入り込み、摺動部材の摺動に支障を来すことがある。砂塵のために摺動部材が摺動しなくなると、受け金具の落とし棒挿入穴は開口したままになる。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした落とし棒用受け金具を提供することを目的とする。
本発明は、蓋部材の胴部の外周面にリブを周方向複数本形成しておいて、蓋部材と円筒体との隙間に砂塵が入り込んでも、その砂塵をリブ間から落下できるようにした落とし棒用受け金具を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、蓋部材の胴部の外周面に落下溝を周方向複数本形成しておいて、蓋部材と円筒体との隙間に砂塵が入り込んでも、その砂塵を落下溝から落下できるようにした落とし棒用受け金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、上端に落とし棒挿入穴Hを有する円筒体3と、この円筒体3に摺動自在に挿入されていて上部が落とし棒挿入穴H内を塞ぎ可能な蓋部材4と、前記円筒体3の下部に設けられた底部材5と、円筒体3内で蓋部材4を落とし棒挿入穴H塞ぎ方向に弾発する弾性体6とを備えており、前記円筒体3には落とし棒挿入穴Hの下方側に規制部3aが形成され、前記蓋部材4は、落とし棒挿入穴Hを塞ぐ塞ぎ部4aと、この塞ぎ部4aの下方で円筒体3の内周面に摺接可能な胴部4bと、前記塞ぎ部4aと胴部4bとの間で円筒体3の規制部3aに当接して抜け止めされる抜け止め部4cとを有する落とし棒用受け金具であって、
前記蓋部材4は胴部4bの外周面に円筒体3の内周面と摺接可能なリブ8を周方向間隔をおいて複数本形成し、このリブ8の上部に前記抜け止め部4cを形成していることを特徴とする。
【0008】
第2に、上端に落とし棒挿入穴Hを有する円筒体3と、この円筒体3に摺動自在に挿入されていて上部が落とし棒挿入穴H内を塞ぎ可能な蓋部材4と、前記円筒体3の下部に設けられた底部材5と、円筒体3内で蓋部材4を落とし棒挿入穴H塞ぎ方向に弾発する弾性体6とを備えており、前記円筒体3には落とし棒挿入穴Hの下方側に規制部3aが形成され、前記蓋部材4は、落とし棒挿入穴Hを塞ぐ塞ぎ部4aと、この塞ぎ部4aの下方で円筒体3の内周面に摺接可能な胴部4bと、前記塞ぎ部4aと胴部4bとの間で円筒体3の
規制部3aに当接して抜け止めされる抜け止め部4cとを有する落とし棒用受け金具であって、
前記蓋部材4は胴部4bの外周面に円筒体3の内周面との間に入る砂塵を落下させる落下溝9を周方向間隔をおいて複数本形成していることを特徴とする。
【0009】
第3に、前記蓋部材4は胴部4bに弾性体6の上部を連結する連結部4dを有し、前記弾性体6は上部が連結部4dに連結されかつ下部が底部材5に支持されたコイルスプリングで形成されており、蓋部材4の胴部4bと底部材5との間には、前記コイルスプリングと反対巻きであって蓋部材4の下降後期に圧縮される過負荷コイルスプリング11を設けていることを特徴とする。
【0010】
第4に、前記底部材5は、外周に円筒体3の内周面に螺合する雄ねじ部5aを有し、内部に上下に貫通していて回動工具を係合可能な角穴5bを形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋部材と円筒体との隙間に砂塵が入り込んでも、その砂塵を落下排除できる。
即ち、請求項1に係る発明は、蓋部材4は胴部4bの外周面に円筒体3の内周面と摺接可能なリブ8を周方向間隔をおいて複数本形成しているので、蓋部材4は胴部4bの外周面と円筒体3の内周面との間に砂塵が入り込んでも、その砂塵をリブ8間から落下排除でき、蓋部材4の落とし棒挿入穴H塞ぎ位置復帰を確保でき、また蓋部材4の抜け止め部4cの形成が容易にできる。
【0012】
請求項2に係る発明は、蓋部材4は胴部4bの外周面に落下溝9を周方向間隔をおいて複数本形成しているので、蓋部材4は胴部4bの外周面と円筒体3の内周面との間に砂塵が入り込んでも、その砂塵を落下溝9から落下排除でき、蓋部材4の落とし棒挿入穴H塞ぎ位置復帰を確保できる。
請求項3に係る発明は、円筒体3内で蓋部材4を落とし棒挿入穴H塞ぎ方向に弾発するコイルスプリングの弾性体6に加えて、蓋部材4の下降後期に圧縮される過負荷コイルスプリング11を設けているので、落とし棒から急激な過負荷を受けても、耐久性及び振動吸収性を向上できる。
【0013】
請求項4に係る発明は、底部材5は内部に上下に貫通した角穴5bを形成しているので、回動工具を係合して円筒体3の内周面に螺合するのが容易であり、この角穴5bから砂塵や水を抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態を示す断面図であって、(A)は落とし棒挿入穴塞ぎ状態断面図、(B)は落とし棒係合状態断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4において、受け金具1は、門扉に装着された落とし棒15の直下の床面に埋め込まれており、上端に落とし棒挿入穴Hを有する円筒体3と、この円筒体3に摺動自在に挿入された蓋部材4と、円筒体3の下部に設けられた底部材5と、円筒体3内に挿入された弾性体6とを備えている。
【0016】
前記円筒体3は上下に貫通した穴を有する円筒形であり、上端に径内方向に突出した内フランジ16を形成して、内フランジ16の内周を内フランジ16より下方部分の内周より小径の落とし棒挿入穴Hとし、内フランジ16の下側を蓋部材4の抜けを規制する規制部3aとしている。
また、円筒体3は上端外周に径外方向に突出した外フランジ17を形成して、この外フランジ17を床上面に当接して、床内への埋没を防止している。また、円筒体3の下部内面には底部材5取付け用の雌ネジ部18が形成されている。
【0017】
前記蓋部材4はキャップ形状であり、上部が落とし棒挿入穴H内を塞ぎ可能な塞ぎ部4aと、この塞ぎ部4aの下方で円筒体3の内周面に摺接可能な胴部4bと、前記塞ぎ部4aと胴部4bとの間で円筒体3の規制部3aに当接して抜け止めされる抜け止め部4cとが形成されている。
蓋部材4の塞ぎ部4aは落下してくる落とし棒15と当接する部位であり、落とし棒挿入穴Hの内径より僅かに小さく、落とし棒挿入穴H内に抵抗なく挿脱し、挿入されることにより落とし棒挿入穴Hを隙間の少ない状態で塞ぐことができる。
【0018】
蓋部材4の胴部4bは外周面に円筒体3の内周面と摺接可能なリブ8が周方向間隔をおいて等間隔に複数本(実施形態では4本)形成されている。各リブ8は胴部4bの周方向に一定幅を有して断面形状が略台形状であり、胴部4bの上端から下端まで長い突条部である。このリブ8は外周面側が円筒体3の内周面と摺接可能であり、両側縁面が外周側から内周側へ次第に間隔が広がる傾斜面となっている。
【0019】
前記リブ8は胴部4bの軸線と直交する方向の断面形状が略台形の代わりに半円形でもよく、リブ8は胴部4bの上下端間に連続しているが、突起を断続した形状でもよい。
前記各リブ8の上端面は、外周側から内周側へ次第に上方移行する傾斜面となっており、この傾斜面が円筒体3の規制部3aに当接する抜け止め部4cとなっている。この抜け止め部4cが末広がりテーパ面になっていることにより、規制部3aに当接すると塞ぎ部4aを落とし棒挿入穴Hの中心に合わせるようになる。
【0020】
前記蓋部材4において、胴部4bの外周面にリブ8を周方向間隔をおいて複数本形成することは、リブ8間の空間によって、胴部4bの外周面に周方向間隔をおいて複数本の上下に貫通した落下溝9を形成することになる。
前記胴部4bの外周面と円筒体3の内周面との間には、リブ8間の空間、即ち、落下溝9が存在することにより、落とし棒挿入穴H内から砂塵が入ってきても、胴部4bと円筒体3との間に詰まらせることなく落下排除できる。砂塵の落下排除は、蓋部材4が落とし棒挿入穴Hを塞ぐ位置まで復帰するのを確保化できる。
【0021】
胴部4bのリブ8の高さ、即ち、落下溝9の溝深さ及び溝幅は、入る可能性のある砂塵の最大径より大きい寸法になっている。
蓋部材4は胴部4bの中空内部が弾性体6の上部を連結する連結部4dとなっており、前記弾性体6は上部が胴部4b内の連結部4dに挿入連結されたコイルスプリングで形成されており、このコイルスプリングが円筒体3内で蓋部材4を落とし棒挿入穴H塞ぎ方向に弾発しており、落とし棒15が蓋部材4に落下してきたとき、その衝撃荷重を弾力的に吸収する。
【0022】
蓋部材4の胴部4bと底部材5との間には、蓋部材4を落とし棒挿入穴Hへの復帰を行う前記弾性体6に加えて、弾性体6のコイルスプリングと反対巻きであって径大で軸方向寸法の短い過負荷コイルスプリング11が設けられていて二重スプリング構造になっている。この過負荷コイルスプリング11は弾性体6のコイルスプリングと共に底部材5に支持されている。
【0023】
過負荷コイルスプリング11は
図1(B)に示すように、蓋部材4の下降中期から、少なくとも下降後期から蓋部材4の胴部4bと当接しかつ圧縮されるものであり、落とし棒15が急激に落下(強い力の押し下げ)したとき、その荷重を強力に受けて反発作用をする。
落とし棒15が落とし棒挿入穴H内に挿入されているとき、弾性体6のコイルスプリングは大きく圧縮され、過負荷コイルスプリング11は少し圧縮された状態になり、弾性体6の圧縮過多を外周側から防止及び保護をし、落とし棒15が上方へ抜けると、弾性体6が蓋部材4を上部まで押し上げて、抜け止め部4cを規制部3aに当接させる。
【0024】
前記底部材5は、外周に円筒体3の内周面の雌ネジ部18に螺合する雄ねじ部5aを有し、内部に上下に貫通した六角又は四角の角穴5bを形成している。
この底部材5は弾性体6及び過負荷コイルスプリング11の下端を受持するものであり、角穴5bに六角棒レンチ等の回動工具を係合することにより円筒体3への装着ができる。
【0025】
底部材5は角穴5bが貫通穴であることにより、落とし棒挿入穴Hから入ってきた砂塵及び水を円筒体3の下方へ排出することができ、砂塵及び水が溜まって弾性体6及び過負荷コイルスプリング11に悪影響を及ぼすのを防止できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0026】
例えば、蓋部材4の胴部4bのリブ8は4本以外でもよく、3本以上を等間隔で設けることが好ましく、リブ8の幅を落下溝9より広くしてもよい。
また、リブ8及び落下溝9は蓋部材4の胴部4bに軸線方向に沿った直線形状であるが、傾斜又は螺旋形状でもよい。
さらに、リブ8間の空間を落下溝9としているが、蓋部材4の胴部4bの外周面を円筒体3の内周面と摺接する面とし、その外周面に切削により上下に貫通した細い溝を形成して落下溝9としてもよい。
【0027】
さらにまた、蓋部材4の胴部4bに形成する連結部4dは、胴部4bの中心から落下溝9の溝底までの寸法より短い寸法を半径とする円形突起を胴部4bの下部から下方突出させ、この円形突起に弾性体6のコイルスプリングの上部を嵌合させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 受け金具
3 円筒体
3a 規制部
4 蓋部材
4a 塞ぎ部
4b 胴部
4c 抜け止め部
4d 連結部
5 底部材
5a 雄ねじ部
5b 角穴
6 弾性体
8 リブ
9 落下溝
11 過負荷コイルスプリング
15 落とし棒
16 内フランジ
17 外フランジ
18 雌ネジ部
H 落とし棒挿入穴