(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
無人飛行体の予約管理装置は、以下のような構成を備える。
[項目1]
無人飛行体及び当該無人飛行体を格納可能な格納装置の夫々とネットワークを介して通信可能な無人飛行体の予約管理装置であって、
前記無人飛行体の予約情報を管理する予約管理部と、
ユーザから前記飛行体の予約リクエストを受信する受信部と、
前記予約情報を参照して、前記予約リクエストを受け付けるか否か判断する判断部と、を備える
無人飛行体の予約管理装置。
[項目2]
項目1に記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
前記予約リクエストの少なくとも一部を前記無人飛行体及び前記格納装置に送信する送信部を更に備える、
無人飛行体の予約管理装置。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
前記ユーザに対して、前記予約リクエストに応じた決済処理を行う決済部を更に備える、
無人飛行体の予約管理装置。
[項目4]
項目1乃至項目3のいずれかに記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
前記無人飛行体は、少なくとも二以上の機能を有しており、
前記予約リクエストは、前記無人飛行体の前記機能のうちのいずれかの指定が含まれている、
無人飛行体の予約管理装置。
[項目5]
項目1乃至項目4のいずれかに記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
前記予約リクエストは、前記無人飛行体の飛行能力に関する情報が含まれている、
無人飛行体の予約管理装置。
[項目6]
項目1乃至項目5のいずれかに記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
前記予約リクエストは、前記無人飛行体の飛行先に関する情報が含まれている、
無人飛行体の予約管理装置。
[項目7]
項目1乃至項目6のいずれかに記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
複数の前記無人飛行体及び複数の前記格納装置とネットワークを介して通信可能であり、
前記予約リクエストは、前記格納装置の場所に関する情報が含まれている、
無人飛行体の予約管理装置。
[項目8]
項目1乃至項目8のいずれかに記載の無人飛行体の予約管理装置であって、
前記判断部は、前記受信部が災害信号を受信した場合に前記予約リクエストの一部又は全部を不許可にする、
無人飛行体の予約管理装置。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による無人飛行体の予約管理装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<背景>
近年、ドローンの配達、点検、測量、空撮、災害時情報収集等の用途への利用が期待されている。しかしながら、ドローンは本体のコストや維持・メンテナンスコストも多くかかることから、ユーザが各自で保有し管理するにはコストが嵩む。また、例えば、月に数回程度や年に数回程度しか使用しないユースケースもあることから、所有コストの最適化を図ることがドローンの社会実装への急務ともなっている。
【0012】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、必要なときに必要な用途に応じたドローンが手軽に利用できることをその目的の一つとしているものである。
【0013】
<本発明による実施の形態の詳細>
図1に示されるように、本発明の無人飛行体の予約管理装置によって実現される予約管理システム(以下単に「システム」と呼ぶ。)は、管理サーバ1と、複数の格納装置2と、複数のドローン3とを有している。本実施の形態による格納装置2へ複数台の飛行体が同時に/又は順次、格納されることとしてもよい、また、飛行体が格納される格納装置は自由に選択させることが可能である。管理サーバ1と、格納装置2と、ドローン3は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0014】
<管理サーバ1>
図2は、管理サーバ1のハードウェア構成を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0015】
図示されるように、管理サーバ1は、予約データベース(図示せず)と接続されシステムの一部を構成する。管理サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0016】
管理サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0017】
プロセッサ10は、管理サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開された本システムのためのプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0018】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、管理サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0019】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよい。
【0020】
送受信部13は、管理サーバ1をネットワークおよびブロックチェーンネットワークに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。
【0021】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0022】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0023】
<格納装置2>
図3は、格納装置2のハードウェア構成を示す図である。本実施の形態による格納装置2は、少なくとも1台以上のドローンを格納することができる大きさを有しているものである。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0024】
図示されるように、格納装置2は、少なくとも管理サーバ1と接続されシステムの一部を構成する。格納装置2は、少なくとも、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。また、本実施の形態においては、ドローンに対して給電を行う給電部26を更に備えている。給電部26は金属電極同士を接触させることにより給電(充電)することとしてもよいし。非接触による充電(誘導電流等)であってもよい。
【0025】
図4に示されるように、格納装置2は、ドローン3が格納されている状態(格納状態:図(a))と、ドローン3が格納されていない状態(空き状態:図(b))のいずれかの状態にある。格納装置2は、屋外常設型の飛行体格納装置であり、例えば、ボックス状、ドーム状、パッド状等、ドローン3の少なくとも一部又は全部が格納される装置を用途に応じて使い分けることが可能である。本実施の形態においてはボックス状のものを採用しているが、形状はこれに限られない。図示されるように、格納装置2の上部には、蓋部2aが形成されている。ドローン3に飛行が必要な場合には蓋部2aを開け、ドローン3が上昇して飛行する仕組みとなっている。
【0026】
<ドローン3>
図5は、ドローン3のハードウェア構成を示すブロック図である。フライトコントローラは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。
【0027】
また、フライトコントローラは、図示しないメモリを有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。
【0028】
メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類から取得したデータは、メモリに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。カメラは飛行体にジンバルを介して設置される。
【0029】
フライトコントローラは、飛行体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ
x、θ
y及びθ
z)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために、ESC(Electric Speed Controller)を経由して飛行体の推進機構(モータ等)を制御する。モータによりプロペラが回転することで飛行体の揚力を生じさせる。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0030】
フライトコントローラは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、送受信機(プロポ)、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部と通信可能である。送受信機は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0031】
例えば、送受信部は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。
【0032】
送受信部は、センサ類で取得したデータ、フライトコントローラが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0033】
本実施の形態によるセンサ類は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0034】
<システムの処理>
図6は管理サーバ1の機能構成を示す図である。管理サーバ1は、その機能として、受信部と、予約管理部と、判断部と、決済部と、送信部と、予約データベース(DB)と、決済データベース(DB)を含んでいる。
【0035】
受信部は、ユーザからドローンの予約リクエストを受信する。予約リクエストには、ドローンの有する複数の機能のうちのいずれかの指定や、ドローンの飛行能力(ペイロード、最高速度、搭載しているセンサ類、バッテリー容量等)に関する情報や、飛行先に関する情報や、特定の格納装置に関する情報が含まれている。なお、特定の機種名や製造事業者名を指定することも可能である。
【0036】
予約管理部は、予約DBを参照して、予約情報を管理・更新する。予約DBには、少なくとも、格納装置及びドローンの利用の予約に関して時間帯ごとに登録され管理されている。
【0037】
判断部は、予約管理部からの情報に基づいて予約リクエストを受け付けるか否か判断する。即ち、同一の時間帯に複数のユーザによる予約が重複しそうなときや、ユーザの希望を満たすドローンが当該格納装置内に存在していなかった場合等である。
【0038】
送信部は、予約リクエストのうち、ドローンの飛行に関する情報(飛行ルートデータ、要求された任務等)をドローン及び格納装置に送信する。
【0039】
決済部は、予約に対する決済処理を実行する。この際、ユーザのクレジット情報や口座情報等が格納された決済データベース(DB)を参照することとしてもよい。
【0040】
続いて、
図7及び
図8の図面を参照して、本実施の形態の予約の流れを説明する。
図7に示されるように、ユーザは自己の端末等から予約をしたいドローンが格納されている格納装置に関する情報を「拠点」として選択する。拠点はドローンを使いたい地点や、現在の位置などに基づいて複数の格納装置から選択することができる。次に、活用の用途に応じた一以上のドローンを選択する。これにより、希望に適した機能を有する最適なドローンを選択することができる。また、搭載物がある場合には、ペイロードを選択することも可能である。選択が終わると、飛行ルートが生成されるなお、予め記録されていたルートや、ユーザが作成したルートの情報を一部又は全部として利用することもできる。最後に、飛行が完了した先で行われる活動(空撮、点検、測量、輸送等)に関する設定を行う。その後、ユーザはドローンを使用したい日時・時間帯の情報の入力を行い、スケジュールを確保できているか否か確認し、予約を確保できる場合には、ユーザに対して予約が完了した旨の通知を行う。予約の確保ができない場合には、他の時間帯やドローンの特性に関する選択を再選択させてもよい。
【0041】
図8は予約の指定を先に選択させる場合の流れである。即ち、ユーザは、拠点選択後、ドローンを使用したい日時・時間帯の情報の入力を行い、スケジュールを確保できるか否か確認し、予約を確保できる場合には、ユーザに対して予約が完了した旨の通知を行う。予約の確保ができない場合には、他の時間帯やドローンの特性に関する選択を再選択させてもよい。その後に、活用の用途に応じた一以上のドローンを選択し、ペイロードを選択する。選択が終わると、飛行ルートが生成される。最後に、飛行が完了した先で行われる活動(空撮、点検、測量、輸送等)に関する設定を行う。
【0042】
上述した予約リクエストは、少なくとも目的情報を含んでいる。目的情報には、作業の内容、作業の日時、作業の場所、が含まれている。この目的情報に応じて、いずれのドローンによって実行するのかが決定される。ドローンの選定は、当該目的情報の達成に必要な機能(ペイロード、装備等)に応じて行われる。ドローンが選定されると、当該ドローンを格納する最適な格納装置が選択される。
【0043】
上述したシステムは、災害・緊急時にも使用することができる。この場合、判断部は、受信部が災害信号や緊急避難信号を受信した場合に一般のユーザからの予約リクエストの一部又は全部を不許可にしたり、既に予約されている時間帯をキャンセルするなどして災害・緊急事態等に対応できるように待機する。
【0044】
<ユーザの使用例>
次に、
図9乃至
図14を参照して、ユーザの利用例を説明する。以下の利用例は、ユーザが所定の場所に行く際にガイドするものであるが、例えば、所定の場所の空撮や探索、災害避難等のアナウンスをしながらの飛行や、作業員に同行して又は同行なくドローンが自律的に電線などのインフラ設備を点検する場合など様々な用途に拡張して利用することができる。
【0045】
図9に示されるように、ユーザは、地図上の所定の場所に位置している。予約時間になると、予約した格納装置から予約で指定した場所へドローン31が飛行する。この際、
図10に示されるように、予約に関するドローン31が格納装置から移動中であることを示すようにしてもよい。
図11に示されるようにドローン31はユーザのもとへ到着する。ドローン31は、生成されたルートに従って、ユーザから所定の距離をとった状態で飛行する。
図13に示すように、目的地に着くと、ドローン31の任務は完了する。ドローン31は、元の格納装置21に帰還する。
【0046】
上述した実施の形態においては、ドローンは飛行を開始した格納装置に帰還することとしていた。しかしながら、目的地までの距離、目的地での作業内容、電源の残容量等に応じて飛行を開始した拠点とは異なる格納装置(例えば、
図13の格納装置22等)に帰還することとしてもよい。即ち、ドローンと格納装置とが一対一で固定的に関連付けられているのではなく、複数の格納装置を複数のドローンによって共有することとしてもよい。この場合、管理サーバでは、各ドローンの位置と格納装置の位置、それぞれの稼働状況などに応じて必要な情報を拠点、帰還先の格納装置及びドローンに送信することとすればよい。
【0047】
格納装置間を柔軟に飛行可能にすることによって、通常であれば、往復の飛行距離の制限を考慮してルートを生成する必要がなくなり、飛距離が長くなる。
【0048】
なお、目的や用途を入力するのみで必要なドローンが格納されている格納装置が自動で選択されることとしてもよい。この場合、例えば、
図15及び
図16に示されるようなデータ管理を行うこととすればよい。即ち、
図15に示されるように、データテーブルは、格納装置の識別番号と保管されている機体番号とを関連付けて管理する。また、
図16に示されるように、機体番号と当該機体の用途と、具体的な機種名を関連付けて管理するデータテーブルを備えていてもよい。
【0049】
本発明の飛行体は、マルチコプター・ドローン等の飛行機関連産業において利用することができ、さらに、本発明は、カメラ等を搭載した空撮用の飛行体としても好適に使用することができる他、セキュリティ分野、農業、インフラ点検等の様々な産業にも利用することができる。
【0050】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【解決手段】予約管理システムは、管理サーバ1と、複数の格納装置2と、複数のドローン3とを有している。管理サーバ1は、ドローン3の予約情報を管理する予約管理部と、ユーザからドローン3の予約リクエストを受信する受信部と、予約情報を参照して、予約リクエストを受け付けるか否か判断する判断部と、を備る。受信部が少なくとも災害信号又は緊急避難信号を受信した場合に、判断部は、ユーザからの予約リクエストの一部又は全部を不許可にする、又は、既にされている予約の一部又は全部をキャンセルする処理を行う。