特許第6765756号(P6765756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765756
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】部品実装機、部品認識方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20200928BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   H05K13/08 Q
   H05K13/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-199840(P2016-199840)
(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公開番号】特開2018-63973(P2018-63973A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 孝智
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−249799(JP,A)
【文献】 特開2011−211088(JP,A)
【文献】 特開平05−251898(JP,A)
【文献】 特開2009−239150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイプの同じパッケージを有する部品を供給する部品供給部と、
基板を搬送する基板搬送部と、
前記部品供給部により供給された前記部品を前記基板搬送部に支持された前記基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドにより保持された前記部品を撮像することで前記部品の撮像画像を取得する部品撮像部と、
タイプの異なる複数のパッケージのうちから設定された一の対象パッケージの特徴を有するとの条件を含む部品認識条件と前記撮像画像とを比較し、前記撮像画像が前記部品認識条件を満たす場合には前記実装ヘッドに前記部品を実装させる一方、前記撮像画像が前記部品認識条件を満たさない場合には前記実装ヘッドに前記部品を廃棄させる制御部と
複数の前記撮像画像を記憶する記憶部と
を備え、
前記制御部は、前記部品認識条件を前記撮像画像に基づき調整する条件調整処理を、前記記憶部に記憶された複数の前記撮像画像に基づき前記部品認識条件を調整することで、実行し、
前記条件調整処理は、前記複数のパッケージのうちから前記対象パッケージとして設定されるパッケージを前記撮像画像に基づき調整する処理を含む部品実装機。
【請求項2】
前記部品認識条件は、前記対象パッケージの基準箇所が所定の寸法範囲内であるとの条件を含み、
前記条件調整処理は、前記寸法範囲を前記撮像画像に基づき調整する処理を含む請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記部品撮像部は、前記部品に光を照射する照明を有し、
前記条件調整処理は、前記照明が照射する光の強度を前記撮像画像に基づき調整する処理を含む請求項1または2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記記憶部に記憶される複数の前記撮像画像は、前記部品認識条件を満たさない前記撮像画像である第1撮像画像および前記部品認識条件を満たす前記撮像画像である第2撮像画像を含む請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記第1撮像画像が連続して取得された場合には最初に取得された前記第1撮像画像のみを前記記憶部に保存するとともに、複数の前記第2撮像画像が連続して取得された場合には最初に取得された前記第2撮像画像のみを前記記憶部に保存することで、前記第1撮像画像と前記第2撮像画像とを1つずつ交互に前記記憶部に保存する請求項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、前記条件調整処理において、前記撮像画像が満たす特徴を有する一のパッケージを前記複数のパッケージのうちから特定する演算を前記記憶部に記憶される複数の前記撮像画像のそれぞれについて実行し、前記複数のパッケージのうち、その特徴を満たす前記撮像画像の個数が最も多い一のパッケージを前記対象パッケージに設定する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項7】
タイプの同じパッケージを有する部品を供給する工程と、
供給された前記部品を実装ヘッドにより保持する工程と、
前記実装ヘッドにより保持された前記部品を撮像することで前記部品の撮像画像を取得する工程と、
タイプの異なる複数のパッケージのうちから設定された一の対象パッケージの特徴を有するとの条件を含む部品認識条件と前記撮像画像とを比較し、前記撮像画像が前記部品認識条件を満たす場合には基板への前記部品の実装を前記実装ヘッドに実行させる一方、前記撮像画像が前記部品認識条件を満たさない場合には前記実装ヘッドに前記部品を廃棄させる工程と、
前記部品認識条件を前記撮像画像に基づき調整する条件調整処理を、記憶部に記憶された複数の前記撮像画像に基づき前記部品認識条件を調整することで、実行する工程と
を備え、
前記条件調整処理は、前記複数のパッケージのうちから前記対象パッケージとして設定されるパッケージを前記撮像画像に基づき調整する処理を含む部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実装ヘッドにより保持される部品の基板への実装を許可あるいは禁止するために、部品を撮像した撮像画像が所定の部品認識条件を満たすかを判断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装ヘッドにより部品を基板に実装する部品実装機においては、実装ヘッドにより保持される部品をカメラで認識した結果が所定の部品認識条件を満たすか否かに基づき、部品の実装が許可あるいは禁止される。具体的には特許文献1では、カメラにより認識された部品寸法の規格値からのずれ量が所定の許容範囲内である場合には部品の実装が許可され、そうでない場合には部品の実装が禁止される。ところで、このような部品寸法の許容範囲は常に適切とは限られず、例えば適切な範囲に対して狭すぎる場合がある。そこで、特許文献1では、取得された部品寸法の分散または標準偏差に基づき部品寸法の許容範囲を広げる制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4927457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部品のパッケージには種々のタイプが存在する。そのため、部品認識条件に用いられるパッケージタイプが不適切であると、本来実装が許可されるべき部品の実装を禁止すると判断するといった誤判断の問題が生じうる。このような問題が生じた場合には、部品寸法の許容範囲を広げたところで、実装禁止と誤って判断することを避けるのは困難である。したがって、適切な部品のパッケージタイプを部品認識条件に用いることが重要となる。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、適切な部品のパッケージタイプを部品認識条件に用いることを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、タイプの同じパッケージを有する部品を供給する部品供給部と、基板を搬送する基板搬送部と、部品供給部により供給された部品を基板搬送部に支持された基板に実装する実装ヘッドと、実装ヘッドにより保持された部品を撮像することで部品の撮像画像を取得する部品撮像部と、タイプの異なる複数のパッケージのうちから設定された一の対象パッケージの特徴を有するとの条件を含む部品認識条件と撮像画像とを比較し、撮像画像が部品認識条件を満たす場合には実装ヘッドに部品を実装させる一方、撮像画像が部品認識条件を満たさない場合には実装ヘッドに部品を廃棄させる制御部とを備え、制御部は、部品認識条件を撮像画像に基づき調整する条件調整処理を実行し、条件調整処理は、複数のパッケージのうちから対象パッケージとして設定されるパッケージを撮像画像に基づき調整する処理を含む。
【0007】
本発明に係る部品実装方法は、タイプの同じパッケージを有する部品を供給する工程と、供給された部品を実装ヘッドにより保持する工程と、実装ヘッドにより保持された部品を撮像することで部品の撮像画像を取得する工程と、タイプの異なる複数のパッケージのうちから設定された一の対象パッケージの特徴を有するとの条件を含む部品認識条件と撮像画像とを比較し、撮像画像が部品認識条件を満たす場合には基板への部品の実装を実装ヘッドに実行させる一方、撮像画像が部品認識条件を満たさない場合には実装ヘッドに部品を廃棄させる工程と、部品認識条件を撮像画像に基づき調整する条件調整処理を実行する工程とを備え、条件調整処理は、複数のパッケージのうちから対象パッケージとして設定されるパッケージを撮像画像に基づき調整する処理を含む。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装機、部品実装方法)では、実装ヘッドにより保持された部品を撮像することで部品の撮像画像が取得される。そして、タイプの異なる複数のパッケージのうちから設定された一の対象パッケージの特徴を有するとの条件を含む部品認識条件と撮像画像とが比較される。この比較の結果、撮像画像が部品認識条件を満たす場合には基板への部品の実装を実装ヘッドが実行する一方、撮像画像が部品認識条件を満たさない場合には実装ヘッドが部品を廃棄する。また、ここで用いられる部品認識条件は、条件調整処理の実行によって撮像画像に基づき調整される。特にこの条件調整処理は、複数のパッケージのうちから対象パッケージとして設定されるパッケージを撮像画像に基づき調整する処理を含む。このように、タイプの異なる複数のパッケージのうちから部品認識条件に用いられる対象パッケージが、実際に部品を撮像した撮像画像に基づき調整される。したがって、適切な部品のパッケージタイプを部品認識条件に用いることが可能となっている。
【0009】
また、部品認識条件は、対象パッケージの基準箇所が所定の寸法範囲内であるとの条件を含み、条件調整処理は、寸法範囲を撮像画像に基づき調整する処理を含むように、部品実装機を構成しても良い。これによって、適切な寸法範囲を部品認識条件に用いることができる。
【0010】
また、部品撮像部は、部品に光を照射する照明を有し、条件調整処理は、照明が照射する光の強度を撮像画像に基づき調整する処理を含むように、部品実装機を構成しても良い。これによって、適切な強度の光を部品に照射しつつ撮像画像を取得することができる。
【0011】
また、複数の撮像画像を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、記憶部に記憶された複数の撮像画像に基づき部品認識条件を調整することで、条件調整処理を実行するように部品実装機を構成しても良い。このように複数の撮像画像に基づくことで、部品認識条件をより的確に調整することが可能となる。
【0012】
また、記憶部に記憶される複数の撮像画像は、部品認識条件を満たさない撮像画像である第1撮像画像および部品認識条件を満たす撮像画像である第2撮像画像を含むように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、部品認識条件を満たさない撮像画像(第1撮像画像)と部品認識条件を満たす画像(第2撮像画像)の両方に基づくことで、部品認識条件をより的確に調整することが可能となる。
【0013】
また、制御部は、複数の第1撮像画像が連続して取得された場合には最初に取得された第1撮像画像のみを記憶部に保存するとともに、複数の第2撮像画像が連続して取得された場合には最初に取得された第2撮像画像のみを記憶部に保存することで、第1撮像画像と第2撮像画像とを1つずつ交互に記憶部に保存するように、部品実装機を構成しても良い。このような構成は、第1撮像画像と第2撮像画像との各個数をバランス良く取得することができ、部品認識条件を適切に調整するのに資する。
【0014】
また、制御部は、条件調整処理において、撮像画像が満たす特徴を有する一のパッケージを複数のパッケージのうちから特定する演算を記憶部に記憶される複数の撮像画像のそれぞれについて実行し、複数のパッケージのうち、その特徴を満たす撮像画像の個数が最も多い一のパッケージを対象パッケージに設定するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、適切な部品のパッケージタイプを部品認識条件に用いることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、適切な部品のパッケージタイプを部品認識条件に用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す部分平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成の一例を示すブロック図。
図3】部品のパッケージのタイプの一例を表形式で示す図。
図4】部品データの構造の一例をテーブル形式で示す図。
図5】基板生産と並行して実行される条件調整処理の一例を示すフローチャート。
図6】部品認識で実行される処理の一例を模式的に示す図。
図7】照明レベル推定で実行される処理の一例を示すフローチャート。
図8】照明レベルとリードにおける輝度分布との関係を模式的に示す図。
図9】照明レベルを階級とする度数分布表の一例を示す図。
図10】部品データ作成で実行される処理の一例を示すフローチャート。
図11】データ更新処理で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す部分平面図である。図2図1の部品実装機が備える電気的構成の一例を示すブロック図である。図1では、鉛直方向に平行なZ方向と、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を適宜示す。図2に示すように、部品実装機1は、装置全体を統括的に制御するコントローラー100を備える。コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)で構成されたコンピューターである演算処理部110およびHDD(Hard Disk Drive)で構成された記憶部120を有する。さらに、コントローラー100は、部品実装機1の駆動系を制御する駆動制御部130と、部品実装の対象となる部品E(図1)の撮像を制御する撮像制御部140とを有する。
【0018】
そして、演算処理部110は記憶部120に記憶される実装プログラムに従って駆動制御部130を制御することで、実装プログラムが規定するシーケンスで部品実装を実行する。この際、演算処理部110は撮像制御部140が部品撮像部5に撮像させた部品Eの画像に基づき、部品実装を制御する。また、部品実装機1には、表示/操作ユニット150が設けられており、演算処理部110は、部品実装機1の状況を表示/操作ユニット150に表示したり、表示/操作ユニット150に入力された作業者からの指示を受け付けたりする。
【0019】
図1に示すように、部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から実装作業位置(図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板Bをコンベア12により実装作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0020】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。ヘッド支持部材23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がヘッド支持部材23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0021】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給ユニット28がX方向に並んでいる。各部品供給ユニット28に対しては、複数のテープフィーダー281がX方向に並んで着脱可能に装着されている。各テープフィーダー281には、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の電子部品Eを所定間隔おきに収納したキャリアテープが巻かれたリールが配置されており、このリールから引き出されたキャリアテープがテープフィーダー281に装填される。なお、一のテープフィーダー281に装填されたキャリアテープには、同一のタイプのパッケージP(図3)を有する複数の部品E、すなわち、同一品種の複数の部品Eが収納されている。そして、テープフィーダー281は、キャリアテープをヘッドユニット3側に間欠的に送り出すことによって、同一品種の部品Eをその先端部に順次供給する。
【0022】
ヘッドユニット3は、X方向に直線状に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド4を有する。各実装ヘッド4はZ軸モーターMzの駆動力を受けてZ方向に昇降可能であり、駆動制御部130はZ軸モーターMzによって各実装ヘッド4を昇降させることができる。そして、各実装ヘッド4は下端に取り付けられたノズルにより、部品Eの吸着・実装を行う。具体的には、実装ヘッド4はテープフィーダー281の先端部に供給された部品Eの直上へ移動する。そして、実装ヘッド4は、ノズルの下端が部品Eの上端面に接するまで下降し、ノズル内に負圧を発生させる。これによって、部品Eがノズルに吸着される(部品吸着動作)。続いて、実装ヘッド4は、ノズル内の負圧を維持しつつ上昇して、テープフィーダー281から部品Eを取り出す。こうして部品吸着動作が完了すると、実装ヘッド4は、実装作業位置の基板Bの上方に移動して基板Bに部品Eを実装する。具体的には、実装ヘッド4は、部品Eが基板Bに当接するまでノズルを下降させた後にノズル内に大気圧あるいは正圧を発生させることで、部品Eを実装する。
【0023】
また、X方向に並ぶ部品供給ユニット28の間には、実装ヘッド4に吸着された部品Eを下方から撮像する部品撮像部5が配置されている。この部品撮像部5は、その視野が上方を向くように取り付けられた撮像カメラ51と、上方へ向けて光を照射することで撮像カメラ51の視野を照らす照明52とを有する。撮像カメラ51は、CCD(Charge-Coupled Device)等の固体撮像素子によってその視野内を撮像し、照明52は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子から光を照射する。また、照明52が照射する光の強度、換言すれば照明レベルLlは、8段階で可変に設定可能となっている。
【0024】
そして、実装ヘッド4は部品吸着動作を完了すると、テープフィーダー281から基板Bに到る途中で部品撮像部5の上方を経由し、ノズルに吸着された部品Eを撮像カメラ51の視野内に収める。これに対して、撮像制御部140は、照明52から部品Eに光を照射しつつ撮像カメラ51により部品Eの画像を撮像する。この際、演算処理部110は、記憶部120に記憶されている照明レベルLlに基づき照明52が照射する光の強度を制御する。この照明レベルLlは、テープフィーダー281毎に設定されており、演算処理部110は、実装ヘッド4が部品Eを取り出したテープフィーダー281に対応する照明レベルLlの光を照明52に照射させる。
【0025】
こうして、実装ヘッド4に保持される部品Eを撮像した撮像画像Iが取得される。そして、演算処理部110は、記憶部120に記憶された部品データDpとこの撮像画像Iとの比較に基づき部品Eを認識する。この部品データDpは、テープフィーダー281毎に作成されており、演算処理部110は、実装ヘッド4が部品Eを取り出したテープフィーダー281に対応する部品データDpと撮像画像Iとを比較する。そして、撮像画像Iが部品データDpに規定された条件を満たす場合は、演算処理部110は部品Eの認識に成功したと判断し、基板Bへの部品Eの実装を実装ヘッド4に実行させる。一方、撮像画像Iが部品データDpに規定された条件を満たさない場合は、演算処理部110は、実装ヘッド4を廃棄部6の上方へ移動させて、部品Eの廃棄部6への廃棄を実装ヘッド4に実行させる。また、後述するように、演算処理部110は、認識に失敗したNG撮像画像Inと、認識に失敗したOK撮像画像Ioとを、1枚ずつ交互に記憶部120に蓄積する。
【0026】
このような部品実装機1では、種々のタイプのパッケージP(図3)を有する部品Eを基板Bに実装することができる。ここで、図3は、部品のパッケージのタイプの一例を表形式で示す図である。図3に示すように、タイプの異なる複数のパッケージPを有する各部品Eが存在し、各パッケージPは、外形寸法Sおよびリード情報L等の特徴を有する。ここで、外形寸法Sは、パッケージPの長さ、幅および厚みを示し、リード情報Lは、部品Eのリード(すなわち電極)の本数、幅あるいは配列ピッチ等を示す。そして、異なる位置に装着された複数のテープフィーダー281は、互いに異なるタイプのパッケージPを有する部品Eを供給することができる。
【0027】
そこで、各テープフィーダー281が供給する部品EのパッケージPのタイプに応じて、撮像画像Iから部品Eを適切に認識するために、部品データDpは、図4に示すような構造を有する。ここで、図4は部品データの構造の一例をテーブル形式で示す図である。図4に示すように、複数のテープフィーダー281のそれぞれが装着されるフィーダー位置Fについて、換言すれば、複数のフィーダー位置Fのそれぞれについて部品データDpが作成される。各部品データDpは、対象パッケージPo、外形寸法S、リード情報Lおよび認識パラメーターRを有する。対象パッケージPoは、複数のタイプのパッケージPのうち、対応するフィーダー位置Fに対して設定された一のパッケージPであり、図4に示す外形寸法Sおよびリード情報Lはそれぞれ対象パッケージPoの外形寸法Sおよびリード情報Lである。また、認識パラメーターRは、部品Eの基準箇所、具体的にはリードEl(図6)を撮像画像Iから検出するために用いる輝度閾値Bt(図6)や、検出されたリードElが満たすべき寸法範囲Wt(図6)、あるいは外形寸法Sの寸法範囲等である。
【0028】
ちなみに、このような部品データDpは常に適切とは限らず、例えば作業者の入力ミス等の種々の要因で対象パッケージPoのタイプが不適切であったり、対象パッケージPoのタイプが適切であっても設定された寸法範囲が不適切であったりする場合がある。あるいは、部品データDpが適正であっても、照明52の照明レベルLlが不適切な場合もある。このように、部品データDpや照明レベルLlといった条件が不適切であると、部品Eの認識を的確に行うことが困難となる。そこで、部品実装機1は、テープフィーダー281から保持した部品Eを基板Bに実装することで部品Eが実装済みの基板Bを生産する基板生産の実行途中において、これらの条件を撮像画像Iに基づき調整する「条件調整処理」を実行する。
【0029】
図5は基板生産と並行して実行される条件調整処理の一例を示すフローチャートである。演算処理部110は、記憶部120に記憶された条件調整プログラムを実行することで、図5の条件調整処理を複数のテープフィーダー281のそれぞれについて個別に実行する。この条件調整処理では、部品認識に用いられた撮像画像Iのうち、NG撮像画像InとOK撮像画像Ioとが交互に1枚ずつ、合計20枚取得され、これら撮像画像Iに基づき条件Dp、Llが修正される。
【0030】
基板生産が開始されると、取得した撮像画像Iの枚数をカウントするカウント値Nがゼロにリセットされるとともに、NG撮像画像InとOK撮像画像Ioとを交互に取得する制御を実行するためのフラグflgがオフに設定される(ステップS101)。そして、実装ヘッド4がテープフィーダー281から部品Eをピックアップして部品撮像部5の上方へ移動してくると、部品認識が実行される(ステップS102)。
【0031】
図6は部品認識で実行される処理の一例を模式的に示す図である。同図において、上側は部品Eの撮像画像Iを模式的に示し、下側は撮像画像Iにおける輝度分布を示す。つまり、下側のグラフにおいて横軸は部品Eの長さ方向における位置を示し、縦軸は輝度を示す。ステップS102の部品認識では、演算処理部110は、部品Eが取り出されたテープフィーダー281のフィーダー位置Fに対応する部品データDpと、部品Eの撮像画像Iとを比較する。具体的には、部品データDpに設定されている対象パッケージPoの特徴を、撮像画像Iが有しているかが判断される。かかる対象パッケージPoの特徴としては、例えば部品EのリードElの本数、幅あるいは配列ピッチが挙げられる。このようなリードElは金属であるため、部品Eの他の部分や背景と比較して照明52からの光を強く反射する。そこで、演算処理部110は、撮像画像Iにおいて所定の輝度閾値Btよりも輝度の高い範囲をリードElとして検出し、その検出結果が対象パッケージPoの特徴を有するかが判断される。この部品認識では、検出されたリードElの幅Wが部品データDpに規定される寸法範囲Wt内に存在するかが確認される。ここで、寸法範囲Wtはリード幅Wの許容値の最小範囲Wnから最大範囲Wxを示す。したがって、各リードElの幅Wは、最小範囲Wn以上であり最大範囲Wx以内であれば、寸法範囲Wt内に存在すると判断される。
【0032】
そして、ステップS103では、撮像画像Iが部品データDpに規定される特徴を満たさない場合には部品Eの認識が失敗したと判断され、撮像画像Iが部品データDpに規定される特徴を満たす場合には部品Eの認識が成功したと判断される。部品認識に失敗したと判断された場合(ステップS103で「NO」の場合)は、この部品認識の失敗が未吸着エラーによるものかが判断される(ステップS104)。ここで、未吸着エラーとは、実装ヘッド4が部品Eのテープフィーダー281からのピックアップに失敗し、実装ヘッド4に部品Eが付いていないエラーを示す。未吸着エラーの発生は、撮像画像IからリードElを全く検出できないことを確認する、あるいは実装ヘッド4のノズルに所定以上の負圧が発生していないことを確認することで判断できる。
【0033】
部品認識の失敗が未吸着エラーによる場合(ステップS104で「YES」の場合)には、ステップS111へ進む一方、部品認識の失敗が未吸着エラーによるものでなく、実装ヘッド4のノズルに部品Eが付いている場合には、ステップS105に進む。ステップS105では、フラグflgがオンかが判断され、フラグflgがオンの場合(ステップS105で「YES」の場合)はステップS111へ進む一方、フラグflgがオフの場合(ステップS105で「NO」の場合)は、ステップS102で取得した撮像画像I、すなわちNG撮像画像Inが記憶部120に保存される(ステップS106)。そして、カウント値Nをインクリメントするとともに、フラグflgをオンに切り換えてから(ステップS107)、ステップS111に進む。
【0034】
一方、ステップS103において、部品認識に成功したと判断された場合(「YES」の場合)は、ステップS108でフラグflgがオンかが判断される。そして、フラグflgがオフの場合(ステップS108で「NO」の場合)はステップS111に進む一方、フラグflgがオンの場合(ステップS108で「YES」の場合)は、ステップS102で取得した撮像画像I、すなわちOK撮像画像Ioが記憶部120に保存される(ステップS109)。そして、カウント値Nをインクリメントするとともに、フラグflgをオフに切り換えてから、ステップS111に進む。
【0035】
ステップS111では、カウント値Nが所定枚数Nx(=20)に到達したか否かが判断され、カウント値Nが所定枚数Nx未満であると(ステップS111で「NO」)、ステップS101に戻る。これによって、カウント値Nが所定枚数Nxに到達するまで、すなわち所定枚数Nxの撮像画像Iが記憶部120に蓄積されるまで、ステップS101〜S111が繰り返される。その結果、記憶部120には、NG撮像画像InとOK撮像画像Ioとが1枚ずつ交互に保存されて、合計所定枚数Nxの撮像画像Iが蓄積される。
【0036】
こうして、所定枚数Nxの撮像画像Iが蓄積されると、ステップS112の照明レベル推定(図7)が実行される。図7は照明レベル推定で実行される処理の一例を示すフローチャートである。ステップS201では、カウント値Nがゼロにリセットされる。そして、ステップS202では、N番目の撮像画像IからリードElの長さが計測可能であるかが判断される。具体的には、リードElの検出ができなかった撮像画像Iについては、リードElの長さが計測できないと判断し(ステップS202で「NO」)、ステップS206に進む。一方、部品認識に成功した撮像画像Iや、リードElの幅Wが寸法範囲Wtでないために部品認識に失敗したもののリードElを検出できた撮像画像Iについては、リードElの長さが計測可能であると判断され(ステップS202で「YES」)、ステップS203に進んで、リードElの輝度がN番目の撮像画像Iから取得される。そして、ステップS204では、取得したリードELの輝度から照明52の適切な照明レベルLlが算出される。
【0037】
図8は照明レベルとリードにおける輝度分布との関係を模式的に示す図である。図8の例では、照明レベルLlが1/8から5/8へと上昇するに連れて、リードElにおける輝度分布の頂部が上昇する。そこで、ステップS204では、複数の照明レベルLlのうちから、適切な照明レベルLlが算出される。具体的には、8段階で切り換えられる照明レベルLlを1段階変化させた場合のリードElの輝度変化量が予め実験的に求められて記憶部120に記憶されている。また、適切な輝度分布が満たすべき所定平均値と所定偏差とが予め実験的に求められて記憶部120に記憶されている。そこで、演算処理部110は、照明レベルLlをN番目の撮像画像Iの撮像時のそれから増加あるいは減少させた際のリードElの輝度分布を推定し、この輝度分布の平均値および偏差を求めることで、輝度分布の平均値が所定平均値以上となり、輝度分布の偏差が所定偏差未満となる照明レベルLlの下限を、適切な照明レベルLlとして算出する。
【0038】
こうしてステップS204で適切な照明レベルLlが算出されると、演算処理部110は、照明レベルLlを階級とする度数分布表(図9)において当該照明レベルLlのカウント値をインクリメントする(ステップS205)ここで、図9は照明レベルLlを階級とする度数分布表の一例を示す図である。
【0039】
続くステップS206では、カウント値Nがインクリメントされる。そして、ステップS207では、カウント値Nが所定枚数Nxに到達したかが判断され、カウント値Nが所定枚数Nx未満であると(ステップS207で「NO」)、ステップS202に戻る。これによって、カウント値Nが所定枚数Nxに到達するまで(ステップS207で「YES」)、ステップS202〜S206が繰り返される。その結果、図9に例示するような度数分布表が完成する。そして、ステップS208では、記憶部120に記憶された照明レベルLl、すなわち部品認識で用いる照明レベルLlが、カウント値が最多である照明レベルLlに変更される。
【0040】
こうして、図7のフローチャート、すなわち図5のステップS112の照明レベル推定が完了すると、ステップS113の部品データ作成(図10)が実行される。図10は部品データ作成で実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、この部品データ作成は、照明レベル推定の完了後に自動的に開始しても良いし、部品データ作成が可能である旨を表示/操作ユニット150に表示した上で作業者から開始指令の入力があると開始しても良い。
【0041】
ステップS301では、カウント値Nがゼロにリセットされる。そして、ステップS302では、N番目の撮像画像Iに基づき部品データDpの作成を試行する。この部品データDpの作成は周知の既存技術を適宜利用して実行可能である。この部品データDpの作成の試行においては、複数のパッケージPのうち、N番目の撮像画像Iの特徴に一致する一のパッケージPが探索される。そして、一のパッケージPが探索できずに、部品データDpの作成に失敗した場合(ステップS303で「NO」の場合)には、ステップS305に進む。一方、一のパッケージPが探索でき、部品データDpの作成に成功した場合(ステップS303で「YES」の場合)には、演算処理部110は、パッケージPのタイプを階級とする度数分布表において、当該一のパッケージPのカウント値をインクリメントしてから(ステップS304)、ステップS305に進む。
【0042】
ステップS305では、カウント値Nがインクリメントされる。そして、ステップS306では、カウント値Nが所定枚数Nxに到達したかが判断され、カウント値Nが所定枚数Nx未満であると(ステップS306で「NO」)、ステップS302に戻る。これによって、カウント値Nが所定枚数Nxに到達するまで(ステップS306で「YES」)、ステップS302〜S305が繰り返される。その結果、パッケージPのタイプを階級とする度数分布表が作成される。そして、ステップS307では、カウント値が最多であるタイプのパッケージPが対象パッケージPoの候補に設定される。
【0043】
ステップS308では、設定候補のパッケージPに基づいて、認識パラメーターRを作成する。例えば、リードElの幅Wに対する寸法範囲Wtを求める場合には、所定枚数Nxの撮像画像Iのそれぞれから抽出したリードElの幅Wのうちから、スミルノフ・グラブス検定あるいはトンプソン検定等を用いて外れ値を除外し、残りの値の平均値に対して±3σ(σは標準偏差)の範囲を寸法範囲Wtに設定する。この際、平均値に変えて中央値を用いても構わない。
【0044】
また、部品Eの外形寸法Sに対する寸法範囲を求める場合には、所定枚数Nxの撮像画像Iのうち、部品Eの長さおよび幅の両方について外れ値を有さない撮像画像Iを対象にしても良い。つまり、部品Eの長さについて外れ値を有する撮像画像Iを除外するとともに、部品Eの幅について外れ値を有する撮像画像Iをさらに除外する。そして、残りの撮像画像Iのそれぞれから抽出した部品Eの長さの平均値に対して±3σ(σは標準偏差)の範囲を当該長さの寸法範囲に設定し、部品Eの幅の平均値に対して±3σ(σは標準偏差)の範囲を当該幅の寸法範囲に設定する。この際、平均値に変えて中央値を用いても構わない。
【0045】
こうして図10のフローチャート、すなわち図5のステップS113の部品データ作成が完了すると、ステップS114のデータ更新処理(図11)が実行される。図11はデータ更新処理で実行される処理の一例を示すフローチャートである。ステップS401では、部品データDpの更新を全自動で行うかを問い合わせる画面が表示/操作ユニット150に表示される。そして、全自動で行うとの旨が作業者により表示/操作ユニット150に入力されると、演算処理部110は、搭載オフセット量を算出する。具体的には、記憶部120に現在記憶されている部品データDpおよび新たに作成された部品データDpのそれぞれが示す部品Eの中心位置および傾きの違い、すなわちオフセット量が求められる。そして、新たに作成された部品データDpが示す部品Eの中心位置および傾きがそれぞれのオフセット量だけ補正され、この補正後の部品データDpが記憶部120に記憶・更新される(ステップS403)。これによって、記憶部120の部品データDpに設定される対象パッケージPo、すなわち部品認識で用いるパッケージPが、ステップS307で候補となったカウント値が最多のパッケージPに変更される。
【0046】
一方、全自動で行わないとの旨が作業者により表示/操作ユニット150に入力されると、演算処理部110は、表示/操作ユニット150において部品Eの撮像画像Iに部品データDpを重ねて表示する。そして、作業者は、部品Eの撮像画像Iと部品データDpとの関係を目視で確認した結果、その良否を表示/操作ユニット150に入力する。そして、良好と入力されると(ステップS405で「YES」)、上述と同様にステップS402、403が実行されて、記憶部120に記憶された部品データDpが更新される。一方、不良と入力されると(ステップS405で「NO」)、部品データDpの更新が実行されない。
【0047】
こうして図11のフローチャート、すなわち図5のステップS114のデータ更新処理が完了すると、ステップS115において生産を終了するかが判断される。そして、生産を継続する場合(ステップS115で「NO」の場合)には、ステップS101に戻る一方、生産を終了する場合(ステップS115で「YES」の場合)には、図5のフローチャートを終了する。
【0048】
以上のように構成された実施形態では、実装ヘッド4により保持された部品Eを撮像することで部品Eの撮像画像Iが取得される。そして、タイプの異なる複数のパッケージPのうちから設定された一の対象パッケージPoの特徴を有するとの条件を示す部品データDp(部品認識条件)と撮像画像Iとが比較される。この比較の結果、撮像画像Iが部品データDpを満たす場合には基板Bへの部品Eの実装を実装ヘッド4が実行する一方、撮像画像Iが部品データDpを満たさない場合には実装ヘッド4が部品を廃棄する。また、ここで用いられる部品データDpは、図5の条件調整処理の実行によって撮像画像Iに基づき調整される。特にこの条件調整処理は、複数のパッケージPのうちから対象パッケージPoとして設定されるパッケージPを撮像画像Iに基づき調整する処理を含む。このように、タイプの異なる複数のパッケージPのうちから部品データDpに用いられる対象パッケージPoが、実際に部品Eを撮像した撮像画像Iに基づき調整される。したがって、適切な部品のパッケージPを部品データDpに設定することが可能となっている。その結果、良品の部品Eの誤廃棄が生じるのを抑制可能となっている。
【0049】
また、部品データDpは、対象パッケージPoのリードEl(基準箇所)が所定の寸法範囲Wt内であるとの条件を含む。そして、条件調整処理は、寸法範囲Wtを撮像画像Iに基づき調整する処理を含む。これによって、適切な寸法範囲Wtを部品データDpに設定することができる。その結果、良品の部品Eの誤廃棄が生じるのを抑制可能となっている。
【0050】
また、部品撮像部5は、部品Eに光を照射する照明52を有する。そして、条件調整処理は、照明52が照射する光の強度を撮像画像Iに基づき調整する処理を含む。これによって、適切な強度の光を部品Eに照射しつつ撮像画像Iを取得することができる。
【0051】
また、複数の撮像画像Iを記憶する記憶部120が設けられ、演算処理部110は、記憶部120に記憶された複数の撮像画像Iに基づき部品データDpを調整することで、条件調整処理を実行する。このように複数の撮像画像Iに基づくことで、部品データDpをより的確に調整することが可能となる。
【0052】
また、記憶部120に記憶される複数の撮像画像Iは、部品データDpを満たさないNG撮像画像Inおよび部品データDpを満たすOK撮像画像Ioを含む。かかる構成では、NG撮像画像Inに基づくことで、良品の部品Eを撮像した撮像画像Iであるにも拘らず部品データDpを満たさないと判断されたNG撮像画像Inに基づき部品データDpを的確に調整することができ、良品の部品Eの誤廃棄が生じるのを抑制するのに有利である。しかも、OK撮像画像Ioにも基づくことで、不良の部品Eを撮像したNG撮像画像In(換言すれば、真正のNG撮像画像In)が部品データDpの調整に与える影響を緩和することが可能となっている。こうして、NG撮像画像InおよびOK撮像画像Ioの両方に基づくことで、部品データDpをより的確に調整することが可能となる。
【0053】
また、演算処理部110は、複数のNG撮像画像Inが連続して取得された場合には最初に取得されたNG撮像画像Inのみを記憶部120に保存するとともに、複数のOK撮像画像Ioが連続して取得された場合には最初に取得されたOK撮像画像Ioのみを記憶部120に保存することで、NG撮像画像InとOK撮像画像Ioとを1つずつ交互に記憶部120に保存する。このような構成は、NG撮像画像InとOK撮像画像Ioとの各個数をバランス良く取得することができ、部品データDpを適切に調整するのに資する。
【0054】
また、制御部は、条件調整処理において、撮像画像が満たす特徴を有する一のパッケージを複数のパッケージのうちから特定する演算を記憶部に記憶される複数の撮像画像のそれぞれについて実行し、複数のパッケージのうち、その特徴を満たす撮像画像の個数が最も多い一のパッケージを対象パッケージに設定するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、適切な部品のパッケージタイプを部品認識条件に用いることが可能となる。
【0055】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、テープフィーダー281が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、一対のコンベア12、12が本発明の「基板搬送部」の一例に相当し、実装ヘッド4が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、部品撮像部5が本発明の「部品撮像部」の一例に相当し、演算処理部110が本発明の「制御部」の一例に相当し、照明52が本発明の「照明」の一例に相当し、記憶部120が本発明の「記憶部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、リードElが本発明の「基準箇所」の一例に相当し、寸法範囲Wtが本発明の「寸法範囲」の一例に相当し、パッケージPが本発明の「パッケージ」の一例に相当し、対象パッケージPoが本発明の「対象パッケージ」の一例に相当し、撮像画像Iが本発明の「撮像画像」の一例に相当し、NG撮像画像Inが本発明の「第1撮像画像」の一例に相当し、OK撮像画像Ioが本発明の「第2撮像画像」の一例に相当し、部品データDpが本発明の「部品認識条件」の一例に相当し、ステップS103〜S114が本発明の「条件設定処理」の一例に相当し、照明レベルLlが本発明の「光の強度」の一例に相当する。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、部品供給部としてテープフィーダー281が用いられていた。しかしながら、部品供給部として使用可能なフィーダーはテープフィーダー281に限られず、例えばスティックフィーダーあるいはトレイフィーダーであっても良い。
【0057】
また、図5のフローチャートにおいて、例えばステップS112の照明レベル推定や、ステップS114のデータ更新処理等を省略しても良い。後者の場合は、図10のステップS307、S308で求められた対象パッケージPoおよび認識パラメーターRをそのまま記憶部120の部品データDpに上書きしても良い。
【0058】
また、撮像画像Iを記憶部120に保存する枚数Nxは20枚に限られない。また、NG撮像画像InとOK撮像画像Ioとを1枚ずつ交互に記憶部120に記憶する必要も必ずしも無い。
【0059】
また、部品Eの基準箇所の具体例は、上記のリードElに限られない。
【0060】
また、部品EのパッケージPは、上記の図3の例に限られない。
【符号の説明】
【0061】
1…部品実装機、281…テープフィーダー(部品供給部)、12…コンベア(基板搬送部)、4…実装ヘッド、5…部品撮像部、110…演算処理部(制御部)、52…照明、120…記憶部、B…基板、E…部品、El…リード(基準箇所)、P…パッケージ、Po…対象パッケージ、I…撮像画像、In…NG撮像画像(第1撮像画像)、Io…OK撮像画像(第2撮像画像)、Dp…部品データ(部品認識条件)、S103〜S114…条件設定処理、Wt…寸法範囲、Ll…照明レベル(光の強度)
図1
図2
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図4
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図6
図7
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図10
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