(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765767
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】射出吹込成形機の運転方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/06 20060101AFI20200928BHJP
B29C 45/10 20060101ALI20200928BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20200928BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20200928BHJP
B29C 49/56 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
B29C49/06
B29C45/10
B29C45/17
B29C45/64
B29C49/56
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-244884(P2017-244884)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-111671(P2019-111671A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】河口 倫範
【審査官】
▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−035667(JP,A)
【文献】
特開2013−224042(JP,A)
【文献】
特開2017−024330(JP,A)
【文献】
特開2000−289094(JP,A)
【文献】
特開2017−024342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 − 49/80
B29C 33/00 − 33/76
B29C 45/00 − 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型盤装置が固定盤と、型締機構により型開閉される可動盤と、前記固定盤と前記可動盤の間に設けられている中間盤とからなり、前記固定盤には射出成形用金型が前記可動盤にはブロー成形用金型がそれぞれ設けられ、前記型盤装置を型締めし、射出装置から樹脂を射出すると前記射出成形用金型においてパリソンが成形され、型開きするとパリソンは前記中間盤に残され、そして前記中間盤を反転的に回転させて前記中間盤のパリソンを前記可動盤に対向させ、前記型盤装置を型締めし、前記ブロー成形用金型によりブロー成形するとパリソンから中空成形品が成形されるようになっている射出吹込成形機の運転方法であって、
前記中間盤は回転角度を検出するエンコーダを備えた中間盤回転用サーボモータが設けられ、これによって回転するようになっており、
前記型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に前記中間盤回転用サーボモータをサーボフリー状態にして実施することを特徴とする射出吹込成形機の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の射出吹込成形機の運転方法において、前記中間盤は、前記可動盤あるいは前記固定盤に所定のボールネジ機構と中間盤開閉用サーボモータとからなる中間盤開閉機構が設けられ、これによって前記可動盤あるいは前記固定盤に対して型開閉するようになっており、
前記型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に前記中間盤開閉用サーボモータをサーボフリー状態にして実施することを特徴とする射出吹込成形機の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形によりパリソンを成形する射出成形機と、ブロー成形によりパリソンから中空成形品を成形するブロー成形機とが一体化された射出吹込成形機の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の中空容器の多くはブロー成形法により成形される。ブロー成形法は、例えば二つ割の金型を使用する。金型には成形品の外側を形成するためのキャビティが形成されており、二つ割の金型によって加熱した中空の樹脂すなわちパリソンを挟み込み、パリソンの内側に空気を吹き込む。そうするとパリソンは膨張してキャビティに押し付けられる。すなわち中空成形品が得られる。樹脂が冷却固化したら金型を開いて中空成形品を取り出す。ところでパリソンには、いわゆるダイレクトブロー成形法において押し出されて出てくるパイプ状のパリソンもあるし、有底のパリソンもある。有底のパリソンは射出成形によって成形することができる。射出成形によりパリソンを成形し、このパリソンからブロー成形する方法は、インジェクションブロー成形法と呼ばれている。さらに射出成形したパリソンを冷却せずに速やかにブロー成形する場合は、ホットパリソン・インジェクションブロー成形法と呼ばれることもある。
【0003】
ホットパリソン・インジェクションブロー成形法は、パリソンを冷却せずに使用するので、換言するとパリソンを再加熱せずに使用するのでエネルギーの無駄が少なく優れている。ホットパリソン・インジェクションブロー成形法を効率よく実施できる装置として、射出吹込成形機が知られている。射出吹込成形機は、例えば特許文献1に記載されているように周知であり、射出成形機とブロー成形機が一体化されたような構造からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−35667号公報
【0005】
一般的に射出吹込成形機は、固定盤と可動盤とこれらの間に設けられている中間盤とを備えている。可動盤は型開閉機構によって駆動されるようになっており、中間盤は、所定の中間盤開閉機構によって駆動されるようになっている。固定盤には射出成形用金型が設けられ、固定盤の背面に設けられている射出装置のノズルが射出成形用金型のスプルにタッチしている。固定盤と中間盤とが型閉じされると、射出成形用金型と中間盤の所定の部分とによってパリソンを成形するためのキャビティが形成されるようになっている。一方、可動盤には可動盤上でスライドする二つ割のブロー成形用金型が設けられている。中間盤と可動盤とが型閉じされ、そして二つ割のブロー成形用金型がスライドして一体化するとブロー成形用のキャビティが形成されるようになっている。射出吹込成形機においては射出成形により得られたパリソンを中間盤に残すようにし、これをブロー成形するために中間盤の反対側に移動させる必要がある。特許文献1に記載の射出吹込成形機においては、中間盤には中間盤に対して回転する回転枠と、この回転枠によって移動される成形品把持装置が設けられており、これによって射出成形用金型と中間盤との間で射出成形されたパリソンが成形品把持装置によって把持されて回転枠によって回転し、中間盤の反対側の面、すなわち可動盤側に移動するようになっている。しかしながら、多くの射出吹込成形機においては、中間盤が反転的に回転するようになっている。このような射出吹込成形機においては、射出成形によって得られたパリソンを中間盤に残すようにし、中間盤を反転させるだけでパリソンを中間盤の反対側に移動させることができる。射出吹込成形機において、中空成形品を成形するには次のようにする。中間盤開閉機構によって中間盤と固定盤とを型閉じすると共に型開閉機構により可動盤を駆動して可動盤と中間盤とを型閉じする。射出装置から樹脂を射出すると、固定盤と中間盤の間で型閉じされている射出成形用金型内のキャビティにパリソンが成形される。型開閉機構を駆動して可動盤を開くと共に中間盤開閉機構を駆動して中間盤を固定盤に対して開く。そうするとパリソンが中間盤に残る。中間盤を反転的に回転させパリソンを移動する。再び、前記したようして中間盤と固定盤とを型閉じすると共に可動盤と中間盤とを型閉じする。可動盤に設けられている二つ割のブロー成形用金型をスライドして一体化させると、パリソンがブロー成形用金型で挟み込まれた状態になる。ブロー成形を実施して中空成形品を成形する。このとき射出装置から樹脂を射出して、射出成形用金型において次のパリソンを成形する。可動盤を開き、そして中間盤を固定盤に対して開き、中空成形品を得る。中間盤を回転して射出成形されたパリソンを反対側に移動する。以下、同様にして成形する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の射出吹込成形機は、ホットパリソン・インジェクションブロー成形法により樹脂製中空容器を成形することができる。射出成形からブロー成形まで1台の機械で実施できるので、汚れの付着の心配もないし、製造効率が高い。そしてパリソンは冷却することなくブロー成形できるので、エネルギー効率が高く優れている。しかしながら、射出吹込成形機には解決すべき問題も見受けられる。多くの射出吹込成形機においては中間盤は反転的に回転するようになっている。中間盤の回転を油圧モータによって駆動する場合には、回転盤の回転位置を検出するセンサが複数個必要になるし制御が困難になる。回転盤を回転させ正確な反転位置で停止させるには、反転位置の手前から減速を開始しなければならないからであって、複数個のセンサが必要になり、かつ難しい制御をしなければならないからである。そうすると制御装置等の費用が嵩むし、調整のためのコストもかかる。一方、中間盤の回転をサーボモータで実施するようにすれば精度良く反転位置に回転させることはできる。サーボモータは1個のエンコーダによって正確に回転角度を制御できるからである。そうするとサーボモータを採用する方が、コストの面で有利であるし、制御も容易である。しかしながらサーボモータによる制御は精度が高い反面、遊びがないという問題がある。遊びがないために、型締時においてボールネジ等の機械部品に負担がかかり、機械部品が早期に劣化してしまう。
【0007】
本発明は、上記したような問題点を解決した、射出吹込成形機の運転方法を提供することを目的としており、具体的には、中間盤を精度良く回転して成形サイクルを効率よく実施することができ、中間盤の駆動に必要なボールネジ等の機械部品の劣化の問題がない、射出吹込成形機の運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、型盤装置が固定盤と、型締機構により型開閉される可動盤と、前記固定盤と前記可動盤の間に設けられて反転的に回転する中間盤とからなる射出吹込成形機の運転方法として構成される。固定盤には射出成形用金型が可動盤にはブロー成形用金型が設けられており、射出成形によりパリソンを形成し、これをブロー成形するようになっている。中間盤は回転角度を検出するエンコーダを備えた中間盤回転用サーボモータが設けられ、これによって回転するようになっている。本発明において型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に中間盤回転用サーボモータ
をサーボフリー状態にして実施するように構成する。また中間盤は、所定のボールネジ機構と中間盤開閉用サーボモータとからなる中間盤開閉機構によって可動盤あるいは固定盤に対して型開閉するようになっている。型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に中間盤開閉用サーボモータによる制御を停止して実施する。
【0009】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、型盤装置が固定盤と、型締機構により型開閉される可動盤と、前記固定盤と前記可動盤の間に設けられている中間盤とからなり、前記固定盤には射出成形用金型が前記可動盤にはブロー成形用金型がそれぞれ設けられ、前記型盤装置を型締めし、射出装置から樹脂を射出すると前記射出成形用金型においてパリソンが成形され、型開きするとパリソンは前記中間盤に残され、そして前記中間盤を反転的に回転させて前記中間盤のパリソンを前記可動盤に対向させ、前記型盤装置を型締めし、前記ブロー成形用金型によりブロー成形するとパリソンから中空成形品が成形されるようになっている射出吹込成形機の運転方法であって、前記中間盤は回転角度を検出するエンコーダを備えた中間盤回転用サーボモータが設けられ、これによって回転するようになっており、前記型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に前記中間盤回転用サーボモータ
をサーボフリー状態にして実施することを特徴とする射出吹込成形機の運転方法。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の射出吹込成形機の運転方法において、前記中間盤は、前記可動盤あるいは前記固定盤に所定のボールネジ機構と中間盤開閉用サーボモータとからなる中間盤開閉機構が設けられ、これによって前記可動盤あるいは前記固定盤に対して型開閉するようになっており、前記型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に前記中間盤開閉用サーボモータ
をサーボフリー状態にして実施することを特徴とする射出吹込成形機の運転方法として構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明は、射出吹込成形機の運転方法として構成される。対象としている射出吹込成形機は、型盤装置が固定盤と、型締機構により型開閉される可動盤と、固定盤と可動盤の間に設けられている中間盤とからなり、固定盤には射出成形用金型が前記可動盤にはブロー成形用金型がそれぞれ設けられ、型盤装置を型締めし、射出装置から樹脂を射出すると射出成形用金型においてパリソンが成形され、型開きするとパリソンは中間盤に残され、そして中間盤を反転的に回転させて中間盤のパリソンを可動盤に対向させ、型盤装置を型締めし、前記ブロー成形用金型によりブロー成形するとパリソンから中空成形品が成形されるようになっている。そして中間盤は回転角度を検出するエンコーダを備えた中間盤回転用サーボモータが設けられ、これによって回転するようになっている。本発明において、型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に中間盤回転用サーボモータ
をサーボフリー状態にして実施するように構成されている。つまり中間盤回転用サーボモータはサーボフリー状態にして型締めすることになる。型締時には中間盤に力が作用することになり、中間盤回転用サーボモータにおいて回転角度の制御を実施していると、中間盤回転用サーボモータに強い負荷がかかる場合があるが、サーボフリー状態になっているので中間盤回転用サーボモータには負荷がかからない。中間盤回転用サーボモータや、回転を伝達する機械構造に負担がかからず劣化の虞がない。他の発明によると、中間盤は、可動盤あるいは固定盤に所定のボールネジ機構と中間盤開閉用サーボモータとからなる中間盤開閉機構が設けられ、これによって可動盤あるいは固定盤に対して型開閉するようになっている。そして型盤装置の型締めは、金型がタッチする前に中間盤開閉用サーボモータ
をサーボフリー状態にして実施するように構成されている。つまり中間盤開閉用サーボモータはサーボフリー状態にして型締めすることになる。これによって中間盤開閉用サーボモータだけでなくボールネジ機構に対して負荷がかかることを防止でき、これらの劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る射出吹込成形機を模式的に示す図であり、その(ア)は型盤装置を型開きした状態における、その(イ)は型閉じした状態における、射出吹込成形機の正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る射出吹込成形機において中空成形品を成形する方法を模式的に説明する図で、その(ア)〜(ク)は射出吹込成形機の一部をそれぞれの工程において示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る射出吹込成形機における運転方法を示すフローチャートであり、その(ア)は型締時の、その(イ)は型開きして中間盤を反転するときの、それぞれの運転方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について説明する。本実施の形態に係る射出吹込成形機1は、
図1の(ア)、(イ)に示されているように、型盤装置2と、射出装置3と、図に示されていない高圧空気供給装置とから概略構成されている。型盤装置2は、ベッドに固定されている固定盤5と、ベッドに対してスライドして型開閉されるようになっている可動盤6と、固定盤5と可動盤6の間に設けられベッドに対してスライドするようになっている中間盤8と、型締ハウジング10と、4本のタイバー11、11、…と、型締機構13等から構成されている。タイバー11、11、…は固定盤5と型締ハウジング10を連結しており、可動盤6と中間盤8は、タイバー11、11、…に挿通されている。型締機構13は型締ハウジング10と可動盤6の間に設けられており、本実施の形態においてはクロスヘッド15を備えたトグル機構16からなる。クロスヘッド15は、型開閉モータ18とボールネジ機構19とによって駆動され、クロスヘッド15を駆動するとトグル機構16が伸張して可動盤6が前後にスライドされる。すなわち型開閉されるようになっている。
【0013】
固定盤5には、射出成形用金型21が設けられている。射出成形用金型21にはパーティングラインに複数個の凹部21a、21b、…が明けられている。これらはブロー成形に使用される樹脂の有底の中空体、すなわちパリソンを射出成形により成形するための凹部21a、21b、…になっている。
図1においては凹部21a、21b、…は3個だけが示されているが、実際には多数の凹部が設けられている。例えば縦方向に8個、横方向に8個の全部で64個の凹部が形成されている。この場合、同時に64個のパリソンが成形されることになる。固定盤5には背面に射出装置3が設けられ、射出装置3の射出ノズル3aが射出成形用金型21の図示されていないスプルに当接している。
【0014】
可動盤6には、複数対のブロー成形用金型23A、23a、23B、23b、…が設けられている。それぞれ一対のブロー成形用金型23A、23aは、2つ割状の金型23A、23aからなり、可動盤6上をスライドして互いに離間したり一体化するようになっている。一対の金型23A、23aには、内部に凹部が形成されており、一対の金型23A、23aをスライドして一体化すると、これらの凹部から、中空成形品の外周面を形成するためのキャビティが構成されるようになっている。ブロー成形用金型23A、23a、23B、23b、…の対の個数は、射出成形用金型21の凹部21a、21b、…の個数と同数になっている。従って、射出成形用金型21において一度に射出成形されるパリソンの個数と同数の中空成形品を一度にブロー成形できるようになっている。
【0015】
本実施の形態において中間盤8は反転的に回転する。正確に説明すると中間盤8はタイバー11、11、…に沿ってスライドする外側の枠体部25と、この枠体部25の内側に設けられ枠体部25に対して回転自在に支持されている本体部26とからなる。この本体部26が
図1の(ア)において、矢印で示されているように反転的に回転する。このような中間盤8の本体部26にはその両面にコア30、30、…が設けられている。これらのコア30、30、…は、型盤装置2が型締めされるとき固定盤5に対向している面のコア30、30、…が射出成形用金型21の凹部21a、21b、…のそれぞれに挿入され、パリソン成形用のキャビティが構成されるようになっている。また、可動盤6に対向している面のコア30、30、…は、パリソンが設けられた状態でそれぞれの組のブロー成形用金型23A、23a、23B、23b、…の間に挿入されるようになっている。コア30、30、…は先端に空気の噴出部が形成されており、高圧空気供給装置からの高圧空気が先端から噴出されるようになっている。
【0016】
本実施の形態に係る射出吹込成形機1は、中間盤8を駆動する2個の駆動機構が設けられている。第1の駆動機構は、中間盤8を可動盤6に対して型開閉させる中間盤開閉機構14であり、第2の駆動機構は、中間盤8を反転的に回転させる、つまり本体部26を反転的に回転させる回転機構である。
【0017】
中間盤開閉機構14は可動盤6と中間盤8とに設けられており、ボールネジ機構32とこれを回転する中間盤開閉用サーボモータ33とから構成されている。詳しく説明すると、ボールネジ機構32のボールナット35は中間盤8の枠体部25に固定され、これがボールネジ36に螺合している。中間盤開閉用サーボモータ33は可動盤6に設けられており、ボールネジ36を回転するようになっている。中間盤開閉用サーボモータ33はエンコーダを備えており、フィードバック制御により精度良くボールネジ36を回転させて中間盤8を可動盤6に対して正確な位置に開閉できるようになっている。
【0018】
中間盤8を反転的に回転させる回転機構は、中間盤回転用サーボモータ38からなる。中間盤回転用サーボモータ38は中間盤8の枠体部25に設けられ、直接本体部26を回転するようになっている。中間盤回転用サーボモータ38もエンコーダを備えており、フィードバック制御により回転位置を制御して中間盤8を、すなわち本体部26を反転させることができる。
【0019】
これらの回転盤8の2個の駆動機構はサーボモータ33、38からなるのでフィードバック制御により正確に型開閉位置や回転位置を制御することができるが、遊びがないため、所定の外力が作用すると劣化し易い。本実施の形態に係る射出吹込成形機1においては、これらの駆動機構の劣化を防止するため、所定の運転方法を実施する。以下、射出吹込成形機1によって中空成形品を成形する方法を説明しながら、その運転方法について説明する。
【0020】
図2の(ア)に示されているように、型盤装置2が型開きされた状態から説明する。この状態のとき、中間盤回転用サーボモータ33は中間盤8すなわち本体部26が正確に垂直状態になるように回転位置を制御している。この状態から型盤装置2を型締めする。
図3の(ア)のフローチャートに示されているように、最初に中間盤開閉用サーボモータ33を駆動して中間盤8を可動盤6に対して型閉じさせる。次いで、型開閉モータ18によりトグル機構16を駆動して可動盤6を型閉じ方向に駆動する。そうすると可動盤6と中間盤8とが固定盤5方向に駆動される。中間盤8と固定盤5とが型閉じされる直前、つまり金型21がタッチする直前に、中間盤開閉用サーボモータ33と中間盤回転用サーボモータ38の制御を停止する。すなわちサーボフリー状態にする。引き続き、型開閉モータ18によりトグル機構16を駆動して型締めする。中間盤開閉用サーボモータ33と中間盤回転用サーボモータ38はサーボフリーになっているので、型締時に力が作用しない。これによって中間盤開閉用サーボモータ33と中間盤回転用サーボモータ38、およびボールネジ機構32に負荷がかからず、これらの劣化が防止される。型締めされた状態が
図2の(イ)に示されている。射出成形用金型21の凹部21aと中間盤8のコア30とによってキャビティが形成される。射出装置3から樹脂を射出すると、
図2の(ウ)に示されているように、パリソン40が成形される。
【0021】
図2の(エ)に示されているように型盤装置2を型開きしてパリソン40をコア30に残し、次いで
図2の(オ)に示されているように回転盤8、すなわち本体部26を反転的に回転させる。これらの手順を
図3の(イ)のフローチャートによって説明する。最初にトグル機構16を駆動して、固定盤5に対して可動盤6と中間盤8とを型開きする。中間盤開閉用サーボモータ33を駆動して可動盤6に対して中間盤8を型開きする。中間盤開閉用サーボモータ33の駆動は固定盤5と可動盤6とが離間したら直ちに開始しても良い。型盤装置2が完全に型開きしたら、中間盤回転用サーボモータ38を駆動して、中間盤8すなわち本体部26を反転的に回転する。中間盤開閉用サーボモータ33と中間盤回転用サーボモータ38は制御を維持した状態で完了する。
【0022】
このとき
図2の(オ)に示されているように、パリソン40はブロー成形用金型23A、23aに対向している。既に説明した順序で型盤装置2を型締めする。なお、型締め直前に、
図2の(カ)に示されているように、一対のブロー成形用金型23A、23aをスライドして一体化する。そうするとパリソン40は一対のブロー成形用金型23A、23aによって挟まれた状態になる。高圧空気供給装置を駆動してコア30から高圧空気を吹き込むと、
図2の(キ)に示されているように、中空成形品41が成形される。このとき、同時に射出成形用金型21に樹脂を射出してパリソン40を成形する。既に説明した順序で型盤装置2を型開きし、一対のブロー成形用金型23A、23aを開く。そうすると
図2の(ク)に示されているように中空成形品41が得られ、パリソン40が中間盤8に残された状態で型開きされる。以下同様に成形する。
【0023】
本実施の形態に係る射出吹込成形機1や、その運転方法は色々な変形が可能である。例えば射出吹込成形機1については、中間盤8の本体部26は中間盤回転用サーボモータ38によって直接回転するように説明したが、所定の減速機を介して回転させるようにしてもよい。また、中間盤開閉機構14は、可動盤6と中間盤8とに設けるように説明したが、固定盤5と中間盤8とに設けてもよい。この場合ボールネジ機構32を駆動する中間盤開閉用サーボモータ33は固定盤5に設けることになる。さらに中間盤8についてはその反転、つまり回転の方向を変形することができる。本実施の形態においては中間盤8の本体部26は水平な回転軸周りに回転するようになっているが、垂直な回転軸周りに回転するようになっていてもよい。本実施の形態に係る運転方法において、型締時に中間盤開閉用サーボモータ33と中間盤回転用サーボモータ38とをサーボフリーにするのは中間盤8と固定盤5とが型閉じされる直前に実施するように説明した。しかしながら、直前でなくてもよい。一般的に金型には型閉時に金型がずれないようにガイドピンとガイド穴とが設けられている。詳しく説明しなかったが、射出成形機用金型21にもガイドピンとガイド穴とが設けられている。型閉じによりガイドピンがガイド穴に挿入されたら、中間盤開閉用サーボモータ33と中間盤回転用サーボモータ38とをサーボフリーにすればよい。
【符号の説明】
【0024】
1 射出吹込成形機 2 型盤装置
3 射出装置 5 固定盤
6 可動盤 8 中間盤
10 型締ハウジング 11 タイバー
13 型締機構 14 中間盤開閉機構
21 射出成形用金型 21a 凹部
23A、23a ブロー成形用金型
25 枠体部 26 本体部
30 コア 32 ボールネジ機構
33 中間盤開閉用サーボモータ
35 ボールナット 36 ボールネジ
38 中間盤回転用サーボモータ
40 パリソン
41 中空成形品