(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途に対応した種々の電子機器が実用化され広く普及している。例えば、水中や海中等での使用を可能とするための、いわゆる防水機能を具備して構成される防水機器が一般に実用化されている。
【0003】
この種の電子機器の一例として、例えば静止画像や動画像を取得するための撮像装置がある。この撮像装置は、例えば撮像光学系により結像された光学像を撮像素子等を用いて順次画像信号に変換して画像信号を取得し、取得された画像信号に基く画像を表示装置を用いて順次連続的に表示し得るように構成されている。また、当該撮像装置は、撮像指示信号が発生した時には、その指示信号の発生時点若しくはその前後の所定期間における静止画像若しくは動画像の画像信号を取得して、その画像信号を所定の形態の画像データに変換した後、記憶媒体に記録する機能を有する。さらに、当該撮像装置は、再生指示信号が発生した時には、記憶媒体に記録済みの画像データを所定の形態の画像信号に変換して、その画像信号に基く画像を表示装置を用いて再生表示し得るように構成されている。
【0004】
このような形態の撮像装置においては、撮像光学系を含むレンズユニットをボディ本体に対して着脱自在に構成したいわゆるレンズ交換型の撮像装置がある。また、レンズユニットとボディ本体とを一体に構成したレンズ一体型の撮像装置等であっても、レンズユニットの前面部位若しくはボディ本体の所定の部位に、例えばコンバージョンレンズや照明装置等のアクセサリを着脱自在となるように構成されているものがある。
【0005】
このような構成の従来の撮像装置においては、ボディ本体とレンズユニットとの着脱を実現するため、若しくはボディ本体又はレンズユニットと各種のアクセサリとの着脱を実現するための着脱機構が設けられている。そして、当該着脱機構においては、各ユニット同士の装着状態をロックして、機器の使用中等に意図せずに装着状態が外れてしまうことを防止するためのロック機構が設けられているものがある。この種のロック機構については、例えば特開2008−83377号公報(特許文献1)等によって、従来種々のものが提案されている。
【0006】
上記特開2008−83377号公報等によって開示されている着脱機構は、レンズユニットとカメラボディの装着状態をロックするために、レンズユニットを係止するロック部材と、このロック部材によるレンズユニットのロック状態を押圧操作することで解除するロック解除用操作ボタンと、上記ロック部材と上記ロック解除用操作ボタンとを連結する連結部材と、上記ロック解除用操作ボタンを一方向に付勢することで上記ロック部材のロック状態を維持する付勢ばねとを備えて構成されている。
【0007】
この場合において、ロック部材は、連結部材の一端部と一体に固設されている(例えばカシメ固定)。また、連結部材の他端部は、ロック解除用操作ボタンの押圧操作を受けて当該ロック解除用操作ボタンと同方向に移動し得るように構成されている。そして、ロック解除用操作ボタンは、上記付勢ばねによって常に一方向へと付勢されている。
【0008】
このような構成により、ロック解除用操作ボタンは、操作力量を加えない通常状態では、付勢ばねによって一方向に常に付勢されており、ロック部材のロック状態を維持している。また、ロック解除用操作ボタンを付勢ばねの付勢力に抗して押圧操作すると、押圧操作方向に連結部材が移動し、この連結部材を介してロック部材も同方向に同じ移動量だけ移動する。これにより、ロック部材によるレンズユニットの係止が解除され、よって、レンズユニットの装着状態のロック状態は解除し得る状態となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を各構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これら各図面に記載された構成要素の数量や構成要素の形状や構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関し、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0021】
本発明のロック機構は、電子機器(例えば防水機能を備えた撮像装置(デジタルカメラ)等に対してアクセサリ若しくは交換レンズを着脱する着脱機構において、それらの装着状態の外れを防止するための機構ユニットである。
【0022】
以下に説明する一実施形態によって例示するロック機構は、例えば水中や海中等での使用を可能とするための防水機能を具備すると共に、防塵機能,耐衝撃機能,耐候機能を持たせて構成される防水機器としての撮像装置、例えばデジタルカメラ(単にカメラともいう)に適用される場合の一例である。
【0023】
なお、上記撮像装置は、具体的には例えば、撮像光学系により結像された光学像を撮像素子等を用いて順次画像信号に変換し、これにより取得された画像信号に基く画像を表示装置を用いて順次連続的に表示する。また、当該撮像装置は、撮像指示信号が発生した時には、その指示信号の発生時点若しくはその前後の所定期間における静止画像若しくは動画像の画像信号を取得する。そして、当該撮像装置は、取得した画像信号を所定の形態の画像データに変換して記憶媒体に記録する。さらに、当該撮像装置は、再生指示信号が発生した時には、記憶媒体に記録済みの画像データを所定の形態の画像信号に変換して、その画像信号に基く画像を表示装置を用いて再生表示し得る。本実施形態の説明ではこれに加えて、当該撮像装置は、水中若しくは海中等での使用を可能とするための防水機能のほか、防塵,耐衝撃,耐候機能を具備して構成されているものである。
【0024】
また、本実施形態においては、当該撮像装置の各面について以下のように定義する。当該撮像装置の使用時において被写体に対向する面を前面というものとする。また、当該撮像装置の使用時に使用者が対面する面を背面というものとする。そして、当該撮像装置に設けられる複数の操作部材のうち例えばシャッターレリーズボタンが配設されている面を上面というものとする。さらに、当該撮像装置の上面に対向する面を底面というものとする。また、当該撮像装置の通常の使用状態で両側に配置される面を左側面及び右側面というものとする。この場合における左右の判別は、被写体側から当該撮像装置の前面に向かって見たときの左側又は右側をそれぞれ左又は右として区別するものとする。
【0025】
まず、本実施形態のロック機構20(
図4参照)が適用される防水機器としての撮像装置1(デジタルカメラ)の概略構成について、
図1,
図2,
図3を用いて以下に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態のロック機構が適用される防水機器(撮像装置)の主に前面を示す外観斜視図である。
図2は、
図1の防水機器(撮像装置)の外装部材の一部(トップカバー,右側面カバー及びレンズ周縁装飾環)を取り外した状態を示す要部外観斜視図である。
図3は、
図2の状態の防水機器(撮像装置)からさらに外装部材の他の一部(前面カバー)を取り外した状態を示す要部外観斜視図である。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態のロック機構を取り出して分解した状態を拡大して示す要部拡大分解斜視図である。
図5は、本発明の一実施形態のロック機構を簡略化して概念的に示す概念図である。この
図5は、本実施形態のロック機構を
図4の矢印符号[5]で示す方向から見た際の矢視図である。
【0028】
図6は、
図1の矢印符号[6]で示す平面に沿う断面図である。ここで、
図6は、ロック解除ボタン8(操作部材)を含むロック機構の断面(一部)を主に示すものである。また
図7は、
図6の矢印符号[7]で示す領域を拡大して示す要部拡大断面図である。
【0029】
図8は、
図1の矢印符号[8]で示す平面に沿う断面に相当し、コンバージョンレンズ装着状態の断面図である。つまり、
図8においては、レンズ周縁装飾環12に代えてアクセサリ等の一例としてコンバージョンレンズ21を装着した状態の断面を示している。
【0030】
図9は、
図1の矢印符号[9]で示す平面に沿う断面図である。ここで、
図9は、ロック解除ボタン8(操作部材)を含むロック機構の断面を主に示すものである。
【0031】
なお、
図3,
図6〜
図9等においては、本発明とは直接関わりのない内部構成部材、例えば本体筐体の内部に収納配置される各種の構成ユニット、具体的には例えば撮像光学系や撮像素子等を含む撮像ユニットや、表示パネル等を含む表示ユニット、制御用メイン基板等を含む電気的な構成ユニット等のほか、上記本体筐体の外部に設けられる各種の操作部材等の図示を省略している。
【0032】
本実施形態のロック機構20が適用される撮像装置1は、基本筐体となる本体筐体10(
図1では不図示;
図2,
図3参照)と、この本体筐体10の内部に収納される各種の構成ユニット(例えば撮像光学系や撮像素子等を含む撮像ユニット、表示パネル等を含む表示ユニット、制御用メイン基板等を含む電気的な構成ユニット等;いずれも不図示)と、上記本体筐体10の外面を覆う複数の外装部材(2,3L,3R;
図3では不図示;
図1,
図2参照)と、複数の操作部材(4〜8;
図1参照,
図2,
図3では符号8以外は不図示)等を有して構成されている。
【0033】
上記本体筐体10は、内部に空間を有して形成される形状、例えば略矩形箱型形状の基本構成部材である。この本体筐体10の内部には、上述したように、不図示の各種の構成ユニットが収納配置されている。
【0034】
上記本体筐体10の外面は、複数の外装部材(2,3L,3R)によって覆われている。例えば、前面カバー2は、上記本体筐体10の外面の各面のうち主に前面,上面の一部,底面,左右側面の一部を覆うように形成されている。また、トップカバー3(L,R)は、上記本体筐体10の上面の所定の部位(左右肩部)を覆うように形成されている。なお、外装部材は、上述の前面カバー2,トップカバー3(L,R)以外にも、例えば上記本体筐体10の背面の一部を覆う背面カバー等がある。この背面カバーは、
図1においては見えない部分であるので、その図示及び説明は省略する。
【0035】
上記前面カバー2の略中央部分には、略円形状の撮像用開口2aが形成されている(
図1,
図2参照)。これに対応して、上記本体筐体10の前面には、その略中央部分に略円形状の撮像用開口10aが形成されている(
図2,
図3参照)。なお、当該撮像装置1においては、上記撮像用開口2a,10aを略円形状として例示しているが、これに限られることはなく他の形状であってもよい。
【0036】
上記本体筐体10に対して上記前面カバー2を組み付けた状態とした時(
図1,
図2の状態とした時)、上記撮像用開口2a,10aは略一致するように構成されている。これら撮像用開口2a,10aは、被写体からの光束を当該撮像装置1の内部に導入するための開口である。つまり、筐体(本体筐体10)は、光束を通過させるための開口(撮像用開口10a)を有している。なお、
図1〜
図3に示す符号Oは、上記撮像用開口2a,10aの略中心軸を示し、同時に、当該撮像装置1の撮像光学系に入射する被写体からの光束の光軸を示す。
【0037】
上記撮像用開口10aの外周縁部には、
図2,
図3に示すように、アクセサリ若しくは交換レンズ(以下、単にアクセサリ等というものとする)を着脱する着脱機構の一部である複数のバヨネット爪10cと、当該着脱機構によるアクセサリ等の装着状態の外れを防止するロック機構20が設けられている。なお、ロック機構20の詳細な説明は後述する。
【0038】
上記複数のバヨネット爪10cは、例えばアクセサリ等のがわに設けられる被係合部(不図示)との間でバヨネット結合を実現する着脱機構における構成部の一つである係合部である。本撮像装置1は、当該着脱機構を具備することによって、前面の所定の部位(撮像用開口2a,10a周りの部位)に対して、複数種類のアクセサリ等のうちの一つを択一的に装着し得ると共に、装着したアクセサリ等を簡単に取り外しすることができるように構成されている。
【0039】
図1に示す状態(
図6も参照)においては、上記複数のバヨネット爪10cを用いて、外装部材の一部であるレンズ周縁装飾環12が装着されている状態を示している。
【0040】
このレンズ周縁装飾環12は、撮像用開口2a,10aの外周縁部を覆い得るように略円環形状に形成された装飾用の外装部材である。そのために、当該レンズ周縁装飾環12は、上記複数のバヨネット爪10cに対応して係合される被係合部であって、アクセサリ等に設けられるものと同形態の被係合部(不図示)を有して形成されている。
【0041】
なお、後述する
図8に示す状態においては、撮像装置1の前面に装着されるアクセサリ等の装着例の一例としてアダプタ22を介してコンバージョンレンズ21が装着されているようすを示している。この場合において、アダプタ22は上記複数のバヨネット爪10cを用いて本体筐体10との間でバヨネット結合している。そして、アダプタ22の前面側に設けられた雌ネジ部22aに対して、コンバージョンレンズ21の雄ネジ部21aをネジ結合させることで装着状態としている。
【0042】
一方、上記前面カバー2の前面の右上部には、略矩形状の閃光発光窓2bが形成されている(
図1,
図2参照)。これに対応して、上記本体筐体10の前面の右上部には、略矩形状の閃光発光窓用開口10bが形成されている(
図3参照)。そして、これら閃光発光窓2b及び閃光発光窓用開口10bには、閃光発光装置の発光部(不図示)が配設されている。
【0043】
上記複数の操作部材(4〜8)は、上記外装部材(2,3L)の外表面から一部が露呈するように配設されている(
図1参照)。
【0044】
例えば、上記前面カバー2の前面において上記撮像用開口2aの近傍には、ロック解除ボタン8が配設されている。このロック解除ボタン8は、上記撮像用開口2aの周縁に装着するアクセサリ等の着脱時に操作する操作部材である。このロック解除ボタン8は、例えば押圧操作式の操作部材である。
【0045】
上記ロック解除ボタン8は、本体筐体10の外面に設けられ、着脱機構によるアクセサリ等の装着状態の外れを防止するためのロック機構20の一部を構成する構成部材である。このロック解除ボタン8は、当該ロック機構20に機械的に連動するように構成されている。なお、上記ロック機構20は、本発明の要旨となる構成ユニットであり、その詳細構成の説明は後述する。
【0046】
上記トップカバー3Lには、複数の操作部材(4〜7)が配設されている。ここで、当該トップカバー3Lは、本撮像装置1の外面の一部(上面の左肩部)を覆う外装部材である。当該トップカバー3Lは、上記複数の操作部材(4〜7)のそれぞれを外部から操作可能とするために、各操作部材の一部を外部に露呈させるように構成されている。換言すると、上記トップカバー3Lは、上記複数の操作部材(4〜7)の一部を露呈させつつ、それ以外の部分を覆うように形成されている。
【0047】
上記複数の操作部材(4〜7)のうちの回動操作レバー4は、例えばズーミング操作を行うための回転操作式の操作部材(ズームレバー)である。また、上記複数の操作部材のうちの符号5で示す押圧操作式の操作部材は、例えばシャッターレリーズ操作を行うためのレリーズ操作部材である(以下、シャッターレリーズボタン5という)。そして、上記複数の操作部材のうちの符号6で示す押圧操作式の操作部材は、例えば当該撮像装置1の電源のオンオフ操作を行うための電源操作部材である(以下、電源ボタン6という)。さらに、上記複数の操作部材のうちの符号7で示す回転操作式の操作部材は、例えば各種の設定操作を行うための設定切り換え用部材である(以下、設定ダイヤル7という)。
【0048】
これら複数の操作部材(4〜7)からの操作入力は、本体筐体10の内部に配設されている電気基板(不図示)上に実装される各対応する複数の電気的構成部材(スイッチ部材;不図示)に作用して、各所定の制御が実行されるように構成されている。
【0049】
他方、上記本体筐体10の上記撮像用開口10aには、透明窓部材11が撮像用開口10aを覆うように配設されている。この透明窓部材11は、当該撮像装置1の前面に対向する位置に配される被写体からの光束を通過させる得るように、例えば平板状の透明部材、例えば板ガラス又はアクリル製若しくはポリカーボネート製の板状透明部材によって形成されている。そして、当該透明窓部材11の外周縁部は、上記本体筐体10の上記撮像用開口10aの周縁部に対して、例えば接着剤等の接合部材を用いて水密的に密着固定されている。
【0050】
なお、本実施形態においては、上記透明窓部材11は、撮像用開口2a,10aに合わせた略円形状に形成された例を示している。しかしながら、当該透明窓部材11の形状は、この例示のみに限られることはない。上記透明窓部材11は、上記撮像用開口2a,10aを覆い得る形状であれば如何様に形成されていてもよい。
【0051】
次に、本実施形態のロック機構20の構成について、
図4等を用いて以下に詳述する。本実施形態のロック機構20は、上述したように、本撮像装置1の着脱機構によるアクセサリ等の装着状態の外れを防止するための構成ユニットである。このロック機構20は、上記本体筐体10の外面と上記前面カバー2との間の空間であって、上記撮像用開口2a,10aの外周縁部近傍の所定の位置に配設されている。
【0052】
当該ロック機構20は、
図4等に示すように、ロック解除ボタン8(押圧式操作部材)と、係合部材9と、ロック板部材15と、付勢部材14とを有して主に構成されている。
【0053】
上記ロック解除ボタン8は、一部が外部に露出して配設され、操作者の押圧操作を受けて、アクセサリ等の被係合部(不図示)と係合部材9の係合部(後述;符号9b参照)との係合状態を解除するためのロック解除部として機能する操作部材である。尚、アクセサリ等の被係合部は、係合部材9が係合可能となるように、係合部材9が移動する方向に深さを有する有底穴、係合部材9が移動する方向に貫通する貫通孔、若しくは切欠などで形成されている形状がアクセサリ側に設けられている。
【0054】
上記ロック解除ボタン8は、全体として中空の略円筒形状に形成され、一面に開口8bを有し、他面に操作者が操作するための閉塞した操作面8aを有して形成されている。開口8bの外周縁部にはフランジ部8cが形成されている。
【0055】
このような形状により、当該ロック解除ボタン8は、操作面8aを含む一部が前面カバー2の孔2c(
図1,
図2参照)から外部に露呈した状態で配設される。この場合において、フランジ部8cは、上記孔2cの直径よりも大径に形成されている。したがって、当該ボタン8は、前面カバー2の孔2cより外部へと抜け落ちないように形成されている。これと同時に、当該ロック解除ボタン8は、前面カバー2と本体筐体10との間において、光軸Oに平行な方向(
図5の矢印P方向)に押圧自在に配設されている。
【0056】
係合部材9は、上記本体筐体10の撮像用開口10aの外周縁部に沿う位置において、光軸Oに平行な方向(
図5の矢印X1,X2方向;板厚方向)にロック板部材15と一体に移動し、アクセサリ取付面に対して突没自在となるように配設されている。つまり、係合部材9は、アクセサリ等の被係合部(不図示)に係合することで、当該アクセサリ等の装着状態をロック状態として、当該アクセサリ等の外れを防止するロック部材である。
【0057】
この係合部材9は、アクセサリ等の被係合部(不図示)に係合して当該アクセサリ等の外れを防止する係合部9bと、ロック板部材15の後述する一腕部15bの先端15dが係合配置される係合孔9aとを有している。そして、当該係合部材9は、通常の場合、ロック板部材15を介して後述する付勢部材14の付勢力によって、光軸Oに平行な方向においてアクセサリ取付面よりも突出する方向(
図5の矢印X1方向)に付勢されている。また、上記ロック解除ボタン8のロック解除操作(押圧操作)がなされてロック板部材15が後述するように揺動し、変位すると、当該ロック板部材15が係合部材9をアクセサリ取付面よりも下方へ没する方向、即ちロック解除方向(
図5の矢印X2方向)へと移動させ得るように構成されている(詳細後述)。
【0058】
ロック板部材15は、所定の押圧力量を受けると撓みを生じさせ得る程度の弾性を有する板状の部材によって形成されている。ロック板部材15は、例えば、金属素材からなる細長の板状部材をプレス加工等によって形成されたものが適用される。
【0059】
このロック板部材15は、上記係合部材9の係合部9bと上記ロック解除ボタン8(ロック解除部)との間を連結して、当該ロック解除ボタン8のロック解除のためになされる押圧操作の力量を受けて、上記係合部材9をロック解除方向へと移動させる機能を有する。
【0060】
上記ロック板部材15は、
図3等に示すように、本体筐体10の前面の所定の部位に配設されている。本実施形態においては、本体筐体10の前面の右下寄り部位に配設した例を示している(
図3参照)。この場合において、上記ロック板部材15は、本体筐体10の前面に対して平行に、かつ細長の板状部材における長辺が、当該本体筐体10の左右方向に延びるように載置されている。
【0061】
上記ロック板部材15は、細長の板状部材の中程の部位に穿設される貫通孔15aと、この貫通孔15aを中心として一方向に延出する一腕部15bと、同様に上記貫通孔15aを中心として他方向に延出する他腕部15cとによって形成されている。
【0062】
上記ロック板部材15の貫通孔15aと本体筐体10の前面との間には、付勢部材14が配設されている。この場合において、円錐コイルばねからなる付勢部材14は、光軸Oに平行な方向であって
図5の矢印Pとは反対方向となる矢印F方向に向けてロック板部材15の一部及びボタン8を付勢している。これにより、付勢部材14は、係合部材9の係合部9bとアクセサリ等の被係合部(不図示)とが係合するように上記ロック板部材15(及びロック解除ボタン8)を付勢する役目をしている(詳細後述)。
【0063】
また、上記ロック板部材15は、抜け止め板部材16とビス17とによって、本体筐体10の前面に対して固定されている。抜け止め板部材16は、中央部にビス貫通孔16aと、当該ビス貫通孔16aの外縁部から径方向に向けて突出する複数のオサエ部16bを有して形成されている。複数のオサエ部16bは、本実施形態では、例えばビス貫通孔16aの周方向に角度180度離した位置に形成した例を示している。
【0064】
そして、抜け止め板部材16は、上記複数のオサエ部16bが上記ロック板部材15の貫通孔15aの外周縁の複数箇所を抑えるように配置される。この状態で、抜け止め板部材16は、ビス17を用いて本体筐体10の前面の固定部10d(
図7参照)に対してビス止め固定される。上記ロック板部材15は、このような形態で本体筐体10の前面に対して抜け止めされている。
【0065】
さらに、ロック板部材15の貫通孔15a及び抜け止め板部材16の設けられている部位にはロック解除ボタン8が配置される。このとき、ロック解除ボタン8は、ロック板部材15上の抜け止め板部材16を覆うように配置される。そして、当該ロック解除ボタン8は、上述したように、前面カバー2の孔2cより一部(操作面8a)を外部に露呈させて、かつ前面カバー2から抜け落ちないように配設されている。
【0066】
なお、この場合において、ロック解除ボタン8には、開口8bの外周縁部のフランジ部8cの一部に切欠8dが形成されている。即ち、開口8b側に摺り割り状の切り込み形状が形成されている。ロック解除ボタン8をロック板部材15上の所定の位置、即ち抜け止め板部材16を覆うように配置する時、当該切欠8dを抜け止め板部材16のオサエ部16bと合致させるように配置する。これにより、ロック解除ボタン8は回転が規制され、さらにロック解除ボタンは、この状態で光軸と平行に移動可能となっていて切欠8dの中をオサエ部16bが相対的に移動可能となっている。
【0067】
上記ロック板部材15の一腕部15bは、上記貫通孔15aから径方向において撮像用開口10a寄りの一方向に向けて延出している。そして、この一腕部15bの先端15dは、上述したように、係合部材9の係合孔9aに係合配置されている。ここで、先端15dは、係合孔9aにおいて若干の余裕を持って(即ちガタを有するように)、換言すると遊嵌状態を維持して配置されている。この構成により、係合部材9の係合部9bは、係合孔9aにおいて、ロック板部材15と板厚方向には一体的に移動し、ロック板部材15の板面に沿う方向に若干の移動を許容するように設けられている。
【0068】
この構成により、上記ロック板部材15の一腕部15bは、距離を隔てて設けられている係合部材9の係合部9bとロック解除ボタン8(ロック解除部)との間を連結している。この場合において、係合部材9の係合部9bとロック解除ボタン8との間、即ち上記ロック板部材15の一腕部15bは、当該ロック板部材15の弾性の撓みを生じさせることが可能な程度の長さと素材からなるように構成している。
【0069】
上記ロック板部材15の他腕部15cは、上記貫通孔15aから径方向において右側面寄りの他方向に向けて延出している。換言すると、上記ロック板部材15の他腕部15cは、上記係合部材9が設けられた位置からロック解除ボタン8(ロック解除部)が設けられた位置までの長さから、さらに延びて形成される部位である。
【0070】
この他腕部15cの先端には、当該ロック板部材15の長辺方向に対して直交する方向に、当該ロック板部材15から外部に向けて両方向に突出する二つの突出部が形成されている。そして、この二つの突出部は、それぞれが、当該ロック板部材15の平面に対して略直角にかつ上記本体筐体10の前面に向けて折り曲げた曲げ部15eが形成されている。さらに、この二つの曲げ部15eの各先端15eeは、略半円形状となるように形成されている(
図5,
図9等参照)。このように形成された上記ロック板部材15の他腕部15cの上記複数(二つ)の曲げ部15eは、本体筐体10の前面に形成された嵌合穴10eにそれぞれ嵌合されて固定されている。この構成により、上記ロック板部材15は、上記曲げ部15eを回転中心として
図5に示す矢印符号S方向に揺動するように構成されている。即ち、当該他腕部15cは、上記ロック板部材15を揺動させ得るように支持する支点となる揺動支軸部である。
【0071】
また、上記ロック板部材15の他腕部15cには、先端の曲げ部15eと上記貫通孔15aとの間の所定の部位に、上記曲げ部15eと略同形態の二つの第2曲げ部15fが形成されている。これら二つの第2曲げ部15fは、上記曲げ部15eと同形態に本体筐体10の前面に形成された嵌合穴10fにそれぞれ嵌合されている。この構成により、上記二つの第2曲げ部15fは、当該ロック板部材15が上記曲げ部15eを回転中心として
図3,
図4に示す矢印符号R方向に回転するのを規制している。即ち、ロック板部材15の板面に沿う方向への移動を阻止(禁止)している。
【0072】
そして、上記本体筐体10の前面において、上記ロック板部材15が配設される部位には、
図9に示すように、上記嵌合穴10eの形成されている位置から左側面に向けて細長の凹状溝10g(
図3,
図9参照)が形成されている。上記ロック板部材15は、上記本体筐体10の前面においては、上記凹状溝10gに収納されるように配置されている。この場合において、上記凹状溝10gは、
図9に示すように、上記嵌合穴10eの部位から左側面に向けて(即ち撮像用開口10aのあるがわに向けて)溝の深さが深くなるように緩やかな傾斜面10gg(
図9の太線表示部分参照)が形成されている。この傾斜面10ggは、上記ロック板部材15が上記曲げ部15eを回転中心として
図5に示す矢印S方向に揺動の変位及び撓むことを許容するために形成されている。
【0073】
即ち、上記ロック板部材15は、ロック解除ボタン8の押圧操作力を受けて
図5の矢印P方向に押圧され、また付勢部材14の付勢力を受けて
図5の矢印F方向に付勢されている。これらの力量を受けたとき、上記ロック板部材15は、上記曲げ部15eを回転中心として
図5に示す矢印S方向に揺動し、変位することにより、係合部材9を
図5の矢印X1,X2方向に移動させることができるように構成されている。
【0074】
このような作用を考慮して、係合部材9の係合孔9aに対するロック板部材15の先端15dの配置状態は、上述したように、若干の余裕を有するように、即ち遊嵌状態を維持して配置されている。本実施形態のロック機構20は、以上のように構成されている。
【0075】
また、上記撮像装置1におけるその他の構成については、本発明に直接関連しない部分であるので、その詳細構成の説明は省略すると共に、図面の煩雑化を避けるために、それらの図示も省略する。なお、これら省略された構成については、従来の光学機器である撮像装置において適用されているものと同様のものが適用されているものとする。
【0076】
上述のように構成された本実施形態のロック機構20の作用を以下に説明する。当該ロック機構20において、例えばアクセサリ等の被係合部(不図示)と係合部材9の係合部9bとの係合状態を解除するときには、操作者はロック解除ボタン8を押圧するロック解除操作をおこなう。
【0077】
このとき、当該ロック機構20による上記係合状態が正常な状態であれば、上記ロック解除操作によって、ロック解除ボタン8は、
図5の矢印P方向に押圧される。これに伴って、上記ロック板部材15も同方向(
図5の矢印P方向)に押圧される。したがって、上記ロック板部材15は、アクセサリの被係合部との摩擦に抗しながら僅かに撓みながらも揺動して、係合部材9を
図5の矢印X2方向に移動させる。また、アクセサリの被係合部とロック板部材15との係合に全く引っかかりが無くスムースにその係合が外れるようであればロック板部材15は全く撓むことなく、揺動し、変位する。これにより、上記係合状態、即ちロック状態は解除される。この状態で、操作者は、ロック解除ボタン8の押圧操作を維持しながら、装着されているアクセサリ等を光軸O周りに回転させる。このとき、アクセサリ等を光軸O周りにある程度回転させると、所定の時点で、上記ロック機構20による係合状態は阻止されるので、ロック解除ボタン8の押圧操作を解除してもよい。操作者が、ロック解除ボタン8の押圧操作を解除すると、当該ロック解除ボタン8及びロック板部材15は、付勢部材14の付勢力によって
図5の矢印F方向に移動し、元の位置に復帰する。一方、操作者は、引き続きアクセサリ等を光軸O周りに回転させることで、当該アクセサリ等と本体筐体10のバヨネット爪10cとのバヨネット結合を解除させることができる。これにより、当該アクセサリ等を撮像装置1の前面から取り外すことができる。
【0078】
一方、当該ロック機構20による上記係合状態が異常な状態、例えばロック機構20に砂粒等の微小な異物が入り込んだり、ロック部材とこれと係合している被係合部との異常な噛み付き等によって係合部材9やロック板部材15が移動し得ない状況となっている場合に上記ロック解除操作を実行すると、上記ロック板部材15は、通常のロック状態でのロック解除操作のときよりも大きく撓んで上記係合状態を維持することになる。このとき、操作者は、上記ロック解除操作を行っても上記係合状態を解除することができないことから、上記係合状態が異常な状態にあることがわかる。このような場合には、例えば撮像装置1を水中に入れて洗い流す等の措置を施せば、上記ロック機構20への砂粒等の微小異物を除去する操作を行う。そうして、再度ロック解除操作を行えばよい。その後、上記係合状態の異常状態が解消されていれば、上述した通常状態の場合で説明したように、ロック解除ボタン8の押圧操作によって上記ロック板部材15は変位して、係合部材9を
図5の矢印X2方向に移動させる。これにより、上記係合状態は解除される。以後の作用は同様である。
【0079】
以上説明したように、上記一実施形態によれば、ロック機構20によるアクセサリ等の被係合部(不図示)と係合部材9の係合部9bとの係合状態が正常な状態であれば、ロック解除操作によってロック解除ボタン8はロック板部材15を変位させて容易に上記係合状態(ロック状態)を解除することができる。一方、上記係合状態が異常な状態となったときにロック解除操作を実行したとしても、ロック機構20における構成部材を損傷させたり変形させたりすることがない。
【0080】
また、係合部材9の係合部9bとロック解除ボタン8(ロック解除部)との間を、所定の押圧力量を受けると撓みを生じさせ得る程度の弾性を有する板状の部材によって形成されたロック板部材15の一腕部15bにて連結する構成としている。これと同時に、同ロック板部材15の他腕部15cの端部を支持すると共に、同ロック板部材15の中程の部位を操作部材(ロック解除ボタン8)で押圧操作するように構成している。
【0081】
このような構成によって、係合部材9の係合部9bとロック解除ボタン8(ロック解除部)との間を距離を隔てて構成しながら、容易にかつ簡便にロック解除ボタン8による押圧操作を係合部材9へと伝達することができ、当該係合部材9の係合部9bによるアクセサリ等との係合状態を容易に解除することができる。
【0082】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。