(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765962
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】1つの冷媒ループを備えた燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20200928BHJP
B64D 41/00 20060101ALI20200928BHJP
H01M 8/00 20160101ALN20200928BHJP
【FI】
H01M8/04 J
B64D41/00
!H01M8/00 Z
【請求項の数】27
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-528642(P2016-528642)
(86)(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公表番号】特表2016-531390(P2016-531390A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】IB2014063353
(87)【国際公開番号】WO2015011664
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/857,422
(32)【優先日】2013年7月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514235879
【氏名又は名称】ゾディアック エアロテクニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】フィランジ, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フォンシン, シャルル
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−069829(JP,A)
【文献】
特開2003−193948(JP,A)
【文献】
特開2007−300753(JP,A)
【文献】
特開2007−328933(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02489016(GB,A)
【文献】
特開2010−272460(JP,A)
【文献】
特開昭57−005270(JP,A)
【文献】
特開2005−353410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/2495
B60L 50/00 − 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる動作温度を有し且つ航空機上に設けられた少なくとも2つのシステムを冷却するための単一の冷媒ループであって、前記単一の冷媒ループは、
前記ループを通して冷媒流体を移動させるための冷媒ポンプと、
2つの経路のうちの1つを通して冷媒流体を送るための分配器と、
熱交換器を通して冷媒流体を送り、第1システムを冷却することを含む第1経路であって、前記熱交換器が、前記分配器の下流側且つ第1システムの上流側の経路内の前記冷媒流体のみを冷却するように、前記分配器の下流側且つ第1システムの上流側に前記単一の冷媒ループ内の唯一の熱交換器として配置されている第1経路と、
第1システムを迂回することを含む第2経路と、
第1システムを経由した第1経路からの冷媒と第1システムを迂回した第2経路からの冷媒とを混合するための冷媒混合器とを備え、
前記冷媒混合器で混合された前記冷媒は前記分配器の上流側に配置された第2システムに供給される単一の冷媒ループ。
【請求項2】
前記システムの少なくとも1つによって生成された熱を捕えるための蓄熱部を更に備える請求項1に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項3】
異なる動作温度を有し且つ航空機上に設けられた第1システム及び第2システムを含む少なくとも2つのシステムを冷却するための単一の冷媒ループであって、前記単一の冷媒ループは、
前記ループを通して冷媒流体を移動させるための冷媒ポンプと、
2つの経路のうちの1つを通して冷媒流体を送るための分配器と、
熱交換器を通して冷媒流体を送り、第1システムを冷却することを含む第1経路であって、前記熱交換器が、前記分配器の下流側且つ第1システムの上流側の経路内の前記冷媒流体のみを冷却するように、前記分配器の下流側且つ第1システムの上流側に前記単一の冷媒ループ内の唯一の熱交換器として配置されている第1経路と、
第1システムを迂回することを含む第2経路と、
第1システムを経由した第1経路からの冷媒と第1システムを迂回した第2経路からの冷媒とを混合するための冷媒混合器と、
第2システムの下流側且つ前記分配器の上流側に配置され、第2システムにより生成された熱を捕えるよう構成された蓄熱部と、
第2システムの下流側且つ前記蓄熱部の上流側の位置から、前記蓄熱部の下流側且つ前記分配器の上流側の位置へと延びる迂回路と、
前記蓄熱部と前記分配器との間の経路に前記迂回路が合流する地点の下流側且つ前記分配器の上流側の位置から前記冷媒混合器の下流側且つ第2システムの上流側の位置へと延びる予熱ループとを備える単一の冷媒ループ。
【請求項4】
冷媒流体が熱を前記蓄熱部に伝達し得るか、又は冷媒流体が前記蓄熱部を迂回し得る請求項2又は3に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項5】
前記システムの少なくとも1つは燃料電池システムであり、前記蓄熱部は、前記燃料電池システムから副生成物として生成される熱を捕える請求項2又は3に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項6】
前記冷媒混合器を出る流体は第2システムへ送られる請求項3〜5のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項7】
前記冷媒流体は誘電性冷媒流体を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項8】
冷却される前記少なくとも2つのシステムは、燃料電池システムと該燃料電池システムに関連する電子構成部品とを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項9】
第1システムを出る第1経路上の冷媒流体は、前記冷媒混合器に送られる前に熱調整ユニットを通る請求項1〜8のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項10】
第2システムを出る冷媒流体は、前記分配器に送られる前に熱調整ユニットを通る請求項1〜9のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項11】
前記少なくとも2つのシステムの温度に関する情報を受けとり、前記冷媒ループを通る前記冷媒流体の経路を制御して熱を必要とする場所へ熱を向けるシステムコントローラを更に備える請求項1〜10のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項12】
前記分配器は、流入する流体を外に向かう複数の副流に分ける大きさとされた出口を有する電気制御バルブ又は構造体を備える請求項1〜11のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項13】
航空機上に設けられた同一ループ内の燃料電池システムと1つ以上の電子構成部品とを冷却するための単一の冷媒ループであって、
前記ループを通って冷媒流体を移動させるための冷媒ポンプと、
2つの経路のうちの1つを通して冷媒流体を送るための分配器と、
低温熱交換器を通して冷媒流体を送り、次いで前記1つ以上の電子構成部品を冷却することを含む第1経路であって、前記低温熱交換器が、前記分配器の下流側且つ前記1つ以上の電子構成部品の上流側の経路内の前記冷媒流体のみを冷却するように、前記分配器の下流側且つ前記1つ以上の電子構成部品の上流側に前記単一の冷媒ループ内の唯一の熱交換器として配置されている第1経路と、
前記1つ以上の電子構成部品を迂回する第2経路と、
前記1つ以上の電子構成部品を経由した第1経路からの冷媒と前記1つ以上の電子構成部品を迂回した第2経路からの冷媒とを混合するための冷媒混合器とを備え、
前記冷媒混合器から出る冷媒は前記分配器の上流側に配置された前記燃料電池システムに送られ、
前記燃料電池システムから出るより温かい冷媒は、(i)蓄熱部に送られ、又は(ii)前記蓄熱部を迂回する単一の冷媒ループ。
【請求項14】
予熱ループを更に備え、前記蓄熱部を迂回する温められた冷媒は始動用の熱を与えるため前記燃料電池システムに送られる請求項13に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項15】
航空機上に設けられた同一ループ内の燃料電池システムと1つ以上の電子構成部品とを冷却するための単一の冷媒ループであって、
前記ループを通って冷媒流体を移動させるための冷媒ポンプと、
2つの経路のうちの1つを通して冷媒流体を送るための分配器と、
低温熱交換器を通して冷媒流体を送り、次いで前記1つ以上の電子構成部品を冷却することを含む第1経路であって、前記低温熱交換器が、前記分配器の下流側且つ前記1つ以上の電子構成部品の上流側の経路内の前記冷媒流体のみを冷却するように、前記分配器の下流側且つ前記1つ以上の電子構成部品の上流側に前記単一の冷媒ループ内の唯一の熱交換器として配置されている第1経路と、
前記1つ以上の電子構成部品を迂回する第2経路と、
前記1つ以上の電子構成部品を経由した第1経路からの冷媒と前記1つ以上の電子構成部品を迂回した第2経路からの冷媒とを混合するための冷媒混合器とを備え、
前記冷媒混合器から出る冷媒は前記燃料電池システムに送られ、
前記燃料電池システムから出るより温かい冷媒は、(i)前記燃料電池システムの下流側且つ前記分配器の上流側に配置され、前記燃料電池システムによって生成された熱を捕えるよう構成された蓄熱部に送られ、又は(ii)前記燃料電池システムの下流側且つ前記蓄熱部の上流側の位置から前記蓄熱部の下流側且つ前記分配器の上流側の位置へと延びる迂回路を介して前記蓄熱部を迂回し、
前記単一のループは更に、前記蓄熱部と前記分配器との間の経路に前記迂回路が合流する地点の下流側且つ前記分配器の上流側の位置から前記冷媒混合器の下流側且つ前記燃料電池システムの上流側の位置へと延びる予熱ループを備える単一の冷媒ループ。
【請求項16】
前記蓄熱部を迂回する温められた冷媒は始動用の熱を与えるため前記燃料電池システムに送られる請求項15に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項17】
前記蓄熱部は、貯水器、熱力学サイクル、又は相変化物質を含む請求項13〜16のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項18】
前記蓄熱部を迂回した冷媒が前記分配器に送られる請求項13〜17のいずれか一項に記載の単一の冷媒ループ。
【請求項19】
航空機上に設けられた高温システムと低温システムとを冷却するための単一のループに沿って冷媒を送る方法であって、(a)前記高温システムからの温められた冷媒流体を(i)蓄熱部に送り、(ii)分配器に送り、又は(iii)始動用の温熱として前記高温システムへ戻すこと、(b)前記分配器からの冷媒を(i)前記分配器の下流側且つ前記低温システムの上流側の経路内の前記冷媒のみを冷却するように前記分配器の下流側且つ前記低温システムの上流側に前記単一のループ内の唯一の熱交換器として配置された低温熱交換器を経由して前記低温システムに送ること、又は(ii)前記低温システムを迂回させること、(c)前記低温システムからの冷媒流体と前記低温システムを迂回した冷媒流体とを冷媒混合器に送って混合すること、及び(d)前記冷媒混合器からの前記混合された冷媒流体を前記分配器の上流側に配置された前記高温システムに送ることを含む方法。
【請求項20】
航空機上に設けられた高温システムと低温システムとを冷却するための単一のループに沿って冷媒を送る方法であって、
(a)前記高温システムからの温められた冷媒流体を(i)前記高温システムの下流側に配置され且つ前記高温システムにより生成された熱を捕えるように構成された蓄熱部に送り、(ii)前記蓄熱部の下流側に配置された分配器に、前記高温システムの下流側且つ前記蓄熱部の上流側の位置から前記蓄熱部の下流側且つ前記分配器の上流側の位置へと延びる迂回路を介して送り、又は(iii)前記迂回路と予熱ループとを介して始動用の温熱として前記高温システムへ戻すこと、
(b)前記分配器からの冷媒を(i)前記分配器の下流側且つ前記低温システムの上流側の経路内の前記冷媒のみを冷却するように前記分配器の下流側且つ前記低温システムの上流側に前記単一のループ内の唯一の熱交換器として配置された低温熱交換器を経由して前記低温システムに送ること、又は(ii)前記低温システムを迂回させること、
(c)前記低温システムからの冷媒流体を前記冷媒混合器に送ること、及び
(d)冷媒混合器からの冷媒流体を前記高温システムに送ることを含み、
前記予熱ループは、前記蓄熱部と前記分配器との間の経路に前記迂回路が合流する地点の下流側且つ前記分配器の上流側の位置から冷媒混合器の下流側且つ前記高温システムの上流側の位置へと延びる、方法。
【請求項21】
前記冷媒流体は誘電性冷媒流体を含む請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記高温システムは燃料電池システムを含み、前記低温システムは1つ以上の電子構成部品を含む請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記高温システムは燃料電池システムを含み、前記蓄熱部は、前記燃料電池システムから副生成物として生成される熱を捕える請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記低温システムを出る冷媒流体は、前記冷媒混合器に送られる前に熱調整ユニットを通る請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記熱調整ユニットは空気冷却器を備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記高温システムを出る冷媒流体が熱調整ユニットを通る請求項19〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記冷媒流体の前記経路は、前記高温システムと前記低温システムから温度情報を受け取り、該温度情報に基づいて必要に応じて前記冷媒ループを通して前記冷媒流体を送るシステムコントローラによって管理される請求項19〜26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照:本願は、2013年7月23日に出願され、『1つの冷媒ループを備えた燃料電池システム』と題された米国仮出願第61/857,422号の優先権を主張し、その開示全体を援用してここに組み入れる。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、少なくとも2つのシステムを冷却するための単一の冷媒ループ(冷却ループ)を提供するシステムに関する。ある特定の実施形態では、冷却されるシステムは、燃料電池システム及び該燃料電池システムに関連する1つ以上の電子構成部品であってよい。冷却ループは、航空機等の輸送機関に搭載して使用され得る。
【背景技術】
【0003】
膨大な数の人々が、日々、航空機、電車、バス、及びその他の輸送機関で旅をしている。そのような輸送機関は、乗客にとって快適さ及び満足度の点で重要である構成部品を備えていることが多い。例えば、旅客機(商用機と私用機の両方)は、配膳設備、加熱/冷却システム、化粧室、温水器、パワーシート、乗客娯楽ユニット、照明システム、及びその他の構成部品を有し得る。航空機に搭載されたこれらの多くの構成部品が、作動のために電力を必要とする。これらの構成部品の多くは、航空機を運航するために実際に必要とされる電気的構成部品(即ち、航行システム、燃料計、飛行制御システム、および油圧システム)からは分離されているが、これらの構成部品についての現存する関心事は、そのエネルギー消費量である。このようなシステムはしばしば、航空機エンジン駆動発電機から得られる電力よりも多くの電力を要するため、例えば、灯油燃焼型の補助電源ユニット(APU:Auxiliary Power Unit)等の追加電源が必要となる(または、航空機がまだ離陸していない場合には地上の電源ユニットが必要となる)。これらの電源からのエネルギーは、電力を消費する構成部品に到達するためにかなりの距離を移動せねばならないかもしれず、送電中の電力の損失と電力システム全体の効率低減をもたらす。全体のエネルギー消費はまた、かなり大きいものとなる可能性があり、特に何百人もの乗客を乗せた長距離フライトでは殊更大きく、運航には相当量の化石燃料を必要とし得る。さらに、航空機の電力を使用することで、通常、騒音が発生し、二酸化炭素が排出されるが、この両者は低減されることが所望されている。
【0004】
燃料電池システムの比較的新しい技術は、旅客機に既に搭載されているエネルギー源を補足するための有望でよりクリーンかつより静かな方法を提供する。燃料電池システムは、液体、ガス、または固体水素である燃料源を空気中の酸素、圧縮酸素、又は化学的な酸素生成等の酸素源と化合させることによって、主生成物として電気エネルギーを産出する。燃料電池システムには、電力に加えていくつかの出力物があり、これらの他の出力物は多くの場合利用されず、そのため無駄になっている。例えば、熱的な力(熱)、水、および酸素枯渇空気(ODA)が副生成物として産出される。これらの副生成物は、現存の航空機における発電プロセスによる二酸化炭素の排出よりもはるかに害が少ない。
【0005】
しかし、燃料電池システムと該燃料電池システムに関連する電子構成部品は、過熱を防ぐために使用中のある時点において冷却する必要がある。2つの分離した冷却ループ、即ち、燃料電池システム用の1つのループと関連電子構成部品用の1つのループとを設けるのが通例となっている。しかし、2つのループを設けることは、航空機システムに重量と更なる複雑さとを加えることとなり、望ましくない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、ここに記載の実施形態は、概して2つの異なる温度で動作可能な少なくとも2つのシステムを冷却するために使用することのできる単一の冷媒ループを提供する。2つの異なる冷却温度を提供することのできる2つの分離した冷却ループを設けるのではなく、2つのシステムが単一のループで手当てされるように、加熱された冷媒を多様な温度で送り、利用し、混合することのできる単一の冷却ループが提供される。
【0007】
ある特定の実施形態では、同一ループ内の燃料電池システムと1つ以上の電子構成部品とを冷却するための単一の冷媒ループが提供される。冷媒ループは、ループを通って冷媒流体(冷却流体)を移動させるための冷媒ポンプ、及び2つの経路のうちの1つを通って冷媒流体を送るための分配器を含み得る。第1経路は、1つ以上の電子部品を冷却するために、冷媒流体を、低温熱交換器に通し、その後第1経路に沿って送り得る。第2経路は、電子構成部品を迂回する経路であり得る。この経路は、低温熱交換器を通らないため、より高い温度を維持する。第1経路と第2経路は、第1経路からの冷媒と第2経路からの冷媒とを混合する冷媒混合器で合流することができる。冷媒混合器を出た冷媒は燃料電池システムを冷却するのに望ましい温度であり、燃料電池システムに送られ得る。
【0008】
燃料電池システムを冷却するために使用された冷媒は、燃料電池システムに入れられた時点よりも高い温度で燃料電池システムを出る。燃料電池を出たより温かい冷媒は、(i)蓄熱部に送られるか、又は(ii)蓄熱部を迂回する。迂回した流体は、分配器に送達されて再びシステムを通して送られてもよく、又は予熱ループを通って送られてもよい。予熱ループにおいては、迂回した流体は、燃料電池の始動用温熱を送るために燃料電池に戻される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、燃料電池システム、その入力物、及びその副生成物の概略図である。この概略図は、副生成物が航空機上の様々な場所で使用され得ることを図示する。
【
図2】
図2は、燃料電池システムと電子構成部品とを冷却するために使用される2つの分離した熱回路の概略図である。
【
図4】
図4は、選択的な冷媒熱伝達のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の様々な実施形態を記載する。説明のため、実施形態の十分な理解を提供すべく具体的な構成及び詳細が記載される。しかし、当業者には、それらの具体的な詳細なしでも本発明を実施し得るであろうことが明らかであろう。さらに、記述される実施形態を曖昧にしないために、公知の特徴は省略、又は簡略化されるかもしれない。
【0011】
ここに記載される実施形態は、特に旅客機に搭載して使用されており、この態様に関連して記載されるが、本システムを、1つ以上の燃料電池システムを備えたバス、電車、宇宙船、船舶、またはその他適切な輸送車両等の他の輸送機器で使用し得ると理解されるべきである。したがって、ここでは航空機での使用に関連して燃料電池技術を論じるが、それに限定されるものではなく、他の任意の輸送機器において使用し得る。
【0012】
燃料電池システムは、電力を生成するために航空機(または他の輸送機器)に搭載して使用し得る。電力は任意の適切な用途のために送られ得る。より具体的には、燃料電池システムは、水素又は他の燃料源と酸素富化(酸素リッチ)ガス(例えば、空気)とを巻き込む化学反応による化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である。
図1に図示されるように、燃料電池システム100は、水素または他の燃料源110である入力(インプット)を、酸素及び/又は空気120である入力(インプット)と混合して、電気エネルギー(電力)160を生成する。
【0013】
図示されるように、燃料電池システム100は、生成された電気エネルギー160と共に、水170、熱出力(熱)150、及び酸素枯渇空気(ODA)140を副生成物として生み出す。
図1にさらに図示されるように、燃料電池から出力される生成物である、電気エネルギー160、熱150、水170、及びODA140のいくつか、又はすべては、航空機内のシステムを稼働するために使用され得る。
【0014】
例えば、燃料電池から出力される生成物を、航空機の運用システム、限定はされないが例えば航空機内の化粧室182又は調理室184のシステム等に供給することができる。出力される生成物は、追加的に及び/又は代替的に、そのような出力される生成物が有益に使用される他の運用システム又は他の領域での使用のために送られ得る。生成物を送ることは、限定はされないが、熱又は加熱水を防除氷のために航空機の翼に送ること、シャワーに送ること、手洗い用温水のための水タンクに送ること、熱水ボイラ用の水を温めるために調理室に送ること、乗客室に送ること、乗客席に送ること、その他の任意の位置に送ることを含む。他の実施形態では、酸素枯渇空気は、燃料タンク、乗客席、または他の任意の場所に送られ得る。1つ以上の出力される生成物を任意の場所で利用することができ、任意の出力される生成物を1つ以上の場所で利用し得る。
【0015】
燃料電池から出力される生成物を利用する航空機システムの限定的でない例示的な例が、少なくとも以下の同時係属出願に開示されている。2013年3月13日に出願された『燃料電池システムを動力源とする化粧室』と題する国際特許出願第PCT/US13/030638号、2013年3月13日に出願された『燃料電池を備えた調理室用電力管理』と題する国際特許出願第PCT/IB2013/052004号、2013年3月13日に出願された『燃料電池に基づく翼防除氷システム』と題する国際特許出願第PCT/IB2013/051981号、および2013年3月13日に出願された『燃料電池を備えた車両用座席』と題する国際特許出願第PCT/IB2013/051979号。
【0016】
したがって、燃料電池システムにおける発電の副生成物(熱150、水170、ODA140等)は、更なる使用のために、航空機(または他の輸送機器)に搭載された他のシステムに送られ得る。熱150を機内で有効利用しなければ、熱は環境(周囲)に放出されてしまうであろう。この放出は、使用中に冷却する必要のある、(熱が放出される領域の)電子機器および他の機器に悪影響を与え得る。
【0017】
燃料電池システム100は、稼働により生成される熱のため、使用中に冷却される必要がある。標準的な低温燃料電池は、約60℃から約80℃で動作する。
図2に示されるように、燃料電池冷却ループ10が提供されていてもよい。この冷却ループ10は、示された経路に沿って流れる冷却流体を使用する。冷却流体は、冷媒ポンプ12を介して、この経路に沿って送られることができる。冷媒ポンプ12は、流体をバルブ14に送る。バルブ14は、通常、冷却流体を脱イオン装置(純水装置、デイオナイザー)システム16に送ることができ、又は冷却流体を高温熱交換器18まで進ませることのできる三方弁である。
【0018】
燃料電池100は、一般に、電気伝導度を低いレベルに維持せねばならない水性冷媒流体(例えば、多くの場合、グリサンチン(Glysantin。登録商標)で冷却される。したがって、バルブは、(導電性の流体は燃料電池システム100にとって有害であり得るので)、流体を導電性にするイオンを除去するために、脱イオン装置システム16に流体を送ってもよい。例えば、流体の電導度が増大している場合、バルブ14は脱イオン装置システム16に流体を送ってもよい。流体の電導度が許容可能なレベルであれば、バルブ14は代わりに流体を高温熱交換器18へ向かわせてもよい。
【0019】
高温熱交換器18は、冷却された流体を燃料電池システム100に送達すべく、流体からの熱を周囲の空気に逃がすことができる。その後、燃料電池100は、高温熱交換器18から出た冷却された流体によって所望の温度に冷却される。流体は、燃料電池システム100を冷却した後に、燃料電池システム熱調節ユニット20によって温度調節される。燃料電池システム100は所望の反応を生成するために酸素及び/又は空気の供給を必要とするため、この温度調整が必要となり得る。燃料電池100に供給される気体、又は燃料電池の反応の副生成物の1つである気体は、調整が必要であり得る。冷媒ポンプ12は、その後必要に応じてシステムに流体を流し続ける。
【0020】
図2はまた、輸送機器に搭載された電子システムを冷却するために使用される、別個の(非接続の)第2冷却ループ22を示す。大部分の電子システムは、約50℃から約60℃の間で動作する。この第2冷却ループ22も、ループ22を通して流体を移動させるために冷媒ポンプ24を使用する。冷媒ポンプ24は、冷却すべき電子構成部品(電子部品)26に冷却された流体を送達する。流体は、電子構成部品26を冷却した後に、熱調整ユニット28によって温度調整されてもよい。1つの実施形態では、熱調整ユニットは空気冷却器であり得る。冷媒ポンプ24は、その後、低温熱交換器30を通して流体を流し続ける。
【0021】
冷却すべき異なるシステムが異なる冷却温度を有するために、一般に、これらの分離した2つの冷却ループ12、22を使用することが必要であった。使用される冷媒流体は、グリコールと水の混合物、グリサンチン、エチレングリコール、またはその他の任意の冷媒であり得る。
【0022】
しかし、2つの分離した冷却ループを設けることは最善ではない。2つの分離したループを使用することにより、2つの分離した冷媒ポンプと、送風機を備える2つの分離した熱交換器ユニットが必要となる。しかしながら、輸送機関、特に航空機に搭載する重量を低減することは主要な関心事である。それにもかかわらず、燃料電池の作動温度と、燃料電池に関連する電子構成部品(又は航空機に搭載された他の電子構成部品)の作動温度とは同一ではないため、今日までのところ、冷却ループを組み合せることは可能ではなかった。
【0023】
本件発明の発明者は、複数の冷却システムを、
図3に示されるような1つの冷媒ループ40にまとめる方法を決定した。この単一の冷媒ループ40は、燃料電池システム100と機上の電子構成部品26(燃料電池の電子機器またはその他の任意の電子機器であり得る)の両方に冷媒流体を送る。冷媒ループ40は、単一のポンプと単一の熱交換器を使用するため、有利である。
【0024】
この単一の冷媒ループ40が所望の温度差を達成する1つの方法は、燃料電池システム100によって生成される熱150を、蓄熱部
34において、輸送機器上の後段の使用に役立てることによる。燃料電池システム100の作動により熱150が生成される。この熱を、燃料電池システム熱調整ユニット44を通過させることにより、システムで使用する気体の調整または再調整に使用し得る。その後、この熱を蓄熱部34内に蓄え得る。蓄熱部34は、貯水器、熱力学サイクル、相変化物質、又は後段での使用のために熱を蓄えるその他の任意の手段であってよい。例えば、熱は、湯沸器(ウォーターボイラ)の再充填、手洗い水の温め、又はその他の任意の機上での使用といった他の用途に用い得る。この熱の再利用により、燃料電池100が供給せねばならない電気エネルギーの低減が補助され、システム全体の効率を向上し得る。
【0025】
航空機による燃料電池の副生成物としての熱150の需要に基づいて、冷媒ループ40を通る流れを調整することのできるシステムコントローラ46が設けられていてもよい。例えば、システムコントローラは、高温システム及び低温システム(即ち、燃料電池システムと電子構成部品)から温度情報を受け取り、その温度情報に基づいて、必要に応じて、冷媒ループを通して冷媒流体を送ることができる。熱を機内で使用する必要がない場合(あるいは、現在の空気温度又はフライトスケジュールに基づくと必要とされる見込みがない場合)、コントローラ46は蓄熱部
34を迂回させてもよい。代わりに、熱150は、単一の冷媒ポンプ48を介して冷媒ループ(冷媒ループシステム)40を通して送られる冷媒流体に伝えられ得る。
【0026】
コントローラ46と冷媒ポンプ48は、
図3において特定の位置に示されているが、コントローラ46と冷媒ポンプ48は、必要に応じて、冷媒ループ40沿いのいかなる場所にも位置され得ると理解されるべきである。システムの重量とコストを低減するために、単一の冷媒ポンプ48のみを使用することが概して望ましいが、それが必須ではない。さらに、示された概略図の他の構成部品は、他の場所に移されてもよい。全般的な目標は、冷媒流体を記載された特定のシステムに送る前に、冷媒流体の所望の流れと所望の熱交換とを提供することである。
【0027】
システムで使用される冷媒流体は、任意の適切な冷却流体であってよい。しかしながら、1つの実施形態において、誘電性の冷媒流体を使用することが特に有益であることが見出された。この発見により、冷媒流体の回路をよりシンプルかつより信頼性の高いものにすることができ、先行技術のシステムにおける脱イオン装置システム16を除去することが可能となる。2つの主なシステム(燃料電池システム100と電子構成部品26)を冷却するために、開示された単一の冷媒ループ40に誘電性の冷媒を加えることができる。冷媒における誘電特性とは、冷媒が電気を通さず、イオンを発生させないことを意味する。そのような冷媒は、概して、より不活性であって、他の流体ほど容易に劣化しない。使用される流体は、一時的に誘電性であってもよく又は永久的に誘電性であってもよい。開示された冷媒ループ40に関連して使用し得る冷媒の限定されない例は、PFPE(パーフルオロポリエーテル)であるガルデン(Galden。登録商標)、PAO(ポリ芳香族ポリオレフィン)、石油由来冷媒、油性冷媒、またはその他の任意の適切な冷媒流体を含むが、それらに限定されない。
【0028】
冷媒流体が蓄熱部
34を迂回する場合、分配器50を経由して適切に送られ得る。分配器50は、流入する流体を外に向かう副流(サブフロー)に分離する大きさに作られた排出口を有する、弁(バルブ)又は任意の構造であってよい。1つの特定の実施形態では、分配器50は、温度及びその他入力に基づいて位置を調整する電子的に制御されたバルブであり得る。流路Aでは、流体は低温熱交換器52に送られ、次いで電子構成部品26に送られる。流路Bでは、流体は流路Aを迂回し、燃料電池システム100に送るために冷媒混合器56に送られる。分配器50は、電子構成部品26からの温度需要と燃料電池システム100からの温度需要とに基づいて、どこに流体を送るかを決定する。例えば、電子構成部品26の冷却が必要な場合、分配器50は、概して経路Aに沿って流体を送る。電子構成部品26の冷却が必要でない場合は、分配器50は、経路Bに沿って流体を送り得る。分配器50は、いかなる形態で温度入力を受けとってもよい。例えば、分配器50は、燃料電池100からの入口温度の測定値の形態で温度入力を受けてもよい。別の例として、分配器50は、電子構成部品26からの温度測定値の形態で温度入力を受けてもよい。分配器が適切に流体を送ることができるように、任意の適切な温度フィードバック・ループを設けてもよい。
【0029】
ここで流路Aを参照すると、低温熱交換器52は、周囲空気を低温熱交換器52に流入させることにより、流体を約50℃から約60℃に冷却させる。流入する周囲空気は、任意の冷熱源又は概して低温である空気源によって置き換えることができる。流体を約50℃から約60℃に冷却することにより、稼働によって発生した熱に起因する温度を低下させるため電子構成部品26を通して送るのに望ましい温度の流体が得られる。電子機器冷却工程の間に熱が冷媒流体に伝達されるため、第2燃料電池熱調整ユニット54を設けてもよい。第2燃料電池熱調整ユニット54は、電子構成部品26から出た流体の温度を低下させるために設けられ得る。
【0030】
第2燃料電池熱調整ユニット54を出る流体は、冷媒混合器56に送られる。冷媒混合器56は、第2燃料電池熱調整ユニット54を出る流体を、電子構成部品を迂回する経路Bを通って冷媒混合器に入る流体と混合するために設けられている。経路B内の流体は、経路A内の流体よりも温かい。経路B内の流体は電子構成部品を迂回しており、一般に、燃料電池システム100から出る熱150からの温熱を少なくともいくらか含んでいる。冷媒混合器56は、経路Aからの冷却された流体と、経路Bからのより温かい流体とを混合する。冷媒混合器56に入る冷媒の2つの流れ(流路A及び流路B)の冷媒温度は、冷媒混合器56の出口では略同一となる。よって、冷媒混合器56を出る流体は約60℃から約80℃の間となり、この温度は燃料電池の望ましい動作温度である。
【0031】
図3は、短絡予熱ループ58も示す。この短絡予熱ループ58は、燃料電池システム100に始動用の熱を送るために設けられている。いくつかの場合において、燃料電池システム100が冷えているときに燃料電池システム100を始動することが望ましいかもしれない。しかしながら、燃料電池システム100の好ましい動作温度は約60℃から約80℃の間である。この場合、燃料電池を機能し得る状態とするためには、かなりの量の熱を燃料電池に送る必要がある。したがって、短絡予熱ループ58は、燃料電池システム100から出た熱を、当該熱が分配器50に到達する前に送る。短絡予熱ループ58は、蓄熱部
34からの熱を利用してもよい。短絡予熱ループ58は、燃料電池システム100を出る温められた冷媒からの熱を利用してもよい。短絡予熱ループ58は、1つ又はそれ以上の熱の源(ソース)を、燃料電池の始動用の温熱を提供するために、短絡予熱ループ58を通して燃料電池に戻す。
【0032】
冷媒ループ40の様々な構成部品の1つのあり得る配置を示したが、構成部品は異なったふうに配置し得ると理解されるべきである。燃料電池システム100と電子構成部品26を冷却するために、冷媒流が記載されたように機能することが概して望ましい。
【0033】
ここに記載されたシステムは、任意の適切な燃料電池システム100との関連において有用である。任意の適切な燃料電池システム100は、プロトン交換膜燃料電池(PFMFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、直接メタノール形燃料電池(DMFC)、アルカリ電解質形燃料電池(AFC)、またはリン酸形燃料電池(PAFC)を含み得るが、それらに限定されない。ハイブリッドな解決法を含むがそれには限定されない、その他の任意の現存する又は将来生じる燃料電池技術も使用され得る。
【0034】
要約すると、単一の低温熱交換器52を受動的な(又は能動的な)分配器50及び迂回路と共に使用することで、燃料電池の温度と電子機器の温度とをそれぞれの最適な温度範囲内で管理することができる。これは、単一の冷媒ポンプ48と単一の送風機(低温熱交換器52用)のみを使用して達成可能である。環境条件に応じて、自然で効率の良い冷却がなされることにより、少なくとも1つ又はそれ以上の構成部品を除去することができる。冷却回路は、燃料電池及び/又は燃料電池の電子機器システムの冷却に限定されず、航空機上において冷却又は加熱を必要とし得る任意且つ全ての用途のために使用し得る。
【0035】
例1:
異なる動作温度を有する少なくとも2つのシステムを冷却するための単一の冷媒ループであって、前記単一の冷媒ループは、
(a)前記ループを通して冷媒流体を移動させるための冷媒ポンプと、
(b)2つの経路のうちの1つを通して冷媒流体を送るための分配器と、
(c)熱交換器を通して冷媒流体を送り、第1システムを冷却することを含む第1経路と、
(d)第1システムを迂回することを含む第2経路とを備え、
(e)第1経路および第2経路は冷媒混合器で合流し、前記冷媒混合器は、第1経路からの冷媒と第2経路からの冷媒とを混合する。
【0036】
この例では、第1システムは1つ以上の電子構成部品であってもよく、第2システムは燃料電池システムであってもよい。
【0037】
例2:同一ループ内の燃料電池システムと1つ以上の電子構成部品とを冷却するための単一の冷媒ループであって、
(a)前記ループを通って冷媒流体を移動させるための冷媒ポンプと、
(b)2つの経路のうちの1つを通して冷媒流体を送るための分配器と、
(c)低温熱交換器を通して冷媒流体を送り、次いで1つ以上の電子構成部品を冷却することを含む第1経路と、
(d)電子構成部品を迂回することを含む第2経路とを備え、
(e)第1経路と第2経路とは冷媒混合器で合流し、前記冷媒混合器は、第1経路からの冷媒と第2経路からの冷媒とを混合し、
(f)冷媒混合器から出る冷媒は前記燃料電池システムに送られ、
(g)前記燃料電池から出るより温かい冷媒は、(i)蓄熱部に送られ、又は(ii)前記蓄熱部を迂回する。
【0038】
例3.
図4に示されるように、本開示はまた、高温システムと低温システムとを冷却するための単一のループに沿って冷媒を送る方法に関する。この方法は、(a)高温システムからの温められた冷媒流体を(i)蓄熱部に送り、(ii)分配器に送り、又は(iii)始動用の温熱として高温システムへ戻すこと、(b)前記分配器からの冷媒を(i)低温熱交換器を経由して低温システムに送ること、又は(ii)低温システムを迂回させること、(c)低温システムからの冷媒流体を冷媒混合器に送ること、及び(d)冷媒混合器からの冷媒流体を高温システムに送ることを含む。
【0039】
上述され及び図示された構造及び方法に対する変更、改変、追加及び削除は、本発明の範囲又は精神、及び以下の請求の範囲から逸脱しない範囲でなされ得る。