特許第6765998号(P6765998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6765998
(24)【登録日】2020年9月18日
(45)【発行日】2020年10月7日
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20200928BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20200928BHJP
【FI】
   A61B5/022 500A
   A61B5/02 310V
   A61B5/022 400E
   A61B5/022 100B
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-48725(P2017-48725)
(22)【出願日】2017年3月14日
(65)【公開番号】特開2018-149171(P2018-149171A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】井上 皓介
(72)【発明者】
【氏名】江下 就介
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63-156604(JP,U)
【文献】 特開平11-318841(JP,A)
【文献】 特開2003-149007(JP,A)
【文献】 特開2003-310579(JP,A)
【文献】 特表2006-510451(JP,A)
【文献】 特開2010-71742(JP,A)
【文献】 特開2011-147493(JP,A)
【文献】 特表2011-500121(JP,A)
【文献】 特開2013-138706(JP,A)
【文献】 特開2015-29565(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0267861(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/151805(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の被測定者から連続測定された血圧データと血圧以外の複数要素の測定データとを取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得した連続測定された血圧データから基準値以上の血圧変動の危険度を検出する血圧変動検出部と、
前記血圧変動検出部が検出する基準値以上の血圧変動の時間帯を含む拡大期間における血圧データと前記拡大期間における血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データとを時間軸で対応づけ、前記血圧変動検出部が検出する基準値以上の血圧変動の時間帯を前記危険度別に色分けして表示装置にグラフ表示させる表示制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
さらに、前記情報取得部が取得する血圧以外の各要素の測定データと前記血圧変動検出部が検出する基準値以上の血圧変動との関連性を判定する関連性判定部を有し、
前記表示制御部は、前記拡大期間における血圧データに対応づけて、前記関連性判定部によって基準値以上の血圧変動との関連性が高いと判定された要素の測定データを表示装置に表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、操作者による拡大期間に表示する要素の指示に応じて、前記拡大期間における血圧データに対応づけて表示する要素を操作者が指定する要素に更新する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、操作者による拡大期間の指示に応じて、前記表示装置に表示させる拡大期間を操作者が指示する拡大期間に更新する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
さらに、特定の要素と基準値以上の血圧変動との相関関係を示す相関情報を生成する相関情報生成部を有し、
前記表示制御部は、操作者の表示指示に応じて前記相関情報生成部が生成する相関情報を前記表示装置に表示させる、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、PTT方式、トノメトリ方式、光学方式、電波方式、または、超音波方式の何れかの方式の血圧センサによって連続測定された血圧データを取得する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
特定の被測定者から連続測定された血圧データと血圧以外の複数要素の測定データとを取得する機能と、
前記取得した連続測定された血圧データから基準値以上の血圧変動の危険度を検出する機能と、
前記検出する基準値以上の血圧変動の時間帯を含む拡大期間における血圧データと前記拡大期間における血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データとを時間軸で対応づけ、前記検出する基準値以上の血圧変動の時間帯を前記危険度別に色分けして表示装置にグラフ表示させる機能と、
を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項8】
前記血圧変動検出部は、前記血圧データから基準値以上の複数の血圧変動を検出し、
前記表示制御部は、前記複数の血圧変動の時間帯を含む拡大期間における血圧データと前記拡大期間における血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データとを時間軸で対応づけて表示装置にグラフ表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検出する機能は、前記血圧データから基準値以上の複数の血圧変動を検出する機能であり、
前記表示させる機能は、前記複数の血圧変動の時間帯を含む拡大期間における血圧データと前記拡大期間における血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データとを時間軸で対応づけて表示装置にグラフ表示させる機能である、請求項7に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理プログラムに関し、より詳しくは、被測定者の血圧に関する情報を表示画面に表示する情報処理装置および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定者の血圧に関連する情報を表示する装置としては、例えば特許文献1に開示されているように、測定された血圧値と、測定時刻情報や測定条件を対応づけてメモリに格納し、特定の時間帯に複数回測定された血圧値を平均した平均値を算出し、その算出結果に基づいてリスク値を算出および表示する血圧計が提案されている。
また、近年では、携帯型の血圧計により、被測定者の血圧を連続的に長期間(例えば、夜間や24時間)測定し、測定結果に基づいて被測定者の健康管理を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−261452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザは、長期間に亘る連続的な測定によって得られる膨大な血圧値のデータが単純に提示されても、健康状態を正しく把握する事が難しい。また、医師などの医療や健康についての専門的な知識を有する者(以下、医療者と称する)であっても、膨大な血圧値のデータから被測定者の健康状態を把握するのは大きな負担となる。
【0005】
また、脳心血管イベントとの関連が大きいとされる急激な血圧の上昇(サージ)の要因は様々なものが考えられる。このため、連続的に測定した血圧値のデータから検出されるサージの要因を判定するには、多数の指標(多くの種類の測定データ)を取集し、それぞれの指標についてサージとの関連を分析する必要がある。このようなサージの要因を分析することは、医療者であっても容易ではない。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、連続測定された血圧値のデータを含む複数種類の情報の測定データによる被測定者の健康状態の把握を容易にすることができる情報処理装置および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、特定の被測定者から連続測定された血圧データと血圧以外の複数要素の測定データとを取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得した連続測定された血圧データから基準値以上の血圧変動を検出する血圧変動検出部と、前記血圧変動検出部が検出する基準値以上の血圧変動の時間帯を含む拡大期間における血圧データと前記拡大期間における血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データとを対応づけて表示装置に表示させる表示制御部と、を有する。
【0008】
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、前記第1の態様において、さらに、前記情報取得部が取得する血圧以外の各要素の測定データと前記血圧変動検出部が検出する基準値以上の血圧変動との関連性を判定する関連性判定部を有し、前記表示制御部は、前記拡大期間における血圧データに対応づけて、前記関連性判定部により基準値以上の血圧変動との関連性が高いと判定された要素の測定データを表示装置に表示させるものである。
【0009】
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、前記第2の態様において、前記表示制御部は、操作者による拡大期間に表示する要素の指示に応じて、前記拡大期間における血圧データに対応づけて表示する要素を操作者が指定する要素に更新するものである。
【0010】
本発明の第4の態様に係る情報処理装置は、前記第1乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記表示制御部は、操作者による拡大期間の指示に応じて、前記表示装置に表示させる拡大期間を操作者が指示する拡大期間に更新するものである。
【0011】
本発明の第5の態様に係る情報処理装置は、前記第1乃至第4の態様のいずれかにおいて、特定の要素と血圧サージとの相関関係を示す相関表示情報を生成する相関情報生成部をさらに有し、前記表示制御部は、操作者の表示指示に応じて前記相関情報生成部が生成する相関表示情報を前記表示装置に表示させるものである。
【0012】
本発明の第6の態様に係る情報処理装置は、前記第1乃至第5の態様のいずれかにおいて、前記情報取得部は、PTT方式、トノメトリ方式、光学方式、電波方式、または、超音波方式の何れかの方式の血圧センサによって連続測定された血圧データを取得するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、長時間で連続測定された膨大な量の血圧データに対する基準値以上の血圧変動の検出結果に基づく拡大期間の血圧データを拡大表示でき、さらに、拡大表示した血圧データに対応づけて血圧以外の複数要素から選択した1つの要素の測定データを表示できる。この結果、膨大な量の測定データから注視すべき血圧変動と他の要素の測定データとを人が見やすい状態で表示させることができ、被測定者の治療や健康管理などのための負担を軽減することができ、被測定者の健康状態を改善することを支援することができる。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、基準値以上の血圧変動と血圧以外の各要素との関連性を判定することができ、血圧変動との関連性が高いと判定された要素の測定データを血圧データに対応づけて表示装置に表示させることができる。この結果、被測定者の治療や健康管理などのための負担を軽減することができ、被測定者の健康状態を改善することを支援することができる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、血圧データに対応づけて表示する要素を操作者が指定できるため、種々の要素の測定データと血圧データとの関連を容易に確認でき、医療者などによる診断の負担を軽減しつつ診断の精度と高めることができる。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、拡大表示させる拡大期間を操作者が指示できるため、操作者が指定する時間帯における血圧データと血圧以外の要素の測定データとの関連を容易に目視で確認でき、医療者などによる診断の負担を軽減しつつ診断の精度と高めることができる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、特定の要素と血圧サージとの相関関係を示す相関情報を操作者の指示に応じて表示装置に表示させることができるため、医療者などによる診断の負担を軽減しつつ診断の精度と高めることができる。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、連続測定された血圧データが特定の方式の血圧センサで測定してものに限定されることはなく、多様方式の測定装置で測定した血圧データに基づいて利用者の健康状態の把握するための情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置としての情報処理システムを含む測定データの管理システムの構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、図1に示す測定端末の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示すユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示すサーバの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示す医療者端末の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、図1に示すサーバが有する機能を説明するためのブロック図である。
図7図7は、図1に示す測定端末において測定を実行する場合に表示される操作画面の遷移例を示す図である。
図8図8は、情報処理システムが表示する測定データに基づく血圧関連情報の表示例を示す図である。
図9図9は、情報処理システムが表示する測定データに基づく血圧関連情報の表示例を示す図である。
図10図10は、情報処理システムとしてのサーバの動作例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、情報処理システムとしてのサーバの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システム1と測定端末2とセンサ3とを有する測定データの管理システムの構成例を概略的に示す図である。
【0021】
測定データの管理システムは、情報処理システム(情報処理装置)1、測定端末2、センサ3などを有するシステムである。情報処理システム1は、測定端末2およびセンサ3から種々の要素の測定データを取得し、取得した測定データを分析する。情報処理システム1は、ユーザ端末11、サーバ12、および、医療者端末13を有する。
【0022】
図1に示す構成例において、測定端末2とセンサ3とがユーザ端末11に接続され、ユーザ端末11がサーバ12とネットワークを介して通信可能に接続される。さらに、サーバ12は、無線通信あるいは有線通信により医療者端末13と通信可能に接続される。ただし、測定データの管理システムおよび情報処理システム1の構成は、図1に示す構成に限定されるものではない。
【0023】
例えば、測定端末2およびセンサ3は、ユーザ端末11を介さずにサーバ12に通信接続するようにしても良い。この場合、ユーザ端末11は省略可能となり、後述するユーザ端末11の動作は測定端末2またはサーバ12が実施するようにすれば良い。また、センサ3は、ユーザ端末11ではなく測定端末2に接続しても良い。この場合、センサ3は、測定端末2を介してユーザ端末11またはサーバ12と通信可能とすれば良い。また、センサ3は、測定端末2に設けても良い。
【0024】
また、後述するサーバ12が実現する機能(処理)の一部または全部は、ユーザ端末11あるいは医療者端末13が実施するようにしても良いし、ユーザ端末11あるいは医療者端末13とサーバ12とが共同して実施するようにしても良い。さらに、後述するユーザ端末11の機能、サーバ12の機能および医療者端末13の機能の一部または全部は、測定端末2が実施するようにしても良い。例えば、サーバ12が提供する情報は、ユーザ端末11の表示部が表示しても良いし、測定端末2の表示部が表示しても良い。
【0025】
測定端末2は、少なくとも被測定者(ユーザ)の血圧値を連続測定する機能を有する。測定端末2は、例えば、腕時計型などのウエアラブルな端末装置である。測定端末2は、ユーザの血圧値を連続測定するだけでなく、活動量、歩数および睡眠状態などの生体データや気温および湿度などの環境データなどを測定する機能を有するものである。
【0026】
測定端末2は、生体データおよび環境データを測定するための複数のセンサを有する。例えば、測定端末2は、被測定者の体の一部に接触または近接した状態で血圧などの各種の生体情報の値を示す信号を検知するためのセンサを含む生体センサ群(生体センサ)を具備する。測定端末2が具備する生体センサは、例えば、バンドなどにより被測定者における所定位置に接触または近接するように構成される。また、測定端末2は、気温や湿度などの被測定者が存在する環境を示す値を示す信号を検知するためのセンサを含む環境センサ(環境センサ群)も具備する。
【0027】
センサ3は、測定対象となる特定の要素の値を示す信号を検知するセンサである。センサ3は、例えば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の状態を示す動脈血酸素飽和度(SPO2)の値を検知するセンサであり、被特定者における所定の部位(例えば、指先)に装着される。センサ3は、ユーザ端末11との通信機能を有し、測定したデータをユーザ端末へ送信する。センサ3は、測定端末2と通信接続するものであっても良いし、サーバ12と通信接続する機能を有するものであっても良い。また、図1に示すシステム構成では、センサ3は1種類であるが、複数種類のセンサを有するものであっても良い。
【0028】
ユーザ端末11は、個々のユーザが利用する情報通信端末である。ユーザ端末11は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレッドPC、ノートPCなどの携帯可能な情報通信端末である。ユーザ端末11は、少なくても測定端末2およびセンサ3が測定したデータをサーバ12へ転送できるものであれば良い。測定データの管理システムとしては、少なくともユーザごとにユーザ端末11が存在する。また、個々のユーザが複数のユーザ端末を有するものであっても良い。
【0029】
サーバ12は、ユーザ端末11との通信機能と医療者端末13との通信機能とを有する。図1に示す構成例では、サーバ12は、ユーザ端末11とは広域のネットワークを介して通信し、医療者端末13とはローカルエリアネットワークを介して通信するものを想定する。ただし、サーバ12は、ユーザ端末11と医療者端末13との両方と通信できるものであれば良く、通信方式や通信形態が特定のものに限定されるものではない。サーバ12は、測定端末2およびセンサ3が測定した測定データをユーザ端末11から取得し、取得した測定データを分析する。また、サーバ12は、測定データおよび測定データの分析結果などを医療者端末13に提供する。
【0030】
医療者端末13は、ユーザに対して治療方針を指示または生活改善などの提案を行う医療者が利用する情報通信装置である。ユーザ端末11は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPCなどの情報の表示機能を有する情報通信装置である。医療者端末13は、サーバ12から提供される情報を表示装置に表示する。また、医療者端末13は、医療者による操作に応じてサーバ12に種々の処理(情報表示)を要求する機能を有する。
【0031】
図2は、図1に示す測定端末2の構成例を示すブロック図である。
測定端末2は、制御部21、通信部22、記憶部23、操作部24、表示部25、加速度センサ26、生体センサ27、および、環境センサ28などを有する。
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ21aとメモリ21bとを有する。制御部21は、プロセッサ21aがメモリ21bを用いてプログラムを実行することにより、各種の動作制御およびデータ処理などを実現している。プロセッサ21aは、例えば、演算回路を含むCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などである。メモリ21bは、プロセッサ21aが実行するプログラムを記憶する不揮発性のメモリ、および、ワークメモリとして使用するRAMなどの揮発性メモリを含む。また、制御部21は、図示しないクロックを有し、現在の日時を計時する時計機能を有する。
【0032】
制御部21において、プロセッサ21aは、メモリ21bまたは記憶部23が記憶するプログラムを実行することにより各部の制御およびデータ処理が実行可能である。すなわち、プロセッサ21aは、操作部24からの操作信号に応じて各部の動作制御を行い、生体センサ27および環境センサ28が測定する測定データに対するデータ処理を行う。例えば、制御部21は、操作部24による指示に応じて、被測定者の血圧値を含む各種の情報を連続測定するモード(スクリーニングモード)での動作を実行する。
【0033】
通信部22は、ユーザ端末11と通信するための通信インターフェースである。通信部22は、ユーザ端末11へのデータを送信したり、ユーザ端末11からのデータを受信したりする。通信部22による通信は、無線通信あるいは有線通信のいずれであっても良い。本実施形態において、通信部22は、近距離無線通信によりユーザ端末11と通信するものを想定して説明するが、これに限定されず、通信ケーブルを用いて通信するものであっても良いし、LAN(Local Area Network)のようなネットワークを介して通信するものであっても良い。
【0034】
記憶部23は、測定端末2を制御するためのプログラムのデータ、測定端末2の各種機能を設定するための設定データ、加速度センサ26、生体センサ27および環境センサ28が測定した測定データなどを記憶する。また、記憶部23は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられるようにしても良い。
【0035】
操作部24は、タッチパネルおよび操作ボタン(操作キー)などの操作デバイスにより構成される。操作部24は、ユーザ(被測定者)による操作を検出し、操作内容を示す操作信号を制御部21へ出力する。また、操作部24は、タッチパネルや操作ボタンに限定されず、例えば、ユーザの音声による操作指示を認識する音声認識部、ユーザの生体の一部を認証する生体認証部、ユーザの顔や体を撮影した画像によりユーザの表情やジェスチャーを認識する画像認識部などを備えていても構わない。
【0036】
表示部25は、例えば表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)またはEL(Electroluminescence)ディスプレイなど)やインジケータ等を含み、制御部21からの制御信号に従って情報を表示する。なお、本実施形態において、操作部24および表示部25は、タッチパネルを有する表示器により構成されるものとして説明する。
【0037】
加速度センサ26は、測定端末2の本体が受ける加速度を検出する。例えば、加速度センサは、3軸あるいは6軸の加速度データを得る。加速度データは、当該測定端末2を装着しているユーザの活動量(姿勢および/または動作)を推定するために用いることができる。制御部21は、加速度センサ26が測定する加速度データに時刻情報に基づく測定時刻を紐づけて測定データとして出力できる。
【0038】
例えば、ユーザが睡眠中であれば、加速度データから推定される被測定者の姿勢の変化は、被測定者の睡眠状態(眠りの深さ)を示すデータとなりうる。睡眠状態は、ユーザの血圧変動の要因となりうる情報である。制御部21は、ユーザが睡眠中に加速度センサ26が測定する加速度データに測定時刻を紐づけて睡眠状態の測定データ(血圧以外の1つの要素の測定データ)として出力する。
【0039】
また、ユーザが起床中であれば、加速度データから推定される動きの変化は、ユーザの活動量(例えば、ウォーキングやランニングなどの運動による活動量)を示すデータとなりうる。活動量は、ユーザの血圧変動の要因となりうる情報である。制御部21は、ユーザが起床中に加速度センサ26が測定する加速度データに測定時刻を紐づけて活動量の測定データ(血圧以外の1つの要素の測定データ)として出力する。
【0040】
なお、ユーザが睡眠中か起床中かは、加速度センサ26が検出するユーザの動きによって検出しても良いし、ユーザの操作に応じて睡眠中か起床中かを特定しても良い。後者の場合、例えば、ユーザが睡眠前に睡眠状態であることを操作部24によって指示したり起床時に起床したことを指示したりするようにしても良い。
【0041】
生体センサ27は、ユーザの生体情報を測定し、生体情報の測定データとしての生体データを出力する。制御部21は、生体センサ27が出力する各データに時刻情報に基づいて設定される測定時刻に紐づけた測定データ(生体データ)として出力する。生体センサ27には、少なくとも血圧センサ27aが含まれる。血圧センサ27aは、ユーザの血圧値を連続測定する。制御部21は、血圧センサ27aが測定する血圧値に測定時刻を紐づけた測定データ(血圧データ)として出力する。
【0042】
生体センサ27が取得する生体データとしては、血圧値の他に、脈波データ、脈拍データ、心電データ、心拍データ、体温データなどが想定され、これらの生体データを測定するためのセンサが生体センサ27として設けられうる。これらの生体データは、血圧以外の要素の測定データとして出力されるようにしても良い。
【0043】
例えば、脳波は人間の睡眠状態を示す指標であり、人間の睡眠状態が血圧変動を引き起こしうる要素の1つとして考えられる。生体センサ27が測定する脳波データは、ユーザの血圧変動の要因となりうる情報であり、血圧以外の要素の測定データとして出力されうる。また、脳波データ以外にも、脈拍データ、心電データ、心拍データ、体温データなどが血圧変動を引き起こしうる要素の1つとして考えられる場合には、それらの測定データが、血圧以外の要素の測定データとして出力されるようにして良い。
【0044】
血圧センサ27aは、連続測定型の血圧センサである。血圧センサ27aは、血圧(例えば収縮期血圧および拡張期血圧)の値を連続測定することができる血圧センサである。血圧センサ27aは、1拍ごとの血圧を連続測定することができる血圧センサを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0045】
例えば、血圧センサ27aは、PTT方式、トノメトリ方式、光学方式、電波方式、または、超音波方式などを用いた連続測定型の血圧センサが適用できる。PTT方式は、脈波伝播時間(PTT;Pulse Transmit Time)を測定し、測定した脈波伝播時間から血圧値を推定する方式である。トノメトリ方式は、手首の橈骨動脈等の動脈が通る生体部位に圧力センサを直接接触させて、圧力センサが検出する情報を用いて血圧値を測定する方式である。光学方式、電波方式、および、超音波方式は、光、電波または超音波を血管にあててその反射波から血圧値を測定する方式である。
【0046】
なお、連続測定型の血圧センサは、ユーザの血圧波形を測定することができ、測定した血圧波形に基づいて血圧値を得ることができ、測定した血圧波形の周期に基づいて心拍数を算出することができる。心拍データは、例えば、心拍数を含み得るが、これに限定されない。心拍数は、連続測定型の血圧センサによって測定されるのに限定されず、心拍センサによって測定されてもよい。
【0047】
環境センサ28は、ユーザの周囲の環境情報を測定し、測定した環境データを取得するセンサを含む。図2に示す構成例において、環境センサ28は、気温センサ28aを含むものとする。ただし、環境センサ28は、気温以外にも、温度、湿度、音、光などを測定するセンサを含んでも良い。環境センサ28は、血圧値の変動に直接あるいは間接的に関連があることが想定される環境の情報(環境データ)を測定するセンサを含むものであっても良い。また、制御部21は、環境センサ28が測定する測定データを時刻情報に基づいて設定する測定時刻を紐づけて測定データ(環境データ)として取得する。
【0048】
例えば、気温(気温の変化)は、人間の血圧変動を引き起こしうる要素の1つとして考えられる。このため、環境センサ28が測定する気温データは、ユーザの血圧変動の要因となりうる情報であり、血圧以外の1つの要素の測定データとして出力されうる。また、気温以外にも湿度、音、光などが血圧変動を引き起こしうる要素の1つとして考えらえる場合には、それらの測定データが、血圧以外の要素の測定データとして出力されるようにして良い。
【0049】
次に、ユーザ端末11の構成について説明する。
図3は、図1に示すユーザ端末11の構成例を示すブロック図である。
図3に示す構成例において、ユーザ端末11は、制御部31、記憶部32、通信部33、表示部34、操作部35、および、センサインターフェース(I/F)36などを有する。本実施形態では、ユーザ端末11は、例えば、スマートフォンやタブレッドなどの携帯通信端末であって、後述の処理を実行可能となるようにアプリケーションソフトウエア(プログラム)をインストールしたものである。
【0050】
制御部31は、少なくとも1つのプロセッサ31aとメモリ31bとを有する。制御部31は、プロセッサ31aがメモリ31bを用いてプログラムを実行することにより、各種の動作制御およびデータ処理などを行う。プロセッサ31aは、例えば、演算回路を含むCPUやMPUなどである。メモリ31bは、プロセッサ31aが実行するプログラムを記憶する不揮発性のメモリ、および、ワークメモリとして使用するRAMなどの揮発性メモリを含む。また、制御部31は、図示しないクロックを有し、現在の日時を計時する時計機能を有する。
【0051】
記憶部32は、データメモリである。記憶部32は、例えば、半導体メモリ(メモリカード、SSD(Solid State Drive))、あるいは磁気ディスク(HD(Hard Disk))などで構成される。記憶部32は、制御部31のプロセッサ31aが実行するプログラムを記憶しても良い。また、記憶部32は、測定端末2およびセンサ3から供給される測定データなどを記憶するようにしても良い。また、記憶部32は、表示部に表示する表示データなども記憶するようにして良い。
【0052】
通信部33は、サーバ12と通信するための通信インターフェースである。通信部33は、ネットワークを介してデータをサーバ12へ送信したり、サーバ12からのデータを受信したりする。通信部33による通信は、無線通信であっても良いし、有線通信であっても良い。本実施形態において、ネットワークは例えばインターネットなどを想定して説明するが、これに限定されず、LANのような他の種類のネットワークであってもよく、USBケーブルなどの通信ケーブルを用いた1対1の通信であってもよい。
【0053】
表示部34は、表示画面(例えば、LCDまたはELディスプレイなど)を含む。表示部34は、制御部31の制御によって表示画面に表示する表示内容が制御される。
操作部35は、ユーザ(例えば被測定者)による操作に対応した操作信号を制御部31へ送信する。操作部35は、例えば、表示部34の表示画面上に設けたタッチパネルである。操作部35は、タッチパネルに限定されず、操作ボタン、キーボードおよびマウスなどであっても良い。また、操作部35は、ユーザの音声による操作指示を認識する音声認識部、ユーザの生体の一部を認証する生体認証部、あるいは、ユーザの表情やジェスチャーを認識する画像認識部などを備えるものであっても良い。
【0054】
センサI/F36は、測定端末2およびセンサ3と通信するための通信インターフェースである。センサI/F36は、測定端末2およびセンサ3からのデータを受信したり、測定端末2およびセンサ3へ動作指示を送信したりする。また、センサI/F36は、測定端末2用のインターフェースと、センサ3用のインターフェースとを含むものであっても良い。センサI/F36による通信は、無線通信であっても良いし、有線通信であっても良い。
【0055】
本実施形態において、センサI/F36は、近距離無線通信により測定端末2およびセンサ3と通信する形態を想定して説明するが、これに限定されず、測定端末2またはセンサ3は通信ケーブルを介して通信するためのインターフェースを含むものであっても良い。また、センサI/F36は、通信ケーブルを介してシリアルに通信するものであっても良いし、LANのようなネットワークを介して通信するものであっても良い。
【0056】
なお、センサ3は、検知した信号を時刻情報に対応づけた測定データとしてセンサI/F36へ供給するものであって良いし、検知した信号を測定データとしてセンサI/F36へ供給するものであっても良い。後者の場合、ユーザ端末11の制御部31は、センサI/F36によりセンサ3から取得するデータに時刻情報を紐づけた測定データとして取得するようにしても良い。
【0057】
本実施形態においては、センサ3がSPO2を測定するセンサであるものであることを想定して説明する。SPO2は、人間の呼吸状態を示す指標としても用いられ、睡眠中の人間の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の状態を示す指標となる。SASは、血圧変動を引き起こしうる要素の1つとして考えられるため、センサ3が測定するSPO2の測定データは、血圧以外の要素の測定データとして出力されうる。
【0058】
次に、サーバ12の構成について説明する。
図4は、図1に示すサーバ12の構成例を示すブロック図である。
サーバ12は、制御部41、記憶部42および通信部43を有する。本実施形態において、サーバ12は、汎用のコンピュータ装置に、後述の処理を行わせるようにプログラム(ソフトウェア)をインストールしたものを想定して説明するものとする。
【0059】
制御部41は、少なくとも1つのプロセッサ41aとメモリ41bとを有する。制御部41は、プロセッサ41aがメモリ41bを用いてプログラムを実行することにより、各種の動作制御およびデータ処理などを行う。プロセッサ41aは、例えば、演算回路を含むCPUやMPUなどである。メモリ41bは、プロセッサ41aが実行するプログラムを記憶する不揮発性のメモリ、および、ワークメモリとして使用するRAMなどの揮発性メモリを含む。また、制御部41は、図示しないクロックを有し、現在の日時を計時する時計機能を有する。
【0060】
記憶部42は、データメモリである。記憶部42は、例えば、磁気ディスク(HD)、半導体メモリ(メモリカード、SSD)、光ディスク、光磁気ディスクなどで構成する。記憶部42は、ユーザ端末11から取得する各種の測定データを記憶する。また、記憶部42は、制御部41のプロセッサ41aが実行するプログラムを記憶しても良い。
【0061】
通信部43は、ユーザ端末11あるいは医療者端末13と通信するための通信インターフェースである。通信部43は、ネットワークを介してデータをユーザ端末11あるいは医療者端末13へ送信したり、ユーザ端末11あるいは医療者端末13からのデータを受信したりする。通信部43による通信は、無線通信であっても良いし、有線通信であっても良い。本実施形態において、通信部43は、インターネットなどのネットワークを介してユーザ端末11と通信し、LANを介して医療者端末13と通信する構成を想定して説明する。ただし、通信部43による通信は、特定の通信方式に限定されるものではない。
【0062】
次に、医療者端末13の構成について説明する。
図5は、図1に示す医療者端末13の構成例を示すブロック図である。
図5に示す構成例において、医療者端末13は、制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54および操作部55などを有する。本実施形態では、医療者端末13は、後述の処理を実行可能となるようにアプリケーションソフトウエア(プログラム)をインストールしたPCを想定して説明するが、例えば、タブレットPCやスマートフォンなどの通信端末であっても良い。
【0063】
制御部51は、少なくとも1つのプロセッサ51aとメモリ51bとを有する。制御部51は、プロセッサ51aがメモリ51bを用いてプログラムを実行することにより、各種の動作制御およびデータ処理などを行う。プロセッサ51aは、例えば、演算回路を含むCPUやMPUなどである。メモリ51bは、プロセッサ51aが実行するプログラムを記憶する不揮発性のメモリ、および、ワークメモリとして使用するRAMなどの揮発性メモリを含む。また、制御部51は、図示しないクロックを有し、現在の日時を計時する時計機能を有する。
【0064】
記憶部52は、データメモリである。記憶部52は、例えば、磁気ディスク、半導体メモリ(メモリカード、SSD)、光ディスク、光磁気ディスクなどで構成する。記憶部52は、制御部51のプロセッサ51aが実行するプログラムを記憶しても良い。
【0065】
通信部53は、サーバ12と通信するための通信インターフェースである。通信部53は、データをサーバ12へ送信したり、サーバ12からのデータを受信したりする。通信部53による通信は、無線通信であっても良いし、有線通信であっても良い。本実施形態において、通信部53は、LANのような他の種類のネットワークを介してサーバ12と通信するものを想定して説明するが、これに限定されず、通信ケーブルを用いてシリアルに通信を行うものを含むでも良い。
【0066】
表示部54は、表示画面(例えば、LCDまたはELディスプレイなど)を含む。表示部54は、制御部51の制御によって表示画面に表示する表示内容が制御される。
操作部55は、ユーザ(例えば被測定者)による操作に対応した操作信号を制御部51へ送信する。操作部55は、例えば、表示部54の表示画面上に設けたタッチパネルである。操作部55は、タッチパネルに限定されず、操作ボタン、キーボードおよびマウスなどであっても良い。また、操作部55は、ユーザの音声による操作指示を認識する音声認識部、ユーザの生体の一部を認証する生体認証部、あるいは、ユーザの表情やジェスチャーを認識する画像認識部などを備えるものであっても良い。
【0067】
次に、サーバ12の制御部41が実現する機能について説明する。
図6は、サーバ12の制御部41が有する機能を示すブロック図である。
サーバ12の制御部41は、プロセッサ41aがメモリ41bに記憶したプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。サーバ12の制御部41は、主な機能として、図6に示すように、情報取得部61、操作検知部62、血圧変動検出部63、表示制御部64、関連性判定部65、および、相関情報生成部66などを有する。
【0068】
情報取得部61は、測定端末2およびセンサ3が測定した測定データを取得する機能である。制御部41は、情報取得部61として、通信部43を介してユーザ端末11から各種の測定データを受信し、受信した測定データを記憶部42に記憶する処理を行う。制御部41は、例えば、ユーザ端末11または測定端末2でのユーザの操作によってサーバ12へ転送されてくる測定データを取得するものであっても良い。また、制御部41は、ユーザ端末11または測定端末2へ測定データの転送を要求し、ユーザ端末11または測定端末2から測定データを取得するようにしても良い。
【0069】
情報取得部61は、測定データとして、連続測定した血圧データと血圧以外の複数の要素の測定データとを取得する。複数の要素の測定データとしては、上述したように、センサ3が測定するSPO2の測定データ、測定端末2の加速度センサ26が測定する加速度データ、測定端末2の気温センサ28aが測定する気温データなどを取得する。これら以外にも、情報取得部61は、生体センサ27としてのセンサが測定する生体データや環境センサ28としてのセンサが測定する環境データなどを取得するようにしても良い。
【0070】
操作検知部62は、ユーザ端末11または医療者端末13からの操作指示を受け付ける機能である。制御部41は、操作検知部62として、通信部43を介してユーザ端末11または医療者端末13からの操作指示を示す情報を受信し、受信した操作指示を受け付ける処理を行う。
【0071】
血圧変動検出部63は、連続的に測定された血圧データから基準値以上の血圧変動を検出する機能である。制御部41は、血圧変動検出部63として、検出すべき血圧変動に対する基準値を設定しておき、基準値以上の血圧変動を測定期間の連続測定された血圧データから検出する処理を行う。また、血圧変動の基準値は、複数段階に設定して良い。本実施形態においては、例えば、3段階の基準値で血圧変動を3段階の危険度の血圧サージを検出するものとする。
【0072】
なお、本実施形態においては、基準値以上の血圧変動として複数段階の危険度の血圧サージを検出するものとして説明するが、上昇した血圧値を正常値に戻す調整能力を血圧変動として検出するようにしても良い。
【0073】
また、血圧サージを検出するための基準値は、例えば、血圧変動の大きさとその変動に要する期間とに対して設定する。つまり、短い期間で大きな血圧変動が起きた場合により危険度が高い血圧サージであるものとする。また、血圧サージの基準値は、利用者の活動量に応じた値として設定しても良い。例えば、運動中などの活動量が多い場合には血圧変動が大きくても正常であると考えられるから、活動量が少ない状況で血圧変動が大きくなった場合により危険度が高い血圧サージであると検出するようにしても良い。
【0074】
表示制御部64は、医療者端末13あるいはユーザ端末11や測定端末2の表示部に表示させる内容を制御する機能である。制御部41は、表示制御部64として、通信部43を介して通信可能な医療者端末13あるいはユーザ端末11へ表示データあるいは表示のためのデータを供給する処理を行う。制御部41は、例えば、医療者端末13の表示部に特定のユーザに関する連続測定した血圧データと血圧以外の要素の測定データとを対応づけて表示する血圧関連情報の表示制御を行う。表示制御部64によって表示する内容については、後で詳細に説明するものとする。
【0075】
関連性判定部65は、血圧変動と血圧以外の要素の測定データとの関連性を判定する機能である。制御部41は、関連性判定部65として、基準値以上の血圧変動と血圧以外の要素の測定データとの関連性を判定する処理を行う。制御部41は、基準値以上の血圧変動としての血圧サージが発生した期間とその前後の期間における各要素の測定データの変動に基づいて血圧サージとの関連性を判定する。血圧サージとの連動が顕著であればあるほど、制御部41は、当該要素と血圧サージとの関連性(当該要素の感受性)が高いと判定する。
【0076】
ただし、関連性の判定においては、血圧サージと対応する期間におけるある要素の測定データの変動の大きさだけではなく、血圧サージが発生する直前の変動傾向により関連性を判定する。例えば、少しの変化であっても血圧サージが発生する場合、関連性判定部65は、当該要素の感受性が高いと判定するようにして良い。また、変動の大きさよりも急激な変化に対して血圧サージが発生しやすい傾向、緩やかな変化であっても大きな変動に対して血圧サージが発生しやすい傾向なども関連性判定部65が判定するようにしても良い。
【0077】
相関情報生成部66は、基準値以上の血圧変動と他の要素の測定データとの相関を示す相関情報(例えば、相関グラフ)を生成する機能である。制御部41は、相関情報生成部66として、基準値以上の血圧変動に対する血圧以外の要素の測定データとの相関関係を示す相関情報(例えば、相関グラフ)を生成する処理を行う。例えば、制御部41は、SPO2と血圧サージとの相関を表示する旨の指示に応じて、SPO2と血圧サージとの相関関係を示す相関情報としての相関グラフを作成する。制御部41は、作成した相関グラフを表示制御部64により医療者端末13の表示部54などに表示させる。
【0078】
次に、上記のように構成される測定データの管理システムの動作について説明する。
ユーザ(被測定者)は、測定端末2を操作することにより血圧値の連続測定を含む各種の要素の測定を指示する。測定端末2は、ユーザの操作に応じて各種の要素の連続的な測定を実行し、測定期間における測定結果としての測定データをユーザ端末11を介してサーバ12へ転送する。また、ユーザ端末11は、測定端末2での測定期間の少なくとも一部を含む期間においてセンサ3が測定した測定データも取得する。センサ3は、ユーザ端末11から測定開始の指示に応じて測定を実行しても良いし、ユーザ端末11を介して測定端末2からの測定開始の指示を受けて測定を実行するようにしても良い。
【0079】
図7は、測定端末2が測定を実行する場合に表示部25が表示する操作画面の遷移例を示す図である。
図7に示す操作画面71は、測定期間における連続測定の動作モード(スクリーニング)を開始する場合の表示例である。操作画面71を表示した状態において、ユーザが操作部24としてのタッチパネルによりスクリーニングをタッチすると、制御部21は、操作画面72を表示部25に表示する。操作画面72は、設定されている測定期間における測定開始をユーザに確認させるための確認画面である。ここで、測定期間は、ユーザが測定開始を指示してから測定終了を指示するまでの期間であっても良いし、予め設定される期間であっても良い。測定期間としては、就寝中、特定の活動中、24時間などが想定される。例えば、就寝中を測定期間とする場合、ユーザは、就寝前に測定開始を指示し、起床後に測定終了を指示する。
【0080】
操作画面72において測定開始を指示すると(「OK」を指示すると)、制御部21は、測定を開始する。測定を開始すると、制御部21は、測定期間において各種のセンサが測定するデータを記憶部23に蓄積する。なお、制御部21は、随時(リアルタイムまたは短い周期で)、測定したデータをユーザ端末11へ転送し、ユーザ端末11が測定データを蓄積するようにしても良い。また、測定開始の指示が入力される前に、制御部21は、ユーザによる測定条件などを入力可能としても良い。例えば、制御部21は、測定開始前にユーザが指示する測定期間を設定するようにしても良いし、ユーザが指示する個人の識別情報などを受け付けるようにしても良い。
【0081】
測定を実行中において、制御部21は、ユーザによる測定終了の指示を受け付ける。ユーザは、測定を終了する場合(例えば、起床した後)、所定の操作によって表示部25に操作画面73を表示させる。例えば、制御部21は、加速度センサ26により測定端末2に対する所定の動きを検出した場合に操作画面73を表示部25に表示するようにしても良いし、操作部24への所定の操作を検知した場合に操作画面73を表示部25に表示するようにしても良い。また、予め設定した測定期間が経過した後、制御部21は、アラーム等により測定期間が経過したことを報知し、測定終了の指示を受け付ける操作画面73を表示部25に表示するようにしても良い。
【0082】
操作画面73では、測定終了の指示画面として「YES」キーと「NO」キーとを表示する。操作画面73において「YES」キーが指示された場合、制御部21は、測定を終了するものと判断する。また、操作画面73において「NO」キーが指示された場合、制御部21は、測定を継続するものと判断する。
【0083】
測定を終了すると判断した場合、制御部21は、測定データの転送を案内する操作画面74を表示部25に表示する。操作画面74は、測定期間中に測定した結果としての測定データをユーザ端末11あるいはサーバ12へ転送していることを案内する。ここでは、制御部21は、測定期間中に測定した測定データ(各センサによる測定値と時刻情報とを対応づけた測定データ)を記憶部23に記憶しているものとする。
【0084】
制御部21は、操作画面74を表示するとともに、記憶部23に蓄積した測定期間中の測定データを被測定者(あるいは測定端末2)の個別の識別情報と合わせてユーザ端末11を介して(あるいはユーザ端末11を介すことなく)サーバ12へ転送する。これにより、サーバ12は、測定データの管理システムにおける各測定端末2から各ユーザの測定データを取得することができる。また、サーバ12は、ユーザ端末11を介して測定端末2からの測定データとともにセンサ3が測定する測定データを取得することにより、ユーザの測定期間における各種の要素の測定データを収集できる。
【0085】
なお、上述した例では、測定終了した後に測定期間中の測定データをユーザ端末11を介してサーバ12へ転送するものとしたが、測定端末2は、リアルタイム(または所定の周期)で測定データをユーザ端末11またはサーバ12へ転送するようにしても良い。通信の頻度を少なくすれば、測定端末2は、電力消費を低く抑えることができる。これに対して、リアルタイムまたは短い周期で測定データを測定端末2から転送するようにすれば、ユーザ端末11あるいはサーバ12は、リアルタイムまたは短い周期で測定データを取得でき、リアルタイムまたは短い周期でのユーザの状態を解析することが可能となる。
【0086】
次に、サーバ12が連続測定した血圧データを含む測定データに基づく血圧関連情報の表示例について説明する。
ここでは、サーバ12が医療者端末13の表示部54に測定端末2およびセンサ3が測定した測定データに基づく情報を表示させるものとする。サーバ12の表示制御部64は、連続測定した血圧データを含む測定データと測定データに基づく分析結果とを含む情報(血圧関連情報)を表示部54に表示させる。サーバ12が表示部54に表示させる情報は、医療者による測定データに基づく血圧サージの要因の判定と治療アドバイスとを支援するための情報である。ただし、サーバ12の表示制御部64は、測定データおよび測定データに基づく分析結果などの血圧関連情報をユーザ端末11の表示部34あるいは測定端末2の表示部25に表示させるようにしても良い。
【0087】
図8および図9は、サーバ12の表示制御部64が医療者端末13の表示部54に表示させる血圧関連情報の表示例である。
図8は、あるユーザの特定の測定期間における測定データと測定データに基づく血圧サージに関する分析結果とを含む血圧関連情報の表示例である。
図8に示す表示画面は、リスクタイプ表示領域101、アドバイス表示領域102およびデータ詳細表示領域103を有する。また、図8に示す表示画面では、ユーザ(被測定者)に関する身体的な個人情報104と測定結果に表れた血圧サージに関する総合的な判定結果を示す情報105とを表示する。
【0088】
リスクタイプ表示領域101は、脳心血管イベントを引き起こす原因とその原因に対する影響具合(感受性)とをリスクタイプとして表示する領域である。ここで、リスクタイプは、脳心血管イベントを引き起こす原因とその原因に対する影響具合によって層別化された分類であるものとする。例えば、脳心血管イベントを発症する原因となりうる基準値以上の血圧変動(血圧サージ)は、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、温度変化、睡眠状態の変化、活動量の変化、ストレスなどによって起こりうる。
【0089】
また、リスクタイプとしては、例えば、「気温変化によって急激な血圧サージが頻繁に起きすいタイプ」、「気温変化によって緩やかな血圧変動が起きすいタイプ」などが分類される。前者は、気温変化によって急激な血圧サージが起きる可能性が高いため、血圧変動の原因が気温変化であり、気温感受性が高いリスクタイプとして判定される。また、後者は、気温変化によって緩やかな血圧変動が起きすいため、血圧変動の原因が気温変化であるが、気温感受性が低いリスクタイプとして判定される。
【0090】
なお、リスクとは、脳心血管イベント(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、心不全など)を発症する危険性を意味するものとする。本実施形態において、リスクは、血圧変動の大きさ、変動時間、変動の変化などの要素を包括的に考慮することで判定されるものとして説明する。例えば、変動差が同じであっても、数秒で血圧変動をする場合とそれよりも長い時間をかけて変動する場合とではリスクが異なると考えられる。
【0091】
ただし、脳心血管イベントを発症するリスクは、血圧変動の大きさ、変動時間および変動の変化以外にも、動脈硬化、性別、年齢、食事内容、睡眠、遺伝などの様々な要素から判定されるものである。このため、リスクの判定は、本実施形態で例示するものに限定されるものではなく、動脈硬化、性別、年齢、食事内容、睡眠、遺伝などの様々な要素を考慮して判定されるものとして良い。
【0092】
サーバ12は、関連性判定部65により脳心血管イベントを発症する原因となりうる血圧サージと各種の要素との関連性(感受性)を判定し、血圧サージとの関連性が高いと判定した要素を示す情報をリスクタイプ表示領域101に表示する。例えば、血圧サージとSASとの関連性が高い(SAS感受性が強い)と判定した場合、サーバ12は、リスクタイプがSAS感受性タイプであることを表示する。
【0093】
図8に示す例では、リスクタイプを示す情報(図8の例では、SAS)と共に、感受性が高いと判定された要素の変動を示す情報(図8の例では、最大SASサージ)、当該要素の変動と血圧サージとの関連を示す情報(図8の例では、SASサージ回数)、および、危険度別の血圧サージの割合を示す情報がリスクタイプ表示領域101に表示される。
【0094】
アドバイス表示領域102は、血圧サージの発生状況および血圧サージに対する各要素の関連性に基づく治療のアドバイスを表示する領域である。例えば、アドバイス表示領域102には、血圧サージの要因として推定した要素の測定データに応じた治療法などのアドバイスを表示する。
【0095】
図8に示す例は、アドバイス表示領域102の表示例は、血圧サージの要因がSASであると推定した場合の表示例であり、血圧サージに対する治療方法(つまり、SASの治療法)として、複数の選択肢(「CPAPの使用」、「生活指導」、「投薬」)が表示され、それらの選択肢から推奨される1つの治療方法を示す情報がアドバイス表示領域102に表示される。
【0096】
例えば、推奨する治療方法は、SASが要因と推定される血圧サージの危険度に応じて決定されるようにしても良い。例えば、SASが要因となる血圧サージが多発している場合、あるいは、SASが要因と推定される血圧サージの血圧変動が非常に大きい場合(つまり、血圧サージの危険度が非常に高い場合)、重篤な人物に対する治療法をアドバイスとして提示するようにして良い。
【0097】
データ詳細表示領域103は、実際の測定データを詳細に表示する領域である。図8に示す例では、データ詳細として、連続測定した血圧データのグラフ111、連続測定した血圧データの一部の期間分を拡大表示したグラフ112、グラフ112と同じ期間における血圧以外の要素の測定データを拡大表示したグラフ113、グラフ表示の選択欄114、および、分析指示ボタン115(115a、115b)がデータ詳細表示領域103に表示される。
【0098】
グラフ111は、連続測定を実施した測定期間全体または所定の期間(12時間、24時間など)における連続測定された血圧値のデータを表示する。グラフ111には、グラフ112および113で拡大表示する期間(拡大期間)を示す拡大表示帯111aが表示される。
【0099】
グラフ112は、グラフ111の拡大表示帯111aが示す期間における血圧データを表示する。グラフ112には、血圧サージとして検出された期間T1,T2,T3,T4が色分けで表示される。
グラフ113は、グラフ111の拡大表示帯111aが示す期間における選択された要素の測定データを表示する。グラフ113は、グラフ112に対応づけて表示される。図8に示す例では、グラフ113として、SPO2の測定データがグラフ112の血圧データに対応づけて表示されている。
【0100】
グラフ表示の選択欄114は、グラフ112および113として表示する要素(指標)を示す。また、選択欄114は、医療者またはユーザがグラフ112または113として表示する要素を指定するための欄としても用いられる。選択欄114で選択状態となっている要素の測定データがグラフ112およびグラフ113として表示される。図8に示す例では、連続血圧とSPO2とが選択状態となっており、グラフ112には連続血圧として血圧データが表示され、グラフ113にはSPO2の測定データが表示されている。選択欄114で同時に選択可能な項目は、グラフ112および113として表示可能なものに限定されるようにして良い。なお、初期状態において、選択欄114は、血圧データと血圧サージの要因として推定される要素の測定データとが選択されるものとする。
【0101】
また、選択欄114において選択可能とする要素は、ユーザの血圧変動の要因となりうる情報であり、サーバ12が取得可能な測定データであれば良い。図8に示す例では、血圧の他に、SPO2、睡眠、活動量、気温などの要素が選択欄114において選択可能となっている。上述した構成例では、SPO2の測定データは、センサ3が測定するものである。睡眠の測定データは、測定端末2の加速度センサ26が睡眠中の被測定者に対して測定する加速度データ(姿勢)であっても良いし、測定端末2の生体センサ27の1つしての脳波センサが測定する脳波データであっても良い。また、活動量の測定データは、測定端末2の加速度センサ26が測定する加速度データである。また、気温の測定データは、測定端末2の気温センサ28aが測定するものである。
【0102】
分析指示ボタン115は、特定の分析を指示するボタンである。図8に示す例では、ODI分析を指示する分析指示ボタン115aとSPO2に対する血圧サージの相関を示す分析指示ボタン115bとが表示される。例えば、分析指示ボタン115bは、血圧以外の特定の要素としてのSPO2と血圧サージとの相関関係を示す相関情報(相関グラフ)の表示を指示するボタンである。
【0103】
図9は、SPO2と血圧サージとの相関関係を示す相関グラフの表示例を示す図である。つまり、図8に示す分析指示ボタン115bが指示された場合、サーバ12の制御部41は、相関情報生成部66によりSPO2と血圧サージとの相関グラフを生成し、生成した相関グラフを表示部54に表示させる。図9に示す表示例では、図8に示す表示画面上にポップアップ画面120としてSPO2と血圧サージとの相関グラフが表示されている。図9に示す相関グラフは、操作者の操作によって図8に示す表示状態に戻すことができるものとする。
【0104】
以上のような表示によれば、サーバ12は、測定端末およびセンサが測定するデータに基づいて、血圧サージの発生状況、血圧データに対応づけた各種の測定データ、測定データから推定される血圧サージの要因、および、治療のアドバイスなどを医療者またはユーザに提示することができる。
【0105】
次に、測定端末2およびセンサ3が測定した測定データを提供する処理について説明する。
ここでは、サーバ12が測定端末2およびセンサ3が測定した測定データを収集し、収集した測定データを医療者端末13に表示させる動作例について説明する。ただし、後述する医療者端末13が実行する処理をユーザ端末11が実行する処理に置き換えた運用を実施しても良い。また、後述のサーバ12の処理の一部または全部は、ユーザ端末11または測定端末2が実施するようにしても良い。
【0106】
図10および図11は、サーバ12の動作例を説明するためのフローチャートである。
医療者端末13の表示部54に特定のユーザの血圧関連情報を表示する場合、医療者端末13の制御部51は、通信部53を介して血圧関連情報の表示情報をサーバ12に要求する信号を送信する。例えば、医療者は、医療者端末13の操作部55を操作してユーザを特定する情報(例えば、ユーザの識別情報)と共に血圧関連情報の表示を指示する。血圧関連情報の表示が指示されると、医療者端末13の制御部51は、ユーザの識別情報とともに血圧関連情報の表示情報をサーバ12に要求する信号を送信する。このとき、表示する血圧関連情報が測定された年月日(測定期間)を指定可能としても良いし、表示する項目を予め設定可能としてもよい。
【0107】
サーバ12の制御部41は、情報取得部61によって、ユーザ端末11を介して測定端末2およびセンサ3から測定データを取得し、記憶部42に蓄積する(S11)。情報取得部61が取得する測定データには、連続測定した血圧データと血圧以外の複数要素の測定データとが含まれる。また、制御部41は、ユーザ端末11から測定データと共にユーザの識別情報を受信し、測定データとユーザの識別情報とを対応づけて記憶部42に蓄積する処理を行う。
【0108】
また、制御部41は、測定データを記憶部42に記憶する処理を行いつつ、医療者端末13からの血圧関連情報の表示指示を受け付ける。制御部41は、通信部43を介して血圧関連情報の表示を要求する信号を医療者端末13から受信すると(S12、YES)、指定されたユーザに対応する連続測定した血圧データ(連続測定した測定期間、または所定期間分の連続測定した血圧データ)を記憶部42から読み出す。
【0109】
制御部41は、指定されたユーザの連続測定した血圧データを記憶部42から読み出すと、表示制御部64によって、読み出した血圧データを医療者端末13の表示部54に表示させる(S13)。例えば、制御部41は、図8に示すような表示画面におけるグラフ111として、読み出した連続測定した血圧データを表示部54に表示させる。
【0110】
また、制御部41は、血圧変動検出部63によって、読み出した連続測定した血圧データにおける基準値以上の血圧変動を検出する(S14)。ここでは、複数段階の基準値以上の血圧変動を連続測定した血圧データから危険別の血圧サージとして検出するものとする。血圧サージを検出すると、制御部41は、血圧サージの検出結果に基づいて連続測定した血圧データを拡大表示する時間帯(拡大期間)を決定し、決定した拡大期間の血圧データを拡大表示する(S15)。例えば、制御部41は、図8に示すような表示画面におけるグラフ112として拡大期間の血圧データを表示部54に表示させる。また、制御部41は、グラフ112として表示した拡大期間の血圧データに対して、危険度別で検出した血圧サージの時間帯を危険度別に色分けして表示部54に表示させる。これにより、拡大期間における血圧値の変動を視認し易くでき、検出された血圧サージを認識し易くできる。
【0111】
さらに、制御部41は、関連性判定部65によって、検出した血圧サージと血圧以外の各要素の測定データとの関連性を判定する(S16)。さらに、制御部41は、血圧サージと各要素の測定データとの関連性の判定結果に基づいて、血圧サージとの関連が高い要素を判定する(S17)。血圧サージとの関連が高い要素を1つ判定すると、制御部41は、当該要素の拡大期間の測定データを記憶部42から読み込み、読み込んだ測定データを拡大期間の血圧データに対応づけて表示する(S18)。例えば、制御部41は、図8に示すような表示画面において、血圧サージとの関連が高いと判定された要素を選択欄114で選択状態とし、グラフ113として血圧サージとの関連が高いと判定された要素の拡大期間の測定データを表示部54に表示させる。
【0112】
以上の処理によって、サーバ12は、図8に示すような表示画面を医療者端末13の表示部54にさせる。このような表示画面を表示した場合、サーバ12は、操作検知部62によって、医療者端末13の操作部55による操作を検知し、操作指示に応じて表示部54が表示する表示内容を更新する。
【0113】
例えば、サーバ12の制御部41は、グラフ112および113として拡大表示する時間帯(拡大期間)の指示を受け付ける(S19)。例えば、図8に示す表示画面のグラフ111上で指示される位置に応じて拡大期間の指示を受け付ける。医療者端末13の操作部55により拡大期間が指定された場合(S19、YES)、サーバ12の制御部41は、指示しれた拡大期間に応じて拡大表示帯111a、グラフ112および113を更新する(S20)。すなわち、制御部41は、拡大期間を示す拡大表示帯111aをグラフ111上の指示された位置に表示させる。また、制御部41は、拡大表示帯111aが表示する期間を拡大期間として新たに設定し、当該拡大期間における測定データ(連続測定された血圧データおよび選択されている血圧以外の要素の測定データ)をグラフ112および113として表示させる。
【0114】
また、制御部41は、グラフ113として表示する要素の選択指示を受け付ける(S21)。例えば、図8に示す表示画面において、選択欄114への指示に応じてグラフ113として表示する要素の選択指示を受け付ける。医療者端末13の操作部55により表示する要素の変更が指示された場合(S21、YES)、サーバ12は、グラフ113として表示する要素を指示された要素に変更し、指示された要素の測定データを表示させる(S22)。また、サーバ12の制御部41は、選択欄114において指示された要素を選択状態とする表示に変更する。
【0115】
また、制御部41は、分析表示ボタン115により特定のデータと血圧サージとの相関を示す相関情報の表示指示を受け付ける(S23)。例えば、図8に示す表示画面において、分析表示ボタン115bによってSPO2の測定データと血圧サージとの相関関係を示す相関グラフの表示指示を受け付ける。医療者端末13の操作部55により分析表示ボタン115bが指定された場合(S23、YES)、サーバ12の制御部41は、相関情報生成部66によって、SPO2の測定データと血圧サージとの相関関係を示すグラフ(相関グラフ)を作成し、作成した相関グラフを表示部54に表示させる(S24)。例えば、制御部41は、図8の分析表示ボタン115bが指示されると、図9に示す相関グラフを表示部54に表示させる。
【0116】
また、サーバ12の制御部41は、医療者端末13における表示終了の操作を受け付けると(S25、YES)、連続測定した血圧データに関連する情報の表示を終了する。表示を終了すると、制御部41は、S11へ戻り、測定データの収集および表示指示の受け付けを行う。
【0117】
上記のように、情報処理装置としてのサーバ12は、表示装置に表示させる血圧関連情報の表示によれば、被測定者の連続測定した血圧データと、当該血圧データの一部の期間を拡大期間として表示すると共に当該拡大期間の血圧データに対応づけて血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データを表示装置に表示させる。これにより、膨大な量の連続測定した血圧データの一部を拡大期間として拡大表示でき、拡大表示した血圧データに対応づけて血圧以外の複数要素から選択した1つの要素の測定データを表示できる。この結果、人が見やすい状態で血圧データに対応づけて他の要素の測定データを視認し易くすることができ、被測定者の治療や健康管理などのための負担を軽減することができ、被測定者の健康状態を改善することを支援することができる。
【0118】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0119】
上記実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下に限定されるものではない。
(付記1)
情報処理装置であって、
メモリと、
前記メモリと協働する少なくとも1つのプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
特定の被測定者から連続測定された血圧データと血圧以外の複数要素の測定データとを取得し、
前記取得した連続測定された血圧データから基準値以上の血圧変動を検出し、
前記検出する基準値以上の血圧変動の時間帯を含む拡大期間における血圧データと前記拡大期間における血圧以外の少なくとも1つの要素の測定データとを対応づけて表示装置に表示させる。
【符号の説明】
【0120】
1…情報処理システム(情報処理装置)、2…測定端末、3…センサ、11…ユーザ端末、12…サーバ、13…医療者端末、21…制御部、22…通信部、23…記憶部、24…操作部、25…表示部、26…加速度センサ、27…生体センサ、27a…血圧センサ、28…環境センサ、28a…気温センサ、31…制御部、32…記憶部、33…通信部、34…表示部、35…操作部、36…センサインターフェース(I/F)、41…制御部、42…記憶部、43…通信部、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、54…表示部、55…操作部、61…情報取得部、62…操作検知部、63…血圧変動検出部、64…表示制御部、65…関連性判定部、66…相関情報生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11