(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1延伸工程において、第1延伸ローラが前記第1芯体露出部を押し広げることにより前記第1芯体露出部を延伸し、前記第1延伸ローラにおいて前記第1芯体露出部と対
向する部分の径は、前記第1延伸ローラにおいて前記第2芯体露出部と対向する部分の径及び前記第1延伸ローラにおいて前記第3芯体露出部と対向する部分の径よりも大きく、
前記第2延伸工程において、第2延伸ローラが前記第2芯体露出部を押し広げることにより前記第2芯体露出部を延伸し、前記第2延伸ローラにおいて前記第2芯体露出部と対向する部分の径は、前記第2延伸ローラにおいて前記第1芯体露出部と対向する部分の径及び前記第2延伸ローラにおいて前記第3芯体露出部と対向する部分の径よりも大きく、
前記第3延伸工程において、第3延伸ローラが前記第3芯体露出部を押し広げることにより前記第3芯体露出部を延伸し、前記第3延伸ローラにおいて前記第3芯体露出部と対向する部分の径は、前記第3延伸ローラにおいて前記第1芯体露出部と対向する部分の径及び前記第3延伸ローラにおいて前記第2芯体露出部と対向する部分の径よりも大きい請求項9に記載の電極板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者らは電極板の製造方法について開発を行うなかで、次の課題が存在することを新たに見いたした。帯状の芯体上に長手方向に沿って活物質層が形成され、芯体において活物質層が形成された部分の両側に長手方向に沿って第1芯体露出部と第2芯体露出部が形成されている電極板について、活物質層の圧縮工程の前に予め第1芯体露出部と第2芯体露出部を同時に延伸した場合、第1芯体露出部と第2芯体露出部がそれぞれ意図するような延伸状態とならない場合が生じた。第1芯体露出部と第2芯体露出部がそれぞれ意図した状態に延伸されない場合、活物質層の圧縮工程の前に予め芯体露出部を延伸しておいても、活物質層の圧縮処理により芯体に皺が生じる場合があった。
【0008】
本願発明は、上記の課題を解決することを目的とし、高い充填密度を有し信頼性の高い
電極板、及び高い体積エネルギー密度を有し信頼性の高い二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一様態の電極板の製造方法は、
帯状の芯体と、活物質を含み前記芯体上に形成された活物質層を備えた電極板の製造方法であって、
前記芯体上に前記芯体の長手方向に沿って前記活物質層を形成し、前記芯体の幅
方向における前記活物質層の両側に前記芯体の長手方向に沿って第1芯体露出部と第2芯体露出部を設ける活物質層形成工程と、
前記活物質層形成工程の後に、前記第1芯体露出部を延伸する第1延伸工程と、
前記第1延伸工程の後に、前記第2芯体露出部を延伸する第2延伸工程と、
第2延伸工程の後に、前記活物質層を圧縮する圧縮工程を有する。
【0010】
上述のように、第1芯体露出部と第2芯体露出部について個別に延伸処理を行うことにより、第1芯体露出部と第2芯体露出部をより確実に意図する状態に延伸できることを見出した。また、第1芯体露出部と第2芯体露出部がそれぞれ長手方向においてより均一に延伸できる。
【0011】
前記第1延伸工程において第1延伸ローラを前記第1芯体露出部に押し当てることにより前記第1芯体露出部を延伸し、
前記第2延伸工程において、前記第1延伸ローラと異なる第2延伸ローラを前記第2芯体露出部に押し当てることにより前記第2芯体露出部を延伸することが好ましい。
【0012】
前記第1延伸ローラと前記第2延伸ローラの間にガイドローラが配置され、
前記ガイドローラにより前記芯体に張力が加わるようにすることが好ましい。
【0013】
前記芯体が通過する経路において、上流から前記第1延伸ローラ、前記ガイドローラ、前記第2延伸ローラの順に配置することが好ましい。
【0014】
前記第1延伸ローラは、第1本体部と、前記第1本体部よりも径の大きい第1拡径部を有し、
前記第2延伸ローラは、第2本体部と、前記第2本体部よりも径の大きい第2拡径部を有し、
前記第1拡径部が前記第1芯体露出部を延伸し、
前記第2拡径部が前記第2芯体露出部を延伸することが好ましい。
【0015】
本発明の一様態の二次電池の製造方法は、
上述のいずれかの方法で製造した電極板を正極板として用い、前記正極板、負極板及びセパレータを含む電極体を作製する工程と、前記電極体及び非水電解質を電池ケース内に配置する工程を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い充填密度を有し信頼性の高い電極板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る実施形態を非水電解質二次電池の正極板を例に説明する。なお、本発明は以下の形態に限定されない。
【0019】
[正極活物質層スラリー]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としての炭素材料、及び溶剤としてのN−メチルピロリドン(NMP)をリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が97.5:1:1.5となるように混練し、正極活物質層スラリーを作製する。なお、正極活物質層に含まれる正極活物質の正極活物質層に対する質量割合は、95質量%以上とすることが好ましく、99質量%以下とすることが好ましい。また、正極活物質層に含まれる結着剤の正極活物質層に対する質量割合は、5質量%未満であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。また、正極活物質層に含まれる結着剤の正極活物質層に対する質量割合は、0.5質量%以上とすることが好ましい。
【0020】
[保護層スラリー]
アルミナ粉末、導電剤としての黒鉛、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と溶剤としてのN−メチルピロリドン(NMP)を、アルミナ粉末:黒鉛:PVdFの質量比が83:3:14となるように混練し、保護層スラリーを作製する。なお、保護層中に含まれる結着剤の保護層に対する質量割合は、5質量%以上とすることが好ましく、8質量%以上とすることがより好ましく、10質量%以上とすることが更に好ましい。保護層は結着剤のみから構成されてもよいが、アルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカ等の無機酸化物を含むことが好ましい。保護層には正極活物質が含まれないことが好ましい。保護層に正極活物質が含まれる場合であっても、保護層に含まれる正極活物質の保護層に対する質量割合は、10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることが更に好ましい。
【0021】
[活物質層形成工程・保護層形成工程]
正極芯体としての厚さ15μmの帯状のアルミニウム箔の両面に、正極活物質層スラリー及び保護層スラリーをダイコータにより塗布する。このとき、正極芯体の幅方向の中央に正極活物質層スラリーが塗布され、正極活物質層スラリーが塗布される領域の幅方向の両端に保護層スラリーが塗布されるようにする。なお、一つのダイコータのダイヘッド内部の吐出口近傍において正極活物質層スラリー及び保護層スラリーを合流させ、正極活物質層スラリーと保護層スラリーを同時に正極芯体上に塗布することができる。但し、正極活物質層スラリーと保護層スラリーを同時に正極芯体上に塗布する必要はない。
【0022】
正極活物質層スラリー及び保護層スラリーが塗布された正極芯体を乾燥させ、スラリー中のNMPを除去する。これにより正極活物質層及び保護層が形成される。
【0023】
図1は、上述の方法で作製された圧縮処理前の正極板1の平面図である。
図2は
図1におけるII−II線に沿った断面図である。
図1に示すように、正極板1の幅方向の中央
部に、正極板1の長手方向に沿って正極活物質層1bが形成されている。正極芯体1aにおいて、正極活物質層1bが形成された領域の幅方向の両端部には保護層(第1保護層1c
1、第2保護層1c
2)が形成されている。そして、正極板1の幅方向の両端部には、正極板1の長手方向に沿って正極芯体露出部(第1正極芯体露出部1d
1、第2正極芯体露出部1d
2)が形成されている。
【0024】
図3は、正極板1の正極芯体露出部を延伸するための延伸処理部20及び正極板1を圧縮処理する圧縮処理部30を示す図である。帯状の正極板1は、延伸処理部20において正極芯体露出部が延伸された後、圧縮処理部30において正極活物質層1bが圧縮される。正極活物質層1bは圧縮処理されることにより充填密度が上昇する。
【0025】
図3に示すように延伸処理部20は、第1延伸ローラ21、第2延伸ローラ22、及び3つのガイドローラ23を有する。
図4の(a)は第1延伸ローラ21の平面図であり、
図4の(b)は第2延伸ローラ22の平面図であり、
図4の(c)はガイドローラ23の平面図である。
【0026】
第1延伸ローラ21は、本体部21aと、本体部21aの幅方向の一方端側に設けられた本体部21aよりも径が大きい拡径部21bを有する。第2延伸ローラ22は、本体部22aと、本体部22aの幅方向の他方端側に設けられた本体部22aよりも径が大きい拡径部22bを有する。なお、幅方向(
図3においては前後方向、
図4においては左右方向)において、第1延伸ローラ21の拡径部21bは一方の端部側(
図3においては手前側)に配置され、第2延伸ローラ22の拡径部22bは他方の端部側(
図3においては奥側)に配置される。
【0027】
正極板1が延伸処理部20を通過するとき、正極板1には各ローラにより張力が掛かった状態となっている。そして、第1延伸ローラ21の拡径部21bが、正極板1の第1正極芯体露出部1d
1を外側に押し広げるため第1正極芯体露出部1d
1が延伸される。また、第2延伸ローラ22の拡径部22bが、正極板1の第2正極芯体露出部1d
2外側に押し広げるため第2正極芯体露出部1d
2が延伸される。このようにして、圧縮処理を行う前に、正極芯体露出部が延ばされた状態となる。
【0028】
図5は、第1延伸ローラ21の拡径部21bが正極板1の第1正極芯体露出部1d
1を外側に押し広げる状態を示す図である。第1延伸ローラ21の拡径部21bが正極板1の第1正極芯体露出部1d
1を外側に押し広げる。これにより、第1正極芯体露出部1d
1が延伸される。なお、正極板1の第2正極芯体露出部1d
2についても同様に、第2延伸ローラ22の拡径部22bにより外側に押し広げる。
【0029】
図5においては省略しているが、正極板1の幅方向の中央側において、第1延伸ローラ21の本体部21aは正極板1の正極活物質層1bと接するようにされている。第2延伸ローラ22についても同様である。
【0030】
正極芯体露出部が延伸された正極板1は、圧縮処理部30において、一対の圧縮ローラ31により圧縮され、正極活物質層1bの充填密度が上昇する。このとき、正極芯体1aにおいて正極活物質層1bが形成されている領域が圧延され、正極板1の長手方向において延伸される。正極板1の正極芯体露出部は、予め延伸処理により延びた状態となっているため、正極芯体1aにおいて正極活物質層1bが形成されている領域が圧延処理により圧延されても、正極芯体1aに皺等が生じたり、正極板1が湾曲することを防止できる。
【0031】
圧縮処理された正極板1は
図2におけるC−C線に沿って裁断され、コイル状に巻き取られる。そして、電極体作製時に所定の長さに裁断される。
【0032】
正極板1では、正極芯体1aにおいて正極活物質層1bの幅方向の端部に保護層1cが形成されている。このため、正極板1を圧縮処理する前に正極芯体露出部について延伸処理を行ったとしても、正極活物質層1bの崩れ、ないし正極芯体1aからの正極活物質層1bの剥離等を防止できる。なお、保護層は必須の構成ではなく、保護層を設けなくてもよい。
【0033】
上述の通り、複数の正極芯体露出部をそれぞれ異なる延伸ローラで個別に延伸することが好ましい。このように各正極芯体露出部を個別に延伸することにより、各正極芯体露出部を確実に延伸できると共に、各正極芯体露出部をより均一に延伸することができる。また、必要があれば各正極芯体露出部の延伸度合いを意図する度合いに調整することができる。なお、複数の正極芯体露出部を一つの延伸ローラで同時に延伸することもできる。
【0034】
図5に示すように、第1延伸ローラ21の拡径部21bの本体部21aからの高さHを、圧延処理前の正極板1の正極活物質層1bが形成された部分の厚みTよりも十分に大きくすることが好ましい。特に、H(mm)/T(mm)の値が3以上であることが好ましく、H(mm)/T(mm)の値が5以上であることがより好ましく、H(mm)/T(mm)の値が7以上であることが更に好ましい。これにより、より確実に、且つより均一に第1正極芯体露出部1d
1を延伸することが可能となる。この場合も、第1延伸ローラ21の本体部21aが正極板1の正極活物質層1bと接するようにすることが好ましい。なお、第2延伸ローラ22の拡径部22bについても、第1延伸ローラ21の拡径部21bと同様の構成とすることが好ましい。
【0035】
延伸処理部20において、正極板1に100N〜600Nの張力が掛かる状態とすることが好ましく、正極板1に200N〜500Nの張力が掛かる状態とすることがより好ましい。延伸処理部20における正極板1の進む速度は10m/min〜110m/minであることが好ましく、30m/min〜100m/minであることがより好ましい。第1延伸ローラ21、第2延伸ローラ22及びガイドローラ23は、それぞれ金属製又は樹脂製であることが好ましい。例えば、ローラの中心軸部が円柱状のSUS等の金属製部材からなり、その外表面を筒状の樹脂製部材が覆うようにすることができる。このとき、第1延伸ローラ21において、ローラの中心軸部が円柱状の金属製部材であり、その外表面部は樹脂製部材から構成されるようにする。そして、本体部21aの外表面及び拡径部21bが樹脂製となる。
【0036】
正極活物質層スラリー及び保護層スラリーを正極芯体1a上に塗布する際、保護層スラリーの粘度を正極活物質層スラリーの粘度よりも小さくすることが好ましい。保護層を設けない場合、正極活物質層スラリーを塗布したとき幅方向の端部が波打ち直線的にならない場合がある。このとき、正極芯体露出部の幅にばらつきが生じるため、正極芯体露出部を延伸処理すると、延伸の度合いにばらつきが生じる可能性がある。これに対し、
正極活物質層スラリーの粘度よりも粘度の小さい保護層スラリーを正極芯体に塗布することにより、保護層の端部がより直線的になり、正極芯体露出部の幅にばらつきが生じることを抑制できる。
【0037】
正極活物質層スラリーの粘度は、1.50Pa・s以上とすることが好ましく、1.50〜3.50Pa・sとすることがより好ましく、1.80〜3.00Pa・sとすることが更に好ましい。保護層スラリーの粘度は、0.50〜1.8Pa・sとすることが好ましく、0.60〜1.50Pa・sとすることがより好ましい。なお、粘度は、スラリー中の結着剤の材質ないし量、あるいは溶媒の量を変化させることにより調整できる。また、正極活物質層スラリーの粘度、及び保護層スラリーの粘度は、スパイラル粘度計(マルコム社製 PC−1TL)を用い、回転数40rpm、温度25℃の条件で測定するこ
とができる。
【0038】
<変形例1>
正極芯体露出部の延伸処理工程において、延伸ローラの拡径部は、正極芯体露出部及び保護層の少なくとも一方に接するようにして、芯体露出部を延伸すればよい。例えば、
図6に示すように、第1延伸ローラ21の拡径部21bが、第1保護層1c
1に接するようにしてもよい。拡径部21bを正極板1の第1保護層1c
1に当接させ、第1正極芯体露出部1d
1を延伸するとともに、第1保護層1c
1が形成された部分の正極芯体1aも延伸することが好ましい。これにより、正極活物質層1bを圧縮処理する際に、第1保護層1c
1が形成された部分が圧縮処理されない場合であっても、正極芯体露出部に皺が生じたり、正極板1が湾曲したりすることをより確実に防止できる。あるいは、正極活物質層1bを圧縮処理した際に、正極芯体1aにおいて第1保護層1c
1が形成された部分の圧延の程度が、正極芯体1aにおいて正極活物質層1bが形成された部分の圧延の程度よりも小さい場合であっても、正極芯体露出部に皺が生じたり、正極板1が湾曲したりすることをより確実に防止できる。
【0039】
なお、変形例1に示す形態は、保護層に含まれる結着剤の保護層に対する質量割合が、活物質層に含まれる結着剤の活物質層に対する質量割合よりも大きい場合特に有効である。また、変形例1に示す形態は、第1保護層1c
1の厚みが正極活物質層1bの厚みよりも小さい場合更に効果的である。第1保護層1c
1等の保護層が、正極活物質層1b等の活物質層に比べより多くの結着剤を含む場合、保護層は活物質層に比べ柔軟性が高い。したがって、保護層を拡径部21bで押圧しても、保護層が破損する恐れは低い。
【0040】
第1延伸ローラ21の拡径部21bは、正極活物質層1bと接さないようにすることが好ましい。これにより、正極活物質層1bの端部が第1延伸ローラ21の拡径部21bに接触し、正極活物質層1bの端部が崩れることをより確実に防止できる。
図6に示すように、第1延伸ローラ21の拡径部21bと正極活物質層1bの間には隙間が形成されるようにすることが好ましい。特に、第1延伸ローラ21の拡径部21bと正極活物質層1bの最短距離が、圧縮処理前の正極芯体1aの厚みよりも大きくなるようにすることが好ましい。
【0041】
変形例1の方法により、第1正極芯体露出部1d
1及び第2正極芯体露出部1d
2について、正極板1の長手方向において0.3%延伸させた後、正極活物質層1bの充填密度が2.9g/cm
3となるように正極板1について圧縮処理を行った。このとき、正極板1に問題となる皺や湾曲等が生じないことを確認した。
【0042】
<変形例2>
図7は変形例2に係る正極板の
図5に対応する図である。
図7に示すように、正極活物質層1bの幅方向における端部の端面1xは正極芯体1aに対して傾斜(傾斜角が90°未満)しており、第1保護層1c
1の一部が正極活物質層1bの端面1x上に位置するようにすることができる。これにより、正極板を圧縮処理する前に正極芯体露出部について延伸処理を行ったとしても、正極活物質層1bの崩れ、ないし正極芯体1aからの剥離等をより効果的に防止できる。
【0043】
<変形例3>
図8は、変形例3に係る圧縮処理前の正極板100の平面図である。
図9は、
図8のIX−IX線に沿った断面図である。正極板100では、正極芯体100a上に長手方向に沿って2列の正極活物質層(第1正極活物質層100b
1、第2正極活物質層100b
2)が設けられている。第1正極活物質層100b
1の幅方向の端部には、それぞれ正極板100の長手方向に沿って延びる第1保護層100c
1、第2保護層100c
2が形成さ
れている。第2正極活物質層100b
2の幅方向の端部には、それぞれ正極板100の長手方向に沿って延びる第3保護層100c
3、第4保護層100c
4が形成されている。正極板100は、幅方向においてそれぞれ離間して配置されそれぞれ正極板100の長手方向に延びる第1正極芯体露出部100d
1、第2正極芯体露出部100d
2、第3正極芯体露出部100d
3を有する。
【0044】
図10は、変形例3に係る延伸処理部200及び圧縮処理部30を示す図である。
図11は、変形例3に係る延伸処理部200における第1延伸ローラ210、第2延伸ローラ220、第3延伸ローラ230を示す図である。
【0045】
第1延伸ローラ210は、本体部210aと、本体部210aの幅方向の一方端側に設けられた本体部210aよりも径が大きい拡径部210bを有する。第2延伸ローラ220は、本体部220aと、本体部220aの幅方向の他方端側に設けられた本体部220aよりも径が大きい拡径部220bを有する。第3延伸ローラ230は、本体部230aと、本体部230aの幅方向における中央部に設けられた本体部230aよりも径が大きい拡径部230bを有する。
【0046】
図10において、第1延伸ローラ210の拡径部210bは手前側、第2延伸ローラ220の拡径部210bは奥側、第3延伸ローラ230の拡径部230bは中央側に配置される。これにより、圧縮処理前の正極板100は、第1正極芯体露出部100d
1、第3正極芯体露出部100d
3、第2正極芯体露出部100d
2の順で延伸される。その後、正極板100は、圧縮処理部30において圧縮処理され、正極活物質層100bが圧縮され充填密度が上昇する。その後、
図9におけるC−C線に沿って裁断され、コイル状に巻き取られる。そして、電極体作製時に所定の長さに裁断される。
【0047】
[角形二次電池]
上述の方法で作製した正極板を用いた二次電池の構成を、
図12に示す角形二次電池50を用いて説明する。
【0048】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び水を含む負極活物質層スラリーを作製する。この負極活物質層スラリーを、負極芯体としての厚さ8μmの帯状の銅箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、負極活物質層スラリー中の水を取り除き、負芯体上に負極活物質層を形成する。その後、負極活物質層を所定厚みになるように圧縮処理を行う。このようにして得られた負極板を、幅方向の端部に長手方向に沿って負極芯体露出部5を有する帯状になるように裁断する。
【0049】
[電極体の作製]
上述の方法で作製した帯状の正極板1と負極板を、ポリオレフィン製のセパレータを介して巻回し、扁平状にプレス成形する。得られた扁平状の巻回電極体2は、巻回軸方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部1dを有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。
【0050】
図12に示すように、巻回電極体2は、開口を有する角形筒状の金属製の外装体3の内部に電解質と共に配置され、外装体3の開口は金属製の封口板4により封止される。巻回電極体2と外装体3の間には樹脂製の絶縁シート14が配置される。
【0051】
巻回電極体2の正極芯体露出部1dに接続された金属製の正極集電体6は、封口板4に取り付けられた正極端子7に電気的に接続されている。正極集電体6と封口板4の間、正
極端子7と封口板4の間はそれぞれ樹脂製の絶縁部材10、11により絶縁されている。巻回電極体2の負極芯体露出部5に接続された金属製の負極集電体8は、封口板4に取り付けられた負極端子9に電気的に接続されている。負極集電体8と封口板4の間、負極端子9と封口板4の間はそれぞれ樹脂製の絶縁部材12、13により絶縁されている。
【0052】
封口板4には注液孔15が設けられており、注液孔15からリチウム塩等の電解質塩及びカーボネート等の非水溶媒を含む電解液が注液される。注液後、注液孔15は封止栓16により封止される。封口板4には、電池内部の圧力が所定値以上となったときに破断し、電池内部のガスを外部へ排出するガス排出弁17が設けられている。なお、正極板1と正極端子7の間の導電経路又は負極板と負極端子9の間の導電経路に、電流遮断機構を設けることができる。電流遮断機構は、電池内部の圧力が所定値以上となったときに作動し、導電経路を切断するものが好ましい。なお、電流遮断機構の作動圧は、ガス排出弁の作動圧よりも低く設定する。
【0053】
<その他>
本願に記載の発明は、正極板及び負極板のいずれに対しても適用可能である。但し、本願に記載の発明は正極板に適用することが特に有効である。また、圧縮処理後の充填密度が2.7g/cm
3以上、特に2.85g/cm
3以上の正極活物質層を有する正極板に適用することが特に有効である。
【0054】
本願に記載の発明により作製した電極板は、巻回電極体あるいは積層型電極体の何れにも用いることができるが、巻回電極体に用いる場合特に有効である。
【0055】
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。特にニッケル、コバルト及びマンガンの少なくとも一種を含有するリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。
【0056】
負極活物質としてはリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料を用いることができる。リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛性炭素、易黒鉛性炭素、繊維状炭素、コークス及びカーボンブラック等が挙げられる。非炭素系材料としては、シリコン、スズ、及びそれらを主とする合金や酸化物などが挙げられる。
【0057】
電極板の活物質層及び保護層に含まれる結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、アクリルゴム、アクリレート系結着剤(アクリル酸のエステル又は塩)等を用いることができる。なお、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。活物質層に含まれる結着剤と保護層に含まれる結着剤は同じであってもよいし、異なるものであっても良い。また、結着剤は樹脂製であることが好ましい。