特許第6766420号(P6766420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6766420
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】レドーム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   H01Q1/42
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-80062(P2016-80062)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-192012(P2017-192012A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】田所 眞人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 輝規
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−260329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け面から起立するアンテナを覆い板材により形成され前記取り付け面との間にアンテナを収容する閉塞空間を形成する中空状の胴部を有するレドームであって、
前記胴部は、側面視した場合に前記取り付け面に対して垂直方向に軸方向を向けた複数の円錐台が重ね合わされた形状で構成されており、
前記円錐台の底面を前記円錐台の下部とし、前記円錐台の上面を前記円錐台の上部とした場合、複数の円錐台が重ね合わされた箇所においてそれら円錐台の底面、上面は前記板材が設けられていない仮想の底面、仮想の上面であり、
前記胴部は、複数の円錐台が交互に上下を反転させて重ね合わされて構成され、
重ね合わされた円錐台の仮想の底面と仮想の上面とは、それぞれ同一の半径で形成されている、
ことを特徴とするレドーム。
【請求項2】
前記取り付け面から起立する前記レドームの箇所は、前記板材が設けられていない前記円錐台の仮想の上面の周囲に位置する前記円錐台の側面の端部であることを特徴とする請求項記載のレドーム。
【請求項3】
前記複数の円錐台は、同一の形状で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のレドーム。
【請求項4】
前記レドームは、前記胴部の上に重ねられる頂部をさらに備え、
前記頂部は、上方に凸状で中空の形状で設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3に何れか1項記載のレドーム。
【請求項5】
前記胴部の最も上方に位置する上端と、前記頂部の最も下方に位置する下端とは、平面視した場合、合致した形状で形成されている、
ことを特徴とする請求項記載のレドーム。
【請求項6】
前記頂部は、球面状に又は円錐状に形成されている、
ことを特徴とする請求項4または5記載のレドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを被覆するレドームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶等に設置されるアンテナは、アンテナの保護および透過周波数帯の選択を目的としてレドームで被覆されている。特に、船舶向けレドームとしては、従来アンテナパターン歪みを最小化させるために円筒とドームの組合せによる形状のものが多く用いられている。
また、例えば下記特許文献1には、円錐台型のレドームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−138281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レドームは、透過周波数帯では良好な透過特性を有する一方で、透過周波数帯外では一定割合の電波を反射する。そのため、例えば円筒型のレドームでは、寸法が大きくなるとレーダ反射断面積(RCS)が大きくなるという課題がある。
特に、レドームはアンテナ全面を覆い表面積が大きいため、内蔵するアンテナ等のレーダ反射断面積低減を図っても全体としてはレドームのレーダ反射断面積が支配的になり、レーダ反射断面積の低減を図ることができない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、レーダ反射断面積を低減したレドームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明にかかるレドームは、取り付け面から起立するアンテナを覆い板材により形成され前記取り付け面との間にアンテナを収容する閉塞空間を形成する中空状の胴部を有するレドームであって、前記胴部は、側面視した場合に前記取り付け面に対して垂直方向に軸方向を向けた複数の円錐台が重ね合わされた形状で構成されており、前記円錐台の底面を前記円錐台の下部とし、前記円錐台の上面を前記円錐台の上部とした場合、複数の円錐台が重ね合わされた箇所においてそれら円錐台の底面、上面は前記板材が設けられていない仮想の底面、仮想の上面であり、前記胴部は、複数の円錐台が交互に上下を反転させて重ね合わされて構成され、重ね合わされた円錐台の仮想の底面と仮想の上面とは、それぞれ同一の半径で形成されている、ことを特徴とする。
請求項の発明にかかるレドームは、前記取り付け面から起立する前記レドームの箇所は、前記板材が設けられていない前記円錐台の仮想の上面の周囲に位置する前記円錐台の側面の端部であることを特徴とする。
請求項の発明にかかるレドームは、前記複数の円錐台は、同一の形状で形成されていることを特徴とする。
請求項の発明にかかるレドームは、前記レドームは、前記胴部の上に重ねられる頂部をさらに備え、前記頂部は、上方に凸状で中空の形状で設けられている、ことを特徴とする。
請求項の発明にかかるレドームは、前記胴部の最も上方に位置する上端と、前記頂部の最も下方に位置する下端とは、平面視した場合、合致した形状で形成されている、ことを特徴とする。
請求項の発明にかかるレドームは、前記頂部は、球面状に又は円錐状に形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
発明によれば、レドームの胴部が垂直方向に対して傾斜角を有し、レドームの透過帯域外の電波を反射する際に、反射波を電波の到来方向とは異なる方向に散乱させるので、レドームのレーダ反射断面積を低減させる上で有利となる。また、レドームが被覆するアンテナからの発信波についても、レドーム内表面で一部の発信波が反射する際に、その到来方向とは異なる方向に散乱させるので、反射波が発振波に干渉する割合を低減させ、アンテナの放射パターンを向上させる上で有利となる。
発明によれば、複数の円錐台を交互に上下を反転させて底面同士または上面同士を重ねあわせているので、複数の円錐台を同方向に向け底面と上面とを重ねあわせる場合と比較して、レドームの胴部の屈曲点の角度がなだらかとなり、レドームの周波数特性への影響を低減する上で有利となる。
発明によれば、仮想の底面の周囲の側面を接触面にする場合と比較してレドームと取り付け面との接触面積を低減することができ、レドームの装備スペースを低減する上で有利となる。
発明によれば、胴部の垂直面に対する傾斜角が一定となるので、レドーム表面での反射波の進行方向を揃えることができ、レドームを設置した船舶等がレーダなどに検知されにくくする上で有利となる。
発明によれば、頂部が上方に凸状となっているので、頂部への降水や積雪の堆積を防止する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1Aは実施の形態にかかるレドーム10の斜視図、図1Bはレドーム10の側面図である。
図2】実施の形態にかかるレドームの他の形状例を示す図である。
図3】実施の形態にかかるレドームの他の形状例を示す図である。
図4】レドーム形状別のレーダ反射断面積を示すグラフである。
図5】レドームとアンテナの形状組み合わせを示す図である。
図6】レドーム単層の周波数特性を示すグラフである。
図7】アンテナからの発信波の反射を模式的に示す説明図である。
図8】円錐台の定義を説明するための図である。
図9】実施の形態にかかるレドームの他の形状例を示す図である。
図10】実施の形態にかかるレドームの他の形状例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるレドームの好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1に示すように、レドーム10は、取り付け面Gに対して垂直に起立するアンテナ20を覆う胴部16を有している。胴部16は、周波数選択性を有する板材Pで中空状に形成されている。胴部16は取り付け面Gから垂直に起立し、取り付け面G上で胴部16の内部にアンテナ20を収容する閉塞空間Sが形成されている。
胴部16は、側面視した場合にアンテナ20の起立方向と軸方向を一致させた複数の円錐台12を重ね合わせた形状で構成されている。
【0009】
ここで、円錐台12とは、図8に示すように、円錐32をその底面1202に平行な平面で切断し、切断された円錐の部分3010を取り除いた形状である。
円錐台12は、底面1202と、底面1202よりも面積が小さく底面1202に平行する上面1204と、底面1202および上面1204を接続する円錐面状の側面1206を有している。底面1202側が円錐台12の下部であり、上面1204側が円錐台12の上部である。
【0010】
図1に示すように、レドーム10の胴部16は一体に形成されており、胴部16は、側面視した場合にその外観が円錐台12を重ね合わせた形状で構成されている。
胴部16は中空状でありその内部に閉塞空間Sが形成されるため、円錐台12が重ね合わされる箇所において、それら円錐台12の底面1202および上面1204を構成する板材Pは設けられておらず、それら円錐台12の底面1202および上面1204は仮想の底面1202および仮想の上面1204となっており、それらの箇所においては上下の円錐台12の側面1206を構成する板材Pどうしが接続されている。
また、取り付け面Gから起立する胴部16の最も下方に位置する最下位面1610を構成する底面1202または上面1204にも板材Pが設けられておらず、一方、胴部16の最も上方に位置する上端1612を構成する底面1202または上面1204には板材Pが設けられている。
なお、胴部16の取り付け面Gへの取り付けは、例えば、最も下方に位置する円錐台12の側面1206の端部に設けたフランジをボルトにより取り付け面Gに締結するなど、従来公知の様々な構成によりなされている。
【0011】
図1ではアンテナ20の起立方向と軸方向を一致させた2つの円錐台12A,12Bが、交互に上下を反転させて重ね合わされて構成されており、2つの円錐台12A,12Bは、同一の形状で形成されている。すなわち、複数の円錐台12の底面1202、上面1204および高さはそれぞれ同一の寸法で形成されている。
なお、重ね合わされた円錐台12A,12Bの仮想の底面1202Aと仮想の底面202Bとは、それぞれ同一の半径Rで形成されている。
【0012】
上側に位置する円錐台12Aは、レドーム10の胴部16の上端となる上面1204Aと、側面1206Aとを有している。
また、下側に位置する円錐台12Bは、取り付け面Gから起立し側面1206Aの下端に接続される側面1206Bを有している。
【0013】
また、レドーム10を構成する複数の円錐台のうち、最も下位に位置する円錐台12Bは上下が反転されており、取り付け面Gから起立する胴部16の箇所は、円錐台12Bの仮想の上面の周囲に位置する側面1206Bの端部となっている。
【0014】
レドーム10に覆われるアンテナ20は、取り付け面Gから垂直方向に起立する支持棒22と、支持棒22の先端に支持される送受信部24とを備えている。本実施の形態では、送受信部24はレドーム10と同様に複数の円錐台形を組み合わせた形状となっている。すなわち、送受信部24は、上面2604Aを上方に向けた第1の円錐台26Aと、上面2604Bを下方に向けた第2の円錐台26Bとによって構成されている。
なお、アンテナ20の形状は、例えば図5のパターン1に示すような円筒型等、従来公知の様々な形状を適用可能である。
【0015】
このように形成したレドーム10の作用効果について説明する。
従来から使用されている円筒型のレドームは、側面が取り付け面に対して垂直なため、水平方向に進行してきた電波を反射し、発信方向へと戻す。よって、RCSが大きくなる。一方、本実施の形態のレドーム10は、側面1206A,1206Bに傾斜角があるため、水平方向に進行してきた電波を発振方向とは異なる方向に反射(散乱)し、RCSを低減することができる。
また、単純な円錐台型のレドームでは、側面の傾斜角が高さ方向で全て同一であるため、例えば船舶が揺動して側面が垂直方向に一致した場合、円筒型のレドームと同様にレーダ反射断面積が大きくなる。一方、本実施の形態のレドーム10は、側面1206Aと側面1206Bとで傾斜角が異なっており、単純な円筒台型のレドームと比較して連続して同じ傾斜角を有する部分の長さが小さくなっている。よって、例えば船舶が揺動して側面1206Aまたは側面1206Bが垂直方向に向いた場合であっても、単純な円筒台型のレドームと比較してRCSを低減することができる。
【0016】
図4は、レドーム形状別のレーダ反射断面積を示すグラフである。
図4は、図5に示す各形状のレドームについてレーダ反射断面積を算出したものである。図5に示すように、パターン1は円筒型レドーム内に円筒型アンテナを設置したパターン、パターン2は円筒型レドーム内に複数の円錐台を組み合わせた形状(以下、「複数円錐台型」という)アンテナを設置したパターン、パターン3は複数円錐台型レドーム内に円筒型アンテナを設置したパターン、パターン4は複数円錐台型レドーム内に複数円錐台型アンテナを設置したパターンである。
各レドームは、スキン層にGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics,ガラス繊維強化プラスチック)を用いたサンドイッチ構造の板材を用いて形成されており、直径(複数円錐台型レドームにおいては円錐台の底面に対応する箇所の直径)1.5m、高さ3mに揃えた。
各レドームの材料として用いたレドーム単層板の周波数特性を図6に示す。
【0017】
図4を参照すると、レドームおよびアンテナを共に円筒型としたパターン1では全帯域でRCSが高くなっているのに対して、レドームおよびアンテナを共に複数円錐台型としたパターン4では全帯域でRCSが低くなっている。
また、レドームまたはアンテナのいずれかのみ複数円錐台型としたパターン2および3では、周波数によってRCSが大きく変動しているが、レドームを複数円錐台型としたパターン3の方が平均的にややレーダ反射断面積が低い傾向がある。
このように、レドームやアンテナを複数円錐台型とすることにより、従来の円筒型レドームと比較して大幅にレーダ反射断面積を低減することができる。
【0018】
また、図1のようにレドーム10を形成する複数の円錐台(2つの円錐台12A,12B)は同一の形状で形成されている。これにより、レドーム10の表面で反射した反射波の進行方向(散乱方向)を揃えることができ、反射波の進行方向がバラつく場合と比較して、レドーム10を設置した船舶等がレーダなどに検知されにくくする上で有利となる。
【0019】
また、図7Bに示すように、円筒形のレドーム60では、胴部66が発信波W1の進行方向に対して垂直であることから、アンテナ62から発振された発信波W1の一部がレドーム表面で反射した場合に、反射波W2が反射してアンテナ62方向へ戻り、アンテナ62からの発信波W1と干渉する場合がある。
一方、本実施の形態のレドーム10は、図7Aに示すように胴部16が発信波W1の進行方向に対して傾斜しているため、レドーム表面での反射波W2が発信波W1の進行方向とは異なる方向へと進行(散乱)する。よって、反射波W2による干渉が起こりにくく、アンテナ12の放射パターンを向上させる上で有利となる。
【0020】
また、レドーム10と取り付け面Gとの接触面は、円錐台の上面となっている。例えば図1では、下側に位置する円錐台12Bの上面1204Bが取り付け面Gと接触している。
これは、円錐台の上面は底面よりも面積が小さく、レドーム10と取り付け面Gとの接触面積を低減し、装備スペースを小さくすることができるためである。具体的には、例えば図1に示す本実施の形態のレドーム10と、図5のパターン1に示すような単純な円錐台形のレドームとを高さH、上面の直径R1、底面の直径R2を同じに形成する場合を考える。
高さHを3m、上面の直径R1を1.5m、底面の直径R2を2mとすると、本実施の形態のレドーム10の取り付け面Gとの接触面積は約1.77m、円錐台形のレドームの取り付け面Gとの接触面積は約3.14mであり、装備に必要な面積は約45%低減することができる。
なお、本実施の形態のレドーム10を構成する各円錐台12A,12Bにおいて、底面1202A,1202Bと側面1206A,1206Bとがなす角度をより大きくすれば、装備スペースをより小さくすることが可能となる。
例えば、レドーム10を設置する船舶の甲板やマストなどは面積が限られているが、レドーム10と取り付け面Gとの接触面積を低減することにより、これらのスペースをより有効に活用することができる。
【0021】
(他の実施例)
以下、図1に示す形状以外の他の実施例について説明する。
なお、以下に説明する図2および図3ではレドームの外形のみを図示している。
図1のレドームは2つの円錐台を重ねあわせて構成されているが、図2に示すように、3つ以上の円錐台を交互に上下を反転させて重ね合わせてレドームを構成してもよい。
図2に示すレドーム40は、6つの円錐台42A〜42Fを重ねあわせている。6つの円錐台42A〜42Fは同一の形状で形成されている。
より詳細には、最も上部に位置する円錐台42Aは上面4204Aを上に向けており、上面4204Aは胴部46の上端を形成する。また、円錐台42Aの仮想の底面は、円錐台42Bの仮想の底面と重ね合わされており、円錐台42Bの仮想の上面は、円錐台42Cの仮想の上面と重ね合わされている。
このように複数の円錐台42A〜42Fを順次重ねあわせ、取り付け面Gからは、円錐台42Fの仮想の上面の周囲に位置する円錐台42Fの側面4206Fの端部が起立している。
各円錐台42A〜42Fの側面4206A〜4206Fにより、レドーム40の胴部46が形成されている。
上述のように、6つの円錐台42A〜42Fは同一の形状で形成されているため、重ね合わされた円錐台42A〜42Fの仮想の底面同士および仮想の上面同士は、それぞれ同一の半径で形成されている。
このように、2つ以上の円錐台でレドームを形成することにより、胴部46をより小さく分割することができる。
【0022】
また、レドーム10に、図3に示すような胴部16の上に重ねられる頂部18をさらに設けてもよく、頂部18は、胴部16を構成する板材Pで形成されている。
頂部18は、アンテナ20の起立方向と軸方向を一致させた上方に凸状で中空の形状で設けられている。胴部16の最も上方に位置する上端と、頂部18の最も下方に位置する下端とは、平面視した場合、合致した形状で形成されている。
頂部18は、例えば図3Aに示すように上方に凸状の球面状で形成したり、図3Bに示すように上方に凸状の円錐で形成する。
このように、頂部18を上方に凸状とすることにより、例えば頂部18への降水や積雪の堆積を防止する上で有利となる。
【0023】
また、図9に示すように、異なる形状の円錐台同士を重ね合わせてレドームを構成してもよい。
図9に示すレドーム70は、2つの円錐台72A,72Bを重ねあわせている。2つの円錐台72A,72Bは、それぞれ底面7202A,7202B、上面7204A,7204Bの半径、および高さH1,H2の寸法がそれぞれ異なる、すなわち異なる形状の円錐台となっている。このように、異なる形状の円錐台を用いることにより、レドームを任意の形状に形成することができる。
なお、図9では重ね合される底面7202A,7202Bの半径を同じ寸法で図示しているが、底面7202A,7202Bを異なる半径としてもよい。
【0024】
また、上述した説明ではアンテナの起立方向が取り付け面Gに対して垂直であったが、これに限らず、図10に示すようにアンテナの起立方向が取り付け面Gに対して傾斜していてもよい。
図10では、図1の同形のレドーム10によりパラボラアンテナ80が覆われている。パラボラアンテナ80は、取り付け面Gに固定された取り付け台82と、取り付け台82から起立する支持柱84と、支持柱84に支持される反射器86と、反射鏡86と、反射鏡86に対向する位置に配置される送受信部88とを備えている。
図10では、支持柱84は取り付け台82から角度θで起立しており、アンテナ80の起立方向は、レドーム10を構成する円錐台の軸方向Lと一致していない。
このような配置であっても、本願発明は適用可能である。
【0025】
なお、本実施の形態では、複数の円錐台を交互に上下を反転させて、複数の円錐台の仮想の底面同士または仮想の上面同士を重ねあわせたて構成したが、例えば複数の円錐台の向きを同一にして、仮想の底面と仮想の上面とを重ねあわせるようにしてもよい。この場合、胴部を側面視した場合に鋸刃状となる。
しかしながら、レドーム側面(胴部)における角度変化が鋭利になり、電波特性に影響を与える可能性があるため、本実施例のように複数の円錐台を交互に上下を反転させて重ねあわせるのが好ましい。
【符号の説明】
【0026】
10……レドーム、12……アンテナ、12A,12B……円錐台、1202A,1202B……底面、1204A,1204B……上面、1206A,1206B……側面、1208A,1208B……端部、16……胴部、18……頂部、20……アンテナ、22……支持棒、24……送受信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10