特許第6766454号(P6766454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許6766454無線機、通信方法、および通信用プログラム
<>
  • 特許6766454-無線機、通信方法、および通信用プログラム 図000002
  • 特許6766454-無線機、通信方法、および通信用プログラム 図000003
  • 特許6766454-無線機、通信方法、および通信用プログラム 図000004
  • 特許6766454-無線機、通信方法、および通信用プログラム 図000005
  • 特許6766454-無線機、通信方法、および通信用プログラム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6766454
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】無線機、通信方法、および通信用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/4401 20180101AFI20201005BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20201005BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20201005BHJP
【FI】
   G06F9/4401
   H04B1/00 103
   H04W88/02 160
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-113553(P2016-113553)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-220003(P2017-220003A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】島 高志
【審査官】 多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−246495(JP,A)
【文献】 特開2006−331307(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0125727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44−9/445
H04B 1/00
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信方式で通信可能な通信手段と、
前記通信手段を制御する主制御手段とを備え、
電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、前記主制御手段は、所定の起動処理のうち、前記通信手段が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理が終了したときに、前記通信手段を起動させ、
前記通信手段は、前記起動後に前記通信方式で通信を行い、
前記通信手段における起動は、前記主制御手段における所定の起動処理のうち、前記通信手段が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理の終了後に行われる処理と並行して行われる
ことを特徴とする無線機。
【請求項2】
前記通信手段は、前記所定の起動処理が終了した前記主制御手段の制御に従って、前記複数の通信方式のいずれかに通信方式を切り替え可能である
ことを特徴とする請求項に記載の無線機。
【請求項3】
前記主制御手段は、前記操作手段になされた操作に従って、前記通信方式の切り替えを前記通信手段に指示する
ことを特徴とする請求項に記載の無線機。
【請求項4】
前記予め定められた通信方式に応じたソフトウェアと、前記複数の通信方式に応じたソフトウェアとが記憶された記憶手段を含み、
前記通信手段は、前記主制御手段の制御に従って、前記予め定められた通信方式に応じたソフトウェアを前記記憶手段から読み出して、前記予め定められた通信方式で通信を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の無線機。
【請求項5】
複数段階の処理に亘る起動ステップと、
複数の通信方式のいずれかで通信を行う通信ステップとを含み、
電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、前記起動ステップにおいて、前記複数段階の処理のうち、予め定められた通信方式の通信を前記通信ステップで行うために必要な処理が終了したときに、通信手段を起動させ、前記通信ステップで、前記予め定められた通信方式で通信を行い、
前記通信手段における起動は、前記通信手段を制御する主制御手段における所定の起動処理のうち、前記通信手段が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理の終了後に行われる処理と並行して行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項6】
コンピュータに、
複数段階に亘る起動処理と、
複数の通信方式のいずれかで通信を行う通信処理とを実行させ、
電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、前記複数段階に亘る起動処理のうち、予め定められた通信方式の通信を前記通信処理で行うために必要な処理が終了したときに、通信手段を起動させ、前記通信処理で、予め定められた通信方式で通信を行わせ
前記通信手段における起動は、前記通信手段を制御する主制御手段における所定の起動処理のうち、前記通信手段が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理の終了後に行われる処理と並行して行われる
信用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信方式に対応した無線機、通信方法、および通信用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア制御に従って、通信方式を切り替えて通信可能な無線機がある。そのような無線機は、ソフトウェア無線機と呼ばれる。
【0003】
具体的には、無線機に、互いに異なる複数の通信方式に応じたソフトウェアを搭載させて、ハードウェアを変更することなく、1台で複数の通信方式に対応することを可能にしている。
【0004】
図5は、ソフトウェア無線機の一般的な起動処理を説明する説明図である。なお、当該ソフトウェア無線機は通信を行うモデム部と主制御部とを含み、主制御部がCPU(Central Processing Unit)によって実現され、モデム部がDSP(Digital Signal Processor)によって実現されているとする。
【0005】
図5に示す例では、電源オフ状態のソフトウェア無線機に電源オン操作がなされたときに、まず、主制御部であるCPUが、OS(Operationg System)やミドルウェア、GPP(General Purpose Processor)機能ソフトウェア等のソフトウェアをROM(Read Only Memory)等から読み出して起動する初期起動処理が行われる。
【0006】
そして、図5に示す例では、ソフトウェア無線機は、初期起動処理の後に、CPUが、GPP機能ソフトウェアの制御に従って、モデム部であるDSPに通信用ソフトウェアに基づく処理を開始させる通信起動処理が行われる。
【0007】
ソフトウェア無線機は、通信起動処理の終了後に、通信用ソフトウェアに基づく通信機能を発揮する。
【0008】
特許文献1には、通信方式に応じたオブジェクトをサーバから取得して、当該通信方式に対応した通信を可能にするソフトウェア無線機が記載されている。
【0009】
特許文献2には、CPUによるハードウェアの初期化と並行して、フラッシュROMに記憶されているプログラムをSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)にDMA(Direct Memory Access)転送する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−331307号公報
【特許文献2】特開2009−99092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図5に示す例では、ソフトウェア無線機が通信機能を発揮するためには、順に行われる、初期起動処理と通信起動処理とが終了していなければならない。つまり、ソフトウェア無線機は、順に行われる各起動処理が終了してから、通信機能を発揮する状態になる。したがって、電源オフ状態のソフトウェア無線機に電源オン操作がなされてから通信機能を発揮するまでに、相当な時間を要するという問題がある。具体的には、一般的な起動処理が行われるソフトウェア無線機では、電源オン操作がなされてから通信機能を発揮するまでに、例えば、数十秒程度の時間を要する。
【0012】
特に、ソフトウェア無線機が緊急時に使用開始される場合を考慮すると、通信機能を発揮するまでの時間が短いことが好ましい。
【0013】
特許文献1に記載されているソフトウェア無線機は、起動時間を短縮することができない。
【0014】
また、特許文献2に記載されている方法では、起動処理が直列的に順に行われるので、やはり、起動時間を短縮することができない。
【0015】
そこで、本発明は、迅速に通信機能を発揮することができる無線機、通信方法、および通信用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による無線機は、複数の通信方式で通信可能な通信手段と、通信手段を制御する主制御手段とを備え、電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、主制御手段は、所定の起動処理のうち、通信手段が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理が終了したときに、通信手段を起動させ、通信手段は、起動後に通信方式で通信を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明による通信方法は、複数段階の処理に亘る起動ステップと、複数の通信方式のいずれかで通信を行う通信ステップとを含み、電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、起動ステップにおいて、複数段階の処理のうち、予め定められた通信方式の通信を通信ステップで行うために必要な処理が終了したときに、通信手段を起動させ、通信ステップで、予め定められた通信方式で通信を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明による通信用プログラムは、コンピュータに、複数段階に亘る起動処理と、複数の通信方式のいずれかで通信を行う通信処理とを実行させ、電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、複数段階に亘る起動処理のうち、予め定められた通信方式の通信を通信処理で行うために必要な処理が終了したときに、通信手段を起動させ、通信処理で、予め定められた通信方式で通信を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ソフトウェア無線機の通信機能を迅速に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機の起動の流れを示す説明図である。
図4】本発明の第2の実施形態の無線機の構成例を示すブロック図である。
図5】ソフトウェア無線機の一般的な起動処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態1.
本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機100について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、ソフトウェア無線機100には、アンテナ200が接続されている。そして、ソフトウェア無線機100は、アンテナ200を介して情報を送受信する。
【0022】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機100は、主制御部110、モデム部120、無線部130、記憶部140、入出力部150を含む。
【0023】
主制御部110は、ソフトウェア無線機100の全体を制御する処理を行う。モデム部120は、ソフトウェア無線機100が通信を行うための処理を行う。無線部130は、アンテナ200を介して受信した信号や、アンテナ200を介して送信するための信号の増幅等の処理を行う。
【0024】
記憶部140には、主制御部110やモデム部120が処理を行うためのソフトウェア(パラメータ等を含む)が記憶されている。入出力部150は、例えば、使用者による操作に応じて指示を入力する、ボタン等の操作手段を含む。また、入出力部150は、接続されたマイクロフォン(図示せず)に入力された音声に基づく音声信号を主制御部110やモデム部120に入力したり、主制御部110やモデム部120が入力した音声信号をスピーカ(図示せず)に入力したりする。なお、入出力部150には表示手段が接続され、主制御部110およびモデム部120は、入出力部150を介して、音声信号以外の情報である文字情報等を入出力可能であってもよい。また、入出力部150にはランプ等の報知手段が接続されていてもよい。
【0025】
主制御部110は、例えば、CPUである。モデム部120は、例えば、DSPである。無線部130には、例えば、フィルタ回路や増幅回路が含まれている。記憶部140は、例えば、メモリ等の記憶手段である。
【0026】
記憶部140に記憶されているソフトウェアについて説明する。記憶部140には、OSやミドルウェア、GPP機能ソフトウェア等の、主制御部110の動作を制御するためのソフトウェアが搭載されている。また、記憶部140には、DSPにモデム部120として通信処理を行わせるための通信処理用ソフトウェアが搭載されている。
【0027】
通信処理用ソフトウェアについて説明する。本実施形態のソフトウェア無線機100は、主制御部110の制御に従って通信を行うソフトウェア通信モードと、モデム部120の制御に従って通信を行うハードウェア通信モードとの間で、動作状態が遷移可能なように構成されている。そして、記憶部140には、ソフトウェア通信モードにおいてモデム部120の通信処理を制御するためのソフトウェア通信用ソフトウェアと、ハードウェア通信モードにおいてモデム部120の通信処理を制御するためのハードウェア通信用ソフトウェアとが記憶されている。
【0028】
ソフトウェア通信モードでは、主制御部110が、複数の通信方式のいずれかで相互に切り替えて通信可能なように、ソフトウェア無線機100の全体を制御する処理を実行している。したがって、ソフトウェア通信用ソフトウェアは、主制御部110がソフトウェア無線機100の全体を制御する処理を実行している状態で、モデム部120に複数の通信方式のいずれかで通信処理を実行させるためのプログラムである。なお、ソフトウェア通信用ソフトウェアは、モデム部120によって読み出されて実行されるソフトウェアモジュールと、主制御部110によって読み出されて実行されるソフトウェアモジュールとによって構成されていてもよい。そして、モデム部120によって読み出されて実行されるソフトウェアモジュールには、複数の通信方式のそれぞれによる通信処理に用いられるパラメータ等の情報が含まれていてもよい。また、主制御部110によって読み出されて実行されるソフトウェアモジュールは、モデム部120に、それら複数の通信方式のいずれで通信を行うのかを指示するためのモジュールであってもよい。
【0029】
また、ハードウェア通信モードでは、ソフトウェア無線機100が所定の通信方式(予め定められた通信方式)で通信を行うように、モデム部120が通信処理を行う。したがって、ハードウェア通信用ソフトウェアは、モデム部120に主体的に所定の通信方式による通信処理を実行させるためのプログラムである。なお、ハードウェア通信用ソフトウェアには、所定の通信方式による通信処理に用いられるパラメータ等の情報が含まれていてもよい。
【0030】
ソフトウェア通信モードおよびハードウェア通信モードについて説明する。
【0031】
ソフトウェア通信モードでは、主制御部110がソフトウェア無線機100の全体を制御する処理を実行する。具体的には、入出力部150になされた操作に従って、主制御部110が、モデム部120を、無線部130およびアンテナ200を介して通信を行うように制御する。具体的には、主制御部110は、モデム部120に、複数の通信方式のうちいずれの通信方式で通信を行うのかを指示する。より具体的には、主制御部110は、例えば、通信に用いる搬送波の周波数帯や変調方式等を指示する。
【0032】
そして、主制御部110は、ソフトウェア通信モードで、例えば、マイクロフォンに入力された音声に基づく音声信号が入出力部150によって入力された場合に、当該音声信号に処理を施したりして、モデム部120に入力する。モデム部120は、主制御部110が入力した音声信号に、主制御部110に指示された周波数帯や変調方式等に応じた変調処理等を施して、無線部130に入力する。そして、モデム部120によって、主制御部110に指示された周波数帯や変調方式等に応じた処理が施された音声信号は、無線部130によって増幅等されてアンテナ200を介して送信される。
【0033】
また、モデム部120は、主制御部110に指示された周波数帯でアンテナ200を介して受信した受信信号を無線部130が入力した場合に、主制御部110に指示された変調方式等に応じた復調処理等を受信信号に施した音声信号等を主制御部110に入力する。そして、主制御部110は、モデム部120が入力した音声信号等を入出力部150に入力する。すると、例えば、音声信号に基づく音声が入出力部150に接続されたスピーカから出力される。
【0034】
モデム部120は、ソフトウェア通信モードで、主制御部110の指示に応じた通信方式で通信を行う。また、モデム部120は、主制御部110の指示に応じて通信方式を切り替えて、通信を行う。
【0035】
ハードウェア通信モードでは、モデム部120が、所定の通信方式で通信を行う。具体的には、モデム部120が、例えば、マイクロフォンに入力された音声に基づく音声信号が入出力部150によって入力された場合に、当該音声信号に予め定められた周波数帯や変調方式等に応じた処理を施して、無線部130に入力する。そして、モデム部120によって、予め定められた周波数帯や変調方式等に応じた処理が施された音声信号は、無線部130によって増幅等されてアンテナ200を介して送信される。
【0036】
また、モデム部120は、予め定められた周波数帯でアンテナ200を介して受信した受信信号を無線部130が入力した場合に、予め定められた変調方式等に応じた復調処理等を受信信号に施した音声信号等を入出力部150に入力する。すると、例えば、音声信号に基づく音声が入出力部150に接続されたスピーカから出力される。
【0037】
具体的には、ハードウェア通信モードでは、例えば、VHF(Very High Frequency)帯やUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数帯において、AM(Amplitude Modulation)変調で通信が行われる。
【0038】
なお、ソフトウェア通信モードでは、ハードウェア通信モードと同様な通信方式で通信が行われるように構成されていてもよいし、ハードウェア通信モードと周波数帯や変調方式が異なる通信方式で通信が行われるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、ソフトウェア無線機100が様々な用途で用いられることができる。
【0039】
次に、本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機100の動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機100の動作を示すフローチャートである。
【0040】
本発明の第1の実施形態のソフトウェア無線機100は、電源オフ状態で、入出力部150に電源オン操作がなされた場合に、主制御部110が、記憶部140からGPP機能ソフトウェアを読み出し、GPP機能の起動処理を行う(ステップS101)。なお、GPP機能の起動処理は、モデム部120が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理である。
【0041】
主制御部110は、GPP機能の起動処理が終了した場合に、GPP機能を発揮して、ソフトウェア無線機100がハードウェア通信モードで動作するように、モデム部120に起動処理を開始させる。モデム部120は、主制御部110の制御に従って、起動処理を行う(ステップS102)。具体的には、モデム部120は、ステップS102の起動処理で、まず、記憶部140からハードウェア通信用ソフトウェアを読み出す。そして、モデム部120(具体的には、例えば、DSP)は、読み出したハードウェア通信用ソフトウェアに従って処理を行い、ソフトウェア無線機100をハードウェア通信モードで動作させる(ステップS103)。
【0042】
また、ステップS102,S103の処理と並行して、主制御部110は、記憶部140からOSを読み出し、OSの起動処理を行う(ステップS104)。その後、主制御部110は、記憶部140からミドルウェアを読み出し、ミドルウェアの起動処理を行う(ステップS105)。
【0043】
ステップS105の処理が終了し、入出力部150に、ソフトウェア通信モードに動作状態を遷移するように操作がなされた場合に(ステップS106のY)、主制御部110は、ソフトウェア無線機100をソフトウェア通信モードで動作させる(ステップS107)。具体的には、主制御部110は、記憶部140からソフトウェア通信用ソフトウェアを読み出して、当該ソフトウェア通信用ソフトウェアの制御に従った処理を行う。すると、ソフトウェア無線機100は、複数の通信方式のいずれかで相互に切り替えて通信可能になる。通信方式の切り替えは、例えば、入出力部150になされた操作に従って行われる。
【0044】
なお、主制御部110は、ステップS105のミドルウェアの起動処理が終了してソフトウェア通信モードに動作状態を遷移可能になった場合に、入出力部150に接続されたランプ等の報知手段を点灯させたり、消灯させたり、点灯色を変更させたり、点滅を開始または終了させたりして、ソフトウェア通信モードに動作状態を遷移可能になったことを報知するように構成されていてもよい。
【0045】
そのような構成によれば、ソフトウェア通信モードに動作状態を遷移可能になったこと使用者に通知することができる。
【0046】
また、本例では、主制御部110は、入出力部150になされた操作に応じてソフトウェア無線機100の動作状態をハードウェア通信モードからソフトウェア通信モードに遷移させるように構成されているが、自動的に動作状態を遷移させるように構成されていてもよい。具体的には、例えば、主制御部110は、ハードウェア通信モードにおいて、1分間等の所定の時間に亘って通信が行われなかった場合に、ソフトウェア無線機100の動作状態をハードウェア通信モードからソフトウェア通信モードに遷移させるように構成されていてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、主制御部110においてGPP機能の起動処理が終了した場合に、モデム部120が起動処理を開始する。そして、ソフトウェア無線機100は、モデム部120が起動すれば、通信をすることが可能になる。したがって、ソフトウェア無線機100は、主制御部110においてOS等の起動を待つことなく、通信を開始することが可能になる。よって、ソフトウェア無線機100は、迅速に通信機能を発揮することができる。
【0048】
図3は、ソフトウェア無線機100の起動の流れを示す説明図である。図3に示すように、ソフトウェア無線機100は、主制御部110においてGPP機能の起動処理が終了し、モデム部120においてDSPが起動すれば、通信を開始することができる。
【0049】
したがって、ソフトウェア無線機100は、図5に示した一般的な起動処理が行われるソフトウェア無線機と比べて、より短時間で通信機能を発揮することができる。つまり、本実施形態によるソフトウェア無線機100は、迅速に通信機能を発揮することができる。
【0050】
しかも、本実施形態によれば、ステップS105の処理が終了すればソフトウェア無線モードに遷移可能であるので、一の無線機で複数の通信方式に対応可能であるというソフトウェア無線機の効果も奏する。
【0051】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態の無線機10について、図面を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態の無線機10の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本発明の第2の実施形態の無線機10は、通信部11と主制御部12とを含む。
【0052】
通信部11は、例えば、図1に示す第1の実施形態におけるモデム部120および無線部130に相当する。主制御部12は、例えば、図1に示す第1の実施形態における主制御部110に相当する。
【0053】
通信部11は、複数の通信方式で通信可能である。
【0054】
電源オフ状態で、操作手段に電源オン操作がなされた場合に、主制御部12は、所定の起動処理のうち、通信部11が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理が終了したときに、通信部11を起動させる。なお、操作手段は、例えば、図1に示す入出力部150に相当する。
【0055】
そして、通信部11は、起動後に予め定められた通信方式で通信を行う。
【0056】
本実施形態によれば、主制御部12において通信部11が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理が終了した場合に、通信部11を起動させる。すると、無線機10は、通信部11が起動すれば、通信を開始することが可能になる。したがって、無線機10は、主制御部12において、所定の起動処理のうち、通信部11が予め定められた通信方式で通信を行うために必要な処理以外の処理の終了を待つことなく、通信を開始することが可能になる。よって、無線機10は、迅速に通信機能を発揮することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 無線機
11 通信部
12、110 主制御部
100 ソフトウェア無線機
120 モデム部
130 無線部
140 記憶部
150 入出力部
200 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5