(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ノードの移動指示を取得した場合、前記移動指示の前記ノードに関するノード情報における前記ノード座標を更新して、前記ノードメモリに記憶することを特徴とする請求項2又は3に記載の構造体の設計システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図5を用いて、構造体の設計システム、設計方法及び設計プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、三角形状を積層した構造体を設計する場合について説明する。
【0015】
図1に示すように、構造体を設計するために設計システム20を用いる。この設計システム20には、入力部11、表示部12及びプリンタ15が接続されている。入力部11は、キーボードやポインティングデバイスにより構成され、担当者によって入力された情報を取得する。表示部12は、ディスプレイにより構成され、各種情報の出力(表示)を行なう。
【0016】
プリンタ15は、モルタルを連続的に吐出する吐出部と、吐出部を3次元的に移動させる移動機構とを備える。
設計システム20は、構造体の設計処理を行なうためのコンピュータシステムである。本実施形態の設計システム20は、三角形状の内部に、三角形状を配置したトラス構造によって構成される構造物を設計する。
【0017】
この設計システム20は、制御部(CPU、RAM、ROM等)21、ノードメモリ22、図形メモリ23、経路メモリ24を備えている。制御部は、各メモリ(22〜24)のデータを用いて後述する処理(設計管理段階、ノード特定段階、図形生成段階、経路生成段階、構造解析段階等の各処理等)を行なう。そのための設計プログラムを実行することにより、設計システム20の制御部21は、設計管理部211、ノード特定部212、図形生成部213、経路生成部214、構造解析部215として機能する。
【0018】
設計管理部211は、設計する構造体の情報を取得する。本実施形態の設計管理部211は、構造体の外形状を初期情報として取得し、分割する図形の位置情報を取得する。また、設計管理部211は、設計した構造体を製造するための経路情報をプリンタ15に供給する。
【0019】
ノード特定部212は、指定された図形の新規ノード(閉図形の特徴点)を特定する。本実施形態では、ノード特定部212は、指定された図形のノード間の中点に、ノードが配置されていないときには、新規ノードを配置する。また、ノード特定部212は、指定された図形のノード間の中点に、既にノードが配置されている場合には、このノードを、分割する図形の新規ノードとして用いる。
【0020】
図形生成部213は、隣接する新規ノードを結ぶ線分により、新たに配置された閉図形(新規閉図形)を生成する。本実施形態では、図形生成部213は、新規ノードを頂点とする三角形状の閉図形を配置し、更に、この閉図形の線分によって、この分割対象図形を分割した分割図形を生成する。ここでは、分割対象図形の面積を4分割した三角形の分割図形が生成される。
【0021】
経路生成部214は、一筆書きにより構造体を構成するとともに、この一筆書きにおいて交点が生じない経路を生成する。
例えば、
図2に示すように、三角形の図形F1の中に、一筆書きの経路T1を構成する場合を想定する。図形F1の中に閉図形(三角形)を配置した図形F2において、交点がない一筆書きの経路T2を生成することができる。本実施形態では、経路生成部214は、新規閉図形のノードの中で、最後に通過するノードに到着したときに、新規閉図形を一回りする追加経路を分割対象経路に追加する。
【0022】
構造解析部215は、構造体の内部に配置した閉図形を用いて、構造体の構造解析処理を実行する。ここでは、生成した閉図形をフレームモデルや有限要素モデル等に適用した構造解析により、想定荷重に対する変形や発生応力度を計算して、発生応力度が許容応力度(照査条件)以下の構造体にあるかどうかを判定する。
【0023】
一方、
図1に示すノードメモリ22には、閉図形を構成する各ノードに関するノード情報220が記憶される。このノードメモリ22には、構造体の外形が入力された場合には初期ノードに関するノード情報220が記憶され、配置する閉図形の位置が指定された場合には新規ノードに関するノード情報220が記憶される。ノード情報220は、ノード番号と、このノード番号に関連付けられたノード座標とを含んで構成されている。
【0024】
ノード番号データ領域には、各ノードを特定するためのノード識別子(ノード番号)に関するデータが記憶される。
ノード座標データ領域には、このノードの位置を特定するためのノード座標に関するデータが記憶される。
【0025】
図形メモリ23には、構造体を構成する図形に関する図形情報230が記憶される。この図形メモリ23には、構造体の外形が特定された場合には、初期図形に関する図形情報230が記憶され、配置する閉図形の位置が指定された場合には、分割図形に関する図形情報230が記憶される。本実施形態では、分割図形として三角形が記憶される。図形情報230は、図形識別子と、ノード番号とを含んで構成されている。
【0026】
図形識別子データ領域には、各図形を特定するための図形識別子に関するデータが記憶される。
ノード番号データ領域には、この図形を構成するノードを特定するためのノード識別子(ノード番号)に関するデータが記憶される。本実施形態では、図形の各頂点を構成するノードのノード番号が記憶される。
【0027】
経路メモリ24には、経路に関する経路情報240が記憶される。この経路情報240は、初期図形及び分割図形が生成された場合に記憶される。この経路情報240は、順番とノード番号とを含んで構成されている。
【0028】
順番データ領域には、経路上で通過する各ノードの順番に関するデータが記憶される。
ノード番号データ領域には、この順番において通過するノードを特定するためのノード識別子(ノード番号)に関するデータが記憶される。
【0029】
(構造体の設計処理)
次に、
図3〜
図5を用いて、以上のように構成された設計システム20における構造物の設計処理について説明する。本実施形態では、外形が三角形状であって、内部に三角形状の閉図形を配置したトラス構造の構造体を設計する。
【0030】
まず、設計システム20の制御部21は、外形に基づく初期情報の生成処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21の設計管理部211は、設計する構造体に関する外形の形状、寸法、想定荷重等の情報を入力する入力画面を表示部12に表示し、ユーザ(設計者)に入力を促す。そして、設計管理部211は、入力部11からユーザが入力した構造体の外形形状、寸法及び想定荷重等を取得する。
【0031】
次に、制御部21のノード特定部212は、構造体の各辺上に配置した図形の各頂点に各ノードを配置し、各ノードにノード番号を付与する。そして、ノード特定部212は、ノード番号に関連付けた各ノードの座標を含むノード情報220を、ノードメモリ22に記憶する。
【0032】
更に、制御部21の図形生成部213は、初期図形に対して図形識別子を付与し、この図形識別子を含む図形情報230を生成して図形メモリ23に記憶する。この図形情報230には、この図形の各頂点を構成するノード番号を含める。
【0033】
次に、制御部21の経路生成部214は、初期図形(ここでは構造体の外形)を一筆書きする経路情報240を生成して経路メモリ24に記憶する。具体的には、経路情報240に、通過する順番に対応付けたノード番号を含める。本実施形態では、始点と終点が同じノードとなる左周りの一筆書きの経路を生成する。
【0034】
次に、設計システム20の制御部21は、分割位置の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の設計管理部211は、表示部12に、設計画面を表示する。この設計画面には、構造体の外形図形及び構造体の内部を構成する分割図形を含める。ユーザは、この設計画面に表示した図形において、閉図形を配置する分割位置(分割対象図形)を指定する。
【0035】
次に、設計システム20の制御部21は、ノードの特定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21のノード特定部212は、分割対象図形を構成するノードを、図形情報230を用いて特定する。そして、ノード特定部212は、特定した各ノードの中点の位置に、新規ノードを配置し、このノードに対してノード番号を付与する。ここで、既存ノードの中点位置に、既にノードが配置されている場合には、このノードを用いる。そして、ノード特定部212は、各新規ノードのノード番号と、そのノード座標とを含むノード情報220を生成して、ノードメモリ22に記憶する。
【0036】
次に、設計システム20の制御部21は、図形の分割処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の図形生成部213は、隣接する新規ノードをそれぞれ結ぶ線を設定する。そして、図形生成部213は、これらの線によって分割対象図形を分割して複数の閉図形(新規分割図形)を生成し、各新規分割図形に対して図形識別子を付与する。この場合、新規分割図形として、分割対象図形の辺を含まない内部新規分割図形と、分割対象図形の辺を含む周辺新規分割図形とが生成される。そして、図形生成部213は、各新規分割図形の図形識別子と、新規分割図形の頂点のノードのノード番号とを含む図形情報230を生成して、図形メモリ23に記憶する。更に、図形生成部213は、分割対象図形の図形情報230を削除する。
【0037】
次に、設計システム20の制御部21は、経路の生成処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の経路生成部214は、内部新規分割図形の各辺を通過する一筆書きの通路を生成する。ここで、経路生成部214は、内部新規分割図形のノードの中で、分割対象図形の経路において最後に通過するノードを始点及び終点とし、内部新規分割図形の各辺を通過する経路を追加した経路を生成する。なお、追加経路においては、始点となるノードにおいて、二つの順路(時計回りと反時計回り)とがあるが、分割対象図形の経路の回り方向と反対方向に順路を設定する。これにより、始点及び終点となるノードにおける経路のクロスを抑制する。
【0038】
次に、設計システム20の制御部21は、構造計算処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の構造解析部215は、ユーザによる構造解析指示に応じて、内部にトラス構造が配置された構造体について、構造、寸法及び想定荷重を用いて、構造解析を行なう。そして、設計画面において、想定荷重に対する発生応力度、変形やせん断力等について、構造解析に関する解析結果を表示する。
【0039】
次に、設計システム20の制御部21は、照査においてOKかどうかについて設計評価処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、設計画面には、照査においてOKかどうかを選択するOKボタン、NGボタンが含まれる。そして、制御部21の構造解析部215は、解析結果を確認したユーザによるOKボタンの選択を検知した場合には照査においてOK(照査条件を満たす)と判定する。一方、NGボタンの選択を検知した場合には照査においてOKでないと判定する。
【0040】
設計評価処理において、照査においてOKでないと判定した場合(ステップS1−7において「NO」の場合)、設計システム20の制御部21は、分割位置の取得処理(ステップS1−2)に戻る。ここで、ユーザは、設計画面において、トラス構造を細分化する位置を入力する。そして、制御部21は、この位置の図形について、ステップS1−3以降の処理を実行する。
【0041】
一方、設計評価処理において、照査においてOKと判定した場合(ステップS1−7において「YES」の場合)、設計システム20の制御部21は、プリンタ15に、経路の出力処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の設計管理部211は、経路メモリ24に記憶された経路情報240を、プリンタ15に送信する。
【0042】
この場合、プリンタ15は、経路に従ったモルタルの吐出処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、プリンタ15は、構造体の製作時に、吐出口からモルタルを吐出する。そして、プリンタ15は、モルタルを吐出しながら、設計システム20から取得した経路に応じて吐出部を移動させる。本実施形態では、複数層を形成するために、始点〜終点を必要回数分、移動する。この場合、始点と終点の位置が同じであるため、下層の終点が上層の始点となる。そして、経路を用いて必要回の一筆書き方繰り返すことにより、モルタル層が積み重ねられてコンクリート構造物が製造される。
【0043】
次に、
図4及び
図5を用いて、上述した構造体の設計処理の具体例を説明する。
図4(a)に示すように、ステップS1−1において、制御部21は、初期図形として構造体の形状(三角形状)、この形状の縦横の寸法及び想定荷重を取得する。
【0044】
そして、
図4(b)に示すように、ステップS1−1において、制御部21は、この外形の特徴点(角)にノード番号「1」、「2」、「3」を付与し、これら各ノード番号と、各ノードの座標とを関連付けたノード情報220をノードメモリ22に記憶する。更に、図形メモリ23において、この図形「A」と、この図形の頂点に位置する各ノード「1」、「2」、「3」とを関連付けた図形情報230を記憶する。更に、経路メモリ24において、一筆書きの経路Tr1として、反時計回りの通過順番にノード(1,2,3,1)が設定された経路情報240を記憶する。
【0045】
ステップS1−2において、図形「A」を分割する場合、制御部21は、ノードの特定処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、
図4(c)に示すように、各ノードの中点の位置に、ノード番号「4」、「5」、「6」の新規ノードを設定する。そして、制御部21は、各ノード番号と座標とを含むノード情報220を生成してノードメモリ22に記憶する。
【0046】
次に、
図4(d)に示すように、制御部21は、図形の分割処理を実行する(ステップS1−4)。ここでは、制御部21は、新たに設定したノード「4」、「5」、「6」をそれぞれ結ぶ線分を設定し、これらの線分によって分割した後の分割図形に対して図形(「B」、「C」、「D」、「E」)を生成する。ここで、図形「B」〜「D」は周辺新規分割図形であり、図形「E」は内部新規分割図形である。そして、制御部21は、図形識別子と、各図形の頂点に配置されたノードとを含む図形情報230を生成して図形メモリ23に記憶する。また、制御部21は、図形「A」についての図形情報230を削除する。
【0047】
更に、ステップS1−5において、制御部21は、新たに一筆書きの経路Tr2を生成する。この経路Tr2は、内部新規分割図形「E」のノードの中で、前の経路Tr1において最後に通過するノード「6」に至るまでは、経路Tr1と同じ経路を有する。更に、この経路Tr2は、ノード「6」において、図形「A」の内部に配置した閉図形「E」の各辺を回る経路を有する。すなわち、この経路Tr2は、ノード「1」、「4」、「2」、「5」、「3」、「6」、「5」、「4」、「6」、「1」を通過する。
【0048】
設計評価処理において、照査においてOKでないと判定した場合(ステップS1−7において「NO」の場合)、ユーザは、分割位置を指定する。
ここで、ステップS1−2において、図形「B」を分割対象図形として指定した場合を想定する。
【0049】
この場合、
図4(e)に示すように、制御部21は、ノード生成処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、図形「B」の頂点の各ノード(「1」、「4」、「6」)の中点に、ノード「7」、「8」、「9」を生成する。そして、制御部21は、各ノード番号と座標とを含むノード情報220を生成して記憶する。
【0050】
次に、
図4(f)に示すように、ステップS1−4において、制御部21は、新たに設定したノード「4」、「5」、「6」をそれぞれ結ぶ線分によって分割した図形(「F」、「G」、「H」、「I」)を生成する。ここで、図形「F」〜「H」は周辺新規分割図形であり、図形「I」は内部新規分割図形である。そして、制御部21は、生成した図形に関する図形情報230を生成して記憶し、分割対象図形(「B」)に関する図形情報230を削除する。
【0051】
そして、ステップS1−5において、制御部21は、新たに一筆書きの経路Tr3を生成する。この経路Tr3は、閉図形「I」のノードの中で、前の経路Tr2において最後に通過するノード「9」に至るまでは、経路Tr2と同じ経路を有する。更に、経路Tr3は、ノード「9」において、図形「B」の内部に配置した閉図形「I」の各辺を回る経路を有する。すなわち、この経路Tr3は、ノード番号「1」、「7」、「4」、「2」、「5」、「3」、「6」、「5」、「4」、「8」、「6」、「9」、「8」、「7」、「9」、「1」を通過する。
【0052】
設計評価処理において、照査においてOKでないと判定した場合(ステップS1−7において「NO」の場合)、ユーザは、更に、分割位置を指定する。
ここで、ステップS1−2において、図形「E」を分割位置として指定した場合を想定する。
【0053】
この場合、
図5(a)に示すように、制御部21は、ノード生成処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、図形「B」の頂点の各ノード(「4」、「5」、「6」)の中点にノードを配置する。ここで、ノード「4」,「6」の間には、既にノード「8」が配置されているので、このノードを、新規分割図形のノードとして用いる。従って、制御部21は、ノード「10」、「11」を生成し、これら各ノード番号と座標とを含むノード情報220を生成して記憶する。
【0054】
次に、
図5(b)に示すように、ステップS1−4において、制御部21は、新規ノードと特定したノード「8」、「10」、「11」をそれぞれ結ぶ線分によって分割した図形(「J」、「K」、「L」、「M」)を生成する。ここで、図形「J」〜「L」は周辺新規分割図形であり、図形「M」は内部新規分割図形である。そして、制御部21は、図形情報230を生成して記憶する。そして、ステップS1−5において、新たに一筆書きの経路Tr4を生成する。
【0055】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の設計システム20の制御部21は、ノードの特定処理(ステップS1−3)、図形の分割処理(ステップS1−4)、経路の生成処理(ステップS1−5)を実行する。そして、制御部21は、照査においてOKでない場合には、上記ステップS1−2〜S1−5を繰り返す。一筆書きできる図形の内部に閉図形を配置した場合には、その配置した閉図形の外形(周囲)を通過する経路を追加して生成された新規経路は必ず一筆書きになるため、ユーザは、閉図形を配置する位置を指定するだけで、一筆書きの経路を有する構造体を設計することができる。従って、3次元プリンタを用いて製造する構造体を効率よく設計することができる。
【0056】
(2)本実施形態においては、設計システム20の制御部21は、分割図形のノードの各ノード座標をノードメモリから特定し、構造計算処理を実行する(ステップS1−6)。これにより、設計した構造体における発生応力度等を評価することができる。
【0057】
(3)本実施形態においては、設計評価処理において、照査においてOKと判定した場合(ステップS1−7において「YES」の場合)、設計システム20の制御部21は、プリンタ15に、経路の出力処理を実行する(ステップS1−8)。そして、プリンタ15は、経路に従ったモルタルの吐出処理を実行する(ステップS1−9)。これにより、プリンタ15に出力した経路となるように3次元プリンタの吐出部を移動させることにより、照査条件(本実施形態では許容応力度)を考慮した構造体を製造することができる。
【0058】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、設計システム20の制御部21を用いて、三角形状の構造体を設計した。設計する構造体は、三角形状に限定されるものではない。一筆書きできる図形であれば、矩形状等の多角形形状、円、楕円、扇型等を用いることができる。
【0059】
例えば、
図6(a)に示すように、支持部Suによって両端が支持される梁(四角形状の外形)を設計するようにしてもよい。この場合、制御部21は、外形に基づく初期情報の生成処理(ステップS1−2)において、
図6(b)に示すように、構造体の内部に、初期図形を配置する。例えば、矩形状の構造体の内部に、同じ大きさの略正三角形と、二等辺三角形とを配置する。
【0060】
そして、制御部21のノード特定部212は、構造体の各辺上に配置した図形の各頂点に各ノードを配置し、各ノードにノード番号を付与し、ノード番号に関連付けた各ノードの座標を含むノード情報220を、ノードメモリ22に記憶する。更に、制御部21は、各初期図形に対して図形識別子を付与し、この図形識別子を含む図形情報230を生成して図形メモリ23に記憶する。更に、図形生成部213は、各図形の頂点を構成するノードを各図形情報230に含める。
【0061】
次に、制御部21の経路生成部214は、構造体の外形及び内部に配置した初期図形を一筆書きする経路情報240を生成して経路メモリ24に記憶する。ここでは、経路情報240に、通過する順番に対応付けて、ノードのノード番号を含める。これにより、四角形状の外形を有する構造体の内部に、三角形状のトラス構造を配置することができる。
【0062】
更に、本実施形態では、
図6(c)に示すように、始点と終点が同じノードであって、一番上以外の線を二度通らない経路T3を生成する。この場合、荷重が加わる上面において、上下に位置をずらして移動させることにより、モルタルを厚くする。これにより、始点と終点を同じ位置に設定する。
【0063】
その後、
図6(d)に示すように、構造体の内部において強度を高めたい部分に、より細かいトラス構造を配置するように、ステップS1−2〜S1−7の処理を繰り返すことにより、構造体を設計する。
【0064】
・上記実施形態の設計システム20の制御部21は、設計評価処理において、照査においてOKと判定した場合(ステップS1−7において「YES」の場合)、プリンタ15への経路の出力処理を実行する(ステップS1−8)。ここで、照査においてOKと判定した場合においても、同じ外形形状で、内部構造が異なる複数の構造体候補を設計するようにしてもよい。この場合、ノード特定部212に、複数の新規ノードのノード設定パターンを保持させておく。ここで、ノード設定パターンは、例えば、新規分割図形について異なる形状や配置等に応じたノードを設定するためのパターンである。そして、制御部21は、各ノード設定パターンについて、ステップS1−2〜S1−7を繰り返す。更に、各ノード設定パターンについて、設計評価処理において、照査においてOKと判定した場合(ステップS1−7において「YES」の場合)の構造体候補について、ノード情報220、図形情報230、経路情報240を保持させておく。
【0065】
そして、制御部21は、出力指示を取得した場合には、各ノード設定パターンにおける構造体の経路の全長を算出する。具体的には、制御部21は、各構造体候補のノード情報220のノード座標を用いて、経路の全長を算出する。そして、制御部21は、算出した全長が最も短い経路の構造体候補を、プリンタ15に送信する。これにより、複数の選択可能な構造体候補を設計した場合において、経路の長さに基づいて、効率的に製造できる構造体を特定することができる。
また、内部構造が異なる複数の構造体候補を設計する場合、経路を構成するモルタルの太さを変更してもよい。この場合には、プリンタ15において、吐出部の移動速度を調整することにより、経路の単位長さ当たりのモルタル量を変更する。例えば、設計評価処理において、照査においてOKでないと判定した領域について、モルタル量を増やし、梁の断面が太くなったものとして設計を行なう。このような複数の構造体候補を設計した場合には、経路の長さ及び単位長さ当たりのモルタル量に基づいて、総モルタル量が少ない構造体候補を特定する。
【0066】
・上記実施形態において、設計システム20の制御部21は、照査においてOKかどうかについての設計評価処理を実行する(ステップS1−7)。ここでは、ユーザによるOKボタンの選択の検知により判定する。この判定処理は、選択されたボタンの検知に限定されず、制御部21が、許容応力度を用いて判定するようにしてもよい。具体的には、制御部21の構造解析部215には、許容応力度に関する情報を記憶させておく。そして、構造解析部215は、構造解析により算出したトラス構造における発生応力度と、記憶している許容応力度とを比較する。構造解析により算出した発生応力度が許容応力度以下になっていない場合には、照査においてOKでないと判定する。
【0067】
設計評価処理において、照査においてOKでないと判定した場合(ステップS1−7において「NO」の場合)、設計システム20の制御部21は、分割位置の取得処理(ステップS1−2)に戻る。この場合には、設計画面において、想定荷重に対する変形やせん断力等について、構造解析に関する解析結果を表示する。これにより、ユーザは、表示された解析結果を確認しながら、新たな分割位置の指定により、構造上の補強を行なうことができる。
【0068】
・上記実施形態においては、制御部21は、三角形状の図形の内部に、三角形状の閉図形を配置する。内部に配置される閉図形は、三角形状に限定されず、一筆書きできる図形であればよく、四角形状等の多角形形状、円、楕円、扇型等を用いることができる。
【0069】
例えば、
図7に示すように、一筆書きの経路T3で構成される分割対象図形F3(菱形)の中に長方形を配置した図形F4においても、交点が生じない一筆書きの経路T4で構成することができる。この場合においても、既存ノードの中点に新規ノードを配置し、隣接する新規ノードをそれぞれ結ぶ線分を設定し、これらの線分によって分割した分割図形を生成する。そして、制御部21は、図形識別子と、各図形の頂点に配置されたノードとを含む図形情報230を生成して図形メモリ23に記憶する。
【0070】
・上記実施形態において、ノード設定パターンとして、指定された図形を構成するノードの中点に新規ノードを配置した。ノード設定パターンは、ノードの中点に限られるものではない。例えば、3等分した位置に配置してもよい。
【0071】
また、
図8に示す四角形状に、既存ノードの間に2つの新規ノードを配置するようにしてもよい。この場合には、各ノードを、各辺長の1/4、1/2、1/4の位置に配置する。これにより、隣接する新規ノードを結ぶ線分によって、内部に菱形を左右及び上下2個ずつ配置することができる。この場合においても、点SG1を始点及び終点として、一筆書きの経路T5を生成することができる。
【0072】
・上記実施形態においては、制御部21は、構造体の内部に三角形状の閉図形を配置する。構造体の内部に配置する図形を、ユーザの指示に応じて変更(追加や変形)できるようにしてもよい。
【0073】
例えば、
図9に示すように、四角形状の閉図形及び三角形状の閉図形の両方を、構造体の内部に配置してもよい。この場合においても、点SG2を始点及び終点として、一筆書きの経路T6を生成することができる。
【0074】
・上記実施形態においては、設計システム20の制御部21は、閉図形を配置する際に、既存ノードの中点に、新規ノードを配置し、このノードの座標を含むノード情報220をノードメモリ22に記憶する。これに加えて、ノード同士を結ぶ線が交差しない範囲で、ノードの位置(座標)をユーザの指示に応じて移動できるようにしてもよい。具体的には、制御部21は、設計画面において、ユーザによって移動されたノードについて、ノード番号に関連付けられたノード情報220のノード座標を、移動先座標に変更する。これにより、ユーザ所望の位置にノードを変更することができる。そして、この場合においても、一筆書きの経路を維持することができる。
【0075】
・上記実施形態においては、設計システム20の制御部21は、経路の生成処理を実行する(ステップS1−5)。ここで、内部新規分割図形のノードの中で、分割対象図形の経路において最後に通過するノードを始点及び終点として、新規分割図形の各辺を通過する経路を追加した経路を生成する。追加経路の生成方法は、これに限定されるものではない。例えば、内部新規分割図形のノードの中で、分割対象図形の経路において最初や途中に通過するノードを始点及び終点とすることも可能である。具体的には、
図4(d)において、最初に通過するノード「4」を始点とする場合には、ノード番号「1」、「4」、「6」、「5」、「4」、「2」、「5」、「3」、「6」、「1」を通過する経路を生成する。また、
図4(d)において、途中で通過するノード「5」を始点とする場合には、ノード番号「1」、「4」、「2」、「5」、「4」、「6」、「5」、「3」、「6」、「1」を通過する経路を生成する。
【0076】
・上記実施形態においては、
図4(b)に示すように、最初、反時計回りの通過順番で経路を生成する。通過順番は、これに限定されるものではなく、追加経路において、既存経路とクロスしない方向に順路を設定すればよい。