特許第6766499号(P6766499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6766499
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】センサ取付け構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20201005BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G01L19/14
   H05K7/12 A
   H05K7/12 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-145607(P2016-145607)
(22)【出願日】2016年7月25日
(65)【公開番号】特開2018-17525(P2018-17525A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大澤 朝華
(72)【発明者】
【氏名】若林 弘宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊晃
(72)【発明者】
【氏名】立田 洋
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−506655(JP,A)
【文献】 特開2001−271918(JP,A)
【文献】 特開2007−315792(JP,A)
【文献】 特表2002−523699(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0163474(US,A1)
【文献】 特開平08−219922(JP,A)
【文献】 米国特許第06312061(US,B1)
【文献】 特開2004−020216(JP,A)
【文献】 特表2002−509838(JP,A)
【文献】 特開2001−027571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32,27/00−27/02
H05K 7/12,
B60T 8/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ筐体の内部に圧力検出素子を収容し、上下方向に延びる中心軸を備えた柱状の油圧センサと、
前記センサ筐体が前記中心軸に沿って下方から上方に挿入される油圧センサ収容空間を備えた上部ボディと、前記上部ボディに向かって油路が設けられた下部ボディを有するバルブボディと、を備えた油圧センサ取付け構造において、
前記上部ボディに設けられ、前記油圧センサの前記中心軸に沿った上方から下方への移動を阻止する移動阻止部と、
前記センサ筐体の表面に設けられ、前記移動阻止部に引掛り、前記センサ筐体の前記中心軸に沿った上方から下方への移動を阻止し、前記油圧センサを前記収容空間内に保持する引掛り部とを備え、
前記センサ筐体の側壁に、前記中心軸に沿った方向に延び、前記中心軸の方向に弾性的に変形する弾性部材が設けられ、前記弾性部材に前記引掛り部が設けられ
前記センサ筐体を前記収容空間内に収容した状態において、前記引掛り部が前記中心軸の方向に弾性変形し、前記移動阻止部に前記引掛り部が接触し、前記中心軸に沿った方向において、前記センサ筐体の上方から下方への移動が阻止されたセンサ取付け構造。
【請求項2】
前記収容空間は前記上部ボディに設けられた貫通孔であり、
前記移動阻止部は前記貫通孔の上縁であり、
前記引掛り部は前記貫通孔の上縁に当接する突起である請求項に記載のセンサ取付け構造。
【請求項3】
前記引掛り部は前記弾性部材に設けられた凹部であり、前記収容空間は前記上部ボディに設けられた貫通孔であり、
前記移動阻止部は、前記貫通孔の上縁に設けられて前記凹部に係合する突起である請求項2に記載のセンサ取付け構造。
【請求項4】
前記センサ筐体は、下部ケースと該下部ケースの上方に固定された上部ケースを備え、
前記上部ケースは樹脂によって形成され、その内部に前記圧力検出素子が収容され、前記下部ケースは金属によって形成され、その内部に前記下部ボディに設けられた油路に連通する油導入空間が設けられ、前記下部ケースはその周縁に設けられた鍔部で前記上部ボディと下部ボディに挟持され、
前記上部ケースを構成する樹脂の一部に前記弾性部材が設けられた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセンサ取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の変速機のコントロールバルブとして使用するのに適した油圧センサの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動変速機には、変速機構を制御するためのコントロールバルブが設けられている。このコントロールバルブは、電磁弁装置を使用して変速機構に対して所定の大きさの油圧を供給・停止することにより、変速機構を制御する。特許文献1から特許文献3に示すように、従来のコントロールバルブとして、上部ボディと下部ボディとを重ね合わせて成るバルブボディを備えるものが知られている。バルブボディ内には、作動油が流れる油路を形成すると共に、油圧の切換のための電磁弁装置と油路内の油圧を検出するセンサを設ける。
【0003】
従来のコントロールバルブにおいて、センサなどの電子機器は個々にバルブボディの上から取り付けられていることがほとんどであった。近年、小型化の要請から、例えば、図8に示すように、上部ボディ1と下部ボディ2の間に油圧センサ3を挟みこむビルトイン構造化が必要となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−174991号公報
【特許文献2】特表2010−058800号公報
【特許文献3】特開2011−134801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9は、従来技術において、油圧センサ3を上部ボディ1と下部ボディ3との間で挟み込む方法を示す。この方法では、まず、上部ボディ1をその下面が上向きになるようにひっくり返した状態で、上部ボディ1に設けられた収容空間4内に、油圧センサ3を上下を逆にして挿入する。その後、油圧センサ3を収容空間4内に嵌め込んだ状態で上部ボディ1を反転して、下部ボディ3に重ね合わせ、上部ボディ1と下部ボディ2を固定する。
【0006】
この場合、先に下部ボディ1上に油圧センサ3を配置し、その後に上方から上部ボディ1を重ね合わせると、油圧センサ3と収容空間4が上部ボディ1に隠れてしまうため、両者の位置合わせが難しく、収容空間4内に油圧センサ3を挿入することが困難である。そのため、上部ボディ1に対する油圧センサ3の取り付けは、前記のように上部ボディ1を反転させた状態で行われる。
【0007】
ところが、このような方法では、油圧センサ3の取り付け後、上部ボディ1を元に戻して下部ボディ2に重ね合わせようとすると、収納空間4内に嵌め込んだ油圧センサ3がその自重で脱落することがある。そのため、作業者は、片手で油圧センサ3が脱落しないように押さえながら、上部ボディ1を下部ボディ2に重ね合わせ、両者の位置決めを行わねばならず、作業性が極めて悪いという問題があった。また、作業者が注意を払っていても、油圧センサ3が上部ボディ1から脱落することは避けられず、油圧センサ3を損傷する可能性もあった。
【0008】
本発明は、上部ボディを反転させた場合でも上部ボディからの油圧センサの脱落がなく、簡単な作業で油圧センサの組み込みと上部ボディと下部ボディの位置決めを行うことのできるセンサ取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセンサ取付け構造は、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)センサ筐体の内部に圧力検出素子を収容し、上下方向に延びる中心軸を備えた柱状の油圧センサ。
(2)前記センサ筐体が前記中心軸に沿って下方から上方に挿入される油圧センサ収容空間を備えた上部ボディと、前記上部ボディに向かって油路が設けられた下部ボディを有するバルブボディ。
(3)前記上部ボディに設けられ、前記油圧センサの前記中心軸に沿った上方から下方への移動を阻止する移動阻止部。
(4)前記センサ筐体の表面に設けられ、前記移動阻止部に引掛り、前記センサ筐体の前記中心軸に沿った上方から下方への移動を阻止し、前記油圧センサを前記収容空間内に保持する引掛り部。
(5)前記センサ筐体を前記収容空間内に収容した状態において、前記引掛り部が前記中心軸の方向に弾性変形し、前記移動阻止部に前記引掛り部が接触し、前記中心軸に沿った方向において、前記センサ筐体の上方から下方への移動が阻止される。
【0010】
本発明において、以下の構成とすると良い。
(1)前記センサ筐体の側壁に、前記中心軸に沿った方向に延び、前記中心軸の方向に弾性的に変形する弾性部材が設けられ、前記弾性部に前記引掛り部が設けられる。
(2)前記収容空間は前記上部ボディに設けられた貫通孔であり、前記移動阻止部は前記貫通孔の上縁であり、前記引掛り部は前記貫通孔の上縁に当接する突起である。
(3)前記引掛り部は前記弾性部材に設けられた凹部であり、前記収容空間は前記上部ボディに設けられた貫通孔であり、前記移動阻止部は、前記貫通孔の上縁に設けられて前記凹部に係合する突起である。
(4)前記センサ筐体は、下部ケースと該下部ケースの上方に固定された上部ケースを備え、前記上部ケースは樹脂によって形成され、その内部に前記圧力検出素子が収容され、前記下部ケースは金属によって形成され、その内部に前記下部ボディに設けられた油路に連通する油導入空間が設けられ、前記下部ケースはその周縁に設けられた鍔部で前記上部ボディと下部ボディに挟持され、前記上部ケースを構成する樹脂の一部に前記弾性部材が設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動阻止部と引掛り部とによって、油圧センサを上部ボディの収容空間内に固定したので、油圧センサの取り付け時に上下を反転させた上部ボディを、再びひっくり返して元に戻しても、油圧センサが上部ボディから脱落することがない。その結果、上部ボディから脱落しないように油圧センサを手作業で押さえておく必要がなく、上部ボディと下部ボディの重ね合わせおよび位置決め作業を簡単かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の縦断面図である。
図3図3は、第2実施形態の斜視図である。
図4図4は、第2実施形態の縦断面図である。
図5図5は、第3実施形態の斜視図である。
図6図6は、第3実施形態の縦断面図である。
図7図7は、第3実施形態の変形例の縦断面図である。
図8図8は、バルブボディに対する油圧センサの取り付け状態を示す縦断面図である。
図9図9は、バルブボディから油圧センサが脱落する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、以下に説明する。各実施形態において、図8および図9に示す従来技術と共通の部分については、各図において共通の符号を付し、説明は省略する。各実施形態において、上下方向とは、上部ボディと下部ボディの積層方向を言い、軸とは、油圧センサの上下方向に沿った中心軸をいう。単に周方向あるいは軸方向と言った場合は、中心軸の周方向あるいは中心軸の軸方向を示す。
【0014】
[1.第1実施形態]
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0015】
バルブボディは、上部ボディ1と下部ボディ2とから構成される。上部ボディ1には油圧センサ3を収容するための収容空間4が設けられる。下部ボディ2には、上部ボディ1に向かって上方に油路5が設けられ、この油路5の開口部に油圧センサ3が固定される。
【0016】
収容空間4は、油圧センサ3の筐体がその中心軸に沿って下方から上方に挿入されるもので、上部ボディ1の上面から下面に開口した貫通孔である。上部ボディ1の上面における収容空間4を構成する貫通孔の上縁は、引掛り部47が油圧センサ3の中心軸に沿った上方から下方への移動することを阻止する移動阻止部1aになっている。
【0017】
収納空間4の上部には、油圧センサ3の上部ケース32の外周面がぴったりと嵌まり込む形状の小径部41が設けられる。小径部41の水平断面、すなわち油圧センサ3の軸と直交する断面は、油圧センサ3の下部ケース31の水平断面よりも小さく、下部ケース31は小径部41内には入り込むことはできない。収納空間4の下部には、下部ケース31の外周面、すなわち下部ケース31の鍔部7が嵌まり込む大径部42が設けられ、小径部41と大径部42との境界には段部43が設けられる。
【0018】
油圧センサ3は、上下方向に延びる中心軸を備えた柱状の部材であり、下部ケース31とその上方に固定された上部ケース32を有する。下部ケース31と上部ケース32が本発明のセンサ筐体に相当する。下部ケース31の外周は、上部ケース32の外周よりも周方向外側、すなわち図中横方向にフランジ状に張り出し、鍔部7になっている。
【0019】
下部ケース31には、一端側が油路5に開口し、他端側が油の圧力に応じで変形する可撓板33で塞がれた油導入空間34が設けられる。下部ケース31における油路5の周方向外側には、下部ケース31の下面から上方に向かって凹んだ溝35が設けられる。この溝35内にO−リング等のシール材35aが嵌め込まれている。下部ケース31と下部ボディ2との接触面は、シール材35aで密封される。
【0020】
上部ケース32には、可撓板33の上面側を囲んだ圧力検出空間36が設けられる。圧力検出空間36内には、周囲が上部ケース32に固定された支持部材37が設けられ、支持部材37の下面に圧力検出素子38が設けられる。圧力検出素子38は、可撓板33における油導入空間34の反対側に設けられる。油路5からの油圧で可撓板33が変形した場合に、可撓板33が圧力検出素子38に接触する。
【0021】
上部ケース32には、圧力検出素子38に接続されたばね性の端子ピン39が設けられ、この端子ピン39は図示しないプリント配線基板に接続されている。上部ケース32の上部及びその部分に設けられた端子ピン39は、上部ボディ1に設けられた収容空間4から突出し、上部ボディ1の上面に露出している。
【0022】
上部ケース32の表面には、等間隔で設けられた3か所の凹部44が、軸方向に沿って設けられる。各凹部44内には、上部ボディ1の移動阻止部1aに引掛り、油圧センサ3の中心軸に沿った上方から下方への移動を阻止し、油圧センサ3を収容空間4内に保持する弾性部材45が設けられる。弾性部材45の上部は凹部44の上端において上部ケース32の壁面に固定され、下部は凹部44の壁面から間隔を保った位置に配置され、弾性部材45の下部が油圧センサ3の中心軸の方向に弾性変形する。
【0023】
弾性部材45の下端には、中心軸の外側に向かって突出した突起形状を有する引掛り部47が設けられる。引掛り部47は、油圧センサ3を収容空間4内に収容した状態において、上部ボディ1の移動阻止部1aに接触し、油圧センサ3が中心軸に沿って上方から下方への移動することを阻止する。
【0024】
弾性部材45の下端の外周面には、弾性部材45の上方から下方に向かって広がった傾斜面46が設けられる。弾性部材45が油圧センサ3の中心軸側に弾性変形していない状態において、弾性部材45の下端の引掛り部47は収容空間4の上方の開口部よりも中心軸から見て外側、すなわち上部ボディ1に設けられた移動阻止部1aの中心軸側の縁よりも外側に位置する。
【0025】
[1.2 作用]
上記のような構成を有する第1実施形態の作用は、以下のとおりである。
【0026】
上部ボディ1に油圧センサ3を取り付けるにあたり、上部ボディ1を反転させて、油圧センサ3をその端子ピン39を先にして収容空間4内に挿入すると、上部ケース32の外周面に設けた弾性部材45がその弾性により油圧センサの3の中心軸に向かって変形する。この時、収容空間4の縁で弾性部材45の傾斜面46が押圧されるため、弾性部材45は収納空間4の縁に引っ掛かることなく、油圧センサ3の中心軸側に円滑に変形する。その結果、油圧センサ3を収容空間4内に簡単に挿入できる。
【0027】
油圧センサ3が収納空間4内に完全に挿入されると、弾性部材45の下端が収容空間4内を通過し、上部ボディ1の表面に出てくる。すると、弾性部材45は、その弾性により中心軸の外側に向かって広がり、弾性部材45の下端の引掛り部47が上部ボディ1表面の移動阻止部1aに引っ掛かる。同時に、上部ケース32が収容空間4の小径部41に、下部ケース31が大径部42に収容されるので、油圧センサ3は引掛り部47と段部43とに挟まれ、収容空間4内に保持される。
【0028】
このようにして、油圧センサ3を上部ボディ1に仮止めした後は、上部ボディ1の上下をひっくり返して、下部ボディ2の上面に重ね合わせ、両者を固定する。この場合、油圧センサ3は上部ボディ1に仮止めされているので、上部ボディ1の下面から油圧センサ3が落下することがない。
【0029】
上部ボディ1と下部ボディ2とを固定すると、油圧センサ3は、その下部ケース31に設けられた鍔部7の部分が、上部ボディ1の段部43と下部ボディ2の表面とで挟み込まれる。その結果、たとえ移動阻止部1aと引掛り部47が外れても、油圧センサ3は充電器本体1と下部ボディ2の間に固定される。
【0030】
[3.効果]
本実施形態の効果は次のとおりである。
【0031】
(1)油圧センサ3を収容空間4内に保持する引掛り部47と移動阻止部1aを設けることで、油圧センサ3をコントロールバルブの上下のボディ1,2間にビルトイン固定する前の作業段階で、油圧センサ3の上部ボディ1からの脱落を防止できる。その結果、油圧センサ3の破損防止が出来るとともに、組立製造時作業を簡易化でき、生産性の向上に繋がる。
【0032】
(2)油圧センサ3の弾性部材45に設けられた引掛り部47が弾性変形して、バルブボディの移動阻止部1aに係合するので、油圧センサ3を上部ボディ1に簡単に仮止めできる。上部ケース32はバルブボディに比較して薄肉で変形しやすい部材から構成されているので、引掛り部47を設ける弾性部材45を簡単に作成できる。
【0033】
(3)上部ボディ1に設けた開口部である収容空間4の縁をそのまま移動阻止部1aとして利用することで、バルブボディに収容空間4を形成する場合、収容空間4の内面などに特別に凹凸加工を施す必要がない。
【0034】
(4)下部ケース31の全周囲に鍔部7が張り出しているので、鍔部7の広い面積で上部ボディ1の押圧力を受け止めることができるので、下部ケース31を確実に固定できる。特に、上部ケース32が樹脂であるため、弾性部材45を簡単に設けることができ、上下のボディに挟持される下部ケース31は強度の高い金属とすることで、上下のバルブボディによって強固に固定できる。
【0035】
(5)上部ボディ1の収容空間4が貫通孔であり、弾性部材45の一部が上部ボディ1の上面に露出する。そのため、弾性部材45を中心軸に向かって押し込むことで、引掛り部47と移動阻止部1aの引掛りを外すことができ、仮止めした油圧センサ3を上部ボディ1から簡単に外すことができる。
【0036】
[2.第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図3及び図4により説明する。第1実施形態と同様な構成については、同一の符号を付けて、説明は省略する。
【0037】
第2実施形態では、上部ケース32の外周面の全域にわたって、周方向に延びる環状の凹部44が設けられる。等間隔に設けられた3か所の弾性部材45は、環状の凹部44を中心軸の上下方向に橋渡しするように設けられ、弾性部材45の上下の端部が上部ケース32の表面に固定される。弾性部材45は中心軸の上下方向の中央部分が、中心軸に向かって出没するように弾性変形することができる素材と肉厚を有する。弾性部材45の上下方向のほぼ中央部分には、中心軸から見て外側に突出した引掛り部47と傾斜面46が形成される。
【0038】
第2実施形態においても、収容空間4内に油圧センサ3を挿入すると、引掛り部47と移動阻止部1aが引っかかって、上部ボディ1から油圧センサ3が脱落しなくなる。その結果、第1実施形態と同様な作用効果が発揮される。また、第2実施形態では、弾性部材45の両端が上部ケース32に固定されているので、弾性部材45の端部が浮き上がって他の部材に引っ掛かるおそれもなく、油圧センサ3の取り扱いが簡便である。
【0039】
[3.第3実施形態]
本発明の第3実施形態を図5及び図6により説明する。第1実施形態と同様な構成については、同一の符号を付けて、説明は省略する。
【0040】
第3実施形態では、上部ボディ1に設けられた移動阻止部1aは、収容空間4を構成する貫通孔の上縁部から油圧センサ3の中心軸側に突出した突起によって形成されている。上部ケース32には、下端が上部ケース32に固定された弾性部材45が設けられ、弾性部材45の外周面に中心軸側に凹んだ凹部が形成され、この凹部が引掛り部47になっている。
【0041】
弾性部材45の上部外周面、引掛り部47の下方、および移動阻止部1aの下方には、それぞれ傾斜面46が設けられる。弾性部材45の上部外周面の傾斜面46は収容空間4内に油圧センサ3を挿入する際のガイド面である。引掛り部47下方および移動阻止部1a下方の傾斜面46は、引掛り部47と移動阻止部1aが引っかかる際のガイド面である。
【0042】
第3実施形態においても、収容空間4内に油圧センサ3を挿入すると、引掛り部47と移動阻止部1aが引っかかって、上部ボディ1から油圧センサ3が脱落しなくなる。その結果、第1実施形態と同様な作用効果が発揮される。また、第3実施形態では、移動阻止部1aが収容空間4の中心軸側に突出しているので、必ずしも、収容空間4である貫通孔の縁の部分に移動阻止部1aを設ける必要はない。例えば、貫通孔の途中の部分に移動阻止部1aを設けることで、図7のように収容空間4の上部が塞がれている場合でも、油圧センサ3の仮止めが可能である。
【0043】
[4.他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
【0044】
(1)油圧センサ3の構造については、図示の実施形態に限定されない。弾性部材を設ける位置も上部ケース32ではなく、下部ケース31に設けても良い。
【0045】
(2)上部ケース32や下部ケース31の材質も図示の実施形態に限定されず、上部ケース32が樹脂製でなくとも、弾性部材と引掛り部を設けることができれば、金属などでも良いし、下部ケース31を樹脂としても良い。
【0046】
(3)下部ケース31に設ける鍔部7は、下部ケース31の全周囲にフランジ状に設ける必要はない。下部ケース31の周囲に等間隔或いは適宜な間隔で突出部を設け、その上面を鍔部7とすることができる。
【0047】
(4)引掛り部47を有する弾性部材45がセンサ筐体に固定されている必要はない。弾性部材47をセンサ筐体とは別部材で構成し、センサ筐体にねじ止め、はめ込み、接着等の手段で固定しても良い。
【0048】
(5)高さの低い、いわゆるボタン型の油圧センサも、中心軸を備えた柱状のセンサとして本発明に包含されるものであり、その場合、図7のように、収容空間4が上部ボディ1の下面に設けられた凹部でも良い。
【符号の説明】
【0049】
1…上部ボディ、1a…移動阻止部、2…下部ボディ、3…油圧センサ、4…収容空間、5…油路、7…鍔部、31…下部ケース、32…上部ケース、33…可撓板、34…油導入空間、35…溝、35a…シール材、36…圧力検出空間、37…支持部材、38…圧力検出素子、39…端子ピン、41…小径部、42…大径部、43…段部、44…凹部、45…弾性部材、46…傾斜面、47…引掛り部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9