(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本実施形態にかかる画像形成装置について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,印刷機能を有するプリンタに本発明を適用したものである。
【0014】
[プリンタ100の全体構成]
本形態のプリンタ100は,
図1に示すように,シートに印刷を行う印刷部10と,印刷部10で印刷されたシートの排出先となる排紙トレイを複数具備するメールボックス20とを備えている。印刷部10は,カバー11を備え,カバー11内に印刷エンジンとなるプロセス部およびシートを搬送する機構を収容する。メールボックス20は,印刷部10の上面に,印刷部10から着脱可能に取り付けられる増設ユニットである。
【0015】
また,印刷部10は,その底部に,印刷前のシートを収容する給紙カセット91を備えている。なお,給紙カセット91は,1つに限るものではない。例えば,給紙カセット91のさらに下面に,増設給紙カセットを取り付けてもよい。また,印刷部10は,その上面に,印刷後のシートを載置する排紙トレイである本体排紙トレイ93を備えている。本体排紙トレイ93は,排紙トレイの一例である。
【0016】
また,印刷部10には,その前面に,ユーザによる手差し給紙を可能にする多目的トレイ94が設けられている。多目的トレイ94は,印刷部10のカバー11に開閉自在に設けられており,下辺側に設けられた回転軸を中心に回動させると開放状態となる。印刷部10では,多目的トレイ94が開放状態となることで,多目的トレイ94を利用した給紙が可能になる。
【0017】
また,印刷部10は,その上面に,タッチパネル41と,OKボタン,キャンセルボタン,テンキー,ユーザ認証ボタン等から構成されるボタン群42とを備えた操作パネル40が設けられている。タッチパネル41は,各種のメッセージやデータを表示する表示機能と,ユーザによる入力操作を受け付ける入力機能とを兼ねる。操作パネル40は,操作部の一例である。操作パネル40により,動作状況の表示やユーザによる入力操作が可能になる。
【0018】
メールボックス20は,3段の排紙トレイ群96を備えている。排紙トレイ群96の各排紙トレイは,上下方向に所定の間隔を空けて列置される。本形態では,排紙トレイ群96を構成する各排紙トレイを,下から順に上に向かって,下段排紙トレイ961,中段排紙トレイ962,上段排紙トレイ963とする。なお,メールボックス20は,3段の排紙トレイに限るものではない。すなわち,2段以下であってもよいし,4段以上であってもよい。メールボックス20は,例えば,ユーザごとのシートの排出に用いられる。下段排紙トレイ961,中段排紙トレイ962,および上段排紙トレイ963も,排紙トレイの一例である。
【0019】
[プリンタ100の内部構成]
続いて,プリンタ100の内部構成について,
図2を参照しつつ説明する。プリンタ100の印刷部10は,電子写真方式によってトナー像を形成し,そのトナー像をシートに転写するプロセス部50と,シートの搬送に利用される各種ローラとを備えている。
【0020】
印刷部10内の各種ローラには,例えば,ピックアップローラと分離ローラとから構成される給紙ローラ71と,印刷後のシートを本体排紙トレイ93に排出するローラである本体排紙ローラ73と,が含まれる。本体排紙ローラ73は,排出部の一例である。
【0021】
印刷部10内には,給紙カセット91に収容されたシートが,給紙ローラ71,プロセス部50を通り,本体排紙ローラ73を介して本体排紙トレイ93へ導かれるように,略S字形状の搬送路21(
図2中の一点鎖線)が設けられている。また,印刷部10内には,多目的トレイ94から搬入されたシートがプロセス部50へ導かれるように,略直線状の搬送経路24が設けられている。
【0022】
また,印刷部10内には,プロセス部50よりも下流であって本体排紙ローラ73よりも上流の位置に,搬送路21から分岐する分岐点215が設けられ,印刷後のシートが分岐点215からメールボックス20へ導かれる搬送路25が設けられている。そして,印刷部10は,印刷後のシートを,搬送路21を経由して本体排紙トレイ93に向かわせるか,搬送路25を経由してメールボックス20に向かわせるか,を切り換えるフラッパである本体フラッパ81を,分岐点215の周辺に設けている。本形態では,本体フラッパ81が開状態であれば,シートが搬送路25に導かれ,本体フラッパ81が閉状態であれば,シートが搬送路21に導かれる。
【0023】
メールボックス20は,下段排紙トレイ961にシートを排出する排紙ローラである下段排紙ローラ761と,中段排紙トレイ962にシートを排出する排紙ローラである中段排紙ローラ762と,上段排紙トレイ963にシートを排出する排紙ローラである上段排紙ローラ763とを備えている。下段排紙ローラ761,中段排紙ローラ762,および上段排紙ローラ763は,排出部の一例である。
【0024】
また,メールボックス20内には,印刷部10の搬送路25と連続し,印刷後のシートをメールボックス20内に搬入し,最上位に位置する上段排紙トレイ963に導く搬送路22が設けられている。また,搬送路22には,下段排紙トレイ961に向かうための分岐点221と,中段排紙トレイ962に向かうための分岐点222と,が設けられる。また,メールボックス20内には,シートを分岐点221から下段排紙トレイ961に導く搬送路28と,シートを分岐点222から中段排紙トレイ962に導く搬送路29と,が設けられている。
【0025】
具体的に,下段排紙トレイ961を排出先とする場合には,メールボックス20に搬入されたシートは,分岐点221によって搬送路22から搬送路28へ分岐し,下段排紙ローラ761を介して下段排紙トレイ961に導かれる。中段排紙トレイ962を排出先とする場合には,メールボックス20に搬入されたシートは,分岐点221よりも下流に位置する分岐点222によって搬送路22から搬送路29へ分岐し,中段排紙ローラ762を介して中段排紙トレイ962に導かれる。上段排紙トレイ963を排出先とする場合には,メールボックス20に搬入されたシートは,分岐点221,222からは分岐せず,上段排紙ローラ763を介して上段排紙トレイ963に導かれる。
【0026】
また,メールボックス20は,印刷後のシートを,搬送路22に搬送するか搬送路28に搬送するかを切り換えるフラッパであるフラッパ82を,分岐点221の周辺に設けている。本形態では,フラッパ82が閉状態であれば,シートが搬送路28に搬送され,フラッパ82が開状態であれば,シートが搬送路22に搬送される。さらに,メールボックス20は,印刷後のシートを,搬送路22に搬送するか搬送路29に搬送するかを切り換えるフラッパであるフラッパ83を,分岐点222の周辺に設けている。本形態では,フラッパ83が閉状態であれば,シートが搬送路29に搬送され,フラッパ82が開状態であれば,シートが搬送路22に搬送される。
【0027】
プロセス部50は,画像データに基づく画像をシートに印刷する。プロセス部50は,印刷機能を有していればよく,インクジェット方式であっても電子写真方式であってもよい。更には,カラー印刷が可能であってもモノクロ専用であってもよい。プロセス部50は,画像形成部の一例である。
【0028】
プリンタ100は,給紙カセット91に載置されているシートあるいは多目的トレイ94から送り込まれたシートを,プロセス部50に搬送する。そして,プロセス部50によってシート上に画像を形成する。その後は,そして,画像が形成されたシートを,本体排紙トレイ93,下段排紙トレイ961,中段排紙トレイ962,上段排紙トレイ963のいずれかに排出する。
【0029】
[プリンタ100の電気的構成]
実施の形態のプリンタ100は,
図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えるコントローラ30を有している。プリンタ100は,画像形成装置の一例である。なお,
図3中のコントローラ30は,CPU31等,プリンタ100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にプリンタ100に存在する単一のハードウェアと表すとは限らない。
【0030】
ROM32には,プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33およびNVRAM34は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいはデータを一時的に記憶する記憶領域として利用される。RAM33およびNVRAM34は,記憶部の一例である。
【0031】
CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。CPU31は,制御部の一例である。なお,コントローラ30が制御部の一例であってもよい。
【0032】
また,プリンタ100は,プロセス部50と,シートの搬送に用いられる各種ローラの駆動源となるモータ70と,フラッパ81,82,83を含むフラッパ群80と,操作パネル40と,ICカードリーダ37と,ネットワークインターフェース36と,を有し,これらがCPU31によって制御される。なお,コントローラ30に接続される構成要素は,
図3に示した構成要素に限らず,上述した構成要素以外の構成要素もコントローラ30に接続され,CPU31によって制御される。
【0033】
ICカードリーダ37は,無線によって,ICカードに記憶された情報を読み取るためのハードウェアである。プリンタ100は,本体の前面にICカードの読取台(不図示)を備え,当該読取台の裏側にICカードリーダ37を配置し,ユーザが当該読取台にICカードをかざすことで,ICカードリーダ37が当該ICカードに記憶される情報を読み取る。
【0034】
ネットワークインターフェース36は,有線あるいは無線によって,ネットワークに接続する外部装置と通信を行うためのハードウェアである。プリンタ100は,例えば,ネットワークを介して接続するパーソナルコンピュータ(PC)200および認証サーバ300との通信が可能である。プリンタ100は,ネットワークインターフェース36を介してPC200から送信される印刷ジョブを受信する。この他,モバイル装置から送信される印刷ジョブを,無線通信を用いて受信してもよい。ネットワークインターフェース36は,受信部の一例である。
【0035】
[蓄積ジョブの印刷手順]
続いて,プリンタ100が有する蓄積印刷機能について説明する。プリンタ100は,蓄積印刷機能が有効な場合,外部装置から印刷ジョブを受信しても直ぐには印刷を開始せず,その印刷ジョブをRAM33に記憶する。そして,プリンタ100は,その後にその印刷ジョブに対する印刷指示を受け付けたことを条件として,その印刷ジョブの印刷を行う。本明細書では,蓄積印刷機能を有効とする印刷ジョブを蓄積ジョブとする。以下,蓄積ジョブの印刷までの手順について詳説する。
【0036】
プリンタ100は,外部装置から蓄積ジョブを受信すると,RAM33に当該蓄積ジョブを記憶する。蓄積ジョブには,ユーザIDやIPアドレス等,蓄積ジョブを所有するユーザを識別できる情報であるユーザ情報が含まれており,蓄積ジョブはユーザ情報と関連付けて記憶される。
【0037】
プリンタ100は,プリンタ100自身の利用を許可するために,ログインを必要とする。ログインは,蓄積ジョブに対する印刷の指示を行うための操作の一部である。プリンタ100は,ログインを行うにあたって,ユーザを認証するための認証情報を受け付ける。そして,プリンタ100は,当該認証情報に基づくユーザ認証に成功することでログインが成功したものとし,ログインに成功したユーザであるログインユーザに関連付けられた蓄積ジョブに対する印刷の指示の受け付けを可能にする。
【0038】
具体的に,プリンタ100は,
図4(A)に示すようなログイン画面51をタッチパネル41に表示させる。ログイン画面51には,ログイン情報の入力を促すメッセージ511と,認証情報を入力させる入力部512と,ログイン指示を入力させるログインボタン513と,ICカードによるユーザ情報の受け付けを一時的に可能にするICカードボタン514と,が表示される。
【0039】
ログインボタン513が押下(より具体的にはタッチパネル41のうちログインボタン513が表示される領域へのタッチ操作の検知)されると,プリンタ100は入力部512に入力された認証情報を取得する。本形態では,ユーザを識別するユーザIDと,パスワードと,の組合せを,認証情報とする。ICカードボタン514が押下されると,プリンタ100は,ICカードリーダ37による通信を一時的に可能にし,ICカードリーダ37を用いて認証情報を取得する。
【0040】
プリンタ100は,認証情報を取得すると,当該認証情報を認証サーバ300に送信し,ユーザ認証を依頼する。そして,プリンタ100は,認証サーバ300から認証結果を受信する。プリンタ100は,認証成功を受信した場合,ログインが成功したものとし,そのログインユーザに与えられた権限に基づいて自装置の利用を許可する。一方,認証成功を受信しなかった場合,ログインに失敗したものとし,自装置の利用を許可しない。
【0041】
プリンタ100は,ログインが成功した後,プリンタ100は,
図4(B1)に示すような,蓄積ジョブ一覧画面52をタッチパネル41に表示させる。蓄積ジョブ一覧画面52には,印刷対象のジョブの選択を促すメッセージ521と,RAM33に記憶される蓄積ジョブのうちログインユーザに関連付けられた蓄積ジョブを一覧表示する一覧表示部522と,表示を切り替える切替指示を入力させる切替ボタン523と,選択された状態の蓄積ジョブに対する印刷指示を入力させる印刷ボタン524と,ログアウト指示を入力させるログアウトボタン526と,が表示される。
【0042】
一覧表示部522には,ジョブを識別する情報と,選択された状態か否かを示す情報と,が関連付けて表示される。具体的に,ジョブを識別する情報は,一覧表示部522の「ジョブ」欄に,選択された状態か否かを示す情報は,一覧表示部522の「選択」欄に,それぞれ表示される。「ジョブ」欄に表示されるジョブを識別する情報には,例えば,ジョブID,送信元装置の識別情報,登録日,ページ数,データサイズ,が含まれる。「選択」欄では,ジョブが選択された状態の場合,選択された状態である旨を示す情報(
図4(B1)では「○」)が表示され,ジョブが選択されていない場合,選択された状態である旨を示す情報が表示されない。初期状態では,全ての蓄積印刷ジョブが選択されていない状態とする。また,一覧表示部522は,スクロール表示が可能である。そのため,プリンタ100は,一覧表示部522の左端のスクロールバーへのタッチ操作を検知することで,一覧表示部522に表示される蓄積ジョブを切り替える。
【0043】
また,プリンタ100は,一覧表示部522へのタッチ操作を検知すると,タッチ操作された領域に表示される蓄積ジョブの選択状態を切り替える。例えば,一覧表示部522のうちジョブAに関する情報を表示する領域がタッチされると,ジョブAの選択状態が切り替わる。選択状態には,選択された状態と選択されていない状態とがあるため,選択された状態であった場合には,選択されていない状態に切り替わり,選択されていない状態であった場合には,選択された状態に切り替わる。
【0044】
また,プリンタ100は,一覧表示部522において,部数が2以上に設定されている蓄積ジョブを強調表示する。強調表示の態様としては,例えば,該当する蓄積ジョブの情報を太文字で表示する,該当する蓄積ジョブの情報を表示する領域の背景色を変更する,該当する蓄積ジョブの「ジョブ」欄に所定のマークを表示する,該当する蓄積ジョブの「ジョブ」欄を点滅表示する,といった態様が可能である。一方,部数が1の蓄積ジョブや部数が設定されていない蓄積ジョブについては,そのような強調表示を行わない。すなわち,プリンタ100は,部数が2以上に設定されている蓄積ジョブと,それ以外の蓄積ジョブと,を区別して表示する。部数が2以上に設定されている蓄積ジョブは,後述する部数の一括変更の対象とならない。そのため,そのような蓄積ジョブを他の蓄積ジョブと区別して表示することによって,ユーザにとって蓄積ジョブが選択し易くなり得る。
【0045】
切替ボタン523が押下されると,プリンタ100は,一覧表示部522に表示される表示対象を切り替える。プリンタ100は,
図4(B1)に示すように,ログインユーザに関連付けられた全ての蓄積ジョブを表示する第1モードと,
図4(B2)に示すように,ログインユーザに関連付けられた蓄積ジョブのうち部数が1の蓄積ジョブあるいは部数が設定されていない蓄積ジョブを抽出して表示する第2モードと,を有し,切替ボタン523の押下を契機に,モードを切り替える。初期状態は,第1モードとする。
【0046】
例えば,ログインユーザに関連付けられた蓄積ジョブとして,ジョブA,B,C,D,E,Fがあり,そのうちジョブA,C,D,Fが,部数が1の蓄積ジョブあるいは部数が設定されていない蓄積ジョブであった場合,第1モードでは,
図4(B1)に示すように,ジョブB,Eを含む全てのジョブを一覧表示部522に表示する。なお,
図4(B1)にはジョブFが表示されていないが,スクロールすることによってジョブFも表示可能である。一方,第2モードでは,
図4(B2)に示すように,ジョブA,C,D,Fのみを一覧表示部522に表示する。一覧表示部522での表示対象を,後述する部数の一括変更の対象となる蓄積ジョブに限定することによっても,ユーザにとって蓄積ジョブが選択し易くなり得る。
【0047】
また,印刷ボタン524が押下されると,プリンタ100は選択された状態の蓄積ジョブを順次に読み出し,読み出された蓄積ジョブに基づく印刷を印刷部10に行わせる。ログアウトボタン526が押下されると,プリンタ100はログアウトを行う。
【0048】
[プリンタ100の制御]
続いて,上述した蓄積印刷機能を実現するプリンタ100の動作について説明する。
【0049】
[ジョブ管理処理]
始めに,プリンタ100によるジョブ管理処理の手順を,
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。ジョブ管理処理は,個々の印刷ジョブを管理する処理であって,印刷ジョブをネットワークインターフェース36を介して外部装置から受信したことを契機に,CPU31によって実行される。
【0050】
ジョブ管理処理では,CPU31は先ず,受信した印刷ジョブが蓄積ジョブか否かを判断する(S101)。蓄積ジョブか否かの情報は,例えば印刷ジョブのヘッダ情報に含まれており,CPU31は印刷ジョブのヘッダ情報を解析することで,蓄積ジョブか否かを判断する。また,プリンタ100が蓄積印刷機能を有効にするか否かの設定を記憶している場合,CPU31はその設定内容によって蓄積ジョブか否かを判断してもよい。
【0051】
受信した印刷ジョブが蓄積ジョブであった場合(S101:YES),CPU31は,受信した蓄積ジョブをRAM33に記憶させる(S111)。CPU31は,前述したように,蓄積ジョブを,ユーザ情報と関連付けて記憶させる。S101は,記憶処理の一例である。S111の後,CPU31は,受信した印刷ジョブを実行することなく,ジョブ管理処理を終了する。
【0052】
一方,受信した印刷ジョブが蓄積ジョブでなかった場合(S101:NO),CPU31は,受信した印刷ジョブの印刷を印刷部10に開始させる(S121)。すなわち,CPU31は,受信した印刷ジョブをジョブキューに登録し,ジョブ管理処理を終了する。
【0053】
[ログイン処理]
続いて,プリンタ100によるログイン処理の手順を,
図6のフローチャートを参照しつつ説明する。ログイン処理は,ログインおよび蓄積ジョブの印刷を行う処理であって,プリンタ100にログイン指示が入力されたことを契機に,CPU31によって実行される。なお,ログイン指示は,ログイン画面51(
図4(A)参照)でのログインボタン513の押下やICカードボタン514の押下によって入力される。
【0054】
ログイン処理では,CPU31は先ず,ログインを行うための認証情報を取得する(S131)。具体的にCPU31は,ログインボタン513の押下があった場合には,ログイン画面51の入力部512に入力されたユーザIDおよびパスワードを取得する。ICカードボタン514の押下があった場合には,ICカードリーダ37を用いて読み取った認証情報を取得する。
【0055】
S131の後,CPU31は,取得した認証情報を用いてユーザ認証を行う(S132)。CPU31は,ユーザ認証を,自装置に記憶する情報に基づいて行ってもよいし,外部装置である認証サーバ300に行わせてもよい。そして,CPU31は,ユーザ認証に成功したか否かを判断する(S133)。ユーザ認証に失敗した場合(S133:NO),CPU31はログイン処理を終了する。なお,ユーザ認証に失敗した場合,ユーザ認証に失敗した旨のメッセージをタッチパネル41に表示させ,再度,認証情報の入力を促してもよい。
【0056】
ユーザ認証に成功した場合(S133:YES),CPU31は,蓄積ジョブ一覧画面52(
図4(B)参照)をタッチパネル41に表示させる(S141)。蓄積ジョブ一覧画面52の一覧表示部522には,RAM33に記憶される蓄積ジョブのうちログインユーザに関連付けられた蓄積ジョブを一覧表示させる。
【0057】
S141の後,CPU31は,印刷指示が有ったか否かを判断する(S142)。印刷指示は,蓄積ジョブ一覧画面52の印刷ボタン524の押下によって入力される。印刷指示が無かった場合(S142:NO),CPU31は,ログアウト指示が有ったか否かを判断する(S143)。ログアウト指示は,蓄積ジョブ一覧画面52のログアウトボタン526の押下によって入力される。ログアウト指示が無かった場合(S143:NO),CPU31は,切替指示が有ったか否かを判断する(S144)。切替指示は,蓄積ジョブ一覧画面52の切替ボタン523の押下によって入力される。切替指示が無かった場合(S144:NO),CPU31は,選択指示が有ったか否かを判断する(S145)。選択指示は,一覧表示部522のうち各ジョブの情報が表示される領域へのタッチ操作によってジョブごとに入力される。選択指示が無かった場合(S145:NO),CPU31は,S142に戻り,これらの指示が入力されるのを待つ。
【0058】
印刷指示が有った場合(S142:YES),CPU31は,蓄積ジョブの印刷を行う蓄積ジョブ印刷処理を実行する(S152)。蓄積ジョブ印刷処理の詳細については後述する。S152の後,またはログアウト指示が有った場合(S143:YES),CPU31は,ログアウトを行い(S153),ログイン処理を終了する。なお,S152の後,ログインユーザに関連付けられた蓄積印刷ジョブがRAM33に残っている場合,S141に戻り,残りの蓄積ジョブを一覧表示部522に表示して,再度,印刷指示等の入力を待ってもよい。
【0059】
また,切替指示が有った場合(S144:YES),CPU31は,一覧表示部522の表示のモードを切り替える(S154)。すなわち,CPU31は,第1モードであれば第2モードに切り替え,第2モードであれば第1モードに切り替える。S154後,CPU31は,CPU31は,S142に戻り,印刷指示等が入力されるのを待つ。
【0060】
また,選択指示が有った場合(S145:YES),CPU31は,一覧表示部522に表示される蓄積ジョブのうち,タッチ操作があった領域に表示される蓄積ジョブの選択状態を変更する(S155)。すなわち,CPU31は,選択された状態であれば選択されていない状態に変更し,選択されていない状態であれば選択された状態に変更する。S155後,CPU31は,CPU31は,S142に戻り,印刷指示等が入力されるのを待つ。S155は,選択処理の一例である。
【0061】
なお,CPU31は,蓄積ジョブ一覧画面52の表示中,これらの指示以外の指示を受け付けてもよい。例えば,選択された状態の蓄積ジョブをRAM33から削除する削除指示を受け付けてもよい。この場合,蓄積ジョブ一覧画面52に,削除指示が入力されるボタンを表示するとよい。また,例えば,一覧表示部522に表示されている全ての蓄積ジョブを選択する一括選択指示を受け付けてもよい。この場合,蓄積ジョブ一覧画面52に,一括選択指示が入力されるボタンを表示するとよい。
【0062】
[蓄積ジョブ印刷処理]
続いて,ログイン処理中に実行されるS152の蓄積ジョブ印刷処理の手順を,
図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0063】
蓄積ジョブ印刷処理では,CPU31は先ず,選択された状態の蓄積ジョブをRAM33から読み出す(S171)。そして,CPU31は,読み出した各蓄積ジョブの部数の情報を取得する(S172)。さらに,CPU31は,S171にて読み出した蓄積ジョブの中に,部数が2以上に設定された蓄積ジョブが有るか否かを判断する(S173)。S173は,複数部数判断処理の一例である。
【0064】
部数が2以上に設定された蓄積ジョブが無い場合(S173:NO),選択された状態の蓄積ジョブの中に,送信元の装置でユーザによって部数が設定された蓄積ジョブが無いものと推測される。そこで,CPU31は,
図8に示すような,部数および排紙トレイの一括設定画面53を,タッチパネル41に表示させる(S181)。一括設定画面53には,部数の設定を促すメッセージ531と,部数を入力させる入力部532と,排紙トレイの設定を促すメッセージ533と,排紙トレイを選択させる選択部534と,一括設定の指示を入力させる設定ボタン535と,が表示される。
【0065】
なお,入力部532には,初期値として,「1」が表示される。部数の変更が必要ない利用者もいるため,部数の初期値を1とすることで,部数の入力の手間を省くことができる。また,選択部534には,初期値として,プリンタ100にデフォルト設定されている排紙トレイが表示される。排紙トレイの変更が必要ない利用者もいるため,デフォルト設定の排紙トレイを初期値とすることで,排紙トレイの入力の手間を省くことができる。
【0066】
S181の後,設定ボタン535が押下されると,CPU31は,選択された状態の全ての蓄積ジョブの部数を,入力部532に入力された部数に変更する(S182)。これにより,ユーザの1回の設定操作によって一括して部数が変更される。入力部532に部数が入力されていない場合には,初期値である「1」を入力値とする。
【0067】
また,CPU31は,選択された状態の全ての蓄積ジョブの排紙トレイを,選択部534で選択された排紙トレイに変更する(S183)。これにより,部数と同様に,ユーザの1回の設定操作によって一括して排紙トレイが変更される。部数を一括変更する場合には,排紙トレイも併せて設定する必要性が高いため,排紙トレイの設定も受け付けることで,利便性が向上し得る。S182は,一括変更処理の一例である。なお,S182とS183の順序は逆順であってもよい。
【0068】
一方,部数が2以上に設定された蓄積ジョブが有る場合(S173:YES),選択された状態の蓄積ジョブの中に,送信元の装置でユーザによって部数が設定された蓄積ジョブ,すなわち部数の設定の重要度が高い蓄積ジョブが有るものと推測される。そこで,CPU31は,
図9に示すような,部数の変更の確認画面54を,タッチパネル41に表示させる(S174)。確認画面54には,部数の変更の可否を確認するメッセージ541と,変更の許可を入力させる許可ボタン542と,変更の不許可を入力させる不許可ボタン543と,が表示される。S174は,指示受付処理の一例である。
【0069】
S174の後,CPU31は,部数の変更の許可が有ったか否かを判断する(S175)。部数の変更の許可が有った場合(S175:YES),すなわち許可ボタン542が押下された場合,CPU31は,選択された状態の蓄積ジョブであって部数の個別設定が完了していない蓄積ジョブの1つを抽出する(S191)。
【0070】
S191の後,CPU31は,
図10に示すような,部数の個別設定画面55を,タッチパネル41に表示させる(S192)。個別設定画面55には,抽出された蓄積ジョブについての部数の設定を促すメッセージ551と,部数を入力させる入力部552と,部数を設定する指示を入力させる設定ボタン553と,が表示される。なお,入力部532には,初期値として,抽出された蓄積ジョブに設定されている部数が表示される。抽出された蓄積ジョブに部数が設定されていない場合には,「1」が表示される。部数の変更が必要ない利用者もいるため,部数の初期値を現状の設定値とすることで,部数の入力の手間を省くことができる。
【0071】
S192の後,設定ボタン553が押下されると,CPU31は,S191にて抽出された蓄積ジョブの部数を,入力部552に入力された部数に変更する(S193)。S193は,個別変更処理の一例である。これにより,蓄積ジョブごとに部数が変更される。入力部552に部数が入力されていない場合には,現状の部数の設定値を入力値とする。
【0072】
S193の後,CPU31は,選択された状態の全ての蓄積ジョブについて部数の個別設定が完了したか否かを判断する(S194)。部数の個別設定が完了していない蓄積ジョブが有る場合(S194:NO),CPU31は,S191に戻り,部数の個別設定が完了していない蓄積ジョブの1つを抽出し,部数の個別設定を行う。
【0073】
一方,部数の変更の許可が無かった場合(S175:NO),すなわち不許可ボタン543が押下された場合,CPU31は,S191からS194までの部数の設定の処理を回避する。部数が2以上に設定された蓄積ジョブが有る場合,その部数がユーザによって設定された可能性が高く,部数の変更の必要性が低い傾向にある。そのため,部数の変更の要否を受け付け,部数の変更が不要であれば,個別の部数の変更を回避することで,個別設定に伴う設定操作の手間を省くことができる。
【0074】
S183の後,または選択された状態の全ての蓄積ジョブについて部数の個別設定が完了した場合(S194:YES),または部数の変更の許可が無かった場合(S175:NO),CPU31は,選択された状態の全ての蓄積ジョブについて順次に印刷を開始する(S201)。S201は,画像形成処理の一例である。
【0075】
なお,本形態の蓄積ジョブ印刷処理では,S173において,選択された状態の複数の蓄積ジョブに部数が2以上に設定された蓄積ジョブが無いことを,部数の一括変更を行うための判断条件としているが,判断条件はこれに限るものではない。例えば,選択された状態の複数の蓄積ジョブの全てで部数の設定が同じ場合,その部数が送信元の装置でユーザによって部数が設定され,同じ部数であることが重要であるものと推定される。そのため,選択された状態の複数の蓄積ジョブの全てで部数の設定が同じであることを,部数の一括変更を行うための判断条件としてもよい。
【0076】
以上詳細に説明したようプリンタ100は,RAM33に記憶されている蓄積ジョブのうち,複数の蓄積ジョブが選択された場合に,その選択された全ての蓄積ジョブについて,部数の設定が2以上に設定された蓄積ジョブが無いこと(あるいは同じ部数であること)を条件として,一括設定画面53を表示し,1回の設定操作によって一括して部数を変更する。これにより,複数の蓄積ジョブについて個々の部数設定の操作の手間を省くことができる。一方,部数の設定が2以上に設定された蓄積ジョブがある(あるいは互いに部数が異なる)場合については,その指定された部数での印刷が望まれている可能性が高く,部数が一括して変更されると,再度,元の部数に設定し直す手間が発生してしまうことがある。そのため,個別設定画面55を表示して各ジョブの部数を個別に変更する。これにより,ジョブの部数の変更の操作性が向上する。
【0077】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,印刷機能を備えるものであればよく,読取機能やファクシミリ通信機能等,他の機能を備えていてもよい。すなわち,画像形成装置は,コピー機,ファクシミリ装置,複合機であってもよい。
【0078】
また,実施の形態では,プリンタ100のRAM33に蓄積ジョブを記憶しているが,NVRAM34であってもよい。また,外部装置が蓄積ジョブを記憶し,当該蓄積ジョブの印刷条件を満たした場合に,プリンタ100が当該外部装置から当該蓄積ジョブを読み出して印刷を行ってもよい。
【0079】
また,実施の形態では,蓄積ジョブにユーザ情報が含まれ,蓄積ジョブとユーザ情報とが関連付けられているが,蓄積ジョブにユーザ情報を含めなくてもよい。すなわち,蓄積ジョブの実行に,ログインないしユーザ認証を必須としなくてもよい。この場合,RAM33に記憶される蓄積ジョブを全て選択対象とし,蓄積ジョブ一覧画面52における第1モードでの表示には,RAM33に記憶される蓄積ジョブを全て表示すればよい。
【0080】
また,実施の形態では,複数の蓄積ジョブの部数を一括して設定する際に,排紙トレイも合わせて設定可能としているが,排紙トレイの設定は無くてもよい。あるいは,部数を一括して設定する際,排紙トレイの設定を行うか否かの指示を入力可能とし,排紙トレイの設定を行う指示が入力された場合に,排紙トレイの設定を可能にする構成であってもよい。
【0081】
また,実施の形態では,部数が2以上に設定された蓄積ジョブが有る場合,部数の変更の確認画面54を表示し,部数の変更の許可が無かった場合,部数の個別変更を回避しているが,確認画面54を表示せず,必ず部数の個別変更を行う構成としてもよい。但し,部数の個別設定が不要なユーザにとっては個別変更の操作が手間になるため,部数の個別変更の確認を受け付ける方が好ましい。
【0082】
また,実施の形態では,蓄積ジョブ一覧画面52において,部数が2以上に設定されている蓄積ジョブを強調表示し,それ以外の蓄積ジョブと区別して表示しているが,強調表示をしなくてもよい。また,実施の形態では,蓄積ジョブ一覧画面52において,部数が1の蓄積ジョブあるいは部数が設定されていない蓄積ジョブを抽出して表示する第2モードを有しているが,第2モードを有していなくてもよい。但し,このような表示態様を可能にすることで,ユーザにとって蓄積ジョブが選択し易くなり得る。
【0083】
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。