(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記構造用接着剤の塊は、前記部分的に硬化された状態にある間は、硬化された前記構造用接着剤の表皮、及び依然として前記湿潤状態である前記構造用接着剤のコアを含む請求項1に記載の方法。
前記導電性接着剤の塊を前記撓み部材に堆積させた後で、前記構造用接着剤の塊は、前記撓み部材と前記マイクロアクチュエータとの間に完全に収容される請求項1に記載の方法。
前記第1の面は、前記マイクロアクチュエータの取り付け後では該マイクロアクチュエータの完全に下にあり、一方で前記第2の面は、前記マイクロアクチュエータの取り付け後では該マイクロアクチュエータの下にない請求項1に記載の方法。
前記構造用接着剤の塊を前記部分的な硬化させることがない場合、前記導電性接着剤の塊は、前記構造用接着剤の塊を変位させ、前記撓み部材の端子パッドを前記撓み部材の構造的な金属層に対して電気的に短絡させる請求項12に記載の方法。
前記第1の面は前記撓み部材の構造的な金属層であり、該構造的な金属層は第1の金属から形成され、前記第2の面は前記撓み部材のトレースに電気的に接続する端子パッドであり、該端子パッドは前記第1の金属とは異なる第2の金属から形成される請求項14に記載の撓み部材アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
複数の実施形態が開示されるが、本開示の範囲内にある更に他の実施形態が、例示的な実施形態を示し記載する以下の詳細な説明から当業者には明らかとなるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、事実上例示的なものとみなされ、限定的であるとみなされるべきではない。
【0011】
図1は、同一位置に配置されるか又はジンバルベースのデュアルステージアクチュエーション(DSA)構造部を有する撓み部材4を有するサスペンション2のロードビーム側の斜視図である。
図1に示すように、サスペンション2は、近位取り付け構造部としてベースプレート6を含む。サスペンション2は、ばね領域又はヒンジ領域12に沿ってベースプレート6に連結される剛性の領域又はビーム領域10を有するロードビーム8を含む。ロードビーム8はステンレス鋼から形成することができる。撓み部材4は、撓み部材4の遠位端にジンバル14を含む。DSA構造部16が、ロードビーム8の遠位端に隣接してジンバル14に位置付けられる。本明細書において用いられる場合、近位及び遠位は、サスペンション2の長手方向軸線に沿う相対的な方向を指す。例えば、ベースプレート6は、ロードビーム8の近位にある。軸の矢印(key )13が、
図1及び後続の図においてX軸、Y軸及びZ軸を示す。サスペンション2は、遠位方向及び近位方向にX軸に沿って概ね細長い。本明細書において用いられる場合、横方向は、Y軸に沿い、サスペンション2の長手方向軸線に直交する左右の方向を表す。撓み部材4を含むサスペンション2は、X軸及びY軸によって画定されるX−Y平面と概ね同一平面上にある。Z軸は、高さ並びに下及び上の向きを表す。
【0012】
図2は、サスペンション2の遠位端の撓み部材4側の詳細な斜視図である。
図2は、
図1に対してサスペンション2の反対側を示す。ヘッドスライダ18が、ロードビーム8とは反対側のサスペンション2においてジンバル14のタング20に取り付けられる。スライダ18は、タング20のスライダ取り付け領域に取り付けられる。スライダ取り付け部は、スライダ18(又はスライダ18が取着される構成要素)を、エポキシ等の接着剤等によって取着することができるタング20の表面である。スライダ18をジンバル14の異なる部分に取着することができることが理解されるであろう。
図2は、ジンバル14に取り付けられているマイクロアクチュエータ22を更に示している。
【0013】
撓み部材4は幾つかの層から構成される。撓み部材4はステンレス鋼層24を含む。ステンレス鋼層24は、撓み部材4への構造的な骨格として働くことができる。ステンレス鋼の代わりに、ステンレス鋼以外の金属を使用することができる。ステンレス鋼層24はばねアーム30を含むことができる。ステンレス鋼層24はタング20を含む。タング20をばねアーム30によって支持することができる。
図2に示すように、タング20はばねアーム30同士の間に位置付けられる。
【0014】
撓み部材4は絶縁回路層26を含む。絶縁回路層26をステンレス鋼層24に取着することができる。絶縁回路層26は、ステンレス鋼層24の平面に対して平行である平面として延びることができる。絶縁回路層26は、フライングリードセグメント等における種々の位置においてステンレス鋼層24から延びることができる。絶縁回路層26は、絶縁材料27(例えばポリイミド又は他の誘電体)の1つ又は複数の層によって絶縁される複数のトレース28を含むことができる。例えば、絶縁材料27の上部層及び底部層が、複数のトレース28を挟み、複数のトレース28を電気的に絶縁することができ、絶縁材料27の上部層及び底部層は、絶縁回路層26の上面及び底面を画定する。トレース28は、銅又は別の導電性材料から形成することができる。絶縁材料27はポリイミド又は別のポリマーであり得る。トレース28は、当該技術分野において既知であるように、ディスクドライブの制御回路部に近位に電気的に接続することができる。トレース28は、マイクロアクチュエータ22等の種々の構成要素に遠位に電気的に接続することができる。スライダ18は、サスペンション2に沿って読み書き信号を送信するようにトレース28のうちの1つ又は複数に電気的に接続することができる。
【0015】
図3は、DSA構造部16を強調するようにサスペンション2の部分が図から除かれた状態の、撓み部材4の遠位端のステンレス鋼側の斜視図である。DSA構造部16は、ロードビーム8(
図3には示されていない)とヘッドスライダ18との間で撓み部材4のジンバル14に取り付けられるマイクロアクチュエータ22を含む。マイクロアクチュエータ22に印加される電気的な駆動信号に応答して、マイクロアクチュエータ22は、タング20及びスライダ18を含むジンバル14の部分を、概ね横断方向のトラッキング軸線を中心に駆動する。
【0016】
図2に示すように、絶縁回路層26は、ステンレス鋼層24のばねアーム30の下のアーム29を含むことができる。アーム29は、タング20の対向する側方にあり得る。撓み部材4は端子パッド32を含む。より詳細には、端子パッド32は、絶縁回路層26のアーム29に取り付けることができる。端子パッド32は、金属(例えば銅)から形成され、絶縁回路層26の絶縁材料27を通して露出され、導電性接着剤34のそれぞれの塊へのアクセスを提供し、トレース28に電気的に接続させることができる。本明細書において更に示されるように、マイクロアクチュエータ22は、端子パッド32に少なくとも部分的に取り付けることができる。導電性接着剤34の塊は、マイクロアクチュエータ22のそれぞれの陽極及び陰極の端子に接続することができる。導電性接着剤34の塊は、撓み部材4上でマイクロアクチュエータ22を機械的に支持することができる。導電性接着剤34の塊は、他の選択肢の中でも、(例えば銀が充填された)導電性エポキシを含むことができる。導電性接着剤の1つの選択肢は、HENKEL(登録商標)ABLESTIK(登録商標)MA−2エポキシである。端子パッド32は通常、ステンレス鋼層24には電気的に接続されない。
【0017】
マイクロアクチュエータ22は、一対の構造用接着剤44の塊によって撓み部材4により支持される。構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22と撓み部材4との間に位置付けられ、マイクロアクチュエータ22及び撓み部材4に接触する。図示のように、構造用接着剤44の塊の対は、端子パッド32から横方向内方に位置決めすることができる。構造用接着剤の1つの選択肢は、HENKEL(商標)ABLESTIK(商標)20−35STエポキシである。
【0018】
図3では、マイクロアクチュエータ22は、トラッキング駆動信号がマイクロアクチュエータ22に印加されないニュートラルな非駆動状態にある。使用時に、第1の駆動信号が、トレース28及び導電性接着剤34の塊を介してマイクロアクチュエータ22の両端に印加される。(例えば第1の極性を有する)第1の駆動信号によって、マイクロアクチュエータ22の形状が変化する。より詳細には、マイクロアクチュエータ22の長さが(例えばY軸に沿って)概ね拡張する。マイクロアクチュエータ22の拡張によって、タング20、及びタング20に取り付けられているスライダ18が、回転軸線を中心に第1の方向に機械的に撓む。回転軸線はZ軸と概ね平行である。同じように、但し第1の駆動信号に対して逆の極性を有する第2の駆動信号の印加によって、マイクロアクチュエータ22が概ね収縮する。マイクロアクチュエータ22の収縮によって、タング20、及びタング20に取り付けられているスライダ18が回転軸線を中心に第2の方向に機械的に撓み、第2の方向は第1の方向とは反対である。マイクロアクチュエータ22の作動によるタング20の回転によって、スライダ取り付け部がトラッキング軸線を中心に回転し、これによりスライダ18がトラッキング軸線を中心に回転する。
【0019】
図4〜
図6は、細部を示すように種々の構成要素が取り外された状態の、撓み部材4の上面21の俯瞰図である。
図4は、撓み部材4に取り付けられたマイクロアクチュエータ22の俯瞰図である。
図4の俯瞰図は、ステンレス鋼層24のばねアーム30を示している。各ばねアーム30は、外側部分36、内側部分38、及び外側部分36を内側部分38に接続する遠位屈曲部40を含む。図示のように、外側部分36は、概ね近位−遠位軸線(X軸)に沿って延び、ばねアーム30は、ばねアーム30が内側部分38に180°回転するように、遠位屈曲部40において内方に湾曲する。内側部分38は、近位−遠位軸線(X軸)に沿って延びるように配向することもできる。なお、内側部分38は外側部分36の横方向内側にある。ステンレス鋼層24は、ばねアーム30の内側部分38から内方に延びる支柱42を含み、タング20を構造的に支持する。支柱42は、タング20に直接的に接続するステンレス鋼層24の唯一の部分であってもよい。
【0020】
絶縁回路層26は、ステンレス鋼層24のばねアーム30の下のアーム29を含むことができる。アーム29は、タング20の対向する側方にあり得る。絶縁回路層26のアーム29は支柱セクション25を含むことができる。支柱セクション25は、内方に延び、絶縁回路層26のタング部分37に接続する。支柱セクション25は、Y軸に対して平行に、ステンレス鋼層24の支柱42の下に延びる。絶縁回路層26のタング部分37はタング20の下にある。
【0021】
端子パッド32は、絶縁回路層26のアーム29にそれぞれ取り付けられる。各端子パッド32は、
図4の俯瞰図において上方に面するパッド面46を含む。
図4の俯瞰図は、構造用接着剤44の塊のそれぞれが、マイクロアクチュエータ22の(X軸に沿う)全幅を延びることができることを示している。例えば、構造用接着剤44の塊の遠位縁及び近位縁は、マイクロアクチュエータ22の遠位縁及び近位縁をそれぞれ越えて遠位及び近位に延びる。代替的には、構造用接着剤44の塊の遠位縁及び近位縁と、マイクロアクチュエータ22の遠位縁及び近位縁とをそれぞれ位置合わせすることができる。
【0022】
マイクロアクチュエータ22は、
図5の俯瞰図では、
図4に比して取り外されている。
図5の俯瞰図は、導電性接着剤34の塊が端子パッド32上、詳細にはパッド面46上に全体的に含まれることを示している。
図5の俯瞰図は、構造用接着剤44の塊が、端子パッド32からばねアーム30の内側部分38までそれぞれ横方向に延びることができることを示している。代替的には、構造用接着剤44の各塊は、端子パッド32から絶縁回路層26の絶縁面48(
図6に関連して更に説明すると、端子パッド32とばねアーム30の内側部分38との間に位置付けられる絶縁面48)までしか横方向に延びず、内側部分38までは延びなくてもよい。別の実施形態では、構造用接着剤44の各塊は、ばねアーム30の内側部分38及び絶縁面48の少なくとも一方に配置され、端子パッド32には配置されなくてもよい。
【0023】
図6は、導電性接着剤34の塊及び構造用接着剤44の塊が取り除かれた状態の撓み部材4の俯瞰図を示している。絶縁回路層26のフットプリントは、ステンレス鋼層24のフットプリントに概ね対応することができるが、
図6に示すように、それらのそれぞれのフットプリントには幾らかの違いが存在する。
【0024】
図6の俯瞰図は、端子パッド32が概ね長円形状であることを示している。端子パッド32は、X軸に沿う向きの矩形等の他の形状の形態であってもよい。端子パッド32は、撓み部材4の対向する側方(例えば左及び右)にある。端子パッド32はともに、撓み部材4に沿って同じ長手方向(例えばX軸に沿う)位置に位置付けられる。端子パッド32は、ステンレス鋼層24には接触しないようにすることができ、特にステンレス鋼層24から電気的に隔離することができる。(例えばパッド面46の下の)各端子パッド32のベース部分を、第1の金属から形成することができ、一方でパッド面46は第2の金属から形成することができる。第1の金属は銅又はステンレス鋼であり得る。第2の金属は金であり得る。第2の金属は、パッド面46を形成するときに、ベースの第1の金属にめっきすることができる。
【0025】
撓み部材4の各側方には、端子パッド32とばねアーム30の内側部分38との間に隙間が存在する。隙間は、絶縁面48によって少なくとも部分的に画定される。絶縁面48は絶縁回路層26の一部であり、絶縁材料27から形成される。この隙間は、端子パッド32(及び関連する電気回路)を、電気的な接地として機能し得るステンレス鋼層24から電気的に分離することができる。
【0026】
図7〜
図10は、撓み部材4を形成する組み付けステップを示している。詳細には、
図7〜
図10は、
図6の線AAに沿う断面図の観点からの順次の組み付けステップを示している。線AAに沿う断面図は、撓み部材4の一方の側方(例えば左側)を示しており、マイクロアクチュエータ22の両側を取り付けるように、示されている側において行われるステップと鏡像のように、同一のステップを撓み部材4の他方の側方(例えば右側)において同時に行うことができることが理解されるであろう。
【0027】
図7では、撓み部材4は、絶縁回路層26に連結されるステンレス鋼層24のみを含むものとして示されている。
図7は、ステンレス鋼層24におけるばねアーム30の外側部分36及び内側部分38、並びにタング20を示している。撓み部材4の上面21及び底面23が
図7に示されている。絶縁回路層26はトレース28及び絶縁材料27から形成される。絶縁材料27は、他の選択肢の中でもポリアミド等の絶縁性ポリマーであり得る。2つのトレース28が
図7に示されているが、任意の数のトレース(例えば、1つ、3つ、4つ、又はそれ以上)を、絶縁材料27内に埋め込むことができることが理解され得る。トレース28は代替的には、絶縁材料27の表面に沿って延びることができる。(左側の)一方のトレース28は、端子パッド32に接触し、一方のトレース28と端子パッド32との間に電気的接続部を形成する。
図7に示すように、一方のトレース28は端子パッド32の底面に接触し、端子パッド32の底面は絶縁回路層26の上面に面して接触する。
【0028】
図8は、構造用接着剤44の塊が後の組み付けステップにおいて撓み部材4の上面21に堆積されている以外は、
図7と同じ断面図を示している。構造用接着剤44の塊は好ましくは導電性ではない。構造用接着剤44の塊は、種々のタイプのエポキシ等の高分子電気絶縁体であり得る。構造用接着剤44の塊は、従来の接着剤ディスペンサのノズルから吐出することができる。
図8に示すように、構造用接着剤44の塊は端子パッド32上にある。特に、構造用接着剤44の塊はパッド面46に接触する。構造用接着剤44の塊は更に絶縁回路層26上にある。特に、構造用接着剤44の塊は絶縁面48に接触する。構造用接着剤44の塊はステンレス鋼層24上にもある。特に、構造用接着剤44の塊はばねアーム30の内側部分38上にある。構造用接着剤44の塊は、ばねアーム30の内側部分38の金属面50に接触する。付加的な構造用接着剤44の塊を、撓み部材4の他方の側面に同じ方法で吐出し得ることが理解されるであろう。
【0029】
構造用接着剤44の塊は湿潤状態で塗布される。本明細書において用いられる場合、湿潤状態は、全体的に又はほぼ全体的に硬化していない接着剤を指す。湿潤状態の接着剤は固化していないものとすることができる。湿潤状態の接着剤は表面に沿って流れることができる。湿潤状態の接着剤は、(例えば毛細管現象に起因して)表面に沿って逃げることができる。湿潤状態の接着剤は、容易に塗り付けるか又はにじませることが可能であり、湿潤状態の接着剤は脆性破壊が可能ではない。幾つかの実施形態では、最近では湿潤状態の接着剤が吐出されており、硬化エネルギ(例えば指向性又は強力なエネルギ)は接着剤に適用されていない。
【0030】
図9は、マイクロアクチュエータ22が撓み部材4に取り付けられていることを除いて、
図8と同じ断面図を示している。マイクロアクチュエータ22の左側が
図9に示されており、マイクロアクチュエータ22の右側は、撓み部材4の右側において端子パッド32にわたって撓み部材4の右側に同じように取り付けられ得ることが理解されるであろう。図示のように、マイクロアクチュエータ22の底面70は、構造用接着剤44の塊(例えば、構造用接着剤44の塊の上面)に接触する。依然として湿潤状態である構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22の底面70に一致する。構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22の重量に応じて変形し、横方向に広がることができる。しかし、構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22を支えるのに十分な粘度であって、マイクロアクチュエータ22の底部がパッド面46、金属面50及びステンレス鋼層24の少なくとも一方に接触しないようにマイクロアクチュエータ22の重量によって構造用接着剤44が完全に押し出されることを防止するのに十分な粘度を有することができる。
図9に示すように、マイクロアクチュエータ22の側端及び構造用接着剤44の塊は位置合わせされるが、幾つかの他の実施形態では、構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22の端を越えて横方向に延びていてもよく、又は構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22が構造用接着剤44を越えて横方向に延びるように、マイクロアクチュエータ22の下でへこんでいてもよい。
【0031】
マイクロアクチュエータ22は、構造用接着剤44の塊が湿潤状態にある間に構造用接着剤44の塊に取り付けられる。マイクロアクチュエータ22の取り付け後に、部分的な硬化ステップを行う。部分的な硬化ステップは、集束していたり強力であったりする硬化エネルギの短い印加を含むことができる。硬化エネルギは、加熱された空気(例えば、加熱された空気を吹き付けるノズルからの加熱された空気、又は箱形炉若しくはコンベヤ炉等の炉内にアセンブリを入れることによる加熱された空気)の印加、又は他の選択肢の中でも、放射(例えば赤外線)の印加を含むことができる。1つの例では、構造用接着剤44の塊は、セ氏150度まで加熱された空気に2秒間暴露することによって部分的に硬化させることができる。別の選択肢では、構造用接着剤44の塊は、セ氏130度まで加熱された空気に32秒間暴露することによって部分的に硬化させることができる。本明細書において用いられる場合、「部分的に硬化」とは、硬化エネルギへの暴露によって、もはや完全な湿潤状態ではないが、暴露後に依然として完全には硬化されていない、接着剤の塊の状態を指す。
【0032】
部分的な硬化ステップは、構造用接着剤44の塊を部分的に硬化させるか又は少なくとも部分的に固化させるが、構造用接着剤44の塊の実質的な部分を未硬化のままにする。部分的な硬化ステップの目的は、構造用接着剤44の塊の大部分を未硬化のままにしながら、構造用接着剤44のその位置を維持することである。部分的な硬化ステップは、本明細書において更に説明する幾つかの利点を有する。
【0033】
幾つかの実施形態では、部分的な硬化ステップは、構造用接着剤44の塊の薄い表面層しか硬化させない。例えば、部分的な硬化ステップは、湿潤状態の構造用接着剤44よりも高い粘度を有し、表皮内に残りの湿潤状態の構造用接着剤44の塊を含み得る構造用接着剤44の塊上の表皮層を形成することができる。幾つかの場合、部分的な硬化ステップは、構造用接着剤44の塊の5%(質量又は体積)未満を硬化させることができる。部分的な硬化ステップは、構造用接着剤44の塊を完全に硬化させるのに必要な最小限の量のエネルギよりも実質的に少ないエネルギの印加を含むことができる。
【0034】
なお、部分的な硬化ステップは、構造用接着剤44の塊が撓み部材4とマイクロアクチュエータ22との間にある間に行われ、硬化エネルギは、マイクロアクチュエータ22、及び部分的に組み付けられた撓み部材4の全体に印加することができる。例えば、部分的に組み付けられた撓み部材4を、コンベヤ炉を通して送ることができ、部分的な硬化ステップは、部分的に組み付けられた撓み部材4がコンベヤ炉を出ると完了する。
【0035】
図10は、
図9と同じであるが、導電性接着剤34の塊を塗布した後の断面図を示している。導電性接着剤34の塊は、部分的な硬化ステップを行った後で堆積され、したがって、導電性接着剤34の塊は、部分的な硬化手順の硬化エネルギに晒されない。
図10に示すように、導電性接着剤34の塊は、端子パッド32のパッド面46に堆積される。導電性接着剤34の塊はまた、マイクロアクチュエータ22の端子72に接触して堆積される。導電性接着剤34の塊は、端子パッド32と端子72との間に電気的接続を確立し、それによって、マイクロアクチュエータ22をトレース28に電気的に接続する。理解されるように、撓み部材4の対向する側方において別の導電性接着剤34の塊との同様の電気的接続がなされ、マイクロアクチュエータ22の第2の端子とトレース28又はステンレス鋼層24(接地として)との間に第2の電気的接続を確立し、マイクロアクチュエータ22の端子にわたって信号を印加することを可能にし、マイクロアクチュエータ22を電気的に活性化してマイクロアクチュエータ22を拡張又は収縮させる。
【0036】
双方の導電性接着剤34の塊の塗布後に、完全な硬化ステップを行うことができる。この完全な硬化ステップでは、十分な硬化エネルギが導電性接着剤34の塊及び部分的に硬化した構造用接着剤44の塊に印加され、全ての接着剤を完全に硬化させる。例えば、構造用接着剤44の各塊の硬化は、塊が全体的に硬化され、湿潤状態又は部分的に硬化した構造用接着剤44が残らないように完成される。構造用接着剤44の塊は、完全に硬化すると、マイクロアクチュエータ22を撓み部材4に結合させる。導電性接着剤34の各塊の硬化は、塊が全体的に硬化され、湿潤状態又は部分的に硬化した導電性接着剤34が残らないように、この単一のステップで開始及び完了する。撓み部材4全体を、導電性接着剤34の塊及び構造用接着剤44の塊のそれぞれを完全に硬化させるように計算される持続時間にわたって、高温の炉内に入れておくことができる。代替的には、導電性接着剤34の塊及び構造用接着剤44の塊は、導電性接着剤34の塊及び構造用接着剤44の塊を硬化させるのに十分な量の強力なエネルギを提供するように硬化放射源(例えば紫外線ランプ)に暴露することができる。なお、完全な硬化ステップとは別個のプロセスにおいて導電性接着剤34の塊を部分的に硬化させないことが望ましい。導電性接着剤34の接合部は、初期硬化ステップによって接着剤を部分的にしか硬化させない複数の硬化ステップの代わりに、1つの完全な硬化ステップに供されると、それらの最も高い歩留りを有することができる。したがって、導電性接着剤34の塊を硬化させる完全な硬化ステップは、接着剤が完全に硬化すると計算される時点まで連続的であり、中断されず、好ましくは、完全な硬化を達成するのに必要な程度よりも長くはない。本明細書において用いられる場合、「完全に硬化される」とは、硬化エネルギへの暴露によって、塊の体積全体が本質的に完全に硬化される接着剤の塊の状態を指す。完全に硬化された接着剤の塊の硬化エネルギへの更なる暴露は、塊の機械的特性を知覚的には改善しない。
【0037】
硬化前に、導電性接着剤34の各塊は湿潤状態で塗布される。導電性接着剤34の塊は、
図11に関連して本明細書において更に説明するように、マイクロアクチュエータ22の底面70と撓み部材4の上面21(詳細には、パッド面46、絶縁面48及び金属面50)との間の狭いスペース内に逃げるという本来の傾向を有する。
図10に示すように、構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22の下へ湿潤状態の導電性接着剤34の塊が浸透することを防止又は制限するバリアを形成している。部分的な硬化ステップ、並びに構造用接着剤44の塊の結果として生じる部分的な硬化及び剛性の増大に起因して、構造用接着剤44の塊は、導電性接着剤34の塊のそのような移動を防止又は制限するダムを形成する。したがって、構造用接着剤44の塊は、導電性接着剤34の塊と導電性素子(例えばステンレス鋼層24)との間の電気絶縁バリアとして機能することができる。
【0038】
図11は、構造用接着剤44が部分的な硬化ステップに供されなかった、
図10に示す例に対して代替的な例の断面図である。この例では、構造用接着剤44の塊の全体は、導電性接着剤34の塊の印加時は湿潤状態であった。構造用接着剤44の塊は湿潤状態では容易に移動可能であるため、湿潤状態の導電性接着剤34がより低い表面エネルギ状態を達成しやすいことによって、湿潤状態の導電性接着剤34がマイクロアクチュエータ22の底面70と撓み部材4の上面21(詳細には、パッド面46、絶縁面48及び金属面50)との間の狭いスペース間に逃げ、構造用接着剤44を変位させる。
図11に示すように、構造用接着剤44の塊は、導電性接着剤34の内方への移動によって横方向内方に(例えば金属面50にわたってさらに)押される。構造用接着剤44の塊の部分的な硬化は、湿潤状態の導電性接着剤34の塊によって構造用接着剤44の塊に加えられる機械的な力に抵抗するのに十分な程度に構造用接着剤44の塊の剛性を高める。
【0039】
マイクロアクチュエータ22の下への導電性接着剤34の浸透は、マイクロアクチュエータ22の下に導電性素子が存在するため、特に問題となり得る。例えば、
図11に示すように、導電性接着剤34の塊は、ばねアーム30の内側部分38においてステンレス鋼層24に接触している。これは、トレース28のうちの1つからステンレス鋼層24への電気的短絡を生じ、それによって、マイクロアクチュエータ22の端子72にわたって本来は生じる電位を、全体的に排除しないにしても実質的に低下させる。代替的なシナリオでは、導電性接着剤34は、記載した逃げる作用に起因してマイクロアクチュエータ22の下に引き込まれることでマイクロアクチュエータ22の端子72に接触しなくなるため、電気的短絡が他の箇所で生じるか否かにかかわらず、マイクロアクチュエータ22の端子72にわたって駆動信号を印加することができない。部分的に硬化された構造用接着剤44の塊によって形成されるダムはしたがって、必要とされる場所に導電性接着剤34を保ち(例えば、端子パッド32のパッド面46とマイクロアクチュエータ22の端子72との間のブリッジ)、導電性接着剤34が望ましくない場所に進むこと(例えば、ステンレス鋼層24に接触すること)を防止し、したがって、製造歩留りを高める。
【0040】
なお、
図10を再び参照すると、部分的に硬化された場合の、構造用接着剤44の塊によって形成されるダムは、マイクロアクチュエータ22と撓み部材4との間の横方向開口を完全に満たすことができる。より詳細には、構造用接着剤44の塊は、パッド面46からマイクロアクチュエータ22の底面70まで延びることができる。付加的に又は代替的に、マイクロアクチュエータ22の横方向縁からへこんだ位置において、構造用接着剤44の塊は、絶縁面48からマイクロアクチュエータ22の底面70まで延びることができる。少なくともこれらの方法で、構造用接着剤44の塊は、撓み部材4とマイクロアクチュエータ22との間の(例えばZ軸に沿う)垂直高さを占める。さらに、構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22の全幅及び導電性接着剤34の塊の少なくとも一方に沿って延びることができる。例えば、
図4のX軸に沿って測定すると、構造用接着剤44の塊は、マイクロアクチュエータ22の近位及び遠位の双方、及び導電性接着剤34の塊の近位及び遠位の双方の少なくとも一方に延びることができるか、又はマイクロアクチュエータ22の近位及び遠位の縁、及び導電性接着剤34の塊の近位及び遠位の縁の少なくとも一方まで延びることができる。したがって、導電性接着剤34の塊は、構造用接着剤44の塊によって形成される(例えば、Z−X軸によって形成される平面と平行な)壁に接触することができ、壁は、導電性接着剤34の塊の広がりと同等であるか又はそれよりも大きい広がりを有する。部分的に硬化された場合、構造用接着剤44の塊の壁のこうした広がりは、導電性接着剤34の塊が構造用接着剤44の塊の周りを通るスペースを与えない。
【0041】
図12は、サスペンションの構成要素を組み付けるステップを示すフロー図である。方法は、撓み部材を形成すること(91)を含む。撓み部材は、本明細書において示されている撓み部材4又は他の撓み部材であり得る。撓み部材は、部分的な組み付け状態にあり得る。撓み部材は、任意の既知の技法によって形成することができる。
【0042】
方法は、撓み部材に少なくとも1つの構造用接着剤の塊を堆積させること(92)を更に含む。構造用接着剤の塊は、1つ又は複数の位置に堆積させることができる。例えば、構造用接着剤の2つの異なる塊を、撓み部材の2つの異なる位置に堆積させることができる。少なくとも1つの構造用接着剤の塊は湿潤状態で堆積される(92)。
【0043】
方法は、少なくとも1つの湿潤状態の構造用接着剤の塊にマイクロアクチュエータを取り付けること(93)を更に含む。少なくとも1つの湿潤状態の構造用接着剤の塊は、マイクロアクチュエータが載る唯一の構成要素であり得る。幾つかの場合、マイクロアクチュエータは、少なくとも1つの構造用接着剤の塊の存在に起因して、ポリアミド、ステンレス鋼、及び撓み部材の他の層の少なくとも一方に接触しない。
【0044】
方法は、少なくとも1つの構造用接着剤の塊を部分的に硬化させること(94)を更に含む。なお、部分的に硬化させるステップ94は、少なくとも1つの構造用接着剤の塊を完全には硬化させない。好ましくは、部分的な硬化94は、塊が流れることを防止するために必要であるだけしか構造用接着剤の各塊を硬化させない。前述したように、部分的な硬化94のエネルギは、部分的に組み付けられた撓み部材を、炉又は他の加熱された空気、放射エネルギ、又は硬化プロセスを容易にするか若しくは加速させる他のタイプのエネルギ源に短く暴露することによって送達することができる。
【0045】
方法は、少なくとも1つの導電性接着剤の塊を撓み部材に堆積させること(95)を更に含む。少なくとも1つの導電性接着剤の塊を少なくとも1つの部分的に硬化した構造用接着剤の塊にそれぞれ接触させて配置することができる。導電性接着剤は、流れることが可能な湿潤状態で堆積される(95)。部分的に硬化された構造用接着剤の各塊は、湿潤状態の導電性接着剤の移動を阻止することができ、部分的に硬化された構造用接着剤はそれによってダムとして働く。幾つかの実施形態では、部分的に硬化された構造用接着剤は、マイクロアクチュエータと撓み部材との間の(少なくとも1つの導電性接着剤の塊が沿って逃げる)スペースへ少なくとも1つの導電性接着剤の塊が浸透することを制限するか又は防止することができる。
【0046】
方法は、構造用接着剤及び導電性接着剤の塊を完全に硬化させること(96)を更に含む。完全に硬化させるステップ96は、それぞれの塊を硬化させる高エネルギの連続的な印加であるものとすることができる。前述したように、完全な硬化96のエネルギは、部分的に組み付けられた撓み部材を、炉又は他の加熱された空気、放射エネルギ、又は硬化プロセスを容易にするか若しくは加速させる他のタイプのエネルギ源に連続的に中断することなく暴露することによって送達することができる。部分的な硬化94のステップに比して、完全な硬化96のステップは、硬化エネルギへのより長い暴露やより強力な暴露を含むことができる。
【0047】
なお、幾つかの理由から、導電性接着剤を撓み部材に配置する前に構造用接着剤を単に完全に硬化させるのではなく、導電性接着剤を撓み部材に配置する前に構造用接着剤を部分的に硬化させること(94)が望ましい。第1に、構造用接着剤を完全に硬化させるのに必要なエネルギは強力である可能性があり(例えば、通常の作業温度よりもはるかに高い熱を含む)、接合部及びマイクロアクチュエータの完全性を損なう可能性があるため、構造用接着剤及びマイクロアクチュエータの暴露を必要な硬化エネルギだけに制限することが望ましい。第2に、完全な硬化96のステップは、部分的な硬化94のステップよりも実質的に長い時間がかかるため、2回の完全な硬化サイクルが必要とされる場合、処理時間がより長くなる。
【0048】
本発明を、好ましい実施形態を参照して記載したが、当業者は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく形態及び細部に変更を加えることができることを認識するであろう。例えば、特定の同一位置に配置されるDSA構造部に関連して記載されているが、本明細書において記載されるマイクロアクチュエータ及び関連する特徴を、ベースプレート6又はロードビーム8に取り付けられるマイクロアクチュエータのように、他の同一位置に配置されるDSA構造部及び同一位置に配置されないDSA構造部の少なくとも一方を含む、他のDSA構造部と関連して用いることができる。