(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本発明に係る貯氷スイッチの取付構造は、金属製のビスや螺子などの締結部品を用いることなく貯氷スイッチを貯氷庫内に取り付ける、所謂「ビスレス構造」であるが、このようなビスレス構造の貯氷スイッチの取付構造自体は、特許文献1に開示されており公知である。
【0003】
特許文献1に記載の貯氷検知装置17は、貯氷庫11の上板16に形成された開口部28に貯氷庫11の内部から脱着自在に嵌着される検知板ベース18と、検知板ベース18に回動可能に取り付けられる検知板19と、検知板19の回動を検知するリードスイッチ20などで構成される。検知板ベース18には、一対の爪部22・23が上向きに突設されており、これら爪部22・23の先端が、開口部28の開口縁に係合されることで、検知装置17は貯氷庫11の上板16に取り付けられる。上板16には、開口部28に隣接して一対の凹状の指挿入部29・30が形成されており、これら指挿入部29・30のそれぞれに指を挿入して、爪部22・23を互いに近づく方向に撓み変形させることにより、爪部22・23の先端と開口部28の開口縁との間の係合を解除して、開口部28から検知板ベース18を取り外すことができる。
【0004】
以上のような構成からなる特許文献1に記載の貯氷検知装置17の取付構造によれば、ビスや螺子等の締結部品を一切用いることなく貯氷庫11の上板16の開口部28に脱着自在に嵌着することができるので、貯氷庫11の内部からの検知装置17の取り外しが容易となり、貯氷検知装置17の交換、修理、清掃等のメンテナンスも容易となる。ビスや螺子等の締結部材の貯氷庫11内への落下のおそれもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の取付構造では、貯氷庫11に至るシューターのような狭隘な空間に臨むように検知装置17を取り付ける際には、爪部22・23や指挿入部29・30へのアクセスが困難、或いは不可能となるために適用できない。また、特許文献1の取付構造では、上板16には、開口部28の外に、リードスイッチ20のリード線44を機械室に導くための貫通孔47が形成されており、上板16の上面の開口部28と貫通孔47との間には、リード線44を這わすための溝状のコネクタ通路48が刻設されているため、コネクタ通路48を通ってリードスイッチ20に至るリード線44の余裕長さは数センチ程度の略皆無であって、上板16から取り外した貯氷検知装置17を貯氷庫11側に大きく引き出すことができず、メンテナンス作業を作業効率良く進めることができず、この点にも不利がある。
【0007】
本発明は、以上のような従来の貯氷検知装置の取付構造の抱える問題を解決するためになされたものであり、狭隘な空間に臨むように検知装置を取り付ける場合であっても、簡単確実に検知装置を取り付けることが可能であり、しかも、検知装置の部品補修や交換などのメンテナンス作業をより作業効率良く行うことできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貯氷検知装置40を、貯氷空間S内を仕切る壁面Wに設置するための取付構造を対象とする。本発明における取付構造は、壁面Wの内外面を連通するように開設される装着窓41と、装着窓41を貫通するように固定されるホルダー47とを含む。ホルダー47は、装着窓41を塞ぐベース部67と、検知装置40を着脱可能に保持するための支持構造68と、ホルダー47を装着窓41の外面側の開口縁に形成された取付座49に着脱可能に固定保持するためのロック構造69とを一体に備える。検知装置40は、貯氷空間内の貯氷量によって変位する検知体51と、検知体51の姿勢状態を検知するセンサ本体52と、これら検知体51とセンサ本体52とを支持するハウジング50とからなり、センサ本体52には、該センサ本体52による検知信号を送出するためのリード線90が連結されている。ホルダー47のベース部67には、検知装置40から伸びるリード線90を、壁面Wの外面側に向かって導出するためのリードガイド部91が形成されている
。支持構造68に保持された検知装置40を、壁面Wの外面側から装着窓41を介して貯氷空間S内に差し込んだうえで、ロック構造69を取付座49に係合させることにより、ベース部67が装着窓41の開口縁に押し付けられるとともに、ホルダー47の全体が装着窓41に対して抜け外れ不能に固定保持され、取付座49とロック構造69との間の係合を解除することで、ホルダー47と共に検知装置40を装着窓41を介して壁面Wの外面側に抜き出すことができるように構成されてい
る。支持構造68が、ベース部67の内面から片持ち状に伸びる上下一対の腕壁71・72で構成されている。下腕壁72が、ベース部67の内面から内外方向に伸びる第1横腕壁74と、第1横腕壁74の遊端から下方に伸びる縦腕壁75と、縦腕壁75の遊端から内外方向に伸びる第2横腕壁76とを含む、段付き状に形成されている。検知装置40を構成するハウジング50の前後壁が、ホルダー47のベース部67と下腕壁72とに受け止められる段付き状に形成されている。そして、上下の腕壁71・72の遊端に、ハウジング50の上下端に係合する係止リブ73・78が設けられている。なお、本発明における貯氷空間Sとは、貯氷室5の内部空間のみならず、製氷ユニット6から貯氷室5に至る、シュート21の内部空間を含む氷片の案内空間をも含む概念である。
【0009】
壁面Wの外面側に位置する装着窓41の開口縁には、中央開口87を有する枠状のシール部材48が装着されている。リード線90は、ベース部67の盤面中央に設けられたリードガイド部91である通孔を介して、壁面Wの外面側に向かって導出されている。
【0010】
ロック構造69が、断面U字形の樋体状に形成されて、撓み変形可能な上下一対のロックアーム82・82を含む。各ロックアーム82・82の遊端に構成された係止爪83・83を、壁面Wの外面側の開口縁に形成された取付座49・49の装着溝62・62に係合させることにより、シール部材48の外面にベース部67の内面を押し付けて、装着窓41の開口縁とベース部67の周縁との間の隙間を封止することができるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明において、検知装置40を壁面に取り付ける際には、ホルダー47の支持構造68に検知装置40を保持させた状態で、壁面Wの外面側から装着窓41を介して貯氷空間S内に検知装置40を差し込み、さらにホルダー47のロック構造69を壁面側の取付座49に係合させることで、検知装置40とホルダー47とを装着窓41に対して抜け外れ不能に固定保持させることができる。また、取付座49とロック構造69との間の係合を解除し、ホルダー47と共に検知装置40を装着窓41を介して壁面Wの外面側に抜き出すことで、検知装置40を壁面Wから取り外すことができる。以上のように、本発明の取付構造によれば、作業者は壁面Wの外面側から検知装置40の取付作業、或いは検知装置40の取り外し作業を行うことができ、貯氷空間S側(壁面Wの内面側)から検知装置40の取付作業、或いは取り外し作業を行っていた従来形態(例えば特許文献1)とは異なり、貯氷空間S内での一切の作業を廃することができるので、検知装置40のメンテナンス作業を作業効率良く、より容易に進めることができる。
【0013】
詳しくは、本発明においては、ホルダー47を固定保持するための取付座49を壁面Wの外面側に設けたので、壁面Wの外面側からロック構造69にアクセスすることでホルダー47の取付作業、或いは取り外し作業を進めることができる。また、予めホルダー47の支持構造68に検知装置40を保持させてから、該検知装置40を壁面Wの外面側から装着窓41を介して貯氷空間S内に差し込んで、取付作業を進めることができるので、検知装置40のホルダー47に対する保持作業も含めて、全ての取付作業を壁面Wの外面側で行うことができる。また、取り外し作業時には、ホルダー47ごと装着窓41を介して壁面Wの外面側に検知装置40を抜き出すことができるので、検知装置40の交換作業などの全てのメンテナンス作業を、壁面Wの外面側で行うことができる。このように、本発明の取付構造によれば、検知装置40の壁面Wからの取り外し、検知装置40の交換、そして検知装置40の壁面Wへの取り付け、といった一連のメンテナンス作業の全てを壁面Wの外面側で行うことができるので、作業効率の格段の向上を図ることができる。また、以上のような本発明の作用効果は、検知装置40が設置される貯氷空間Sが貯氷室5に至るシュート21のような狭隘な空間である場合に、換言すれば、シュート21のような狭隘な貯氷空間Sを検知装置40の設置対象とする場合に特に有用となる。
【0014】
また、本発明では、ホルダー47のベース部67にリード線90を壁面Wの外面側に向かって導出するためのリードガイド部91を形成しており、このことはベース部67のリードガイド部91にガイドされるリード線90の余裕長さが、最低でも検知装置40およびホルダー47の装着窓41からの抜き出し作業時に支障が生じない程度に大きく設定されていることを意味している。以上より本発明によれば、壁面Wにリード線用の専用の貫通孔やコネクタ通路が形成されており、数センチ程度にリード線の余裕長さが決定されていた従来形態(例えば特許文献1)とは異なり、リード線の余裕長さを比較的大きくすることができるため、その分だけ検知装置40やホルダー47を装着窓41から大きく引き出すことができ、この点でもメンテナンス作業等を作業効率良く進めることが可能となる。また、貫通孔やコネクタ通路などへの配線の手間が不要であり、この点でもメンテナンス作業等を作業効率良く進めることができる。
【0015】
加えて、本発明によれば、貯氷空間S内での作業を廃することができるので、取付作業やメンテナンス作業時に庫内が汚染されるおそれが少なく、貯氷空間Sの洗浄などの余分な手間が不要となる利点がある。また、本発明によれば、ビスや螺子等の締結部品を一切用いることなく、検知装置40を壁面Wに着脱可能に取り付けることができるので、ビスや螺子等の締結部材の貯氷空間S内への落下のおそれがなく、当該取付構造が適用された製氷機の信頼性向上に貢献できる。
【0016】
壁面Wの外面側に位置する装着窓41の開口縁に、中央開口87を有する枠状のシール部材48が装着されていると、装着窓41とホルダー47のベース部67との間を封止して、装着窓41から壁面Wの外面側への氷漏れや水漏れを確実に防止できる。リードガイド部91をベース部67の盤面中央に設けられた通孔とし、当該通孔91を介して、リード線90を壁面Wの外面側に向かって導出すると、シール部材48を設けたことに伴ってリード線90の引き回しが複雑化することを抑えて、シンプルな構成でリード線90を壁面Wの外面側に引き出すことが可能となる。
【0017】
ロック構造69が、断面U字形の樋体状に形成されて、撓み変形可能な上下一対のロックアーム82・82を含むものとして、各ロックアーム82・82の遊端に構成された係止爪83・83を、壁面Wの外面側の開口縁に形成された取付座49・49の装着溝62・62に係合させることで、ホルダー47が取付座49・49に固定保持される構成を取ることができる。このようにロック構造69を、断面U字形の樋体状に形成されて、撓み変形可能な上下一対のロックアームを含むものとしていると、上下の係止爪83・83が近付く方向に両ロックアーム82・82を撓み変形させたうえで、取付座49・49の装着溝62・62に係止爪83・83を位置合わせし、両ロックアーム82・82の撓み変形状態を解除するだけで、両ロックアーム82・82の弾性力によりホルダー47を取付座49・49に固定保持することができる。また、逆の手順により、ホルダー47の固定保持状態から両ロックアーム82・82が近付く方向に撓み変形させるだけで、取付座49・49の装着溝62・62に対する係止爪83・83の係合状態を解除して、ホルダー47を取付座49・49から取り外すことができる。さらに、各ロックアーム82・82の遊端に構成された係止爪83・83を、壁面Wの外面側の開口縁に形成された取付座49・49の装着溝62・62に係合させることにより、シール部材48の外面にベース部67の内面を押し付けて、装着窓41の開口縁とベース部67の周縁との間の隙間を埋めることができるように構成すると、シール部材48による封止状態をより確実なものとして、装着窓41から壁面Wの外面側への氷漏れや水漏れをより確実に防止できる。
【0018】
本発明においては、支持構造68をベース部67の内面から片持ち状に伸びる上下一対の腕壁71・72で構成し、下腕壁72をベース部67の内面から内外方向に伸びる第1横腕壁74と、第1横腕壁74の遊端から下方に伸びる縦腕壁75と、縦腕壁75の遊端から内外方向に伸びる第2横腕壁76とを含む段付き状に形成し、検知装置40を構成するハウジング50の前後壁をホルダー47のベース部67と下腕壁72とに受け止められる段付き状に形成し、上下の腕壁71・72の遊端にハウジング50の上下端に係合する係止リブ73・78を設けた。これによれば、段付き状の下腕壁72に、ハウジング50の前後壁が受け止められること、および係止リブ73・78がハウジング50の上下端に係合することで、検知装置40が内外方向に位置ずれすることを確実に防ぐことができる。従って、検知装置40を長期にわたって安定した姿勢状態に維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例)
図1から
図6に、本発明に係る貯氷検知装置の取付構造を、オーガ式の製氷機の満氷検知装置の取付構造に適用した実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図1および
図5に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0021】
図2に示すようにオーガ式の製氷機は、四角箱状に形成された製氷機本体1と、該製氷機本体1を床面Fに支持する脚2とを備える。製氷機本体1は、周囲壁を断熱材で形成した箱体からなる貯氷ボックス3と、貯氷ボックス3の上方に設けられた機械室4とで構成される。貯氷ボックス3の内部は貯氷室5となっている。貯氷ボックス3は前面に開口を有し、該開口は揺動ドアで開閉できる。機械室4の内部には、氷を製造する製氷ユニット6が収容されており、機械室4の前面には、着脱可能な機械室パネルが装着されている。
【0022】
製氷ユニット6は、オーガユニット7と、凝縮器8と、図示しない圧縮機と、これらを接続する冷媒配管と、オーガユニット7に製氷水を供給する給水ユニット9などで構成される。機械室4内の左方に配されたオーガユニット7は、上端に氷送出部10を備える製氷筒11と、氷送出部10および製氷筒11を上下に貫通するように設けられたオーガ12と、氷送出部10から送出される柱状の氷を氷片とするアジテータ13などで構成される。オーガ12は、製氷筒11の内壁で氷結した氷膜を掻き取り、圧縮しつつ上側の氷送出部10に搬送する。オーガ12は、製氷筒11に隣接して配置したモーター14で回転駆動されており、モーター14の回転は、製氷筒11およびモーター14の下側に配置した減速機15で減速されてオーガ12に伝動される。
図2において、符号16は、凝縮器8用の送風機、符号17は、製氷機全体を制御する制御ボックスである。これら凝縮器8、送風機16、および制御ボックス17などは、機械室4内の右方に配されている。
【0023】
図2および
図4に示すように、オーガユニット7の氷送出部10と貯氷室5との間には、氷送出部10から送出された氷を貯氷室5に向かって移行案内する氷通路が設けられている。氷通路は、氷送出部10に固定されたスパウト20と、鉛直方向に延びるシュート21と、これらスパウト20とシュート21との間をつなぐガイド体22とで区画されている。
図4に示すように、スパウト20は、上開口23を備え、氷送出部10から排出されて、アジテータ13の回転により切り取られた氷片を受け止める有底筒状のカップ部24と、カップ部24の筒壁に設けた案内筒25とを一体に備えるプラスチック成形品からなる。ガイド体22は、案内筒25の下端に外嵌接続されて右下方向に下り傾斜する連結筒26と、シュート21の上端に連結されるフランジ27とを備えるプラスチック成形品からなる。シュート21は鉛直方向に延びる四角筒状のプラスチック成形品であり(
図5参照)、上端部がガイド体22に連通接続され、下端部が貯氷室5の上部に連通接続されている。シュート21は、機械室4の左右方向の略中央部に配されている。
【0024】
スパウト20には、氷通路における氷片の異常滞留を検知して、オーガユニット7による製氷を停止する通路保護構造が設けられている。シュート21には、貯氷室5内が満氷状態となり、氷片がシュート21内に至ったことを検知する満氷検知装置40(貯氷検知装置、以下、適宜に「検知装置」と記す。)が設けられている。
図4に示すように、通路保護構造は、上開口23を開閉するカップ蓋29と、カップ蓋29を閉じ付勢する圧縮ばね30と、カップ蓋29で切換え操作される停止スイッチ31などで構成される。カップ蓋29は、揺動することによりスパウト20の上開口23を開閉しており、常態においては、圧縮ばね30の付勢力により閉じ姿勢に保持されている。そして、スパウト20内に氷片が滞留するなどの異常状態に陥り、圧縮ばね30の付勢力に抗してカップ蓋29が揺動されると、停止スイッチ31がオンとなり、給水ユニット9から製氷筒11への製氷水の供給が遮断され製氷が停止されるようになっている。
【0025】
図5に示すように、シュート21は、鉛直方向に延びるストレート部34と、ストレート部34の下端に連設されて裾拡がりボックス状に拡形形成された貯溜部35と、貯溜部35の下端に連設されて氷放出口37を有する出口案内部36とを一体に備えたプラスチック成形品であり、貯溜部35に、後述の取付構造を介して満氷検知装置40が固定されている。シュート21を構成するストレート部34の左右および前後の側壁の対向間隔は等しく設定されており、その内形寸法は上下方向にわたって略均一に設定されている。貯溜部35の右側壁と前後側壁は、ストレート部のそれらよりも外方向に膨出するように形成されており、左側壁は、鉛直方向に延びるストレート面とされている。貯溜部35の前後側壁は、右辺が右下方に傾斜する裾拡がり状に形成されており、右側面の全体は四角形の装着窓41とされている。以上より、貯溜部35の内部には、前後および左右の側壁である壁面Wで区画された貯氷空間Sが形成されている。出口案内部36を構成する前後左右の側壁の対向間隔は等しく設定されており、その内形寸法は上下方向にわたって略均一に設定されている。
図3に示すように、出口案内部36は、機械室4の底壁42に設けられた通孔43に内嵌状に装着されており、機械室4側から通孔43内に出口案内部36を差し込んだ際に、貯溜部35との間に周方向に張り出し形成されたフランジ44が通孔43の開口縁に受け止められることで、シュート21の貯氷室5への脱落が規制されている。
図3において、符号45は、出口案内部36と通孔43との間に介在されて、両者36・43の間の封止を担うパッキンを示す。
【0026】
満氷検知装置40をシュート21に固定するための取付構造は、貯溜部35に設けられた装着窓41と、装着窓41を貫通する姿勢状態で固定されて検知装置40を支持するホルダー47と、装着窓41とホルダー47との間に設けられた四角枠状のシール部材48と、ホルダー47を貯溜部35に固定することを目的としてシュート21に設けられた取付座49とで構成される。
図1、
図5および
図6に示すように、検知装置40は、ハウジング50と、ハウジング50に対して揺動可能に装着された検知体51と、検知体51の姿勢状態を検知するための近接スイッチ(センサ本体)52などで構成される。ハウジング50は、貯溜部35の内方側(左側)に開口53を有する四角扁平容器状のケース体54(
図1参照)を基体とするプラスチック成形品であり、このケース体54の下端に近接スイッチ52が固定されている。
【0027】
図5に示すように、検知体51の前後壁面の上部のそれぞれには揺動軸56が突設されており、これら揺動軸56がケース体54の上部に設けられた揺動孔57で支持されることにより、検知体51は揺動軸56まわりに揺動可能に構成されている。検知体51は、ハウジング50から離間するオフ姿勢(
図1参照)と、ハウジング50に接近するオン姿勢(
図3参照)との間で揺動可能であり、常態においては圧縮ばね58により、オフ姿勢に付勢されている。
図1に示すように、圧縮ばね58は捩じりコイル形のばねであり、検知体51とハウジング50の夫々に設けられたボス59a・59bに外嵌装着されており、ハウジング50から離れる方向に検知体51を付勢している。ケース体54に臨む検知体51の裏面には、マグネット60が固定されており、このマグネット60がケース体54に近付くことで、近接スイッチ52がオンとなり、給水ユニット9から製氷筒11への製氷水の供給が遮断されて製氷が停止されるようになっている。符号61は、検知体51の下端に設けられたL字状の規制片であり、この規制片61がハウジング50の下端に係合することで、検知体51の揺動限界を規制している。
【0028】
取付構造を構成する取付座49は、シュート21の外面の装着窓41を挟む対向位置に形成された装着溝62で構成される。より詳しくは、
図1、
図5、および
図6に示すように、ストレート部34の右側壁の外側面と、出口案内部36の右側壁の外側面のそれぞれには、貯溜部35の装着窓41を挟むように取付壁63が膨出されており、各取付壁63の前後方向の中央には、装着窓41に向かうようにリブ64が片持ち状に延設されている。各右側壁と、これに向かい合うリブ64との間には、装着溝62となる間隙が形成されており(
図1、
図6参照)、これら装着溝62に、後述のロック構造69を構成する係止爪83が係止されることでホルダー47が固定されるようになっている。なお、本実施例では、下方側の取付壁63と、フランジ44とを一体に形成している。
【0029】
図5に示すように、ホルダー47は、四角板状のベース部67と、検知装置40を着脱可能に保持するための支持構造68と、ホルダー47を取付座49に着脱可能に固定保持するためのロック構造69とを一体に備えるプラスチック成形品である。ベース部67の外形寸法は、貯溜部35の装着窓41の開口寸法よりも大きく設定されており、ホルダー47の取付状態において、ベース部67によりシール部材48を介して装着窓41を封止することができるようになっている。
【0030】
図6に示すように、支持構造68は、ベース部67の内面(左面)から片持ち状に伸びて、検知装置40の上下端を係合保持する上下一対の腕壁71・72で構成される。上腕壁71は、ベース部67から斜め左上方に伸びており、その遊端には下向きの係止リブ73が設けられている。下腕壁72は、ベース部67の左面から左方向に伸びる第1横腕壁74と、第1横腕壁74の遊端から下方に伸びる縦腕壁75と、縦腕壁75の遊端からさらに左方向に伸びる第2横腕壁76とを含み、第1横腕壁74に形成された第1受面74aと、第2横腕壁76に形成された第2受面76aとを有する段付き状に形成されている。第2横腕壁76の遊端には、上向きの係止リブ78が設けられている。
【0031】
検知装置40のハウジング50の下方は、ホルダー47の下腕壁72の形状(段付き状)に対応する段付き状に形成されている。
図5および
図6に示すように、検知装置40のハウジング50の前後の縁部には、第1受面74aで受け止められる下端辺77aと、ベース部67で受け止められる傾斜辺77bとを備える略三角形状の脚壁77が突設されており、ケース体54と脚壁77とで規定されるハウジング50の下縁は、段付き状に形成されている。腕壁71・72を互いの対向間隔が広がる上下の方向に拡開変形させながら、左方から検知装置40を腕壁71・72の間に差し込むと、ケース体54の上端部が上腕壁71の係止リブ73で係止され、ケース体54の下端部が下腕壁72の係止リブ78で係止され、これにて検知装置40が支持構造68に保持される。このとき、ケース体54の下端部が第2横腕壁76の第2受面76aで受け止められるとともに、脚壁77の下端辺77aが第1横腕壁74の第1受面74aで受け止められ、脚壁77の傾斜辺77bがベース部67で受け止められる。以上より、先の係止リブ73・78による係止と相まって、検知装置40は支持構造68により抜け止め状に保持される。
図3、
図5および
図6において、符号79は、脚壁の前後の各外面に形成された補強用のリブを示す。
【0032】
図1および
図5に示すように、ベース部67の左側面の上下二ヶ所には、前後方向に走るように規制リブ80・80が突設されている。これら規制リブ80・80の前後の端面が、前後の脚壁77・77の対向内面に接触することで、保持状態における前後方向の検知装置40の遊動が規制される。
【0033】
ロック構造69は、ベース部67の上下端から連設された上下一対のロックアーム82・82と、各ロックアーム82・82の遊端に設けられて取付座49の装着溝62に係合する係止爪83・83とで構成される。
図6に示すように、各ロックアーム82・82は、ベース部67に連設された第1水平壁82aと、第1水平壁82aの遊端から上下方向に向かう反転壁82bと、反転壁82bに連設された第2水平壁82cと、第2水平壁82cの遊端から上下方向に折り返された係止壁82dとからなり、撓み変形可能な樋体状に形成されている。係止壁82dの前後方向の中央部には、前後一対の挟持壁84・84が形成されており、これら挟持壁84・84で取付座49のリブ64を挟持することで、ホルダー47の前後方向の遊動が規制されている。また、これら挟持壁84・84で挟まれた係止壁82dの中央部分が係止爪83となっている(
図5参照)。以上より、上下の係止爪83・83を、取付座49の装着溝62に係合させることにより、ホルダー47の全体をシュート21の装着窓41に対して抜け外れ不能に固定保持することができる。また、上下の係止爪83と取付座49との間の係合を解除することで、ホルダー47をシュート21の装着窓41から取り外すことができる。
【0034】
図5および
図6に示すように、ホルダー47のベース部67と装着窓41との間を封止するシール部材48は、中央開口87を有する四角枠状に形成されたシリコンゴムなどを素材とする成形品である。シール部材48の四周壁には、シュート21の装着窓41の開口縁を受け入れる装着溝88が設けられており、当該装着溝88内に装着窓41の開口縁を侵入させることで、シール部材48をシュート21に仮止め状に装着することができる。この状態から、先のロック構造69を使ってホルダー47をシュート21に固定保持させることで、シール部材48の外面にベース部67の内面(左面)を押し付けて、装着窓41の開口縁とベース部67との間の隙間を封止することができる。
【0035】
近接スイッチ52による検知信号は、該センサ52から伸びるリード線90を介して制御ボックス17に送られるようになっており、ホルダー47のベース部67には、リード線90をシュート21の外面側に向かって導出するためのリードガイド部91が形成されている。
図1および
図5に示すように、リードガイド部91は、ベース部67の盤面中央に設けられたリード線用の通孔であり、この通孔91とシール部材48の中央開口87とを介して、リード線90はシュート21の外面側に導出されている。通孔91にはパッキン92が装着されており、このパッキン92により、通孔91とリード線90との間の隙間が封止されている。
【0036】
図3および
図4において、符号94は、ホルダー47を含むシュート21の全体を覆うように、該シュート21に外嵌状に装着される中空容器状のカバーを示す。カバー94は、発泡スチロール製の断熱体であり、機械室4とシュート21との間の熱伝導を塞ぐ目的で装着される。カバー94は、縦方向に二つに分割可能に構成されており、メンテナンス作業時等においては二分割することで、シュート21から取り外すことができる。
【0037】
この取付構造では、満氷検知装置40はシュート21の貯溜部35に以下の手順で装着される。まず、検知装置40の近接スイッチ52から伸びるリード線90を、ホルダー47のベース部67に設けられたリードガイド部である通孔91に通す。次に、支持構造68を使って、検知装置40をホルダー47に保持させる。具体的には、腕壁71・72を拡開変形させながら、左方から検知装置40を腕壁71・72の間に差し込み、ケース体54の上下端を係止リブ73・78で係止して、検知装置40を支持構造68に保持させる。かかる保持状態において、ベース部67の規制リブ80・80が前後の脚壁77・78の対向内面に接触することで、前後方向の検知装置40のホルダー47に対する遊動が規制される。以上のようなリード線90の通孔91への挿通作業、および支持構造68に対する検知装置40の保持作業はシュート21の外側で行われる。機械室4の外側で行うこともできる。
【0038】
次に、装着窓41の開口縁にシール部材48を仮止めした状態で、検知装置40を貯溜部35の外面側から装着窓41とシール部材48の中央開口87を介して貯溜部35内に差し込み、ロック構造69を取付座49に係合させる。これにより、検知装置40とホルダー47とを、装着窓41に対して抜け外れ不能に固定保持させることができる。より具体的には、ロック構造69を構成する上下の係止爪83・83が近付く方向に両ロックアーム82・82を撓み変形させたうえで、上下の取付座49・49の装着溝62・62に係止爪83・83を位置合わせし、両ロックアーム82・82の撓み変形状態を解除して、両ロックアーム82・82の弾性力によりホルダー47を取付座49に固定保持させる。かかる固定保持状態においては、シール部材48の外面にホルダー47のベース部67が押し付けられるので、装着窓41から機械室4側へ氷片や水が漏れることを確実に防止できる。また、かかる固定保持状態においては、挟持壁84・84で取付座49のリブ64を挟持して、ホルダー47が取付座49に対して前後方向に遊動することを規制できる。
【0039】
ベース部67の通孔91からリード線90から引き出された状態で、ホルダー47の取付座49に対する固定保持作業が行われるので、リード線90を貯溜部35内から引き出すための特別な作業を完全に廃して、より簡単に検知装置40の貯溜部35への取付作業を進めることができる。最後に、半割状のカバー94を蓋合わせ状にシュート21の全体に被せ付ける。以上のように、この取付構造によれば、検知装置40の取付作業の全てを、シュート21の外側から進めることができる。
【0040】
メンテナンス等により、例えば検知装置40の交換が必要となった場合には、先と逆の手順を取ることで、検知装置40を貯溜部35から取り外すことができる。まず、カバー94をシュート21から取り外す。次に、上下のロックアーム82・82のU字部分を掴んで、上下の係止爪83・83が近付く方向に両ロックアーム82・82を撓み変形させて、装着溝62・62から係止爪83・83の係止状態を解除したうえで、ホルダー47を手前側に引く。これにより、ホルダー47と共に検知装置40を装着窓41を介して貯溜部35から抜き出すことができる。このとき、検知装置40と共にリード線90をシュート21の外側に引き出すことができる。検知装置40の交換終了後は、検知装置40のホルダー47への保持、ホルダー47のシュート21の取付座49への固定保持、カバー94の装着の手順を取ることで、検知装置40の貯溜部35への取付作業は終了する。
【0041】
以上のように、この取付構造によれば、作業者はシュート21の外面側から検知装置40の取付作業、或いは検知装置40の取り外し作業を行うことができるので、シュート21の内面側における一切の作業を廃することができる。従って、検知装置40のメンテナンス作業を作業効率良く、より容易に進めることができる。
【0042】
ホルダー47のベース部67にリード線90を導出するための通孔91を形成して、該通孔91を介してリード線90をシュート21の外部へ引き出すようにしたので、取付構造による脱着作業時において、リード線90を引き出すための専用の配線作業は不要となり、この点でも検知装置40のメンテナンス作業を作業効率良く進めることができる。また、取付状態におけるリード線90の余裕長さが、検知装置40及びホルダー47の装着窓41からの抜き出し作業時に支障が生じない程度に大きく設定されるため、検知装置を装着窓41から大きく引き出すことが可能となり、この点でもメンテナンス作業等を作業効率良く進めることができる。
【0043】
この取付構造によれば、シュート21内での作業を廃することができるので、取付作業やメンテナンス作業時にシュート21内が汚染されるおそれが少なく、シュート21内の洗浄などの余分な手間が不要となる利点がある。ビスや螺子等の締結部品を一切用いることなく、検知装置40をシュート21に脱着可能に取り付けることができるので、ビスや螺子等の締結部材の貯氷室5内への落下のおそれがなく、当該取付構造が適用された製氷機の信頼性向上に貢献できる。
【0044】
上記実施例においては、本発明に係る取付構造をシュート21の貯溜部35に設けられた満氷検知装置40に適用した例を示したが、本発明はこれに限られず、貯氷室5内に設けられる満氷検知装置に適用することもできる。検知装置40を構成するセンサ本体52は、磁気を用いた近接スイッチに限られず、光学式の近接センサであってもよい。物理的に検知体51の揺動を検知するマイクロスイッチであってもよい。ホルダー47に設けられる支持構造68やロック構造69は、上記実施例に記載したものに限られない。